しかしながら、第1の従来例においては、第1のゲート電極13a上にもシリサイドが形成されなくなるため、入出力トランジスタのゲート電極抵抗が増大してしまうという問題がある。
ところで、特開平11−126900号公報(以下、第2の従来例と称する)は、入出力トランジスタのゲート電極側面に第1の側壁絶縁膜を介して第2の側壁絶縁膜を形成し、それにより、入出力トランジスタのソース領域及びドレイン領域となる高濃度不純物領域の表面のうち第2の側壁絶縁膜の下側の領域に金属シリサイド層が形成されることを防止する方法を開示している。ところが、第2の従来例によると、内部トランジスタ形成領域において、ソース領域及びドレイン領域となる高濃度不純物領域表面に金属シリサイド層が形成されるばかりでなく、接合深さが浅い低濃度不純物領域の表面にも金属シリサイド層が形成されてしまい、その結果、内部トランジスタにおいて接合リーク電流が増大してしまうという問題がある。
前記に鑑み、本発明は、ゲート電極表面と、ソース領域及びドレイン領域となる高濃度不純物領域表面とに金属シリサイド層が形成され且つ高濃度不純物領域の一部に抵抗素子となる非シリサイド領域が設けられたトランジスタを実現できるようにすることを第1の目的とし、内部トランジスタにおける接合リーク電流の増大を防止しつつ入出力トランジスタにおいて前記第1の目的を達成することを第2の目的とする。
本発明に係る第1の半導体装置は、同一の半導体基板上に第1のMIS型トランジスタと第2のMIS型トランジスタとを有する半導体装置であって、前記第1のMIS型トランジスタは、前記半導体基板の第1のトランジスタ形成領域の上に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の側面に形成された第1の側壁絶縁膜と、前記第1のトランジスタ形成領域における前記第1の側壁絶縁膜の下側に形成された第1の低濃度不純物領域と、前記第1のトランジスタ形成領域における前記第1のゲート電極の外側に前記第1の低濃度不純物領域と隣接するように形成された第1の高濃度不純物領域と、前記第1の側壁絶縁膜をマスクとして前記第1の高濃度不純物領域の表面に形成された第1の金属シリサイド層とを備え、前記第2のMIS型トランジスタは、前記半導体基板の第2のトランジスタ形成領域の上に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の側面に形成された第2の側壁絶縁膜と、前記第2のトランジスタ形成領域における前記第2の側壁絶縁膜の下側に形成された第2の低濃度不純物領域と、前記第2のトランジスタ形成領域における前記第2のゲート電極の外側に前記第2の低濃度不純物領域と隣接するように形成された第2の高濃度不純物領域と、前記第2の高濃度不純物領域における前記第2の低濃度不純物領域に近接する領域の上で且つ前記第2の側壁絶縁膜の側面に形成された第3の側壁絶縁膜と、前記第2の側壁絶縁膜及び前記第3の側壁絶縁膜をマスクとして前記第2の高濃度不純物領域の表面に形成された第2の金属シリサイド層とを備えている。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第2の金属シリサイド層は、前記第2の高濃度不純物領域における前記第3の側壁絶縁膜の下側の部分以外の表面に形成されていてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第2の高濃度不純物領域における前記第3の側壁絶縁膜の下側以外の部分の深さは、前記第2の高濃度不純物領域における前記第3の側壁絶縁膜の下側の部分の深さよりも深くてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第1の側壁絶縁膜及び前記第2の側壁絶縁膜は、第1の絶縁膜からなり、前記第3の側壁絶縁膜は、第2の絶縁膜からなっていてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第2の高濃度不純物領域のうち抵抗素子形成領域の上側に形成されたシリサイド化防止パターンをさらに備え、前記第2の金属シリサイド層は、前記第2の高濃度不純物領域における前記第3の側壁絶縁膜及び前記シリサイド化防止パターンのそれぞれの下側の部分以外の表面に形成されていてもよい。この場合、前記第2の高濃度不純物領域における前記第3の側壁絶縁膜及び前記シリサイド化防止パターンのそれぞれの下側以外の部分の深さは、前記第2の高濃度不純物領域における前記第3の側壁絶縁膜及び前記シリサイド化防止パターンのそれぞれの下側の部分の深さよりも深くてもよい。或いは、前記第1の側壁絶縁膜及び前記第2の側壁絶縁膜は、第1の絶縁膜からなり、前記第3の側壁絶縁膜及び前記シリサイド化防止パターンは、第2の絶縁膜からなっていてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第1の側壁絶縁膜は、前記第1のゲート電極の側面に形成された第1のオフセットスペーサ上に形成されていてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第2の側壁絶縁膜は、前記第2のゲート電極の側面に形成された第2のオフセットスペーサ上に形成されていてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第1のゲート電極の表面には、前記第1の金属シリサイド層が形成されており、前記第2のゲート電極の表面には、前記第2の金属シリサイド層が形成されていてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置において、前記第1のMIS型トランジスタは、内部トランジスタであり、前記第2のMIS型トランジスタは、入出力トランジスタであってもよい。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、半導体基板を第1のトランジスタ形成領域と第2のトランジスタ形成領域とに区画する工程(a)と、前記第1のトランジスタ形成領域の上に第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を形成する工程(b)と、前記第2のトランジスタ形成領域の上に、第2のゲート絶縁膜を介して第2のゲート電極を形成する工程(c)と、前記第1のゲート電極をマスクとして前記第1のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第1の低濃度不純物領域を形成する工程(d)と、前記第2のゲート電極をマスクとして前記第2のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第2の低濃度不純物領域を形成する工程(e)と、前記工程(d)及び前記工程(e)の後に、前記半導体基板の上に全面に亘って第1の絶縁膜を形成する工程(f)と、前記第1の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、前記第1のゲート電極の側面に第1の側壁絶縁膜を形成すると共に前記第2のゲート電極の側面に第2の側壁絶縁膜を形成する工程(g)と、前記第1のゲート電極及び第1の側壁絶縁膜をマスクとして前記第1のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第1の高濃度不純物領域を形成する工程(h)と、前記第2のゲート電極及び第2の側壁絶縁膜をマスクとして前記第2のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第2の高濃度不純物領域を形成する工程(i)と、前記工程(h)及び前記工程(i)の後に、前記半導体基板の上に全面に亘って第2の絶縁膜を形成する工程(j)と、前記第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、前記第2の側壁絶縁膜の側面に第3の側壁絶縁膜を形成する工程(k)と、前記工程(k)の後に、前記第1の側壁絶縁膜をマスクとして前記第1の高濃度不純物領域の表面に第1の金属シリサイド層を形成するとともに、前記第2の側壁絶縁膜及び前記第3の側壁絶縁膜をマスクとして前記第2の高濃度不純物領域の表面に第2の金属シリサイド層を形成する工程(l)とを備えている。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、前記工程(k)は、前記第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、前記第3の側壁絶縁膜を形成するとともに前記第1の側壁絶縁膜の側面に第4の側壁絶縁膜を形成する第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記第4の側壁絶縁膜を選択的に除去する第2の工程とを含んでいてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、前記工程(k)は、前記第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、前記第3の側壁絶縁膜を形成するとともに前記第1のトランジスタ形成領域を覆う前記第2の絶縁膜を残存させる第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記第1のトランジスタ形成領域の上に残存する前記第2の絶縁膜を選択的に除去する第2の工程とを含んでいてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、前記工程(k)は、前記第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、前記第3の側壁絶縁膜を形成するとともに前記第2の高濃度不純物領域のうち抵抗素子形成領域の上側にシリサイド化防止パターンを形成する工程を含み、前記工程(l)は、前記第2の側壁絶縁膜、前記第3の側壁絶縁膜及び前記シリサイド化防止パターンをマスクとして前記第2の高濃度不純物領域の表面に前記第2の金属シリサイド層を形成する工程を含んでいてもよい。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、前記工程(k)の後で前記工程(l)の前に、前記第2のゲート電極、前記第2の側壁絶縁膜及び前記第3の側壁絶縁膜をマスクとして前記第2のトランジスタ形成領域に対して選択的にイオン注入を行なう工程をさらに備えていてもよい。
前記の第1の目的を達成するために、本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、半導体基板の上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極をマスクとして半導体基板に対してイオン注入を行なうことにより低濃度不純物領域を形成する工程と、低濃度不純物領域が形成された半導体基板の上に全面に亘って第1の絶縁膜を堆積する工程と、第1の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、ゲート電極の側面に第1の側壁絶縁膜を形成する工程と、ゲート電極及び第1の側壁絶縁膜をマスクとして半導体基板に対してイオン注入を行なうことにより高濃度不純物領域を形成する工程と、高濃度不純物領域が形成された半導体基板の上に全面に亘って第2の絶縁膜を堆積する工程と、第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、高濃度不純物領域における低濃度不純物領域に近接する領域の上で且つ第1の側壁絶縁膜の側面に第2の側壁絶縁膜を形成する工程と、第1の側壁絶縁膜及び第2の側壁絶縁膜をマスクとして、半導体基板及びゲート電極の各表面における露出した領域に選択的に金属シリサイド層を形成する工程とを備えている。
