起動完了又は動作停止になるまで待ち時間を必要とする電気機器では、現在の機器の状態が待ち状態であるかをユーザに伝えられない機器も存在するため、このような電気機器の特性に慣れていないユーザに対し電気機器への不安感を抱かせるおそれ又は電気機器が故障したと誤認させるおそれが生じる。
また、液晶表示部を備える電気機器では、一般に液晶表示部の寸法が小型であるため、機器から離れた箇所及び機器に対して斜めの方向から液晶表示部を視認するのが困難となり、電気機器がどのような状態であるかを常に確認できにくい問題がある。さらに、液晶表示部は発光ダイオードのような発光素子を有する表示点灯部に比べてコストが高いため、液晶表示部を適用しにくいと云う問題もある。さらに、また、上述したビデオテープレコーダのように表示点灯部を備える電気機器では、表示点灯部で現状の動作状況を表示するに留まるため、電気機器が起動完了又は動作停止になるまでの待ち状態であるかをユーザへ確実に伝えられないと云う問題がある。
また、従来のプロジェクタ装置も、電源ボタンをオンしてから光源のランプが所要の光量を発するまで所要の待ち時間がかかり、この状態ではスクリーンに何も投映されないため、現在のプロジェクタ装置状態が投映可能になるまでの待ち状態であることをユーザに伝えられない問題がある。さらに、従来のプロジェクタ装置は、電源ボタンをオフしても、光源のランプが高温であるとファンの回転により冷却する仕様となっており、このように電源をオフしてもファンが回転している状態では上記と同様にスクリーンには何も投映されないため、現在のプロジェクタ装置の状態がランプを冷却するまでの待ち時間であることをユーザに伝える手段が無いと云う問題がある。
また、従来のプロジェクタ装置には、ファンの回転速度を冷却時間の短さを優先した高速回転モードと回転速度を抑えて回転に係る騒音低減を優先した静音回転モードとのいずれかに設定可能としたものも存在し、このようなプロジェクタ装置では一旦電源ボタンをオフすると、いずれのモードに設定したかをユーザが確認できない問題がある。特に、会議でプロジェクタ装置を使用する場合又は可搬型のプロジェクタ装置を使用後に移動させる場合等では、騒音の大小又は冷却に係る時間の長短は重要となるため、いずれのモードに設定したかを確認できないと云う問題は深刻になる。
本発明は、斯かる問題に鑑みてなされたものであり、環状となるように3個以上の発光部を配置すると共に、各発光部を起動完了に係る待ち状態、動作停止に係る待ち状態、動作状態に応じて時計回り又は反時計回りに順次発光させることにより、ユーザが一目で現在の状態を確認できるようにした電気機器及びプロジェクタ装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、各発光部の発光時間、発光照度、発光色、点滅発光と云った発光形態を動作状況に応じて適宜変更することにより、様々な動作状況を発光部の発光形態によりユーザが容易に把握できるようにした電気機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の電気機器は、受電開始に係る操作の受け付けから起動完了まで待ち時間を有する電気機器において、環状を形成するように配置してある3個以上の発光部と、受電開始に係る操作を受け付けた場合、各発光部を時計回りに又は反時計回りに順次発光させる発光点灯手段と、起動完了か否かを検知する起動検知手段と、該起動検知手段が起動完了を検知した場合、前記発光点灯手段による各発光部の発光を停止する発光停止手段とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、受電開始に係る操作としてユーザにより電気機器の電源スイッチ/電源ボタンをオンする操作が行われると、環状を形成するように配置した3個以上の発光部が、電気機器の起動完了まで時計回りに又は反時計回りに順次発光するようになる。その結果、各発光部が回るように発光している発光形態により、ユーザは一目で現在の電気機器の状態は起動完了までの待ち状態であることを確認できるようになる。
また、本発明の電気機器は、機器の動作停止に係る操作の受け付けから動作停止まで待ち時間を有する電気機器において、環状を形成するように配置してある3個以上の発光部と、動作停止に係る操作を受け付けた場合、各発光部を時計回りに又は反時計回りに順次発光させる発光点灯手段と、動作停止できる状態になったか否かを検知する停止検知手段と、該停止検知手段が動作停止できる状態になったことを検知した場合、前記発光点灯手段による各発光部の発光を停止する発光停止手段とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、機器の動作停止に係る操作としてユーザにより電源スイッチ/電源ボタンのオフに係る操作が行われると、環状を形成するように配置した3個以上の発光部が、電気機器の動作が停止できる状態になるまで時計回りに又は反時計回りに順次発光するので、ユーザは一目で電気機器が動作停止までの待ち状態であると確認できるようになる。
