JP2005201784A - 分注装置およびそれを備えた分析装置ならびに液体の吸引または吐出の異常判定方法 - Google Patents

分注装置およびそれを備えた分析装置ならびに液体の吸引または吐出の異常判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体の吸引または吐出の異常を検出することができるとともに、シリンジポンプの動作異常を検出することが可能な分注装置およびそれを備えた分析装置を提供する。
【解決手段】この分注装置を備えた分析装置100は、試薬およびサンプル(試料)を吸引または吐出するためのシリンジ部12と、シリンジ部12を駆動するモータ12cと、シリンジ部12内の圧力を検知する圧力検知センサ12eと、モータ12cがシリンジ部12の駆動を開始する前に圧力の監視を開始するとともに、監視開始後、シリンジ部12内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間に基づいて試薬およびサンプルの吸引または吐出の異常を判定する制御部80とを備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、分注装置およびそれを備えた分析装置ならびに液体の吸引または吐出の異常判定方法に関し、特に、液体を吸引または排出するためのシリンジポンプを含む分注装置およびそれを備えた分析装置ならびに液体の吸引または吐出の異常判定方法に関する。
従来、液体を吸引または排出するためのシリンジポンプを含む分注装置が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。上記特許文献1には、ポンプ(シリンジポンプ)に接続されるノズル内のエア圧力を2次微分した結果と所定のしきい値とを比較することにより、ノズル閉塞(ノズル詰まり)または検体不足(試料不足)が発生したことを検出する自動分注装置が開示されている。
また、上記特許文献2には、モータによりシリンダ(シリンジポンプ)を動かしてノズルから液体の吸引および吐出を行う分注機のノズル内の圧力を検知して所定のしきい値と比較することにより、液面への到達およびノズル詰まりを検知するとともに、その検知後、液体の吸引時にノズル内の圧力を微分した結果(微分信号)に基づいて液量不足を検知する分注動作判別装置が開示されている。この特許文献2では、モータを作動させるための駆動用パルス信号に同期させて圧力の微分信号を取得するとともに、この微分信号と所定のしきい値とを比較することにより液量不足を検知している。
特開平7−198726号公報 特開平9−15248号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された自動分注装置では、ノズル閉塞(ノズル詰まり)および試料不足が検出される一方、ポンプ(シリンジポンプ)が正常に動作しているか否かは検出されないため、シリンジポンプの動作異常を検出するのは困難であるという問題点がある。
また、上記特許文献2に開示された分注動作判別装置では、モータを作動させるための駆動用パルス信号に同期させて圧力の微分信号を取得しているため、モータの駆動用パルス信号を出力したにも係わらず、モータ(駆動源)が動作を開始しなかったことを検出するのは困難である。その結果、モータ(駆動源)の動作不良に起因するシリンジポンプの動作異常を検出するのが困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、液体の吸引または吐出の異常を検出することができるとともに、シリンジポンプの動作異常を検出することが可能な分注装置およびそれを備えた分析装置ならびに液体の吸引または吐出の異常判定方法を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
この発明の第1の局面による分注装置は、液体を吸引または吐出するためのシリンジポンプと、シリンジポンプを駆動する駆動源と、シリンジポンプ内の圧力を検知する圧力検知手段と、駆動源がシリンジポンプの駆動を開始する前に圧力の監視を開始するとともに、監視開始後、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間に基づいて液体の吸引または吐出の異常を判定する監視手段とを備える。
この第1の局面による分注装置では、上記のように、駆動源がシリンジポンプの駆動を開始する前に圧力の監視を開始し、監視開始後、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間に基づいて液体の吸引または吐出の異常を判定する監視手段を設けることによって、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間は、シリンジポンプの駆動源の動作開始時から動作終了時までの時間に対応するので、監視手段によりこの時間を監視することにより、この時間が所定値から外れている場合には、駆動源が正常に動作しなかったか、または、気泡や空気を吸引または吐出していると判断することができる。これにより、試薬や試料の吸引または吐出の異常を検出することができるとともに、シリンジポンプの動作異常を検出することができる。
上記第1の局面による分注装置において、好ましくは、監視手段は、圧力検知手段の出力値を微分した値と所定値とを比較することによって、シリンジポンプ内の圧力が急激に変化したか否かを判断する。このように圧力の微分結果を用いれば、容易に、圧力の急激な変化を検知することができる。
上記第1の局面による分注装置において、好ましくは、監視手段は、圧力検知手段の出力値を微分する微分手段と、微分手段の出力値がn回目に所定の範囲を逸脱した時からn+1回目に所定の範囲を逸脱した時までの時間を計測する計測手段と、計測手段の出力値と所定値とに基づいて異常判定を行う判定手段とを備える。このように構成すれば、容易に、監視手段により、駆動源が正常に動作しなかった場合、または、気泡や空気を吸引または吐出している場合の異常判定を行うことができる。
この場合、計測手段は、微分手段の出力値がn回目に所定の範囲を逸脱した時からn+1回目に所定の範囲を逸脱した時までのクロック信号の数をカウントするカウンタを含むのが好ましい。このように構成すれば、カウンタを用いて、容易に、微分手段の出力値がn回目に所定の範囲を逸脱した時からn+1回目に所定の範囲を逸脱した時までの時間を計測することができる。