第2の半導体装置の製造方法によると、半導体基板におけるゲート電極の両側に低濃度不純物領域を形成した後、ゲート電極の側面に第1の側壁絶縁膜を形成し、その後、半導体基板におけるゲート電極の両側に低濃度不純物領域と隣接するように高濃度不純物領域を形成する。その後、ゲート電極の側面に第1の側壁絶縁膜を介して第2の側壁絶縁膜を形成した後、第1の側壁絶縁膜及び第2の側壁絶縁膜をマスクとして、半導体基板及びゲート電極のそれぞれの露出部分に金属シリサイド層を選択的に形成する。すなわち、ゲート電極上に金属シリサイド層を形成してゲート電極を低抵抗化できる。また、高濃度不純物領域のうち第2の側壁絶縁膜の下側以外の部分に金属シリサイド層を自己整合的に形成できるため、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側の部分は、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。
第2の半導体装置の製造方法において、第2の側壁絶縁膜を形成する工程と金属シリサイド層を形成する工程との間に、ゲート電極、第1の側壁絶縁膜及び第2の側壁絶縁膜をマスクとして半導体基板に対してイオン注入を行なうことにより、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側以外の部分の深さを、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側の部分の深さよりも深くする工程をさらに備えていることが好ましい。
このようにすると、半導体基板上に形成される金属シリサイド層が、高濃度不純物領域における接合深さが相対的に深い部分の表面のみに形成されるので、金属シリサイド層形成に起因した接合リーク電流の増大を確実に抑制できる。また、高濃度不純物領域における接合深さが相対的に深い部分は、第1の側壁絶縁膜及び第2の側壁絶縁膜によってMIS型トランジスタのチャネル領域から離されているため、高濃度不純物領域からの空乏層の広がりに起因してトランジスタ特性の変動(つまり短チャネル効果)が増大することを抑制できる。
第2の半導体装置の製造方法において、第2の絶縁膜を堆積する工程と第2の側壁絶縁膜を形成する工程との間に、第2の絶縁膜における高濃度不純物領域のうち抵抗素子形成領域の上側に堆積された部分を覆うようにレジストパターンを形成する工程をさらに備え、第2の側壁絶縁膜を形成する工程は、レジストパターンをマスクとして第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、抵抗素子形成領域の上に第2の絶縁膜を残存させる工程を含むことが好ましい。
このようにすると、高濃度不純物領域のうち、第2の側壁絶縁膜及び残存する第2の絶縁膜のそれぞれの下側以外の部分に金属シリサイド層を自己整合的に形成できる。このため、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側の部分(第1抵抗素子)、及び高濃度不純物領域における残存する第2の絶縁膜の下側の部分(第2抵抗素子)はそれぞれ、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。また、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子の抵抗値の設計自由度を増大させることができる。さらに、第1抵抗素子及び第2抵抗素子がMIS型トランジスタに対して直列に接続された本構造においては、MIS型トランジスタのチャネル領域から、高濃度不純物領域上に設けられるコンタクトホールまでの間の抵抗値は、低濃度不純物領域の抵抗(R1)と、高濃度不純物領域における第1抵抗素子の抵抗(R2)と、高濃度不純物領域における第1抵抗素子と第2抵抗素子との間の部分(金属シリサイド層が形成されている部分)の抵抗(R3)と、高濃度不純物領域における第2抵抗素子の抵抗(R4)と、高濃度不純物領域における第2抵抗素子とコンタクトホールとの間の部分(金属シリサイド層が形成されている部分)の抵抗(R5)との合成抵抗(R1+R2+R3+R4+R5)となる。ここで、R1、R2、R4及びR3+R5の値はそれぞれ、第2抵抗素子を形成するためのレジストパターン形成工程における合わせずれに依存しないため、レジストパターン形成工程におけるアライメントのばらつきに起因する抵抗変動を抑制できる。
第2の半導体装置の製造方法において、ゲート電極を形成する工程と低濃度不純物領域を形成する工程との間に、ゲート電極の側面にオフセットスペーサを形成する工程をさらに備え、低濃度不純物領域を形成する工程は、ゲート電極及びオフセットスペーサをマスクとして半導体基板に対してイオン注入を行なうことにより低濃度不純物領域を形成する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、ゲート電極とソース・ドレイン領域とのオーバーラップ長を短くできるため、ゲート電極とソース・ドレイン領域との間に生じるオーバーラップ容量を低減できるので、MIS型トランジスタの寄生容量を低減でき、それによって回路動作速度を向上させることができる。
前記の第2の目的を達成するために、本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、半導体基板に分離絶縁膜を形成することによって、第1のトランジスタ形成領域と第2のトランジスタ形成領域とを区画する工程と、第1のトランジスタ形成領域の上に第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を形成する工程と、第2のトランジスタ形成領域の上に、第2のゲート絶縁膜を介して第2のゲート電極を形成する工程と、第1のゲート電極をマスクとして第1のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第1の低濃度不純物領域を形成する工程と、第2のゲート電極をマスクとして第2のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第2の低濃度不純物領域を形成する工程と、第1の低濃度不純物領域及び第2の低濃度不純物領域が設けられた半導体基板の上に全面に亘って第1の絶縁膜を堆積する工程と、第1の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、第1のゲート電極の側面に第1の側壁絶縁膜を形成すると共に第2のゲート電極の側面に第2の側壁絶縁膜を形成する工程と、第1のゲート電極及び第1の側壁絶縁膜をマスクとして第1のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第1の高濃度不純物領域を形成する工程と、第2のゲート電極及び第2の側壁絶縁膜をマスクとして第2のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより第2の高濃度不純物領域を形成する工程と、第1の高濃度不純物領域及び第2の高濃度不純物領域が形成された半導体基板の上に全面に亘って第2の絶縁膜を堆積する工程と、第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、第2の高濃度不純物領域における第2の低濃度不純物領域に近接する領域の上で且つ第2の側壁絶縁膜の側面に第3の側壁絶縁膜を形成する工程と、分離絶縁膜、第1の側壁絶縁膜、第2の側壁絶縁膜及び第3の側壁絶縁膜をマスクとして、第1のトランジスタ形成領域、第2のトランジスタ形成領域、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の各表面における露出した領域に選択的に金属シリサイド層を形成する工程とを備えている。
第3の半導体装置の製造方法によると、第1のトランジスタ形成領域における第1のゲート電極の両側に第1の低濃度不純物領域を形成すると共に、第2のトランジスタ形成領域における第2のゲート電極の両側に第2の低濃度不純物領域を形成した後、第1のゲート電極の側面に第1の側壁絶縁膜を形成すると共に第2のゲート電極の側面に第2の側壁絶縁膜を形成する。その後、第1のトランジスタ形成領域における第1のゲート電極の両側に第1の低濃度不純物領域と隣接するように第1の高濃度不純物領域を形成すると共に、第2のトランジスタ形成領域における第2のゲート電極の両側に第2の低濃度不純物領域と隣接するように第2の高濃度不純物領域を形成する。その後、第2のゲート電極の側面に第2の側壁絶縁膜を介して第3の側壁絶縁膜を形成した後、分離絶縁膜、第1の側壁絶縁膜、第2の側壁絶縁膜及び第3の側壁絶縁膜をマスクとして、半導体基板、第1のゲート電極及び第2のゲート電極のそれぞれの露出部分に金属シリサイド層を選択的に形成する。すなわち、第1のトランジスタ(例えば内部トランジスタ)の第1のゲート電極及び第1の高濃度不純物領域、並びに第2のトランジスタ(例えば入出力トランジスタ)の第2のゲート電極をそれぞれシリサイド化して低抵抗化できる。また、入出力トランジスタの第2の高濃度不純物領域のうち第3の側壁絶縁膜の下側以外の部分に金属シリサイド層を自己整合的に形成できるため、第2の高濃度不純物領域における第3の側壁絶縁膜の下側の部分は、入出力トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。さらに、半導体基板表面において金属シリサイド層が第1及び第2の高濃度不純物領域の外側に形成されることがないので、内部トランジスタ及び入出力トランジスタのいずれにおいても接合リーク電流の増大を防止できる。
第3の半導体装置の製造方法において、第3の側壁絶縁膜を形成する工程は、第1の高濃度不純物領域における第1の低濃度不純物領域に近接する領域の上で且つ第1の側壁絶縁膜の側面に第4の側壁絶縁膜を形成する工程を含み、第3の側壁絶縁膜を形成する工程と金属シリサイド層を形成する工程との間に、第2のトランジスタ形成領域を覆うレジストパターンをマスクとして第4の側壁絶縁膜を選択的に除去した後、レジストパターンを除去する工程をさらに備えていることが好ましい。
このようにすると、第1のトランジスタ形成領域の第4の側壁絶縁膜を除去するのに必要な、第2のトランジスタ形成領域を覆うレジストパターンを形成するためのリソグラフィー工程を行なうだけで、第3の半導体装置の製造方法を簡単に実施できる。尚、このとき、第4の側壁絶縁膜となる第2の絶縁膜の材料として、分離絶縁膜、又は第1の側壁絶縁膜となる第1の絶縁膜に対して高い選択比でウェットエッチングを行なえる材料を選ぶことが好ましい。このようにすると、第4の側壁絶縁膜に対してウェットエッチングを行なうときに、分離絶縁膜又は第1の側壁絶縁膜の削れを防止できる。
第3の半導体装置の製造方法において、第3の側壁絶縁膜を形成する工程は、第1のトランジスタ形成領域を覆う第1のレジストパターンをマスクとして第2の絶縁膜に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、第3の側壁絶縁膜を形成した後、第1のレジストパターンを除去する工程を含み、第3の側壁絶縁膜を形成する工程と金属シリサイド層を形成する工程との間に、第2のトランジスタ形成領域を覆う第2のレジストパターンをマスクとして、第2の絶縁膜における第1のトランジスタ形成領域の上に残存する部分を選択的に除去した後、第2のレジストパターンを除去する工程をさらに備えていることが好ましい。
