JP2005191382A - 複合部材の製造方法、および複合部材形成用基材 - Google Patents

複合部材の製造方法、および複合部材形成用基材 Download PDF

Info

Publication number
JP2005191382A
JP2005191382A JP2003432787A JP2003432787A JP2005191382A JP 2005191382 A JP2005191382 A JP 2005191382A JP 2003432787 A JP2003432787 A JP 2003432787A JP 2003432787 A JP2003432787 A JP 2003432787A JP 2005191382 A JP2005191382 A JP 2005191382A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
exposure
exchange group
filler
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003432787A
Other languages
English (en)
Inventor
Misa Sawanobori
美紗 澤登
Toshiro Hiraoka
俊郎 平岡
Yasuyuki Hotta
康之 堀田
Shigeru Matake
茂 真竹
Hiroshi Yamada
紘 山田
浩 山田
Kouji Asakawa
鋼児 浅川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2003432787A priority Critical patent/JP2005191382A/ja
Publication of JP2005191382A publication Critical patent/JP2005191382A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Printing Elements For Providing Electric Connections Between Printed Circuits (AREA)

Abstract

【課題】 高い充填率で導電物質が均一に充填された複合部材を製造する方法を提供する。
【解決手段】 三次元的に形成された連続空孔を有し、絶縁性物質からなる多孔質基材の空孔内に感光性層を有するとともに、選択された空孔内に充填材が充填された複合部材形成用基材にパターン露光する工程と、パターン露光後の複合部材形成用基材を水または水を含む溶液で洗浄して、前記充填材を前記複合部材形成用基材から除去する工程と、前記充填材を除去した前記複合部材形成用基材の露光部または未露光部に選択的に導電物質を充填する工程とを具備する方法である。前記充填材は、水溶性ポリマーを含み、下記数式で表わされる条件を満たすことを特徴とする。
【数1】
Figure 2005191382

(上記数式(1)中、εAは、多孔質基材を構成する絶縁性物質の屈折率であり、εBは、前記充填材の屈折率である。また、空気の屈折率は1とした。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、配線基板等に用いられる、絶縁体に配線などの導電部が形成されてなる複合部材の製造方法、および複合部材形成用の基材に関する。
近年、半導体をはじめ各種電気電子部品の高集積化や小型化が進んでおり、今後もその傾向はなお一層強まることは確実である。これに伴なって、プリント配線基板においても高密度実装を施すために金属配線のファインパターン化、および立体配線化等が試みられている。なかでも立体配線は高密度実装に欠かせないものであり、立体配線を有する配線基板を製造するために、種々の方法が提案されている。
配線基板に立体配線を形成するにあたっては、例えばビルドアップ配線基板などに代表されるように、二次元の配線基板を積層させて多層配線基板構造を構成する。このような多層配線基板構造では、隣接する配線層の間をビアと呼ばれる導電性カラムで結合されている。
フォトリソグラフィーとメッキを用いた従来の方法でビアを形成するには、レジストの塗布と露光、エッチングという工程が必要とされる。このように手間がかかるうえ、歩留まりを向上させることが難しかった。また。絶縁体となる多孔質基材に導体を充填してビアを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。この場合には、フォトリソグラフィーあるいはドリルやレーザーなどによる貫通孔の形成は不要となる。
しかしながら、ビアを絶縁体となる多孔質基材に露光して形成するため、多孔質基材において露光光の散乱が生じる。さらに、パターンを形成した多孔質基材を水溶液に接触させて処理する工程では、多孔質基材の空孔はもともと空気で満たされているため、空孔内に気泡が残りやすい点も問題点であった。
露光光の散乱が生じると、散乱が生じない場合に比べて、露光パターンが広がったり、露光深さが減少するといった不都合が生じる。空孔内に気泡が残ってしまった箇所は、気泡が残らなかった箇所と比べて、処理液と接触することができず、また、新鮮な処理液の流動も不可能となり処理液との反応が進まないため、多孔質基材内部への導電物質の充填率が低下してしまう。
特開平7−207450号公報 特開平11−25755号公報
露光光の散乱を防いだり、空孔内の気泡の残存を防止することが可能になれば、さらに微細な導体層のパターン形成が可能になったり、また、多孔質基材内部への導電物質の充填率が向上するといった多くのメリットが期待される。
そこで本発明は、高い充填率で導電物質が均一に充填された複合部材を製造する方法、およびこれに用いられる複合部材形成用基材を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかる複合部材の製造方法は、三次元的に形成された連続空孔を有する絶縁性物質からなる多孔質基材の前記連続空孔内に感光性層を有するとともに、前記連続空孔の一部に充填材が充填された複合部材形成用基材にパターン露光する工程と、
パターン露光後の複合部材形成用基材を水または水を含む溶液で洗浄して、前記充填材を前記複合部材形成用基材から除去する工程と、
前記充填材を除去した前記複合部材形成用基材の露光部または未露光部に導電物質を充填する工程とを具備し、
前記充填材は、水溶性ポリマーを含み、下記数式で表わされる条件を満たすことを特徴とする。
Figure 2005191382
(上記数式(1)中、εAは、多孔質基材を構成する絶縁性物質の屈折率であり、εBは、前記充填材の屈折率である。また、空気の屈折率は1とした。)
本発明の一態様にかかる複合部材形成用基材は、三次元的に形成された連続空孔を有する絶縁性物質からなる多孔質基材と、
前記多孔質基材の前記連続空孔内表面に形成された感光性層と、
前記連続空孔内の一部の領域に充填された水溶性ポリマーを含む充填材とを具備する複合部材形成用基材であって、
前記感光性層は、陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を生成する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を生成する基とを有する材料;陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を生成する基とを有する材料;陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を消失する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を消失する基とを有する材料;陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を消失する基とを有する材料;露光によって陽イオン交換基あるいは陰イオン交換基のいずれか一方のイオン交換基を生成する基または消失する基を有する材料のいずれか一つの材料から構成されることを特徴とする。
