JP2005201740A - 物品検査装置及び物品検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自由落下中の物品のような高速で移動する物品の正常/異常を正確に判定することができる物品検査装置及び物品検査方法を提供する。
【解決手段】 LPF(ローパスフィルタ)26とA/D変換部4との間に包絡線検波部3を備え、まず、物品が磁界を通過することによる磁束の変化に応じて検出コイル22に生じた誘導電圧の位相検波を行ない、次に、位相検波の結果をLPF26に入力し、LPF26からの出力を包絡線検波部3に入力して包絡線検波し、包絡線検波部3からの出力をA/D変換部4に入力してデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号に基づいて物品の検査を行なう。
【選択図】 図1

Description

本発明は、検査すべき物品が磁界を通過することによる磁束の変化で物品の磁界通過を検出し、検出結果に基づいて物品を検査する電磁誘導式の物品検査装置及び物品検査方法に関する。
電磁誘導式の物品検査装置は、交流磁界中に物品を置くか通過させるかし、交流磁界中の物品による磁束の変化に基づいて物品の検査を行なうことによって、物品の異常部分、物品に混入した金属、物品表面の傷、形状又は材質が異常な物品等を検知する(特許文献1〜3参照)。以下では、例えば、物品を搬送する物品搬送システムに対して物品検査装置を設け、物品が磁界を通過することによる磁束の変化に基づいて物品を検査する物品検査装置に関して説明する。
図12は、従来の物品検査装置の構成を示すブロック図である。励磁コイル21は、励磁部23によって所定の周波数(以下、励磁周波数という)の高周波電圧を印加されて磁界を発生させる。検出コイル22は、検査すべき物品(以下、ワークという)が励磁コイル21によって発生した磁界を通過することによる磁束の変化に応じた誘導電圧を生じ、検出部24は、検出コイル22に生じた誘導電圧に対応するアナログ信号(図中、検出信号)を出力する。検出コイル22は、例えば、励磁コイル21の内側に配置され、各ワークは、検出コイル22の内側を通過する。
位相検波部25は、検出部24が出力した検出信号を用い、励磁部23の交流電圧に対応するアナログ信号(図中、交流電圧信号)に同期して位相検波を行なう。ローパスフィルタ(LPF)26は、位相検波部25が出力するアナログ信号の内、低周波数成分を通過させる。
励磁部23、検出部24、位相検波部25、及びLPF26は、磁束の変化による検出コイル22のインピーダンス変化を検出するインピーダンス検出部2である。インピーダンス検出部2の検出信号、即ちLPF26が出力するアナログ信号は直流電圧であり、励磁周波数の2倍の周波数を有するリップルが含まれている。A/D変換部4は、LPF26が出力するアナログ信号を多値のデジタル信号に変換し、検査部100は、A/D変換部4が出力するデジタル信号に基づいてワークの検査を行なう。
図13は、従来の物品検査装置が備えるインピーダンス検出部2の検出信号の時間変化を模式的に示す特性図である。図中、横軸は時間[t]であり、縦軸は電圧[V]である。
従来、物品検査装置を用いてワークを検査する場合、例えば金属部品の材質、形状、欠陥の有無等、ワークの正常/異常を検査するとき、励磁コイル21が発生させた磁界を、複数のワークが1個ずつ通過するか、複数のワークが連続的に、一定速度、一定間隔で通過するかして各ワークが検査されていた。図13(a)は、1個ずつ通過する場合の検出信号の時間変化を示し、図13(b),(c)は、連続的に通過する場合の検出信号の時間変化を示している。ただし、図13(b)は、一のワークと他のワークとの間の空隙(以下、隙間部分という)が十分に小さいときを示し、図13(c)は、隙間部分が比較的大きいときを示している。
図中、「ワーク通過」と記載した範囲は、ワークが磁界内を通過している状態を示し、「SP」と記載した範囲は、隙間部分が磁界内を通過している状態を示している。また、インピーダンス検出部2の検出信号は、ワークの中央部が検出コイル22の中央部を通過するときがピーク値となる。
図13(a)に示すように、磁界をワークが1個ずつ通過するとき、一のワークが磁界を通過することによる磁束の変化に、他のワークが磁界を通過することによる磁束の変化が影響を及ぼすこと(以下、他のワークによる影響という)が防止され、この結果、他のワークによる影響でワークの検査精度が低下することが防止される。このとき、検査部100は、A/D変換部4が出力するデジタル信号の一定周期毎のピーク値を求め、求めたピーク値が所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて異常なワークを検知する。
一方、磁界をワークが連続的に通過するとき、他のワークによる影響、及び一のワークが磁界を通過することによる磁束の変化に、隙間部分が磁界を通過することによる磁束の変化が影響を及ぼすこと(以下、隙間部分による影響という)がある。
このため、図13(b)に示すように、隙間部分が十分に小さく、隙間部分による影響が無視できる場合、検査部100は、A/D変換部4が出力するデジタル信号の一定周期毎の平均値を求め、求めた平均値が所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて正常/異常なワークを検知する。また、図13(c)に示すように、隙間部分が比較的大きく、隙間部分による影響が無視できない場合、検査部100は、A/D変換部4が出力するデジタル信号の一定周期毎のピーク値を求め、求めたピーク値が所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて異常なワークを検知する。
以上のように、磁界をワークが連続的に通過する場合でも、一定周期毎の平均値又はピーク値を用いることにより、検査部100にて他のワーク又は隙間部分の影響が排除され、このため検査精度の低下が防止される。
特開平6−201653号公報 特開昭60−78378号公報 特開昭59−138946号公報
しかしながら、複数のワークに1個ずつ磁界を通過させる場合、ワークの搬送及び検査が非効率的になるという問題があった。
また、複数のワークに一定速度、一定間隔で磁界を通過させることは困難であり、更に、一定速度、一定間隔で通過させる場合でも、各ワークの磁界通過方向の長さ(以下、ワーク長さという)が異なるときは、隙間部分同士の間隔が異なる。更にまた、各ワークが移動と停止とを繰り返す場合のように、各ワークの磁界通過速度が変化することもある。このため、一定周期毎の平均値又はピーク値を求める従来の検査部100では、磁界通過速度、ワーク長さ、ワーク間隔、又は隙間部分同士の間隔の差異、変化等に起因する磁束の変化への影響を排除できない。この結果、各ワークの検査精度が低下することがあるという問題があった。
隙間部分による影響を排除するために、隙間部分による影響が少ない所定位置に対応してA/D変換部4が出力するデジタル信号に基づきワークの検査を行なうことが考えられる。このような所定位置は、例えば、各ワークの磁界通過方向の中央部である。
しかしながらこの場合、特に各ワーク長さが異なるとき、所定位置に合わせてA/D変換部4からデジタル信号を出力させる位置合わせが必要になる。位置合わせを行なう場合、例えば、ワークの所定位置が検出コイル22内の軸方向中央部に到達した時点でA/D変換部4からデジタル信号を出力させたり、ワークを停止させ、検出コイル22の所定位置をワークの所定位置に合わせて、位置を合わせた時点でA/D変換部4から出力されたデジタル信号を用いたりする。このため物品検査装置の構成が複雑化し、物品検査作業が繁雑になるという問題があった。
以上のようなことから、各ワークの磁界通過速度、ワーク間隔、又は隙間部分同士の間隔の差異、変化等を、簡易な構成で、又は検査部100における演算処理にて排除できる物品検査装置が望まれている。
また、従来、ワークの磁界通過速度は低速であり、このため磁界通過時間は長く、検出信号の変化は遅い。この結果、従来の物品検査装置は、インピーダンス検出部2の検出信号を低速で処理する安価なA/D変換部4及び検査部100で物品検査処理を行なっていた。一方、ワークの磁界通過速度が、例えば自由落下時のような高速である場合、磁界通過時間が短くなり、検出信号の変化が速くなる。この場合、従来の物品検査装置を用いるとき、A/D変換部4及び検査部100の代わりに、インピーダンス検出部2の検出信号を高速で処理できるような高い変換/演算能力を有する高価なA/D変換部及び検査部を備える必要があった。
更に、リップルの振幅が大きい場合は、正常なワークの出力振幅と異常なワークの出力振幅とが重なり、正常なワークに対応するピーク値の下限値〜上限値の範囲に、異常なワークに対応するピーク値の値が含まれることがある。このとき、正常なワークと異常なワークとを区別する上限値及び/又は下限値が設定できなくなることがあった。また、リップルの振幅が大きい場合は、上限値及び下限値を設定した場合でも、上限値又は下限値と異常なワークに対応する検出信号との差が小さいことがあり、このため、微小な雑音の混入によって検査部100が正常/異常を誤判定し、検査精度が低下することがあった。
