JP2005200725A - 微細結晶粒金属材料の製造方法及び金属材料 - Google Patents

微細結晶粒金属材料の製造方法及び金属材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 結晶粒径2μm以下の微細結晶粒を有する金属材料を工業的規模で得る。
【解決手段】 可塑性金属材料を再結晶温度未満の温度で金型の間に挟み、該金属材料を少しずつ搬送しながら高圧下プレス加工により再結晶の駆動力となる格子歪みを蓄え、大角粒界を形成させて微細結晶粒を有する金属材料を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、結晶粒径が2μm以下の微細な結晶粒を有する金属材料の製造方法及び金属材料に関するものである。
金属材料では、結晶粒径が微細になるほど強度、特に降伏強度もしくは0.2%耐力や靱性が向上し、工業的に有用な材料になることが知られている。例えば、アルミニウム合金のさらなる高強度化が可能となれば、自動車用成形部品や電子機器部品の筐体等の軽量化を一層促進させることができる。一般に、アルミニウム合金の結晶微細化は、成分を特定した上で例えばTi等の結晶微細化剤を使用して鋳造組織を微細にし、その後大きなひずみを付与して熱処理を施し、再結晶させて達成される。この時析出物を利用すると効果的に達成できる。
例えば、Mg:0.2〜2.0%(重量%、以下同じ)、Mn:0.3〜1.5%、Cu:0.05〜0.4%、Ti:0.001〜0.1%を含み、残部が不可避的不純物を含むアルミニウムからなるAl−Mn−Mg系合金を、冷却速度180℃/秒以上の冷却速度で鋳造し、得られたインゴットを保持温度500〜580℃、保持時間8〜24時間で均質化処理した後、これを冷間加工全体の圧下率が90%以上となるように冷間圧延し、さらに昇温速度10〜250℃/秒、熱処理温度350〜450℃、保持時間5〜60秒、冷却速度20〜200℃/秒で最終熱処理することにより、結晶粒径が小さくて強度及び成形性に優れたアルミニウム合金を得る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで得られた合金の結晶粒径は実質的に4〜8μmとされている。
さらに鉄鋼でも組成範囲を限定し、リバースミルやタンデムミルを用いて熱間で多パス圧延することにより高圧下率で加工する方法で微結晶粒の材料を得る、大圧下圧延法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
また、析出物近傍は変形後に再結晶の核が形成され易く、また再結晶粒の成長を抑制するので、析出物を積極的に利用して再結晶粒を微細化するアルミニウム合金の製造方法も提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照。)。
また、図5に工程図の概要を示すように、スラブを液体窒素中のような極低温に冷却し、液体窒素温度から室温領域で圧延加工を行い、その後再結晶させるための熱処理を行う方法も提案されている。
さらに実験室段階ではあるが、材料に従来以上の大きな歪みを与え、再結晶温度以上でのを行わずに超微細結晶粒を得ることができるせん断押出法も提案されている(例えば、非特許文献参照。)。
非特許文献1に開示された方法は、図6に工程の概要を示すように、直角又はそれに近い角度を有するダイス3を使用し、プランジャー5で押し出して材料の形状を変えることなく供試材1にせん断変形を与えるものである。この方法によればAl−Mg合金で0.45〜0.27μmの結晶粒径の材料が得られており、アルミニウム合金で3μm以下の結晶粒径が達成できることを示唆している。
また、図7に工程の概要を示すように、2枚以上の板材11を重ね合わせて接合圧延を施し、圧延後板材12を切断して表面処理を施した後重ね合わせて、再び接合圧延を繰り返す繰り返し重ね接合圧延法も提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
特許文献6に開示された方法では、平均粒径が1μm以下の純アルミニウム板や、極低炭素鋼板が得られるとされている。
特開2000−80453号公報 特開昭59−229413号公報 特開2002−273501号公報 特開2002−105568号公報 特開2001−98338号公報 特開2000−73152号公報 堀田 善治他著、「まてりあ」第37巻、第9号、(1998)