上記第1の局面による分注装置において、好ましくは、シリンジポンプに接続されたノズルをさらに備え、ノズルが液体に挿入された状態で監視手段による圧力の監視が開始され、nは1である。このように構成すれば、シリンジポンプ内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間が、シリンジポンプの駆動源の動作開始時から動作終了時までの時間に対応するので、監視手段によりこの時間を監視することにより、容易に、駆動源が正常に動作しなかったか、または、気泡や空気を吸引または吐出していると判断することができる。
この場合、好ましくは、監視手段は、監視開始から所定時間が経過してもシリンジポンプ内の圧力の急激な変化を検出できなかった場合に液体の吸引または吐出の状態が異常であると判定する。このように構成すれば、駆動源が動作を開始していない場合、または、液体ではなく空気を吸引または吐出している場合の異常を検知することができる。
上記第1の局面による分注装置において、好ましくは、シリンジポンプに接続されたノズルをさらに備え、液体の吐出時において、ノズル内の液体が全て吐出された時に駆動源が停止される。このように構成すれば、空気が液体(容器)内に吐出されるのを防止することができる。
上記第1の局面による分注装置において、好ましくは、監視手段は、圧力検知手段の出力値と所定のしきい値とを比較する比較手段をさらに備え、監視手段は、圧力検知手段の出力値が上記所定のしきい値を超えた場合に液体の吸引または吐出の状態が異常であると判定する。このように構成すれば、吸引または吐出時の詰まりの異常を検知することができる。
上記第1の局面による分注装置において、シリンジポンプに接続されたノズルをさらに備え、ノズルは、シリンジポンプに連結されるノズル基部と、ノズル基部に着脱可能に装着される分注チップとを含むのが好ましい。このように構成すれば、分注チップを分注動作毎に交換することができるので、試料を分注する場合の試料による汚染を防止することができる。
この発明の第2の局面による分析装置は、上記いずれかの構成を有する分注装置を備える。
この第2の局面による分析装置では、駆動源がシリンジポンプの駆動を開始する前に圧力の監視を開始し、監視開始後、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間に基づいて液体の吸引または吐出の異常を判定する監視手段を設けた分注装置を備えることによって、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間は、駆動源の動作開始時から動作終了時までの時間に対応するので、監視手段によりこの時間を監視することにより、この時間が所定値から外れている場合に、駆動源が正常に動作しなかったか、または、気泡や空気を吸引または吐出していると判断することができる。これにより、試薬や試料の吸引または吐出の異常を検出することができるとともに、シリンジポンプの動作異常を検出することが可能な分注装置を備えた分析装置を提供することができる。
この発明の第3の局面による液体の吸引または吐出の異常判定方法は、液体を吸引または吐出するためのシリンジポンプ内の圧力の監視を開始するステップと、圧力の監視開始後にシリンジポンプの駆動を開始するステップと、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化したときまでの時間を計測するステップと、その時間に基づいて液体の吸引または吐出の異常を判定するステップとを備えている。
この第3の局面による液体の吸引または吐出の異常判定方法では、上記のように、シリンジポンプ内の圧力の監視を開始した後、シリンジポンプの駆動を開始し、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間に基づいて液体の吸引または吐出の異常を判定することによって、シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間は、シリンジポンプの駆動開始時から駆動終了時までの時間に対応するので、監視手段によりこの時間を監視することにより、この時間が所定値から外れている場合には、シリンジポンプが正常に動作しなかったか、または、気泡や空気を吸引または吐出していると判断することができる。これにより、試薬や試料の吸引または吐出の異常を検出することができるとともに、シリンジポンプの動作異常を検出することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による分析装置およびそのデータ処理部の全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した分析装置の測定部の全体構成を示した斜視図であり、図3は、図2の平面概略図である。図4〜図6は、図2に示した分析装置の測定部のシリンジ部、ピペットチップおよびラックを示した図であり、図7は、図2に示した一実施形態による分析装置の測定部のシリンジ部および制御部の構成を示したブロック図である。また、図8〜図11は、図7に示した一実施形態による分析装置のシリンジ部の異常検出方法を説明するための波形図である。なお、本実施形態では、本発明の分注装置を備えた分析装置の一例として、遺伝子増幅検出装置について説明する。本実施形態による遺伝子増幅検出装置は、癌手術での切除組織における癌転移診断を支援する分析装置であり、切除組織内に存在する癌由来の遺伝子(mRNA)をLAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification, 栄研化学)法を用いて増幅させ、増幅に伴い発生する溶液の濁りを測定することにより検出を行う装置である。なお、LAMP法の詳細は、米国特許第6410278号公報に開示されている。
まず、図1を参照して、本実施形態の分析装置(遺伝子増幅検出装置)およびそのデータ処理部の全体構成について説明する。本実施形態の分析装置(遺伝子増幅検出装置)100は、図1に示すように、測定部101と、測定部101と通信回線を介して接続されたデータ処理部102とによって構成されている。データ処理部102は、キーボード102aとマウス102bと表示部102cとを含むパーソナルコンピュータからなる。
測定部101は、図2および図3に示すように、分注機構部10と、サンプル容器セット部20と、試薬容器セット部30と、チップセット部40と、チップ廃棄部50と、5つの反応検出ブロック60aからなる反応検出部60と、分注機構部10をXY軸方向に移送するための移送部70とを含んでいる。また、測定部101には、図2に示すように、マイクロコンピュータにより装置を制御するとともに、装置外部との入出力を制御する制御部80と、制御部80を含む装置全体に電源を供給する電源部90とが内蔵されている。また、測定部101の正面の所定個所に、緊急停止スイッチ91が設置されている。
