JP2005194665A - 再生紙の製紙方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙パルプを70質量%以上配合した再生紙を抄造する際においても、微細繊維、填料の歩留まりや地合、濾水性を損なうことがない再生紙の製紙方法を提供するものである。
【解決手段】紙パルプを70質量%以上配合した再生紙の抄造時に、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が0.008〜0.120meq/lとなるようにアニオン性歩留まり剤を添加し、抄紙することを特徴とする再生紙の製紙方法。好ましくは、アニオン性歩留まり剤がアニオン性コロイダルシリカである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、再生紙の製紙方法に関するものであり、さらに詳しくは、古紙パルプを70質量%以上配合した再生紙を抄造する際においても、微細繊維、填料の歩留まりや地合、濾水性を損なうことが無い製紙方法に関するものである。
従来より、再生紙の製紙工程において、微細繊維、填料などの歩留まり向上やワイヤー上の濾水性向上を図るため、種々の歩留まり剤が使用されてきたが、最も一般的に用いられているのはカチオン性歩留まり剤と、アニオン性歩留まり剤の併用系である。しかし、近年の再生紙における古紙パルプ配合の増加に伴い、古紙パルプに含まれるアニオン性物質の影響を受けやすくなり、歩留まり剤の性能が完全に発揮されず、総歩留まり、填料歩留まりや濾水性の向上効果が充分に得られなくなってきた。
例えば、カチオン性澱粉とアニオン性コロイダルシリカを用いる方法(例えば、特許文献1参照。)、カチオン性ポリマーとベントナイトを使用して歩留まりを向上させる方法(例えば、特許文献2参照。)があるが、近年の古紙パルプ配合の増加による抄紙系内のアニオンやカチオンの電荷バランスの変化に充分では無く、ヘッドボックスにおけるパルプスラリーのカチオン要求量に対して、何ら示唆していない。また、更なる歩留まり、あるいは濾水性の向上が強く望まれている。
特開昭57−51900号公報 特開昭62−191598号公報
本発明の目的は、古紙パルプを70質量%以上配合した再生紙を抄造する際においても、微細繊維、填料の歩留まりや地合、濾水性を損なうことがない再生紙の製紙方法を提供するものである。
本発明は、上記に鑑み鋭意研究した結果、本発明の歩留まり、地合および濾水性に優れた再生紙の製紙方法を発明するに至った。
すなわち、本発明における再生紙の製紙方法は、古紙パルプを70質量%以上配合した再生紙の抄造時に、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が0.008〜0.120meq/lとなるようにアニオン性歩留まり剤を添加し、抄紙することを特徴とするものである。
上記発明において、アニオン性歩留まり剤がアニオン性コロイダルシリカであることが好ましい。
本発明の再生紙の製紙方法は、古紙パルプ配合量が多い時でも、歩留まりおよび濾水性を低下させることなく、操業性に優れたものである。
以下、本発明の再生紙の製紙方法について、詳細に説明する。
古紙パルプはリグニンやインキを含むため、カチオン要求量が高く、古紙パルプの配合量が70質量%以上となると、系内のカチオン要求量も追随して高くなることから、カチオン性歩留まり剤の性能が発揮されにくくなる。このため、系内のカチオン成分は減少することから、古紙パルプ配合量70質量%未満の時と同じ量のアニオン性歩留まり剤を添加した場合は、アニオン成分の過剰添加となり、系内の電荷バランスは著しく偏った状態となる。そして、総歩留まり、填料歩留まりおよび濾水性は向上するが、凝集力が強すぎ、地合の悪化を招くこととなる。
本発明においては、古紙パルプを70質量%以上配合するものであり、系内のカチオン要求量が高くなった場合においても、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が0.008〜0.120meq/lになるように、アニオン性歩留まり剤の添加量を制御することにより、過度のアニオン成分の増加を防止することが可能となり、総歩留まり、填料歩留まりおよび濾水性、地合の良好な再生紙が得られる製紙方法を見出した。また、系内の電荷バランスを一定に保つことにより、各種薬品の歩留まり向上効果も得られる。
本発明においては、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量は、0.008〜0.120meq/lであることを特徴とする。ここで、カチオン要求量が0.008meq/l未満の場合は、総歩留まり、填料歩留まり、濾水性が低下し、逆に、カチオン要求量が0.120meq/lを超えた場合は、地合の低下を招く。
本発明において、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量の測定に当たっては、コロイド滴定を用い、流動電流法でコロイド粒子と高分子電解質の両方の持っている荷電の測定を行う。測定装置としては、例えば、英国のRANK BROTHERS社製「Charge Analyzer」が挙げられる。その測定原理は、測定セルが閉塞されたシリンダー、ピストンと2つのリングの電極から構成されている。このセルをサンプルが入っている溶液に入れる。このシリンダーの中で、ピストンが上方向に動いた場合はシリンダー内の溶液は下方向に移動し、溶液をシリンダー内に吸入し、反対にピストンが下方向に動いた場合にはシリンダー内の溶液は上方向に移動し、溶液をシリンダー外に排出する。また、サンプルは常にシリンダー内壁やピストンに可逆的に吸着する。この付着したサンプルの周りには電気二重層が存在し、ピストンの動きによる溶液の移動の剪断力で強制的に電気二重層の移動によって2つのリングの電極間に電流が生じ、回路が完成することによりこの電流値を読み取る。滴定終点ではこの電流が生じなくなり、また、初期電荷の符号と反対の電荷の場合には、ピストンと電流の位相差により滴定が終了していると判断できる。