本発明の他の態様にかかる複合部材形成用基材は、三次元的に形成された連続空孔を有する絶縁性物質からなる多孔質基材と、
前記多孔質基材の前記連続空孔内表面に形成された感光性層と、
前記連続空孔内の一部の領域に充填され、水溶性ポリマーを含む充填材とを具備し、
前記感光性層は、感光性還元剤および金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
本発明の態様によれば、高い充填率で導電物質が均一に充填された複合部材を製造する方法、およびこれに用いられる複合部材形成用基材が提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による複合部材の製造方法を表わす工程断面図である。
まず、複合部材形成用基材4を用意する。この複合部材形成用基材4は、三次元的に形成された連続空孔を有し、絶縁性物質からなる多孔質基材1の空孔内に所定の材料を充填して形成される。
多孔質基材1は、用途に応じて有機あるいは無機の多孔質基材を用いることができる。有機材料(ポリマー)としては、例えば、エポキシ樹脂や、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、PEEK樹脂、ブタジエン油脂等プリント配線基板の絶縁基材として従来からよく用いられる樹脂や、その他ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルエチレン等のポリジエン類、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン誘導体、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル等のポリアクリロニトリル誘導体、ポリオキシメチレン等のポリアセタール類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等や芳香族ポリエステル類を含むポリエステル類、ポリアリレート類、アラミド樹脂等の芳香族ポリアミドやナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、エポキシ樹脂類、ポリp−フェニレンエーテル等の芳香族ポリエーテル類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリスルフィド類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系ポリマー、ポリベンゾオキサゾール類、ポリベンゾチアゾール類、ポリパラフェニレン等のポリフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ノボラック樹脂類、メラミン樹脂類、ウレタン樹脂類、およびポリカルボジイミド樹脂類等が挙げられる。こうしたポリマーからなる多孔質基材は、例えば延伸法、相転換法などによりシート状に作製することができる。
また、ブロックコポリマーの三次元網目状のミクロ相分離構造から特定の相を選択的に除去して作製した多孔質シートは、同一シート内での空孔径が揃っているので、微細導電部を形成するのに適しており最も好ましい。ミクロ相分離構造から特定の相を選択的に除去する手法としては特に限定されないが、例えば、オゾン酸化やβ線照射によって特定の相のポリマーを分解した後に溶媒洗浄などの手法で分解物を除去して、多孔質化する方法が用いられる。
ミクロ相分離構造から作製される多孔質シートの材料としては、ポリカルボオキシシランシートや架橋ポリブタジエンシートやポリシクロヘキセンシートなどが挙げられる。また、ミクロ相分離構造の特定の相を熱分解させて揮発させることによって除去してもよく、ポリイミドなどの耐熱性ポリマーの多孔質シートを作製することができる。
無機の多孔質基材としては、ゾルゲル法、エマルジョンテンプレーティング法などで作製される、多孔質セラミックシートが用いられる。セラミックスとしては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸カリウム等の金属酸化物、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
上述したような多孔質シートに、親水化処理等の表面処理により改質した多孔質シートを多孔質基材として用いることもできる。
低誘電率で耐熱性に優れることから、ポリマー類が好ましく、特にポリイミド類、芳香族ポリアミド類などの液晶性ポリマー類、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系ポリマー類などを用いることが好ましい。
多孔質基材における平均空孔径は、0.05μmから1μmの範囲にあることが好ましく、さらには0.1μmから0.5μmの範囲にあることが望ましい。0.05μm未満の場合には、導電物質を充填する場合や導電部をめっきなどで形成する際に、多孔質基材内部まで導電物質が充填されにくい。一方、1μmを越えると、微細な導電部を形成することが困難となる。また空孔径とともに、空孔のピッチの大きさも重要である。ピッチの大きな部分、つまり無孔部分が存在すると、そこで大きな光の散乱が起こり、多孔質シートの内部まで形状を制御しながら露光することが難しくなる。無孔部分の回転半径は10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。また無孔部分は局在化することなく、均一に分散されていることが好ましい。
一方、10μmを越えると、導電部が形成しにくくなる。多孔質基材の平均空孔径や無孔部分回転半径などは、小角X線散乱測定、光散乱測定や、断面の光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などの観察によって測定可能である。
上述したような多孔質基材1の空孔内には、感光性層(図示せず)を形成しておく。感光性層とは、導電物質が充填されてなる導電部を選択的に形成するために用いられ、感光性材料からなる層である。例えば、露光により、露光部または未露光部のいずれか一方の部位に、陽イオン交換基および陰イオン交換基を共存させるか、あるいは陽イオン交換基または陰イオン交換基のどちらか一方を形成させることの可能な層である。
感光性層は、例えば、(1)陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を生成する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を生成する基とを有する材料;(2)陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を生成する基とを有する材料;(3)陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を消失する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を消失する基とを有する材料;(4)陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を消失する基とを有する材料;(5)露光によって陽イオン交換基あるいは陰イオン交換基のいずれか一方のイオン交換基を生成する基または消失する基を有する材料のいずれか一種から構成される。