あるいはまた、粉末状の素材をミリング、固化して熱処理を施して微細結晶粒組織のバルク材を得る粉末のメカニカルミリング方法も知られている。
しかしながら従来の方法には以下のような欠点がある。
大きな圧下率で加工した後熱処理する大圧下圧延法では、圧延工程では1回の加工量が限られており、多パスに分けて大きな圧下率を達成する必要がある。また、熱間から温間領域での加工の場合は転位の回復を抑える観点から各パス間の時間を短縮する必要があり、加工後は再結晶粒の成長を抑制するために直ちに冷却する必要がある。これらの要件を最適化しても、再結晶を利用した微細化法では結晶粒径は4μm程度の結晶粒径が限度である。
また、液体窒素温度等通常の冷間加工温度より低い極低温領域で加工する場合には、温度の維持管理が難しい。これらの要因により操業管理が難しく、生産性を高めることが困難である欠点を有する。
また、析出物を積極的に利用する方法では、合金系が限定され汎用性に欠ける欠点がある。
また、せん断押出法では長尺形状の素材を加工することが出来ず、製品形状及びサイズが限定される。
また、繰り返し重ね接合圧延法では、接合界面が存在するので材料特性に悪影響を及ぼす可能性があり、また、表面処理が必要となるので生産性が上がらない。
さらに、粉末のメカニカルミリング法では、大型部材を製造することは原理的に困難であり生産性も低い。これらの方法は、実験室レベルでは実現可能であるが工業的規模での実施は設備投資効率や生産性の観点から実施するのは困難である。
本発明はこれらの欠点を解消すべく開発されたものであって、素材の形状や合金種類にとらわれることなく、極低温の温度維持も必要とせずに、少ない加工パス回数で加工可能で、接合界面の無い結晶粒径2μm以下の微細結晶粒を有する金属材料を工業的規模で得ることを目的としたものである。
本発明は、加工温度を再結晶温度未満、すなわち核生成・成長型の組織変化が起こる温度未満とし、高圧下プレス加工により0.1〜50(1/s)の真歪み速度で、大圧下量の加工を長手方向に連続的に加え、必要に応じて再結晶温度未満で熱処理を施すことにより、長尺素材の平均結晶粒径を2μmまで微細化する製造方法である。
すなわち本発明は、可塑性金属材料を再結晶温度未満の温度で金型の間に挟み、該金属材料を間歇的に少しずつ搬送しながら前記金型で瞬時に大きな繰り返し荷重を加えて圧下加工する工程を備える微細結晶粒金属材料の製造方法とした。
本発明においては、前記工程後に再結晶温度未満の温度に加熱する工程を備えるものとすることができる。また、前記圧下加工を繰り返し施すこともできる。
本発明の高圧下プレス加工とは、偏心駆動する傾斜部付き金型によって上下から素材を加工する方法である。
本発明の高圧下プレス加工法は、圧延加工と異なり噛み込み限界がないため、1パス当たりの圧下率を圧延加工よりも大きくでき、そのため、転位等の格子欠陥を効率的に蓄積することができる。また、所定のサイズまで加工するまでの加工回数が少なくてすむ利点がある。本方法では、再結晶温度未満で加工し、その後、必要に応じて再結晶温度未満で熱処理を施すため、導入された転位は再結晶によっては消滅せず、その多くは再配列して粒界を形成する。この際、1パスで与える圧下量が大きいため、加工前の結晶粒内組織の方位が不連続に大きく乱れ、その結果、形成される多くの粒界が方位差の大きい大角粒界をなすため、微細結晶粒が得られる。
本発明では、前記圧下加工の圧下率を75%以上とすることが好ましい。
軟らかく小さな素材では1回の圧下加工で圧下率は75%以上とすることも可能であるが、大きな素材あるいは硬い素材では繰り返し圧下加工を施してトータルの圧下率を75%以上としても良い。
圧下率を高めれば転位密度が増加して、体積あたりの粒界の密度ならびに粒界の方位差が増すため、大角粒界の密度が増加し、さらに微細化が進む。また、本発明は前記微細結晶粒の粒径が2μm以下となる微細結晶粒金属材料の製造方法である。
本発明では、前記可塑性金属材料としてアルミニウム又はアルミニウム合金、若しくは鉄鋼材料を使用することができる。
いずれも広範な用途を有する可塑性金属材料であって、結晶を微細化して強度を高めることにより、軽量化、省資源化の経済効果が極めて大きく、工業上特に有用な材料である。