リップルの振幅を小さくするために、LPF26の時定数を大きくすることが考えられる。しかしながらこの場合、特にワークが高速で磁界を通過するとき、検出信号が高速で変化するため、正常なワークに対応する検出信号と異常なワークに対応する検出信号との微小な差異を求めることができず、検査部100が正常/異常を誤判定し、検査精度が低下することがあった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、物品検出手段とA/D変換手段との間に包絡線検波手段を備えることにより、ワークが高速で磁界を通過する場合でも高性能のA/D変換部手段及び検査手段を備える必要がなく、また、リップルに影響されることなく高精度でワークを検査できる物品検査装置及び物品検査方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、相前後するデジタル信号の差、又は移動中信号が与えられたか否かに基づいて、最大信号又はピーク信号を求めるための複数のデジタル信号を得ることにより、簡易な構成で、又は検出手段における演算処理にて、他のワーク、又は各ワークの磁界通過速度、ワーク長さ、ワーク間隔、隙間部分同士の間隔の差異、変化等の影響を排除でき、検査精度を向上できる物品検査装置を提供することにある。
第1発明に係る物品検査装置は、磁束の変化で検査対象物品の通過を検出し、検出結果に基づいて物品を検査する物品検査装置において、検査すべき物品が磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号を出力する物品検出手段と、該物品検出手段から出力されたアナログ信号を包絡線検波する包絡線検波手段と、該包絡線検波手段から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段から出力されたデジタル信号に基づいて前記物品の検査を行なう検査手段とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る物品検査装置は、前記物品が移動中であることを示す移動中信号を前記検査手段に与える手段を備え、前記検査手段は、少なくとも前記移動中信号が与えられた時点の直後から前記移動中信号が与えられなくなった時点の直前までの間に前記A/D変換手段から出力された複数のデジタル信号に基づいて、前記磁束のピークを示すピーク信号を求めるピーク信号演算手段と、該ピーク信号演算手段にて求めたピーク信号を用いて前記物品の正常/異常を判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする。
第3発明に係る物品検査装置は、前記ピーク信号演算手段は、前記複数のデジタル信号の内、最大信号及び最小信号を求める演算手段と、該演算手段にて求めた最大信号が、前記複数のデジタル信号の最初の信号であるか最後の信号であるか否かを判定する信号判定手段と、前記演算手段にて求めた最大信号が前記最初の信号である場合、前記演算手段にて求めた最小信号以降に前記A/D変換手段から出力されたデジタル信号の内、最大信号をピーク信号とする手段と、前記演算手段にて求めた最大信号が前記最後の信号である場合、前記演算手段にて求めた最小信号以前に前記A/D変換手段から出力されたデジタル信号の内、最大信号をピーク信号とする手段と、前記演算手段にて求めた最大信号が前記最初の信号及び前記最後の信号の何れでもない場合、前記最大信号をピーク信号とする手段とを備えることを特徴とする。
第4発明に係る物品検査装置は、前記異常判定手段は、前記ピーク信号演算手段にて求めたピーク信号及び第1閾値の差の絶対値を求める手段と、該手段にて求めた絶対値が第2閾値以上であるか否かを判定する第1比較手段と、該第1比較手段にて前記絶対値が前記第2閾値以上であると判定した場合、前記物品は異常であると判定する手段と、前記第1比較手段にて前記絶対値が前記第2閾値未満であると判定した場合、前記物品は正常であると判定する手段とを備えることを特徴とする。
第5発明に係る物品検査装置は、前記検査手段は、前記A/D変換手段から出力された相前後するデジタル信号の差の絶対値を求める絶対値演算手段と、該絶対値演算手段にて求めた絶対値が第3閾値以上であるか否かを判定する第2比較手段と、該第2比較手段にて前記絶対値が前記第3閾値以上であると判定した複数のデジタル信号の内、最大信号を求める最大信号演算手段と、該最大信号演算手段にて求めた最大信号を用いて前記物品の正常/異常を判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする。
第6発明に係る物品検査装置は、前記異常判定手段は、前記ピーク信号演算手段にて求めたピーク信号及び第4閾値の差の絶対値を求める手段と、該手段にて求めた絶対値が第5閾値以上であるか否かを判定する第3比較手段と、該第3比較手段にて前記絶対値が前記第5閾値以上であると判定した場合、前記物品は異常であると判定する手段と、前記第3比較手段にて前記絶対値が前記第5閾値未満であると判定した場合、前記複数のデジタル信号の最初の信号及び最後の信号の差の絶対値を求める手段と、該手段にて求めた絶対値が第6閾値以上であるか否かを判定する第4比較手段と、該第4比較手段にて前記絶対値が前記第6閾値以上であると判定したとき、前記物品は異常であると判定する手段と、該第4比較手段にて前記絶対値が前記第6閾値未満であると判定したとき、前記物品は正常であると判定する手段とを備えることを特徴とする。
第7発明に係る物品検査装置は、前記物品検出手段は、第1コイルと、該第1コイルに交流電圧を印加して磁界を発生させる励磁部と、磁束の変化に応じた誘導電圧を生じる第2コイルと、該第2コイルに生じた誘導電圧を用いた位相検波を行なう位相検波部と、該位相検波部が出力するアナログ信号の内、所定の周波数成分を通過させるフィルタとを備えることを特徴とする。
第8発明に係る物品検査方法は、第1発明乃至第7発明の何れかに係る物品検査装置を用いて、磁界を通過する物品を検査する物品検査方法であって、前記物品検出手段は、検査すべき物品が磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号を前記包絡線検波手段へ出力し、該包絡線検波手段は、入力されたアナログ信号を包絡線検波して前記A/D変換手段へ出力し、前記A/D変換手段は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して前記検査手段へ出力し、該検査手段は、入力されたデジタル信号に基づいて前記物品の検査を行なうことを特徴とする。
第1発明及び第8発明にあっては、例えば、物品が搬送される搬送ルートの中途に、物品検査装置を設けておく。物品検査装置が備える物品検出手段は、検査すべき物品が磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号を包絡線検波手段へ出力し、包絡線検波手段は、入力されたアナログ信号を包絡線検波してA/D変換手段へ出力する。
物品検出手段から出力されるアナログ信号にはリップルが含まれているが、包絡線検波手段がリップルの振幅を低減するため、包絡線検波手段から出力されるアナログ信号はリップルの振幅が低減されている。また、包絡線検波手段は、包絡線検波手段の時定数を適切な値に設定することによって、リップルのピーク包絡線に遅れなしで追従するため応答性が高い。
また、A/D変換手段は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して検査手段へ出力し、検査手段は、入力されたデジタル信号に基づいて物品の検査を行なう。つまり、物品検出手段、包絡線検波手段、及びA/D変換手段は、磁束の変化で検査対象物品の通過を検出し、検出結果であるデジタル信号に基づいて、検査手段が物品を検査する。
第2発明にあっては、例えば、物品が移動及び停止を交互に繰り返しつつ搬送される搬送ルートの中途に、物品検査装置を設けておく。物品が停止している場合、物品検出手段、包絡線検波手段、及びA/D変換手段が出力するアナログ信号又はデジタル信号に変化が生じない。このため、検査手段は、少なくとも移動中信号が与えられた時点の直後から移動中信号が与えられなくなった時点の直前までの間に、即ち物品が移動開始した直後から物品が停止する直前までの間にA/D変換手段から出力された複数のデジタル信号に基づいてピーク信号を求め、求めたピーク信号を用いて、例えば金属部品の材質、形状、欠陥の有無等、物品の正常/異常を判定する。