さらに本発明の電気機器は、受電開始に係る操作の受け付けから起動完了まで待ち時間を有すると共に、機器の動作停止に係る操作の受け付けから動作停止まで待ち時間を有する電気機器において、環状を形成するように配置してある3個以上の発光部と、受電開始に係る操作を受け付けた場合、各発光部を時計回りに又は反時計回りに順次発光させる発光点灯手段と、起動完了か否かを検知する起動検知手段と、該起動検知手段が起動完了を検知した場合、前記発光点灯手段による各発光部の発光を停止する発光停止手段と、動作停止できる状態になったか否かを検知する停止検知手段とを備え、前記発光点灯手段は、動作停止に係る操作を受け付けた場合、各発光部を反時計回りに又は時計回りに順次発光させる手段を備え、前記発光停止手段は、前記停止検知手段が動作停止できる状態になったことを検知した場合、前記発光点灯手段による各発光部の発光を停止する手段を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、環状を形成するように配置した3個以上の発光部が、受電開始に係る操作を受け付けた場合と、機器の動作停止に係る操作を受け付けた場合とに対し夫々相違する方向へ順次発光するので、各発光部が発光していく方向により、現状が起動完了までの待ち状態か、又は動作停止になるまでの待ち状態であるかをユーザが容易に把握できるようになる。
本発明の電気機器は、動作状況に応じて前記発光点灯手段による各発光部の発光時間を変更する時間変更手段を更に備えることを特徴とする。
本発明にあっては、各発光部の発光時間を電気機器の動作状況に応じて変更するため、各発光部の発光が順次回っていく速度を変更できるようになる。その結果、各発光部の発光に係る表現形態を豊富にできる。
また、本発明の電気機器は、機器内部冷却用のファンと、該ファンの回転速度を設定する回転速度設定手段とを更に備え、前記時間変更手段は、前記回転速度設定手段が設定するファンの回転速度に対応させて各発光部の発光時間を変更する手段を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、各発光部の発光時間をファンの回転速度に対応させて変更するため、ファンの回転状況を各発光部の発光が順次回っていく速度で表現できるようになる。その結果、特に、ファンの回転速度に係るモードを設定できるプロジェクタ装置のような機器に対し、どのような場合でもファンの回転状況を各発光部の発光形態でユーザが把握できるようになり好適である。
さらに、本発明の電気機器は、動作状況に応じて前記各発光部の発光照度を変更する照度変更手段を更に備えることを特徴とする。
本発明にあっては、各発光部の発光照度を電気機器の動作状況に応じて変更するため、各発光部の発光に係る表現形態を更に豊富にでき、様々な動作状況を各発光部の発光照度を変更して表現できるようになる。
さらに、また、本発明の電気機器は、光源用のランプと、該ランプの照度を設定する照度設定手段とを更に備え、前記照度変更手段は、前記照度設定手段が設定したランプの照度に対応させて発光照度を変更する手段を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、各発光部の発光照度を光源用のランプの照度に対応させて変更するため、ランプの照度を各発光部の発光照度で表現できるようになる。その結果、プロジェクタ装置のように光源用のランプの照度を適宜切り替えるような機器では、各発光部の発光に係る照度でランプの照度をユーザが把握できるようになり好適である。
本発明の電気機器は、前記各発光部は、発光色を切り替えることが可能であり、動作状況に応じて前記各発光部の発光色を変更する発光色変更手段を更に備えることを特徴とする。
本発明にあっては、各発光部の発光色を電気機器の動作状況に応じて変更するため、各発光部の発光に係る表現形態を一段と豊富にでき、様々な動作状況を各発光部の発光色により伝えられるようになる。
また、本発明の電気機器は、動作状況に応じて前記各発光部の全て又はいずれかを点滅発光させる点滅発光手段を更に備えることを特徴とする。
本発明にあっては、各発光部の全て又はいずれかを電気機器の動作状況に応じて点滅発光させるため、各発光部の発光に係る表現形態を豊富にでき、様々な動作状況を各発光部の点滅発光に係る形態でユーザに伝えられる。
さらに、本発明の電気機器は、発光部毎に操作手段が夫々付設してあることを特徴とする。