前記可塑性金属材料としてアルミニウム又はアルミニウム合金を使用する場合には、加工に必要な荷重が比較的小さいため、1パスで実現できる圧下率を向上させることができる利点がある。また、前記圧下加工を250℃以下の温度で実施することが好ましい。
また、前記可塑性金属材料として鉄鋼材料を用いる場合には、再結晶温度が例えば500℃〜650℃近辺と高く、また加工に必要な荷重も高いため、再結晶温度未満を満足する範囲で加工温度を上げることにより、1パス当たりの圧下率を向上させれば微細結晶粒が得られる。
本発明の金属材料は、上記のような製造方法で得られた、結晶粒径が2μm以下の微細結晶粒を有する金属材料である。
結晶粒径が微細なので強度、特に降伏強度特性の優れた材料であり、軽量化、省資源化に顕著な効果を発揮する。
本発明の金属材料の製造方法によれば、通常の圧延方法における圧延パス回数よりも大幅に少ない加工パス回数で、結晶粒径を2μm以下まで微細化することが可能である。また、極低温としたり高温の熱処理工程も不要なので温度管理が容易であり、省エネルギーな工程が構築できる。さらに、材料の種類や形状に特に制限はなく、接合界面のない材料が容易に得られる利点がある。
本発明による金属材料は、結晶粒径が2μm以下と極めて微細な結晶粒を有しているので、強度特性、特に降伏強度の優れた材料となるので、製品の軽量化や省資源化に寄与するところが極めて大である。
金属は結晶粒の集合体であり、結晶粒が微細であるほど強度が高い性質を有している。結晶粒を微細化させるには再結晶もしくは相変態を利用することが有効である。
一般に加工によって硬化した金属は、ある温度以上で加熱処理することにより急激に軟化するが、これは転位等の格子欠陥が消滅する過程で再結晶により新たな結晶粒が形成・成長し、加工組織が転位密度の非常に低い結晶粒組織に置き換わるからである。
再結晶の駆動力となるのは加工の結果蓄えられる格子歪みである。それぞれの結晶粒界には空孔や転位といった内部欠陥が集まっている。これらの内部欠陥中に加工組織とは異なる結晶方位を有する再結晶粒の核が形成され、その核が成長することにより再結晶が起こる。再結晶が起こるには必要な最小変形量が存在する。そして変形量が小さいほど再結晶温度は高くなり、再結晶粒径は主として変形量に依存する。また、熱処理温度が低いほど再結晶に長時間を要する。同じ熱処理条件では、変形前の結晶粒径が大きいほど再結晶に必要な臨界変形量が大きく、変形温度が高いほど臨界変形量は大きくなる。
本発明の特徴は、大圧下加工及びそれと同時に起こる再結晶温度未満の熱処理により、粒界、特に15度以上の方位差を有する大角粒界( high-angle boundary ) を形成することにある。素材温度を再結晶温度未満に抑えているため、形成された粒界はほとんど移動(粒成長)することはない。粒界は転位の再配列によって形成されるので、熱処理により原子を短範囲の移動(拡散)を起こさせる必要があり、その場合でも再結晶温度未満の温度で実施する。このような条件下で処理すれば試料中に多くの大角粒界が形成され、微細結晶粒が得られる。
本発明は、上記のような理論に基づき、加工温度を再結晶温度未満、すなわち核生成・成長型の組織変化が起こる温度未満とし、高圧下プレス加工により0.1〜50(1/s)の真歪み速度で、大圧下量の加工を長手方向に連続的に加え、長尺素材の平均結晶粒径を2μmまで微細化する方法を確立した。
本発明の微細結晶粒金属材料の製造方法は、可塑性金属材料を再結晶温度未満の温度で金型の間に挟み、該金属材料を間歇的に少しずつ搬送しながら前記金型で瞬時に大きな繰り返し荷重を加えて圧下加工して、必要に応じて熱処理を施すことにより結晶粒径が2μm以下の微細結晶粒を有する金属材料の製造方法である。なお、加工発熱の温度では熱処理が不十分な場合は、別途熱処理工程を追加すればよい。
本発明者等は先に熱間状態の鋼に1パスにて大圧下を加えることのできる高速大圧下プレス装置について出願した(特開平11−239832号公報参照)。この装置は水平対向型の機械クランク駆動方式により板厚方向に圧下率60%以上の大圧下を行うとともに、ピンチロールの間歇回転によりパス間の材料送り量を所定量に制御し、毎分60〜100サイクルの高速大圧下加工を行う装置である。従来の圧延方法では圧延機の噛み込み限界があるため1パスでの圧下可能な圧下量が制限されるので、熱間スラブを所定厚さまで圧延するのにはスラブを往復させるか圧延機を複数並べてパスを繰り返す必要があるのに対して、この装置を使用すれば1パスで大圧下が可能となるため、1台の装置で一気に所定厚さまで圧延することができるとされている。