第3発明にあっては、物品の特性が最も強く現われるデジタル信号として、磁束のピークを示すピーク信号を求める。検査手段は、第2発明に係る物品検査装置にて用いた複数のデジタル信号の内、最大信号及び最小信号を求め、求めた最大信号が、複数のデジタル信号の最初の信号であるか最後の信号であるか否かを判定する。次に、検査手段は、求めた最大信号が最初の信号である場合、求めた最小信号以降にA/D変換手段から出力されたデジタル信号の内、最大信号をピーク信号とする。また、検査手段は、求めた最大信号が最後の信号である場合、求めた最小信号以前にA/D変換手段から出力されたデジタル信号の内、最大信号をピーク信号とする。更にまた、検査手段は、求めた最大信号が最初の信号でも最後の信号でもない場合、求めた最大信号をピーク信号とする。
第4発明にあっては、検出手段が、ピーク信号及び第1閾値の差の絶対値を第2閾値と比較することによって、ピーク信号が所定の下限値〜上限値の範囲以内に含まれているか否かを判定し、含まれていない場合、物品は異常であると判定し、含まれている場合、物品は正常であると判定する。
第5発明にあっては、例えば、物品が移動及び停止を交互に繰り返しつつ搬送される搬送ルートの中途に、物品検査装置を設けておく。検査手段は、A/D変換手段から出力された相前後するデジタル信号の差の絶対値を求め、求めた絶対値が第3閾値以上であるか否かを判定する。更に、検査手段は、求めた絶対値が第3閾値以上であると判定した複数のデジタル信号の内、最大信号を求め、求めた最大信号を用いて物品の正常/異常を判定する。
物品が停止している場合、物品検出手段、包絡線検波手段、及びA/D変換手段が出力するアナログ信号又はデジタル信号に変化が生じないため、求めた絶対値は第3閾値未満となる。つまり、求めた絶対値が第3閾値以上であると判定した複数のデジタル信号は、少なくとも、物品が移動開始した直後から物品が停止する直前までの間にA/D変換手段から出力された複数のデジタル信号である。
第6発明にあっては、検出手段が、最大信号及び第4閾値の差の絶対値を第5閾値と比較することによって、最大信号が所定の下限値〜上限値の範囲以内に含まれているか否かを判定し、含まれていない場合、物品は異常であると判定し、含まれている場合、第5発明に係る物品検査装置にて用いた複数のデジタル信号の内、最初の信号及び最後の信号を用いて、更に物品の正常/異常判定を行なう。この場合、最初の信号及び最後の信号の差の絶対値を第6閾値と比較することによって、最初の信号及び最後の信号の差が所定の範囲以内に含まれているか否かを判定し、含まれていない場合、物品は異常であると判定し、含まれている場合、物品は正常であると判定する。
第7発明にあっては、まず、励磁部が第1コイルに交流電圧を印加して磁界を発生させる。次に、第2コイルが、第1コイルが発生させた磁界を、検査すべき物品が通過することによる磁束の変化に応じた誘導電圧を生じる。更に、位相検波部が、第2コイルに生じた誘導電圧を用いた位相検波を行ない、最後に、フィルタが、位相検波部が出力するアナログ信号の内、所定の周波数成分を通過させる。以上のような構成によって、物品検出手段は、検査すべき物品が磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号を出力する。
第1発明の物品検査装置及び第8発明の物品検査方法によれば、従来の物品検査装置と同様に物品検出手段、A/D変換手段、及び検査手段を備え、更に、物品検出手段とA/D変換手段との間に包絡線検波手段を備える。即ち、本発明の物品検査装置は、従来の物品検査装置に包絡線検波手段が追加された簡易な構成である。包絡線検波手段は、応答性が速く、物品検出手段が出力するアナログ信号のリップルの振幅を低減することができる。
包絡線検波手段がリップルの振幅を低減することによって、例えば物品検出手段を構成しているLPFの時定数を大きくする必要がない。更に、例えば物品の正常/異常判定に用いる閾値を、容易に、かつ適切に設定することができるようになる。この結果、不適切な閾値に基づく誤判定、微小な雑音による誤判定等を防止することができ、物品の検査精度を向上することができる。
また、包絡線検波手段の応答性の速さによって、物品検査装置の検査処理能力を向上することができ、また、物品の移動速度が高速である場合も、物品検出手段が出力する検出信号の高速変化に追随することができるため、物品の検査精度を向上することができる。
更に、包絡線検波手段にて、リップルの振幅の低減及び検出信号の高速変化に対処するため、A/D変換手段及び/又は検査手段にてリップルの振幅の低減及び検出信号の高速変化に対処する必要がない。このため、A/D変換手段、検査手段を高性能のA/D変換器、PLC等で構成する必要がなく、安価なA/D変換器、PLC等で構成することができる。
更にまた、物品に磁界を通過させる場合に、複数の物品に1個ずつ磁界を通過させる必要がない。このため、物品の搬送及び検査が効率的になる。また、複数の物品に、一定速度、一定間隔で、しかも物品間の隙間部分を一定間隔にして、磁界を連続的に通過させる必要がない。このため、検査すべき物品の移動様態、物品の長さ等が制限されることがない。更に、物品の移動様態、物品の長さ等の差異又は変更に起因する磁束の変化への影響を排除するために、物品検査装置に、例えば物品と検出コイルの位置合わせを行なう機能を備えておく必要がない。
また、第2発明の物品検査装置によれば、少なくとも移動中信号が与えられた時点の直後から移動中信号が与えられなくなった時点の直前までの間にA/D変換手段から出力された複数のデジタル信号に基づいてピーク信号を求め、求めたピーク信号を用いて物品の正常/異常を判定する。このため、物品検出手段、A/D変換手段、包絡線検波手段及び検査手段を備える物品検査装置に、物品が移動中であることを示す移動中信号を検査手段に与える手段を追加した簡易な構成で、各物品の長さ、磁界通過速度、物品間隔、又は隙間部分同士の間隔の差異、変化等の影響を排除することができる。
更に、第3発明の物品検査装置によれば、物品の移動様態、物品の長さ等の差異又は変更によって、一定周期毎のデジタル信号に基づいてピーク信号を求めることができない場合であっても、第2発明に係る物品検査装置にて用いた複数のデジタル信号に基づいてピーク信号を求めることができる。
更にまた、第4発明の物品検査装置によれば、ピーク信号が所定の下限値〜上限値の範囲以内に含まれているか否かを判定することによって、物品の正常/異常を判定することができるため、検査手段における判定処理が簡易である。
また、第5発明の物品検査装置によれば、A/D変換手段から出力された相前後するデジタル信号の差の絶対値を求め、求めた絶対値が第3閾値以上であると判定した複数のデジタル信号の内の最大信号を求め、求めた最大信号を用いて物品の正常/異常を判定する。このため、物品検出手段、A/D変換手段、包絡線検波手段及び検査手段を備える物品検査装置に、新たな手段を追加することなく、各物品の長さ、磁界通過速度、物品間隔、又は隙間部分同士の間隔の差異、変化等の影響を、検出手段における演算処理にて排除することができる。
更に、最大信号は複数のデジタル信号を用いて容易に求めることができる。一方、ピーク信号は最大信号よりも求めることが困難である。このため、検査手段が行なう演算は、ピーク信号を求める場合に行なう演算よりも簡易であり、検査手段は高速で演算を行なうことができる。また、高度な演算を行なう必要がないため、検査手段の性能を高性能にする必要がない。
更にまた、第6発明の物品検査装置によれば、最大信号が所定の下限値〜上限値の範囲以内に含まれているか否か、及び第5発明に係る物品検査装置にて用いた複数のデジタル信号における最初の信号及び最後の信号の差が所定の範囲以内に含まれているか否かを判定することによって、物品の正常/異常を判定することができるため、ピーク信号を用いず最大信号を用いて物品の正常/異常を判定する場合であっても、検査精度の低下を防止することができる。
また、第7発明の物品検査装置によれば、第1コイル、第2コイル、励磁部、位相検波部、及びフィルタを備える周知の物品検出手段を用いて物品検査装置を簡易に構成することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。本実施の形態においては、金属部品であるワークを自由落下させることによってワークを移動させ、ワークに対して作業を行なう間は全てのワークの移動を一時停止させ、作業の終了後にワークの移動を再開させる物品搬送システムに対して物品検査装置を設け、金属部品の材質、形状、欠陥の有無等、ワークの正常/異常を判定する場合を例示するが、これに限るものではない。
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る物品検査装置6の構成を示すブロック図であり、図2は、物品検査装置6を備える物品搬送システムの構成を示す説明図である。
本実施の形態の物品搬送システムは、図2に示すように、各ワークW(検査対象物品)を自由落下させることによって下方向(図中白抜矢符方向)へ高速に移動させ、ワークWに対する作業時に一旦停止させる構成である。このような物品搬送システムにおいては、複数のワークW,W,…が垂直方向に並置され、最下部のワークWは略水平方向(図中矢符方向)へ移動することによってワークW,W,…の列から排出される。この場合、残りのワークW,W,…が自由落下し、これらの内、移動方向先頭のワークWが最下部に到達したときにワークW,W,…の移動が一旦停止する。ワークWに対する作業は、ワークW,W,…の停止時に行なわれ、作業終了後に、再び最下部のワークWがワークW,W,…の列から排出される。