このようにすると、第2のトランジスタ形成領域の第3の側壁絶縁膜を形成するのに必要な第1のレジストパターンを形成するためのリソグラフィー工程を行なうと共に、第2の絶縁膜における第1のトランジスタ形成領域の上に残存する部分を除去するのに必要な第2のレジストパターンを形成するためのリソグラフィー工程を行なう必要がある。その一方、第1のトランジスタ形成領域に第4の側壁絶縁膜を形成した場合に必要となる、第4の側壁絶縁膜に対する選択的ウェットエッチングが不要となるため、ウェットエッチング工程におけるプロセスマージンを増大させることができ、それによって例えば分離絶縁膜の削れを防止できる。
また、このとき、第1のレジストパターンは、第2の絶縁膜における第2の高濃度不純物領域のうち抵抗素子形成領域の上側に堆積された部分を覆うように形成されており、第3の側壁絶縁膜を形成する工程は、抵抗素子形成領域の上に第2の絶縁膜を残存させる工程を含むことが好ましい。
このようにすると、第2の絶縁膜における第2の高濃度不純物領域のうち抵抗素子形成領域の上側に堆積された部分を覆うように第1のレジストパターンを形成しておくだけで、該抵抗素子形成領域の上に残存する第2の絶縁膜をマスクとして金属シリサイド層を形成できる。このため、第2の高濃度不純物領域における残存する第2の絶縁膜の下側の部分を、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として形成することが容易になり、それによってESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることが簡単にできる。
第3の半導体装置の製造方法において、第3の側壁絶縁膜を形成する工程と金属シリサイド層を形成する工程との間に、第1のトランジスタ形成領域を覆うレジストパターン、第2のゲート電極、第2の側壁絶縁膜及び第3の側壁絶縁膜をマスクとして第2のトランジスタ形成領域に対してイオン注入を行なうことにより、第2の高濃度不純物領域における第3の側壁絶縁膜の下側以外の部分の深さを、第2の高濃度不純物領域における第3の側壁絶縁膜の下側の部分の深さよりも深くする工程をさらに備えていることが好ましい。
このようにすると、第2の高濃度不純物領域上に形成される金属シリサイド層が、第2の高濃度不純物領域における接合深さが相対的に深い部分の表面のみに形成されるので、金属シリサイド層形成に起因した接合リーク電流の増大を確実に抑制できる。また、第2の高濃度不純物領域における接合深さが相対的に深い部分は、第2の側壁絶縁膜及び第3の側壁絶縁膜によってMIS型トランジスタ(第2のトランジスタ)のチャネル領域から離されているため、第2の高濃度不純物領域からの空乏層の広がりに起因してトランジスタ特性の変動(つまり短チャネル効果)が増大することを抑制できる。
本発明に係る第2の半導体装置は、半導体基板のトランジスタ形成領域の上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、ゲート電極の側面に形成された第1の側壁絶縁膜と、トランジスタ形成領域における第1の側壁絶縁膜の下側に形成された低濃度不純物領域と、トランジスタ形成領域におけるゲート電極の外側に低濃度不純物領域と隣接するように形成された高濃度不純物領域とを有するMIS型トランジスタを備え、高濃度不純物領域における低濃度不純物領域に近接する領域の上で且つ第1の側壁絶縁膜の側面に第2の側壁絶縁膜が形成されており、ゲート電極の表面、及び高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側以外の部分の表面に金属シリサイド層が形成されている。
すなわち、本発明の第2の半導体装置は、本発明に係る第2の半導体装置の製造方法を用いることによって得られる半導体装置であるので、該第2の半導体装置の製造方法と同様の効果が得られる。具体的には、MIS型トランジスタ(例えば入出力トランジスタ)のゲート電極はシリサイド化されて低抵抗化されている。また、MIS型トランジスタの高濃度不純物領域のうち第2の側壁絶縁膜の下側以外の部分がシリサイド化されているため、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側の部分は、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。
本発明の第2の半導体装置において、金属シリサイド層は、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側以外の部分の表面に不連続的に設けられていることが好ましい。
このようにすると、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側の部分(第1抵抗素子)に加えて、高濃度不純物領域における金属シリサイド層が設けられていない他の部分(第2抵抗素子)がそれぞれ、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。また、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子の抵抗値の設計自由度を増大させることができる。
本発明の第2の半導体装置において、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側以外の部分の深さは、高濃度不純物領域における第2の側壁絶縁膜の下側の部分の深さよりも深いことが好ましい。
このようにすると、高濃度不純物領域上に形成される金属シリサイド層が、高濃度不純物領域における接合深さが相対的に深い部分の表面のみに形成されているので、金属シリサイド層形成に起因した接合リーク電流の増大を確実に抑制できる。また、高濃度不純物領域における接合深さが相対的に深い部分は、第1の側壁絶縁膜及び第2の側壁絶縁膜によってMIS型トランジスタのチャネル領域から離されているため、高濃度不純物領域からの空乏層の広がりに起因してトランジスタ特性の変動(つまり短チャネル効果)が増大することを抑制できる。
本発明に係る第2の半導体装置において、半導体基板の他のトランジスタ形成領域の上に形成されており且つ前記のゲート絶縁膜よりも薄い他のゲート絶縁膜と、他のゲート絶縁膜上に形成された他のゲート電極と、他のゲート電極の側面に形成された他の側壁絶縁膜と、他のトランジスタ形成領域における他の側壁絶縁膜の下側に形成された他の低濃度不純物領域と、他のトランジスタ形成領域における他のゲート電極の外側に他の低濃度不純物領域と隣接するように形成された他の高濃度不純物領域とを有する他のMIS型トランジスタをさらに備え、他のゲート電極及び他の高濃度不純物領域の各表面に他の金属シリサイド層が形成されていてもよい。
本発明によると、ゲート電極上に金属シリサイド層を形成してゲート電極を低抵抗化できると共に、高濃度不純物領域のうちゲート電極の近傍部分以外の部分に金属シリサイド層を自己整合的に形成できる。このため、高濃度不純物領域におけるゲート電極の近傍部分は、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。
また、本発明によると、内部トランジスタのゲート電極及び高濃度不純物領域、並びに入出力トランジスタのゲート電極をそれぞれシリサイド化して低抵抗化できると共に、入出力トランジスタの高濃度不純物領域のうちゲート電極の近傍部分以外の部分に金属シリサイド層を自己整合的に形成できる。このため、入出力トランジスタの高濃度不純物領域におけるゲート電極の近傍部分は、入出力トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。また、半導体基板表面において金属シリサイド層が各トランジスタの高濃度不純物領域の外側に形成されることがないので、内部トランジスタ及び入出力トランジスタのいずれにおいても接合リーク電流の増大を防止できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、n型MISFETを例として図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(g)は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図1(a)に示すように、p型のシリコン基板100に、シリコン酸化膜からなる分離絶縁膜101を形成することによって、トランジスタ形成領域を区画した後、周知の方法を使用して、シリコン基板100の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ2nm程度のゲート絶縁膜102を形成し、その後、ゲート絶縁膜102の上に、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度のゲート電極103を形成する。次に、ゲート電極103をマスクとしてシリコン基板100に対してイオン注入を行なうことによりn型の低濃度不純物領域104を形成する。
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板100の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン窒化膜105Aを堆積した後、シリコン窒化膜105Aに対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図1(c)に示すように、ゲート電極103の側面に、シリコン窒化膜からなる第1のサイドウォールスペーサ105が形成される。次に、ゲート電極103及び第1のサイドウォールスペーサ105をマスクとしてシリコン基板100に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となるn型の高濃度不純物領域106を形成する。
次に、図1(d)に示すように、シリコン基板100の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン酸化膜107を堆積した後、シリコン酸化膜107に対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図1(e)に示すように、ゲート電極103の側面に第1のサイドウォールスペーサ105を介して、シリコン酸化膜からなる第2のサイドウォールスペーサ108が形成される。このとき、第2のサイドウォールスペーサ108は、高濃度不純物領域106における低濃度不純物領域104に近接する領域の上で且つ第1のサイドウォールスペーサ105の側面に形成される。
次に、シリコン基板100の上に全面に亘って、例えばCo又はNi等からなる金属膜を堆積した後、分離絶縁膜101、第1のサイドウォールスペーサ105及び第2のサイドウォールスペーサ108をマスクとして、シリコン基板100に対して熱処理を加える。これにより、シリコン基板100及びゲート電極103の各表面における露出したシリコン領域と、前述の金属膜とが反応して、図1(f)に示すように、ゲート電極103の上、及び高濃度不純物領域106における第2のサイドウォールスペーサ108の下側以外の部分の上に、金属シリサイド膜109が形成される。その後、H2SO4及びH2O2等を含むエッチング液を用いて、未反応の金属膜をウェットエッチングにより除去する。
