JP2005202704A - 基準電流発生源とそれを用いた基準電圧発生回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電源電圧−出力電圧特性(電源変動特性)の優れた基準電圧発生回路を実現する手段を得る。
【解決手段】 第7のトランジスタのコレクタを電源に接続し、第7のトランジスタのエミッタと第8のトランジスタのベースとを第8の抵抗を介して接続し、第7のトランジスタのベースを第9の抵抗を介して電源と接続し、第7のトランジスタのベースと第8のトランジスタのコレクタとを第10の抵抗を介して接続し、第8のトランジスタのコレクタと第9のトランジスタのベースとを接続し、前記第5及び第9のトランジスタのコレクタ同志を接続し、第9のトランジスタのエミッタと第8のトランジスタのベースとを接続し、該接続点と接地間を第11の抵抗を介して接続して構成した回路を、従来の基準電圧発生回路の抵抗に代えて基準電圧発生回路を構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体のバンドギャップ電圧を用いた基準電圧発生回路に関し、特に電源電圧−出力電圧特性(電源変動特性)を低減した基準電圧発生回路に関するものである。
半導体のバンドギャップ電圧を用いた基準電圧発生回路(バンドギャップリファレンス回路)は、温度−出力電圧特性が優れていることから半導体集積回路の基準電圧回路として広く用いられている。基準電圧発生回路に関しては、特開平6−309052号公報、特開平10−240365号公報、特開平11−45126号公報等に回路構成とその特徴が詳細に開示されている。
図6(a)は従来の基準電圧発生回路の構成を示す図であって、所謂バンドギャップリファレンス回路(以下、BGR回路と称す)を用いたものである。同図に示すBGR回路は、エミッタ面積比がN1:1(図には×N1、×1にて表示)のトランジスタQ1、Q2を用い、トランジスタQ1、Q2のベース同志を接続すると共に、トランジスタQ1のエミッタ−接地間に抵抗R1を接続する。そして、トランジスタQ2のエミッタを接地すると共に、ベース−コレクタ間を直結する。トランジスタQ1、Q2のそれぞれのコレクタと出力端子Voutを抵抗R2、R3を介して接続する。ここで、トランジスタQ1、Q2、抵抗R1で形成される閉ループをバンドギャップループAと称す。
さらに、トランジスタQ1のコレクタとトランジスタQ3のベースとを接続すると共に、トランジスタQ3のエミッタを接地し、コレクタ−ベース間に容量C1を接続した上で、コレクタと出力端子Vout間を抵抗R4を介して接続する。そして、トランジスタQ3のコレクタとトランジスタQ4のベースとを接続すると共に、コレクタを接地し、エミッタを出力端子Voutに接続する。
上記回路への電流供給回路として、エミッタ面積比が1:N2(図には×1、×N2にて表示)のトランジスタQ5、Q6を用い、トランジスタQ5、Q6のベース同志を接続すると共に、トランジスタQ5のベースコレクタ間を直結した構成のカレントミラー回路を用いる。そして、トランジスタQ5のコレクタは抵抗R7を介して接地し、トランジスタQ6のコレクタは出力端子Voutに接続し、トランジスタQ5、Q6のエミッタはそれぞれ抵抗R5、R6を介して電源Vccに接続する。周知のように、このカレントミラー回路はトランジスタQ5から抵抗R7に供給される電流をI1、トランジスタQ6から抵抗2、抵抗3等に供給される電流をそれぞれI2、I3としたとき、抵抗R2、抵抗R3を等しく設定すれば、電流I2、I3がほぼ等しくなるよう機能する。
なお、トランジスタQ5、Q6だけでもカレントミラー回路として機能するが、の抵抗R5、R6を付加することによってノイズ特性が向上することから、これらの抵抗をもちいるのが一般的である。
トランジスタQ5のベース−エミッタ間の電圧をVBE5とすると、抵抗R5を流れる電流I1は、I1=(Vcc−VBE5)/(R5+R7)となる。
また、バンドギャップループAでは、トランジスタQ1、Q2のベース−エミッタ間の電圧をそれぞれVBE1、VBE2とすると、トランジスタQ1、Q2のベース電圧は等しいから、次式が成り立つ。
Figure 2005202704
ここでトランジスタの熱電圧をV、自然対数をLn、飽和電流をIsとすると、式(2a)、(2b)が成り立つ。
Figure 2005202704
図6(a)に示すBGR回路の出力電圧Voutは、抵抗R2の両端の電圧とトランジスタQ2のベース−エミッタ間の電圧VBE2との和であるから、式(3)のように表すことができる。
Figure 2005202704
そして、式(3)は式(2a)、(2b)を用いて式(4)のように表せる。
