JP2005197555A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

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義晃 長谷川
Toshiya Yokogawa
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Abstract

【課題】 本発明は、内部応力を制御することで、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系半導体レーザを提供すること。
【解決手段】 本発明の半導体発光素子は、窒化物半導体基板91上にn型不純物をドーピングした第2の窒化物化合物半導体層92を成長する工程と、前記第2の半導体層の主面を前記不純物で高濃度化して高濃度不純物含有窒化物化合物半導体層93を形成する工程と、前記第2の半導体層上に第3の窒化物半導体層94を成長する工程により得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒化物系III-V族化合物半導体で構成される発光素子に関する。
最近、次世代の高密度光ディスクであるBlu-ray Discが発売された。このBlu-ray Discでは光源として青紫色の光を発する半導体レーザが使用されており、半導体材料として窒化ガリウム(GaN)系のIII-V族化合物半導体が使用されている。
今後のBlu-ray Discの展開を考えた場合、レコーダーとして高密度・高速記録が必要であり、高光出力で信頼性の高いGaN系半導体レーザが必要となってくる。
最近、GaN系レーザの長寿命化として、低消費電力化と低転位密度化が重要であることが報告されている。例えば、非特許文献1では、低消費電力化が長寿命化と強い相関があることが示唆されている。
また、非特許文献2および非特許文献3では、転位密度の低減が長寿命化に有効であることが示唆されている。
第2および第3の非特許文献とも基板としてサファイアを使用しており、絶縁膜を介したGaNの横方向(ELO)選択成長技術を用いることで、部分的(ELO領域)にサファイアとの物性情報を中断し、低転位領域を形成している。この場合、低転位領域の転位密度は106cm-2程度である。
一方、ELO領域でない高転位密度領域では約2桁高い108cm-2程度となっている。また、同様な低転位領域形成の方法が特許文献1に開示されており、GaN表面に凹凸を形成し凸部から選択的成長を開始することで、凹部に低転位領域形成を形成できることが示されている。
しかしながら、高温度・高出力での長寿命化を目指した場合、106cm-2程度の転位密度では不十分であり、よりいっそうの低転位化が必要となっている。
また、サファイア基板は絶縁性であるため、半導体レーザの電極を基板側に配置することができない。このため、サファイア基板上にELO技術を使用してGaN系レーザを作製した場合、GaN側にレーザのp電極とn電極の両電極を配置する構成となるため、素子サイズが大きくなり、1枚の基板から作製される素子数が少なくなり、さらに製造工程も複雑化するため製造コストが高くなる課題がある。
上記課題を解決するために、最近、導電型(n型)のGaN基板が作製され始めた。例えば特許文献2および特許文献3によるGaN基板の製造方法では、上記ELO技術を用いて厚膜のGaNを成長し研磨加工することで自立基板として作製する方法が開示されている。前記GaN基板では、ELO技術を用いるため、低転位領域と高転位領域が形成され、低転位領域の転位密度は105cm-2程度にまで低減されている。
さらに、前記GaN基板上にGaN系レーザを成長する試みがなされている。非特許文献4によれば、低転位密度(3×105cm-2程度)のGaN基板上にGaN系レーザを作製することで、推定寿命時間として100000時間程度が予想され、大幅な長寿命化が図れている。
しかしながら、前記GaN基板ではELO技術を用いるため、基板全面が低転位化できているのではなく高転位密度領域(5×106cm-2程度)が周期的に存在する。この高転位領域に成長したGaN系半導体層は、基板からの貫通転位を引継ぐため転位密度が高く、局所的な格子(応力)緩和を招く。
このため、前記高転位領域を起源として、低転位領域側へ転位およびクラックが伝播することになり、GaN系レーザの特性面内均一性および歩留りが低下することになる。この課題に対して、GaN基板表面の高転位領域に絶縁膜からなる結晶成長抑制膜(ELO成長マスク)を堆積させ、結晶欠陥と内部応力を低減させる方法が特許文献3に開示されている。
しかしながら、将来的に基板全面で低転位化されたGaN基板が実現された場合でもGaN系レーザを成長する際に、内部応力およびクラックの課題が発生すると予想される。この理由を以下に示す。GaN系レーザには、光閉込めおよびキャリア閉込めのためにGaNよりもバンドギャップエネルギーが大きなクラッド層が必要であり、クラッド層は一般的にAlyGa1-yN(0<y<1)で構成される。
この場合、AlyGa1-yNのAl組成(y)増加によりGaNとの格子不整合が大きくなり、AlyGa1-yN層には引っ張り応力が内在するようになる。現在のGaN基板では低転位領域と高転位領域が形成されているために、前記AlyGa1-yN層に内在する応力は高転位領域での格子緩和により緩和され、クラック発生が幾分防止されている。一方、基板全面が低転位化されたGaN基板が実現された場合では、AlGaN層に内在する応力を緩和するために、基板全面にクラックが発生する可能がある。また、応力(引っ張り応力)が内在されたレーザでは、レーザ動作中に格子欠陥が成長し劣化が進行しやすいことが知られている。