陽イオン交換基とは、陽イオンを吸着可能であるか、塩基と反応して陽イオン化して、親水性を発現することが可能な基をさし、陰イオン性の基および酸性基が挙げられる。例えば、カルボキシル基およびその塩(−COOX基)、スルホキシル基およびその塩(−SO3X基)、リン酸基およびその塩(−PO32基)、シラノール基およびその塩(−SiOX基)、フェノール性水酸基およびその塩(−φ−OX基(Xは水素原子、アルカリ金属やアルカリ土類金属および周期律表I、II族に属する典型金属、およびアンモニウム基から選択される。φは2価の芳香環))などが挙げられる。こうした陽イオン交換基に、金属イオンあるいは金属化合物あるいは金属コロイドを吸着させて無電解めっきを行なう場合には、水中でのイオン解離定数から求めたpKa値が7.2以下の陽イオン交換基がより好ましい。pKa値が7.2を超えると、金属イオンあるいは金属コロイドを吸着させる工程で、単位面積あたりの吸着量が少なく、無電解めっきが充分に行なわれないおそれがある。充分な吸着量が得られることから、−COOX基が最も好ましい。
陰イオン交換基とは、陰イオンを吸着可能であるか、酸と反応して陰イオン化して、親水性を発現することが可能な基であり、陽イオン性の基および塩基性基をさす。陽イオン性の基としては、例えば、アンモニウム基等の脂肪族系アミン、芳香族系アミンの4級アンモニウム塩誘導体基、あるいは、ピリジニウム基やイミダゾリウム基等の含窒素複素環の4級アンモニウム塩誘導体基が挙げられる。
具体的には、感光性層を構成する材料としては、次のようなものが挙げられる。陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を生成する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を生成する基とを有する材料(1)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂あるいはクレゾールノボラック樹脂のフェノール性水酸基に、陽イオン交換基を生成するナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸エステル基、o−ニトロベンジルオキシカルボニルメチル基あるいはo−ニトロベンジルオキシカルボニルエチル基が導入されたポリマーと、陰イオン交換基を生成する基としてアジド基が導入された化合物との組み合わせ等が挙げられる。陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を生成する基とを有する材料(2)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂あるいはクレゾールノボラック樹脂のフェノール性水酸基に、陽イオン交換基としてカルボキシル基が導入され、陰イオン交換基を生成しかつ架橋することも可能なアジド基が導入されたポリマー等が挙げられる。陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を消失する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を消失する基とを有する材料(3)としては、例えば、下記化学式で表わされる露光により陰イオン交換基を消失する基を有するモノマーとメチルメタクリレートの共重合ポリマーと、陽イオン交換基としてカルボキシル基が導入されたポリマーとの組み合わせ等が挙げられる。
Figure 2005191382
また、陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を消失する基とを有する材料(4)としては、例えば、カルボキシル基が導入されたポリマーと、カルボキシル基が導入されたポリマーを脱炭酸することによりカルボキシル基を消失するための光塩基発生剤と、前記共重合ポリマーとの組み合わせ等が挙げられる。露光によって陽イオン交換基あるいは陰イオン交換基のいずれか一方のイオン交換基を生成する基または消失する基を有する材料(5)としては、例えば、芳香族ジアゾ化合物、2,6−二ナトリウムアントラキノン二スルホン酸塩、ソルビトール、酢酸銅、臭化銅、界面活性剤、フルオロホウ酸との組み合わせ等が挙げられる。
また、露光により多孔質基材を構成する絶縁性物質と化学反応を起こし、多孔質基材を構成する絶縁性物質が変化して露光部に選択的にイオン交換基を形成する感光性層を用いることもできる。例えば、特開平7−207450号公報に記載されているような疎水性のフッ素樹脂製多孔質基材をフッ素原子と容易に結合する性質を有し、露光によって樹脂から遊離したフッ素原子をトラップする作用を有するような水酸基、カルボキシル基、アミノ基等のイオン交換基を有する化合物を感光性層として用いてもよい。この場合、イオン交換基がフッ素樹脂に導入され、後の工程で、この部分にめっき等により導電物質を選択的に充填することが可能になる。
あるいは、感光性層は、感光性還元剤および金属塩からなる群から選択される少なくとも一種の材料を含むことができる。こうした材料は、例えば、特開平11−25755号公報に記載されており、露光によって、無電解めっきの反応開始点となるめっき核が形成される。具体的には、例えばアントラキノンジスルホン酸塩のような感光性還元剤、例えば酢酸銅のような金属塩、例えば臭化銅のようなハロゲン化物イオン源、および例えばソルビトールのような第2還元剤の溶液によって、かかる感光性層を形成することができる。
なお、「露光によって」とは、化学反応を生じさせるきっかけをさし、感光性層が露光されたときに化学反応を生じ、単独でイオン交換基が形成される場合に行なわれる露光を含む。また、感光性層が露光されたときに化学反応が生じて何らかのイオン交換基の前駆体を生じ、この前駆体がさらに化学反応を生じることによりイオン交換基が形成される場合、いわゆる露光による化学反応をきっかけとする多段階反応により、イオン交換基が形成される場合に行なわれる露光も含む。
露光により単独でイオン交換基を生成する基あるいは分子としては、例えば、カルボン酸あるいはシラノールのo−ニトロベンジルエステル誘導体、p−ニトロベンジルエステルスルフォネート誘導体が挙げられる。さらには、tert−ブチルエステルの過酸化物のような過酸化エステル類も用いられる。過酸化エステル類を露光すると、陽イオン交換基のカルボキシル基が形成される。
露光による化学反応をきっかけとする多段階反応によりイオン交換基を生成する基あるいは分子としては、例えば、キノンジアジド類やアジド誘導体等が挙げられる。キノンジアジド類は、露光により生じた中間体が引き続き水と反応することによって、インデンカルボン酸類へ変化してカルボキシル基を生成する。具体的には、ベンゾキノンジアジド、ナフトキノンジアジド、およびアントラキノンジアジドなどのo−キノンジアジド誘導体が挙げられる。アジド基は、露光によってナイトレンを生成し、その後の水素引き抜き反応によってアミノ基などを生成する。
さらに、光酸発生剤と、酸の存在下でイオン交換基を生成する基を含む分子とを含有する化学増幅系の感光剤を用いることもできる。このような感光剤を用いる場合には、露光後に熱処理が施され、高感度化および露光波長の長波長化が実現できる。光酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2、3、4、4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシレート、ナフタルイミジルトリフルオロメタンスルホネート、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノエチル)アミノ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン・ジメチル硫酸塩、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、および2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
