JP2005200699A - 透明電極薄膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡便な装置で光学系あるいは成膜装置の構成に制約を受けず、安定した膜厚を有した透明電極薄膜を製造可能な透明電極薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 透明電極薄膜形成室10にて透明電極薄膜2を形成すると、形成した透明電極薄膜2を膜厚測定室20に移送し、膜厚測定室20にて透明電極薄膜2の表面に単色光を照射してその反射強度を測定して透明電極薄膜2の膜厚を算出し、算出した膜厚を透明電極薄膜2の成膜条件へフィードバックする。
【選択図】 図1

Description

本発明は太陽電池などに用いられる透明電極薄膜の製造方法に関する。
透明電極薄膜の利用分野の1つに薄膜太陽電池用透明電極がある。太陽電池は、クリーンな次世代エネルギー源として、研究開発及び事業化が積極的に進められている。特に薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストが安価なこと、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられている。
従来の薄膜太陽電池はガラス基板を用いていたが、軽量化、施工性、量産性においてプラスチックフィルム及び金属フィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発が進められている。このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式またはステッピングロール方式の製造方法により大量生産が可能となった。
上記薄膜太陽電池は、フレキシブルな電気絶縁性フィルム基板上に金属電極層、薄膜半導体層からなる光電変換層及び透明電極層が積層されてなる光電変換素子(またはセル)が複数形成されている。ある光電変換素子の金属電極と隣接する光電変換素子の透明電極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初の光電変換素子の透明電極と最後の光電変換素子の透明電極とに必要な電圧を出力させることができる。例えば、インバータにより交流化し商用電力源として交流100Vを得るためには、薄膜太陽電池の出力電圧は100V以上が望ましく、実際には数十個以上の光電変換素子が直列に接続される。
このような光電変換素子とその直列接続は、電極層と光電変換層の成膜と各層のパターニング及びそれらの組み合わせ手順により形成される。
図7は、薄膜太陽電池の構成を示す斜視図である。
この図は、特許文献1に開示されている薄膜太陽電池の構成を示す図であり、プラスチックフィルムを基板とした可撓性薄膜太陽電池である。基板61の表面に形成した単位光電変換素子62および基板61の裏面に形成した接続電極層63は、それぞれ複数の単位ユニットに完全に分離され、それぞれの分離位置をずらして形成されている。このため、単位光電変換素子62のアモルファス半導体部分である光電変換素子層65で発生した電流は、まず透明電極層66に集められ、次に透明電極層66領域に形成された集電孔67を介して背面の接続電極層63に通じ、更に接続電極層63領域で素子の透明電極層66領域の外側に形成された直列接続用の接続孔68を介して単位光電変換素子62と隣り合う素子の透明電極層66領域の外側に延びている下電極層64に達し、両素子の直列接続が行われている。
ところで、上記のような薄膜太陽電池では、透明電極薄膜の膜厚が、太陽電池の出力特性及び外観に大きな影響を与える。透明電極薄膜の膜厚を成膜プロセス中に測定する手段としては、エリプソメトリーが知られている。
また、白色光を薄膜に照射して、その反射スペクトルを測定し、反射スペクトルの変化により、透明電極薄膜の膜厚の監視を行う方法がある(特許文献2参照)。
また、蒸着釜内に単色光を導入して反射光を受光し、膜厚に関するデータを計測する方法がある(特許文献3参照)。
さらに、特許文献4には、磁界を作るための磁石が成膜領域を往復移動する駆動装置を備えたマグネトロンスパッタ成膜装置において、単色光ビームを成膜中の薄膜表面に向けて出射する光源と、単色光ビームの薄膜からの反射光を検出し検出信号を出力する光検出器と、この検出信号とあらかじめ採取してある単色光薄膜と同質の薄膜の膜厚との関係から成膜中の薄膜の膜厚と、この膜厚と所定の膜厚との比較から磁石の所定往復回数で所定の膜厚を得るための放電パワーの補正信号または磁石の移動速度の補正信号を出力するコントローラを備えていることを特徴とするマグネトロンスパッタ成膜装置が開示されている。