本発明の微細結晶粒金属材料の製造方法も上記の高速大圧下プレス装置を使用して実施することができる。
図1に本発明の微細結晶粒金属材料の製造方法の工程図の一例を示す。
図1に示すように、1回目のプレス工程では上下に分割された金型2で素材1に上下から大きく圧下して、素材1を紙面上下(板厚)方向に圧下加工する(図1(2)参照。)。図に示すように、金型2の内面は傾斜部と水平部からなっており、傾斜部では素材1に対して徐々に厚みを減ずる加工を施し、水平部で所定の寸法に加工する。次いで金型2が上下に分離すると同時に、図示省略のピンチロールにより、素材1を紙面右方向の矢印(出側)方向へ所定の微量だけ搬送する。金型2は上下に分離した後元の紙面左方向へ矢印のように回転移動して元の位置に戻って行く(図1(3)参照。)。
続いて2回目のプレス工程にはいるが、この時素材1の元の厚さよりも若干薄くなった部分から圧下加工を開始することになる(図1(4)、(5)参照。)。
このような工程を1分間当たり60〜100サイクル繰り返し、素材1を少しずつ移動させながら大きな圧下を繰り返し加えることにより、素材1は金型2を1パス通り過ぎる間に大圧下加工を施されてプレス材10が得られる(図1(6)〜(7)参照。)。金型2は素材の上下で巡回しながら圧下と分離を繰り返し、素材1は少しずつ間歇的に金型方向へ搬送される。
このようにして素材1が金型2の間を1回通過する間に所定の大圧下加工が施される。
大圧下加工後のプレス材には必要により結晶粒界の形成を促進したり内部歪みを軽減するための熱処理や、材料形状を整えるための圧延及びその後の熱処理を施して素形材となる。
本発明で対象となる可塑性金属材料として、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金、マグネシウム又はマグネシウム合金、チタン又はチタン合金、ニッケル又はニッケル合金若しくは鉄鋼材料などが挙げられる。
本発明の微細結晶粒金属材料の製造方法では、加工はいずれも当該金属の再結晶温度未満で行う。ちなみに各素材の再結晶温度は、組成や加工量によっても異なるが、アルミニウム合金では例えば250℃程度である。銅合金では例えば200℃程度、マグネシウム合金では例えば200℃程度である。ニッケル合金では例えば650℃程度である。鉄鋼材料では例えば550℃程度である。
圧下加工に伴う加工熱の発生は素材の種類や大きさ或いは加工速度や加工量によっても異なるが、金型の内部に冷却水を供給して冷却したり、素材に冷却水を散布する等必要な手段を講じて再結晶温度未満に維持する。
必要な圧下率はトータル75%以上である。素材の種類や大きさによっては1パスの圧下加工で所定の寸法まで加工できない場合がある。このような時は数回に分けて加工を行い、トータルの圧下率を75%以上とすればよい。初回の加工でより大きな圧下率を与えることが有効である。
また、加工発熱の大きな金属においては、1パス当たりの圧下率を低くして複数回パスで加工してトータル圧下率を75%以上とするか、若しくは金型回転速度を小さくすることにより同等の効果が得られる加工が可能である。
圧下加工後、必要により熱処理を施す。この熱処理は転位の再配列を起こし、結晶粒界を形成させるための熱処理であり、再結晶温度未満の温度で実施する。ただ、再結晶温度以上で熱処理を行えば大きなサイズの結晶粒が得られる。
その後の圧延は、材料の厚さを調整したり、表面状態を仕上げたり、用途に合わせた断面形状に加工するための加工である。圧延加工後必要により熱処理を行う。
次に、一例としてアルミニウムを加工した場合の例を挙げて本発明を詳しく説明する。
板幅30mm、板厚20mm、長さ1500mmのJIS1050工業用純アルミニウムに対して、図1に示す工程に従って大圧下加工を施した。金型の回転速度は60サイクル/分とし、加工は1パスで80%の圧下率を与えた。加工時の素材の最高到達温度は130℃であり、再結晶温度未満であった。
圧下加工後熱処理を施す前の材料を、プレス方向ならびに板厚方向に垂直な断面を透過型電子顕微鏡(TEM)並びに反射電子線回折(EBSP)法を用いて組織観察した。いずれも板幅方向に平行方向に切片法を用いて平均切片長さを求め、これを結晶粒径とした。