そこで、我々は、GaN基板の現状課題および将来的課題に対して、成長時に基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、GaN基板上に成長させたGaN系レーザにおいて、内部応力を制御しクラック発生を防止すると共に高信頼性を実現する方法を新たに見出した。
特開2002-9004号公報 特開2003-124572号公報 特開2003-133649号公報 Phys. Stat. Sol.(a) 188(2001)69. Jpn. J. Appl. Phys. 39(2000)L647. Phys. Stat. Sol.(a) 194(2002)407. Extended Abstracts of the 2002 Int. Conf. on Solid State Devices and Materials, pp.832-833
本発明は、内部応力を制御することで、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系半導体レーザを提供することを目的とする。
本発明に係る第1の発明は、上記の目的を達成し、窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第2の窒化物化合物半導体層を成長する工程と、前記第2の半導体層の主面を部分的に前記不純物で高濃度化する工程と、前記第2の半導体層上に第3の窒化物半導体層を成長する工程を有することを特徴とする。
第2の半導体層の主面を部分的にn型ドーパントで高濃度化することにより、第2の半導体層上に成長する第3の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。この理由を以下に述べる。
窒化物半導体の転位等の欠陥は窒素空孔に起因することが多く、この欠陥は窒素原子がダングリングボンドを有しているために、n型ドーパント(例えばシリコン)と結合しやすい傾向にある。このため、欠陥位置で窒化珪素等が形成されることで、欠陥が不活性化され、また微小な選択成長マスクとなるために、第3の半導体層では転位等の欠陥が減少し、また内部応力も緩和されることになる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記第2の半導体層の主面を酸化することで、前記不純物で高濃度化された領域が選択的に酸化されることを特徴とする。
不純物としてシリコンを用いた場合、酸化により酸化珪素が形成される。この酸化珪素は選択成長マスクとして作用するため、第2の半導体層上に成長する第3の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。
また、この製造方法では、基板の主面内部に酸化珪素を形成することが可能であり、基板主面の凹凸を低減することができるため、従来の選択成長マスクを基板主面上に堆積させる方法と比較して、凹凸に起因する結晶性劣化も抑制することができる。
本発明に係る第3の発明は、上記第1および第2の発明において、前記不純物で高濃度化された領域が周期的に線状になっていることを特徴とする。上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域は選択成長マスクとして作用する。
つまり、高濃度領域を周期的に線状に配置することにより、選択成長マスクを周期性を有した線状に配置することになる。このため、本発明に係る第5の発明でも後述するが、第2の半導体層上に成長する第3の半導体層が選択成長マスクで成長を抑制された場合、第3の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。
第3の半導体層の格子定数が第1の半導体層の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第3の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第3の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
第4の発明は、上記第6および第3の発明において、前記n型不純物がシリコンであることを特徴とする。n型不純物がシリコンの場合には、酸化により酸化珪素が形成され選択成長マスクとして作用する。この選択成長マスクの有効性は上述した通りである。
第5の発明は、上記第6、3および第4の発明において、前記不純物で高濃度化された領域において、前記第3の半導体層の成長が抑制されることを特徴とする。
第2の半導体層上に成長する第3の半導体層がn型ドーパントで高濃度化された領域で成長を抑制された場合、第3の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。第3の半導体層の格子定数が第2の半導体層の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第3の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第3の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
本発明に係る第6の発明は、上記第1、2、3、4および第5の発明において、前記第3の半導体層上に活性層およびp型不純物をドーピングした窒化物化合物半導体を成長することを特徴とする。