特開2000−223727号公報(段落番号〔0017〕,図6) 特開2000−353814号公報(段落番号〔0027〕、〔0028〕,図1) 特開平8−188874(段落番号〔0013〕〜〔0014〕,図1) 特開平10−158833(段落番号〔0009〕,図1)
しかし、エリプソメトリーは、光学系が複雑で、計算ソフトを含めたシステムは非常に高価であり、実用上問題があった。また、特許文献2に開示された従来の技術では、エリプソメトリーと比較すれば安価で単純なシステムとなるが、白色光源及び分光器が必要となるため十分とはいえない。特許文献3、4の従来技術では、成膜室内に単色光を導入して反射信号を検出するため、光学系あるいは成膜装置の構成に制限があるという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、簡便な装置で光学系あるいは成膜装置の構成に制約を受けず、安定した膜厚を有した透明電極薄膜を製造可能な透明電極薄膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、透明電極薄膜の製造方法において、透明電極薄膜形成室にて透明電極薄膜を形成する工程と、形成した前記透明電極薄膜を膜厚測定室に移送する工程と、前記膜厚測定室にて前記透明電極薄膜の表面に単色光を照射してその反射強度を測定し、前記透明電極薄膜の膜厚を算出する工程と、算出した前記膜厚を前記透明電極薄膜の成膜条件にフィードバックする工程と、を有することを特徴とする透明電極薄膜の製造方法が提供される。
上記の方法によれば、透明電極薄膜形成室にて透明電極薄膜を形成すると、形成した透明電極薄膜を膜厚測定室に移送し、膜厚測定室にて透明電極薄膜の表面に単色光を照射してその反射強度を測定して透明電極薄膜の膜厚を算出し、算出した膜厚を透明電極薄膜の成膜条件へフィードバックする。
本発明は、透明電極薄膜形成室で形成した透明電極薄膜を、膜厚測定室に移送した後に透明電極薄膜の表面に単色光を照射してその反射強度を測定して透明電極薄膜の膜厚を算出し、算出した膜厚を成膜条件へフィードバックすることで、光学系あるいは成膜装置の構成に制約を受けることなく、簡便な装置で安定した膜厚を有した透明電極薄膜を製造できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法を適用する装置の構成図である。
本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法を適用する装置は、2つの処理室を有している。基板1上に透明電極薄膜2を形成するための透明電極薄膜形成室10と、形成した透明電極薄膜2の膜厚を測定するための膜厚測定室20である。
透明電極薄膜形成室10では、例えばDC(Direct Current)スパッタリング法により、透明電極薄膜2を形成する。透明電極薄膜形成室10は、図1のように陰極11と、基板1が設置される陽極12を有し、互いに対向して配置されている。陰極11において陽極12と対向する面にはターゲット材13を配置している。また、図示を省略しているがスパッタガスを透明電極薄膜形成室10内に供給するためのスパッタガス供給手段と、透明電極薄膜形成室10内を排気するための排気手段とを有する。陰極11と陽極12にはプラズマ発生用DC電源30が接続され、陰極11と陽極12間にプラズマを発生させる。なお、基板1の温度を上げるためのヒータを有していてもよい。
膜厚測定室20は、透明電極薄膜2を形成した基板1を設置するステージ21と、半導体レーザーダイオードあるいはLED(Light Emitting Diode)である単色光の光源22と、反射光の反射強度を測定する、例えば、フォトダイオードなどの検出器23とを有する。単色光の光源22と、検出器23とは、膜厚測定室20の外部に配置されたコンピュータ40のCPU(Central Processing Unit)によって制御される。また、膜厚測定室20内は、図示しない排気手段によって真空排気される。
コンピュータ40は、CPU、メモリ、入出力インターフェースなどから構成される。CPUは、単色光の光源22、検出器23を制御し、検出器23で検出された透明電極薄膜2からの反射光の反射強度の変化による光学的膜厚(屈折率×膜厚)情報の変動に基づき膜厚を算出する。また、得られた膜厚を透明電極薄膜形成室10における透明電極薄膜2の形成の際の成膜条件にフィードバックする。その際、CPUは、プラズマ発生用DC電源30を制御する(具体例は後述する)。
また、図1の装置は処理室間の仕切りに用いられるゲートバルブ14、15、24を有している。これらのゲートバルブ14、15、24は図示しない搬送機構により処理室間での搬送が可能なように開閉可能である。