物品検査装置6は、磁界を生じる励磁コイル21(第1コイル)及び磁束の変化に応じた誘導電圧を生じる検出コイル22(第2コイル)を備え、励磁コイル21及び検出コイル22は、各コイル21,22の軸方向を垂直方向にして、垂直方向の略同じ位置に、励磁コイル21を外側にして同心円状に配置されている。
励磁コイル21は、励磁部23によって交流電圧を印加され、交流磁界を生じる。また、ワークW,W,…の列は、検出コイル22の内側を通過することによって励磁コイル21が発生させた交流磁界を通過する。検出コイル22は、励磁コイル21が発生させた交流磁界中をワークW,W,…が通過することによる磁束の変化に応じた誘導電圧を生じる。生じた誘導電圧は、検出部24に入力される。
各ワークWは、例えば、図示しないケース内に固定されており、他のワークW又は物品搬送システム、物品検査装置6の各部等に当接したり、落下中に向きが変化したりすることを防止されている。
物品検査装置6は、励磁コイル21及び検出コイル22の他、図1に示すように、励磁コイル21と検出コイル22とに接続されたインピーダンス検出部2、インピーダンス検出部2に接続された包絡線検波部3、包絡線検波部3に接続されたA/D変換部4、及びA/D変換部4に接続された検査部1を備え、更に、検査部1に接続された表示部7を備える。
インピーダンス検出部2は、検出コイル22のインピーダンス変化を検出することによって磁束の変化を検出するために、励磁コイル21に接続された励磁部23、検出コイル22に接続された検出部24、励磁部23と検出部24とに接続された位相検波部25、及び位相検波部25に接続されたLPF26(フィルタ)を備え、LPF26が包絡線検波部3に接続されている。
励磁部23は、励磁周波数の高周波電圧を励磁コイル21に印加して交流磁界を発生させ、また、励磁コイル21に印加される高周波電圧に対応するアナログ信号を交流電圧信号として位相検波部25へ出力する。検出部24は、検出コイル22から入力された誘導電圧に対応するアナログ信号を検出信号として位相検波部25へ出力する。
励磁部23から交流電圧信号を、検出部24から検出信号を、夫々入力された位相検波部25は、交流電圧信号に同期して検出信号を位相検波し、位相検波の結果であるアナログ信号をLPF26へ出力する。即ち、位相検波部25は検出コイル22に生じた誘導電圧を用いた位相検波を行なう。ワークW,W,…同士の形状、材質等の差異、特に正常なワークWと異常なワークWとの差異は、直流成分に出現するため、LPF26は入力されたアナログ信号の内、雑音成分である高周波成分を除去し、低周波数成分を通過させる。
以上のような励磁コイル21、検出コイル22、及びインピーダンス検出部2は、ワークWが磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号を出力する物品検出手段として機能する。
インピーダンス検出部2の検出信号、即ちLPF26が出力するアナログ信号は直流電圧(以下、検出電圧という)であり、検出電圧には励磁周波数の2倍の周波数を有するリップルが含まれている。包絡線検波部3は、LPF26から出力されたアナログ信号を包絡線検波する包絡線検波手段であり、検出電圧に含まれるリップルのピーク包絡線に追従すべく、ダイオード31、コンデンサ32及び抵抗器33を備える。
包絡線検波部3に検出電圧が入力された場合、入力された検出電圧が、以前に入力された検出電圧よりも高いとき、ダイオード31を介してコンデンサ32に時定数“0”で充電される。このため、リップルの最大電圧がコンデンサ32に充電される。また、包絡線検波部3に入力された検出電圧が、コンデンサ32に充電された検出電圧よりも低いとき、コンデンサ32の電荷は抵抗器33を介して時定数CRで放電される。このような包絡線検波部3における時定数CRは、包絡線検波部3の応答性を低下させない程度に予め設定される。この結果、包絡線検波部3は、各ワークWの移動速度が高速であっても、検出電圧の高速な変化に追従し、更に、リップルの振幅を低減させる。
ここで、応答性を低下させないための時定数CRの求め方を説明する。各ワークWが磁界を通過する場合、検出電圧は、ワークWの中央部が検出コイル22の中央部を通過するときにピーク電圧となる。このため、一のワークWのピーク電圧がコンデンサ32に充電された後、遅くとも次のワークWのピーク電圧がコンデンサ32に充電されるまでに、充電されたピーク電圧を放電しておく必要がある。以上のことから時定数CRは、各ワークWの長さをa、自由落下時間をTとし、重力加速度gを用いて、T=√(2a/g)を目安に、リップルの振幅の大きさとの兼合いで、2T以下に設定する。
A/D変換部4は、包絡線検波部3から出力されたアナログ信号を多値のデジタル信号に変換するA/D変換手段であり、サンプリング信号が入力された場合に、変換したデジタル信号を検査部1へ出力する。A/D変換部4は、A/D変換能力が低速で安価なA/D変換器で構成される。このようなA/D変換器は、例えば、励磁周波数が1kHzの場合、A/D変換時間がmsオーダーの積分型である。
このように、物品検査装置6はLPF26とA/D変換部4との間に包絡線検波部3を介在しているが、仮に、包絡線検波部3を備えない場合、又はA/D変換部4と検査部1との間に包絡線検波部3を介在した場合、A/D変換部4に直接的に、リップルを含み、更に高速で変化するインピーダンス検出部2の検出信号が入力されるため、A/D変換部4を、励磁周波数の4倍以上のA/D変換器のような高速で高価なA/D変換器で構成する必要がある。このようなA/D変換器は、例えば、励磁周波数が1kHzの場合、A/D変換時間が250μs以下の逐次比較型である。また、A/D変換部4にて、検出電圧の移動平均を求めるようなリップル低減化処理が必要になる。
一方、A/D変換部4の前に包絡線検波部3を備える場合、包絡線検波部3にてリップルの振幅が低減されているため、A/D変換部4にてリップル低減化処理を行なう必要がない。また、検出信号の変化速度が包絡線検波部3にて緩和されているため、A/D変換部4にて検出信号を高速で処理する必要がない。つまり、LPF26とA/D変換部4との間に包絡線検波部3を介在することによって、高性能のA/D変換部4を備える必要がなく、物品検査装置6が安価に構成される。
検査部1は、例えばPLC(Programmable Logic Controller )を用いてなる検査手段であり、後述する物品検査処理の手順(図6及び図7)に従い、A/D変換部4から出力されたデジタル信号に基づいて各ワークWの検査を行なう。検査部1は、A/D変換部4へ、A/D変換部4からデジタル信号を得るためのサンプリング信号を一定の時間間隔で出力する。また、検査部1は、入力されたデジタル信号を記憶する記憶部1aを内蔵する。更に、検査部1には、物品検査処理にて用いる第1〜第4の閾値が予め設定されている。
表示部7は、ランプ、モニタ等で構成され、検査部1によって各ワークWの検査結果を入力され、入力された検査結果に基づきランプの点灯/消灯、モニタでの表示等を行なうことによって、物品検査装置6のユーザに対し、異常なワークWの有無を報知する。
以上のような物品検査装置6を用いてワークW,W,…を検査する場合、励磁部23の発振により励磁コイル21にて磁界発生中に、各ワークWに磁界を通過させ、検出コイル22に生じた誘導電圧を検出部24にて検出信号となし、位相検波部25にて、励磁部23から出力された交流電圧信号に基づき検出信号を位相検波し、位相検波したアナログ信号をLPF26にて低周波のアナログ信号となす。
このアナログ信号は、ワークWが磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号であり、包絡線検波部3へ出力され、包絡線検波部3は、入力されたアナログ信号を包絡線検波してA/D変換部4へ出力し、A/D変換部4は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して検査部1へ出力する。このようにして、磁束の変化でワークWの通過を検出する。検査部1は、入力されたデジタル信号、即ち磁束の変化でワークWの通過を検出した検出結果に基づいて、ワークWの検査を行なう。
以下では、ワークWの符号Wには、垂直方向下側のワークWから上側のワークWへ順に1,2,3の添字を設け、また、ワークW1 ,W2 ,…に対応するデジタル信号、ワークWの磁界通過によって変化する磁束のピークを示すピーク信号等の符号Vにも同一の添字を設ける。更にまた、ワークWの順番を明示する必要がない場合は、添字を省略する。
図3は、検出コイル22に対するワークWの停止位置を示す説明図である。また、図4及び図5は、包絡線検波部3が出力するアナログ信号の時間変化を示す特性図であり、横軸は時間[t]であり、縦軸は電圧[V]である。図3中、SPはワークW1 ,W2 の隙間部分であり、また、図4及び図5中、符号Wが示す時間帯は各ワークWが磁界を通過している時間帯を示し、符号SPが示す時間帯は、ワークW,Wの隙間部分SPが磁界を通過している時間帯を示している。