酸の存在下でイオン交換基を生成する基を含む分子としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、シラノール基などのイオン交換基に保護基を導入した基が挙げられる。露光によって、光酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸で保護基が分解されてイオン交換基が生成する。カルボキシル基の保護基としては、例えばtert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニル基や、テトラヒドロピラニル基などのアセタール基などが挙げられる。また、フェノール性水酸基、シラノール基などの保護基としてはtert−ブトキシカルボニル基などが挙げられ、tert−ブトキシカルボニルオキシ基として用いられる。
化学増幅系の感光剤としては、具体的には、アクリル樹脂にテトラヒドロピラニル基やtert−ブチル基を保護基として導入し、光酸発生剤としてナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネートを用いたものなどが挙げられる。
露光によりイオン交換基を消失する基や分子とは、露光前にはイオン交換基を有し、このイオン交換基が露光によって脱離するか、疎水性基に変化する基や分子をさす。具体的には、脱炭酸反応を起こして分解するカルボキシル基含有基や分子が挙げられる。例えばα−シアノカルボン酸誘導体、α−ニトロカルボン酸誘導体、α−フェニルカルボン酸誘導体、α−ニトロカルボン酸誘導体、α−フェニルカルボン酸誘導体、およびβ,γ−オレフィンカルボン酸などが挙げられる。アミノ基やイミノ基、アンモニウム基のような塩基性基を有する、あるいは発生する塩基性化合物としては、光酸発生剤から放出される酸によって中和され、カルボキシル基含有化合物の脱炭酸反応の触媒として作用するものであれば任意のものを用いることができ、有機および無機のいずれの化合物でも構わない。好ましくは、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類等が挙げられる。これら光塩基発生剤や塩基性化合物の含有量は、感光性層中0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%とするのがよい。0.1重量%未満の場合には、脱炭酸反応が十分に進まなくなり、30重量%を超えると、未露光部に残存するカルボキシル基含有化合物が劣化するおそれがある。
感光性層は、パターン露光の際に多孔質基材の所定の領域に存在していればよい。例えば、多孔質基材に予め感光性組成物を含浸させて、基材全体に感光性層を形成しておくことができる。
感光性層は、後の工程で金属イオンあるいは金属化合物あるいは金属コロイドを吸着させる際や導電物質を充填する際に、アルカリまたは酸性の水溶液に曝される。このため、それらに溶解し難いようにイオン交換基を生成または消失する基が、ポリマーや高分子化合物等に担持、あるいは結合されているものが好ましい。ポリマーや高分子化合物としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、キシレノールノボラック樹脂、ビニルフェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系樹脂やポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル酸エステル誘導体、ポリシロキサン誘導体等が挙げられる。ポリマー中のイオン交換基を生成または消失する基の導入率は、好ましくは5%〜300%であり、より好ましくは30%〜70%の範囲である。ここでの導入率は以下の式で表わされる。
導入率(%)=
(イオン交換基を生成または消失する基の数)/(ポリマーのモノマー単位の数)×100
導入率が少なすぎる場合には、充分に金属イオンあるいは金属化合物あるいは金属コロイド吸着させることが困難となる。また、金属イオンあるいは金属化合物あるいは金属コロイド吸着させたり導電物質を充填する際に、使用するアルカリまたは酸性の液などへ溶解や膨潤しやすくなる。さらに、作製した複合部材が吸湿しやすくなり、絶縁不良などの不具合を起こしやすくなるといった不都合も生じる。
感光性層には、増感剤が添加されていてもよい。これによって感度の向上や、用いる光源に合わせて感光波長を様々に変化させることが可能となる。また、多孔質基材を構成する絶縁物質の吸収波長以外の波長の光など基材を透過しやすい波長の光で感光させることが好ましい。
増感剤としては、例えば、芳香族炭化水素およびその誘導体、ベンゾフェノンおよびその誘導体、o−ベンゾイル安息香酸エステルおよびその誘導体、キサントンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、ジスルフィド化合物、キノン系化合物、ハロゲン化炭化水素含有化合物ならびにアミン類、シアニン系色素、スクアリウム系シアニン色素、スチリル系色素、キサンテン色素、チアジン色素、ピロニン色素、クマリン系色素およびケトクマリン系色素などがある。
増感剤の配合割合は、イオン交換基を生成または消失する基の総量に対して、通常0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%である。増感剤は、上述したような分子のみで形成されていてもよく、イオン交換基を生成または消失する基や架橋基などを有する化合物の分子中に増感効果を示す分子団として導入されていてもよい。増感効果を示す分子団としては、上述した増感剤の誘導体構造を有するものが用いられる。このとき増感効果を示す分子団の導入量は、好ましくは0.001%〜10%であり、より好ましくは0.01%〜5%である。ここでの導入率は、以下の式で表される。導入率(%)=(増感効果を示す分子団の重量)÷(増感効果を示す分子団およびイオン交換基を生成または消失する基や架橋基などを有する化合物の分子量)×100
感光性層には架橋剤が添加されていてもよく、架橋性化合物あるいは架橋性基を用いることができる。架橋性化合物あるいは架橋基としては、露光によって三次元架橋して重合するものが用いられる。架橋性化合物や架橋基が架橋して重合することによって、金属イオンあるいは金属化合物あるいは金属コロイドを吸着させる際や、導電物質を充填する際に使用するアルカリまたは酸性の水溶液に対する感光性層の耐性が向上する。架橋性化合物や架橋基としては、架橋性化合物同士が自己重合して架橋してもよく、感光性層中の他の物質と結合形成して架橋してもよい。
架橋性化合物の含有量は、好ましくは1〜50重量%、より望ましくは10〜30重量%の範囲である。少なすぎると架橋が充分でなく、金属イオンあるいは金属化合物あるいは金属コロイド吸着させたり導電物質を充填する際に使用するアルカリまたは酸性の液などへ溶解や膨潤しやすくなる。一方、多すぎる場合には、硬化収縮を起こして基材が変形するおそれがある。
導電物質を充填するためのイオン交換基を生成または消失する基および架橋基および増感基が導入されるポリマー鎖は、溶液の塗布性がよく、酸やアルカリに対する耐性および濡れ性に優れ、基材に対する接着性が高くて、耐熱性に優れるものであることが好ましい。好ましいポリマー鎖としては、以下のものが挙げられる。
ノボラック樹脂およびその誘導体、ポリアクリル酸エステルおよびその誘導体、ポリスチレン誘導体、スチレン誘導体とマレイミド誘導体とのコポリマー、ポリノルボルネンおよびその誘導体、ポリシクロヘキセンおよびその誘導体、ポリシクロヘキサンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、シリコーン樹脂、ポリアミド類、ポリイミド類、およびポリアリレート類などである。