次に、図1(g)に示すように、周知の方法により、シリコン基板100の上に全面に亘って層間絶縁膜110を形成した後、層間絶縁膜110に、高濃度不純物領域106と金属シリサイド膜109を介して接続するコンタクト111を形成し、その後、層間絶縁膜110の上に、コンタクト111と接続する金属配線112を形成する。これにより、上層に金属シリサイド膜109が形成されたゲート電極103と、第2のサイドウォールスペーサ108の下側以外の部分に金属シリサイド膜109が形成された高濃度不純物領域106とを備えたn型MISFETの製造が完了する。
第1の実施形態によると、シリコン基板100におけるゲート電極103の両側に低濃度不純物領域104を形成した後、ゲート電極103の側面に第1のサイドウォールスペーサ105を形成し、その後、シリコン基板100におけるゲート電極103の両側に低濃度不純物領域104と隣接するように高濃度不純物領域106を形成する。その後、ゲート電極103の側面に第1のサイドウォールスペーサ105を介して第2のサイドウォールスペーサ108を形成した後、分離絶縁膜101、第1のサイドウォールスペーサ105及び第2のサイドウォールスペーサ108をマスクとして、シリコン基板100及びゲート電極103のそれぞれのシリコン露出部分に金属シリサイド膜109を選択的に形成する。すなわち、ゲート電極103上に金属シリサイド膜109を形成してゲート電極103を低抵抗化できる。また、高濃度不純物領域106のうち第2のサイドウォールスペーサ108の下側以外の部分に金属シリサイド膜109を自己整合的に形成できるため、高濃度不純物領域106における第2のサイドウォールスペーサ108の下側の部分は、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。
尚、第1の実施形態において、ゲート電極103の材料として多結晶シリコンを用いたが、ゲート電極103の材料はシリサイド化可能な材料であれば特に限定されず、例えばシリコンゲルマニウム又はアモルファスシリコン等の半導体材料を用いてもよい。
また、第1の実施形態において、第1のサイドウォールスペーサ105はシリコン窒化膜の単層構造を有していたが、これに代えて、第1のサイドウォールスペーサ105が、例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、n型MISFETを例として図面を参照しながら説明する。
図2(a)〜(f)は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図2(a)に示すように、p型のシリコン基板200に、シリコン酸化膜からなる分離絶縁膜201を形成することによって、トランジスタ形成領域を区画した後、周知の方法を使用して、シリコン基板200の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ2nm程度のゲート絶縁膜202を形成し、その後、ゲート絶縁膜202の上に、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度のゲート電極203を形成する。次に、ゲート電極203をマスクとしてシリコン基板200に対してイオン注入を行なうことによりn型の低濃度不純物領域204を形成する。その後、シリコン基板200の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン窒化膜を堆積した後、該シリコン窒化膜に対して異方性ドライエッチングを行なって、ゲート電極203の側面に第1のサイドウォールスペーサ205を形成する。次に、ゲート電極203及び第1のサイドウォールスペーサ205をマスクとしてシリコン基板200に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となるn型の第1の高濃度不純物領域206を形成する。
次に、図2(b)に示すように、シリコン基板200の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン酸化膜207を堆積した後、シリコン酸化膜207に対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図2(c)に示すように、ゲート電極203の側面に第1のサイドウォールスペーサ205を介して、シリコン酸化膜からなる第2のサイドウォールスペーサ208が形成される。具体的には、第2のサイドウォールスペーサ208は、第1の高濃度不純物領域206における低濃度不純物領域204に近接する領域の上で且つ第1のサイドウォールスペーサ205の側面に形成されている。
次に、図2(d)に示すように、ゲート電極203、第1のサイドウォールスペーサ205及び第2のサイドウォールスペーサ208をマスクとしてシリコン基板200に対してイオン注入を行なうことにより、第1の高濃度不純物領域206よりも接合深さが深い第2の高濃度不純物領域209を形成する。
次に、シリコン基板200の上に全面に亘って、例えばCo又はNi等からなる金属膜を堆積した後、分離絶縁膜201、第1のサイドウォールスペーサ205及び第2のサイドウォールスペーサ208をマスクとして、シリコン基板200に対して熱処理を加える。これにより、シリコン基板200及びゲート電極203の各表面における露出したシリコン領域と、前述の金属膜とが反応して、図2(e)に示すように、ゲート電極203の上及び第2の高濃度不純物領域209の上に金属シリサイド膜210が形成される。その後、H2SO4及びH2O2等を含むエッチング液を用いて、未反応の金属膜をウェットエッチングにより除去する。
次に、図2(f)に示すように、周知の方法により、シリコン基板200の上に全面に亘って層間絶縁膜211を形成した後、層間絶縁膜211に、第2の高濃度不純物領域209と金属シリサイド膜210を介して接続するコンタクト212を形成し、その後、層間絶縁膜211の上に、コンタクト212と接続する金属配線213を形成する。これにより、上層に金属シリサイド膜210が形成されたゲート電極203と、表面に金属シリサイド膜210が形成された第2の高濃度不純物領域209とを備えたn型MISFETの製造が完了する。
第2の実施形態によると、シリコン基板200におけるゲート電極203の両側に低濃度不純物領域204を形成した後、ゲート電極203の側面に第1のサイドウォールスペーサ205を形成し、その後、シリコン基板200におけるゲート電極203の両側に低濃度不純物領域204と隣接するように第1の高濃度不純物領域206を形成する。その後、ゲート電極203の側面に第1のサイドウォールスペーサ205を介して第2のサイドウォールスペーサ208を形成した後、ゲート電極203、第1のサイドウォールスペーサ205及び第2のサイドウォールスペーサ208をマスクとしてシリコン基板200に対してイオン注入を行なうことにより、第1の高濃度不純物領域206よりも接合深さが深い第2の高濃度不純物領域209を形成する。その後、分離絶縁膜201、第1のサイドウォールスペーサ205及び第2のサイドウォールスペーサ208をマスクとして、シリコン基板200及びゲート電極203のそれぞれのシリコン露出部分に金属シリサイド膜210を選択的に形成する。すなわち、ゲート電極203上に金属シリサイド膜210を形成してゲート電極203を低抵抗化できる。また、第2の高濃度不純物領域209の表面に金属シリサイド膜210を自己整合的に形成できるため、第2のサイドウォールスペーサ208の下側の第1の高濃度不純物領域206はシリサイド化されず、それにより第1の高濃度不純物領域206はMIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。
また、第2の実施形態によると、シリコン基板200上に形成される金属シリサイド膜210が、接合深さが相対的に深い第2の高濃度不純物領域209の表面のみに形成されるので、金属シリサイド膜210の形成に起因した接合リーク電流の増大を確実に抑制できる。また、第2の高濃度不純物領域209は、第1のサイドウォールスペーサ205及び第2のサイドウォールスペーサ208によってMIS型トランジスタのチャネル領域から離されているため、第2の高濃度不純物領域209からの空乏層の広がりに起因してトランジスタ特性の変動(つまり短チャネル効果)が増大することを抑制できる。
尚、第2の実施形態において、ゲート電極203の材料として多結晶シリコンを用いたが、ゲート電極203の材料はシリサイド化可能な材料であれば特に限定されず、例えばシリコンゲルマニウム又はアモルファスシリコン等の半導体材料を用いてもよい。
また、第2の実施形態において、第1のサイドウォールスペーサ205はシリコン窒化膜の単層構造を有していたが、これに代えて、第1のサイドウォールスペーサ205が、例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、n型MISFETを例として図面を参照しながら説明する。
図3(a)〜(d)及び図4(a)〜(c)は第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図3(a)に示すように、p型のシリコン基板300に、シリコン酸化膜からなる分離絶縁膜301を形成することによって、トランジスタ形成領域を区画した後、周知の方法を使用して、シリコン基板300の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ2nm程度のゲート絶縁膜302を形成し、その後、ゲート絶縁膜302の上に、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度のゲート電極303を形成する。次に、ゲート電極303をマスクとしてシリコン基板300に対してイオン注入を行なうことによりn型の低濃度不純物領域304を形成する。その後、シリコン基板300の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン窒化膜を堆積した後、該シリコン窒化膜に対して異方性ドライエッチングを行なって、ゲート電極303の側面に第1のサイドウォールスペーサ305を形成する。次に、ゲート電極303及び第1のサイドウォールスペーサ305をマスクとしてシリコン基板300に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となるn型の高濃度不純物領域306を形成する。
次に、図3(b)に示すように、シリコン基板300の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン酸化膜307を堆積した後、図3(c)に示すように、シリコン酸化膜307における高濃度不純物領域306のうち抵抗素子形成領域の上側に堆積された部分を覆うようにレジストパターン308を形成する。
次に、レジストパターン308をマスクとしてシリコン酸化膜307に対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図3(d)に示すように、高濃度不純物領域306のうち抵抗素子形成領域の上側にシリコン酸化膜307がシリサイド化防止用パターン309として残存すると共に、ゲート電極303の側面に第1のサイドウォールスペーサ305を介して、シリコン酸化膜からなる第2のサイドウォールスペーサ310が形成される。このとき、第2のサイドウォールスペーサ310は、高濃度不純物領域306における低濃度不純物領域304に近接する領域の上で且つ第1のサイドウォールスペーサ305の側面に形成される。その後、図4(a)に示すように、レジストパターン308を除去する。
