JP2005200687A - 無電解めっき方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工対象物のめっき析出速度を高精度に制御して所望膜厚のめっき物を高効率で得ることができるようにする。
【解決手段】被めっき物が、めっき処理されるべきセラミック基板や樹脂基板等の加工対象物と該加工対象物以外のバレル容器、治具、混合ダミー等の非加工対象物とを含み、触媒化処理で加工対象物と非加工対象物とについて別個に触媒を付与することによって非加工対象物への触媒付与量を制御する。そしてこの後バレル容器を回転させて加工対象物と非加工対象物とを接触させながら無電解めっきを行なう。
【選択図】図5
【解決手段】被めっき物が、めっき処理されるべきセラミック基板や樹脂基板等の加工対象物と該加工対象物以外のバレル容器、治具、混合ダミー等の非加工対象物とを含み、触媒化処理で加工対象物と非加工対象物とについて別個に触媒を付与することによって非加工対象物への触媒付与量を制御する。そしてこの後バレル容器を回転させて加工対象物と非加工対象物とを接触させながら無電解めっきを行なう。
【選択図】図5
Description
本発明は無電解めっき方法に関し、より詳しくは被めっき物に触媒化処理を施した後、還元剤を含有した無電解めっき液に前記被めっき物を浸漬し、無電解めっき処理を施す無電解めっき方法に関する。
還元剤を使用して金属皮膜を析出させる触媒型無電解めっき方法は、非導電性のセラミックスや樹脂等の表面にもめっき皮膜を形成することができる。しかしながら、無電解めっき反応は、還元剤の酸化反応に対し触媒活性な表面で選択的に生じることから、還元剤が酸化反応を生じるように、めっき皮膜の形成が予定される加工対象物の表面を予め触媒活性化しておく必要がある。
そこで、従来より、加工対象物の表面にPd触媒を付与し、Pdを触媒核として加工対象物にめっき皮膜を形成することが行われている。
そして、この種の無電解めっき方法としては、トリエタノールアミン又はその塩を錯化剤かつ加速剤として含み、該加速剤の濃度を制御することによって、銅めっき析出速度を実質的に向上させた技術が提案されている(特許文献1)。
すなわち、めっき析出速度を決定する因子としては、めっき浴組成(銅イオン濃度、還元剤濃度、水素イオン指数pH、錯化剤の種類と濃度、浴温、溶存酸素濃度、各種添加剤の添加量等)があるが、特許文献1では、錯化剤としてのトリエタノールアミン又はその塩が加速剤としての機能を有することに着目し、トリエタノールアミン又はその塩を銅イオン濃度の1.2倍以上含有させることにより、高速で物性の良好な銅皮膜を得ようとしている。
ところで、加工対象物へのめっき析出速度は、上述しためっき浴組成の他、加工対象物への触媒付与量によっても異なる。しかも、この触媒付与量は加工対象物の触媒に対する密着性にも依存し、加工対象物の材質や表面粗さによっても触媒付与量は異なる。
上記特許文献1では、加工対象物への触媒付与量が考慮されていないため、材質や表面粗さ等に起因して加工対象物の触媒付与量が異なる場合であっても同一のめっき条件でめっき処理が行なわれることとなり、このため加工対象物間でめっき析出速度が異なり、めっき皮膜の膜厚にバラツキが生じるという問題点があった。
また、特許文献1は、上述したようにめっき浴中の錯化剤種及びその濃度を制御することにより、めっき析出速度を高めたものであり、したがって、異なる膜厚を有するめっき物を得るためには、所望する膜厚毎に異なるめっき条件でめっき処理を行なわなければならず、生産効率が悪いという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、加工対象物のめっき析出速度を高精度に制御して所望膜厚のめっき物を高効率で得ることができる無電解めっき方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、めっき皮膜が形成されるべき加工対象物に関し、そのめっき析出速度に影響を与える因子について鋭意研究を行なったところ、前記加工対象物のめっき析出速度は、加工対象物以外のめっき液と接触する非加工対象物(例えば、容器、媒体物)の触媒付与量にも依存するということが分かった。