本発明で用いられるアニオン性歩留まり剤は、例えば、アニオン性ベントナイト、アニオン性ポリマー、アニオン性コロイダルシリカなどが挙げられる。ここで、アニオン性ベントナイトは安価ではあるが、カチオン要求量が低く、添加量を多くする必要がある。また、パウダータイプのため、溶解設備が別途必要となる。アニオン性ポリマーについては、カチオン要求量は高く、低添加で効果が得られるものの価格的に高価なものである。これらに対して、アニオン性コロイダルシリカは、ポリマーと同等のカチオン要求量を有し、価格もポリマーに較べて安価であることから、低添加で効果を発揮し、経済的効果も大きいことから、アニオン性コロイダルシリカがこれらの中でも好ましい。
さらに、本発明の再生紙については、古紙パルプ配合量70質量%以上と規定することで、(財)日本環境協会のエコマーク認定基準に適合するものである。
また、本発明における再生紙としては、サイズプレス工程で成紙の表面に澱粉、ポリビニールアルコール、ラテックス、無水マレイン酸系サイズ、α−オレフィン系サイズ、スチレン−アクリル酸系などの各種の表面サイズ剤、エチレン−尿素樹脂などの寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機導電剤、有機導電剤、界面活性剤、顔料、染料を塗工することができる。
ここで、サイズプレス工程で塗工する方式として、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはメタリングブレード方式のサイズプレス、ビルブレード、ショートドウェルコーターなどの装置を用いることができる。
紙料中には、この他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている紙力向上剤や内添サイズ剤などの抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニールアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が適宜組み合わされて使用される。
なお、染料、pH調節剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。
本発明で言う古紙パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例としては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター用紙、およびPPC用紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙などの塗被紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗被紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。また、本発明に使用されるバージンパルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、LBSPパルプが挙げられる。
また、古紙パルプは一般的に、
(1)離解・・・古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵・・・古紙に含まれる異物(プラスチックなど)およびゴミをスクリーン、クリーナーなどにより除去する。
(3)脱墨・・・繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、または洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白・・・酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
の4工程の組み合わせから作られるが、本発明ではいかなる公知の方法も用いられる。
使用される抄紙機としては、例えば、長網方式、ツインワイヤー方式、ギャップフォーマー方式、丸網方式、ヤンキー方式など各方式を適宜用いることができる。さらに、マシンカレンダー処理が施される。
以下、実施例によりさらに詳細に本発明の効果を説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例中の%および部はそれぞれ質量%および質量部を示す。なお、実施例中の諸測定値は、次の方法によって得られたものである。
<総歩留まり>
ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリー濃度をW1、ワイヤー脱水後のパルプスラリー濃度をW2とし、総歩留まりを下記数式1により求める。ここで、総歩留り(%)の判定に当たって、85%以上を「○」、80〜84%を「△」、79%以下を「×」とした。
Figure 2005194665
