JP2005195826A - 荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法 Download PDF

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勝之 中田
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Abstract

【課題】 顕著なフォーカスずれを起こさずにパターンを確実に描画することのできる荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法を提供する。
【解決手段】 移動ステージに設置した被加工物11に荷電粒子ビームを照射して被加工物11にパターンを描画する荷電粒子ビーム装置において、被加工物11表面の高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計10と、その被加工物11表面への荷電粒子ビームのフォーカス値を調整するフォーカスコイル9と、前記のレーザー変位計10の測定結果に基づいてフォーカスコイル9によるフォーカス値の調整を制御する統括制御部14とを備えることより、上記課題を解決した。
【選択図】 図1




Description

本発明は、荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法に関し、さらに詳しくは、顕著なフォーカスずれを起こさずにパターンを描画することのできる荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法に関するものである。
近年、半導体集積回路装置の露光処理においては、高機能、高集積化の要求に伴う微細パターンを描画するため、電子ビームやイオンビームを用いた露光装置が使用されている。こうした露光装置においては、電子ビームやイオンビームの焦点合わせ(フォーカス値を調整すること。以下、「フォーカス値調整」又は「フォーカス値の調整」という。)を簡易且つ正確に行って微細パターンを精度よく描画するための装置や方法が望まれている。
例えば下記特許文献1に開示された露光装置は、半導体ウエハー内の各チップに設けられた複数の位置検出マークを利用し、その各チップ毎にフォーカス値を設定し、その設定値に基づいて電子ビームのフォーカス値を調整している。この露光装置によれば、半導体ウエハー自体に反り等が存在する場合や、半導体ウエハー自体の反り等は少ないがその半導体ウエハーを描画装置ホルダーにセッティングする際にその半導体ウエハーが傾いてしまう場合であっても、各チップ毎に最適に焦点合せを行うことが可能となる。
ところで、露光装置(以下、描画装置という。)は、例えば次世代の磁気記録媒体として注目されているディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造する際においても利用され、上記の半導体ウエハーと同様に、電子ビーム等のフォーカス値の調整を簡易且つ正確に行って微細パターンを精度よく描画するための装置や方法が望まれている。
図17は、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体の一例を示す平面図である。描画装置を図17に示すようなディスクリートトラック型の磁気記録媒体の製造に利用する場合においては、被加工物であるディスク表面に形成されたレジストに対して、例えばデータトラック部分にナノオーダーの微細パターンを半径数ミリ程度以上かつ半径方向に数ミリ程度以上の広範囲にわたって正確に描画(露光)する必要がある。例えば、図17に示すように、中心穴104を有するディスクリートトラック型の磁気記録媒体101は、広範囲に微細パターンが形成された描画範囲102と、その描画範囲102の内周方向と外周方向とに僅かな幅からなる非描画範囲103とで構成されている。このような連続的な微細パターンを広範囲にわたって描画する場合、上述した特許文献1のような位置検出マークを描画範囲内に形成することができないので、描画範囲外に位置検出マークを設けなければならないという制約がある。
特開平5−94797号公報
しかしながら、ディスク自体に反り等が存在する場合やディスク自体の反り等は少ないがそのディスクを描画装置ホルダーにセッティングする際にそのディスクが傾いてしまう場合のように、被加工物であるディスクの周方向及び半径方向に対してディスク表面の高さに分布が存在するときには、描画範囲外に設けた位置検出マークを利用してフォーカスを合わせたとしても、そのフォーカス値はあくまでも描画対象領域外に設けられた位置検出マークから求めた近似的な値に過ぎず、描画対象領域内の一部分又は多くの部分ではしばしばフォーカスずれを起こしていることがあった。また、描画するパターンがナノオーダーの微細なパターンであるため、小さなフォーカスずれであっても、その影響が無視できなくなってきている。
したがって、従来のような位置検出マークを用いる方法では、上記のようなナノオーダーの微細パターンを広範囲に描画する場合において正確な描画を行うのに限界があった。よって、何らかの方法で描画対象領域内におけるフォーカス値を正確に調整する必要性が生じてきている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、顕著なフォーカスずれを起こさずにパターンを確実に描画することのできる荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法を提供することにある。
上記の目的を達成する本発明の荷電粒子ビーム装置は、移動ステージに設置した被加工物に荷電粒子ビームを照射して前記被加工物にパターンを描画する荷電粒子ビーム装置において、前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定手段と、前記被加工物表面への前記荷電粒子ビームのフォーカス値を調整するフォーカス値調整手段と、前記測定手段の測定結果に基づいて前記フォーカス値調整手段によるフォーカス値の調整を制御するフォーカス値制御手段と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、移動ステージに設置した被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定手段により測定し、その測定結果に基づいた被加工物表面に対する荷電粒子ビームのフォーカス値の調整をフォーカス値制御手段により制御するようにしたので、従来のような位置検出マークを被加工物表面に設ける方法では困難であった連続的な微細パターンの正確な描画を、広範囲にわたって顕著なフォーカスずれを起こすことなく行うことができる。