次に、シリコン基板300の上に全面に亘って、例えばCo又はNi等からなる金属膜を堆積した後、分離絶縁膜301、第1のサイドウォールスペーサ305、第2のサイドウォールスペーサ310及びシリサイド化防止用パターン309をマスクとして、シリコン基板300に対して熱処理を加える。これにより、シリコン基板300及びゲート電極303の各表面における露出したシリコン領域と、前述の金属膜とが反応して、図4(b)に示すように、ゲート電極303の上、及び高濃度不純物領域306における第2のサイドウォールスペーサ310及びシリサイド化防止用パターン309のそれぞれの下側以外の部分の上に、金属シリサイド膜311が形成される。その後、H2SO4及びH2O2等を含むエッチング液を用いて、未反応の金属膜をウェットエッチングにより除去する。
次に、図4(c)に示すように、周知の方法により、シリコン基板300の上に全面に亘って層間絶縁膜312を形成した後、層間絶縁膜312に、高濃度不純物領域306と金属シリサイド膜311を介して接続するコンタクト313を形成し、その後、層間絶縁膜312の上に、コンタクト313と接続する金属配線314を形成する。これにより、上層に金属シリサイド膜311が形成されたゲート電極303と、第2のサイドウォールスペーサ310及びシリサイド化防止用パターン309のそれぞれの下側以外の部分に金属シリサイド膜311が形成された高濃度不純物領域306とを備えたn型MISFETの製造が完了する。
第3の実施形態によると、シリコン基板300におけるゲート電極303の両側に低濃度不純物領域304を形成した後、ゲート電極303の側面に第1のサイドウォールスペーサ305を形成し、その後、シリコン基板300におけるゲート電極303の両側に低濃度不純物領域304と隣接するように高濃度不純物領域306を形成する。その後、高濃度不純物領域306のうち抵抗素子形成領域の上側にシリサイド化防止用パターン309を形成すると共に、ゲート電極303の側面に第1のサイドウォールスペーサ305を介して第2のサイドウォールスペーサ310を形成する。その後、分離絶縁膜301、第1のサイドウォールスペーサ305、第2のサイドウォールスペーサ310及びシリサイド化防止用パターン309をマスクとして、シリコン基板300及びゲート電極303のそれぞれのシリコン露出部分に金属シリサイド膜311を選択的に形成する。すなわち、ゲート電極303上に金属シリサイド膜311を形成してゲート電極303を低抵抗化できる。また、高濃度不純物領域306のうち、第2のサイドウォールスペーサ310及びシリサイド化防止用パターン309のそれぞれの下側以外の部分に金属シリサイド膜311を自己整合的に形成できる。このため、高濃度不純物領域306における第2のサイドウォールスペーサ310の下側の部分(第1抵抗素子)、及び高濃度不純物領域306におけるシリサイド化防止用パターン309の下側の部分(第2抵抗素子)はそれぞれ、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。
また、第3の実施形態によると、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子の抵抗値の設計自由度を増大させることができる。さらに、第1抵抗素子及び第2抵抗素子がMIS型トランジスタに対して直列に接続された本構造においては、MIS型トランジスタのチャネル領域から、高濃度不純物領域306上に設けられるコンタクト313までの間の抵抗値は、低濃度不純物領域304の抵抗(R1)と、高濃度不純物領域306における第1抵抗素子の抵抗(R2)と、高濃度不純物領域306における第1抵抗素子と第2抵抗素子との間の部分(金属シリサイド膜311が形成されている部分)の抵抗(R3)と、高濃度不純物領域306における第2抵抗素子の抵抗(R4)と、高濃度不純物領域306における第2抵抗素子とコンタクト313との間の部分(金属シリサイド膜311が形成されている部分)の抵抗(R5)との合成抵抗(R1+R2+R3+R4+R5)となる。ここで、R1、R2、R4及びR3+R5の値はそれぞれ、第2抵抗素子を形成するためのレジストパターン308の形成工程における合わせずれに依存しないため、ミスアライメントに起因する抵抗変動を抑制できる。
尚、第3の実施形態において、ゲート電極303の材料として多結晶シリコンを用いたが、ゲート電極303の材料はシリサイド化可能な材料であれば特に限定されず、例えばシリコンゲルマニウム又はアモルファスシリコン等の半導体材料を用いてもよい。
また、第3の実施形態において、第1のサイドウォールスペーサ305はシリコン窒化膜の単層構造を有していたが、これに代えて、第1のサイドウォールスペーサ305が、例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、n型MISFETを例として図面を参照しながら説明する。
図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)及び図7(a)、(b)は第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図5(a)に示すように、p型のシリコン基板400に、例えばHDP−CVD(high density plasma chemical vapor deposition )法を用いてシリコン酸化膜からなる分離絶縁膜401を形成することによって、内部トランジスタ形成領域RA と入出力トランジスタ形成領域RB とを区画する。その後、周知の方法を使用して、内部トランジスタ形成領域RA の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ2nm程度の第1のゲート絶縁膜402aを介して、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度の第1のゲート電極403aを形成する。また、入出力トランジスタ形成領域RB の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ7nm程度の第2のゲート絶縁膜402bを介して、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度の第2のゲート電極403bを形成する。その後、第1のゲート電極403aをマスクとして内部トランジスタ形成領域RA に対してイオン注入を行なうことによりn型の第1の低濃度不純物領域404aを形成する。また、第2のゲート電極403bをマスクとして入出力トランジスタ形成領域RB に対してイオン注入を行なうことによりn型の第2の低濃度不純物領域404bを形成する。その後、シリコン基板400の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン窒化膜を堆積した後、該シリコン窒化膜に対して異方性ドライエッチングを行なって、第1のゲート電極403aの側面に第1のサイドウォールスペーサ405aを形成すると共に第2のゲート電極403bの側面に第2のサイドウォールスペーサ405bを形成する。その後、第1のゲート電極403a及び第1の側壁絶縁膜405aをマスクとして内部トランジスタ形成領域RA に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となるn型の第1の高濃度不純物領域406aを形成する。また、第2のゲート電極403b及び第2の側壁絶縁膜405bをマスクとして入出力トランジスタ形成領域RB に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となる第2の高濃度不純物領域406bを形成する。
次に、図5(b)に示すように、シリコン基板400の上に全面に亘って、膜厚60nm程度の絶縁膜407を堆積する。尚、絶縁膜407の材料としては、分離絶縁膜401に対して高い選択比でウェットエッチングできる材料を用いることが好ましい。例えば分離絶縁膜401をHDP−CVD法により形成した場合、絶縁膜407として例えばNSG(non-doped silicate glass)膜を用いることによって、分離絶縁膜401と比べて3倍程度のウェットエッチングレートを得ることができる。
次に、絶縁膜407に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、図5(c)に示すように、第2のゲート電極403bの側面に第2のサイドウォールスペーサ405bを介して第3のサイドウォールスペーサ408bを形成する。このとき、第3のサイドウォールスペーサ408bは、第2の高濃度不純物領域406bにおける第2の低濃度不純物領域404bに近接する領域の上で且つ第2のサイドウォールスペーサ405bの側面に形成される。また、このとき、第1のゲート電極403aの側面にも第1のサイドウォールスペーサ405aを介して第4のサイドウォールスペーサ408aが形成される。
次に、図6(a)に示すように、入出力トランジスタ形成領域RB を覆うようにレジストパターン409を形成した後、レジストパターン409をマスクとして、内部トランジスタ形成領域RA の第4のサイドウォールスペーサ408aに対してウェットエッチングを行なって、図6(b)に示すように、第4のサイドウォールスペーサ408aを除去する。その後、図6(c)に示すように、レジストパターン409を除去する。
次に、シリコン基板400の上に全面に亘って、例えばCo又はNi等からなる金属膜を堆積した後、分離絶縁膜401、第1のサイドウォールスペーサ405a、第2のサイドウォールスペーサ405b及び第3のサイドウォールスペーサ408bをマスクとして、シリコン基板400に対して熱処理を加える。これにより、シリコン基板400、第1のゲート電極403a及び第2のゲート電極403bの各表面における露出したシリコン領域と、前述の金属膜とが反応する。その結果、図7(a)に示すように、第1のゲート電極403a及び第1の高濃度不純物領域406aのそれぞれの上に第1の金属シリサイド膜410aが形成されると共に、第2のゲート電極403bの上、及び第2の高濃度不純物領域406bにおける第3のサイドウォールスペーサ408bの下側以外の部分の上に第2の金属シリサイド膜410bが形成される。その後、H2SO4及びH2O2等を含むエッチング液を用いて、未反応の金属膜をウェットエッチングにより除去する。
次に、図7(b)に示すように、周知の方法により、シリコン基板400の上に全面に亘って層間絶縁膜411を形成した後、層間絶縁膜411に、第1の高濃度不純物領域406aと第1の金属シリサイド膜410aを介して接続する第1のコンタクト412a、及び第2の高濃度不純物領域406bと第2の金属シリサイド膜410bを介して接続する第2のコンタクト412bを形成する。その後、層間絶縁膜411の上に、第1のコンタクト412aと接続する第1の金属配線413a、及び第2のコンタクト412bと接続する第2の金属配線413bを形成する。これにより、第1のゲート電極403a及び第1の高濃度不純物領域406aのそれぞれの上に第1の金属シリサイド膜410aが形成された内部トランジスタと、第2のゲート電極403bの上及び第2の高濃度不純物領域406bにおける第3のサイドウォールスペーサ408bの下側以外の部分の上に第2の金属シリサイド膜410bが形成された入出力トランジスタとを備えた半導体装置の製造が完了する。