<填料歩留まり>
ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリー中の灰分濃度をA1、ワイヤー脱水後のパルプスラリー中の灰分濃度をA2とし、填料歩留まりを下記数式2により求める。ここで、填料歩留り(%)の判定に当たって、55%以上を「○」、50〜54%を「△」、49%以下を「×」とした。
Figure 2005194665
<濾水性>
固形分3g相当のヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーを1リットルメスシリンダーに移し、清水にて全量を1リットルとした後、カナディアンフリーネステスターにて濾液量を測定する。濾液量が多いほど、濾水性が良好である。ここで、300ml以上を「○」、250〜299mlを「△」、249ml以下を「×」とした。
<地合>
製紙サンプルを目視により判定を行った。判定基準は、良いを「○」、若干劣るが問題ないレベルを「△」、悪いを「×」とした。
<カチオン要求量>
ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量はコロイド滴定を用い、流動電流法でコロイド粒子と高分子電解質の両方の持っている荷電の測定を行う。本発明では、英国のRANK BROTHERS社製「Charge Analyzer」を使用した。滴定試薬として、1/1000Nのポリダドマック溶液を用いた。ここで、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーは、150メッシュワイヤーにて濾過し、その濾過溶液を80ml採取し、サンプルと反対符号の上記試薬でもって滴定を行い、滴定値からカチオン要求量を算出した。
(実施例1)
新聞古紙パルプ100%に炭酸カルシウム6%、中性ロジンサイズ剤0.35%、硫酸バンド1.4%、両性澱粉0.9%、カチオン性歩留まり剤0.03%を添加し、ヘッドボックスのパルプスラリーのカチオン要求量が0.120meq/lになるように、スクリーン出口にアニオン性コロイダルシリカ(商品名:NP442、日産エカ社製)を添加し、調整を行った。ツインワイヤーにて抄造し、サイズプレス装置を用いてサイズプレス液を塗工し、坪量64g/m2の再生紙を得た後、総歩留まり、填料歩留まり、濾水性、地合の評価を行った。
(実施例2)〜(実施例10)および(比較例1)〜(比較例8)
以下、新聞古紙パルプ配合、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量を、アニオン性歩留まり剤(ベントナイト、商品名:オーガノゾープ、アライドコロイド製)(ポリマー、商品名:パーコールX100、協和産業製)の種類、添加量を実施例1に代えた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜10、比較例1〜8の再生紙を抄造し、総歩留まり、填料歩留まり、濾水性、地合の評価を行った。
Figure 2005194665
評価:
上記表1の結果より、実施例1〜10では、古紙パルプを70質量%以上配合した再生紙を抄造する際に、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が本発明の範囲内にある場合、アニオン性歩留まり剤の種類に係わらず、総歩留まり、填料歩留まりおよび濾水性、地合を損なうことなく製紙することができる。また、実施例1〜6と実施例7〜8からアニオン性歩留まり剤としてアニオン性コロイダルシリカを用いた場合には、添加量が少なくて済み、経済的効果が得られることから、より好ましいことがわかる。実施例9〜10のアニオン性ポリマーを用いた場合も添加量は少なくて済むが、前述のようにアニオン性コロイダルシリカに較べ高価であることから、アニオン性コロイダルシリカが最も好ましい。一方、比較例1〜8は、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が本発明の範囲外であり、比較例1、3、5、7では、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が発明の範囲より高く、地合が著しく悪化する。逆に、比較例2、4、6、8では、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が発明の範囲より低く、総歩留まり、填料歩留まりおよび濾水性の悪化が認められる。
本発明は、古紙パルプを70質量%以上配合した再生紙を抄造する際の、微細繊維、填料の歩留まりや地合、濾水性を損なうことが無い製紙方法として適用できる。

Claims (2)

  1. 古紙パルプを70質量%以上配合した再生紙の抄造時に、ヘッドボックスから噴出されるパルプスラリーのカチオン要求量が0.008〜0.120meq/lとなるようにアニオン性歩留まり剤を添加し、抄紙することを特徴とする再生紙の製紙方法。
  2. 前記アニオン性歩留まり剤がアニオン性コロイダルシリカであることを特徴とする請求項1記載の再生紙の製紙方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014073145A1 (ja) * 2012-11-06 2016-09-08 星光Pmc株式会社 紙の製造方法

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