本発明にあっては、発光部毎にユーザの操作を受け付けるスイッチ及びボタン等の操作手段が付設するので、発光部に関連させて操作手段を設けることができ、操作性が良好になるとと共に、操作部の配置スペースの効率化も図ることができる。
また、本発明の電気機器は、上記電気機器がプロジェクタ装置であることを特徴とする。
本発明にあっては、上述した電気機器をプロジェクタ装置にすることで、起動完了までの待ち状態、動作停止までの待ち状態等を、各発光部を発光させる方向で表現できるようになる。また、ファンの回転状況及びランプの照度と云った各種動作状況も各発光部の発光形態により表現できるようになり、スクリーンへ投映できない状態でもプロジェクタ装置の動作状況をユーザが容易に確認可能となる。
さらに、本発明のプロジェクタ装置は、環状を形成するように配置してある3個以上の発光部と、動作状況に応じて前記発光部を時計回りに又は反時計回りに順次発光させる発光点灯手段とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、プロジェクタ装置が環状を形成するように配置した3個以上の発光部を動作状況に応じて時計回り又は反時計回りに順次発光させるため、各発光部の発光が回っていく方向によりプロジェクタ装置の動作状況を表現できるようになる。
本発明にあっては、受電開始に係る操作を受け付けると、電気機器が起動完了になるまで各発光部を時計回りに又は反時計回りに順次発光するので、現在の機器の状態は起動完了に係る待ち時間であるか否かをユーザは一目で確認できる。
また、本発明にあっては、機器の動作停止に係る操作を受け付けると、電気機器が動作を停止するまで各発光部を時計回りに又は反時計回りに順次発光させるので、現在の機器の状態は動作停止に係る待ち時間であるか否かをユーザは容易に確認できる。
さらに、本発明にあっては、受電開始に係る操作を受け付けた場合と、動作停止に係る操作を受け付けた場合とでは、各発光部を順次発光させる方向を逆にするので、各発光部が発光する方向により現在の状態が起動完了に係る待ち時間か、動作停止に係る待ち時間であるかをユーザが容易に識別できる。
本発明にあっては、各発光部の発光時間を電気機器の動作状況に応じて変更するため、高価な液晶表示部を適用しなくても、各発光部の発光が順次回っていく速度により電気機器の動作状況を表現できる。
また、本発明にあっては、各発光部の発光時間をファンの回転速度に対応させて変更することにより、ファンの回転速度を各発光部の発光が順次回っていく状況でユーザに伝えられる。
本発明にあっては、各発光部の発光照度を電気機器の動作状況に応じて変更するため、各発光部の発光照度の程度により電気機器の様々な動作状況をユーザに伝えられる。
また、本発明にあっては、各発光部の発光照度を光源用のランプの照度に対応させて変更するため、ランプの照度を各発光部の発光照度でユーザに知らせることができる。
本発明にあっては、各発光部の発光色を電気機器の動作状況に応じて変更するため、各発光部の発光色により電気機器の動作状況を詳細に表現できる。
また、本発明にあっては、各発光部の全て又はいずれかを電気機器の動作状況に応じて点滅発光させるため、発光部の点滅発光により電気機器の動作状況を表現できる。
さらに、本発明にあっては、発光部毎に操作手段を付設しているので、電気機器に係る操作性を良好にできると共に操作に係るスペースを効率的に活用できる。
本発明にあっては、上述した電気機器をプロジェクタ装置にすることにより、スクリーンへ投映できない状態でも起動完了までの待ち時間、動作停止までの待ち時間等をユーザは各発光部の発光方向で確認できると共に、ファンの回転状況及びランプの照度と云った各種動作状況も各発光部の発光形態によりユーザは一目で把握できる。
また、本発明にあっては、プロジェクタ装置が環状を形成するように配置した3個以上の発光部を動作状況に応じて時計回り又は反時計回りに順次発光させるため、各発光部の発光が回っていく方向によりプロジェクタ装置の動作状況を表現できる。
図1は、本発明の実施形態に係る電気機器に相当するプロジェクタ装置1の斜視図である。本実施形態のプロジェクタ装置1は直方体状の可搬タイプのものであり、筐体の周囲となる一側面1bにスクリーンへ向けてデータを投映するレンズ部9を設けると共に、筐体の天板1aには決定ボタン5、電源ボタン6及びメニュー/ヘルプボタン7を設けている。また、プロジェクタ装置1は決定ボタン5の周囲にリング状の操作キー4を取り付けており、操作キー4は周方向に4等分した箇所に三角形の透明部4a〜4dを夫々設けている。なお、操作キー4は各透明部4a〜4d付近を夫々押圧できるように天板1aに取り付けられている。