上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域で自己分離した第3の半導体層上に、活性層およびp型ドーパントを添加した半導体層を成長し発光素子を形成することで、活性層にかかる内部応力(格子歪)も緩和され、発光素子の高出力化および長寿命化に大きく寄与することになる。さらに、発光素子構造が自己分離しているために、チップ状に切出す際のクラックおよびチッピングの発生を防止することができ、歩留り改善にも寄与する。
本発明に係る第1の発明は、上記の目的を達成し、窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第2の窒化物化合物半導体層を成長する工程と、前記第2の半導体層の主面を部分的に前記不純物で高濃度化する工程と、前記第2の半導体層上に第3の窒化物半導体層を成長する工程を有することを特徴とする。第2の半導体層の主面を部分的にn型ドーパントで高濃度化することにより、第2の半導体層上に成長する第3の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。この理由を以下に述べる。窒化物半導体の転位等の欠陥は窒素空孔に起因することが多く、この欠陥は窒素原子がダングリングボンドを有しているために、n型ドーパント(例えばシリコン)と結合しやすい傾向にある。このため、欠陥位置で窒化珪素等が形成されることで、欠陥が不活性化され、また微小な選択成長マスクとなるために、第3の半導体層では転位等の欠陥が減少し、また内部応力も緩和されることになる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記第2の半導体層の主面を酸化することで、前記不純物で高濃度化された領域が選択的に酸化されることを特徴とする。不純物としてシリコンを用いた場合、酸化により酸化珪素が形成される。この酸化珪素は選択成長マスクとして作用するため、第2の半導体層上に成長する第3の半導体層を部分的に、転位等の欠陥を低減し内部応力を緩和できる領域が形成可能となる。また、この製造方法では、基板の主面内部に酸化珪素を形成することが可能であり、基板主面の凹凸を低減することができるため、従来の選択成長マスクを基板主面上に堆積させる方法と比較して、凹凸に起因する結晶性劣化も抑制することができる。
本発明に係る第3の発明は、上記第1および第2の発明において、前記不純物で高濃度化された領域が周期的に線状になっていることを特徴とする。上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域は選択成長マスクとして作用する。つまり、高濃度領域を周期的に線状に配置することにより、選択成長マスクを周期性を有した線状に配置することになる。このため、本発明に係る第5の発明でも後述するが、第2の半導体層上に成長する第3の半導体層が選択成長マスクで成長を抑制された場合、第3の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。第3の半導体層の格子定数が第1の半導体層の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第3の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第3の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
第4の発明は、上記第1、2および第3の発明において、前記n型不純物がシリコンであることを特徴とする。n型不純物がシリコンの場合には、酸化により酸化珪素が形成され選択成長マスクとして作用する。この選択成長マスクの有効性は上述した通りである。
第5の発明は、上記第1、2、3および第4の発明において、前記不純物で高濃度化された領域において、前記第3の半導体層の成長が抑制されることを特徴とする。第2の半導体層上に成長する第3の半導体層がn型ドーパントで高濃度化された領域で成長を抑制された場合、第3の半導体層は周期的に線状に選択成長することになる。第3の半導体層の格子定数が第2の半導体層の格子定数と異なり、各周期間隔で選択成長した第3の半導体層が互いに合体せず自己分離した場合には、線状に選択成長した第3の半導体層の線に垂直方向の内部応力(格子歪)が緩和され、結晶性が改善できる。
本発明に係る第6の発明は、上記第1、2、3、4および第5の発明において、前記第3の半導体層上に活性層およびp型不純物をドーピングした窒化物化合物半導体を成長することを特徴とする。上述したように、n型ドーパントで高濃度化された領域で自己分離した第3の半導体層上に、活性層およびp型ドーパントを添加した半導体層を成長し発光素子を形成することで、活性層にかかる内部応力(格子歪)も緩和され、発光素子の高出力化および長寿命化に大きく寄与することになる。さらに、発光素子構造が自己分離しているために、チップ状に切出す際のクラックおよびチッピングの発生を防止することができ、歩留り改善にも寄与する。
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態は、上記実施形態とは異なる方法で、n型GaN基板上へのGaN系レーザの結晶成長において、基板表面上に絶縁膜等のELO成長マスクの堆積を必要とせず、また基板表面に凹凸加工を施すこともなく、内部応力を制御しクラック発生を防止し、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系レーザを高歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の第1の実施形態によるGaN系レーザ構造の結晶成長方法の詳細について図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るGaN基板上のレーザ構成断面図を示している。まず、GaN基板91を酸洗浄した後、MOVPE装置の反応炉内のサセプタに保持し、反応炉を真空排気する。続いて、反応炉内を圧力が300Torrの窒素雰囲気とし、温度を約800℃にまで昇温して基板91を加熱し表面のサーマルクリーニングを約10分間行なう。