図2は、本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法における製造工程の流れを示すフローチャートである。
ステップS1:透明電極薄膜形成
図示しない搬送機構により、基板1がゲートバルブ14を介して透明電極薄膜形成室10に搬入されると、透明電極薄膜2の形成工程が行われる。
なお、薄膜太陽電池を製造する場合、透明電極薄膜形成室10に搬送される以前に、基板1上には、下電極層及び光電変換層が形成されているが、ここでは図示を省略している(薄膜太陽電池の例は図7に示している)。
図1に示したような透明電極薄膜形成室10において、DCスパッタリング法により、透明電極薄膜2を形成する。例えば、このとき、スパッタガスとしてAr(アルゴン)とO2(酸素)の混合ガス(O2/(Ar+O2)=1.2%)を用いる。混合ガス流量は100sccm、圧力は0.3Paに保つ。さらに、プラズマ発生用DC電源30により高電圧を陰極11と陽極12間に印加してプラズマを発生してスパッタリングにより透明電極薄膜2を形成する。以下、透明電極薄膜2として、ITO(Indium Tin Oxide)を用いた場合について説明する。
図3は、太陽電池の変換効率とITO薄膜の膜厚の関係を示す図である。
縦軸が変換効率、横軸がITO薄膜の膜厚(単位はnm)である。
この図のように、膜厚が70nmの場合に最も変換効率が高くなる。そのため、薄膜太陽電池の出力特性を上げるためには、透明電極薄膜2の膜厚を70nmに制御して形成する必要がある。
ステップS2:膜厚測定室に移送
ステップS1で基板1上に形成した透明電極薄膜2を、図示しない搬送機構によりゲートバルブ15を介して膜厚測定室20に移送する。
ステップS3:膜厚算出
透明電極薄膜2が膜厚測定室20に移送されると、図示しない排気手段により、膜厚測定室20は、例えば、1×10-3Paに真空排気される。ここで、コンピュータ40の制御のもと、半導体レーザーダイオードあるいはLEDである単色光の光源22からの単色光を、透明電極薄膜2に入射光として照射し、その反射光の反射強度を検出器23にて測定する。
反射強度の透明電極薄膜2の膜厚による差異は、入射光の波長が350〜500nmの波長領域において、透明電極薄膜2の膜厚に起因する干渉として現れる。薄膜太陽電池の場合、入射光の波長が500nm以上になると、透明電極薄膜2の下部に形成されている図示しない光電変換層に起因した干渉が現れる。
そこで、本発明の実施の形態では、入射光として、例えば、400nmの単色光を用いる。コンピュータ40のCPUは、このときの反射強度の変化(干渉パターン)による透明電極薄膜2の光学的膜厚(屈折率n×膜厚d)情報の変動に基づき透明電極薄膜2の膜厚を算出する。
この膜厚算出法は、透明電極薄膜2の表面で反射した光と太陽電池内部で反射した光の干渉パターンを含む反射率を、膜厚をパラメータとした光学モデルを使用してフィッティングするものである。太陽電池の層構成を持つ多層膜光学モデルを構築し、各界面でのフレネル係数を用いた振幅反射率計算を膜厚を変数として行い、測定範囲である350〜1600nmの波長範囲内で測定値を最小偏差でフィッティングすることで膜厚を求める。各薄膜層の光学定数(屈折率及び吸収係数)は、あらかじめ与えておく。コンピュータ40のCPUは、このフィッティング計算を行い、透明電極薄膜2の膜厚を算出する。
図4は、400nmの単色光の反射率とITO薄膜の膜厚の関係を示す図である。
縦軸が400nmの単色光の反射率であり、横軸がITO薄膜の膜厚である。
この図のように、ITO薄膜の膜厚の増加とともに反射率が増加する。変換効率が最大となるITO薄膜の膜厚である70nmの場合には、反射率は約27%である。
ステップS4:膜厚を成膜条件にフィードバック
コンピュータ40のCPUは、算出した膜厚を成膜条件にフィードバックする。例えば、反射率が最適な膜厚である70nmを示す27%より小さい場合、形成された膜厚は70nmより薄いと考えられるので、成膜条件のうち、プラズマ発生用DC電源30の電圧を上げて、次に、透明電極薄膜形成室10に搬送されてくる基板1に形成する透明電極薄膜2の膜厚が70nmになるようなフィードバックを行う。また、反射率が27%を上回った場合、形成される膜厚は70nmより厚いと考えられるので、成膜条件のうち、プラズマ発生用DC電源30の電源を下げて、次に、透明電極薄膜形成室10に搬送されてくる基板1に形成する透明電極薄膜2の膜厚が70nmになるようなフィードバックを行う。
上記のようにして、1回の透明電極薄膜2の製造工程が終了する。基板1上に形成された透明電極薄膜2は、例えば、図示しない搬送機構により、ゲートバルブ24を介して、薄膜太陽電池の製造工程の次の製造工程を行うための処理室に搬送される。