第4の実施形態によると、シリコン基板400の内部トランジスタ形成領域RA における第1のゲート電極403aの両側に第1の低濃度不純物領域404aを形成すると共に、シリコン基板400の入出力トランジスタ形成領域RB における第2のゲート電極403bの両側に第2の低濃度不純物領域404bを形成した後、第1のゲート電極403aの側面に第1のサイドウォールスペーサ405aを形成すると共に第2のゲート電極403bの側面に第2のサイドウォールスペーサ405bを形成する。その後、内部トランジスタ形成領域RA における第1のゲート電極403aの両側に第1の低濃度不純物領域404aと隣接するように第1の高濃度不純物領域406aを形成すると共に、入出力トランジスタ形成領域RB における第2のゲート電極403bの両側に第2の低濃度不純物領域404bと隣接するように第2の高濃度不純物領域406bを形成する。その後、第2のゲート電極403bの側面に第2のサイドウォールスペーサ405bを介して第3のサイドウォールスペーサ408bを形成した後、分離絶縁膜401、第1のサイドウォールスペーサ405a、第2のサイドウォールスペーサ405b及び第3のサイドウォールスペーサ408bをマスクとして、シリコン基板400、第1のゲート電極403a及び第2のゲート電極403bのそれぞれのシリコン露出部分に第1の金属シリサイド膜410a又は第2の金属シリサイド膜410bを選択的に形成する。すなわち、内部トランジスタの第1のゲート電極403a及び第1の高濃度不純物領域406a、並びに入出力トランジスタの第2のゲート電極403bをそれぞれシリサイド化して低抵抗化できる。また、入出力トランジスタの第2の高濃度不純物領域406bのうち第3のサイドウォールスペーサ408bの下側以外の部分に第2の金属シリサイド膜410bを自己整合的に形成できるため、第2の高濃度不純物領域406bにおける第3のサイドウォールスペーサ408bの下側の部分は、入出力トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。さらに、シリコン基板400の表面において、第1の金属シリサイド膜410aが第1の高濃度不純物領域406aの外側に形成されることがないと共に第2の金属シリサイド膜410bが第2の高濃度不純物領域406bの外側に形成されることがないので、内部トランジスタ及び入出力トランジスタのいずれにおいても接合リーク電流の増大を防止できる。
また、第4の実施形態によると、入出力トランジスタ形成領域RB の第3のサイドウォールスペーサ408bを形成する際に、内部トランジスタ形成領域RA の第1のゲート電極403aの側面にも第1のサイドウォールスペーサ405aを介して第4のサイドウォールスペーサ408aを形成する。その後、入出力トランジスタ形成領域RB を覆うレジストパターン409をマスクとして第4のサイドウォールスペーサ408aに対してウェットエッチングを行なって第4のサイドウォールスペーサ408aを除去した後、レジストパターン409を除去する。このため、内部トランジスタ形成領域RA の第4のサイドウォールスペーサ408aを除去するのに必要なレジストパターン409を形成するためのリソグラフィー工程を行なうだけで、内部トランジスタ及び入出力トランジスタのそれぞれにおけるシリサイド化領域を作り分けることができる。
尚、第4の実施形態において、内部トランジスタと入出力トランジスタとを備えた半導体装置を対象としたが、これに代えて、内部トランジスタと、アナログトランジスタ又はDRAMのセルトランジスタとを備えた半導体装置を対象としてもよい。
また、第4の実施形態において、第1のゲート電極403a及び第2のゲート電極403bの材料として多結晶シリコンを用いたが、これらのゲート電極の材料はシリサイド化可能な材料であれば特に限定されず、例えばシリコンゲルマニウム又はアモルファスシリコン等の半導体材料を用いてもよい。
また、第4の実施形態において、第1のサイドウォールスペーサ405a及び第2のサイドウォールスペーサ405bはシリコン窒化膜の単層構造を有していたが、これに代えて、これらのサイドウォールスペーサが、例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。
また、第4の実施形態において、第4のサイドウォールスペーサ408aとなる絶縁膜407の材料として、分離絶縁膜401、又は第1のサイドウォールスペーサ405aとなる絶縁膜に対して高い選択比でウェットエッチングを行なえる材料を選ぶことが好ましい。このようにすると、第4のサイドウォールスペーサ408aに対してウェットエッチングを行なうときに、分離絶縁膜401又は第1のサイドウォールスペーサ405aの削れを防止できる。
(第4の実施形態の変形例)
以下、本発明の第4の実施形態の変形例に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
図8は第4の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。尚、図8において、図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)及び図7(a)、(b)に示す第4の実施形態と同一の部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
第4の実施形態の変形例が第4の実施形態と異なっている点は、第4の実施形態における図6(c)に示す工程と図7(a)に示す工程との間に、図8に示す工程を実施する点である。すなわち、第3のサイドウォールスペーサ408bを形成する工程と第1の金属シリサイド膜410a及び第2の金属シリサイド膜410bを形成する工程との間に、内部トランジスタ形成領域RA を覆うレジストパターン414、第2のゲート電極403b、第2のサイドウォールスペーサ405b及び第3のサイドウォールスペーサ408bをマスクとして入出力トランジスタ形成領域RB に対してイオン注入を行なう。これにより、第2の高濃度不純物領域406bよりも接合深さが深い第3の高濃度不純物領域415が形成される。言い換えると、第2の高濃度不純物領域406bにおける第3のサイドウォールスペーサ408bの下側以外の部分の深さを、第2の高濃度不純物領域406bにおける第3のサイドウォールスペーサ408bの下側の部分の深さよりも深くする。
第4の実施形態の変形例によると、第4の実施形態の効果に加えて次のような効果が得られる。すなわち、第2の高濃度不純物領域406b上に形成される第2の金属シリサイド膜410bが、第2の高濃度不純物領域406bにおける接合深さが相対的に深い部分(つまり第3の高濃度不純物領域415)の表面のみに形成されるので、第2の金属シリサイド膜410bの形成に起因した接合リーク電流の増大を確実に抑制できる。また、第3の高濃度不純物領域415は、第2のサイドウォールスペーサ405b及び第3のサイドウォールスペーサ408bによって入出力トランジスタのチャネル領域から離されているため、第3の高濃度不純物領域415からの空乏層の広がりに起因してトランジスタ特性の変動(つまり短チャネル効果)が増大することを抑制できる。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、n型MISFETを例として図面を参照しながら説明する。
図9(a)〜(c)、図10(a)〜(c)、図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)は第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図9(a)に示すように、p型のシリコン基板500に、シリコン酸化膜からなる分離絶縁膜501を形成することによって、内部トランジスタ形成領域RA と入出力トランジスタ形成領域RB とを区画する。その後、周知の方法を使用して、内部トランジスタ形成領域RA の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ2nm程度の第1のゲート絶縁膜502aを介して、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度の第1のゲート電極503aを形成する。また、入出力トランジスタ形成領域RB の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ7nm程度の第2のゲート絶縁膜502bを介して、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度の第2のゲート電極503bを形成する。その後、第1のゲート電極503aをマスクとして内部トランジスタ形成領域RA に対してイオン注入を行なうことによりn型の第1の低濃度不純物領域504aを形成する。また、第2のゲート電極503bをマスクとして入出力トランジスタ形成領域RB に対してイオン注入を行なうことによりn型の第2の低濃度不純物領域504bを形成する。その後、シリコン基板500の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン窒化膜を堆積した後、該シリコン窒化膜に対して異方性ドライエッチングを行なって、第1のゲート電極503aの側面に第1のサイドウォールスペーサ505aを形成すると共に第2のゲート電極503bの側面に第2のサイドウォールスペーサ505bを形成する。その後、第1のゲート電極503a及び第1の側壁絶縁膜505aをマスクとして内部トランジスタ形成領域RA に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となるn型の第1の高濃度不純物領域506aを形成する。また、第2のゲート電極503b及び第2の側壁絶縁膜505bをマスクとして入出力トランジスタ形成領域RB に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となる第2の高濃度不純物領域506bを形成する。
次に、図9(b)に示すように、シリコン基板500の上に全面に亘って、膜厚60nm程度のシリコン酸化膜507を堆積した後、図9(c)に示すように、内部トランジスタ形成領域RA を覆う第1のレジストパターン508を形成する。
次に、第1のレジストパターン508をマスクとしてシリコン酸化膜507に対して異方性ドライエッチングを行なうことにより、図10(a)に示すように、入出力トランジスタ形成領域RB の第2のゲート電極503bの側面に第2のサイドウォールスペーサ505bを介して第3のサイドウォールスペーサ509を形成する。このとき、第3のサイドウォールスペーサ509は、第2の高濃度不純物領域506bにおける第2の低濃度不純物領域504bに近接する領域の上で且つ第2のサイドウォールスペーサ505bの側面に形成される。その後、図10(b)に示すように、第1のレジストパターン508を除去する。
次に、図10(c)に示すように、入出力トランジスタ形成領域RB を覆う第2のレジストパターン510を形成した後、第2のレジストパターン510をマスクとして、シリコン酸化膜507における内部トランジスタ形成領域RA の上に残存する部分(つまりシリコン酸化膜507における第1のゲート電極503a及び第1の高濃度不純物領域506a等の上に形成されている部分)に対してウェットエッチングを行なう。これにより、図11(a)に示すように、シリコン酸化膜507における内部トランジスタ形成領域RA の上に残存する部分が除去される。その後、図11(b)に示すように、第2のレジストパターン510を除去する。