さらに、プロジェクタ装置1は、操作キー4の裏側で各透明部4a〜4dに対応する装置内部の箇所に、第1発光部2a〜第4発光部2d及び操作手段に相当する第1操作スイッチ3a〜第4操作スイッチ3dを配置している。詳しくは、各発光部2a〜2dは環状を形成するように各透明部4a〜4dに対応する箇所で中央の決定ボタン5寄りに配置されており、また、各操作スイッチ3a〜3dは各発光部2a〜2dに付設するように各透明部4a〜4dに対応する箇所で操作キー4の外周縁寄りに配置されている。
各発光部2a〜2dは、発光を行う発光素子として発光ダイオードを用いている。また、各操作スイッチ3a〜3dは、メニュー内容の選択、光源用のランプの照度調整、音量調整、及び外部入力の切替等に係るユーザからの操作を受け付ける。なお、プロジェクタ装置1は電源ボタン6の近傍に受電状態確認用の第1点灯部8a及び光源用のランプの温度状況を示す第2点灯部8bを設けている。
図2(a)は、図1のA−A線断面における第3発光部2c及び第3操作スイッチ3cの配置状況及び操作キー4の取付状況を示している。天板1aの下方には所要の電気回路を形成して各種電気部品を取り付けた基板10が配置されており、この基板10に第3発光部2c及び第3操作スイッチ3cが取り付けられている。なお、基板10の決定ボタン5の下方となる箇所には決定ボタン5用のスイッチ10aも取り付けられている。第3発光部2cが上述したように位置することで、第3発光部2cの発光が操作キー4の透明部4cを通じて外部から視認できる。
また、操作キー4の第3操作スイッチ3cに対応する裏面には凸部4eを突出し、その先端を第3操作スイッチ3cの押し込み部3eに当接させている。よって、図2(b)に示すように操作キー4の透明部4c付近をユーザが指で押圧すると、第3操作スイッチ3cの押し込み部3eが凸部4eにより押し込まれ、第3操作スイッチ3cが操作される。なお、上述した操作キー4、第3操作スイッチ3c及び第3発光部2cに係る構成は他の3箇所でも同様である。
図3は、本実施形態のプロジェクタ装置1の要部を示すブロック図である。プロジェクタ装置1は主要部分として、投映用のレンズ部9、光源用のランプ13、ランプ13及び装置内部の冷却用のファン17、各種制御を行うシステムコントロール部20、電源部24、各発光部2a〜2dと接続されるD/A変換部25、システムコントロール部20の制御内容を規定したプログラム及び制御処理に係るデータ等を記憶するメモリ部26、及び投映するデータの入力対象を切り替える入力切替部28等を備える。なお、プロジェクタ装置1は上述した以外にも、図示していないがリモコン受光部、データの音声増幅部及びスピーカ等を備える。
レンズ部9は、ズーム用レンズ9a及びフォーカス用レンズ9bを内蔵し、各レンズ9a、9bはズーム用モータ11a及びフォーカス用モータ11bの駆動により光軸方向に適宜移動可能にされている。また、各モータ11a、11bはモータ制御部12に接続されており、モータ制御部12はシステムコントロール部20からの指示信号に基づき各モータ11a、11bの駆動を制御している。
ランプ13は、システムコントロール部20と接続されており、システムコントロール部20からの指示信号に基づき点灯又は消灯を行う。また、ランプ13は点灯に係る照度もシステムコントロール部20により2段階で制御されている。なお、ランプ13は点灯開始の指示を受け付けてからデータを投映できる照度になるまで数秒又は数十秒がかかり、この時間がプロジェクタ装置1において電源ボタン6をオンしてから起動が完了するまでの待ち時間に相当する。
また、ランプ13には信号出力部16が併設されており、信号出力部16は起動検知手段としてランプ13がデータを投映できる一定の照度(起動完了)になったか否かを検知し、一定の照度になったことを検知した場合、起動検知信号をシステムコントロール部20へ送る処理を行う。さらに、信号出力部16はランプ13が点灯できないような異常も検知しており、異常を検知した場合、異常信号をシステムコントロール部20へ送る処理も行う。
また、ランプ13は点灯により高温となるため、消灯後も高温となったランプ13を冷却するために、電源ボタン6をオフしても直ちに受電を遮断せずファン17で冷却するようにしている。そのため、ランプ13は、ファン17の回転を停止できる状態(動作停止できる状態)になったか否かを検知するための停止検知手段として温度センサ14を併設している。温度センサ14は受電を遮断して動作を停止できるか否かを判断するため、ファン17の冷却によりランプ13が規定の温度まで低下したか検知し、規定の温度まで低下した場合、温度低下信号をA/D変換部15を介してシステムコントロール部20へ送る処理を行う。さらに、温度センサ14は、ランプ13の温度が規定以上の高温になった場合、高温通知信号をシステムコントロール部20へ送る処理も行う。
