JP2005200696A - Rh脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管 - Google Patents
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Abstract
【課題】 浸漬管の耐火物部分を経路として発生する空気リークによる溶鋼の窒素ピックアップ防止。
【解決手段】 浸漬管7の浸漬耐火物8中に埋設した円筒状のリーク防止鉄板9の外側で、かつ溶鋼2の湯面より下方に位置させて複数の円弧状をなすポーラスレンガ11を隣接する相互の間隔が60mm以下で、リーク防止鉄板までの距離が60mm以下ならびに前記浸漬耐火物の外周までの距離が60mm以下に保持されるように配置して埋設するとともに、ガス供給パイプ12からポーラスレンガ11を経由して浸漬耐火物8中にArガスを大気圧以上の圧力で供給する。浸漬管7の浸漬き耐火物8を経路として溶鋼2中に侵入する空気が、Arガスによって阻止され、RH脱ガスによる低窒素鋼の製造を容易とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 浸漬管7の浸漬耐火物8中に埋設した円筒状のリーク防止鉄板9の外側で、かつ溶鋼2の湯面より下方に位置させて複数の円弧状をなすポーラスレンガ11を隣接する相互の間隔が60mm以下で、リーク防止鉄板までの距離が60mm以下ならびに前記浸漬耐火物の外周までの距離が60mm以下に保持されるように配置して埋設するとともに、ガス供給パイプ12からポーラスレンガ11を経由して浸漬耐火物8中にArガスを大気圧以上の圧力で供給する。浸漬管7の浸漬き耐火物8を経路として溶鋼2中に侵入する空気が、Arガスによって阻止され、RH脱ガスによる低窒素鋼の製造を容易とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、脱ガス槽の下部に配設された上昇管および下降管の下端部を取鍋の溶鋼中に浸漬し、脱ガス槽に溶鋼を循環させるRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管に関するものである。
RH脱ガス法は、取鍋溶鋼中の水素除去、非金属介在物の浮上分離、合金鉄添加による成分調整等を目的に実施される取鍋精錬プロセスの一種であり、きわめて広く使用されている。しかしながら、RHプロセス法においては、溶鋼中の窒素の除去能力が小さいという問題がある。すなわち、N≦30ppm の領域では脱窒が進行しないばかりか、設備条件が悪い場合には、吸窒により鋼中窒素量が上昇することさえある。
一方、低温海洋域で使用される海洋構造物用鋼材等では、きわめて高い低温靱性が要求され、鋼中の窒素濃度を20ppm 以下とすることが望まれている。また、自動車用鋼板となる極低炭素鋼においてもプレス加工性改善のためTiを添加することがあるが、高価なTiを削減するため鋼中の窒素濃度を低位に安定させて溶製することが必要である。これらは、低窒素化による材質改善効果の一例であり、鋼材の低窒素化のニーズはきわめて高いといえる。
従来のRH脱ガス法で脱ガスする際に溶鋼が吸窒する原因の一つにRH脱ガス設備における種々のフランジ面から空気のリークがあり、空気中のN2 ガスが溶鋼中に侵入することにある。リーク対策として、現在では、フランジ面冷却方法や構造の改善、Oリング等のパッキンの改善(例えば特許文献1参照)等により、そのリーク量はきわめて小さく、無視できるレベルまでに低減されている。
一方、浸漬管においては、耐火物を経由する空気のリークを防止するため、図9に示すように浸漬管7を形成する浸漬耐火物8中にリーク防止鉄板9を埋設するものがある。リーク防止鉄板9の上端はフランジ6に固定されている。しかるに浸漬管7の構造上、全体にリーク防止鉄板9を埋設することはできない。すなわち、溶損等を防止するため浸漬管7の下端にリーク防止鉄板9のない、耐火物だけの部分が存在せざるを得ない。このため浸漬管7部分のリークは、この浸漬管7下端部のリーク防止鉄板9がない部分の浸漬耐火物8を経路とするリークが主要なものとなってくる。