Figure 2005202704
式(4)の第一項であるベース−エミッタ間の電圧VBE2は、周知のように約−2mV/℃の負の温度係数を有し、その温度(Temp)−出力電圧(Vout)特性(温度特性)は温度の増加に応じて低下する直線となる。また、第二項の熱電圧Vは正の温度係数(約0.085mV/℃)を有し、その温度特性は温度の増加に応じて増大する直線となることが知られている。従って、抵抗R1、R2、R3とエミッタ面積比N1を適切に設定することにより、BGR回路の出力電圧Voutは温度変化の影響の少ない優れた温度特性が得られる。
図7は、図6(a)のBGR回路の諸定数をN1=24、N2=12、R1=1.8kΩ、R2=R3=12.5kΩ、R4=16kΩ、R7=70kΩとして、諸特性をシミュレーションにより求めた図であって、同図(a)は出力電圧の電源変動特性で、縦軸は出力電圧Vout(V)、横軸は電源電圧Vcc(V)である。図7(b)は電源電圧Vcc−電流I1特性、同図(c)はノイズ特性である。同図(a)から明らかなように、電源Vccの変動によって出力電圧Voutが大きく変化するという欠点があった。その原因は同図(b)から電源Vccの変動に伴って電流供給回路部分の電流値が変化することにあることは明らかである。
図6(b)は電流供給回路を改良した基準電圧発生回路である。即ち、図6(a)の電流源の抵抗R7に代えてトランジスタQ8、Q9と抵抗R9、R11とからなる回路を付加した電流源である。この回路の構成は、電源Vccより抵抗R9を介してトランジスタQ8のコレクタと接続し、該接続点とトランジスタQ9のベースとを接続する。そして、トランジスタQ8のエミッタを接地すると共に、ベースとトランジスタQ9のエミッタと接続し、該接続点と接地の間を抵抗R11を介して接続し、トランジスタQ9のコレクタと前記トランジスタQ5のコレクタを接続して構成した回路である。
トランジスタQ8のベース−エミッタ間の電圧をVBE8とすると、抵抗R11に流れる電流I11はI11=VBE8/R11である。エミッタ電流I1が安定すればトランジスタQ6から抵抗R2、R3に供給される電流I2、I3も安定し、出力電圧Voutが安定することになる。
図8(a)、(b)は、図6(b)のBGR回路の定数を上記のように設定して、シミュレーションにより電源変動特性とノイズ特性を求めた図で、ノイズ特性は図6(a)のBGR回路のそれとほぼ同じ特性であるが、電源変動特性は1.66mV(Vcc=2.3V〜3.3V)と大幅に改善されることが分かる。
特開平6−309052号公報 特開平10−240365号公報 特開平11−45126号公報
しかしながら、図6(b)の回路を採用することで図6(a)の回路よりも電源変動特性はかなり改善するものの、図8(a)から明らかなように依然として出力電圧が電源電圧の増加に応じて増大する電源変動特性を呈するという問題があり、より高安定な電源変動特性を必要とする用途に対して対応ができない点が課題となっていた。
第1のトランジスタのコレクタを電源に接続し、第1のトランジスタのエミッタを第1の抵抗回路を介して第2のトランジスタのベースに接続し、第2のトランジスタのコレクタを第2及び第3の抵抗を直列接続した回路を介して電源に接続し、第2及び第3の抵抗の接続点と第1のトランジスタのベースとを接続し、第2のトランジスタのエミッタを接地点と接続し、第3のトランジスタのベースを第2のトランジスタのコレクタに接続し、第2トランジスタのベースを第3のトランジスタのエミッタに接続し、第3のトランジスタのエミッタを第4の抵抗を介して接地点に接続した基準電流発生回路を電流源として構成したことを特徴とする基準電流発生回路である。
本発明の基準電流発生回路は、バンドギャップループに供給する電流を安定化するため、カレントミラー回路に付加回路を接続して構成したので、電源変動特性を大幅に低減できるという利点がある。
図1(a)は本発明に係る基準電流発生源とそれを用いた基準電圧発生回路(BGR回路)の実施の構成を示す図である。エミッタ面積比がN1:1(図には×N1、×1にて表示)であるトランジスタQ1、Q2(第6及び第7のトランジスタ)を用い、トランジスタQ1、Q2のベース同志を接続すると共に、トランジスタQ1のエミッタ−接地間を抵抗R1介して接続する。そして、トランジスタQ2のエミッタを接地すると共に、ベース−コレクタ間を直結する。トランジスタQ1、Q2のそれぞれのコレクタと出力端子Voutを抵抗R2、R3(第5の抵抗)を介して接続する。さらに、トランジスタQ1のコレクタとトランジスタQ3のベースとを接続すると共に、トランジスタQ3のエミッタを接地し、コレクタ−ベース間を容量C1を介して接続し、コレクタと出力端子Vout間を抵抗R4を介して接続する。そして、トランジスタQ3のコレクタとトランジスタQ4のベースとを接続すると共に、トランジスタQ4のコレクタを接地し、エミッタを出力端子Voutに接続する。トランジスタQ1、Q2と抵抗R1とでバンドギャップループAを構成する。