また、分注機構部10は、移送部70によりX軸およびY軸方向(平面方向)に移動されるアーム部11と、アーム部11に対してそれぞれ独立してZ軸方向(垂直方向)に移動可能な2連(2本)のシリンジ部12とを含んでいる。シリンジ部12は、図4に示すように、先端に後述するピペットチップ41が着脱可能に取り付けられるノズル部12aと、吸引および吐出を行うためのポンプ部12bと、ポンプ部12bの駆動源となるモータ12cと、静電容量センサ12dと、圧力検知センサ12eとを含んでいる。なお、シリンジ部12は、本発明の「シリンジポンプ」の一例であり、ノズル部12aは、本発明の「ノズル」および「ノズル基部」の一例であり、圧力検知センサ12eは、本発明の「圧力検知手段」の一例である。ポンプ部12bでは、モータ12cの回転をピストン運動に変換することにより、吸引および吐出機能が得られる。静電容量センサ12dは、静電容量式のセンサであり、導電性樹脂からなるピペットチップ41および液体の静電容量を検知する。また、圧力検知センサ12eは、ポンプ部12bによる吸引および吐出時の圧力を検知する。これらの静電容量センサ12dと圧力検知センサ12eとによって、吸引および吐出が確実に行われているか否かが検知される。
ここで、本実施形態では、制御部80は、吸引または吐出時の圧力検知センサ12eの出力に基づいて、シリンジ部12が正常に動作しているか否か、および、吸引または吐出が正常に行われたか否かを監視する。なお、制御部80は、本発明の「監視手段」の一例である。この制御部80は、図7に示すように、微分回路81と、コンパレータ82および83と、A/D変換器84と、FPGA(Field ProgramableGate Array)85と、CPU86とを含んでいる。また、FPGA85には、クロック発生回路85aと、ゲート85bと、カウンタ85cと、制御回路85dと、シリアル−パラレル変換回路85eとが設けられている。なお、微分回路81は、本発明の「微分手段」の一例であり、カウンタ85cは、本発明の「計測手段」の一例である。また、CPU86は、本発明の「判定手段」および「比較手段」の一例である。
微分回路81には、圧力検知センサ12eの出力信号が入力される。この微分回路81は、図8に示すように、圧力検知センサ12eの出力信号(圧力波形)を微分することにより微分信号(微分波形)を得るために設けられている。すなわち、この微分回路81は、圧力波形に立ち下がりがあれば正のパルスを得るとともに、圧力波形に立ち上がりがあれば負のパルスを得る機能を有する。この微分回路81は、シリンジ動作前後の圧力波形の周波数帯域(たとえば、7Hz〜9Hz)を増幅するように構成されている。
また、コンパレータ82および83には、微分回路81の出力信号(微分信号)が入力される。コンパレータ82は、図9に示すように、微分信号の正のパルスが所定のしきい値(たとえば、3V)以上になった場合に、パルス信号を出力する。また、コンパレータ83は、微分信号の負のパルスが所定のしきい値(たとえば、2V)以下になった場合に、パルス信号を出力する。コンパレータ82および83の出力信号(パルス信号)は、FPGA85のゲート85bに入力される。また、クロック発生回路85aの出力信号もゲート85bに入力される。ゲート85bの出力は、カウンタ85cに入力される。カウンタ85cは、コンパレータ82の出力信号(パルス信号)の立ち下がりからコンパレータ83の出力信号(パルス信号)の立ち下がりまでのクロック信号の数およびコンパレータ83の出力信号(パルス信号)の立ち下がりからコンパレータ82の出力信号(パルス信号)の立ち下がりまでのクロック信号の数をカウントする機能を有する。カウンタ85cの出力は、シリアル−パラレル変換回路85eを介してCPU86に入力される。シリアル−パラレル変換回路85eは、CPU86との間でデータや制御信号を伝送する際に、パラレル信号をシリアルで伝送する機能を有する。制御回路85dは、CPU86からの制御信号に基づいて、ゲート85b、カウンタ85cおよび後述するA/D変換器84を制御する機能を有する。CPU86は、カウンタ85cから出力されたカウント値と予め分注量毎に定められたカウント値とを比較することにより、異常判定を行う機能を有する。
また、A/D変換器84には、圧力検知センサ12eの出力信号(圧力信号)が入力される。このA/D変換器84は、圧力検知センサ12eの出力信号をデジタル化する機能を有する。このA/D変換器84の出力は、シリアル−パラレル変換回路85eを介して、CPU86に入力される。CPU86は、A/D変換器84の出力信号が、吸引時に所定のしきい値(たとえば、0.5V)以下になったか否か、および、排出時に所定のしきい値(たとえば、4.5V)以上になったか否かを判断することにより、詰まりが発生したか否かを判断する機能も有する。
また、図2および図3に示すように、サンプル容器セット部20の凹部(図示せず)には、5つのサンプル容器セット孔21aと、把持部21bとを有するサンプル容器セット台21が取り外し可能に嵌め込まれている。このサンプル容器セット台21の5つのサンプル容器セット孔21aには、予め切除組織を処理(ホモジナイズ、ろ過、希釈)して作製された可溶化抽出液(サンプル)が収容されたサンプル容器22がセットされる。
また、試薬容器セット部30の凹部(図示せず)には、2つのプライマ試薬容器セット孔31aおよび1つの酵素試薬容器セット孔31bと、把持部31cとを有する試薬容器セット台31が、取り外し可能に嵌め込まれている。試薬容器セット台31のプライマ試薬容器セット孔31aは、Y軸方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられており、酵素試薬容器セット孔31bは、正面左側のみに設けられている。正面左側のプライマ試薬容器セット孔31aおよび酵素試薬容器セット孔31b(図3参照)には、それぞれ、サイトケラチン19(CK19)のプライマ試薬が収容されたプライマ試薬容器32aと、CK19およびβアクチン(β−actin)に共通の酵素試薬が収容された酵素試薬容器32bとが配置される。また、正面右側のプライマ試薬容器セット孔31aには、β−actinのプライマ試薬が収容されたプライマ試薬容器32aが配置される。