この部分のリークを評価するため、浸漬管7における浸漬耐火物8内の圧力をリーク防止鉄板9の外側と内側について圧力測定したところ図10に示す結果が得られた。図10に示すように、上昇管の方は外側が大気圧に近く内側が大気圧より負圧になっているのに対し、下降管の方は外側、内側ともに大気圧より負圧になっており、リーク防止鉄板9の外側の圧力は上昇浸漬管の内側の圧力と同等であるが内側の負圧の程度が一番大きい。このように全体的にみると、上昇管に比較し、下降管の負圧の程度が大であることが判明した。また、下降管の耐火物中のガス中には、リーク防止鉄板9の内側、外側ともに50%以上のN2 ガスが存在し空気が吸引されていることが明らかとなった。
このような浸漬管7下端部のリーク防止鉄板9がない部分の浸漬耐火物8を経路とするリークを防ぐべく、特許文献2には、上部を真空脱ガス槽に接続し下部を溶鋼中に浸漬して用いる浸漬管において、外周側および内周側の耐火物を支保する円筒状心金の外周面(前記リーク防止鉄板9に相当)で、浸漬管を溶鋼に浸漬したときにおける界面を含む部域に上記円筒状心金を周回するガス溜を耐火物に埋設させて設け、このガス溜に不活性ガスを送り込む吹込管を連結すると共に、外側面には放射状に水平方向に指向するガス吹出口を複数個穿設した構成を特徴とする真空脱ガス処理用浸漬管が開示されている。
すなわち、図5に示すように、真空脱ガス槽に設けた下降管5に連結する浸漬管7に外部から不活性ガスを圧入するガス供給パイプ12と連接し、ガス吹出口15をもつジャケットタイプのガス溜16を円筒状心金17の外周側に周回して取り付け、浸漬耐火物8に埋め込んで形成する。ガス吹出口15は浸漬管7の外周面に向かって水平に開口され、しかも、スラグまたは溶鋼2と大気との界面を中心にして上部および下部に配置するように分散穿設する。また、図6に示すものは、適宜の内径を持つ管体18を円筒状心金17の外側面にラセン状に固着してラセン状のガス溜19を形成したものである。ラセン状のガス溜19の設置部位は基準的な溶鋼2と大気との界面に相当する高さを中心にその上下部にわたっている。ラセン状のガス溜19となる管体18が、円筒状心金17に接着されている線の対称となる外側の線に沿って一定のピッチでガス吹出口15を穿設する。不活性ガスが真空脱ガス槽内の負圧によって誘導され、真空脱ガス槽内に優先的に侵入し、それに従って空気の侵入を抑止し、侵入量を低減させることができるとしている。
また、特許文献3には、脱ガス槽の下部に配設された上昇管および下降管の下端部を取鍋内の溶鋼中に浸漬し、脱ガス槽に溶鋼を循環させつつRH脱ガスにより低窒素鋼を製造するに際し、前記浸漬管の耐火物中に埋設したリーク防止鉄板の外側で、かつ溶鋼湯面よりも下方位置の耐火物中にN2 ガスを可及的に低減したガスを大気圧以上の圧力で供給してRH脱ガスにより低窒素鋼を製造するものが開示されている。
すなわち、図7および図8に示すように、浸漬管7の浸漬耐火物8中に同心に埋設された円筒状のリーク防止鉄板9の炉外側の浸漬耐火物8中に円弧状のポーラスレンガ10を円周上に離間して埋め込むようにするものである。ポーラスレンガ10の埋め込む位置は、浸漬管7が浸漬される溶鋼2の湯面レベルより低いレベルとすると共にリーク防止鉄板9の廻りを囲むように浸漬管7の浸漬耐火物8中に等間隔で複数個配置する。各ポーラスレンガ10には、浸漬管7の上端部におけるリーク防止鉄板9の外側にある浸漬耐火物8に埋め込んだガス供給パイプ12が接続してあり、このガス供給パイプ12からArガス等、N2 ガスを可及的に低減したガスをポーラスレンガ10に供給するようになっている。上昇側および下降側の浸漬管7の両方にポーラスレンガ10を、例えば取鍋1内の溶鋼2の湯面より約70mm下の位置に設置し、高純度Arガスを0.11MPa で供給するのである。
実開平01− 65847号公報
実開昭62−136556号公報
特開平06− 2026号公報