各ワークWの移動中は、磁束の変化によってインピーダンス検出部2の検出信号が変化し、各ワークWの停止中は、検出信号は一定となる。このため、図4及び図5から、特性曲線が上に凸状/凹状の曲線である時間帯には各ワークWが移動していることがわかり、特性曲線が水平線である時間帯には各ワークWが停止していることがわかる。
図3(a)は、ワークW1 ,W2 の隙間部分SPが検出コイル22中央で停止した場合を示し、図4(a)の特性図に対応する。隙間部分SPが検出コイル22中央で停止するため、各ワークWは、ワークWの垂直方向先端から終端までが一気に検出コイル22内を通過する。この結果、特性曲線は、水平線に挟まれた略左右対称の凸状になり、凸状曲線部分の最大値に対応するデジタル信号がピーク信号Vpである。
このことから、ピーク信号Vp は、停止していた各ワークWが移動を開始した時点、即ち検出信号の変化が始まる時点から、移動していた各ワークWが停止した時点、即ち検出信号の変化が終わる時点までの間に、A/D変換部4から出力されたデジタル信号の内の最大信号であることがわかる。以下では、各ワークWが移動を開始した時点に対応するデジタル信号を初期信号Vsといい、移動していた各ワークWが停止した時点に対応するデジタル信号を終期信号Ve という。
図3(b)は、ワークW1 の中央部が検出コイル22内中央部に到達した時点で停止した(ワークWが検出コイル22中央で停止した)場合を示し、図4(b)の特性図に対応する。ワークW1が検出コイル22中央で停止するため、ワークW1 ,W2 の隙間部分SPの垂直方向先端から終端までが一気に検出コイル22内を通過する。この結果、特性曲線は、水平線に挟まれた略左右対称の凹状になる。このため、図4(b)には、図4(a)のピーク信号Vpに相当する曲線のピークが存在しない。
図3(c)は、ワークW1 ,W2 の隙間部分SPが検出コイル22内中央部に到達する前にワークW1 ,W2が停止した(ワークW1 ,W2 の隙間部分SPが検出コイル22内上部で停止した)場合を示し、図5(a)の特性図に対応する。ワークW1,W2 の隙間部分SPが検出コイル22内上部で停止した後、各ワークWが移動を開始し、ワークW1 ,W2の隙間部分SP、次いでワークW2 の中央部が検出コイル22内中央部を通過してから、ワークW3 の中央部が検出コイル22内中央部を通過する前に、ワークW2,W3 の隙間部分SPが検出コイル22内上部で停止する。この結果、特性曲線は、水平線に挟まれて、凹部の後に凸部が続く形状になり、凸状曲線部分の最大値が検出信号のピーク信号Vpに対応する。
図5(a)からわかるように、隙間部分SPが検出コイル22内上部で停止する場合のピーク信号Vp は、停止していた各ワークWが移動を開始した時点から停止した時点までの間にA/D変換部4から出力されたデジタル信号の内の最大信号であるとは限らない。つまり、最大信号がピーク信号Vpであるか、最大値が初期信号Vs であるかの何れかである。
図3(d)は、ワークW1 ,W2 の隙間部分SPが検出コイル22内中央部を通過してからワークW1 ,W2が停止した(ワークW1 ,W2 の隙間部分SPが検出コイル22内下部で停止した)場合を示し、図5(b)の特性図に対応する。ワークW1,W2 の隙間部分SPが検出コイル22内下部で停止した後、各ワークWが移動を開始し、ワークW2 の中央部、次いでワークW2,W3 の隙間部分SPが検出コイル22内中央部を通過してから、ワークW3 の中央部が検出コイル22内中央部を通過する前に、ワークW2,W3 の隙間部分SPが検出コイル22内下部で停止する。この結果、特性曲線は、水平線に挟まれて、凸部の後に凹部が続く形状になり、凸状曲線部分の最大値が検出信号のピーク信号Vpに対応する。
図5(b)からわかるように、隙間部分SPが検出コイル22内下部で停止する場合のピーク信号Vp は、停止していた各ワークWが移動を開始した時点から停止した時点までの間にA/D変換部4から出力されたデジタル信号の内の最大信号であるとは限らない。つまり、最大信号がピーク信号Vpであるか、最大信号が終期信号Ve であるかの何れかである。
以上のことから、検査部1がピーク信号Vp を求める演算は、A/D変換部4から出力されたデジタル信号の内の最大信号を求める演算より煩雑であることがわかる。このため、本実施の形態の検査部1では、ピーク信号Vpではなく最大信号を求め、求めた最大値を用いてワークWの検査を行なう。以下では、初期信号Vs 及び終期信号Ve を含む初期信号Vsから終期信号Ve までのデジタル信号を、初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号という。
図6は、検査部1による物品検査処理の手順を示すフローチャートである。搬送システムによってワークW,W,…の搬送が開始される前、即ちワークW,W,…が停止している場合に、検査部1は、予めサンプリング信号をA/D変換部4へ出力し、A/D変換部4から入力されたデジタル信号を記憶部1aに記憶しておく。ワークW,W,…の移動は、検査部1によるサンプリング信号の出力以降に開始される。
検査部1は、サンプリング信号をA/D変換部4へ出力する(S11)。サンプリング信号の出力は、例えば、前回のサンプリング信号の出力後、所定時間の計時を行ない、所定時間が経過した場合に今回のサンプリング信号を出力する。即ち、検査部1によるサンプリング信号の出力は、一定の時間間隔で継続的に行なわれる。A/D変換部4は、検査部1からサンプリング信号が入力される都度、包絡線検波部3から入力されたアナログ信号をA/D変換してなるデジタル信号を検査部1へ出力する。
検査部1は、S11の処理後にA/D変換部4から入力されたデジタル信号(以下、今回のデジタル信号という)と、前回のデジタル信号との差の絶対値を求める(S12)。前回のデジタル信号とは、検査部1によるS11の実行が1回目である場合、S11の実行前に予め記憶部1aに記憶しておいたデジタル信号であり、S11の実行がn(nは2以上の自然数)回目以降である場合、n−1回目のS11実行後にA/D変換部4から入力され、後述するS15、S16、S18又はS19にて記憶部1aに記憶したデジタル信号である。
S12にて、今回のデジタル信号と前回のデジタル信号との差の絶対値を求めた後、検査部1は、記憶部1aに初期信号Vs が記憶されているか否かを判定する(S13)。初期信号Vsの記憶は後述するS16で実行されるため、S13の実行が1回目、又は後述するS19の処理完了後の初回目である場合、S13は必ずNOとなる。
S13にて、記憶部1aに初期信号Vs が記憶されていないと判定した場合(S13でNO)、検査部1は、S12で求めた絶対値が、検査部1に設定されている第1の閾値(第3閾値)以上であるか否かを判定する(S14)。第1の閾値は、今回のデジタル信号と前回のデジタル信号とが略等しいか否かを判定するための閾値であり、第1の閾値としては、適宜の微小な正数を用いる。S12で求めた絶対値が第1の閾値未満である場合、今回のデジタル信号と前回のデジタル信号とにはほとんど差がないことがわかる。このため、S12で求めた絶対値<第1の閾値であると判定した場合(S14でNO)、検査部1は、今回のデジタル信号を記憶部1aに記憶し(S15)、処理をS11へ戻す。
S15にて記憶部1aに記憶されるデジタル信号は、インピーダンス検出部2の検出信号に変化がなく検出信号が一定である場合、即ち各ワークWが停止している場合に対応する。なお、S11へ戻る前に、記憶部1aに記憶されている前回のデジタル信号を削除しても良い。この場合、S15以降の処理で利用されないデジタル信号を記憶部1aに記憶することが防止される。
S14にて、S12で求めた絶対値≧第1の閾値であると判定した場合(S14でYES)、検査部1は、前回のデジタル信号を初期信号Vs として記憶部1aに記憶し、更に今回のデジタル信号を記憶部1aに記憶し(S16)、処理をS11へ戻す。S16にて記憶部1aに記憶される初期信号Vs は、インピーダンス検出部2の検出信号に変化が生じる直前、即ち各ワークWが移動を開始する直前に対応する。また、S16にて記憶部1aに記憶されるデジタル信号は、インピーダンス検出部2の検出信号に変化が生じた場合、即ち各ワークWが移動を開始した場合に対応する。また、S16の処理の完了以降S19の処理完了まで、S13は必ずYESとなる。
S13にて、記憶部1aに初期信号Vs が記憶されていると判定した場合(S13でYES)、検査部1は、S12で求めた絶対値が第1の閾値以上であるか否かを判定し(S17)、S12で求めた絶対値≧第1の閾値であると判定した場合(S17でYES)、今回のデジタル信号を記憶部1aに記憶し(S18)、処理をS11へ戻す。S18にて記憶部1aに記憶されるデジタル信号は、インピーダンス検出部2の検出信号が変化している場合、即ち各ワークWが移動している場合に対応する。