また、チップセット部40の2つの凹部(図示せず)には、36本のピペットチップ41を収納可能な収納孔42aを有する2つのラック42がそれぞれ着脱可能に嵌め込まれている。また、チップセット部40には、2つの取り外しボタン43が設けられている。この取り外しボタン43を押すことにより、ラック42が取り外し可能な状態になる。ピペットチップ41は、図5に示すように、カーボン含有の導電性の樹脂材料からなるとともに、フィルタ41aが内部に装着されている。このフィルタ41aは、液のシリンジ部12への誤流入を防止する機能を有する。なお、ピペットチップ41は、ピペットチップ41の製造過程で付着する可能性のある人間の唾液などの分解酵素が遺伝子の増幅に悪影響を及ぼさないように、出荷前に箱詰めした状態で電子線照射が施されている。このピペットチップ41は、本発明の「ノズル」および「分注チップ」の一例である。また、ピペットチップ41が収納されたラック42は、チップセット部40にセットする前には、図6に示すように、下カバー44と上カバー45とが装着された状態で保管されている。
また、図3に示すように、チップ廃棄部50には、使用済みのピペットチップ41を廃棄するための2つのチップ廃棄孔50aが設けられている。また、チップ廃棄孔50aに連続するように、チップ廃棄孔50aよりも細い幅の溝部50bが設けられている。
また、反応検出部60の各反応検出ブロック60aは、図2に示すように、反応部61と、2つの濁度検出部62と、蓋閉機構部63とから構成されている。各反応部61には、図3に示すように、検出セル65をセットするための2つの検出セルセット孔61aが設けられている。
また、濁度検出部62は、図3に示すように、反応部61の一方の側面側に配置された基板64aに取り付けられた465nmの波長を有する青色LEDからなるLED光源部62aと、反応部61の他方の側面側に配置された基板64bに取り付けられたフォトダイオード受光部62bとによって構成されている。各反応検出ブロック60aには、1つのLED光源部62aと1つのフォトダイオード受光部62bとからなる1組の濁度検出部62が2組ずつ配置されている。したがって、5つの反応検出ブロック60aには、合計10組のLED光源部62aおよびフォトダイオード受光部62bからなる濁度検出部62が配置されている。LED光源部62aおよびそれに対応するフォトダイオード受光部62bは、LED光源部62aから検出セル65の下部に約1mmの直径の光を照射してフォトダイオード受光部62bによってその光を受光可能なように配置されている。このLED光源部62aおよびフォトダイオード受光部62bは、フォトダイオード受光部62bが受光する光の強度によって、検出セル65の有無を検出するとともに、検出セル65の内部に収容された液の濁度をリアルタイムで検出(モニタリング)する機能を有する。
また、移送部70は、図2および図3に示すように、分注機構部10をY軸方向に移送するための直動ガイド71およびボールネジ72と、ボールネジ72を駆動するためのステッピングモータ73と、分注機構部10をX軸方向に移送するための直動ガイド74およびボールネジ75と、ボールネジ75を駆動するためのステッピングモータ76とを含んでいる。また、図3に示すように、Y軸方向の直動ガイド71のレール部71aおよびボールネジ72の一方の支持部72aは、フレーム77に取り付けられている。また、ボールネジ72の他方の支持部72bは、ステッピングモータ73を介してフレーム77に取り付けられている。また、Y軸方向の直動ガイド71のスライド部71bおよびボールネジ72の直線移動部(図示せず)は、分注機構部10のアーム部11に取り付けられている。また、X軸方向の直動ガイド74のレール部74aおよびボールネジ75の一方の支持部75aは、支持台78に取り付けられている。また、X軸方向の直動ガイド74のスライド部(図示せず)およびボールネジ75の他方の支持部75bは、フレーム77に取り付けられている。また、ボールネジ75の他方の支持部75bには、ステッピングモータ76が取り付けられている。なお、分注機構部10のXY軸方向への移送は、ステッピングモータ73および76により、それぞれ、ボールネジ72および75を回転させることにより行う。
次に、図1〜図4、図7および図11を参照して、本実施形態による分析装置(遺伝子増幅検出装置)の動作について説明する。本実施形態による遺伝子増幅検出装置では、上記したように、癌手術での切除組織内に存在する癌由来の遺伝子(mRNA)をLAMP法を用いて増幅させ、増幅に伴い発生する溶液の濁りを測定することにより検出を行う。
まず、図2および図3に示すように、予め切除組織を処理(ホモジナイズ、ろ過、希釈)して作製された可溶化抽出液(サンプル)が収容されたサンプル容器22を、サンプル容器セット台21のサンプル容器セット孔21aにセットする。また、正面左側のプライマ試薬容器セット孔31aおよび酵素試薬容器セット孔31bに、それぞれ、CK19(サイトケラチン19)のプライマ試薬が収容されたプライマ試薬容器32aと、CK19およびβ−actin(βアクチン)に共通の酵素試薬が収容された酵素試薬容器32bとをセットする。また、正面右側のプライマ試薬容器セット孔31aに、β−actin(βアクチン)のプライマ試薬が収容されたプライマ試薬容器32aをセットする。また、チップセット部40の凹部(図示せず)に、それぞれ36本の使い捨て用のピペットチップ41が収納された2つのラック42を嵌め込む。この場合、分注機構部10のアーム部11の初期位置(原点位置)は、図2および図3に示すように、チップセット部40の上方から外れた位置であるので、容易に、チップセット部40の凹部(図示せず)に、2つのラック42を嵌め込むことが可能である。さらに、各反応検出ブロック60aの反応部61の2つの検出セルセット孔61aに、検出セル65の2つのセル部66aをセットする。
そして、図1に示したデータ処理部102のキーボード102aおよびマウス102bを用いて、測定項目やサンプル登録などを行った後、キーボード102aまたはマウス102bにより測定部101の動作をスタートさせる。
