JP2005192343A - 偏心ロータおよびその偏心ロータを用いた振動モータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】印刷配線板(1)と、軸(11)が挿通される円筒状の軸受(40)とウエイト(30)とともに樹脂成形により平盤状に一体化された偏心ロータ(R)であって、軸挿通孔(5a)は軸(11)の外径より大きく軸受(40)の外径より小さい直径の開口で、軸受(40)はその端部(40A)全周が挿通孔周囲の印刷配線板(1)に接して配され樹脂成形で一体化される。
【選択図】 図1
Description
振動モータには主に円筒状のハウジングでハウジング外部に突き出た出力軸に錘を固定した筒型振動モータと、コイン型のハウジングで軸がハウジングに固定され、ハウジング内のロータを偏心させた扁平型振動モータがある。
扁平型振動モータのロータは、それ自体を偏心させハウジングに固定された軸に回転支持するため、軸受、錘やコイルを、整流子基板を構成する印刷配線基板と共に樹脂で一体成形する構成が用いられる。
特開2002−28570号公報には印刷配線板と空心電機子コイル、錘、軸受が樹脂成形により同時に一体成形される構成が開示されている。
これら公報に開示された構成は、いずれも整流子基板を構成する印刷配線基板と軸受、錘およびコイルが樹脂成形で一体化されることにより扁平な偏心ロータを形成するもので、射出成形による樹脂成形で製造されるのが一般的である。
振動モータの場合ロータに錘が一体成形されるため、機器の落下等によりモータに衝撃が加わると、錘で重量が大きくなっているためロータへの衝撃が通常のモータより大きくなる。
軸受は形状が小さいため樹脂成形でロータとして一体化された際に、その取り付け強度が十分取れないと、衝撃により軸受け部に破損が生じることとなる。
本願発明の目的は、振動モータでコイルや錘の大きさの占める割合が高くなり軸受が小さいものであっても、軸受けのロータに対する取り付け強度を保ち、衝撃による軸受け部の破損が無い偏心ロータを提供するとともに、その偏心ロータを用いた振動モータを提供することである。
整流子基板と軸受が接した状態で樹脂で一体成形されるため、整流子基板が軸受を保持した状態となり、ロータに衝撃が加わっても樹脂と軸受が離れてしまうような軸受け部の損傷が防止される。
すなわち、軸受と樹脂、印刷配線基板と樹脂、印刷配線基板と軸受それぞれの取り付け強度の相互作用により強固な取り付け強度が得られる。
さらに請求項3に記載のように、前記軸受は段差部を有する円筒状に形成され、その段差部が前記軸挿通孔周囲に接して配され一体化する。このように軸受に段差を有するようにすれば、軸受けの有効長を長く取ることができる。
モータに衝撃が加わった際、整流子基板側のスラスト受けは軸受ではなく必ず整流子基板と接するようにする。こうすることで、整流子基板と軸受が直接接した状態で樹脂により一体成形された構成が有効となる。
また、そのロータを組み込んだモータも衝撃に強いものとすることができる。
さらに、軸受端部が接する基板面にパターンを設けることで、基板と軸受端部の密着性を高めることができ、安定して軸受と整流子基板を接することができると共に、樹脂が軸挿通孔や軸受内へ侵入することを防止することができる。すなわち、安定した樹脂成形ができることで、ロータに対する軸受けの取り付け強度も安定させることができる。
図2は図1に示す偏心ロータを構成する印刷配線板を示す平面図である。
図3は図2に示す偏心ロータを構成するウエイトを示す図で、(a)はその平面図、(b)はB−B断面を示す。
図4は本願発明の偏心ロータを用いた振動モータの側面要部断面を示す図である。
図5は図1(a)に示すロータのA−A断面軸受け部拡大図で、(a)(b)はそれぞれ異なる実施例を示す。
図6は本願発明の他のロータを用いた振動モータの側面要部断面を示す図である。
印刷配線板1は、コイルが載置されるコイル載置面3A、3B、端末結線部4A、4B、軸受40が載置される中心部5およびウエイト30の保持用凸部31を直接あるいは間接的に保持する保持部6で構成されている。