なかでもフェノールノボラックやクレゾールノボラックなどのノボラック樹脂や、シリコーン樹脂、次のような第1および第2のモノマーを原料とするコポリマーが好ましい。第1のモノマーは、導電物質を充填するためのイオン交換基を生成または消失する基や架橋基を導入することが容易なモノマーであり、第2のモノマーは、ポリマー鎖の溶解性、耐熱性などの特性を向上させるためのモノマーである。第1のモノマーは、導電物質を充填するためのイオン交換基を生成または消失する基や架橋基や増感基を導入する前の原料である。導電物質を充填するためのイオン交換基を生成または消失する基や架橋基や増感基は、広く公知の技術によって第1のモノマーに導入することが可能である。コポリマーは、第1のモノマーから選択したモノマーに導電物質を充填するためのイオン交換基を生成する基や架橋基や増感基を導入したもののみから構成してもよいが、第2のモノマーを適宜添加することによってコポリマーの特性を改善することができる。
具体的には、第1のモノマーとしては、4−ヒドロキシスチレンおよびマレイン酸無水物が挙げられる。第2のモノマーとしては、p−ペンタメチルジシリルスチレンなどシリル化スチレン誘導体、フェニルマレイミドなどマレイミド誘導体、およびノルボルネンなどが挙げられる。
イオン交換基を生成または消失する基のポリマー中における導入量は、好ましくは5%〜300%であり、より好ましくは30%〜70%の範囲内である。また、架橋基の導入量は、好ましくは1%〜300%であり、より好ましくは20%〜200%の範囲内である。ここでの導入率は、以下の式で表される。
導入率(%)=
(イオン交換基を生成または消失する基あるいは架橋基の数)÷(ポリマーのモノマー単位の数)×100
増感基の導入量は、好ましくは0.001%〜10%であり、より好ましくは0.01%〜5%の範囲である。ここでの導入率は、以下の式で表される。
導入率(%)=
(増感効果を示す分子団の重量)÷(増感効果を示す分子団およびイオン交換基を生成または消失する基や架橋基などを有する化合物の分子量)×100
イオン交換基を生成または消失する基と架橋基および増感基を導入したポリマーの重量平均分子量は、好ましくは500〜500万であり、より好ましくは1500〜5万である。分子量が小さすぎる場合には成膜性が悪く、金属イオンあるいは金属化合物あるいは金属コロイド吸着させたり導電物質を充填する際に使用する溶液などに対する耐性も低くなってしまう。一方、分子量が大きすぎる場合には、塗布用の溶媒への溶解性が低下し、塗布性も悪くなってしまう。
感光性層を形成するための材料としては、露光により生成または消失する陽イオン交換基あるいは陰イオン交換基を少なくとも含有するポリマーであって、これらのイオン交換基のうち、導電物質を充填するためのイオン交換基は露光により生成または消失するイオン交換基であり、さらに架橋反応により導電物質を充填するためのイオン交換基と逆性のイオン交換基の生成を伴なう架橋基が含まれるものが最も好ましい。
感光性層は、多孔質基材空孔内表面に形成された感光性層が露光により多孔質基材を構成する絶縁性物質と化学反応を起こし、多孔基材を構成する絶縁性物質が変化して露光部に選択的にイオン交換基を形成するような方法で作用する感光性材料も含む。例えば、特開平7−207450に記載されているような疎水性のフッ素樹脂製多孔質基材をフッ素原子と容易に結合する性質を有し、露光によって樹脂から遊離したフッ素原子をトラップする作用を有するような水酸基、カルボキシル基、アミノ基等のイオン交換基を有する化合物を感光性層として用いてもよい。この場合、イオン交換基がフッ素樹脂に導入され、この部分にめっき等によって導電物質を選択的に充填することが可能になる。
こうした感光性層が形成された多孔質基材の所定の領域には、充填材を充填しておく。充填材は、水溶性ポリマーを含み、下記数式で表わされる条件を満たすことが必要である。
Figure 2005191382
(上記数式(1)中、εAは、多孔質基材を構成する絶縁性物質の屈折率であり、εBは、前記充填材の屈折率である。また、空気の屈折率は1とした。)
上記数式で表わされる関係は、空気と多孔質基材を構成する絶縁性物質との屈折率差の絶対値に比べて、多孔質基材を構成する絶縁性物質との屈折率差の絶対値が小さいと言い換えることができる。
水溶性ポリマーとは、多孔質基材の空孔内に含浸、充填しうる材料である。多孔質基材に形成される感光性層の露光によって生じる反応を阻害せず、露光後導電物質を充填する前までに導電物質の充填性を悪化させないように除去することができるものであれば、任意の材料を用いることができる。こうした水溶性ポリマーとしては、例えば、特開2002−327397に記載されているようなポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物とポリイソシアネート化合物との反応物含有化合物、ポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸−2−ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル酸−ポリエチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸−ポリエチレングリコール)、およびアルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。こうした水溶性ポリマーの1重量%水溶液が透明になるものを水溶性と定義し、分散、懸濁または乳化状の物は除かれる。
水溶性ポリマーは、それ自体を充填材とし加熱溶融させて多孔質基材に直接塗布することができ、水溶液を充填材として用いてもよい。水溶液として用いる場合には、乾燥性、作業性および透明性を考慮して、水溶性ポリマーの濃度を5重量%以上として、水やアルコールなど水溶性の有機溶剤等に溶解するのが好ましい。
また充填材には、吸湿材、防腐材、防カビ材などの添加剤が添加されていてもよい。ただし、添加量が多すぎる場合には、光散乱が生じたり、露光波長が吸収されるなど露光時の透明性を著しく低下させるおそれがある。また、充填材を除去する工程で除去しきれずに残存して、導電物質の充填性を悪化させるおそれがあるため、添加剤の添加量は、水溶性ポリマーに対して50重量%以下とすることが望まれる。
また充填材には、粘度を下げたり多孔質基材への浸透性を向上させる目的で、アルコール系溶剤や界面活性剤を少量添加してもよい。アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられ、界面活性剤としては、浸透性の良好なラウリルアルコールのエチレンオキサイド9モル付加物のような非イオン活性剤などが挙げられる。
水溶性ポリマーを含む充填材が、空気と多孔質基材を構成する絶縁性物質との屈折率差の絶対値に比べて、多孔質基材を構成する絶縁性物質との屈折率差の絶対値が小さいとは、以下に説明するようなことを表わしている。多孔質基材を構成する絶縁性物質によって屈折率がそれぞれ異なるため、充填材の屈折率は一概には規定できない。ただし、充填材は多孔質基材の空孔内に含浸、充填しうる材料であり、多孔質基材に形成される感光性層の露光によって生じる反応を阻害せず、露光後導電物質を充填する前までに導電物質の充填性を悪化させないように除去することができるなどの制約上、使用できるものが限られている。
ほとんどの場合、その屈折率は1.4〜1.6の範囲のなかに含まれる。例えば、1.6を越える屈折率を有する絶縁性物質から構成される多孔質基材に充填材を充填する場合には、必然的に上述の条件を満たすが、屈折率差が0.3以上となる場合には、透明性が充分でない。また、屈折率が1.4に近く、充填材より屈折率の小さい絶縁性物質から構成される多孔質基材を使用する場合には、空気と多孔質基材を構成する絶縁性物質との屈折率差の絶対値に比べて小さいという屈折率差に関する条件が満たされ、屈折率差が0.3未満となって透明性の良好な複合部材形成用基材が得られる。