本発明の荷電粒子ビーム装置は、上記の荷電粒子ビーム装置において、前記測定手段が、前記被加工物表面にレーザー光を照射すると共に当該被加工物表面で反射した反射光を検出し、当該検出結果から前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計であることを特徴とする。
この発明によれば、被加工物表面にレーザー光を照射すると共に当該被加工物表面で反射した反射光を検出して被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計を用いるので、被加工物表面の高さ方向の位置変動量を、連続的かつ広範囲にわたって正確に測定することができる。
本発明の荷電粒子ビーム装置は、上記の荷電粒子ビーム装置において、前記測定手段が、前記移動ステージの回転により前記被加工物との距離が一定になるように配置されたスライダと、当該スライダ背面にレーザー光を照射すると共に当該スライダ背面で反射した反射光を検出し、当該検出結果から前記スライダの高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、移動ステージの回転により被加工物との距離が一定になるように配置されたスライダの背面にレーザー光を照射し、そのスライダ背面で反射した反射光を検出して、スライダの高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計とを備える測定手段を用いるので、被加工物表面の高さ方向の位置変動量を、連続的かつ広範囲にわたって正確に測定することができる。特にこの発明によれば、被加工物との距離が一定になるように配置されたスライダとの間で位置変動量が測定されるので、被加工物表面にレーザー光を直接照射しなくても被加工物表面の高さ方向の位置変動量を正確に測定することができると共に、レーザー光が被加工物表面に直接照射されないので、被加工物表面のレジストの種類にもよるが、そのレジストが変質するおそれもない。
本発明の荷電粒子ビーム装置は、上記の荷電粒子ビーム装置において、前記測定手段が、前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を描画対象領域の全範囲で測定し、前記フォーカス値制御手段が、前記測定結果のデータに対応した制御信号をフォーカス値調整手段に出力することを特徴とする。
この発明によれば、フォーカス値制御手段が、描画対象領域の全範囲での測定結果に対応した制御信号をフォーカス値調整手段に出力するので、フォーカス値の調整を描画対象領域の全範囲で精度よく行うことができ、その結果、微細パターンを精度よく描画することができる。
本発明の荷電粒子ビーム装置は、上記の荷電粒子ビーム装置において、前記測定手段が、前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を描画対象領域の全範囲で測定し、前記フォーカス値制御手段が、その測定結果のデータを所定の範囲毎に区分けし、区分けされた各範囲に対応した制御信号をフォーカス値調整手段に出力することを特徴とする。
この発明によれば、フォーカス値制御手段が、描画対象領域の全範囲での測定結果を所定の範囲毎に区分けし、区分けされた各範囲に対応した制御信号をフォーカス値調整手段に出力するので、測定結果全てに対応した制御信号をフォーカス値調整手段に出力する場合に比べて、フォーカス値の調整時間を短縮することができるという利点がある。
上記の目的を達成する本発明の荷電粒子ビームの制御方法は、移動ステージに設置した被加工物に荷電粒子ビームを照射して前記被加工物にパターンを描画する荷電粒子ビームの制御方法において、前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定工程と、前記測定工程の測定結果に基づいて前記被加工物表面への前記荷電粒子ビームのフォーカス値を調整制御するフォーカス値調整制御工程と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定工程と、測定工程の測定結果に基づいて被加工物表面への荷電粒子ビームのフォーカス値を調整制御するフォーカス値調整制御工程とを備えるので、従来のような位置検出マークを被加工物表面に設ける方法では困難であった連続的な微細パターンの正確な描画を、広範囲にわたって顕著なフォーカスずれを起こすことなく行うことができる。
以上説明したように、本発明の荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法によれば、従来のような位置検出マークを被加工物表面に設ける方法では困難であった連続的な微細パターンの正確な描画を、広範囲にわたって顕著なフォーカスずれを起こすことなく行うことができるので、例えば次世代の磁気記録媒体として注目されているディスクリートトラック型の磁気記録媒体の製造においても、電子ビーム等のフォーカス値の調整を簡易且つ正確に行うための装置や方法として好ましく適用することができる。
以下、本発明の荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明の範囲は制限されない。
(荷電粒子ビーム装置の第1実施形態)
図1は、本発明の荷電粒子ビーム装置の第1実施形態を示す構成図であり、図2は、図1に示すレーザー変位計による検出状態を示す要部拡大図である。
本発明の荷電粒子ビーム装置としての電子線描画装置は、移動ステージに設置した被加工物に荷電粒子ビームを照射して前記被加工物にパターンを描画するための装置であり、従来のような位置検出マークを被加工物表面に設ける方法では困難であった連続的な微細パターンの正確な描画を、広範囲にわたって顕著なフォーカスずれを起こすことなく簡易に行うことができる装置としたことに特徴がある。そして、その特徴は、被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定手段と、その被加工物表面への荷電粒子ビームのフォーカス値を調整するフォーカス値調整手段と、その測定手段の測定結果に基づいて前記フォーカス値調整手段によるフォーカス値の調整を制御するフォーカス値制御手段と、を備えることにある。
具体例としては、例えば図1に示されるように、荷電粒子ビームとしての電子ビームBを照射する電子銃1と、この電子銃1から照射された電子ビームBの光軸を調整するアライナー2と、電子ビームBを絞るアパーチャー3,7と、電子ビームBの電流値を調整するコンデンサレンズ4と、電子ビームBのオン、オフを行うビームブランカー5と、電子ビームBを円形に近づける非点補正を行うスティグマ6と、電子ビームBを偏向させる偏向器8と、電子ビームBのフォーカス値を調整して焦点合せを行うフォーカス値調整手段としてのフォーカスコイル9と、移動ステージに設置された被加工物11の表面に向けてレーザー光Lを照射し、その反射光を検出する測定手段としてのレーザー変位計10とを備えて構成されている。ここで、レーザー変位計10は、レーザー光Lを照射するためのレーザー光源としての機能も兼ね備えており、レーザー検出部16を介してフォーカス値制御手段としての統括制御部14に接続されている。