前記特許文献2に開示されているジャケットタイプのガス溜16やラセン状のガス溜19を持つ浸漬管では吸窒防止効果が小さいという問題点がある他、浸漬耐火物8の割れによる地金の差し込みによる詰まり、ジャケットまたはラセン状管体の熱変形による不活性ガス吹き込みの偏りや吹き込み不良が発生し、浸漬管自体の寿命を低下させてしまう問題点があった。
また、特許文献3に開示された通気性耐火物(以下単にポーラスレンガという)10を溶鋼2の湯面レベルより低いレベルでリーク防止鉄板9の廻りを囲むように浸漬管7の浸漬耐火物8中に等間隔で複数個配置するポーラスレンガを用いる浸漬管では、ポーラスレンガの浸漬耐火物中の配置状態により、空気のリーク抑制が不十分となり吸窒防止効果が小さくなることが生じる問題点があった。
本発明は、以上のような浸漬管下部耐火物部分を経路として発生する空気リークによる溶鋼の窒素ピックアップ防止のため、特にポーラスレンガを用いた前記浸漬管を改良して窒素ピックアップを確実に防止することができるRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するための請求項1記載の本発明は、脱ガス槽の下部に配設された上昇管および下降管の下端にそれぞれ接続した浸漬管を取鍋の溶鋼中に浸漬して用いるRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管において、前記浸漬管の浸漬耐火物中に埋設した円筒状のリーク防止鉄板および該リーク防止鉄板の外側かつ溶鋼湯面より下方に位置させた円弧状をなす複数の通気性耐火物と、該通気性耐火物に接続されて前記浸漬耐火物中にN2 ガスを可及的に低減したガスを大気圧以上の圧力で供給するガス供給パイプとからなり、前記複数の通気性耐火物は隣接する相互の間隔が前記ガスが前記浸漬耐火物中を流出する距離以下で配置され、前記リーク防止鉄板ならびに前記浸漬耐火物の外周までの距離が、前記ガスが前記浸漬耐火物中を流出する距離以下に保持されて埋設されていることを特徴とするRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管である。
請求項2記載の本発明は、前記複数の通気性耐火物は隣接する相互の間隔が60mm以下で配置され、前記リーク防止鉄板ならびに前記浸漬耐火物の外周までの距離が60mm以下に保持されて埋設されていることを特徴とする請求項1記載のRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管である。
請求項3記載の本発明は、前記通気性耐火物が前記浸漬耐火物と同じ材質であることを特徴とする請求項1または2記載のRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管である。
請求項4記載の本発明は、前記通気性耐火物の上部をメタルケースで覆い、該メタルケースにガス供給パイプを接続したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管である。
本発明では、浸漬管の浸漬耐火物中に埋設した円筒状のリーク防止鉄板の外側で、かつ溶鋼湯面より下方に位置させて複数の円弧状をなす通気性耐火物を隣接する相互の間隔が60mm以下で、リーク防止鉄板との距離を60mm以下ならびに前記浸漬耐火物の外周までの距離が60mm以下に保持されるように配置して埋設するとともに、ガス供給パイプから通気性耐火物にN2 ガスを可及的に低減したガスを大気圧以上の圧力で供給し、通気性耐火物を経由して浸漬耐火物中に導く。そのため浸漬管の浸漬耐火物を経路とした空気の溶鋼中への侵入を阻止することができ、RH脱ガスによる低窒素鋼の製造を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図4に示すように、取鍋1内の溶鋼2中に、脱ガス槽3の下部に配設された上昇管4および下降管5の下部にフランジ6を介してそれぞれ取り付けられた浸漬管7が浸漬されている。排気ダクト20から真空ポンプにより排気し、脱ガス槽3内を真空状態にして取鍋1内の溶鋼2を上昇させる。上昇管4内に供給管(図示せず)からアルゴン(Ar)ガスを供給してガスリフトポンプの原理により溶鋼2を上昇させて脱ガス槽3内に導き、溶鋼2の真空脱ガス処理を行った後、下降管5から取鍋1内に環流させる。