したがって、多孔質基材を構成する絶縁性物質の屈折率に応じて、適当な充填材を選択することが望まれる。例えば、屈折率が1.7のセラミックスで構成される多孔質基材はその空孔に、通常では屈折率が約1.0の空気を含んでいる。この空孔に屈折率が1.5のポリエチレングリコールを充填する。その結果、空気とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との屈折率差0.7に比べて、セラミックスとの屈折率差が0.2と小さいポリエチレングリコール(PEG)を充填材として充填されてなる複合部材形成用基材が形成される。また、屈折率が1.36のPTFEで構成される多孔質基材はその空孔に、通常では屈折率が約1.0の空気を含んでいる。この空孔に屈折率が1.5のポリエチレングリコールを充填する。この場合には、空気とPTFEとの屈折率差0.36に比べて、PTFEとの屈折率差が0.14と小さいPEGを充填材として充填されてなる複合部材形成用基材を形成することができる。
いずれの場合も、得られる複合部材形成用基材の透明性は良好である。透明性が良好であるとは、裏面への光の透過率が少なくとも5%以上、好ましくは10〜30%程度向上することをさす。
充填材は、常法により多孔質基材に充填することができる。例えば、バーコーターなどの機器を用いる方法、あるいはローラー、刷毛などを用いる方法、スプレーによる塗布、ディップ法、真空含浸法、印刷法などが挙げられるが、方法は特に限定されない。
こうして充填材を多孔質基材に充填することにより、透明性に優れるとともに表面のべたつきもなく、露光後に充填材を除去することが可能な複合部材形成用基材を得ることが可能となった。
複合部材形成用基材は、必ずしも空孔の全てが充填材によって充填されている必要はない。充填材は、露光光の散乱を防いだり、多孔質基材の空孔内への処理水溶液の浸透性を向上させたりする必要のある領域に充填されていればよい。また、充填材が充填される領域においても、空孔内が体積分率で100%完全に充填材によって充填されていることは、必ずしも必要とされない。その領域の空孔は、少なくとも体積分率で50%以上、好ましくは体積分率で80%以上が充填材で充填されていればよい。
充填材の充填率は、以下のようにして計算する。まず以下のようにして、充填剤の密度、充填材を充填後の多孔質基材の重量(測定した値)、充填材を充填前の多孔質基材の重量(測定した値)から、多孔質基材の空孔に充填した充填材の体積を計算する。
多孔質基材の空孔に充填した充填材の体積=
(充填材を充填後の多孔質基材の全重量−充填材を充填前の多孔質基材の重量)÷充填材の密度
得られた値を、多孔質基材の全体積で除して、以下のように充填材の体積分率での充填率(%)が求められる。
充填材の充填率(%)=
{(多孔質基材の空孔に充填した充填材の体積)÷(空孔の全体積)}×100
なお、多孔質基材に充填材を充填してなる複合部材形成用基材は、保護フィルムで覆われて、あるいは挟まれていてもよい。
上述したような複合部材形成用基材の所定の領域に光を照射することによって、感光性層の露光部を選択的に活性化する。例えば、図1(a)に示すように、露光マスク5を介して、複合部材形成用基材4に紫外線6を照射する。複合部材形成用基材4において、4aは導電物質を充填しようとする領域であり、露光マスク5には、この領域4aに対応する開口部5aが形成されている。露光マスク5には、複合部材形成用基材4の絶縁領域4bに対応して、非開口部5bが形成されている。
露光を施すことにより、導電物質を充填するためのイオン交換基を生成または消失する基、架橋基や増感基、あるいは無電解めっきの反応開始点であるめっき核が形成される感光性層が活性化される。露光光源としては、露光光は、紫外線、可視光線、赤外線など特に限定されないが、低コストで所望の領域を選択的に露光するパターン露光が容易な点から、紫外線や可視光線が優れている。
パターン露光は、図示するように所定のパターンを有する露光マスクを介して、あるいはレーザー光線などのビームを走査して行なうことができる。また、レーザーダイオードアレイを用いてパターン露光してもよい。さらには、光源からの光を、マイクロミラーアレイで変調して露光することもできる。マイクロミラーアレイとは、微小な鏡であるマイクロミラーをマトリックス状に多数配列した光変調装置である。例えば、1辺が5μm〜20μm程度の正方形のマイクロミラーが数万個から数百万個、あるいはそれ以上マトリックス状に配列されている。個々のマイクロミラーは、独立して角度を変調可能であり、光源から入射した露光光の反射角度を個別に変更することができる。このため、1つのミラーが1画素となって、露光すべき配線やビアのパターンに応じて各ミラーの角度を変調して、露光パターンを形成する。多孔質基材に配線やビアのパターンをマスクレスで露光することが可能である。マイクロミラーアレイとしては、テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments, Inc., Dallas, Texas, USA)製のデジタル・マイクロミラー・デバイスが挙げられる。
マイクロミラーアレイ20を用いた露光装置の一例を、図2に示す。図示する露光装置においては、露光光源27を出射した光は、光学フィルター28およびシャッター29を通過して、マイクロミラーアレイ20に入射する。露光光は、マイクロミラーアレイ20の各マイクロミラーによって選択的に反射され、その後、投影レンズ21を通過して、電子デバイス23上に配置された多孔質基材22に入射する。下地の電子デバイスの電極パターンを読み取るために、CCDカメラやX線カメラなどのセンサー(図示せず)を設置してもよい。こうしたセンサーで電子デバイス23の電極パターンを読み取り、露光パターンと位置ずれを起こさないよう、マイクロミラーアレイ20の発生するパターンを微調整することが望まれる。
また、例えば1画素が鏡面状の電極を複数列に並べたものからなり、電極を一列おきにへこませることで回折格子として機能させ、光のオン/オフを切り替えるような光変調装置を用いてもよい。その他にも、液晶を利用した光変調装置など様々な公知の光変調装置を用いてマスクレス露光を行なうことができる。
配線やビアの2次元パターンが全て厚さ方向に多孔質基材を貫通するように、多孔質基材に露光を行なうことができる。また、多孔質基材内を三次元的に露光してもよい。
三次元的に露光する方法は特に限定されず、例えば、レーザー光線を集光した焦点を多孔質基材内で三次元的に走査することができる。あるいは、2次元パターンの露光マスクを用いて露光する場合にも、露光量の調整や露光波長の選択などによって三次元的な露光が可能である。例えば、ビアの部分は厚さ方向に貫通して露光し、配線の部分は表面付近のみ露光すれば、配線およびその配線を電子デバイスの電極と接続するビアの両方を、一枚の多孔質基材に作りこむことができる。例えば露光量を調整するには、ビアの部分と配線の部分とで透過率を調整したハーフトーンマスクなどのマスクを用いてもよく、例えば特願2001−170018号に記載されているような手法が挙げられる。
また、前述したマイクロミラーアレイのような光変調装置を用いてもよい。マイクロミラーアレイを用いて、露光中に露光パターンの形状を変化させる。例えば、感光性層が形成された多孔質基材を用いる場合などは、まず、ビア部分および配線部分の両方を含む露光パターンで露光し、途中からビア部分のみの露光パターンで露光する。これによって、ビア部の露光量を配線部よりも大きくすることができる。露光パターンは、随時切り替えてもよく、例えば、配線パターンとビアパターンとを交互に短時間ずつ照射することを繰り返す。そして、それぞれの照射時間の総計比が必要な露光量の比になるように設定する。この場合、ビアパターンの露光と配線パターンの露光とがほぼ同時に終わるため、ビアと配線との位置ずれをさらに小さくすることが可能である。
露光パターンを露光中に随時変化させることによって、ビアと配線の作り分けだけでなく、パターン形状に応じて露光量を細かく調整することができる。例えば、1枚の多孔質基材の表裏に2層の配線を作りこむ場合、表裏の配線が立体交差する部分は、余分に露光されやすい。また、近接したパターン間も同様に、過剰に露光されやすいといった露光量に対する露光パターンの近接効果がある。こうした場合、マイクロミラーアレイを用いることによって、例えば、立体交差する部分では露光量を少なめにすることが容易に制御可能である。