被加工物11は、移動ステージに設置され、荷電粒子ビームが照射されてパターンが描画される対象物である。本発明の電子線描画装置を例えばディスクリートトラック型の磁気記録媒体の製造に利用する場合においては、例えば描画処理の対象であるレジストをその表面に有したディスクを例示できる。
移動ステージは、図1に示す態様においては、被加工物11を回転させる回転動ステージ12と、その回転動ステージ12をその面内方向にX−Y座標軸駆動させる水平動ステージ13とから構成されている。なお、被加工物11が設置される移動ステージは、少なくとも水平動ステージ13を備えていればよく、回転動ステージ12を備えることがより望ましい。例えば、移動ステージにディスク状の被加工物11を設置した場合には、水平動ステージ13で面内方向にX−Y座標軸駆動させながら、後述する測定手段で被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定することができる。このとき、回転動ステージ12の併用は、ディスク状の被加工物11を回転させながら水平動ステージ13で半径方向にX−Y座標軸駆動させることにより、円周方向における高さ方向の位置変動量を容易且つ速やかに測定することができるので、より好ましい。
図1に示される電子線描画装置は、被加工物11を回転動ステージ12に設置した態様を示している。この回転動ステージ12の位置及び回転数等は、ステージ制御部17により制御される。図1の電子線描画装置において、ステージ制御部17、偏向器8の偏向駆動部15、フォーカスコイル9及び電子銃1は、統括制御部14により制御される。
レーザー変位計10は、被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定手段の一例であり、移動ステージに設置された被加工物11表面にレーザー光Lを照射すると共にその被加工物11表面で反射した反射光を検出し、その検出結果から被加工物11表面の高さ方向の位置変動量を測定するものである。このレーザー変位計10は、レーザー光Lを照射するためのレーザー光源としての機能も兼ね備えている。具体的には、図2に示されるように、そのレーザー光源からレーザー光Lを描画対象領域の被加工物11表面に向けて鉛直下方向に照射し、その反射光を検出して照射から検出までの時間が求められる。ここで求められる検出までの時間に基づいて、レーザー光源と被加工物11表面との距離が求められる。
レーザー変位計10が備えるレーザー光源と被加工物11表面との距離は、以下のように求められる。すなわち、図3に示されるように、レーザー光源と被加工物11表面との距離d1は、レーザー光の速度をvとし、出射から受光までの時間をtとしたとき、d1=vt/2の関係から求めることができる。
また、レーザー光Lの周波数の変化量からレーザー光源と被加工物11表面との距離の変位(すなわち、距離の絶対値ではなく変動量)を求めることもできる。すなわち、図4に示されるように、照射するレーザー光Lの周波数をfとし、そのレーザー光が被加工物11表面で反射した反射光の周波数をf(t)(時間tの関数)とすると、ドップラシフト周波数f(t)は、f(t)=|f(t)−f|の数式で表される。この数式において、レーザー光Lの波長(例えばHe−Neレーザーの波長:632.8nm)をλとすると、被加工物11表面の位置が変動する速度v(t)は、v(t)=λf(t)/2となるので、これを時間tで積分することにより、レーザー変位計10が備えるレーザー光源と被加工物11表面との距離d1の変動量を求めることができる。なお、レーザー光Lの周波数fの具体例としては、光の速度3×10(m/s)を、He−Neレーザーの波長λ632.8×10−9(m)で割った値である474THz(テラヘルツ)等を挙げることができる。
なお、図5に示されるように、レーザー光源とフォーカスコイル9との距離をd2とすると、フォーカスコイル9と被加工物11表面との距離dは、d1+d2となる。このとき、レーザー光源とフォーカスコイル9は固定されているので、レーザー光源とフォーカスコイル9との距離d2は一定である。そのため、フォーカスコイル9と被加工物11表面との距離dは、レーザー光源と被加工物11表面との距離d1の変動量によって決定される。
レーザー変位計10による測定は、被加工物表面における描画対象領域の全範囲で行ってもよいし、その描画対象領域の任意の各部で行ってもよい。描画対象領域の全範囲で測定を行う場合には、全範囲においてレーザー光源と被加工物11表面との距離d1の変動量データが得られるので、そのデータに基づきフォーカス値調整手段(例えばフォーカスコイル9)をフォーカス値制御手段によって制御することにより、描画対象領域の全範囲の測定データに基づいた極めて精度のよいフォーカス値調整を行うことができる。そうした精度の高いフォーカス値調整は、被加工物表面の描画を均一且つ精度よく行うことができるので、被加工物表面に微細なパターンを正確に描画することができるという効果がある。
描画対象領域の全範囲における高さ方向の位置変動量の測定は、例えばディスク状の被加工物において容易に行うことができる。すなわち、例えば、水平動ステージ13と回転動ステージ12を備える移動ステージにディスク状の被加工物11を設置することにより、その被加工物11を回転させながら同心円上における高さ方向の位置変動量を測定しつつ、水平動ステージ13で被加工物11を半径方向に移動させる。こうすることにより、描画対象領域の全範囲における高さ方向の位置変動量のデータを測定することができる。なお、フォーカス値調整を描画対象領域の全範囲で行うか、任意の部分で行うかについては後述する。
一方、描画対象領域の任意の各部で測定を行う場合には、全範囲で測定を行う場合に比べて測定時間を短縮することができるという効果がある。任意の各部は、通常、被加工物の単位長さ当たりの反り量(例えば、反り量の大きい例として、直径3インチのSiC基板の場合においては、サンプル中心と外側とで60μm程度の反りがある。)等を考慮して選択される。この場合においては、選択された各部においてレーザー光源と被加工物11表面との距離d1の変動量データが得られるので、そのデータに基づきフォーカス値調整手段(例えばフォーカスコイル9)をフォーカス値制御手段によって制御することにより、描画対象領域の全範囲に対してフォーカス値を調整することができる。