測定部101の動作がスタートすると、まず、移送部70により分注機構部10のアーム部11が初期位置からチップセット部40に移動された後、チップセット部40において、分注機構部10の2つのシリンジ部12が下方向に移動される。これにより、図4に示したように、2つのシリンジ部12のノズル部12aの先端が2つのピペットチップ41の上部開口部内に圧入されるので、2つのシリンジ部12のノズル部12aの先端にピペットチップ41が自動的に装着される。そして、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注機構部10のアーム部11は、移送部70により試薬容器セット台31にセットされたCK19およびβ−actinのプライマ試薬が収容された2つのプライマ試薬容器32aの上方に向かってX軸方向に移動される。そして、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、2つのシリンジ部12のノズル部12aに装着された2つのピペットチップ41の先端が、それぞれ、2つのプライマ試薬容器32a内のCK19およびβ−actinのプライマ試薬の液面に挿入される。そして、シリンジ部12のポンプ部12bにより2つのプライマ試薬容器32a内のCK19およびβ−actinのプライマ試薬が吸引される。
なお、プライマ試薬の吸引時には、静電容量センサ12d(図4参照)により、導電性樹脂からなるピペットチップ41の先端が液面に接触していることが検知されるとともに、圧力検知センサ12e(図4参照)により、ポンプ部12bによる吸引時の圧力が検知される。これらの静電容量センサ12dと圧力検知センサ12eとによって、吸引が確実に行われているか否かが検知される。
ここで、本実施形態では、吸引時に、制御部80が、圧力検知センサ12eの出力に基づいて、シリンジ部12が正常に動作しているか否かおよび吸引が正常に行われたか否かを監視する。すなわち、モータ12cがシリンジ部12の駆動を開始する前に圧力の監視を開始し、監視開始後、シリンジ部12内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間に基づいてプライマ試薬の吸引の異常を判定する。つまり、正常に動作している場合には、シリンジ部12内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間は、シリンジ部12のモータ12cの動作開始時から動作終了時までの時間に対応するので、この時間が所定値から外れているか否かにより、吸引が正常に行われたか否かが判断される。この監視は、2つのシリンジ部12のノズル部12aに装着された2つのピペットチップ41の先端が、それぞれ、2つのプライマ試薬容器32a内のCK19およびβ−actinのプライマ試薬の液面に挿入された状態で開始される。
この監視動作では、まず、図7に示した微分回路81により、圧力検知センサ12eの出力信号(圧力波形)を微分することによって、図11に示すような微分信号(微分波形)を得る。そして、吸引動作の開始時に、微分信号の正のパルスが所定のしきい値(たとえば、3V)以上になった場合に、コンパレータ82からパルス信号が出力される。また、吸引動作の終了時に、微分信号の負のパルスが所定のしきい値(たとえば、2V)以下になった場合に、コンパレータ83からパルス信号が出力される。そして、図7に示したカウンタ85cは、CPU86から制御回路85dを介して与えられた制御信号に基づいて、コンパレータ82の出力信号(パルス信号)の立ち下がりからコンパレータ83の出力信号(パルス信号)の立ち下がりまでの間にクロック発生回路85aから発生されるクロック信号の数をカウントする。このカウンタ85cによるカウント値は、シリンジ部12内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間に対応する。カウンタ85cから出力されたカウント値は、シリアル−パラレル変換回路85eを介してCPU86に入力される。CPU86では、カウンタ85cから出力されたカウント値と予め分注量毎に設定されたカウント値とが比較されることにより、異常判定が行われる。
具体的には、吸引量が10μLである場合には、許容範囲を含んだカウント値は、1130±10%(1017〜1243)に設定される。シリンジ部12が吸引の途中で停止した場合は、カウンタ85cにより得られるカウント値は、上記設定されたカウント値より少なくなる。また、吸引時に、気泡が混入してシリンジ動作中に異常な圧力変動があった場合にも、シリンジ動作終了以前にその圧力変動が検出されるので、カウンタ85cにより得られるカウント値は、上記設定されたカウント値より少なくなる。このようにカウンタ85cによりカウントされたカウント値が、上記設定されたカウント値より少なくなる場合には、CPU86は、吸引時に異常が発生したと判定する。
また、吸引時に、シリンジ部12が動作しなかった場合、および、プライマ試薬ではなく空気を吸引した場合には、シリンジ部12の動作開始および動作終了を示す微分波形は検出されないので、図11に示す有効期間内のカウント値は「0」になる。このように、監視開始から所定時間(有効期間)が経過してもシリンジ部12内の圧力の急激な変化を検出できなかった場合にも、CPU86は、プライマ試薬の吸引の状態が異常であると判定する。これにより、モータ12cが動作を開始していない場合、または、プライマ試薬ではなく空気を吸引している場合の異常を検知することが可能になる。
また、吸引時に詰まりが発生した場合には、シリンジ部12の動作開始信号(微分波形)は検出される一方、動作終了信号(微分波形)は検出されない。この場合、カウンタ85cによるカウント値は、予め設定されたカウント値よりも多くなる。さらに、吸引時に詰まりが発生した場合には、A/D変換器84からの出力値は、下限値(たとえば、0V)になる。この場合、CPU86は、A/D変換器84からの出力値と所定のしきい値(たとえば、0.5V)とを比較するとともに、A/D変換器84からの出力値(0V)が上記所定のしきい値(0.5V)以下であると判断し、プライマ試薬の吸引時に異常が発生したと判定する。
上記のような吸引時の異常が検出された場合には、データ処理部102の表示部102cに、「正常に試薬が吸引できませんでした」というエラーメッセージが出された後、ユーザによりエラー復帰処理がなされる。