なお、上述したようにプロジェクタ装置1はランプ13を消灯した後もランプ13が規定の温度に低下するまで数秒又は数十秒待つ必要があり、このように温度低下に係る時間が電源ボタン6をオフしてから動作が停止されるまでの待ち時間に相当する。
ファン17は、ファン制御部19により回転の開始/停止、及び回転速度が制御されている。また、本実施形態のプロジェクタ装置1は、ファン17を高速で回転させる高速回転モードと、低速で回転させて回転に伴う騒音を低減した静音回転モードを切替可能にしている。また、ファン制御部19はシステムコントロール部20と接続されており、システムコントロール部20の指示信号に基づきPWM(Pulse Width Modulation)方式でファン17の回転状況を制御する。
さらに、ファン17は、パルス信号出力部18を併設しており、パルス信号出力部18はファン17の回転に係るパルス信号をシステムコントロール部20へ送る処理を行う。よって、システムコントロール部20は、ファン制御部19へファン17を回転させる指示信号を出力してもパルス信号出力部18からパルス信号を受け取れないと、ファン17にものが挟まるなどしてファン17が回転できないこと又はファン17自体が故障していることを検出できる。
また電源部24は、外部の商用電源ACと接続されて商用電源ACから受けた電力を所要の電力形態に変換してプロジェクタ装置1の各部分へ供給するものである。なお、電源部24は、プロジェクタ装置1が商用電源ACと接続されている場合、待機電力の供給状態となり、システムコントロール部20のみが動作できるようにしている。また、電源部24は、受電開始に係る操作として電源ボタン6がオンされると、プロジェクタ装置1の各部が動作できるように各部へ電力を供給する処理を行い、装置の動作停止に係る操作として電源ボタン6がオフされると、システムコントロール部20の制御に従いシステムコントロール部20以外の各部への電力供給を停止する処理を行う。
さらに、D/A変換部25は、システムコントロール部20から送られる指示信号に基づき各発光部2a〜2dへの発光用の出力を調整し、各発光部2a〜2dの点灯、点灯停止(消灯)、発光照度等の発光形態に係る処理を行うものである。
また、入力切替部28は、第1入力端子27a〜第3入力端子27cと接続され、システムコントロール部20の制御に基づき投映対象のデータの入力先を適宜切り替える処理を行う。なお、各入力端子27a〜27cに接続される外部の機器としてはパーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、デジタルビデオ装置、オーディオ装置等があり、プロジェクタ装置1は、上述した外部の機器が出力したデータをレンズ部9よりスクリーンへ投映する。
一方、システムコントロール部20は、メイン制御部21、入出力接続部22及びタイマ部23を備えている。メイン制御部21にはマイクロコンピュータを用いており、メイン制御部21はシステムコントロール部20の内部で入出力接続部22及びタイマ部23と接続すると共に、システムコントロール部20の外部に対してはモータ制御部12、A/D変換部15、信号出力部16、ファン制御部19、電源部24、D/A変換部25、メモリ部26及び入力切替部28と接続し、各部12、19、24、25、28に対し指示信号を送ることで所要の制御を行う。
また、入出力接続部22(General Port I/Oに相当)は、操作スイッチ3a〜3d及び電源ボタン6が接続されており、各操作スイッチ3a〜3d及び電源ボタン6が操作されると、操作されたオン/オフの状況をメイン制御部21へ伝える処理を行う。なお、図3では図示していないが、図1に示す決定ボタン5及びヘルプ/メニューボタン7等も入出力接続部22に接続されている。さらに、入出力制御部22は、ランプ13及びパルス信号出力部18とも接続されており、ランプ13の点灯に係る所要の指示信号をメイン制御部21の指令に基づき出力すると共にパルス信号出力部18からのパルス信号を受け付けてメイン制御部21へ送る処理を行う。
次に、メイン制御部21がメモリ部26に記録されたプログラムに基づいて行う各発光部2a〜2dの発光形態に係る各種制御処理の内容を説明する。先ず、プロジェクタ装置1が待機電力供給状態のときにユーザにより電源ボタン6をオンする操作を受け付けると、メイン制御部21は、各部へ電力を供給するように電源部24を制御すると共に、ランプ13を点灯させる指示信号をランプ13へ出力する。さらに、メイン制御部21は発光点灯手段として各発光部2a〜2bを時計回りに順次発光させる指示信号をD/A変換部25へ出力する処理を行う。