次に、シリコン基板500の上に全面に亘って、例えばCo又はNi等からなる金属膜を堆積した後、分離絶縁膜501、第1のサイドウォールスペーサ505a、第2のサイドウォールスペーサ505b及び第3のサイドウォールスペーサ509をマスクとして、シリコン基板500に対して熱処理を加える。これにより、シリコン基板500、第1のゲート電極503a及び第2のゲート電極503bの各表面における露出したシリコン領域と、前述の金属膜とが反応する。その結果、図12(a)に示すように、第1のゲート電極503a及び第1の高濃度不純物領域506aのそれぞれの上に第1の金属シリサイド膜511aが形成されると共に、第2のゲート電極503bの上、及び第2の高濃度不純物領域506bにおける第3のサイドウォールスペーサ509の下側以外の部分の上に第2の金属シリサイド膜511bが形成される。その後、H2SO4及びH2O2等を含むエッチング液を用いて、未反応の金属膜をウェットエッチングにより除去する。
次に、図12(b)に示すように、周知の方法により、シリコン基板500の上に全面に亘って層間絶縁膜512を形成した後、層間絶縁膜512に、第1の高濃度不純物領域506aと第1の金属シリサイド膜511aを介して接続する第1のコンタクト513a、及び第2の高濃度不純物領域506bと第2の金属シリサイド膜511bを介して接続する第2のコンタクト513bを形成する。その後、層間絶縁膜512の上に、第1のコンタクト513aと接続する第1の金属配線514a、及び第2のコンタクト513bと接続する第2の金属配線514bを形成する。これにより、第1のゲート電極503a及び第1の高濃度不純物領域506aのそれぞれの上に第1の金属シリサイド膜511aが形成された内部トランジスタと、第2のゲート電極503bの上及び第2の高濃度不純物領域506bにおける第3のサイドウォールスペーサ509の下側以外の部分の上に第2の金属シリサイド膜511bが形成された入出力トランジスタとを備えた半導体装置の製造が完了する。
第5の実施形態によると、シリコン基板500の内部トランジスタ形成領域RA における第1のゲート電極503aの両側に第1の低濃度不純物領域504aを形成すると共に、シリコン基板500の入出力トランジスタ形成領域RB における第2のゲート電極503bの両側に第2の低濃度不純物領域504bを形成した後、第1のゲート電極503aの側面に第1のサイドウォールスペーサ505aを形成すると共に第2のゲート電極503bの側面に第2のサイドウォールスペーサ505bを形成する。その後、内部トランジスタ形成領域RA における第1のゲート電極503aの両側に第1の低濃度不純物領域504aと隣接するように第1の高濃度不純物領域506aを形成すると共に、入出力トランジスタ形成領域RB における第2のゲート電極503bの両側に第2の低濃度不純物領域504bと隣接するように第2の高濃度不純物領域506bを形成する。その後、第2のゲート電極503bの側面に第2のサイドウォールスペーサ505bを介して第3のサイドウォールスペーサ509を形成した後、分離絶縁膜501、第1のサイドウォールスペーサ505a、第2のサイドウォールスペーサ505b及び第3のサイドウォールスペーサ509をマスクとして、シリコン基板500、第1のゲート電極503a及び第2のゲート電極503bのそれぞれのシリコン露出部分に第1の金属シリサイド膜511a又は第2の金属シリサイド膜511bを選択的に形成する。すなわち、内部トランジスタの第1のゲート電極503a及び第1の高濃度不純物領域506a、並びに入出力トランジスタの第2のゲート電極503bをそれぞれシリサイド化して低抵抗化できる。また、入出力トランジスタの第2の高濃度不純物領域506bのうち第3のサイドウォールスペーサ509の下側以外の部分に第2の金属シリサイド膜511bを自己整合的に形成できるため、第2の高濃度不純物領域506bにおける第3のサイドウォールスペーサ509の下側の部分は、入出力トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。さらに、シリコン基板500の表面において、第1の金属シリサイド膜511aが第1の高濃度不純物領域506aの外側に形成されることがないと共に第2の金属シリサイド膜511bが第2の高濃度不純物領域506bの外側に形成されることがないので、内部トランジスタ及び入出力トランジスタのいずれにおいても接合リーク電流の増大を防止できる。
また、第5の実施形態によると、入出力トランジスタ形成領域RB の第3のサイドウォールスペーサ509を形成する際に、第3のサイドウォールスペーサ509となるシリコン酸化膜507に対して、内部トランジスタ形成領域RA を覆う第1のレジストパターン508をマスクとして異方性ドライエッチングを行なって第3のサイドウォールスペーサ509を形成した後、第1のレジストパターン508を除去する。その後、入出力トランジスタ形成領域RB を覆う第2のレジストパターン510をマスクとして、シリコン酸化膜507における内部トランジスタ形成領域RA の上に残存する部分に対してウェットエッチングを行なって該部分を除去した後、第2のレジストパターン510を除去する。すなわち、入出力トランジスタ形成領域RB の第3のサイドウォールスペーサ509を形成するのに必要な第1のレジストパターン508を形成するためのリソグラフィー工程と、シリコン酸化膜507における内部トランジスタ形成領域RA の上に残存する部分を除去するのに必要な第2のレジストパターン510を形成するためのリソグラフィー工程とを行なうことによって、内部トランジスタ及び入出力トランジスタのそれぞれにおけるシリサイド化領域を作り分けることができる。このため、第4の実施形態と比較するとリソグラフィー工程数が増大する一方、第4の実施形態のように内部トランジスタ形成領域RA に第4のサイドウォールスペーサ408aを形成した場合に必要となる、第4のサイドウォールスペーサ408aに対する選択的ウェットエッチングが不要となる(図5(c)及び図6(a)〜(c)参照)。従って、第5の実施形態によると、第4の実施形態と比べて、ウェットエッチング工程におけるプロセスマージンを増大させることができ、それによって例えば分離絶縁膜501の削れを防止できる。
尚、第5の実施形態において、内部トランジスタと入出力トランジスタとを備えた半導体装置を対象としたが、これに代えて、内部トランジスタと、アナログトランジスタ又はDRAMのセルトランジスタとを備えた半導体装置を対象としてもよい。
また、第5の実施形態において、第1のゲート電極503a及び第2のゲート電極503bの材料として多結晶シリコンを用いたが、これらのゲート電極の材料はシリサイド化可能な材料であれば特に限定されず、例えばシリコンゲルマニウム又はアモルファスシリコン等の半導体材料を用いてもよい。
また、第5の実施形態において、第1のサイドウォールスペーサ505a及び第2のサイドウォールスペーサ505bはシリコン窒化膜の単層構造を有していたが、これに代えて、これらのサイドウォールスペーサが、例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。
(第5の実施形態の変形例)
以下、本発明の第5の実施形態の変形例に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
図13(a)〜(c)、図14(a)〜(c)、図15(a)〜(c)及び図16(a)〜(c)は第5の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。尚、図13(a)〜(c)、図14(a)〜(c)、図15(a)〜(c)及び図16(a)〜(c)において、図9(a)〜(c)、図10(a)〜(c)、図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示す第5の実施形態と同一の部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
第5の実施形態の変形例の図13(a)及び(b)に示す工程は、第5の実施形態の図9(a)及び(b)に示す工程と同一なので説明を省略する。
次に、図13(c)に示すように、シリコン酸化膜507における内部トランジスタ形成領域RA の上に形成されている部分と、シリコン酸化膜507における第2の高濃度不純物領域506bのうち抵抗素子形成領域の上側に堆積された部分とを覆う第1のレジストパターン508を形成する。
次に、第1のレジストパターン508をマスクとしてシリコン酸化膜507に対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図14(a)に示すように、入出力トランジスタ形成領域RB の第2のゲート電極503bの側面に第2のサイドウォールスペーサ505bを介して第3のサイドウォールスペーサ509が形成される。また、第2の高濃度不純物領域506bのうち抵抗素子形成領域の上側にシリコン酸化膜507がシリサイド化防止用パターン515として残存する。その後、図14(b)に示すように、第1のレジストパターン508を除去する。
次に、図14(c)に示すように、入出力トランジスタ形成領域RB を覆う第2のレジストパターン510を形成した後、第2のレジストパターン510をマスクとして、シリコン酸化膜507における内部トランジスタ形成領域RA の上に残存する部分に対してウェットエッチングを行なう。これにより、図15(a)に示すように、シリコン酸化膜507における内部トランジスタ形成領域RA の上に残存する部分が除去される。その後、図15(b)に示すように、第2のレジストパターン510を除去する。
次に、図15(c)に示すように、内部トランジスタ形成領域RA を覆う第3のレジストパターン516を形成した後、第3のレジストパターン516、第2のゲート電極503b、第2のサイドウォールスペーサ505b及び第3のサイドウォールスペーサ509をマスクとして入出力トランジスタ形成領域RB に対してイオン注入を行なう。これにより、第2の高濃度不純物領域506bよりも接合深さが深い第3の高濃度不純物領域517が形成される。言い換えると、第2の高濃度不純物領域506bにおける第3のサイドウォールスペーサ509及びシリサイド化防止用パターン515のそれぞれの下側以外の部分の深さを、第2の高濃度不純物領域506bにおける第3のサイドウォールスペーサ509及びシリサイド化防止用パターン515のそれぞれの下側の部分の深さよりも深くする。その後、図16(a)に示すように、第3のレジストパターン516を除去する。
次に、シリコン基板500の上に全面に亘って、例えばCo又はNi等からなる金属膜を堆積した後、分離絶縁膜501、第1のサイドウォールスペーサ505a、第2のサイドウォールスペーサ505b、第3のサイドウォールスペーサ509及びシリサイド化防止用パターン515をマスクとして、シリコン基板500に対して熱処理を加える。これにより、シリコン基板500、第1のゲート電極503a及び第2のゲート電極503bの各表面における露出したシリコン領域と、前述の金属膜とが反応する。その結果、図16(b)に示すように、第1のゲート電極503a及び第1の高濃度不純物領域506aのそれぞれの上に第1の金属シリサイド膜511aが形成されると共に、第2のゲート電極503bの上、並びに第2の高濃度不純物領域506bにおける第3のサイドウォールスペーサ509及びシリサイド化防止用パターン515のそれぞれの下側以外の部分の上に第2の金属シリサイド膜511bが形成される。その後、H2SO4及びH2O2等を含むエッチング液を用いて、未反応の金属膜をウェットエッチングにより除去する。