本発明では、図1〜図3に示すように、下降管5にフランジ6を介して取り付けられた浸漬管7の浸漬耐火物8中に同心に埋設された円筒状のリーク防止鉄板9の炉外側で浸漬耐火物8中に通気性耐火物の一種である円弧状のポーラスレンガ11を埋め込むのは従来技術と同じである。なお、ここでは、下降管5にフランジ6を介して取り付けられた浸漬管7の場合について説明するが、上昇管4の場合はガスリフトポンプ用供給管からArガスを供給する部分を除き同構造であるので説明を省略する。また、リーク防止鉄板9の下部外周には、必要に応じて冷却パイプ13a がラセン状に取り付けられ、浸漬管7の上部外側から浸漬耐火物8内に引き込まれる冷却媒体供給パイプ13から供給される冷却媒体により冷却され長寿命化を図っている。
浸漬管7に複数個の円弧状のポーラスレンガ11を埋め込む位置は、浸漬管7が浸漬される溶鋼2の湯面レベルより低いレベルとすると共に円筒状のリーク防止鉄板9の廻りを同心に囲むように浸漬管7の浸漬耐火物8中に配置される。
特に本発明では、図3(A)のように、ポーラスレンガ11をリーク防止鉄板9を囲うように円弧状に複数個(図面では20個)浸漬管7に埋め込むとき、隣接するポーラスレンガ11間の距離、リーク防止鉄板9および浸漬管7の表面までの距離を問題にした。
すなわち、ポーラスレンガ11は、一体化した円弧状のものを使用すると高価になるため、分割した構成として使用されるが、その隣接する分割したポーラスレンガ11間の距離によって窒素ピックアップ抑止効果が異なるほか、浸漬管7中の埋設位置(リーク防止鉄板9および浸漬管7の表面までの距離)によっても窒素ピックアップ抑止効果が異なることがある。本発明において、そのために、ポーラスレンガ11にN2 ガスを可及的に低減させたガス、例えば不活性ガスであるArガスを供給したとき、浸漬管7中の耐火物中で供給Arガス挙動を調査した。その結果、0.11MPa の圧力でポーラスレンガ11にArガスを供給したとき、浸漬管7中の耐火物内では、耐火物組成にもよるが、通常浸漬管耐火物として使用される範囲内の耐火物にあっては、ポーラスレンガ11表面から60mmの位置までArガスが流出していることを確認した。このArガス流出範囲を超えた状態での浸漬管7中のポースレンガ11配置となったとき、空気吸い込みが発生して、前記窒素ピックアップが生じるのである。
したがって本発明において、ポーラスレンガ11の配置は、ポーラスレンガに供給するN2 ガスを可及的に低減させたガスの浸漬管内耐火物への流出範囲を超えないような、前記隣接するポーラスレンガ11間の距離、リーク防止鉄板9および浸漬管7の表面までの距離配置とする。なお、ポーラスレンガに供給するN2 ガスを可及的に低減させたガスの供給圧力を上げることによって、前記浸漬管内耐火物への流出範囲を拡大できるが、流出ガスの偏流あるいは浸漬管損耗による浸漬管厚みの薄化時、ガス供給圧力如何では耐火物損傷につながり自ずと限界がある。
以下、代表的な圧力(例えば0.11MPa )でN2 ガスを可及的に低減させたガスとして純Arガスを使用した場合で説明する。図3(A)に示す配置では、ポーラスレンガ11をリーク防止鉄板9を囲うように円弧状に複数個(図面では20個)浸漬管7に埋め込むとき、円周上で隣接するポーラスレンガ11間の側面距離を60mm以下にする条件を満たすべく、相互に接触させ、環状に配置した場合を示している。そして図2のように、各ポーラスレンガ11は、浸漬耐火物8の外周からの距離Lが60mm以下に保持されるように浸漬耐火物8中に埋設される。なお、図3(B)のように、隣接するポーラスレンガ11が間隔Sをおいて等間隔に配置される場合、その間隔Sは60mm以下にする必要がある。