プライマ試薬の吸引後、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注機構部10のアーム部11は、移送部70により最も奥側(装置正面奥側)に位置する反応検出ブロック60aの上方に移動される。この場合、分注機構部10のアーム部11は、奥から2番目〜5番目の他の反応検出ブロック60aの上方を通過しないように移動される。そして、最も奥側の反応検出ブロック60aにおいて、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、2つのシリンジ部12のノズル部12aに装着された2つのピペットチップ41が、それぞれ、検出セル65の2つのセル部66a内に挿入される。そして、シリンジ部12のポンプ部12bを用いて、CK19およびβ−actinの2つのプライマ試薬がそれぞれ2つのセル部66aに吐出される。この吐出時(排出時)にも、上記した吸引時と同様、静電容量センサ12d(図4参照)により、導電性樹脂からなるピペットチップ41の先端が液面に接触していることが検知(液面検知)されるとともに、圧力検知センサ12eにより、ポンプ部12bによる吐出時の圧力が検知される。これらの静電容量センサ12dと圧力検知センサ12eとによって、吐出が確実に行われているか否かが検知される。
すなわち、吐出時に、制御部80が、圧力検知センサ12eの出力に基づいて、シリンジ部12が正常に動作しているか否かおよび吐出が正常に行われたか否かを監視する。この場合も、上記した吸引時と同様、モータ12cがシリンジ部12の駆動を開始する前に圧力の監視を開始し、監視開始後、シリンジ部12内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間に基づいてプライマ試薬の吐出の異常を判定する。具体的には、図7に示した微分回路81により、圧力検知センサ12eの出力信号(圧力波形)を微分することによって、図11に示すような微分信号(微分波形)を得る。そして、吐出動作の開始時に、微分信号の負のパルスが所定のしきい値(たとえば、2V)以下になった場合に、コンパレータ83からパルス信号が出力される。また、吐出動作の終了時に、微分信号の正のパルスが所定のしきい値(たとえば、3V)以上になった場合に、コンパレータ82からパルス信号が出力される。そして、カウンタ85cは、CPU86から制御回路85dを介して与えられた制御信号に基づいて、コンパレータ83の出力信号(パルス信号)の立ち下がりからコンパレータ82の出力信号(パルス信号)の立ち下がりまでの間にクロック発生回路85aから発生されるクロック信号の数をカウントする。そして、カウンタ85cから出力されたカウント値は、シリアル−パラレル変換回路85eを介してCPU86に入力される。CPU86では、カウンタ85cから出力されたカウント値と予め分注量毎に設定されたカウント値とが比較されることにより、異常判定が行われる。
具体的には、吐出量が10μLの場合には、許容範囲を含んだカウント値は、1130±10%(1017〜1243)に設定されている。シリンジ部12が吐出の途中で停止した場合は、カウンタ85cにより得られるカウント値は、上記設定されたカウント値より少なくなる。この場合、CPU86は、吐出時に異常が発生したと判定する。また、吐出時に、シリンジ部12が動作しなかった場合には、シリンジ部12の動作開始および動作終了を示す微分波形は検出されないので、図11に示す有効期間内のカウント値は「0」になる。このように、監視開始から所定時間(有効期間)が経過してもシリンジ部12内の圧力の急激な変化を検出できなかった場合にも、CPU86は、プライマ試薬の吐出の状態が異常であると判定する。これにより、モータ12cが動作を開始していない場合の異常を検知することが可能になる。
また、吐出時に詰まりが発生した場合には、シリンジ部12の動作開始信号(微分波形)は検出される一方、動作終了信号(微分波形)は検出されない。この場合、カウンタ85cによるカウント値は、予め設定されたカウント値より多くなる。さらに、吐出時に詰まりが発生した場合には、A/D変換器84からの出力信号は、上限値(たとえば、5V)になる。この場合、CPU86は、A/D変換器84からの出力値と所定のしきい値(たとえば、4.5V)とを比較するとともに、A/D変換器84からの出力値(5V)が上記所定のしきい値(4.5V)以上であると判断し、プライマ試薬の吐出時に異常が発生したと判定する。
上記のような吐出時の異常が検出された場合には、データ処理部102の表示部102cに、「正常に試薬が吐出できませんでした」というエラーメッセージが出された後、ユーザによりエラー復帰処理がなされる。
また、プライマ試薬の吐出時において、ピペットチップ41内のプライマ試薬が全て吐出された時にモータ12cが停止される。すなわち、プライマ試薬の吐出量に基づいて、モータ12cの駆動パルス数を、ピペットチップ41内のプライマ試薬が全て吐出された時にモータ12cが停止されるように予め設定する。これにより、空気が検出セル65内に吐出されるのが防止される。
なお、以下の酵素試薬およびサンプルの吸引および吐出時にも、上記と同様の静電容量センサ12dによる液面検知および圧力検知センサ12eによる検知が行われる。なお、酵素試薬およびサンプルの吸引時における圧力検知センサ12eを用いた監視は、2つのシリンジ部12のノズル部12aに装着された2つのピペットチップ41の先端が、それぞれ、酵素試薬およびサンプルの液面に挿入された状態で開始される。
プライマ試薬の吐出後、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注機構部10のアーム部11は、移送部70によりチップ廃棄部50の上方に向かってX軸方向に移動される。そして、チップ廃棄部50において、ピペットチップ41の廃棄が行われる。具体的には、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、チップ廃棄部50の2つのチップ廃棄孔50a(図3参照)内にピペットチップ41が挿入される。この状態で、分注機構部10のアーム部11が移送部70によりY軸方向に移動されることにより、ピペットチップ41が溝部50bの下に移動される。そして、2つのシリンジ部12が上方向に移動されることにより、ピペットチップ41の上面のつば部は、溝部50bの両側の下面に当接してその下面から下方向の力を受けるので、ピペットチップ41が2つのシリンジ部12のノズル部12aから自動的に脱却される。これにより、ピペットチップ41がチップ廃棄部50に廃棄される。なお、チップ廃棄部50に廃棄されたピペットチップ41は、そのまま廃棄してもよいし、洗浄して再利用するようにしてもよい。