描画対象領域の任意の各部における高さ方向の位置変動量の測定は、少なくとも水平動ステージ13を備える移動ステージに被加工物11を設置することにより、各種の形状の被加工物11において容易に行うことができる。例えばディスク状の被加工物の場合には、上記の場合と同様に、回転動ステージ12でディスク状の被加工物11を回転させながら同心円上における高さ方向の位置変動量を測定しつつ、水平動ステージ13で被加工物11を半径方向に移動させることにより、描画対象領域の任意の各部における高さ方向の位置変動量のデータを測定することができる。なお、この場合についても、フォーカス値の調整を描画対象領域の全範囲で行うか任意の部分で行うかについては後述する。
以上のように、本発明の荷電粒子ビーム装置(電子線描画装置)では、移動ステージを移動させることにより、レーザー光源と被加工物11表面との距離d1又は距離d1の変動量を直接描画対象領域の全範囲又は任意の部分で求めることができる。例えば、図1及び図2の態様においては、(i)被加工物11を水平動ステージ13で移動させて描画対象領域における距離d1又は距離d1の変動量を求めたり、(ii)被加工物11を回転動ステージ12で回転させながら描画対象領域における同心円上の距離d1又は距離d1の変動量を求めることができる。さらに、前記(ii)においては、水平動ステージ13で被加工物11を半径方向に移動させることにより、描画対象領域の半径方向の全範囲において、同心円上における距離d1又は距離d1の変動量を求めることができる。
こうして得られた距離d1の変動量は、高さ方向における位置変動量を表すものであり、上述したように、フォーカスコイル9と被加工物11表面との距離dの変動量として表される。本発明においては、この変動量データを電子線描画装置の統括制御部14に送り、その変動量データに対応するようにフォーカスコイル9に流す電流量を統括制御部14で制御することで、各描画位置におけるフォーカス値を常に最適化することができる。
次に、フォーカス値制御手段について説明する。
フォーカス値制御手段は、測定手段により測定された結果(以下、データともいう。)に基づき、フォーカス値調整手段によるフォーカス値の調整を制御するものであり、図1においては、統括制御部14として表される。このフォーカス値制御手段は、図1に示すように、測定手段であるレーザー変位計10により測定されたデータ(すなわち、被加工物表面の高さ方向の位置変動量データ)をレーザー検出部16から受け取り、その測定データに基づいてフォーカスコイル9を制御し、電子ビームBのフォーカス値を調整して焦点合せを行うように作用する。なお、フォーカスコイル9は、電子ビームBのフォーカス値を調整して焦点合せを行うフォーカス値調整手段である。
フォーカス値制御手段が受け取る測定データは、上述したように、描画対象領域の全範囲における高さ方向の位置変動量データの全てのデータであっても一部のデータであってもよいし、描画対象領域の任意の各部における高さ方向の位置変動量データの全てのデータであっても一部のデータであってもよい。これらのうち、フォーカス値制御の精度向上の観点からは、全範囲での位置変動量データの全てのデータ又は一部のデータをレーザー変位計10(乃至レーザー検出部16)から受け取ることが好ましく、特に、位置変動量データの全てのデータをレーザー変位計10(乃至レーザー検出部16)から受け取ることが好ましい。なお、フォーカス値制御手段が位置変動量データの全てのデータを受け取るか、その一部のデータを受け取るかについては、レーザー変位計10(乃至レーザー検出部16)の信号出力態様やフォーカス値制御の精度の観点から選択することが望ましい。なお、以下においては、レーザー変位計10(乃至レーザー検出部16)で測定された高さ方向の位置変動量データは、レーザー変位計10(乃至レーザー検出部16)からそのままフォーカス値制御手段に出力される態様について説明するが、必ずしもこの態様に限定されるものではなく、例えばレーザー変位計10(乃至レーザー検出部16)がその位置変動量の出力データを選別して出力するものであってもよい。
フォーカス値制御手段が受け取るデータが、描画対象領域の全範囲で測定された高さ方向の位置変動量データの全てのデータである場合においては、(1)その全てのデータに対応した制御信号をフォーカス値制御手段(統括制御部14)からフォーカス値調整手段(フォーカスコイル9)に出力する場合と、(2)その全てのデータを所定の範囲毎に区分けし、区分けされた各範囲に対応した制御信号をフォーカス値制御手段(統括制御部14)からフォーカス値調整手段(フォーカスコイル9)に出力する場合とに分けられる。
前者の(1)の場合においては、その全てのデータに対応した制御信号が統括制御部14からフォーカスコイル9に出力されるので、電子ビームBの焦点合わせ(フォーカス値調整、すなわちフォーカス値を調整すること。)を描画対象領域の全範囲で精度よく行うことができ、その結果、微細パターンを精度よく描画することができる。一方、後者の(2)の場合においては、区分けされた各範囲に対応した制御信号が統括制御部14からフォーカスコイル9に出力されるので、前者の(1)の場合に比べてフォーカス値の調整時間を短縮することができるという利点がある。
一方、フォーカス値制御手段が受け取るデータが、描画対象領域の任意の部分で測定された高さ方向の位置変動量データの全てのデータである場合においても、上記同様に、(a)その全てのデータに対応した制御信号を統括制御部14からフォーカスコイル9に出力する場合と、(b)その全てのデータを所定の範囲毎に区分けし、区分けされた各範囲に対応した制御信号を統括制御部14からフォーカスコイル9に出力する場合とに分けられる。なお、「任意の部分」とは、例えば、ディスクの周方向にあっては所定の角度ごと又は長さごとにスキップして得られたデータであってもよいし、ディスクの径方向にあっては所定の長さごとにスキップして得られたデータであってもよい。
前者の(a)の場合においては、その全てのデータに対応した制御信号が統括制御部14からフォーカスコイル9に出力されるので、電子ビームBの焦点合わせ(フォーカス値調整)を描画対象領域の任意の部分で精度よく行うことができ、その結果、微細パターンを精度よく描画することができる。一方、後者の(b)の場合においては、区分けされた各範囲に対応した制御信号が統括制御部14からフォーカスコイル9に出力されるので、前者の(a)の場合に比べてフォーカス値の調整時間を短縮することができるという利点がある。
次に、第1実施形態の電子線描画装置の動作を図6に従って説明する。
まず、統括制御部14は、ステージ制御部17を制御して被加工物11が設置された回転動ステージ12を回転させる(ステップS1)。この実施形態においては、ステップS2以降の各ステップは、回転動ステージ12が回転した状態で行われる。
次に、統括制御部14は、その回転動ステージ12を回転させた状態で、水平動ステージ13を移動させて描画対象領域の半径方向での位置決めを行う(ステップS2)。次いで、図2に示すように、位置決めされた部位の描画対象領域にレーザー光Lを照射し、その反射光をレーザー変位計10乃至そのレーザー変位計10に接続されたレーザー検出部16で検出して、レーザー光源と被加工物11表面との間の距離d1を測定する(ステップS3)。なお、レーザー光源とフォーカスコイル9との間の距離d2が一定であることから、このステップS3の測定により、フォーカスコイル9と被加工物11表面との間の距離dが求められる。