上記回路への電流供給回路として、エミッタ面積比が1:N2(図には×1、×N2にて表示)であるトランジスタQ5、Q6(第4及び第5のトランジスタ)を用い、トランジスタQ5、Q6のベース同志を接続すると共に、トランジスタQ5のベース−コレクタ間を直結する。トランジスタQ5、Q6のエミッタはそれぞれ抵抗R5、R6を介して電源Vcc接続し、トランジスタQ6のコレクタは出力端子Voutに接続する。さらに、トランジスタQ7(第1のトランジスタ)のコレクタを電源Vccに接続すると共に、エミッタとトランジスタQ8(第2のトランジスタ)のベースとを抵抗R8(第1の抵抗)を介して接続する。トランジスタQ7のベースと電源Vccとを抵抗R9(第2の抵抗)を介して接続すると共に、トランジスタQ7のベースとトランジスタQ8のコレクタとの間を抵抗R10(第3の抵抗)を介して接続する。そして、トランジスタQ8のコレクタとトランジスタQ9(第3のトランジスタ)のベースとを接続すると共に、トランジスタQ8のエミッタを接地する。トランジスタQ9と前記トランジスタQ5のコレクタ同志を接続し、トランジスタQ9のエミッタとトランジスタQ8のベースを接続し、該接続点と接地間を抵抗R11(第4の抵抗)を介して接続して、本発明のBGR回路を構成する。また、BGR回路への電流供給回路としてトランジスタQ5、Q6及び抵抗R5,R6とで構成したカレントミラー回路と、トランジスタQ7、Q8、Q9と抵抗R8、R9、R10、R11とからなる破線で囲まれた基準電流発生源を備えている。本発明の特徴は図6(a)の抵抗R7に変えて回路αを付加したことである。
図2は、図1の回路の諸定数をN1=24、N2=12、R1=1.8kΩ、R2=R3=12.5kΩ、R4=16kΩ、R8=20kΩ、R9=60kΩ、R10=4kΩ、R11=26kΩとして、諸特性をシミュレーションにより求めた図であって、同図(a)は出力電圧の電源変動特性で、縦軸は出力電圧Vout(V)、横軸は電源電圧Vcc(V)である。図2(b)は電源電圧Vcc−電流I1特性で、縦軸は電流I1(A)、横軸は電源電圧Vcc(V)、同図(c)はノイズ特性で、縦軸はノイズ、横軸は周波数(Hz)である。これらの図から明らかなように、ノイズ特性は従来の回路のそれとほぼ同等であるが、電源電圧Vcc(V)を2.3Vから3.3Vの範囲で変動させた場合の電源変動特性は0.29mVと、従来の1.66mVと比べて大幅に低減していることが判明した。また、電源変動特性に大きく寄与する電源Vcc(V)−電流I1特性も、大幅に低減されていることが分かった。
図1(a)に示す基準電圧発生回路の電源変動特性が改善される原理について、電源電圧Vcc−電流I1特性を参照しながら検討する。
図3は図1(a)に示す基準電流発生源の回路αの代わりに、理想の電流源Isource(電源電圧Vccによらず常に一定電流を供給する)を用いて構成した基準電圧発生回路である。ここでは、カレントミラー回路の抵抗R5、R6を省略した回路図を示している。この回路の諸定数を上記のように設定して、電源変動特性をシミュレーションにより求めたものが図4に示す曲線P1で、1.45mV(Vcc=2.3V〜3.3V)である。従来の図6(b)に示す回路の電源変動特性曲線P2の1.66mV(Vcc=2.3V〜3.3V)と比べて若干改善されるもののフラットな特性にはならない。これはBGR回路自体に電源変動に応じて出力電圧が変化する特性を有することを意味している。
この結果を踏まえて、図1に示す回路について検討する。電流源のトランジスタQ8、Q9のベース−エミッタ電圧をそれぞれVBE8、VBE9、抵抗R10に流れる電流をI0とすると、トランジスタQ7のベースの電圧VBE7はVBE7+R8・Ii=VBE9+I0・R10となる。電源電圧Vccが上昇するとベース電圧VBE7も僅かに上昇し、抵抗R8からトランジスタQ8のベース、抵抗R11へと流れる電流Iiも僅かに大きくなるが、抵抗R11を流れる電流I11はI11=VBE8/R11であるので、電流Iiの増加分だけ電流I1は減少することになる。図6(b)に示す従来の電流源回路のみの場合の電流I1は電源Vccの増加に応じて、図5(a)の曲線P3のように、増加するが、図1(a)の本発明の回路では、図5(a)の曲線P4のように電流I1は電源Vccの増加に応じて若干減少することが分かる。その結果、図1(a)のBGR回路の電源変動特性は、図5(b)の曲線P5のように電源Vccの増加に応じてほぼ平坦になることが判明した。曲線P2は比較のために示した図で、図6(b)のBGR回路の電源変動特性である。つまり、本発明は電流源の電源変動特性がBGR回路のそれと逆の傾きとなるよう構成したことによって、BGR回路の電源変動特性を相殺したところに特徴がある。