図5は、ITO薄膜の膜厚の成膜処理回数依存性を示す図である。
縦軸はITO薄膜の膜厚、横軸は成膜処理回数を示す。
また、フィードバックを行わない場合の膜厚の成膜処理回数依存性を、フィードバックを行う本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法における膜厚の成膜処理回数依存性とともに図示している。
この図のように、フィードバックを行わない場合は、成膜処理回数が多くなると、膜厚が薄くなるように変動していくが、フィードバックを行う本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法によれば、最適な膜厚である70nmを安定して保ち続ける。
このように、本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法を用いることにより、安定した膜厚の透明電極薄膜を形成できる。しかも、透明電極薄膜形成室10から、形成した透明電極薄膜2を膜厚測定室20に移送した後に反射測定を行うため、光学系あるいは成膜装置の構成に制約を受けることなく、簡便な装置で透明電極薄膜の形成を行うことができる。
なお、上記では、透明電極薄膜2として、ITOを用いるとしたが、SnO2、ZnOを用いてもよいし、これらの積層構造からなるような透明電極薄膜2を形成する場合にも適用可能である。
また、上記では、DCスパッタリング法により、透明電極薄膜を形成するとしたがこれに限定されない。
また、上記では、単色光の光源22及び検出器23を膜厚測定室20の内部に設けたが、以下の図のような構成であってもよい。
図6は、膜厚測定室の外部に光源及び検出器を設けた場合の装置の構成図である。
この図のように、単色光の光源22及び検出器23を膜厚測定室20の外部に設け、光ファイバ25を用いて、単色光を導入あるいは反射光の取り出しを行うようにしてもよい。
本発明は、薄膜太陽電池の製造における透明電極薄膜の形成工程の際に適用される。
本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法を適用する装置の構成図である。 本発明の実施の形態の透明電極薄膜の製造方法における製造工程の流れを示すフローチャートである。 太陽電池の変換効率とITO薄膜の膜厚の関係を示す図である。 400nmの単色光の反射率とITO薄膜の膜厚の関係を示す図である。 ITO薄膜の膜厚の成膜処理回数依存性を示す図である。 膜厚測定室の外部に光源及び検出器を設けた場合の装置の構成図である。 薄膜太陽電池の構成を示す斜視図である。
符号の説明
1 基板
2 透明電極薄膜
10 透明電極薄膜形成室
11 陰極
12 陽極
13 ターゲット材
14、15、24 ゲートバルブ
20 膜厚測定室
21 ステージ
22 単色光の光源
23 検出器
30 プラズマ発生用DC電源
40 コンピュータ

Claims (5)

  1. 透明電極薄膜の製造方法において、
    透明電極薄膜形成室にて透明電極薄膜を形成する工程と、
    形成した前記透明電極薄膜を膜厚測定室に移送する工程と、
    前記膜厚測定室にて前記透明電極薄膜の表面に単色光を照射してその反射強度を測定し、前記透明電極薄膜の膜厚を算出する工程と、
    算出した前記膜厚を前記透明電極薄膜の成膜条件にフィードバックする工程と、
    を有することを特徴とする透明電極薄膜の製造方法。
  2. 前記単色光は、350乃至500nmの波長領域であることを特徴とする請求項1記載の透明電極薄膜の製造方法。
  3. 前記単色光の光源は、半導体レーザーダイオードあるいはLEDであることを特徴とする請求項1記載の透明電極薄膜の製造方法。
  4. 前記透明電極薄膜は、ITO、SnO2、ZnOのいずれか、あるいはこれらの積層構造よりなることを特徴とする請求項1記載の透明電極薄膜の製造方法。
  5. 前記反射強度が検出器で測定されると、CPUは前記反射強度の変化による前記透明電極薄膜の光学的膜厚情報の変動に基づき前記膜厚を算出し、
    前記CPUは前記膜厚を前記成膜条件にフィードバックすることを特徴とする請求項1記載の透明電極薄膜の製造方法。
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WO2014030382A1 (ja) * 2012-08-24 2014-02-27 株式会社アルバック 成膜方法
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