次いで、統括制御部14は、得られた距離データをレーザー検出部16から受けとるが、(i)回転動ステージ12の回転により被加工物11表面の一周分の距離データが得られていない場合には、再度ステップS3に戻ってレーザー光源と被加工物11表面との間の距離d1を測定すると共にフォーカスコイル9と被加工物11表面との間の距離dを算出する(ステップS4)。一方、(ii)被加工物11表面の一周分の距離データが得られた場合において、描画対象領域全体の測定が完了していないときは、ステップS2に戻り、回転動ステージ12を回転させた状態で水平動ステージ13を所定量移動させて半径方向の位置決めを行う(ステップS5)。このように、描画対象領域全体の測定が完了するまで、ステップ2〜ステップ5を繰り返す。このステップS5においては、被加工物11の半径方向の測定位置を予め設定しておくことにより、その設定位置全てにおいて測定が完了するまでステップS2に戻る操作を繰り返すようにしてもよい。
次に、統括制御部14は、測定により得られた距離データを基にして、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理を行いながら描画対象領域に描画処理を行う(ステップS6)。描画処理は、移動ステージを駆動させて被加工物11を回転、移動等させながら、電子銃1から描画対象領域に電子ビームBを照射して行われる。
求められた距離dの変動量はフォーカスコイル9と被加工物11表面との間の高さ方向の位置変動量となるので、フォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理は、その変動量に対応するように、フォーカスコイル9に流す電流量を統括制御部14で制御することにより行われる。こうした制御により、被加工物の描画対象領域にわたって常に最適なフォーカス値で描画することが可能となり、均一且つ微細なパターンを描画することができる。
以上、本発明の第1実施形態に係る荷電粒子ビーム装置によれば、移動ステージに設置した被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定手段により測定し、その測定結果に基づいた被加工物表面に対する荷電粒子ビームのフォーカス値の調整をフォーカス値制御手段により制御するようにしたので、従来のような位置検出マークを被加工物表面に設ける方法では困難であった連続的な微細パターンの正確な描画を、広範囲にわたって顕著なフォーカスずれを起こすことなく行うことができる。また、この実施形態においては、測定手段として、被加工物表面にレーザー光を照射すると共に当該被加工物表面で反射した反射光を検出して被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計を用いたので、被加工物表面の高さ方向の位置変動量を、連続的かつ広範囲にわたって簡易且つ正確に測定することができる。
こうした本発明の電子線描画装置を例えばディスクリートトラック型の磁気記録媒体の製造に利用することにより、被加工物であるディスク表面に形成されたレジストに対して、例えばデータトラック部分にナノオーダーの微細パターンを半径数ミリ程度以上かつ半径方向に数ミリ程度以上の広範囲にわたって正確に描画することができる。
(荷電粒子ビーム装置の第2実施形態)
図7は、本発明の荷電粒子ビーム装置の第2実施形態におけるレーザー変位計による検出状態を示す要部拡大図である。なお、この第2実施形態の電子線描画装置は、スライダを使用すること以外の構成については、前記の第1実施形態の場合と同様であるので、以下では、同一符号を用いて異なる構成のみを説明する。
第2実施形態は、被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定手段の他の一例であり、図7及び図11に示すように、その測定手段が、移動ステージの回転により被加工物11との距離D3が一定になるように配置されたスライダ20と、そのスライダ20の背面にレーザー光Lを照射すると共にそのスライダ20の背面で反射した反射光を検出し、得られた検出結果からスライダ20の高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計10と、を備えることを特徴とするものである。
この第2実施形態において、高さ方向の位置変動量を求める方法等については、上述した第1実施形態の場合と同じである。なお、描画対象領域における高さ方向の位置変動量の測定についても、上述した第1実施形態の場合と同様に、回転動ステージ12でディスク状の被加工物11を回転させながら同心円上における高さ方向の位置変動量を測定しつつ、水平動ステージ13で被加工物11を半径方向に移動させることにより行われる。スライダ20はスライダを支持するアーム21の前端に設けられており、そのアーム21は回動軸22を中心にして被加工物11の半径方向の任意の位置に旋回するように駆動する。したがって、被加工物表面の各部における高さ方向の位置変動量は、被加工物11を回転させながらスライダ20を半径方向の所定の位置に移動させることにより測定することができる。
スライダ20を用いた測定手段によれば、従来のような位置検出マークを被加工物表面に設ける方法では困難であった連続的な微細パターンの正確な描画を、広範囲にわたって顕著なフォーカスずれを起こすことなく行うことができる。特に、被加工物11との距離D3が一定になるように配置されたスライダ20との間で位置変動量が測定されるので、被加工物11の表面にレーザー光Lを直接照射しなくても被加工物表面の高さ方向の位置変動量を正確に測定することができると共に、レーザー光Lが被加工物11の表面に直接照射されないので、被加工物表面のレジストの種類にもよるが、そのレジストが変質するおそれもない。
スライダ20は、図9及び図10に示されるように、被加工物11上の例えば高さ100nm程度の位置に配置され、支持ばねとしての機能を持つアーム21で支持されている。スライダを支持するアーム21は、回動軸22を介して水平動ステージ13に旋回可能な態様で装着されている。スライダ20は、大気中で使用され、回転動ステージ12が回転したときに受ける空気流によって生じる浮上力と、支持ばねとして機能するアーム21の復元力とがつり合うことにより、被加工物11の表面とスライダ20との距離が常に一定になるように設計されている。なお、以下では、アーム21は水平動ステージ13に旋回可能に装着されている態様を説明するが、必ずしもこの態様に限定されるものではなく、アーム21を、水平動ステージ13とは独立した別の場所に旋回可能な態様で装着するようにしてもよい。