そこで、本発明者らは更に鋭意研究を進めた結果、非加工対象物の触媒付与量を制御し、該非加工対象物と加工対象物とを接触させて無電解めっきを行なうことにより、加工対象物の性状(材質、表面粗さ等)に大きく依存することなく、めっき析出速度を精度良く制御することができ、これにより加工対象物へのめっき析出速度のバラツキを抑制することができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る無電解めっき方法は、被めっき物に触媒化処理を施した後、還元剤を含有した無電解めっき液に前記被めっき物を浸漬し、無電解めっき処理を施す無電解めっき方法において、前記被めっき物が、めっき処理されるべき加工対象物と該加工対象物以外の非加工対象物とを含み、前記触媒化処理で前記非加工対象物への触媒付与量を制御し、しかる後、前記加工対象物と前記非加工対象物とを接触させながら無電解めっきを行なうことを特徴としている。
また、本発明の無電解めっき方法は、前記触媒化処理が、前記加工対象物と前記非加工対象物について別個に触媒を付与することを特徴とし、又は前記触媒化処理が、前記非加工対象物のみに触媒を付与することを特徴としている。
さらに、本発明の無電解めっき方法は、前記非加工対象物が、前記加工対象物を収容する複数の容器を含み、前記複数の容器が異なる触媒付与量を有するように前記触媒化処理を施すことを特徴としている。
また、本発明の無電解めっき方法は、前記非加工対象物が、前記加工対象物に混入される媒体物を含み、前記媒体物が異なる触媒付与量を有するように前記触媒化処理を施すことを特徴としている。
さらに、本発明の無電解めっき方法は、前記触媒化処理で付与される触媒金属は、パラジウムであることを特徴とし、また、前記加工対象物の表面に銅皮膜を形成することを特徴としている。
上記無電解めっき方法によれば、触媒化処理で加工対象物以外の非加工対象物(容器、媒体物)への触媒付与量(Pd触媒量)を制御し、その後、前記加工対象物と前記非加工対象物とを接触させながら無電解めっきを施しているので、前記非加工対象物の触媒付与量に応じてめっき析出速度が高精度に制御され、したがって加工対象物の材質や表面粗さに大きく依存することなく、所望の析出速度でCu等のめっき金属を析出させることができ、所望膜厚を有するめっき物を高効率で製造することができる。
しかも、非加工対象物が、前記加工対象物を収容する複数の容器を含み、前記複数の容器が異なる触媒付与量を有するように前記触媒化処理を施すので、触媒付与量の異なる複数の容器を同時に同一のめっき浴槽に浸漬して無電解めっきを行なうことにより、異なる膜厚を有するめっき物を同時に製造することができ、生産性を大幅に向上させることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳説する。
図1は本発明に係る無電解めっき方法の一実施の形態を示す製造工程図である。
まず、脱脂工程1では、被めっき物から有機物質や無機物質による汚染を除去するため、酸性脱脂液やアルカリ性脱脂液等を使用して被めっき物に脱脂処理を施し、純水洗浄を行なう。
次に、エッチング工程2では、被めっき物を所定のエッチング液に浸漬し、被めっき物表面の酸化物をエッチング除去し、まためっき皮膜との密着性を向上させるために表面形状を適度に平滑化或いは粗化等して表面形状の微調整を行い、次いで純水洗浄を行なう。
ここで、エッチング液としては、フッ化水素酸、過酸化水素系溶液、又は過硫酸アンモニウム系溶液等を使用することができる。
次に、第1の触媒付与工程3aでは、めっき処理に使用される非加工対象物、例えば、バレル容器や治具、混合ダミー(媒体物)の表面に触媒を付与し、第2の触媒付与工程3bでは、セラミック素体や樹脂基板等の本来めっき皮膜の形成が予定される加工対象物の表面に触媒を付与する。