次に、分注機構部10のアーム部11が、再び、移送部70によりチップセット部40に移動される。この後、チップセット部40において、上記と同様の動作により、2つのシリンジ部12のノズル部12aの先端に、新しい2つのピペットチップ41が自動的に装着される。そして、分注機構部10のアーム部11は、試薬容器セット台31にセットされたCK19およびβ−actinに共通の酵素試薬が収容された酵素試薬容器32bの上方に向かって移送部70によりX軸方向に移動された後、酵素試薬容器32b内の酵素試薬が吸引される。具体的には、まず、酵素試薬容器32bの上方に位置する一方のシリンジ部12が下方向に移動されて酵素試薬が吸引された後、その一方のシリンジ部12が上方向に移動される。その後、他方のシリンジ部12が同じ酵素試薬容器32bの上方に位置するように、移送部70により分注機構部10のアーム部11がY軸方向に移動される。そして、他方のシリンジ部12が下方向に移動されて同じ酵素試薬容器32bから酵素試薬が吸引された後、その他方のシリンジ部12が上方向に移動される。そして、分注機構部10のアーム部11は、移送部70により最も奥側の反応検出ブロック60aの上方に移動された後、CK19およびβ−actinに共通の酵素試薬が、検出セル65の2つのセル部66aに吐出される。この場合も、分注機構部10のアーム部11は、奥から2番目〜5番目の他の反応検出ブロック60aの上方を通過しないように移動される。そして、酵素試薬の吐出後、分注機構部10のアーム部11は、移送部70によりチップ廃棄部50の上方に移動された後、ピペットチップ41の廃棄が行われる。
次に、分注機構部10のアーム部11が、再び、移送部70によりチップセット部40に移動された後、2つのシリンジ部12のノズル部12aの先端に新しい2つのピペットチップ41が自動的に装着される。そして、分注機構部10のアーム部11は、移送部70によりサンプル容器セット台21にセットされたサンプルが収容されたサンプル容器22の上方に向かってX軸方向に移動された後、サンプル容器22内のサンプルが吸引される。具体的には、まず、1つのサンプル容器22の上方に位置する一方のシリンジ部12が下方向に移動されてサンプルが吸引された後、その一方のシリンジ部12が上方向に移動される。その後、他方のシリンジ部12が同じサンプル容器22の上方に位置するように、移送部70により分注機構部10のアーム部11がY軸方向に移動される。そして、他方のシリンジ部12が下方向に移動されて同じサンプル容器22からサンプルが吸引された後、その他方のシリンジ部12が上方向に移動される。この後、分注機構部10のアーム部11は、移送部70により最も奥側の反応検出ブロック60aの上方に移動された後、2つのシリンジ部12が下方向に移動されて検出セル65の2つのセル部66aに、同じサンプルが吐出される。この場合も、分注機構部10のアーム部11は、奥から2番目〜5番目の他の反応検出ブロック60aの上方を通過しないように移動される。
なお、検出セル65の2つのセル部66aに、サンプルが吐出される際に、2つのシリンジ部12のポンプ12bを用いて吸引および吐出動作を複数回繰り返すことにより、2つのセル部66a内に収容されたCK19およびβ−actinのプライマ試薬および酵素試薬と、サンプルとが撹拌される。なお、プライマ試薬、酵素試薬およびサンプルの分注時には、検出セル65内の液温は、約20℃に保持されている。この後、分注機構部10のアーム部11が、移送部70によりチップ廃棄部50の上方に移動された後、ピペットチップ41の廃棄が行われる。
そして、上記のセル部66a内へのプライマ試薬、酵素試薬およびサンプルの吐出が行われた後、検出セル65の蓋部67aの蓋閉め動作が行われる。この蓋閉め動作が完了した後、検出セル65内の液温を約20℃から約65℃に加温することにより、LAMP(遺伝子増幅)反応により標的遺伝子(mRNA)を増幅する。そして、増幅に伴い生成されるピロリン酸マグネシウムによる白濁を比濁法により検出する。具体的には、図3に示したLED光源部62aおよびフォトダイオード受光部62bを用いて、増幅反応時の検出セル65内の液濁度をリアルタイムで検出(モニタリング)することによって、液濁度の検出を行う。
本実施形態では、上記のように、モータ12cがシリンジ部12の駆動を開始する前に圧力の監視を開始し、監視開始後、シリンジ部12内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間に基づいて試薬およびサンプルの吸引または吐出の異常を判定することによって、シリンジ部12内の圧力が1回目に急激に変化した時から2回目に急激に変化した時までの時間は、シリンジ部12のモータ12cの動作開始時から動作終了時までの時間に対応するので、この時間を監視することにより、この時間が所定値から外れている場合には、モータ12cが正常に動作しなかったか、または、気泡を吸引または吐出していると判断することができる。これにより、試薬およびサンプルの吸引または吐出の異常を検出することができるとともに、シリンジ部12の動作異常を検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、圧力検知センサ12eの出力値を微分した値と所定値とを比較することにより、シリンジ部12内の圧力が急激に変化したか否かを判断することによって、容易に、圧力の急激な変化を検知することができる。なお、吸引量および吐出量が10μL以下の微量の場合には、シリンジ部12の移動量が極めて小さいので、シリンジ部12の移動量を光センサなどによって検出するのは困難である。これに対して、本実施形態では、圧力変化を検知することによって、吸引量および吐出量が10μL以下の微量の場合にも、容易に、試薬およびサンプルの吸引または吐出の異常を検出することができるとともに、シリンジ部12の動作異常を検出することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明の分注装置を含む分析装置を、標的遺伝子をLAMP法により増幅させる遺伝子増幅検出装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、標的遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)やリガーゼ連鎖反応法(LCR法)により増幅させる遺伝子増幅検出装置に適用してもよい。また、本発明の分注装置を含む分析装置を、遺伝子増幅検出装置以外の分析装置に適用してもよい。また、本発明の分注装置を、分注装置単体で用いてもよい。