図4は、メイン制御部21の発光点灯手段として処理により各発光部2a〜2bが点灯及び消灯する発光形態を示したタイムチャートであり、横軸は時間の経過を示す。具体的な発光形態は、最初に第1発光部2aが一定時間点灯してから消灯すると同時に第2発光部2bが一定時間点灯する。また、第2発光部2bが消灯すると同時に第3発光部2cが一定時間点灯し、その後第3発光部2cが消灯すると同時に第4発光部2dが一定時間点灯する。その後は、第4発光部2dが消灯すると、再度第1発光部2aが点灯し、以降、このような点灯及び消灯を各発光部2a〜2dは繰り返す。なお、各発光部2a〜2dを点灯させる時間はタイマ部23が計測しており、メイン制御部21はタイマ部23の点灯時間の計測により点灯に係る回転状態の速度を制御している。
さらに、メイン制御部21は、上述した点灯及び消灯に係る処理を行っている場合に、信号出力部16から起動検知信号を受け取ると、図4に示す各発光部2a〜2dの発光(点灯)を停止する発光停止手段として機能する。
よって、本実施形態のプロジェクタ装置1は、図5に示すように、電源ボタン6がオンされてから起動完了するまでの待ち時間中、第1発光部2aから第4発光部2dまでが順次発光するため、外部からは操作キー4の透明部4a〜4dが、まるで時計回りにクルクル回転するように点灯した状態となり、ユーザは一目で現在の装置状態が起動完了までの待ち状態(起動遷移状態)であることを直感的に認識できる。なお、プロジェクタ装置1は、起動が完了すると、メニュー画面等のデータをスクリーンへ投映する。
また、電源ボタン6がオンされて各部に電力が供給された状態でユーザによりプロジェクタ装置1が電源ボタン6をオフする操作を受け付けると、メイン制御部21はランプ21を消灯する制御を行うと共に、ファン17を回転させる指示信号をファン制御部19へ出力する。さらに、メイン制御部21は発光点灯手段として各発光部2a〜2bを今度は反時計回りに順次発光させる指示信号をD/A変換部25へ出力する。
図6は、電源ボタン6のオフ時にメイン制御部21の処理により各発光部2a〜2bが点灯及び消灯する発光形態を示すタイムチャートである。即ち、最初に第1発光部2aが点灯してから消灯すると同時に第4発光部2dが点灯し、第4発光部2dが消灯すると同時に第3発光部2cが点灯し、第3発光部2cが消灯すると同時に第2発光部2bが点灯し、第2発光部2bが消灯すると、再度第1発光部2aが点灯し、以降、このような点灯及び消灯を繰り返す状況を各発光部2a〜2dは繰り返す。
さらに、メイン制御部21は発光停止手段の機能として、上述した点灯及び消灯に係る処理を行っている場合に、温度センサ14からA/D変換部15を介して温度低下信号を受け取ると、図6に示す各発光部2a〜2dの発光を停止する処理を行う。その結果、プロジェクタ装置1は、電源ボタン6がオフされてファン17の回転を停止できるまでの待ち時間中、各発光部2a〜2dの発光により操作キー4の透明部4a〜4dが反時計回りにクルクル回転するように点灯し、回転する方向が起動時と相異するため、ユーザは容易に受電が遮断(動作が停止)されるまでの待ち状態であることを認識できる。また、メイン制御部21は、温度低下信号を受け取ると待機電力供給状態になるように電源部24を制御する処理も行う。
なお、上述した説明では起動完了まで各発光体2a〜2dを時計回りに発光させ、ファン17の回転停止まで各発光体2a〜2dを反時計回りに発光させているが、メモリ部26のプログラム内容を変更することで、起動完了まで各発光体2a〜2dを反時計回りに発光させ、ファン17の回転停止まで各発光体2a〜2dを時計回りに発光させることも可能になる。
また、本実施形態のプロジェクタ装置1は、ファン17に対し高速回転モード及び静音回転モードを切替可能にしているため、電源ボタン6をオフする操作が一回行われたときは高速回転モード、電源ボタン6をオフする操作が2回行われたときは静音回転モードに設定するようにしている。このような設定に係る処理はメイン制御部21が回転速度設定手段として行っている。電源ボタン6のオフ操作により各モードが設定されると、メイン制御部21は設定したモードに応じてファン17を回転させる指示信号をファン制御部19へ出力する。
また、メイン制御部21は、ファン17の回転速度に応じて各発光部2a〜2dの発光時間を変更する時間変更手段としても機能している。具体的には、高速回転モードに設定された場合、メイン制御部21は図6に示す各発光部2a〜2dの点灯時間t1〜t4をタイマ部23で適宜変更し各発光部2a〜2dの点灯が一巡する時間T1を高速回転モードのファン17の回転速度に対応した時間に合致するように変更する処理を行う。さらに、静音回転モードに設定された場合、メイン制御部21は各発光部2a〜2dの点灯時間t1〜t4を高速回転モード時よりタイマ部23で長く変更し、各発光部2a〜2dの点灯が一巡する時間T1を静音回転モードのファン17の回転速度に対応した時間に合致するように変更する処理を行う。