S17にて、S12で求めた絶対値<第3閾値であると判定した場合(S17でNO)、検査部1は、今回のデジタル信号を終期信号Ve として記憶部1aに記憶する(S19)。S19にて記憶される終期信号Veは、インピーダンス検出部2の検出信号に変化がなくなり検出信号が一定になった場合、即ち各ワークWが停止した直後に対応する。
ワークW,W,…の移動開始時点〜移動終了時点に対応するデジタル信号を得ることは困難であるため、本実施の形態では、ワークW,W,…の移動開始直前〜移動終了直後に対応するデジタル信号を初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号として用いている。なお、ワークW,W,…の移動開始直後〜移動終了直前に対応するデジタル信号を初期信号Vs〜終期信号Ve のデジタル信号として用いる構成でも良い。
S19の処理の完了後、即ち各ワークWが停止した場合に、検査部1は、異常判定処理のサブルーチン(図7参照)を呼び出して実行する(S21)。S21の処理の完了後、検査部1は、S19で記憶した終期信号Ve を前回のデジタル信号となし、更に、S16で記憶した初期信号Vsを消去してから、処理をS11へ戻す。なお、検査部1は、他の不要なデジタル信号を消去しても良いし、外部の記憶手段へ出力してこれに記憶させても良い。
図7は、検査部1による異常判定処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。検査部1は、まず、初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号の内、最大信号を求める(S31)。次に、S31で求めた最大信号と、検査部1に設定されている第2の閾値(第4閾値)との差の絶対値を求め(S32)、S32で求めた絶対値が、検査部1に設定されている第3の閾値(第5閾値)以上であるか否かを判定する(S33)。
第2の閾値及び第3の閾値は、S31で求めた最大信号が所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて異常なワークWを検知するための閾値である。第2の閾値は、例えば正常なワークW,W,…における最大信号の平均値であり、第2の閾値±第3の閾値の閾値の範囲が所定の下限値〜上限値の範囲である。
S32で求めた絶対値が第3の閾値以上である場合、S31で求めた最大信号は所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれていない。このため、S33にて、S32で求めた絶対値≧第3の閾値であると判定した場合(S33でYES)、検査部1は、異常なワークWを検知したと判定する(S34)。
従来の物品検査装置は、ピーク信号が所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれている場合、ワークWが正常であると判定する。一方、本実施の形態における物品検査装置6は、最大信号を用いており、最大信号はピーク信号Vp ではない(初期信号Vs 又は終期信号Veである)ことがある。このため、最大信号が所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれている場合、即ちS32で求めた絶対値が第3の閾値未満でも、S14及びS17にてS12で求めた絶対値が第1の閾値以上であると判定した複数のデジタル信号における最初の信号及び最後の信号、即ち初期信号Vs及び終期信号Ve を用いて、再び正常/異常の判定を行ない、ワークWの検査精度の低下を防止する。
S33にて、S32で求めた絶対値<第3の閾値であると判定した場合(S33でNO)、初期信号Vs 及び終期信号Ve の差の絶対値を求め(S35)、S35で求めた絶対値が、検査部1に設定されている第4の閾値(第6閾値)以上であるか否かを判定する(S36)。初期信号Vsと終期信号Ve とは等しいことが望ましいため、第4の閾値は、正常なワークWにおける初期信号Vs 及び終期信号Veの差の絶対値の最大限度値である。
S36で求めた絶対値≧第4の閾値であると判定したとき(S36でYES)、検査部1は、検査部1は、異常なワークWを検知したと判定する(S37)。また、S36で求めた絶対値<第4の閾値であると判定したとき(S36でNO)、検査部1は、正常なワークWであると判定する(S38)。S37又はS38の処理完了後、検査部1は異常判定処理を終了する。
以上のような物品検査処理におけるS12の処理は、A/D変換部4から出力された相前後するデジタル信号の差の絶対値を求める絶対値演算手段として機能し、S14及びS17の処理は、S12で求めた絶対値が第1の閾値以上であるか否かを判定する第2比較手段として機能する。また、S16、S18、S19、及びS31の処理は、S14又はS17にてS12で求めた絶対値が第3閾値以上であると判定した複数のデジタル信号の内、最大信号を求める最大信号演算手段として機能し、S32〜S38の処理は、最大信号演算手段にて求めた最大信号を用いてワークWの正常/異常を判定する異常判定手段として機能する。
物品検査装置6で用いられる第1〜第4の閾値は、例えば、正常であることがわかっている複数のワークW,W,…夫々に対応する初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号を物品検査装置6にて求め、求めたデジタル信号に基づいて、ユーザが適宜の値を設定する。物品検査装置6における初期信号Vs〜終期信号Ve のデジタル信号は、包絡線検波部3にて、ワークW,W,…の高速移動による検出電圧の高速な変化に追従し、更に、リップルの振幅を低減されたアナログ信号に基づいているため、求めたデジタル信号を用いることによって、適切な第1〜第4の閾値が設定可能である。ここで設定した第1〜第4の閾値は、ワークW,W,…夫々に対する物品検査処理の実行中は固定しても良いし、新たな値に変更しても良い。
第1〜第4の閾値を変更する場合、ワークWが正常であると判定する毎に、正常であると判定したワークWに対応する初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号に基づいて、検査部1が新たな第1〜第4の閾値を設定する。第1〜第4の閾値を固定する場合は閾値演算処理による検査部1の負担が低減し、変更する場合は、例えば周囲温度変化によって検出信号の振幅に変化が生じたときでも、温度に起因する検査精度の悪化が抑制される。
以上のような物品検査装置6は、複数のワークW,W,…を、一定速度、一定間隔に保つことなく、高速で連続的に搬送しながら物品検査処理を行なうため、ワークW,W,…の搬送及び検査が簡易で効率的である。また、各ワークWの長さが異なる場合であっても、隙間部分SPを一定間隔に保つ必要がないため、検査精度の低下が防止されている。
また、ワークW,W,…の磁界通過速度、ワーク間隔、又は隙間部分SP同士の間隔の差異、変化等に起因する磁束の変化への影響は、検査部1が、初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号を求め、求めたデジタル信号に基づいてワークWの正常/異常を判定することによって排除している。このため、物品検査装置6には、例えば検出コイル22とワークWとの位置合わせを行なう手段が不要である。この結果、物品検査装置6の構成が簡易となり、物品検査作業が簡便になる。
更に、包絡線検波部3を備えているため、リップルの振幅を低減するためにLPF26の時定数を大きくする必要がない。この結果、正常なワークWに対応する検出信号と異常なワークWに対応する検出信号との微小な差異がインピーダンス検出部2の検出信号に反映され、検査精度の低下が防止されている。
本実施の形態における物品検査装置6の構成は、特許文献1の図2,図3に開示されている制御装置8と比較した場合、物品検査装置6の励磁部23、検出部24、位相検波部25、LPF26、A/D変換部4、及び検査部1が、制御装置8の駆動部25、前置増幅回路40、位相検出回路41、ローパスフィルタ回路43、A/D変換回路44、及びデジタル処理部30に対応する。しかしながら物品検査装置6は、LPF26とA/D変換部4との間に包絡線検波部3を介在させることによって、ワークWの移動速度が高速であっても、検出電圧の高速な変化に追従し、更に、リップルの振幅を低減している。また、検査部1と特許文献1のデジタル処理部30の構成及び物品の正常/異常を判定する手段が異なる。
なお、励磁コイルを備えず検出コイルのみを備え、検出コイルに交流電圧を印加する構成であっても良い。この場合、検出コイルが生成する磁界をワークが通過することによる磁束の変化に応じて検出コイルのインピーダンスが変化する。このような構成における物品検出手段は、検出コイルと、検出コイルに交流電圧を印加して磁界を発生させる励磁部と、検出コイルのインピーダンス変化を用いた位相検波を行なう位相検波部と、位相検波部が出力するアナログ信号の内、低周波数成分を通過させるLPFとを備える。