また、上記実施形態では、制御部80による吸引時の監視動作を、シリンジ部12のノズル部12aに装着されたピペットチップ41の先端が、プライマ試薬、酵素試薬およびサンプルの液面に挿入された状態で開始されるようにしたが、本発明はこれに限らず、ピペットチップ41の先端が液面に到達する前に監視を開始するようにしてもよい。この場合には、ピペットチップ41の先端が液面に到達した時に、1回目の急激な圧力変化があり、シリンジ部12の駆動開始時に2回目の急激な圧力変化があり、シリンジ部12の駆動終了時に3回目の急激な圧力変化がある。したがって、この場合には、シリンジ部12内の圧力が2回目に急激に変化した時から3回目に急激に変化した時までの時間に基づいて試薬およびサンプルの吸引または吐出の異常を判定すればよい。
また、上記実施形態では、シリンジ部のノズル部にピペットチップを脱着可能に装着するようにしたが、本発明はこれに限らず、ピペットチップが常時ノズル部に取り付けられていてもよいし、ピペットがチューブを介してノズル部に接続されていてもよい。
また、上記実施形態では、微分回路により1次微分した結果と所定値とを比較することにより異常判定を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、2次微分した結果と所定値とを比較することにより異常判定を行うようにしてもよい。
本発明の一実施形態による分析装置(遺伝子増幅検出装置)およびそのデータ処理部の全体構成を示した斜視図である。 図1に示した一実施形態による分析装置の測定部の全体構成を示した斜視図である。 図2に示した一実施形態による分析装置の測定部の平面概略図である。 図2に示した一実施形態による分析装置の測定部におけるシリンジ部の構造を示した概略図である。 図2に示した一実施形態による分析装置に用いるピペットチップの構造を示した断面図である。 図2に示した一実施形態による分析装置に用いるピペットチップを収納するラックの保管状態を示した斜視図である。 図2に示した一実施形態による分析装置の測定部のシリンジ部および制御部の構成を示したブロック図である。 図7に示した一実施形態による分析装置のシリンジ部の異常検出方法を説明するための波形図である。 図7に示した一実施形態による分析装置のシリンジ部の異常検出方法を説明するための波形図である。 図7に示した一実施形態による分析装置のシリンジ部の異常検出方法を説明するための波形図である。 図7に示した一実施形態による分析装置のシリンジ部の異常検出方法を説明するための波形図である。
符号の説明
10 分注機構部
11 アーム部
12 シリンジ部(シリンジポンプ)
12a ノズル部(ノズル、ノズル基部)
12b ポンプ部
12c モータ(駆動源)
12e 圧力検知センサ(圧力検知手段)
20 サンプル容器セット部
30 試薬容器セット部
40 チップセット部
41 ピペットチップ(ノズル、分注チップ)
50 チップ廃棄部
60 反応検出部
70 移送部
80 制御部(監視手段)
81 微分回路(微分手段)
82、83 コンパレータ
84 A/D変換器
85 FPGA
85a クロック発生回路
85c カウンタ(計測手段)
85d 制御回路
86 CPU(判定手段、比較手段)
100 分析装置
101 測定部
102 データ処理部

Claims (11)

  1. 液体を吸引または吐出するためのシリンジポンプと、
    前記シリンジポンプを駆動する駆動源と、
    前記シリンジポンプ内の圧力を検知する圧力検知手段と、
    前記駆動源が前記シリンジポンプの駆動を開始する前に前記圧力の監視を開始するとともに、監視開始後、前記シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化した時までの時間に基づいて液体の吸引または吐出の異常を判定する監視手段とを備える、分注装置。
  2. 前記監視手段は、前記圧力検知手段の出力値を微分した値と所定値とを比較することによって、前記シリンジポンプ内の圧力が急激に変化したか否かを判断する、請求項1に記載の分注装置。
  3. 前記監視手段は、
    前記圧力検知手段の出力値を微分する微分手段と、
    前記微分手段の出力値が前記n回目に所定の範囲を逸脱した時から前記n+1回目に前記所定の範囲を逸脱した時までの時間を計測する計測手段と、
    前記計測手段の出力値と所定値とに基づいて異常判定を行う判定手段とを備える、請求項1または2に記載の分注装置。
  4. 前記計測手段は、前記微分手段の出力値が前記n回目に所定の範囲を逸脱した時から前記n+1回目に前記所定の範囲を逸脱した時までのクロック信号の数をカウントするカウンタを含む、請求項3に記載の分注装置。
  5. 前記シリンジポンプに接続されたノズルをさらに備え、
    前記ノズルが液体に挿入された状態で前記監視手段による圧力の監視が開始され、
    前記nは1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分注装置。
  6. 前記監視手段は、前記監視開始から所定時間が経過しても前記シリンジポンプ内の圧力の急激な変化を検出できなかった場合に液体の吸引または吐出の状態が異常であると判定する、請求項5に記載の分注装置。
  7. 前記シリンジポンプに接続されたノズルをさらに備え、
    液体の吐出時において、前記ノズル内の液体が全て吐出された時に前記駆動源が停止される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分注装置。
  8. 前記監視手段は、前記圧力検知手段の出力値と所定のしきい値とを比較する比較手段をさらに備え、
    前記監視手段は、前記圧力検知手段の出力値が前記所定のしきい値を超えた場合に液体の吸引または吐出の状態が異常であると判定する、請求項1〜7のいずれかの1項に記載の分注装置。
  9. 前記シリンジポンプに接続されたノズルをさらに備え、
    前記ノズルは、
    前記シリンジポンプに連結されるノズル基部と、
    前記ノズル基部に着脱可能に装着される分注チップとを含む、請求項1〜8のいずれかの1項に記載の分注装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の分注装置を備える分析装置。
  11. 液体を吸引または吐出するためのシリンジポンプ内の圧力の監視を開始するステップと、
    前記圧力の監視開始後にシリンジポンプの駆動を開始するステップと、
    前記シリンジポンプ内の圧力がn回目に急激に変化した時からn+1回目に急激に変化したときまでの時間を計測するステップと、
    前記時間に基づいて液体の吸引または吐出の異常を判定するステップとを備えた、液体の吸引または吐出の異常判定方法。
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