こうしたスライダ20としては、照射されたレーザー光Lをレーザー変位計10に向かって反射するものであれば特に限定されないが、一例としては、図8の(A)及び(B)に示すように、W1(縦)が1.25mm程度でW2(横)が1mm程度の大きさのスライダであって平面が矩形状で断面が略台形のものを用いることができる。
なお、図11に示されるように、レーザー光源とスライダとの距離をD1、レーザー光源とフォーカスコイルとの距離をD2、被加工物表面とスライダとの距離をD3とすると、フォーカスコイルと被加工物表面との距離Dは、D1+D2+D3となる。このとき、レーザー光源とフォーカスコイルは固定されているので、レーザー光源とフォーカスコイルとの距離D2は一定であり、また、上述したように、被加工物表面とスライダとの距離D3も一定であるので、フォーカスコイルと被加工物表面との距離Dは、レーザー光源とスライダとの距離D1の変動量によって決定される。
この第2実施形態について、フォーカス値制御手段やその他の技術的事項については、第1実施形態の場合と同様である。
次に、第2実施形態の電子線描画装置の動作を図12に従って説明する。
まず、統括制御部14は、ステージ制御部17を制御して被加工物11が設置された回転動ステージ12を回転させる(ステップP1)。このとき、スライダ20は、被加工物11表面との間で一定の距離D3を有して浮上する。この実施形態においては、ステップP2以降の各ステップは、回転動ステージ12が回転した状態で行われる。
次に、統括制御部14は、その回転動ステージ12を回転させた状態で、スライダ20を測定を行う半径位置に移動して被加工物11の半径方向におけるスライダ20の位置決めを行い(ステップP2)、併せて水平動ステージ13を移動させて描画対象領域の半径方向の位置決めを行う(ステップP3)。次いで、図7に示すように、位置決めされたスライダ20にレーザー光Lを照射し、その反射光をレーザー変位計10乃至そのレーザー変位計10に接続されたレーザー検出部16で検出して、レーザー光源とスライダ20との間の距離D1を測定する(ステップP4)。なお、レーザー光源とフォーカスコイル9との間の距離D2及びスライダ20と被加工物11表面との距離D3が一定であることから、このステップP4の測定により、フォーカスコイル9と被加工物11表面との間の距離Dが求められる。
次いで、統括制御部14は、得られた距離データをレーザー検出部16から受けとるが、(i)回転動ステージ12の回転により被加工物11表面の一周分の距離データが得られていない場合には、再度ステップP4に戻ってレーザー光源とスライダ20との間の距離D1を測定すると共にフォーカスコイル9と被加工物11表面との間の距離Dを算出する(ステップP5)。一方、(ii)被加工物11表面の一周分の距離データが得られた場合において、描画対象領域全体の測定が完了していないときは、ステップP2に戻り、回転動ステージ12を回転させた状態でスライダ20及び水平動ステージ13を所定量移動させてスライダ20及び描画対象領域の半径方向の位置決めを行う(ステップP6)。このように、描画対象領域全体の測定が完了するまで、ステップ2〜ステップ6を繰り返す。このステップP6においては、被加工物11の半径方向の測定位置を予め設定しておくことにより、その設定位置全てにおいて測定が完了するまで、ステップP2に戻る操作を繰り返すようにしてもよい。
次に、統括制御部14は、測定により得られた距離データを基にして、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理を行いながら描画対象領域に描画処理を行う(ステップP7)。描画処理は、移動ステージを駆動させて被加工物11を回転、移動等させながら、電子銃1から描画対象領域に電子ビームBを照射して行われる。
求められた距離Dの変動量はフォーカスコイル9と被加工物11表面との間の高さ方向の位置変動量となるので、フォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理は、その変動量に対応するように、フォーカスコイル9に流す電流量を統括制御部14で制御することにより行われる。こうした制御により、被加工物の描画対象領域にわたって常に最適なフォーカス値で描画することが可能となり、均一且つ微細なパターンを描画することができる。
以上、本発明の第2実施形態に係る荷電粒子ビーム装置によれば、移動ステージに設置した被加工物表面の高さ方向の位置変動量を、スライダを利用した測定手段により測定し、その測定結果に基づいた被加工物表面に対する荷電粒子ビームのフォーカス値の調整をフォーカス値制御手段により制御するようにしたので、従来のような位置検出マークを被加工物表面に設ける方法では困難であった連続的な微細パターンの正確な描画を、広範囲にわたって顕著なフォーカスずれを起こすことなく行うことができる。また、被加工物表面にレーザー光を直接照射しなくても被加工物表面の高さ方向の位置変動量を正確に測定することができると共に、レーザー光が被加工物表面に直接照射されないので、被加工物表面のレジストの種類にもよるが、そのレジストが変質するおそれもない。
こうした本発明の電子線描画装置を例えばディスクリートトラック型の磁気記録媒体の製造に利用することにより、被加工物であるディスク表面に形成されたレジストに対して、例えばデータトラック部分にナノオーダーの微細パターンを半径数ミリ程度以上かつ半径方向に数ミリ程度以上の広範囲にわたって正確に描画することができる。
以上、本発明の荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームの制御方法について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態では、荷電粒子ビームとしての電子ビームBを照射するようにしたが、イオンビームを照射する場合にも適用可能である。
以下、本発明を実施例と比較例を挙げてより詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
被加工物11として、直径約65mmで厚さ約0.635mmのディスク状のSi基板上にEB(電子ビーム)用ポジ型レジスト(商品番号:ZEP520A、日本ゼオン株式会社製)を約100nmの厚さで塗布した後、180℃で5分間ベーク処理したものを用いた。この被加工物11を電子線描画装置付属のホルダーに取り付け、そのホルダーを電子線描画装置の移動ステージに取り付けた。このとき、電子線描画装置の描画室内は大気圧にしておいた。スライダ20としては、縦:1.25mm×横:1mm×厚さ:0.3mmで、平面が矩形状で断面が略台形のセラミック製のものを用い、そのスライダ20を支持ばねとしての機能を持つステンレス製のアーム21先端に取り付け、アーム21の他端を水平動ステージ13に取り付けた。描画対象領域は、半径18mm〜23mmの範囲とした。