メイン制御部21が上述したように各発光部2a〜2dの点灯時間を変更することで、操作キー4の透明部4a〜4dがクルクル回転するように点灯するときの回転速度が、ファン17の回転速度に連動する。その結果、電源ボタン6がオフされてスクリーンに何も投映されない状態になっても、透明部4a〜4dの点灯に係る回転速度を見ることで設定されているファン17の回転モードをユーザが容易に確認できるようになる。
また、メイン制御部21は照度変更手段としても機能しており、例えば、信号出力部16から異常信号を受け取ると、図7に示すように各発光部2a〜2dの全てを同時に最大の照度で点灯(フル点灯)させ、その後時間の経過と共に照度を落としていき、消灯まで照度が落ちると、再度フル点灯させ、以降上述した発光状態を繰り返す指示信号をD/A変換部25へ出力する。各発光部2a〜2dが上述した発光を行うことにより、プロジェクタ装置1はランプ13に異常が発生していることをユーザに速やかに伝えることができる。
さらに、本実施形態に係るプロジェクタ装置1は、光源用のランプ13の照度の切替を、第1操作スイッチ3aが操作されると、メイン制御部21は照度設定手段としてランプ13の照度を上げる方向に設定し、第3操作スイッチ3cが操作されると、照度を下げる方向に設定することで行う。このようにランプ13の照度が設定されると、メイン制御部21は設定した照度でランプ13を点灯させる指示信号をランプ13へ出力するため、ランプ13は設定された照度で点灯する。
また、ランプ13の照度を新たに設定した場合、メイン制御部21は照度変更手段としてランプ13の照度に対応した発光照度で各発光部2a〜2dを時計回りに順次点灯させる処理を行う。
図8(a)は、ランプ13の照度を低い方に設定した場合の各発光部2a〜2dの発光形態を示すタイムチャートである。この場合、メイン制御部21は、フル点灯の半分の照度で各発光部2a〜2dを時計回りに順次所要回数点灯させる指示信号をD/A変換部25へ出力する。また、図8(b)は、ランプ13の照度を高い方に設定した場合の発光形態を示すタイムチャートである。この場合、メイン制御部21は、フル点灯の照度で各発光部2a〜2dを時計回りに順次所要回数点灯させる指示信号をD/A変換部25へ出力する。よって、ランプ13の照度切替時には上述した発光照度で各発光部2a〜2dが点灯するため、ユーザはスクリーンに投映された設定内容を見るまでもなく、各発光部2a〜2dの発光照度により直ちにランプ13の設定された照度を確認できる。
また、本実施形態に係るプロジェクタ装置1は、第2操作スイッチ3bが操作されるとスピーカから出力する音量を上昇させると共に、第4操作スイッチ3dが操作されると音量を低下させるようにメイン制御部21は処理を行う。このように音量調整に対して第2操作スイッチ3b及び第4操作スイッチ3dが操作されると、メイン制御部21は各発光部2a〜2dの発光照度を変更させながら順次点灯させる処理を行う。
図9は、第2操作スイッチ3bの操作により音量が上昇する場合の各発光部2a〜2dの発光形態を示すタイムチャートである。図9に示す発光形態は、基本的に図4の発光形態と同様であるが、図9に示す発光形態では消灯とフル点灯との間の発光照度を徐々に変化させると共に、各発光部2a〜2dの点灯を重ねて行っている点が相異する。例えば、第1発光部2aをフル点灯の状態から照度を低下させた時点より、第2発光部2bを照度が上昇するように点灯を開始し、第1発光部2aが消灯した時点で第2発光部2bがフル点灯するようにメイン制御部21は発光形態を制御している。また、第2発光部2bと第3発光部2cも上記と同様に点灯させ、さらに、第3発光部2cと第4発光部2dも上記と同様に発光させ、メイン制御部21は、以降同様に各発光部2a〜2dを所要回数点灯させる制御を行う。
各発光部2a〜2dを図9に示すような発光形態にすることで、図4に示すような発光状態に比べて、点灯による回転がクルクルではなく滑らかに回転するように見える。そのため、音量の上昇に合わせて点灯がスムーズに回転する発光形態となり、ユーザは音量を上昇する操作を明確に認識できる。なお、音量を低下させる場合、プロジェクタ装置1は、図9に示す発光形態で発光の方向を図6に示すように反時計回りにしている。
また、メイン制御部21は、ファン17の異常をパルス信号の有無により検知した場合、図10(a)に示す発光形態で各発光部2a〜2dを点灯させる点滅発光手段としても機能している。この場合、各発光部2a〜2dの全ては点灯及び消灯を繰り返して点滅発光を行うため、ユーザは容易にファン17の異常を認知することができる。