図2は本めっき方法に使用されるめっき装置の概略図であって、該めっき装置は、装置本体5の内面に六角柱状のバレル容器6が配され、また該バレル容器6には樹脂等で形成された多数の孔を有する治具(ラック)7が収容され、さらに治具7にはセラミック素体や樹脂基板等の加工対象物、及び該加工対象物同士が重なり合うのを回避すべく樹脂等で形成された多数の媒体物が収容されている。そして、バレル容器6の一方の端部にはギヤ8が設けられており、対向状に配されたギヤ9と噛合可能に構成されている。そして、速度調節つまみ10を調節することによりギヤ9の回転速度が調整され、これによりバレル容器6の回転速度が制御される。また、治具7には金属製ワイヤ11が縦横に巻回されている。
そして、本実施の形態では、非加工対象物と加工対象物について別個に触媒を付与することにより、非加工対象物の触媒付与量を制御している。
すなわち、第1の触媒付与工程3aで非加工対象物に触媒を付与し、第2の触媒付与工程3bでは加工対象物に触媒を付与している。
以下、触媒金属としてのPd(パラジウム)を非加工対象物及び加工対象物に付与する場合について説明する。
まず、第1の触媒付与工程3aでは、(i)非加工対象物をカチオン性界面活性剤に所定時間(例えば、5分間)浸漬し、該非加工対象物の表面が正電荷を有するように調整する。(ii)次いで、該非加工対象物を触媒化処理液、例えば、パラジウム錯体溶液に所定時間(例えば、5分間)浸漬し、非加工対象物の表面にPd2+を吸着させる。(iii)次いで、還元剤に所定時間(例えば、3分間)浸漬させてPd2+を還元し、非加工対象物の表面に所定量のPd触媒を付与する。
尚、非加工対象物へのPd触媒付与量は、上記(i)〜(iii)における浸漬時間を調整したり、或いは上記(i)〜(iii)の処理を適数回繰り返し行なうことにより制御することができる。
そして、このように非加工対象物の表面にPd触媒を付与した後、純水洗浄を行なう。
一方、第2の触媒付与工程3bでは、セラミック素体や樹脂基板等の本来めっきすべき加工対象物に対し、上記(i)〜(iii)の処理を少なくとも1回施し、加工対象物の表面にPd触媒を付与し、純水洗浄を行なう。
そしてこの後、無電解めっき工程4に進み、無電解めっきを行なう。
すなわち、媒体物が内有された治具7に加工対象物を投入した後、金属製ワイヤ11で治具7を巻回し、バレル容器6内に治具を収容し、無電解めっき液が満たされた装置本体5にバレル容器6を浸漬する。そして、速度調整つまみ10を操作して速度を調整し、不図示の駆動装置を駆動させてギヤ9を回転させ、これにより該ギヤ9と噛合しているギヤ8が回転し、バレル容器6が回転し、治具7に収容されている加工対象物が治具7やバレル容器6の壁面、或いは混合ダミーと接触し、加工対象物表面で酸化還元反応が生じ、金属皮膜が析出する。
尚、無電解めっき液の組成は特に限定されるものではなく、通常、無電解めっき液に含有される物質、すなわち析出金属源となる金属塩、還元剤、錯化剤が含まれ、さらにpH調整剤や界面活性剤等が適宜含有されている。
ここで、金属塩としては、例えば、析出金属が銅の場合は、硫酸銅、酸化銅、硝酸銅等を使用することができ、析出金属がニッケルの場合は、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム等を使用することができる。
また、還元剤としては、析出金属に応じて最適な還元作用を呈する物質を使用することができ、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド化合物、ホスフィン酸ナトリウムなどのホスフィン酸塩、ジメチルアミンボランなどのホウ素化合物等を適宜使用することができる。
また、錯化剤は、析出金属の金属イオンをめっき液中で存在させて金属塩として沈殿するのを防止するために添加されるが、斯かる錯化剤としては、クエン酸、乳酸、酒石酸等のオキシカルボン酸、マロン酸、マイレン酸、コハク酸、グルタミン酸等のジカルボン酸、酢酸、グリシン等のモノカルボン酸等を適宜使用することができる。
また、pH調整剤は、無電解めっき液のpHが大幅に低下してめっき速度が低下するのを防止するために添加されるが、斯かるpH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウムやアンモニウム塩を使用することができる。