さらにまた、配線部とビア部とで露光波長を変更することによって、三次元的な露光を行なうこともできる。配線部を露光するための第一の露光光として、例えば190nm〜350nm程度の紫外光線を選択し、こうした波長の光に強い吸収を示す絶縁性物質から構成される多孔質基材を用いる。例えば、芳香族系のポリイミド多孔質基材が挙げられる。ビア部を露光するための第二の露光光としては、この多孔質基材を構成する絶縁性物質にあまり吸収されない波長の光を選択する。例えば、550nm〜800nm程度の可視光線である。
第一の露光光は、多孔質基材を構成する絶縁性物質に強く吸収されるため、多孔質基材の内部までは露光されず、表面付近のみが露光されて配線予定領域となる。一方、第二の露光光は、多孔質基材を裏面まで貫通して露光してビア予定領域が形成される。第一の露光光および第二の露光光は、同時にまたは順次切り替えて照射することができる。順次切り替える場合には、マイクロミラーアレイを用いることが好ましい。配線露光時とビア露光時とで、マイクロミラーアレイの露光パターンを切り替えることができる。光源は、2種の光源を用意しても、バンドパスフィルタなどの光学フィルターを用いて波長を切り替えてもよい。
パターン露光後の複合部材形成用基材は、洗浄液で洗浄して充填材を空孔内から除去し、図1(b)に示されるように空孔2内を洗浄液7で満たす。洗浄液としては、水または水を含む溶液が用いられ、水を含む溶液は、酸性溶液およびアルカリ性溶液のいずれでもよい。具体的には、水を含む溶液としては、pH9〜13となるように調整した水酸化ナトリウム水溶液や炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。
洗浄は、10秒から5時間、露光後の複合部材形成用基材を所定の洗浄液に浸漬することによって行なうことができる。充填材の除去率、プロセスコストの面から、洗浄時間は1分から1時間の範囲であることがより好ましい。なお充填剤の除去率は、以下の式で示される。
除去率(%)=(充填材が充填されている多孔質基材の重量−洗浄により充填材を除去した後の多孔質基材の重量)×100
所定時間の洗浄することによって、多孔質基材4の空孔内2は、洗浄前に存在していた充填材は洗浄液で置換される。通常であれば、多孔質基材の空孔は空気で満たされているため、何らかの液体で置換して処理する際に空孔内に気泡が残っていた。空孔内に気泡が残留した箇所は、後の工程で処理液と接触することができない。また、新鮮な処理液の流動も不可能となって処理液との反応が進まないため、多孔質基材内部への導電物質の充填率が低下する。
所定の空孔内に充填材が充填されているので、洗浄液での置換後には空孔2内には空気が残存せず、洗浄液で容易に置換することができる。
その後、図1(c)に示すように、多孔質基材1の洗浄液7で満たされた空孔2内表面上の光吸収部4aに生じたイオン交換基に、金属イオン、金属化合物あるいは金属コロイドなどのめっき核、好ましくは金属陽イオン、金属化合物の陽イオンあるいは正に帯電した金属コロイドなどのめっき核を吸着させ、さらに無電解めっきを施す。これにより、複合部材形成用基材4に選択的に形成された光吸収部4aは、導電物質8によって充填される。
導電物質とは、金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、クロム、コバルト、錫などの金属や銅−ニッケル、ニッケル−コバルト、錫−ニッケル等の合金あるいは特開2003−188498に記載されているような置換および非置換の導電性ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチレン、ポリピリジルビニレン、およびポリアジン等の導電性ポリマーである。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、導電性を有しないポリマーを添加することもでき、これらをモノマーやコポリマーとして用いてもよい。導電性ポリマーと、多孔質基材内表面に形成した感光性層の露光によって形成されたイオン交換基とが、陽イオンと陰イオンの関係で吸着するように選択することによって、イオン交換基に導電性ポリマーがカウンターイオンとして吸着できる。例えば、イオン交換基としてカルボン酸を、導電性ポリマーとしてチオフェンを選択すると、カウンターアニオンとしてカルボキシル基を有するポリチオフェンが形成されることになる。
金属イオンや金属コロイドをイオン交換基に吸着させるには、金属イオンの溶液や金属コロイド溶液に、イオン交換基を形成した複合部材形成用基材を接触させればよい。接触に当たっては、複合部材形成用基材を浸漬するのが最も好ましいが、溶液を基材にスプレーするなどして塗布することもできる。金属イオン溶液としては、還元などして無電解めっきの触媒となる金、銀、白金、パラジウム、銅などの有機塩あるいは無機塩の水溶液、アルコール溶液などが用いられる。金属イオンはイオン交換基に対イオンとして吸着される。吸着された金属イオンは、そのままあるいは還元して金属化することによって無電解めっきの触媒として用いる。めっきする金属よりイオン化傾向の小さな金属のイオンは、還元せずとも、めっき液中のめっき金属のイオンによって還元される。例えば、銅めっきする場合、金、白金、パラジウムなどのイオンはそのまま用いることができる。銅イオンは還元して銅微粒子にしてから無電解めっきの触媒として用いる。還元剤としてはホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩等など公知の還元剤を用いることができる。
還元剤は水溶液などの溶液として、この溶液に基材を浸漬するなどして還元する。還元する前に基材を水などで洗浄して余分の金属イオンを除去しておくことが好ましい。
金属コロイド溶液としては、金、銀、白金、パラジウムなどのコロイドの水溶液、あるいはアルコールなどの有機溶媒の溶液が用いられる。金属コロイドは界面活性剤やポリマーなど保護物質によって保護された保護コロイドを用いるのが、金属コロイド溶液の貯蔵安定性の点から望ましい。金属コロイドは多くの場合、正または負に帯電しており、帯電する極性は保護物質によって変化させることができる。イオン交換基も多くの場合、液中で帯電する。金属コロイドはイオン交換基との静電引力によって吸着される。金属コロイドは還元する必要はなく、そのまま無電解めっきの触媒として用いることができる。保護コロイドの場合、酸やアルカリ溶液、酸化剤溶液などを用いたエッチングなどで保護物質を除去した方が触媒としての活性は向上する。
具体的には、金属コロイド溶液としては、パラジウムヒドロゾルが挙げられる。パラジウムヒドロゾルは例えば塩化パラジウム(II)と塩化ナトリウムの水溶液に、激しく攪拌しながら界面活性剤の水溶液を加え、続いて還元剤の水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えて調製する。界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびポリエチレングリコールモノ−p−ノニルフェニルエーテルなどが挙げられる。
金属イオン溶液あるいは金属コロイド溶液の濃度は、好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜15重量%の範囲内である。濃度が小さすぎるとイオン交換基に充分な量の金属イオンやコロイドを吸着させることが困難となって、吸着速度が遅く吸着に長時間を要する。一方、濃度が大き過ぎる場合には、目的のイオン交換基以外にも無秩序に金属イオンやコロイドが吸着してしまうおそれがあり、良好な複合部材を形成することが困難となる。金属イオン溶液あるいは金属コロイド溶液に基材を浸漬するなどして、溶液と複合部材形成用基材を接触させる時間は特に限定されないが、一般的には10秒から5時間程度の間で行なわれる。銅イオンは選択性がよく、他の金属イオンに比べてイオン交換基が存在する領域以外にも無秩序に吸着しにくいことから、特に好ましい。