先ず、回転動ステージ12を回転速度4200rpmで回転させ、スライダ20と被加工物11表面との距離が100nmとなるように浮上させた。次いで、回動軸22を中心に回動するアーム21先端のスライダ20を半径方向に移動して被加工物11の半径方向におけるスライダ20の位置決めを行った後、さらに引き続いて、水平動ステージ13を移動させて描画対象領域の半径方向の位置決めを行った。その後、回転動ステージ12を上記同様の回転速度で回転させつつレーザー変位計10から波長632.8nmのHe−Neレーザーをスライダ20に向かって照射し、その背面で反射した反射光をレーザー変位計10で検出した。その検出結果から被加工物11表面の高さ方向の位置変動量を算出した。なお、被加工物表面の一周分の距離データが得られた後、回転動ステージ12を回転させた状態のままスライダ20及び水平動ステージ13を所定量移動させてスライダ20及び描画対象領域の半径方向の位置決めを行い、引き続き被加工物11の半径方向の測定を継続し、描画対象領域の全範囲における高さ方向の位置変動量の測定が完了するまで測定を行った。
図13は、0度部分を基準とした場合の一周した時の角度を示す説明図であり、図14は、半径20mmの位置において一周させた時の被加工物表面の高さ分布の一例を示すグラフである。図14の結果から、測定に供された被加工物は、120°付近に最大1.3μmを超える大きなピークを有するうねりが生じていた。
次に、描画室を真空引きし、真空度を0.3×10−6torrまで到達させた後に、上記うねりを有する被加工物表面のレジストにピッチ90nmのパターンを描画した。描画は、通常、回転動ステージ12を回転速度100rpm前後で回転させつつ、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理を行いながら描画対象領域に電子ビームBを照射して行った。このとき、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理は、レーザー変位計10で測定された高さ方向の位置変動量データに対応する制御信号をフォーカスコイル9に出力することにより行った。より詳しくは、この実施例1では、描画対象領域の全範囲での測定結果に対応した制御信号が統括制御部14からフォーカスコイル9に与えられるので、フォーカス値調整を描画対象領域の全範囲で精度よく行うことができた。すなわち、この実施例1においては、フォーカス値調整が描画対象領域の全範囲で精度よく行われているで、被加工物表面に微細パターンを精度よく描画することができた。
図15は、実施例1において描画した後に現像処理を行ってレジストパターンを形成した場合のレジストパターンを示す顕微鏡写真である。図15に示すように、本発明に係る装置を用いてフォーカス値調整を行って描画すると、均一でムラのない同心円パターンを描画することができた。
(実施例2)
上述した実施例1において、スライダ20を使用しない以外は、実施例1と同様の描画装置を用いて被加工物表面に描画した。すなわち、被加工物11として、直径約65mmで厚さ約0.635mmのディスク状のSi基板上にEB(電子ビーム)用ポジ型レジスト(商品番号:ZEP520A、日本ゼオン株式会社製)を約100nmの厚さで塗布した後、180℃で5分間ベーク処理したものを用いた。この被加工物11を電子線描画装置付属のホルダーに取り付け、そのホルダーを電子線描画装置の移動ステージに取り付けた。描画対象領域は、半径18mm〜23mmの範囲とした。
先ず、回転動ステージ12を回転速度4200rpmで回転させた状態で、水平動ステージ13を移動させて半径方向の位置決めを行った。その後、回転動ステージ12を上記同様の回転速度で回転させつつレーザー変位計10から波長632.8nmのHe−Neレーザーを被加工物表面に向かって照射し、その被加工物表面で反射した反射光をレーザー変位計10で検出した。その検出結果から被加工物表面の高さ方向の位置変動量を算出した。なお、被加工物表面の一周分の距離データが得られた後、回転動ステージ12を回転させた状態のまま水平動ステージ13を所定量移動させて再度半径方向の位置決めを行い、引き続き被加工物11の半径方向の測定を継続し、描画対象領域の全範囲における高さ方向の位置変動量の測定が完了するまで測定を行った。
次に、描画室を真空引きし、真空度を0.3×10−6torrまで到達させた後に被加工物表面のレジストにピッチ90nmのパターンを描画した。描画は、通常、回転動ステージ12を回転速度100rpm前後で回転させつつ、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理を行いながら描画対象領域に電子ビームBを照射して行った。このとき、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理は、レーザー変位計10で測定された高さ方向の位置変動量データに対応する制御信号をフォーカスコイル9に出力することにより行った。より詳しくは、この実施例2では、描画対象領域の全範囲での測定結果に対応した制御信号が統括制御部14からフォーカスコイル9に与えられるので、フォーカス値調整を描画対象領域の全範囲で精度よく行うことができた。すなわち、この実施例2においては、フォーカス値調整が描画対象領域の全範囲で精度よく行われているで、実施例1の図15と同様に、被加工物表面に微細パターンを精度よく描画することができた。
(実施例3)
フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理について変更した以外は、実施例1と同様とした。
すなわち、この実施例3においては、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理について、レーザー変位計10で測定された高さ方向の位置変動量データを100nm毎に区分けし、区分けされた各範囲から得られる制御信号を統括制御部14からフォーカスコイル9に出力することにより行った。すなわち、100nm毎に区分けされた範囲に含まれる±50nmのデータについて一例としてそれらの平均値をデータとして用い、範囲毎にその平均値に対応した一つの制御信号をフォーカスコイル9に出力することにした。実施例1で示された図14の高さ分布に対しては、100nm毎の26の領域があるが、0〜1.4μmの高さ分布を100nm毎に区分けした範囲は14種類であり、この14種類の範囲から得られた14種類の信号を制御信号として出力した。こうすることにより、実施例1のように測定結果全てに対応した制御信号をフォーカスコイル9に出力する場合に比べて、フォーカス値の調整時間を短縮することができた。なお、100nm毎の区分けは、90nmのピッチのパターンを描画する際に実質的にフォーカスずれが問題にならない範囲を考慮して設定した。