さらに、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を適宜使用することができる。
このように本実施の形態では、加工対象物と非加工対象物とを別個に触媒化処理を施すことにより、非加工対象物への触媒付与量を制御し、その後加工対象物と非加工対象物とを接触させながら無電解めっきを施しているので、前記非加工対象物の触媒付与量に応じてめっき析出速度を制御することができ、したがって加工対象物の材質や表面粗さに大きく依存することなく、所望の析出速度でめっき金属を析出させることが可能となる。
図3は本無電解めっき方法の第2の実施の形態を示す製造工程図であって、本第2の実施の形態では、第2の触媒付与工程が省略されている。
すなわち、触媒付与処理を第1の触媒付与工程3aで非加工対象物にのみ行ない、加工対象物に触媒付与処理を行なうことなく無電解めっき工程4で前記加工対象物の表面にめっき皮膜を形成している。
このように加工対象物に触媒が付与されていなくとも、非加工対象物の表面に所定量の触媒が付与されているので、非加工対象物を加工対象物に接触させることにより加工対象物の表面が触媒活性化され、該加工対象物表面に金属皮膜を析出させることが可能となる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、めっき装置の装置本体5内に1個のバレルのみを投入して無電解めっきを施しているが、2個以上のバレル容器内面にそれぞれ異なるPd触媒量を付与し、これら異なるPd触媒量が付与されたバレル容器に加工対象物を直接投入してめっき液に同時に浸漬し、バレル容器を回転させて加工対象物とバレル容器とを接触させながら無電解めっきを行なうのも好ましく、このように触媒付与量の異なる複数の容器を同時に同一のめっき浴槽に浸漬して無電解めっきを行なうことにより、異なる膜厚を有するめっき物を同時に製造することができ、生産性を大幅に向上させることが可能となる。
また、上記実施の形態ではバレル容器を回転させることにより、加工対象物と非加工対象物とを接触させているが、各種の容器を揺動又は振動等させて加工対象物と非加工対象物とを接触させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、第1及び第2の触媒付与工程3a、3bでPd触媒を付与しているが、Pt系触媒等、Pd触媒以外の触媒を使用した場合も同様に適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
加工対象物として、縦5.5mm、横23mm、厚み4.5mm(全表面積:203.8cm2)のBaTi4O9・Ba2TiO20とBaSm2Ti4O12の混合系材料からなるセラミック片を用意し、該セラミック片を濃度250mol/m3、液温70℃に調製されたフッ化水素水溶液に10分間浸漬して該セラミック片にエッチング処理を施し、表面粗化を行なった。
また、加工対象物以外の非加工対象物として、表面積(めっき液と接触する接触面積)が1094cm2の塩化ビニルで形成されたバレル容器、及び全表面積が1044cm2の塩化ビニルで形成された治具を用意し、これらバレル容器及び治具を#400のサンドペーパーで研磨し、表面粗化を行なった。
次に、バレル容器・治具に触媒付与処理を行ない、触媒付与量が異なる4種類の試料(試料番号1〜4)を作製した。すなわち、
(1)Pd触媒が付与されていない試料を用意した(試料番号1)。
(1)Pd触媒が付与されていない試料を用意した(試料番号1)。
(2)(i)触媒未付与のバレル容器・治具をカチオン性界面活性剤に5分間浸漬してバレル容器・治具の表面が正電荷を有するように調整し、 (ii) 次いで、該バレル容器・治具をパラジウム錯体溶液(パラジウム濃度:0.2kg/m3)に5分間浸漬し、負電荷が過剰となったバレル容器・治具の表面にPd2+を吸着させ、(iii)さらに還元剤に3分間浸漬させてPd2+を還元し、バレル容器・治具の表面にPd触媒を付与し、試料番号2の試料を作製した。