次に、図16(c)に示すように、周知の方法により、シリコン基板500の上に全面に亘って層間絶縁膜512を形成した後、層間絶縁膜512に、第1の高濃度不純物領域506aと第1の金属シリサイド膜511aを介して接続する第1のコンタクト513a、及び第2の高濃度不純物領域506bと第2の金属シリサイド膜511bを介して接続する第2のコンタクト513bを形成する。その後、層間絶縁膜512の上に、第1のコンタクト513aと接続する第1の金属配線514a、及び第2のコンタクト513bと接続する第2の金属配線514bを形成する。これにより、第1のゲート電極503a及び第1の高濃度不純物領域506aのそれぞれの上に第1の金属シリサイド膜511aが形成された内部トランジスタと、第2のゲート電極503bの上並びに第2の高濃度不純物領域506bにおける第3のサイドウォールスペーサ509及びシリサイド化防止用パターン515のそれぞれの下側以外の部分の上に第2の金属シリサイド膜511bが形成された入出力トランジスタとを備えた半導体装置の製造が完了する。
第5の実施形態の変形例によると、第5の実施形態の効果に加えて次のような効果が得られる。すなわち、第2の高濃度不純物領域506b上に形成される第2の金属シリサイド膜511bが、第2の高濃度不純物領域506bにおける接合深さが相対的に深い部分(つまり第3の高濃度不純物領域517)の表面のみに形成されるので、第2の金属シリサイド膜511bの形成に起因した接合リーク電流の増大を確実に抑制できる。また、第3の高濃度不純物領域517は、第2のサイドウォールスペーサ505b及び第3のサイドウォールスペーサ509によって入出力トランジスタのチャネル領域から離されているため、第3の高濃度不純物領域517からの空乏層の広がりに起因してトランジスタ特性の変動(つまり短チャネル効果)が増大することを抑制できる。
さらに、第5の実施形態の変形例によると、第2の高濃度不純物領域506bのうち抵抗素子形成領域の上側にシリサイド化防止用パターン515を形成した後、シリサイド化防止用パターン515をマスクとして第2の金属シリサイド膜511bを形成する。このため、第2の高濃度不純物領域506bにおけるシリサイド化防止用パターン515の下側の部分を、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として形成することが容易になり、それによってESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることが簡単にできる。
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、n型MISFETを例として図面を参照しながら説明する。
図17(a)〜(d)及び図18(a)〜(e)は第6の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図17(a)に示すように、p型のシリコン基板600に、シリコン酸化膜からなる分離絶縁膜601を形成することによって、トランジスタ形成領域を区画した後、周知の方法を使用して、シリコン基板600の上に、シリコン酸窒化膜からなる厚さ2nm程度のゲート絶縁膜602を形成し、その後、ゲート絶縁膜602の上に、n型多結晶シリコン膜からなる厚さ150nm程度のゲート電極603を形成する。
次に、図17(b)に示すように、シリコン基板600の上に全面に亘って厚さ5〜20nm程度のシリコン酸化膜604Aを堆積した後、シリコン酸化膜604Aに対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図17(c)に示すように、ゲート電極603の側面に、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサ604が形成される。次に、ゲート電極603及びオフセットスペーサ604をマスクとしてシリコン基板600に対してイオン注入を行なうことによりn型の低濃度不純物領域605を形成する。
次に、図17(d)に示すように、シリコン基板600の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン窒化膜606Aを堆積した後、シリコン窒化膜606Aに対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図18(a)に示すように、ゲート電極603の側面にオフセットスペーサ604を介して、シリコン窒化膜からなる第1のサイドウォールスペーサ606が形成される。次に、ゲート電極603、オフセットスペーサ604及び第1のサイドウォールスペーサ606をマスクとしてシリコン基板600に対してイオン注入を行なうことにより、ソース領域及びドレイン領域となるn型の高濃度不純物領域607を形成する。
次に、図18(b)に示すように、シリコン基板600の上に全面に亘って厚さ60nm程度のシリコン酸化膜608を堆積した後、シリコン酸化膜608に対して異方性ドライエッチングを行なう。これにより、図18(c)に示すように、ゲート電極603の側面にオフセットスペーサ604及び第1のサイドウォールスペーサ606を介して、シリコン酸化膜からなる第2のサイドウォールスペーサ609が形成される。このとき、第2のサイドウォールスペーサ609は、高濃度不純物領域607における低濃度不純物領域605に近接する領域の上で且つ第1のサイドウォールスペーサ606の側面に形成される。
次に、シリコン基板600の上に全面に亘って、例えばCo又はNi等からなる金属膜を堆積した後、分離絶縁膜601、オフセットスペーサ604、第1のサイドウォールスペーサ606及び第2のサイドウォールスペーサ609をマスクとして、シリコン基板600に対して熱処理を加える。これにより、シリコン基板600及びゲート電極603の各表面における露出したシリコン領域と、前述の金属膜とが反応して、図18(d)に示すように、ゲート電極603の上、及び高濃度不純物領域607における第2のサイドウォールスペーサ609の下側以外の部分の上に、金属シリサイド膜610が形成される。その後、H2SO4及びH2 O2 等を含むエッチング液を用いて、未反応の金属膜をウェットエッチングにより除去する。
次に、図18(e)に示すように、周知の方法により、シリコン基板600の上に全面に亘って層間絶縁膜611を形成した後、層間絶縁膜611に、高濃度不純物領域607と金属シリサイド膜610を介して接続するコンタクト612を形成し、その後、層間絶縁膜611の上に、コンタクト612と接続する金属配線613を形成する。これにより、上層に金属シリサイド膜610が形成されたゲート電極603と、第2のサイドウォールスペーサ609の下側以外の部分に金属シリサイド膜610が形成された高濃度不純物領域607とを備えたn型MISFETの製造が完了する。
第6の実施形態によると、シリコン基板600におけるゲート電極603の両側に低濃度不純物領域605を形成した後、ゲート電極603の側面に第1のサイドウォールスペーサ606を形成し、その後、シリコン基板600におけるゲート電極603の両側に低濃度不純物領域605と隣接するように高濃度不純物領域607を形成する。その後、ゲート電極603の側面に第1のサイドウォールスペーサ606を介して第2のサイドウォールスペーサ609を形成した後、分離絶縁膜601、第1のサイドウォールスペーサ606及び第2のサイドウォールスペーサ609をマスクとして、シリコン基板600及びゲート電極603のそれぞれのシリコン露出部分に金属シリサイド膜610を選択的に形成する。すなわち、ゲート電極603上に金属シリサイド膜610を形成してゲート電極603を低抵抗化できる。また、高濃度不純物領域607のうち第2のサイドウォールスペーサ609の下側以外の部分に金属シリサイド膜610を自己整合的に形成できるため、高濃度不純物領域607における第2のサイドウォールスペーサ609の下側の部分は、MIS型トランジスタと直列に接続された抵抗素子として機能するので、ESD等による静電破壊に対する耐性を向上させることができる。
また、第6の実施形態によると、ゲート電極603を形成した後、ゲート電極603の側面にオフセットスペーサ604を形成し、その後、ゲート電極603及びオフセットスペーサ604をマスクとしてシリコン基板600に対してイオン注入を行なうことにより低濃度不純物領域605を形成する。このため、ゲート電極603とソース・ドレイン領域とのオーバーラップ長を短くできるため、ゲート電極603とソース・ドレイン領域との間に生じるオーバーラップ容量を低減できる。従って、MIS型トランジスタの寄生容量を低減できるので、回路動作速度を向上させることができる。
尚、第6の実施形態において、ゲート電極603の材料として多結晶シリコンを用いたが、ゲート電極603の材料はシリサイド化可能な材料であれば特に限定されず、例えばシリコンゲルマニウム又はアモルファスシリコン等の半導体材料を用いてもよい。
また、第6の実施形態において、第1のサイドウォールスペーサ606はシリコン窒化膜の単層構造を有していたが、これに代えて、第1のサイドウォールスペーサ606が、例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。
さらに、第1〜第5の各実施形態においても、第6の実施形態と同様にオフセットスペーサを形成してもよい。具体的には、第1の実施形態において、ゲート電極103を形成した後、ゲート電極103の側面にオフセットスペーサを形成し、その後、ゲート電極103及びオフセットスペーサをマスクとしてシリコン基板100に対してイオン注入を行なうことにより低濃度不純物領域104を形成してもよい。また、第2の実施形態において、ゲート電極203を形成した後、ゲート電極203の側面にオフセットスペーサを形成し、その後、ゲート電極203及びオフセットスペーサをマスクとしてシリコン基板200に対してイオン注入を行なうことにより低濃度不純物領域204を形成してもよい。また、第3の実施形態において、ゲート電極303を形成した後、ゲート電極303の側面にオフセットスペーサを形成し、その後、ゲート電極303及びオフセットスペーサをマスクとしてシリコン基板300に対してイオン注入を行なうことにより低濃度不純物領域304を形成してもよい。また、第4の実施形態においては、特に、内部トランジスタ形成領域RA の上に第1のゲート電極403aを形成した後、第1のゲート電極403aの側面にオフセットスペーサを形成し、その後、第1のゲート電極403a及びオフセットスペーサをマスクとしてシリコン基板400に対してイオン注入を行なうことにより第1の低濃度不純物領域404aを形成することが好ましい。このとき、入出力トランジスタ形成領域RB の第2のゲート電極403bの側面にもオフセットスペーサを形成してもよい。また、第5の実施形態においては、特に、内部トランジスタ形成領域RA の上に第1のゲート電極503aを形成した後、第1のゲート電極503aの側面にオフセットスペーサを形成し、その後、第1のゲート電極503a及びオフセットスペーサをマスクとしてシリコン基板500に対してイオン注入を行なうことにより第1の低濃度不純物領域504aを形成することが好ましい。このとき、入出力トランジスタ形成領域RB の第2のゲート電極503bの側面にもオフセットスペーサを形成してもよい。