さらに、メイン制御部21は、温度センサ14から高温通知信号を受け取った場合、図10(b)で示すように、第1発光部2a及び第3発光部2cのみが点灯及び消灯を繰り返して点滅発光する処理を行う。このように第1発光部2a及び第3発光部2cを点滅発光させることでユーザはランプ13が規定以上に高温になっていることを一目で把握できる。
上述したように本実施形態のプロジェクタ装置1は、各発光部2a〜2dの発光形態により、起動完了までの待ち時間、装置の動作が停止できるまでの待ち時間、装置の動作状況及び異常等を表現できるため、ユーザは上述した装置の各状況を即座に認識でき、特に、プロジェクタ装置1がスクリーンに表示できない状況でもユーザに現在の状況を伝えることが可能になる。なお、本実施形態のプロジェクタ装置1はあくまで一例であり、上述した形態に限定されるものではなく、種々の変形例の適用が可能である。
例えば、プロジェクタ装置1の待ち時間、動作状況及び異常等に対し、図4、6等に示す各タイムチャートに係る発光形態を上述した各状況と相異する関係で対応させてもよい。例えば、ランプ13の異常の場合、図7のタイムチャートに示す発光形態ではなく、他のタイムチャートに示す発光形態を適用してもよく、音量調整に対しても図9以外のタイムチャートに係る発光形態を適用することも可能である。
また、各発光形態を適宜組み合わせて各発光部2a〜2dを点灯させることも可能であり、さらには、新たな別の発光形態も適用できる。例えば、図4に係る発光形態と図6に係る発光形態を組み合わせて、時計回りに一回発光すると、次の回転は反時計回りに発光させる形態も可能であり、時計回り又は反時計回りに一回発光させると全ての発光部2a〜2dを所定時間消灯することを繰り返し行うような発光形態も適用できる。
さらに、プロジェクタ装置1のズーム用モータ11aを動作させるとき、フォーカス用モータ11bを動作させるとき、外部のデータ入力対象を入力切替部28で切替を行うような時に対しても、上述した各種発光形態のいずれかを適用するようにしてもよい。また、プロジェクタ装置1は、起動完了までの待ち時間のみに対して時計回り又は反時計回りの発光形態を適用するようにしてもよく、さらには、動作停止できる状態になるまでの待ち時間のみに対して反時計回り又は時計回りの発光形態を適用してもよい。
また、図11(a)に示すように、各発光部には発光色が相異する2個の発光ダイオード30a、30bを内蔵した発光部30を適用するようにしてもよく、このような発光部30を用いた場合、更に発光形態を豊富にできる。図11(b)はオレンジ色と青色の発光色を切り替えることが可能な図11(a)に示す構成の発光部30を用いた場合の発光形態の一例を示すタイムチャートである。この場合、メイン制御部21は発光色変更手段として機能し、プロジェクタ装置1の動作状況に応じて、計4個の各発光部を時計回りに最初はオレンジ点灯させ、次の回転では青点灯を行うことを繰り返す制御を行う。なお、発光色の切替は、図11(a)に示す発光部30以外にも、発光ダイオードに印加する電圧値を変更することにより発光色が変化するものを発光部として適用した場合でも実現できる。
さらに、発光部の個数は4個に限定されるものではなく3個以上であれば適用可能である。例えば、図12(a)に示すように、3個の発光部31a〜31cを、環状を形成するように配置した場合でも、上述したような各種発光形態を実現できる。なお、図12(a)では、各発光部31a〜31cに独立した三角形状の透明な操作キー32a〜32cを設け、図示しない各発光部31a〜31cに付設した操作スイッチを操作できるようにして、操作スイッチの配置効率を高めると共に操作性も向上している。また、操作スイッチが不要であれば、図12(b)に示すように、計5個の発光部35a〜35eのみを、環状を形成するように配置してもよく、このような配置形態でも上述した各種発光形態を実現できる。
さらに、また、本発明に係る発光形態を適用できる電気機器の対象は、プロジェクタ装置に限定されるものではなく、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラのような撮像装置及びオーディオ/ビジュアル装置等のように、電源スイッチ/電源ボタンをオンする操作をしてから起動完了まで待ち時間を要する電気機器、電源スイッチ/電源ボタンをオフする操作をしてから動作停止まで待ち時間を要する電気機器にも好適に用いることができる。さらには、動作状況及び異常等を示すために液晶表示部を備える電子レンジ、冷蔵庫、エアコンディショナー等の電気機器に対しても液晶表示部を廃止して上述した環状を形成するように発光部を配置して動作状況及び異常等を表現できるようにしてもよく、また、テレビ装置にも本発明に係る環状配置の発光部を適用して、動作状況及び異常等を表示するようにしてもよい。