ポーラスレンガ11を取鍋1の溶鋼湯面よりも下部に設置するのは、Arガスの大気への漏れを防ぐと同時に、ポーラスレンガ11と湯面間の浸漬耐火物8からのわずかな空気吸い込みをも防止し、リーク防止の効果を高めるためである。また、同様にリーク防止鉄板9の外側に設置するのは、脱ガス槽3内へのArの過剰な吸引を防止するためである。この配置も、リーク防止鉄板9の外側60mm以下の距離L2 とする。供給するガスは溶鋼2の酸化防止の観点からN2 ガスを可及的に低減させ、かつ溶鋼2に対して不活性なArガス等が望ましい。また、ガス圧力を大気圧より大きい圧力とするのは、空気を外側に押し出しながら内面側には優先的に当該不活性ガスを吸引させるためである。さらに、リーク防止鉄板9の外側で、かつ浸漬耐火物9の外周から60mm以下の距離L1 として配置する。
隣接するポーラスレンガ11の相互の間隔Sを60mm以下とし、リーク防止鉄板9の外側の距離L2 を60mm以下とし、また浸漬耐火物8の外周からポーラスレンガ11までの距離L1 を60mm以下としたのは、これらが60mmを超えると不活性ガスの吸い込み不足により大気の吸い込み量が増加し、窒素のピックアップ防止効果が低下するからである。なお、浸漬耐火物8の外周からポーラスレンガ11までの距離L1 が、零の場合にはポーラスレンガ11が溶鋼2に直接接触して耐火物を損傷し易くなるので、距離L1 は20mm以上を確保するのが好ましい。
ポーラスレンガ11には、リーク防止鉄板9の上部外側の浸漬耐火物8を経由するガス供給パイプ12が接続してあり、このガス供給パイプ12からN2 ガスを可及的に低減したAr等のガスがポーラスレンガ11に供給される。ポーラスレンガ11の上部をメタルケース14で覆い、ガス供給パイプ12から供給されるガスをメタルケース14を介して漏れなくポーラスレンガ11に供給するのが好適である。
なお、浸漬耐火物8のリーク防止鉄板9から外側の厚みLを厚くとるとき、L1 、L2 は60mm以下とし、ポーラスレンガの幅Wを厚くするか、ポーラスレンガを厚み方向に2段分割した配置とすればよい。
以下、本発明の作用について説明する。
取鍋1内の溶鋼2中に、脱ガス槽3の下部に配設された上昇管4および下降管5の下部にそれぞれ取り付けられた浸漬管7が浸漬され、排気ダクト20から真空ポンプにより排気し、脱ガス槽3内を真空状態にして取鍋1内の溶鋼2を上昇させる。上昇管4内にガスリフトポンプ作用により溶鋼2を上昇させて脱ガス槽3内に導き、溶鋼2の真空脱ガス処理を行った後、下降管5から取鍋1内に環流させながらガス供給パイプ12から大気圧以上に加圧されたN2 ガスを含有しないガスとして代表的にはArガスが、前記条件を満たすように浸漬耐火物8中に埋設されたポーラスレンガ11に供給される。
リーク防止鉄板9の下方に位置する浸漬耐火物8内が負圧になった場合でも、ポーラスレンガ11がリーク防止鉄板9の外側で溶鋼2の湯面より下部に設置してあり、またポーラスレンガ11が隣接する相互の間隔S〔図3(B)参照〕が60mm以下で、浸漬耐火物8外周までの距離L1 が60mm以下、そしてリーク防止鉄板9との距離L2 が60mm以下で埋設してある。このため、上部から大気より大きい圧力のArガス等を供給して、ポーラスレンガ11から浸漬耐火物8にArガスを浸透させる。これによって浸漬耐火物8を経路としていた空気の吸い込みの代わりにArガスを吸い込むので、溶鋼中への窒素ピックアップを防止できる。
本発明で使用する浸漬管7を形成する浸漬耐火物8は、例えば、外径が1275mmφ、内径が650mm φ、高さ700mm 、半径方向の幅(厚み)が312.5mm とし、また浸漬耐火物8中に同心に配置して埋設される円筒状のリーク防止鉄板9は、内径が1010mmφで、板厚が12mmである。リーク防止鉄板9の外側に同心に配置される20個の円弧状のポーラスレンガ11は、隣接する相互の間隔を60mm以下とする条件を満たすように例えば、その側壁を直接接触させて環状に配置し、高さが70mm、半径方向の幅(厚み)Wが40mm、幅Wの中心外径が1130mmの環状のポーラスレンガ11を形成し、上部をメタルケース14で一体的に覆った構造とする。