端末結線部4A、4Bはコイルの端末22A、23A、22B、23Bを対応するセグメント2に結線するための端末結線パターン7A、8A、7B、8Bが配置される領域である。
ウエイト30は、重量をできるだけ大きくするため、平板状のロータR両面に露出する厚みを有し、二つのコイル間に配置される。ウエイト30は樹脂に対し強度を保って固定されるよう樹脂に埋め込まれる部分を有しており、例えば外形部37のC面32によりロータRの外周側に、C面33により内周側に、そしてロータRの厚みより薄い保持用凸部31が樹脂部15にそれぞれ埋め込まれる。
ウエイト30の樹脂に埋め込まれる部分には、ロータを樹脂成形する際にその位置を決定する位置決め部としてガイド用凹部34、35、36が形成されている。
軸受40が載置される印刷配線板1の中心部5には軸挿通孔5aが形成されているが、その軸挿通孔5aの孔径は回転軸より大きく、軸受40の外径より小さく、かつ樹脂が軸挿通孔5aより露出しないよう、軸受40の端部が中心部5に触れるよう載置されている。
ロータMは例えばポリエステル系の熱可塑性樹脂により成形されるが、樹脂成形の特性として肉厚の厚い部分に引けやゆがみが生ずる。そのため樹脂部15のDカット側には外周部に壁部16を設けつつ凹部17を形成する。
ロータRは印刷配線板1、その印刷配線板1に載置される二つのコイル20A、20B、ウエイト30および軸受40が射出成形等の樹脂成形により平板状に形成され、樹脂部15による外形がD字状に形成されている。
D字状になっているのは、振動モータとして偏心量を大きくするため、ウエイト30の回転軸をはさんで反対側を軽くするためである。
ウエイト30はタングステン合金等の高比重材料でできており、その重量効果が十分であれば基板は円形の基板であっても良い。
コイル20A、20Bは有効導体開角が40°から90°を有する巻線空心コイルで、それぞれのコイルに2本の端末22A,23Aと22B、23Bを有している。コイル20A、20Bは配置各約140°でロータRに配置される。このコイル配置に関しては、例えばコイル20Aおよびコイル20Bをそれぞれ複数段重ねたものとすることもでき、2カ所に配置されるコイルとすることが可能で、有効導体開角や配置角は適宜決定できる。コイル数も3個(3カ所配置)にすることも可能である。
段差16は軸受40の上端部40Bを樹脂部15の上面から突出させるための段差である。
印刷配線板1には、上面1B側にコイル20A、20Bが載置されるコイル載置部3A、3Bと、コイル20A、20Bの端末22A,23Aと22B、23Bを結線する端末結線パターン7A、8A、7B、8Bが上面1B側に形成された端末結線部4A、4Bが形成されている。また、印刷配線板1の下面1A側には複数の整流子片2(本実施例の場合6個)が印刷形成されている。
これらパターンや整流子片を接続する回路構成は本願発明に直接関係がないのでその説明は省略する。
印刷配線板1の中心部5には軸11が通る軸挿通孔5aが形成され、上面1B側に円筒状の軸受40が配置されている。軸挿通孔5aの開口径は軸11より少し大きく、軸受40の外径より小さくして軸受40の一端部40Aと印刷配線板1の上面1Bが直接接するようになっている。
このように軸受を印刷配線基板に載置してロータRを樹脂成形で形成すれば、軸11方向の衝撃がモータMに加わっても軸受が印刷配線板で支持されるため、軸受と樹脂部15が分離されてしまうことが無く、極めて衝撃に強いロータRを構成することができる。
印刷配線板1と軸受40を射出成形金型へ装着したとき、軸受40の端部40Bと印刷配線基板1の下面1Aが金型で押さえられるが、部品のばらつきによっては軸挿通孔5a内へ樹脂を侵入させないために端部40Bと上面1Bの密着度をより高める必要がある。
図5(a)、(b)にその詳細を示す。
図5(a)で、印刷配線基板1の上面1Bには軸挿通孔5aの周囲に環状パターン5bが印刷形成されている。軸受40はその端部40Aの全周が環状パターン5bと重なるよう位置決めされ、印刷配線基板1に載置された状態で樹脂成形される。印刷配線基板1の下面1Aの軸挿通孔5aの周囲にも環状パターン5cが形成される。