(3)上記(2)(i)〜(iii)と同様の処理液を使用し、上記(i)及び(ii)における処理液への浸漬時間を25分間、上記(iii)における処理液への浸漬時間を15分間とし、試料番号3の試料を作製した。
(4)上記(2)(i)〜(iii)の処理操作を2回繰り返し行ない、試料番号4の試料を作製した。
一方、加工対象物であるセラミック片についても、触媒付与処理を行ない、触媒付与量が異なる3種類の試料(試料番号5〜7)を作製した。すなわち、
(5)触媒を付与していない試料を用意した(試料番号5)。
(5)触媒を付与していない試料を用意した(試料番号5)。
(6)めっき処理に使用しないバレル容器・治具を使用して上記(2)(i)〜(iii)の処理操作を1回行ない、試料番号6の試料を作製した。
(7)めっき処理に使用しないバレル容器・治具を使用して上記(2)(i)〜(iii)の処理操作を3回繰り返して行ない、試料番号7の試料を作製した。
次に、セラミック片を治具に投入した後、該治具を容積6.0×10−3m3のバレル容器に収容すると共に、該バレル容器を下記組成を有する無電解銅めっき液に浸漬し、9.6×10−6m3/sの空気をバレル容器に供給しながらバレル容器を回転させ、これによりセラミック片とバレル容器・治具とを接触させ、無電解銅めっきを行なった。すなわち、試料番号1〜4と試料番号5〜7とを組み合わせ、下記組成を有する無電解銅めっき液を使用して80分間無電解銅めっきを行なった。同一のセラミック片(例えば、試料番号5)について、試料番号1〜4のバレル容器・治具を使用して無電解銅めっきを行ない、また、同一のバレル容器・治具(例えば、試料番号1)について、試料番号5〜7のセラミック片を使用して無電解銅めっきを行なった。
尚、めっき液が組成変化するのを防止するため、硫酸銅・五水和物、ホルムアルデヒド、及び水酸化ナトリウム濃度を10分毎に分析し、不足分を添加補充した。
〔無電解銅めっき液の組成〕
硫酸銅・五水和物:40mol/m3
硫酸ニッケル・六水和物:0.08mol/m3
酒石酸ナトリウムカリウム・四水和物(錯化剤):100mol/m3
ホルムアルデヒド(還元剤):120mol/m3
水酸化ナトリウム(pH調整剤):100mol/m3
ポリエチレングリコール(分子量:1000)(界面活性剤):1mol/m3
pH:12.7
浴温:36℃
次に、このようにしてめっき処理を行なった後、バレル容器・治具及びセラミック片のPd触媒量を定量し、またセラミック片へのCu析出速度を算出した。
硫酸銅・五水和物:40mol/m3
硫酸ニッケル・六水和物:0.08mol/m3
酒石酸ナトリウムカリウム・四水和物(錯化剤):100mol/m3
ホルムアルデヒド(還元剤):120mol/m3
水酸化ナトリウム(pH調整剤):100mol/m3
ポリエチレングリコール(分子量:1000)(界面活性剤):1mol/m3
pH:12.7
浴温:36℃
次に、このようにしてめっき処理を行なった後、バレル容器・治具及びセラミック片のPd触媒量を定量し、またセラミック片へのCu析出速度を算出した。
すなわち、バレル容器・治具及びセラミック片を、濃度が約30wt%の硝酸水溶液に20分間浸漬し、ICP−AES(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometer:誘導結合プラズマ発光分光分析装置)(セイコー電子工業社製SPS4000)で単位面積当たりの吸着量を定量した。
図4はバレル容器・治具(試料番号1〜4)をパラメータとし、セラミック片のPd吸着量とセラミック片のCu析出速度を示した特性図であり、横軸はセラミック片のPd吸着量(kg/m2)を示し、縦軸はCu析出速度(m/min)を示している。図中、◆印は試料番号1、■印は試料番号2、●印は試料番号3、及び×印は試料番号4である。