また、初期信号Vs 〜終期信号Ve を1サイクルとし、各1サイクルの波形と、正常なワークWに関する波形又は正常であると前回判定したワークWに関する波形とをパターンマッチングで比較し、比較結果に基づいて物品検査を行なっても良い。更に、検出コイル22に対してワークWが移動する構成ではなく、ワークWに対して検出コイル22が移動する構成であっても良い。
実施の形態 2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る物品検査装置6の構成を示すブロック図であり、図9は、物品検査装置6を備える物品搬送システムの構成を示す説明図である。本実施の形態の物品検査装置6は、実施の形態1の物品検査装置6と異なり、ワーク検出部5を備える。また、検査部1には、物品検査処理にて用いる第5の閾値及び第6の閾値が予め設定されている。第5〜第6の閾値は、実施の形態1の第2〜第3の閾値と同様にして求められている。その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
ワーク検出部5は、各ワークWが移動中であるか否かを検出し、各ワークWが移動中である場合に、移動中信号を検査部1へ出力し、停止中である場合に移動中信号の出力を停止する。ワーク検出部5は、例えばワークW,W,…の列の近傍に配置された光電センサを用いてなり、光電センサに対応する位置に一のワークW又は隙間部分SPが存在することを所定時間以上継続して検出している場合は各ワークWが停止しているため、移動中信号の出力を停止し、それ以外は各ワークWが移動しているため、移動中信号を出力する。
このようなワーク検出部5は、ワークWが移動中であることを示す移動中信号を検査部1に与える手段として機能する。また、ワーク検出部5に限らず、ワークWの移動開始から停止までの間、移動中信号を継続して検査部1へ入力する構成であれば良い。例えば、最下部のワークWの排出直後から、次のワークWが最下部に到達するまで移動中信号を出力する信号出力部を備える構成でも良い。
本実施の形態の検査部1では、実施の形態1とは異なり最大信号ではなくピーク信号Vp を求め、求めたピーク信号Vp を用いてワークWの検査を行なう。ただし、図4(b)に示すようなワークWが検出コイル22中央で停止する場合には、図4(a)のピーク信号Vpに相当する曲線のピークが存在しない。このため、ワークWが検出コイル22中央で停止する場合は、初期信号Vs 及び終期信号Veの内の大きい方をピーク信号Vp とする。
図4及び図5から、検査部1がピーク信号Vp を求めるためには、A/D変換部4から出力されたデジタル信号の中から初期信号Vs 及び終期信号Veを求め、初期信号Vs 、終期信号Ve 、及び初期信号Vs の出力直後から終期信号Veの出力直前までの間にA/D変換部4から出力されたデジタル信号の内の最大値を求め、求めた最大値と、初期信号Vs 及び終期信号Veとの大小関係に基づいてピーク信号Vp を求める必要があることがわかる。検査部1によるピーク信号Vp の算出手順は、後述する図11にて説明する。
図10は、検査部1による物品検査処理の手順を示すフローチャートである。検査部1は、ワーク検出部5から移動中信号が入力されたか否かを判定し(S71)、移動中信号が入力されていない場合(S71でNO)、移動中信号が入力されるまで待機する。移動中信号が入力された場合(S71でYES)、検査部1は、サンプリング信号をA/D変換部4へ出力し(S72)、S72の処理後にA/D変換部4から入力されたデジタル信号を初期信号Vs として記憶部1aに記憶する(S73)。
検査部1は、更にサンプリング信号をA/D変換部4へ出力し(S74)、また、ワーク検出部5から入力されていた移動中信号が入力されなくなったか否か、即ち移動中信号の入力が終了したか否かを判定する(S75)。S75にて、移動中信号の入力中であると判定した場合(S75でNO)、検査部1は、S74の処理後にA/D変換部4から入力されたデジタル信号を記憶部1aに記憶して(S76)、処理をS74へ戻す。検査部1によるサンプリング信号の出力は、一定の時間間隔で継続的に行なわれる。
また、S75にて、移動中信号の入力が終了したと判定した場合(S75でYES)、検査部1は、S74の処理後にA/D変換部4から入力されたデジタル信号を終期信号Ve として記憶部1aに記憶する(S77)。S77の処理完了後、検査部1は、初期信号Vs〜終期信号Ve のデジタル信号を用いてピーク信号Vp を求めるピーク信号演算処理のサブルーチンを呼び出して実行する(S80)。
次に、検査部1は、S80で求めたピーク信号Vp と、検査部1に設定されている第5の閾値(第1閾値)との差の絶対値を求め(S81)、S81で求めた絶対値が、検査部1に設定されている第6の閾値(第2閾値)以上であるか否かを判定する(S82)。S82にて、S81で求めた絶対値≧第6の閾値であると判定した場合(S82でYES)、検査部1は、異常なワークWを検知したと判定する(S83)。また、S82にて、S81で求めた絶対値<第6の閾値であると判定した場合(S82でNO)、検査部1は、正常なワークWであると判定する(S84)。S83又はS84の処理完了後、検査部1は、処理をS71へ戻す。この場合、検査部1は、S76で記憶したデジタル信号を消去しても良いし、外部の記憶手段へ出力してこれに記憶させても良い。
S73、S76、及びS77にて記憶部1aに記憶される初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号は、各ワークWが移動を開始した直後〜移動を終了する直前のデジタル信号に対応する。検査部1は、移動中信号の入力中のみ、サンプリング信号の出力及びデジタル信号の記憶(S72〜S77)を行ない、ワークWの正常/異常判定(S80〜S84)は、ワークW,W,…停止中に実行され、完了する。つまり、検査部1が各ワークWの移動開始〜終了を、デジタル信号の演算によって判定する必要がない。
また、本実施の形態の物品検査装置6は、従来の物品検査装置と同様に、ピーク信号Vp が所定の下限値〜上限値の範囲内に含まれている場合、ワークWが正常であると判定している。このため、ワークWの正常/異常判定が簡易である。本実施の形態の物品検査装置6を用いて更に検査精度を向上する場合、ワークW,Wの停止位置と検出コイル22との位置関係が図3(a)に示すような位置関係になるようワークWと検出コイル22の位置合わせを行なうことが望ましい。
以上のような物品検査装置6におけるS71〜S77、及びS80の処理は、少なくとも移動中信号が与えられた時点の直後から移動中信号が与えられなくなった時点の直前までの間にA/D変換部4から出力された複数のデジタル信号に基づいてピーク信号Vp を求めるピーク信号演算手段として機能し、S81〜S84の処理は、S80で求めたピーク信号Vpを用いてワークWの正常/異常を判定する異常判定手段として機能する。
図11は、検査部1によるピーク信号演算処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、検査部1は、初期信号Vs 〜終期信号Ve のデジタル信号の内、最大信号及び最小信号を求める(S51)。次に、S51で求めた最大信号が、初期信号Vsであるか終期信号Ve であるか否かを判定する(S52)。
図4(b)の初期信号Vs2〜終期信号Ve2のデジタル信号、又は図5(a)の初期信号Vs3〜終期信号Ve3のデジタル信号に基づく場合、S51で求まる最大信号は初期信号Vs である。S51で求めた最大信号=初期信号Vs である場合(S52で初期)、S51で求めた最小信号以降にA/D変換部4から出力されたデジタル信号、即ちS51で求めた最小信号以降に記憶部1aに記憶されたデジタル信号の内、最大信号を求め(S53)、S53で求めた最大信号をピーク信号Vpとなして(S55)、ピーク信号演算処理のサブルーチンを終了し、メインルーチンのS81を実行する。
図5(b)の初期信号Vs2〜終期信号Ve2のデジタル信号に基づく場合、S51で求まる最大信号は終期信号Ve である。S51で求めた最大信号=終期信号Ve である場合(S52で終期)、S51で求めた最小信号以前にA/D変換部4から出力されたデジタル信号、即ちS51で求めた最小信号以前に記憶部1aに記憶されたデジタル信号の内、最大信号を求め(S54)、S55にて、S54で求めた最大信号をピーク信号Vpとなして、ピーク信号演算処理のサブルーチンを終了し、メインルーチンのS81を実行する。
図4(a)の初期信号Vs1〜終期信号Ve1のデジタル信号、及び初期信号Vs2〜終期信号Ve2のデジタル信号、図5(a)の初期信号Vs2〜終期信号Ve2のデジタル信号、並びに図5(b)の初期信号Vs1〜終期信号Ve1のデジタル信号に基づく場合、S51で求まる最大信号は初期信号Vs でも終期信号Ve でもない。S51で求めた最大信号が初期信号Vs 及び終期信号Veの何れでもない場合(S52でNO)、S55にて、S51で求めた最大信号をピーク信号Vp となして、ピーク信号演算処理のサブルーチンを終了し、メインルーチンのS81を実行する。