射出成形金型に印刷配線基板1と軸受40が装着されたとき環状パターン5b、5cの弾性を利用して金型と軸受40、軸受40と印刷配線板1、印刷配線板1と金型それぞれを密着させることができる。
図5(b)に軸受と軸挿通孔の関係として他の実施例を示す。C面41が軸挿通孔5fの縁に接したとしても軸受40の端部40Aが印刷配線板1の下面1Aから突出しないようにされ、成形樹脂が軸挿通孔5fに侵入しないようにするとともに軸受40および樹脂部15が印刷配線板1の下面1Aから突出しないようにする。
そのときC面41は環状パターン5bの内周部に圧着するように接することになる。
環状パターン5b、5cはその厚みや各部材のばらつきにより環状パターン5cを省略することも可能である。また、環状パターン5bは環状に限らず軸受40の端部40Aが接することができる形状であればよい。
この保持用凸部31は樹脂部15に埋め込まれると共に、印刷配線板1に形成された保持部6で軸11方向に支持される。保持用凸部31の厚みを薄くすれば印刷配線板1の上面1Bと保持用凸部31の間には樹脂が回り込み、安定してロータRにウエイト30を固定でき、かつ印刷配線板1により間接的に厚み方向に支持されることになる。
このウエイト30の外形部でC面32とC面33が交差する部分には樹脂成形時にウエイト30の位置を決めるガイド用凹部34、35が形成されている。樹脂成形時ウエイト30を成形金型へ装着する際、金型に取り付けられたガイドピンへこのガイド用凹部34、35を合わせて装着する。
このガイド用凹部34,35は最大厚み部38には形成せず、C面32、33の部分に設けることでウエイト30の偏心量が減ることをできるだけ避けることができる。このC面32、33はウエイト30の外形部を樹脂へ埋め込むようにするためのものなので、その形状はC面に限らず外形部が連続して凹状に形成されていればよい。また、ガイド用凹部34,35はC面32、33の交差部ではなく樹脂の流れを妨げない程度にC面32あるいはC面33にそれぞれ複数個設けても良い。
樹脂部15に形成された穴17はそのガイドピンにより形成されたものである。
ウエイト30の外形部37にはロータRの外方に向かって球状の二つの凸部39が形成されている。ウエイト30を成形金型に装着する際、装着しやすくするためガイドピンとガイド用凹部34、35の間には遊びを設ける。その遊びによりウエイト30ががたついた際外形部37が金型の内壁面に接するとウエイト30の外周側への樹脂の流れが悪くなる。
ウエイト30ががたついた際、金型の内壁面に凸部39が当たることで外形部37が金型の内壁面に接することを防止し、樹脂がウエイト30へ良く流れることで樹脂部15が形成できる。この凸部39の形状は球状に限られず、先端側が小面積で金型に接するような形状で樹脂の流れを妨げないものであればよい。
また、ウエイト30の位置決めを金型のガイドピンで行うことで、ウエイト30を基板上に接着する必要がないため工程が低減される。
本実施例でもコイル20A、20Bの一部や結線パターン7A、8A、7B、8B等を軸受11を挟んでウエイト30の反対側、すなわち重心と反対側に配置せざるを得ない。このような場合重心と反対側の部分はできるだけ重量を減らす必要がある。
また、樹脂成形の場合樹脂の肉厚が厚いとひけやゆがみを生じるため肉厚は薄い方が望ましい。
凹部18により重心と反対側の重量を減らすと共に肉厚によるゆがみを防止し、壁部19により外周部の強度を確保してロータRの平面度を保っている。
この凹部形状は結線パターン7A、8A、7B、8Bや端末22A、23A、22B、23Bの配置により適宜定めることができる。
モータMはステンレス薄板製円筒キャップ状のケース51にステンレス薄板製円盤状のブラケット52が固定されてハウジングHを形成し、ブラケット52のバーリング部55に軸11が固定され、ロータRが軸11に回転支持されている。
ブラケット52にはフレキシブル基板あるいはガラスエポキシ基板等薄板の印刷配線板で形成され、ブラシ54により電力をロータへ供給するブラシベース53が取り付けられている。