この図4から明らかなようにバレル容器・治具のPd吸着量を一定とし、セラミック片のPd吸着量を制御した場合は、該セラミック片のPd吸着量の差異によりセラミック片へのCu析出速度のバラツキが大きくなる。すなわち、各試料番号1〜4の直線の勾配は7.0×10−4〜1.6×10−3と大きく、したがってセラミック片のPd吸着量が少ない場合は、Cu析出速度は遅いが、セラミック片のPd吸着量が多くなるとCu析出速度が速くなる。例えば、試料番号1〜4のうち、直線の勾配が最も小さい試料番号1でもセラミック片のPd吸着量が15×10−7kg/m2、及び50×10−7kg/m2の場合、セラミック片へのCu析出速度はそれぞれ0.011×10−6m/min、0.035×10−6m/minであり、その差が0.024×10−6m/minとなり、また試料番号4ではセラミック片のPd吸着量が15×10−7kg/m2、及び50×10−7kg/m2の場合、セラミック片へのCu析出速度はそれぞれ0.033×10−6m/min、0.089×10−6m/minであり、その差が0.056×10−6m/minとなり、Cu析出速度はPd吸着量によって大きなバラツキが生じている。
一方、図5はセラミック片(試料番号5〜7)をパラメータとし、バレル容器・治具のPd吸着量とセラミック片のCu析出速度を示した特性図であり、横軸はバレル容器・治具のPd吸着量(kg/m2)を示し、縦軸はCu析出速度(m/min)を示している。図中、◆印は試料番号5、■印は試料番号6、●印は試料番号7である。
この図5から明らかなようにセラミック片のPd吸着量を一定とし、バレル容器・治具のPd吸着量を制御した場合は、Cu析出速度のバラツキが小さくなる。すなわち、各試料番号5〜7の直線の勾配は3.0×10−5〜2.0×10−4と小さく、したがってセラミック片のPd吸着量に大きな差異があってもCu析出速度に大きな差異は生じない。例えば、試料番号5〜7のうち、直線の勾配が最も大きな試料番号7でもセラミック片のPd吸着量が130×10−7kg/m2、及び250×10−7kg/m2の場合、セラミック片へのCu析出速度は0.063×10−6m/min、0.087×10−6m/minであり、その差が0.024×10−6m/minとなり、試料番号5ではセラミック片のPd吸着量が130×10−7kg/m2、及び250×10−7kg/m2の場合、セラミック片へのCu析出速度は0.004×10−6m/min、0.008×10−6m/minであり、その差が0.004×10−6m/minとなり、したがってバレル容器・治具のPd吸着量を制御した場合は、セラミック片のPd吸着量を制御した場合に比べ、Cu析出速度のバラツキを抑制することができ、Cu析出速度を精度良く制御することができる。
また、試料番号5から明らかなように非加工対象物であるバレル容器や治具にPd触媒を付与することにより、セラミック片にPd触媒を付与しなくともバレル容器の回転によりセラミック片がバレル容器や治具と接触してセラミック片の表面が触媒活性化され、これによりセラミック片にCuを析出させることが可能であることが分った。
加工対象物として、実施例1と同様、縦5.5mm、横23mm、厚み4.5mmのBaTi4O9・Ba2TiO20とBaSm2Ti4O12の混合系材料からなるセラミック片を多数用意し、該セラミック片を、実施例1と同様、濃度250mol/m3、液温70℃に調製されたフッ化水素水溶液に10分間浸漬して該セラミック片にエッチング処理を施し、表面粗化を行なった。
また、非加工対象物として、図6に示すような表面積が980cm2の六角柱の塩化ビニルで形成されたバレル容器12を用意し、これらバレル容器を#400のサンドペーパーで研磨し、表面粗化を行なった。尚、図6では図示省略しているが、バレル容器には表面に多数の孔が貫設されている。
次に、バレル容器に触媒付与処理を行ない、4種類の触媒付与量が異なる試料番号11〜14の試験片を作製した。すなわち、
(1)触媒を付与していない試料番号11の試料を用意した(Pd吸着量:0)。
(1)触媒を付与していない試料番号11の試料を用意した(Pd吸着量:0)。
(2)実施例1における(2)と同様の触媒付与処理をバレル容器に行い、試料番号12の試料を作製した(Pd吸着量:130×10−7kg/m2)。
(3)実施例1における(3)と同様の触媒付与処理をバレル容器に行い、試料番号13の試験片を作製した(Pd吸着量:200×10−7kg/m2)。
(4)実施例1における(4)と同様の触媒付与処理をバレル容器に行い、試料番号14の試験片を作製した(Pd吸着量:250×10−7kg/m2)。