図4(b)の初期信号Vs1〜終期信号Ve1のデジタル信号に基づく場合、初期信号Vs1=終期信号Ve1=S51で求まる最大信号である。このため、S53及びS55、又はS54及びS55の処理の後、初期信号Vs1又は終期信号Ve1をピーク信号Vp となす。
なお、図4(b)の初期信号Vs1〜終期信号Ve1のデジタル信号又は初期信号Vs2〜終期信号Ve2のデジタル信号に基づく場合、ピーク信号Vp となした初期信号Vs 又は終期信号Ve がワークW1 及びワークW2(ワークW2 及びワークW3 )の何れに対応しているかが不明確になる可能性がある。このため、S51で求めた最大信号、初期信号Vs及び終期信号Ve の何れをピーク信号Vp となしたかを記憶部1aに記憶することによってワークWとの対応を明確にしておき、検査部1から表示部7へ出力される検査結果にワークWとの対応を含ませておくことが望ましい。
本発明の実施の形態1に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る物品検査装置を備える物品搬送システムの構成を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る物品検査装置が備える検出コイルに対するワークの停止位置を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る物品検査装置が備える包絡線検波部が出力するアナログ信号の時間変化を示す特性図である。 本発明の実施の形態1に係る物品検査装置が備える包絡線検波部が出力するアナログ信号の時間変化を示す特性図である。 本発明の実施の形態1に係る物品検査装置の検査部による物品検査処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る物品検査装置の検査部による異常判定処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る物品検査装置を備える物品搬送システムの構成を示す説明図である。 本発明の実施の形態2に係る物品検査装置の検査部による物品検査処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る物品検査装置の検査部によるピーク信号演算処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。 従来の物品検査装置の構成を示すブロック図である。 従来の物品検査装置が備えるインピーダンス検出部の検出信号の時間変化を模式的に示す特性図である。
符号の説明
1 検査部(検査手段)
2 インピーダンス検出部(物品検出手段)
21 励磁コイル(物品検出手段,第1コイル)
22 検出コイル(物品検出手段,第2コイル)
23 励磁部
25 位相検波部
26 LPF(フィルタ)
3 包絡線検波部(包絡線検波手段)
4 A/D変換部(A/D変換手段)
5 ワーク検出部
6 物品検査装置
W ワーク(検査対象物品,物品)

Claims (8)

  1. 磁束の変化で検査対象物品の通過を検出し、検出結果に基づいて物品を検査する物品検査装置において、
    検査すべき物品が磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号を出力する物品検出手段と、
    該物品検出手段から出力されたアナログ信号を包絡線検波する包絡線検波手段と、
    該包絡線検波手段から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
    該A/D変換手段から出力されたデジタル信号に基づいて前記物品の検査を行なう検査手段と
    を備えることを特徴とする物品検査装置。
  2. 前記物品が移動中であることを示す移動中信号を前記検査手段に与える手段を備え、
    前記検査手段は、
    少なくとも前記移動中信号が与えられた時点の直後から前記移動中信号が与えられなくなった時点の直前までの間に前記A/D変換手段から出力された複数のデジタル信号に基づいて、前記磁束のピークを示すピーク信号を求めるピーク信号演算手段と、
    該ピーク信号演算手段にて求めたピーク信号を用いて前記物品の正常/異常を判定する異常判定手段と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
  3. 前記ピーク信号演算手段は、
    前記複数のデジタル信号の内、最大信号及び最小信号を求める演算手段と、
    該演算手段にて求めた最大信号が、前記複数のデジタル信号の最初の信号であるか最後の信号であるか否かを判定する信号判定手段と、
    前記演算手段にて求めた最大信号が前記最初の信号である場合、前記演算手段にて求めた最小信号以降に前記A/D変換手段から出力されたデジタル信号の内、最大信号をピーク信号とする手段と、
    前記演算手段にて求めた最大信号が前記最後の信号である場合、前記演算手段にて求めた最小信号以前に前記A/D変換手段から出力されたデジタル信号の内、最大信号をピーク信号とする手段と、
    前記演算手段にて求めた最大信号が前記最初の信号及び前記最後の信号の何れでもない場合、前記最大信号をピーク信号とする手段と
    を備えることを特徴とする請求項2に記載の物品検査装置。
  4. 前記異常判定手段は、
    前記ピーク信号演算手段にて求めたピーク信号及び第1閾値の差の絶対値を求める手段と、
    該手段にて求めた絶対値が第2閾値以上であるか否かを判定する第1比較手段と、
    該第1比較手段にて前記絶対値が前記第2閾値以上であると判定した場合、前記物品は異常であると判定する手段と、
    前記第1比較手段にて前記絶対値が前記第2閾値未満であると判定した場合、前記物品は正常であると判定する手段と
    を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の物品検査装置。
  5. 前記検査手段は、
    前記A/D変換手段から出力された相前後するデジタル信号の差の絶対値を求める絶対値演算手段と、
    該絶対値演算手段にて求めた絶対値が第3閾値以上であるか否かを判定する第2比較手段と、
    該第2比較手段にて前記絶対値が前記第3閾値以上であると判定した複数のデジタル信号の内、最大信号を求める最大信号演算手段と、
    該ピーク信号演算手段にて求めたピーク信号を用いて前記物品の正常/異常を判定する異常判定手段と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
  6. 前記異常判定手段は、
    前記最大信号演算手段にて求めた最大信号及び第4閾値の差の絶対値を求める手段と、
    該手段にて求めた絶対値が第5閾値以上であるか否かを判定する第3比較手段と、
    該第3比較手段にて前記絶対値が前記第5閾値以上であると判定した場合、前記物品は異常であると判定する手段と、
    前記第3比較手段にて前記絶対値が前記第5閾値未満であると判定した場合、前記複数のデジタル信号の最初の信号及び最後の信号の差の絶対値を求める手段と、
    該手段にて求めた絶対値が第6閾値以上であるか否かを判定する第4比較手段と、
    該第4比較手段にて前記絶対値が前記第6閾値以上であると判定したとき、前記物品は異常であると判定する手段と、
    該第4比較手段にて前記絶対値が前記第6閾値未満であると判定したとき、前記物品は正常であると判定する手段と
    を備えることを特徴とする請求項5に記載の物品検査装置。
  7. 前記物品検出手段は、
    第1コイルと、
    該第1コイルに交流電圧を印加して磁界を発生させる励磁部と、
    磁束の変化に応じた誘導電圧を生じる第2コイルと、
    該第2コイルに生じた誘導電圧を用いた位相検波を行なう位相検波部と、
    該位相検波部が出力するアナログ信号の内、所定の周波数成分を通過させるフィルタと
    を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の物品検査装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の物品検査装置を用いて、磁界を通過する物品を検査する物品検査方法であって、
    前記物品検出手段は、検査すべき物品が磁界を通過することによる磁束の変化を示すアナログ信号を前記包絡線検波手段へ出力し、
    該包絡線検波手段は、入力されたアナログ信号を包絡線検波して前記A/D変換手段へ出力し、
    前記A/D変換手段は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して前記検査手段へ出力し、
    該検査手段は、入力されたデジタル信号に基づいて前記物品の検査を行なうことを特徴とする物品検査方法。
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