ブラシベース52の軸11周囲には一対のブラシ54(図1では片側を示す)が取り付けられ、一端側は給電端子52aとしてハウジングHの外側へ開口51aから導出される。ブラケット52には給電端子55を載置する端子載置部52aが設けられている。ブラシ54の自由端側はロータRの整流子片2と摺接する。
ブラケット52の内側面にはリング状のマグネットGが取り付けられている。マグネットGは円周方向に4極の磁極が着磁された軸方向空隙型マグネットで、ロータRに対向している。
ロータRはブラシ54でケース51側に常に押されているため、ロータRの上面側は、軸受40の上端部が直接摺動シート56に接し、下面側は印刷配線板1の下面1A側中心部5が摺動性のあるワッシャでできたスラスト受57と対向している。
この振動モータにMに軸11方向の衝撃が加わると、ロータRは軸方向へ移動する。上方向へ移動すると軸受40の端部40Bがハウジングに当たり、下方向へ移動すると下面1Aがスラスト受57へ当たることになる。
いずれの場合でも軸受40と印刷配線基板1が接して一体化されているため軸受40のロータに対する取り付け強度大きく、軸受け部分が破損することがない。
この振動モータMを構成するハウジングH、ブラシベース53等ロータR以外の構成は種々考えられ、上記実施例に限定される必要はない。これまで出願されてきた軸固定型で機械的整流子を用いる振動モータの構成を用いることが可能である。
実施例1と同一の構成については同じ記号を付してその説明を省略する。
ロータR1は印刷配線板101上にコイル20A、20Bが載置され、軸受140およびウエイト30と共に樹脂成形で一体化されている。
軸受140は段差部140aを有する円筒形状で、大径部141と小径部142が連続して形成されている。段差部140aは大径部141の一端部を形成している。
印刷配線板101の軸挿通孔105aは小径部142より大きく大径部141より小さい径の開口で、軸受140の段差部140aがその上面101Aに載置される。
小径部142は印刷配線板101を通って下面101A側へ突出している。このような形状とすると、軸受けとしての有効長を長くすることができる。
軸挿通孔105aの周囲には環状パターン105b、105cが印刷形成され、環状パターン105bは段差部140aに接するよう形成される。それぞれの作用は5b、5cと同様である。
バーリング部55の周囲には円筒状のスペーサ157が設けられ、ロータR1のスラスト下方向の動きを規制している。スペーサ157の内径は軸受140の小径部142が挿通できる径とし、軸受140とスペーサ157は直接接触しないようにする。
振動モータM1へ衝撃が加わり、ロータR1がスペーサ方向へ移動したとき、スペーサ157は印刷配線板101の下面101Aを支持する。その作用については実施例1と同様である。
1 印刷配線板
5a、5f 軸挿通孔
2 20A、20B コイル
30 ウエイト
40 軸受
40A 軸受端部
Claims (4)
- 一面に複数の整流子片が印刷形成され、他面に複数の巻線空心電機子コイルが載置されると共に回転中心となる軸が挿通される軸挿通孔を有する平板状の整流子基板と、前記軸が挿通される円筒状の軸受とが錘とともに樹脂成形により平盤状に一体化された偏心ロータであって、前記軸挿通孔は前記軸の外径より大きく前記軸受の外径より小さい直径の開口で、前記軸受はその一端部全周が挿通孔周囲の整流子基板に接して配され一体化されたことを特徴とする偏心ロータ。
- 前記軸受けの端部全周が、前記軸挿通孔の周囲に設けられた印刷パターンと接していることを特徴とする請求項1記載の偏心ロータ。
- 前記軸受は段差部を有する円筒状に形成され、その段差部が前記軸挿通孔周囲に接して配され一体化されたことを特徴とする請求項1乃至2記載の偏心ロータ。
- ケースとブラケットからなるハウジングとこのハウジングに固定された軸、ハウジングに取り付けられたマグネット、ハウジング外部から電力が供給される端子およびこの端子に電気的に接続されるブラシ、このブラシから電力が供給される請求項1乃至3記載の偏心ロータからなり、前記整流子基板側には前記整流子基板を支持可能なスラスト受け部材が設けられていることを特徴とする振動モータ。
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