図2にこの材料のTEM像を示す。結晶粒径は1μm以下であり、プレス方向にやや伸長している。
図3にこの材料のEBSP測定で得た粒界マップを示す。太線は方位差15°以上の大角粒界で、細線は方位差15°未満の小角粒界( low-angle boundary )を示す。この材料中の結晶粒の多くはの粒界が大角粒界となっている。比較のため、トータル圧下率80%の通常の冷間圧延材の方位マップを図8に示す。通常の冷間圧延材には形成される粒界は少なく、形成された粒界も大角粒界は少なく、大部分が小角粒界である。
図4に、室温での引張試験から求めた0.2%耐力と粒径との関係を示す。図で横軸は結晶粒径dのマイナス1/2乗[d−1/2(μm)−1/2]を示し、縦軸は0.2%耐力[ σ0.2 MPa ]を示す。図4において、左側のプロットが市販されている板厚1mmのA1050再結晶材(比較例)、中央のプロットが本発明により250℃の熱処理を加えたもの(実施例)、右側のプロットが本発明により熱処理を加えなかったもの(実施例)を示している。
図から結晶粒径が1μm以下では0.2%耐力は150MPa以上となることが判る。従来から、降伏強度若しくは0.2%耐力と結晶粒径のマイナス1/2乗との間には直線関係があることが経験的に判っており、本結果でも同様な関係が認められる。本発明により、結晶粒微細化による材料の高強度化が実現できることが確認された。
本発明による金属材料は、結晶粒径が2μm以下の微細結晶粒であるため、強度、特に耐力に優れた材質となるため、自動車部品や電子機器の筐体に使用すればより軽量化と省資源化を達成することができる。
本発明の微細結晶粒金属材料の製造方法の工程を示す図である。 実施例1で得られた材料のTEM像を示す図である。 実施例1で得られた材料のEBSP像を示す図である。 粒径と0.2%耐力との関係を示す図である。 従来の方法の一例を示す工程図である。 従来の方法の他の例を示す工程図である。 従来の方法の別の例を示す工程図である。 従来の材料のEBSP像を示す図である。
符号の説明
1: 供試材
2: 金型
3: ダイス
5: プランジャー
10: プレス材料

Claims (9)

  1. 可塑性金属材料を再結晶温度未満の温度で金型の間に挟み、該金属材料を間歇的に少しずつ搬送しながら前記金型で瞬時に大きな繰り返し荷重を加えて圧下加工する工程を備えることを特徴とする微細結晶粒金属材料の製造方法。
  2. 前記工程後に再結晶温度未満の温度に加熱する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の微細結晶粒金属材料の製造方法。
  3. 前記圧下加工を繰り返し施すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細結晶粒金属材料の製造方法。
  4. 前記圧下加工の圧下率を75%以上とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の微細結晶粒金属材料の製造方法。
  5. 前記可塑性金属材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の微細結晶粒金属材料の製造方法。
  6. 前記圧下加工を250℃以下の温度で実施することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の微細結晶粒金属材料の製造方法。
  7. 前記可塑性金属材料が鉄鋼材料であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の微細結晶粒金属材料の製造方法。
  8. 前記微細結晶粒の粒径が2μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の微細結晶粒金属材料の製造方法。
  9. 可塑性金属材料を再結晶温度未満の温度で金型の間に挟み、該金属材料を間歇的に少しずつ搬送しながら前記金型で瞬時に大きな繰り返し荷重を加えて圧下加工する工程を備えた微細結晶粒金属材料の製造方法により得られ、結晶粒径が2μm以下の微細結晶粒を有することを特徴とする金属材料。
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