次に、反応炉を約1000℃にまで昇温した後、基板91の主面上に、供給量7sccmのトリメチルガリウム(TMG)と、供給量が7.5slmのアンモニア(NH3)ガスと、n型ドーパントとしてシラン(SiH4)ガスと、キャリアガスとして水素とを同時に供給することにより、厚さが約1mm でSi不純物濃度が約5×1017cm-3のn型GaN層92を成長する。
次に、TMGの供給量のみを1/50程度に低減して高濃度n型GaN層93を約5nm程度成長する。この高濃度n型GaN層93に含まれるn型不純物の濃度は、約1×1019cm-3以上約1×1020cm-3以下である。約1×1019cm-3未満であると、転位密度を効果的に減少させることができず、約1×1020cm-3を超えるように高濃度n型GaN層93にn型不純物を含ませることは難しく、仮にできたとしてもそれはGaN半導体ではなくなってしまう。
続いて、TMGの供給量を元に戻して、トリメチルアルミニウム(TMA)も供給しながら、厚さが約1.2mmでSi不純物濃度が約5×1017cm-3のn型Al0.07Ga0.93Nよりなるn型クラッド層94を成長するが、以降に結晶成長するレーザ構造は上記実施形態1と同様である。尚、本実施形態で作製されたレーザ素子はレーザ素子7と呼ぶことにする。
成長終了後、成長表面を光学顕微鏡で観察すると、基板全面においてクラックは確認されなかった。
また、SEMを使用して貫通転位の密度を評価した。尚、転位密度は、成長表面に現れた窪み(ピット)およびカソードルミネッセンス(CL)による暗点の密度を測定することで評価した。その結果、本実施形態によるレーザ素子7では基板全面において転位密度が約1×105cm-2程度にまで減少していることがわかった。
後述する比較例1によるレーザ素子2の転位密度を同様に評価すると、約5×105cm-2程度であった。
次に、本実施形態によるレーザ素子7の低転位化機構を調べるために透過電子顕微鏡(TEM)による転位観察をおこなった。レーザ素子7の断面TEM観察の結果、GaN基板91から引き継いだ貫通転位、GaN基板91とn型GaN層92との界面で新たに発生した貫通転位が、高濃度n型GaN層93でレーザ構造上部への伝播を抑制されていることが明らかになった。
さらに、高濃度n型GaN層93でも新たな転位が発生していたが、レーザ構造上部へ伝播することなく高濃度n型GaN層93内で転位同士が結合消滅していた。
次に、TEMによる元素分析をおこなった結果、高濃度n型GaN層93では、微細な窒化珪素(SiN)が高密度に形成されていることが明らかになった。この現象は、高濃度n型GaN層93では、TMGの供給量が少ないためSiH4ガスとNH3ガスとの反応が際立つことで、SiNが形成されることに起因すると推測される。
さらに、GaN系半導体の貫通転位は窒素原子(N)がダングリングボンドを有しているために、Siと結合してSiNを形成しやすい傾向にある。
すなわち、レーザ素子7の低転位化の機構として、高濃度n型GaN層93で、転位部に優先的に形成されるSiNがマスクとして作用し、その上部に成長されるGaN系半導体がELO成長的に成長することで、転位密度が減少したものと推測される。
さらに、高濃度n型GaN層93の効果として、低転位化以外に、クラック発生の抑制がある。これは、高濃度n型GaN層93で転位同士の結合消滅が起こること、および微細なELO成長が高密度に発生していることにより、n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層94とn型GaN層92の中間に位置する高濃度n型GaN層93でAl0.07Ga0.93NとGaNの格子不整合による格子歪が緩和され、レーザの内部応力が緩和されるためである。
尚、本実施形態では、高濃度n型GaN層93をn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層94とn型GaN層92の中間に形成したが、n型GaN基板91とn型GaN層92の中間に形成しても、同様な低転位化の効果がある。
本実施形態により作製したレーザ素子7は、電流注入により室温連続発振に到った。この際の閾値電流およびスロープ効率は各々35mA、1.4W/Aであった。
次に、光出力50mWにおける消費電力(動作電流と動作電圧の積)が0.4W程度のレーザ素子を選別して、室温において50mWの高光出力での一定光出力(APC)寿命試験を実施した。
その結果、レーザ素子1での劣化率(動作電流の増加率)は1時間当たり0.001mA程度であり、1000時間以上の安定動作を確認した。このレーザ素子7の長寿命化は、、高濃度n型GaN層93の導入により低転位化とクラック抑制が図れたことに起因している。
(第1の実施形態の比較例1)
上記第1の実施形態の比較例として、低転位領域と高転位領域を周期的に有するn型GaN基板上へレーザ構造を結晶成長し、そのレーザ特性について比較検討した。
本比較例1に係るレーザ素子8の製造方法の詳細は、GaN基板が異なる以外、上記第1の実施形態と同様である。
図2は本比較例に係るGaN基板上のレーザ構成断面図を示している。
本比較例1の結晶成長が終了したレーザウエハーの表面を光学顕微鏡で観察すると、連続した平面的な表面ではなく、凹部が周期的にストライプ状に形成されている様子が確認できた。また、基板表面全面においてクラックが確認されなかった。この様子は上記実施形態1と同様である。