一方、セラミック片については、めっき処理に使用しないバレル容器を使用して上記(2)の処理操作を1回行なった(Pd吸着量:15×10−7kg/m2)。
次に、セラミック片を試料番号11〜14の4種類のバレル容器にそれぞれ投入し(1バレル当たりのセラミック片の全表面積:25.5cm2)、図7に示すように、これら4種類のバレル容器12を、不図示のギヤを介して回転可能となるようにセッティングし、無電解銅めっき液が満たされためっき槽に投入した。そして、このバレル容器12を回転させてセラミック片とバレル容器とを接触させ、実施例1と同様、80分間無電解銅めっきを行なった。
尚、めっき液が組成変化するのを防止するため、実施例1と同様、硫酸銅・五水和物銅、ホルムアルデヒド、及び水酸化ナトリウム濃度を10分毎に分析し、不足分を添加補充した。
次に、このようにめっき処理後、実施例1と同様、セラミック片へのCuの析出速度を算出した。
図8は非加工対象物であるバレル容器のPd吸着量と加工対象物であるセラミック片へのCu析出速度を示した特性図であり、横軸はバレル容器のPd吸着量(kg/m2)を示し、縦軸はセラミック片へのCu析出速度(m/min)を示している。
この図8から明らかなようにセラミック片の触媒付与量が同一であっても(15×10−7kg/m2)、バレル容器の触媒付与量を異ならせることにより、Cu析出速度が変化し、したがってバレル容器の触媒付与量によりCu析出速度を制御することができることが分かった。
すなわち、この実施例2により触媒付与量の異なるバレル容器を複数組み合わせてめっき処理を行うことにより、1回のめっき処理で異なる膜厚を有するセラミック片を得ることのできることが確認された。
加工対象物として、縦3mm、横4mm、厚み2mmのアクリル樹脂片を多数用意し(総表面積5.2cm2)、該アクリル樹脂片を、#600のサンドペーパーで研磨し、表面を粗化した。
また、非加工対象物として、実施例2と同様、表面積が980cm2の六角柱の塩化ビニルで形成されたバレル容器を用意し、これらバレル容器を#400のサンドペーパーで研磨し、表面粗化を行なった。
さらに、非加工対象物として、縦3mm、横3mm、厚み5mmのセラミック製混合ダミーを用意し(624cm2)、濃度250mol/m3、液温70℃に調製されたフッ化水素水溶液に10分間浸漬して該混合ダミーにエッチング処理を施し、表面粗化を行なった。
次に、めっき処理に使用しないバレル容器に混合ダミーを投入し、該混合ダミーに触媒付与処理を行なって3種類の触媒付与量が異なる試料番号21〜23の試料を作製した。すなわち、
(1)実施例1における(2)(i)〜(iii)の処理操作を1回行ない、試料番号21の試料を作製した。
(1)実施例1における(2)(i)〜(iii)の処理操作を1回行ない、試料番号21の試料を作製した。
(2)実施例1における(2)(i)〜(iii)の処理操作を2回繰り返し行ない、試料番号22の試料を作製した。
(3)実施例1における(2)(i)〜(iii)の処理操作を3回繰り返し行ない、試料番号23の試料を作製した。
一方、アクリル樹脂片については、めっき処理に使用しないバレル容器を使用して実施例1における(2)(i)〜(iii)の処理操作を1回行なった。
尚、めっき処理に供されるバレル容器には触媒付与処理を行わなかった。
次に、アクリル樹脂片を試料番号21〜23の混合ダミーと共にバレル容器に投入し、図9に示すように、これら3種類のバレル容器12を、不図示のギヤを介して回転可能となるようにセッティングし、無電解銅めっき液が満たされためっき浴槽に投入した。そして、このバレル容器12を回転させてアクリル片と混合ダミーとを接触させ、実施例1と同様、80分間無電解銅めっきを行なった。
尚、めっき液が組成変化するのを防止するため、実施例1と同様、硫酸銅・五水和物銅、ホルムアルデヒド、及び水酸化ナトリウム濃度を10分毎に分析し、不足分を添加補充した。
次に、このようにめっき処理後、実施例1と同様の方法・手順で混合ダミー及びアクリル樹脂片のPd付与量を定量し、またアクリル樹脂片へのCuの析出速度を算出した。