(実施例4)
フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理について変更した以外は、実施例2と同様とした。
すなわち、この実施例4においては、フォーカスコイル9のフォーカスレンズ(図示せず)の自動調整処理について、レーザー変位計10で測定された高さ方向の位置変動量データを100nm毎に区分けし、区分けされた各範囲から得られる制御信号を統括制御部14からフォーカスコイル9に出力することにより行った。すなわち、100nm毎に区分けされた範囲に含まれる±50nmのデータについて一例としてそれらの平均値をデータとして用い、範囲毎にその平均値に対応した一つの制御信号をフォーカスコイル9に出力することにした。こうすることにより、測定結果全てに対応した制御信号をフォーカスコイル9に出力する場合に比べて、フォーカス値の調整時間を短縮することができた。なお、100nm毎の区分けは、90nmのピッチのパターンを描画する際に実質的にフォーカスずれが問題にならない範囲を考慮して設定した。
(比較例1)
実施例1と同様の被加工物11を用い、描画領域から1mm内周方向に入った場所(この比較例1においては、実施例1と同様に描画対象領域を18〜23mmの範囲としているので、描画領域から1mm内周方向に入った場所というのは、半径17mmの円周部位置に相当する。)に位置検出マークを一つ形成し、その位置検出マークを用いてフォーカス値を設定し、その設定値に基づいて電子ビームのフォーカス値調整を行った。この比較例1においては、こうしたフォーカス値調整を行った後に被加工物11であるディスク基板上のレジストに描画した。図16は、そのように描画した後に現像処理を行って形成されたレジストパターンを示す顕微鏡写真である。実施例1と同様の被加工物11は、図14に示す高さ分布を有するので、そのまま描画処理することにより、図16に示すように、特に60°から180°の範囲において、パターンが正確に描画されていない部分が多数存在していた。
本発明の荷電粒子ビーム装置の第1実施形態を示す構成図である。 図1に示すレーザー変位計による検出状態を示す要部拡大図である。 図1に示すレーザー変位計による距離測定例を示す説明図である。 図1に示すレーザー変位計による他の距離測定例を示す説明図である。 被加工物表面に対する各部の距離関係を示す説明図である。 第1実施形態の動作を示すフローチャートである。 本発明の荷電粒子ビーム装置の第2実施形態におけるレーザー変位計による検出状態を示す要部拡大図である。 図7に示すスライダの一例を示す平面図(A)及び断面図(B)である。 図7に示すスライダが移動ステージ上に設置される態様の一例を示す断面図である。 図7に示すスライダの説明図である。 被加工物表面に対する各部の距離関係を示す説明図である。 第2実施形態の動作を示すフローチャートである。 0度部分を基準とした場合の一周した時の角度を示す説明図である。 一周した時の被加工物表面の高さ分布を示すグラフである。 本発明を用いて描画した場合のレジストパターンを示す顕微鏡写真である。 比較例1の場合のレジストパターンを示す顕微鏡写真である。 ディスクリートトラック型の磁気記録媒体の一例を示す平面図である。
符号の説明
1…電子銃
2…アライナー
3…アパーチャー
4…コンデンサレンズ
5…ビームブランカー
6…スティグマ
7…アパーチャー
8…偏向器
9…フォーカスコイル(フォーカス値調整手段)
10…レーザー変位計(測定手段)
11…被加工物
12…回転動ステージ
13…水平動ステージ
14…統括制御部(フォーカス値制御手段)
15…偏向駆動部
16…レーザー検出部
17…ステージ制御部
20…スライダ
21…アーム
22…回動軸
B…電子ビーム
L…レーザー光

Claims (6)

  1. 移動ステージに設置した被加工物に荷電粒子ビームを照射して前記被加工物にパターンを描画する荷電粒子ビーム装置において、
    前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定手段と、
    前記被加工物表面への前記荷電粒子ビームのフォーカス値を調整するフォーカス値調整手段と、
    前記測定手段の測定結果に基づいて前記フォーカス値調整手段によるフォーカス値の調整を制御するフォーカス値制御手段と、
    を備えることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 前記測定手段が、前記被加工物表面にレーザー光を照射すると共に当該被加工物表面で反射した反射光を検出し、当該検出結果から前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計であることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
  3. 前記測定手段が、前記移動ステージの回転により前記被加工物との距離が一定になるように配置されたスライダと、当該スライダ背面にレーザー光を照射すると共に当該スライダ背面で反射した反射光を検出し、当該検出結果から前記スライダの高さ方向の位置変動量を測定するレーザー変位計と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
  4. 前記測定手段が、前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を描画対象領域の全範囲で測定し、前記フォーカス値制御手段が、前記測定結果のデータに対応した制御信号をフォーカス値調整手段に出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  5. 前記測定手段が、前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を描画対象領域の全範囲で測定し、前記フォーカス値制御手段が、前記測定結果のデータを所定の範囲毎に区分けし、区分けされた各範囲に対応した制御信号をフォーカス値調整手段に出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  6. 移動ステージに設置した被加工物に荷電粒子ビームを照射して前記被加工物にパターンを描画する荷電粒子ビームの制御方法において、
    前記被加工物表面の高さ方向の位置変動量を測定する測定工程と、
    前記測定工程の測定結果に基づいて前記被加工物表面への前記荷電粒子ビームのフォーカス値を調整制御するフォーカス値調整制御工程と、
    を備えることを特徴とする荷電粒子ビームの制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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