レーザ素子8の構造断面をTEM観察した結果、GaN基板の高転位領域上でのレーザ構造成長が阻害され、低転位領域上で選択的にレーザ構造が成長されていることが確認された。
つまり、上記第1の実施形態の結果を考慮すると、GaN基板の高転位領域では選択的に微細なSiNが形成され、このSiNがマスクの働きをしたために、SiN上でのレーザ構造の成長が阻害されたと推測される。
また、低転位領域においてもSiNのマスク効果によるELO成長のためにレーザ素子8の転位密度が、上記レーザ素子7と同程度(約1×105cm-2)に低減されている。
したがって、本比較例1による選択成長では、レーザ構造がGaN基板全面ではなくストライプ状に自己形成されていることにより、レーザ構造に内在されている格子不整合による内部応力が緩和され、クラック発生が防止されていると推測される。
第1の実施形態の比較例1は、レーザ素子特性に以下に述べる大きな特徴を有している。
本実施形態により作製したレーザ素子8は、電流注入により室温連続発振に到った。この際の閾値電流およびスロープ効率は各々32mA、1.4W/Aであった。次に、光出力50mWにおける消費電力(動作電流と動作電圧の積)が0.4W程度のレーザ素子を選別して、室温において50mWの高光出力での一定光出力(APC)寿命試験を実施した。その結果、レーザ素子1での劣化率(動作電流の増加率)は1時間当たり0.001mA程度以下であり、1000時間以上の安定動作を確認した。このレーザ素子8の長寿命化は、高濃度n型GaN層93の導入により低転位化、クラック抑制及びレーザ自己分離による内部応力緩和に起因している。
本発明によれば、内部応力を制御することで、高温および高光出力動作においても長寿命化が可能なGaN系半導体レーザが提供される。このGaN系半導体レーザは、光ディスク装置に組み込まれ、光ディスクに対して情報を記録したり、読み出したりする際の光源として用いられ得る。
本発明の第1の実施形態に係るGaN系半導体レーザ(レーザ素子7)の構成断面図 本発明の第1の実施形態の比較例1に係るGaN系半導体レーザ(レーザ素子8)の構成断面図
符号の説明
91 GaN基板
92 n型GaN層
93 高濃度n型GaN層
94 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
95 n型GaN光ガイド層
96 多重量子井戸活性層
97 (In0.02Ga0.98N)Mg拡散防止層
98 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
99 p型 GaN光ガイド層
100 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
101 p型 GaNコンタクト層
110 GaN基板
111 貫通転位
112 n型GaN層
113 高濃度n型GaN層
114 SiNマスク
115 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
116 n型GaN光ガイド層
117 多重量子井戸活性層
118 (In0.02Ga0.98N)Mg拡散防止層
119 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
120 p型 GaN光ガイド層
121 p型 Al0.18Ga0.82Nキャップ層
122 p型 GaNコンタクト層

Claims (6)

  1. 窒化物半導体基板上にn型不純物をドーピングした第2の窒化物化合物半導体層を成長する工程と、前記第2の半導体層の主面を前記不純物で高濃度化する工程と、前記第2の半導体層上に第3の窒化物半導体層を成長する工程を有することを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  2. 請求項1において、前記第2の半導体層の主面を酸化することで、前記不純物で高濃度化された領域が選択的に酸化されることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  3. 請求項1および請求項2において、前記不純物で高濃度化された領域が周期的に線状になっていることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  4. 請求項1、2および請求項3において、前記n型不純物がシリコンであることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  5. 請求項1、2、3および請求項4において、前記不純物で高濃度化された領域において、前記第3の半導体層の成長が抑制されることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  6. 請求項1、2、3、4および請求項5において、前記第3の半導体層上に活性層およびp型不純物をドーピングした窒化物化合物半導体を成長することを特徴とする窒化物半導体発光素子。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007067209A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Sanyo Electric Co Ltd 窒化物系半導体発光素子及びその製造方法
JP2011151119A (ja) * 2010-01-20 2011-08-04 Mitsubishi Electric Corp 半導体装置の製造方法

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