表2は混合ダミー及びアクリル樹脂片のPd吸着量を示している。
また、図10は混合ダミーとアクリル片へのCu析出速度を示した特性図であり、横軸は混合ダミーのPd吸着量(kg/m2)を示し、縦軸はCu析出速度(m/min)を示している。
この図10から明らかなようにアクリル樹脂片の触媒付与量が同一であっても(7×10−7kg/m2)、混合ダミーの触媒付与量を異ならせることにより、Cu析出速度が変化し、したがって混合ダミーの触媒付与量によりCu析出速度を制御することができることが分かった。
すなわち、この実施例3により触媒付与量の異なる混合ダミーを複数のバレル容器にそれぞれ投入し、これら複数のバレル容器を同一のめっき槽に入れてめっき処理を行うことにより、1回のめっき処理で異なる膜厚を有する加工対象物を得ることができることが確認された。
3a 第1の触媒付与工程
3b 第2の触媒付与工程
4 無電解めっき工程
3b 第2の触媒付与工程
4 無電解めっき工程
Claims (7)
- 被めっき物に触媒化処理を施した後、還元剤を含有した無電解めっき液に前記被めっき物を浸漬し、無電解めっき処理を施す無電解めっき方法において、
前記被めっき物が、めっき処理されるべき加工対象物と該加工対象物以外の非加工対象物とを含み、
前記触媒化処理で前記非加工対象物への触媒付与量を制御し、しかる後、前記加工対象物と前記非加工対象物とを接触させながら無電解めっきを行なうことを特徴とする無電解めっき方法。 - 前記触媒化処理は、前記加工対象物と前記非加工対象物とについて別個に触媒を付与することを特徴とする請求項1記載の無電解めっき方法。
- 前記触媒化処理は、前記非加工対象物のみに触媒を付与することを特徴とする請求項1記載の無電解めっき方法。
- 前記非加工対象物が、前記加工対象物を収容する複数の容器を含み、前記複数の容器が異なる触媒付与量を有するように前記触媒化処理を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無電解めっき方法。
- 前記非加工対象物が、前記加工対象物に混入される媒体物を含み、前記媒体物が異なる触媒付与量を有するように前記触媒化処理を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の無電解めっき方法。
- 前記触媒化処理で付与される触媒金属は、パラジウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の無電解めっき方法。
- 前記加工対象物の表面に銅皮膜を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の無電解めっき方法。
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JP2009144194A (ja) * | 2007-12-13 | 2009-07-02 | Tokai Rubber Ind Ltd | 多層金属めっき基材の製造方法および金属めっき基材 |
WO2016163319A1 (ja) * | 2015-04-06 | 2016-10-13 | 三菱電機株式会社 | 半導体素子及びその製造方法 |
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2004
- 2004-01-14 JP JP2004006711A patent/JP2005200687A/ja active Pending
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US10262960B2 (en) | 2015-04-06 | 2019-04-16 | Mitsubishi Electric Corporation | Semiconductor element having a warped surface and production method thereof |
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