そして、ポーラスレンガ11の上面が、浸漬管7に設けたフランジ6の下面から150mm 下方の位置で、かつポーラスレンガ11の外周から浸漬耐火物8の外周への距離L1 が60mm以下の条件を満たす52.5mmの位置になるように浸漬耐火物8中に埋設した。リーク防止鉄板9との距離は28mmの位置である。なお、通気性耐火物として用いるポーラスレンガ11は、埋設される浸漬耐火物8と同質の耐火材とするのが好ましく、例えば浸漬耐火物8に用いられる耐火材の組成(Al2O3 系耐火材と類似組成のAl2O3:90%、SiO2:7.1%、Cr2O3:1.8 %)のポーラスレンガ11を用いた。これによりポーラスレンガ11は浸漬耐火物8になじみよく埋設され、浸漬管7の寿命が延長できる。
上昇側および下降側の両方のポーラスレンガ11が、取鍋1内の溶鋼2中に湯面より約70mm下の位置になるように浸漬し、N2 ガスを可及的に低減したガスとしては、高純度Arガスを0.11MPa の圧力で供給しながら脱ガス処理時間25分でRH脱ガス処理した。
本発明法の実施時における処理前および処理後の鋼中窒素量(ppm ) および図7および図8に示す従来の浸漬管(隣接するポーラスレンガ10を 100mm間隔で円弧状に埋設)を用いる従来法の実施時における処理前および処理後の鋼中窒素量(ppm ) を調査した。前記従来法では、処理前窒素量25ppm 程度の場合、処理中に約15ppm 程度の吸窒が発生していたが、本発明を実施した場合は、50チャージの連続使用においても8ppm の脱窒が安定して進行した。
1 取鍋
2 溶鋼
3 脱ガス槽
4 上昇管
5 下降管
6 フランジ
7 浸漬管
8 浸漬耐火物
9 リーク防止鉄板
10、11 ポーラスレンガ
12 ガス供給パイプ
13 冷却媒体供給パイプ
13a 冷却パイプ
14 メタルケース
15 ガス吹出口
16、19 ガス溜
17 円筒状心金
18 管体
20 排気ダクト
2 溶鋼
3 脱ガス槽
4 上昇管
5 下降管
6 フランジ
7 浸漬管
8 浸漬耐火物
9 リーク防止鉄板
10、11 ポーラスレンガ
12 ガス供給パイプ
13 冷却媒体供給パイプ
13a 冷却パイプ
14 メタルケース
15 ガス吹出口
16、19 ガス溜
17 円筒状心金
18 管体
20 排気ダクト
Claims (4)
- 脱ガス槽の下部に配設された上昇管および下降管の下端にそれぞれ接続した浸漬管を取鍋の溶鋼中に浸漬して用いるRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管において、前記浸漬管の浸漬耐火物中に埋設した円筒状のリーク防止鉄板および該リーク防止鉄板の外側かつ溶鋼湯面より下方に位置させた円弧状をなす複数の通気性耐火物と、該通気性耐火物に接続されて前記浸漬耐火物中にN2 ガスを可及的に低減したガスを大気圧以上の圧力で供給するガス供給パイプとからなり、前記複数の通気性耐火物は隣接する相互の間隔が前記ガスが前記浸漬耐火物中を流出する距離以下で配置され、前記リーク防止鉄板ならびに前記浸漬耐火物の外周までの距離が、前記ガスが前記浸漬耐火物中を流出する距離以下に保持されて埋設されていることを特徴とするRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管。
- 前記複数の通気性耐火物は隣接する相互の間隔が60mm以下で配置され、前記リーク防止鉄板ならびに前記浸漬耐火物の外周までの距離が60mm以下に保持されて埋設されていることを特徴とする請求項1記載のRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管。
- 前記通気性耐火物が前記浸漬耐火物と同じ材質であることを特徴とする請求項1または2記載のRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管。
- 前記通気性耐火物の上部をメタルケースで覆い、該メタルケースにガス供給パイプを接続したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のRH脱ガス装置の低窒素鋼製造用浸漬管。
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