本発明は以上説明したもののみならず種々の変形が可能である。図1(b)は第1の変形例の基準電流発生源を示すものであり、図1(a)の回路の接地点を基準点に代え、該基準点と接地間に第1のインピーダンスZ1接続して基準電流発生源を構成した実施例である。また、図1(c)は第2の変形例の基準電流発生源を示すものであり、図1(b)に示す基準電流発生源のトランジスタをNchトランジスタで置換した実施例である。いずれも図1(a)と同様な作用、効果がある。
(a)は本発明に係る基準電流発生源とそれを用いた基準電流発生回路の構成を示した図、(b)は第1の変形例、(c)は第2の変形例の基準電流発生源の回路構を示す図である。 図1に示した基準電流発生回路の、(a)は電源変動特性、(b)は電源−電流I1の特性、(c)はノイズ特性である。 本発明を説明するための図で理想電流源を用いた場合である。 図3に示した基準電流発生回路の電源変動特性P1と従来の回路の電源変動特性P2とを重ね書きした図である。 図1(a)に示した基準電圧発生回路の、(a)は電源変動特性P1と従来の回路の電源変動特性P2とを重ね書きした図、(b)はノイズ特性である。 (a)、(b)とも従来の基準電圧発生回路の構成を示した図である。 図6(a)に示す基準電圧発生回路の、(a)は電源変動特性、(b)は電源Vcc−電流I1の特性、(c)はノイズ特性である。 図6(b)に示した基準電圧発生回路の、(a)は電源変動特性、(b)はノイズ特性である。
符号の説明
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q7’、Q8、Q8’、Q9、Q9’ トランジスタ
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11 抵抗
C1 容量
Vcc 電源
Vout 出力電圧
I0、I1、I2、I3 電流
N1、N2 エミッタの面積比
Z1 インピーダンス

Claims (6)

  1. 第1のトランジスタのコレクタを電源に接続し、第1のトランジスタのエミッタを第1の抵抗回路を介して第2のトランジスタのベースに接続し、第2のトランジスタのコレクタを第2及び第3の抵抗を直列接続した回路を介して電源に接続し、第2及び第3の抵抗の接続点と第1のトランジスタのベースとを接続し、第2のトランジスタのエミッタを接地点と接続し、第3のトランジスタのベースを第2のトランジスタのコレクタに接続し、第2トランジスタのベースを第3のトランジスタのエミッタに接続し、第3のトランジスタのエミッタを第4の抵抗を介して接地点に接続したことを特徴とする基準電流発生回路。
  2. 前記第1、第2及び第3のトランジスタとしてNchトランジスタを用いたものであり、前記ベースをゲート、前記コレクタをドレイン、前記エミッタをソースとしたものであることを特徴とする基準電流発生回路。
  3. 前記接地点をインピーダンスを介して接地したことを特徴とする請求項1または2記載の基準電流発生回路。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の基準電流発生回路を電流源として構成したことを特徴とする基準電流発生回路。
  5. カレントミラー回路と、該カレントミラー回路の出力側にバンドギャップリファレンス回路を接続した基準電圧発生回路であって、
    前記カレントミラー回路の入力側に請求項1乃至3のいずれかに記載の基準電流発生回路を電流源として接続したことを特徴とする基準電流発生回路。
  6. エミッタ面積比が1:N2である第4及び第5のトランジスタを有するカレントミラー回路と、エミッタ面積比がN1:1である第6及び第7のトランジスタを有するバンドギャップリファレンス回路とを備え、第5のトランジスタのコレクタを第5の抵抗を介して第7のトランジスタのコレクタと接続した構成の基準電圧発生回路であって、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の基準発生回路を構成する第3のトランジスタのコレクタを第4のトランジスタのエミッタと接続したしたことを特徴とする基準電流発生回路。





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