金属イオン溶液あるいは金属化合物溶液あるいは金属コロイド溶液は、複合部材形成用基材内表面への濡れ性を高めるために、界面活性剤などを添加してもよい。界面活性剤としては、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールモノ−p−ノニルフェニルエーテル等を用いることができる。界面活性剤の使用により、多孔質内部まで溶液を浸透させやすくなるものの、場合によっては、この界面活性剤の働きが吸着やその他の反応を妨げることもあるので注意が必要である。また、金属イオンや金属コロイドの超臨界流体の溶液を用いることもできる。超臨界流体は、多孔質内部など細かい構造内部にも良好に浸透可能なため優れている。複合部材形成用基材の内部にまでめっきする場合には、金属イオン溶液を用いることが好ましい。
複合部材形成用基材を金属イオン溶液または金属コロイド溶液と接触させた後は、洗浄して余分な金属イオンまたは金属コロイドを除去することが望まれる。具体的には、水などの金属イオンやコロイド溶液の溶媒と同じ溶媒で洗浄することによって、導電物質を充填しようとするイオン交換基が存在する領域以外に付着した溶液を除去する。これによって、導電物質を充填しようとするイオン交換基が存在する領域以外に無秩序にめっきされることを防止することができる。
以下、具体例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
多孔質基材として、PTFE多孔質基材(平均空孔径0.1μm、膜厚50μm)を用いて、以下のような手法により複合部材を製造した。
まず、ナフトキノンジアジド含有フェノール樹脂(ナフトキノンジアジド含有率;46等量mol%)の2mmol%THF溶液にジアジドカルコンをナフトキノンジアジド含有フェノール樹脂に対して約18重量%添加して感光性組成物を調製した。この感光性組成物をディップ法により多孔質基材全表面にコーティングして、感光性層を形成した。本実施例において形成された感光性層は、陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を生成する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を生成する基とを有する材料から構成されるということができる。
室温で30分間乾燥させて、空孔内表面をナフトキノンジアジド含有フェノール樹脂およびジアジドカルコンで被覆し、感光性層が形成された多孔質基材を2枚準備した。一方の多孔質基材は、そのまま露光を行なって比較例1の多孔質基材(A1)とした。
他方の多孔質基材には、以下の充填材を充填して、本実施例の複合部材形成用基材(B1)を作製した。
充填材の調製に当たっては、まず、ポリエチレングリコール(PEG)(関東化学(株)、重量平均分子量1500)2gを加熱溶融し、その中にPEGと同温度の水2.5gを加えて混合した。この混合物を室温まで冷却し、エタノール1gを加えて均一に混合して充填材を調製した。得られた充填材をバーコーター法にて多孔質基材に充填し、ホットプレート上にて50℃、5分間乾燥させて、実施例1の複合部材形成用基材を作製した。
基材(A1)および基材(B1)について、UV−2500(PC)S分光光度計(島津製作所製)を用いてUV測定を行ない、得られたUVスペクトルを、それぞれ曲線aおよびbとして図3に示す。曲線bから分かるように、実施例の複合部材形成用基材は、比較例1の多孔質基材(曲線a)に比べて、透過率が40%向上している。
また、実施例の複合部材形成用基材をSEMにより観察したところ、基材の空孔内は充填材で充填されていることが確認された。
その後、直径100μmの円が300μmピッチで配置されたマスクを介して、CANON PLA501により光量600mJ(波長436nm)の条件で露光し、潜像を形成した。
基材(B1)は水で10分間洗浄し、複合部材形成用基材の空孔内に充填された充填材を除去した。充填材除去後の基材(B1)の一部を切り取り、乾燥させた後に前記UV測定と同様にしてUVスペクトルを測定した。その結果を曲線cとして図3に示す。充填材除去後には、充填前の透過率に戻ることが曲線cからわかる。
また、その断面をSEMにより観察したところ、充填材が充填されていた箇所は空孔となっており、複合部材形成用基材の空孔内から充填材がきれいに除去されていた。
パターン潜像を形成した基材(A1)は露光後そのまま、水で洗浄した基材(B1)は、基材が乾燥しないように空孔内が水で充填された状態で、それぞれを水素化ホウ素ナトリウム0.01M水溶液に10分浸漬して湿潤させた後、蒸留水による洗浄を3回繰り返した。さらに、0.5Mに調整した酢酸銅水溶液に10分間浸漬して銅イオンを吸着後、蒸留水による洗浄を3回繰り返した。続いて、水素化ホウ素ナトリウム0.01M水溶液に10分間浸漬後、蒸留水で洗浄した。
最後に、無電解銅めっき液PS−503に30分間浸漬して、導電部に銅めっきを施し、複合部材を形成した。得られた複合部材には、直径100μmの円が300μmピッチで並んだマスク通りの導電部が形成されていた。一連の水溶液の処理工程において、基材(B1)は基材(A1)に比べて透明であり、処理液の浸透性が向上している様子が観察された。この直径100μmの円の断面を観察したところ、基材(A)は基材の約50%の深さまで導電部が形成され、多孔質基材の空孔内に充填材を充填した複合部材形成用基材(B1)を用いたものは、露光裏面まで表面と同様100μm幅で貫通し、内部の導電部は(A1)に比べて均一に充分にめっきされていた。
(実施例2)
前述の(実施例1)と同様の手法により、多孔質基材(A1)および(B1)を準備した。
多孔質基材(A1)および(B1)について、(B1)の充填材が90%以上除去できる条件にてそれぞれ、水洗を行なった。具体的には、水洗は、水中にて10分間行なった。基材(B1)は、(A1)に比べて透明であった。2つの基材を水から引き上げた直後に、水を含んだ状態でガラスに挟んでUV測定用サンプルを準備した。UV−2500(PC)S分光光度計(島津)にてUV測定を行なった。得られたUVスペクトルを比較したところ、基材(B1)は、基材(A1)に比べて透過率が約15%向上しており、空孔が充分に水で置換されて浸透性が向上した。
(実施例3)
前述の(実施例1)と同様の手法により、多孔質基材(A1)および(B1)を準備した。また、露光マスクとしては、パターンおよびピッチの異なる4種類の露光マスクを用意した。具体的には、直径100、50、25、15μmの円が、それぞれ、300μm、150μm、75μm、45μmピッチで配置されたマスクを用意した。
これらのマスクを用いて、CANON PLA501により光量600mJ(波長436nm)の条件でそれぞれの基材に露光し、潜像を形成した。
基材(B1)は水で10分間洗浄し、複合部材形成用基材の空孔内に充填された充填材を除去した。
その後、実施例1の場合と同様の手法により、複合部材を形成した。得られた複合部材には、直径100μmの円が300μmピッチで並んだマスク通りの導電部が形成されていた。一連の水溶液の処理工程において、基材(B1)は基材(A1)に比べて透明であり、処理液の浸透性が向上している様子が観察された。
直径100μm、50μm、25μm、15μmの円の断面を観察し、導電部のアスペクト比(導電部高さ÷幅)を計算した。充填材の有無と導電部のアスペクト比との関係を、図4のグラフに示す。図示するように、充填材を充填することによりアスペクト比が増加し、特に、直径25μmおよび15μmでは、アスペクト比に対する充填材を充填したことによる光散乱抑制効果が大きいことがわかる。
(実施例4)
以下の処方により、感光性組成物を調製した。
2,6-二ナトリウムアントラキノン二スルホン酸塩 60重量%
2,7-二ナトリウムアントラキノン二スルホン酸塩 60重量%
ソルビトール 450重量%
酢酸銅 7重量%
臭化銅 1重量%
界面活性剤 4重量%
フルオロホウ酸 pH3.5〜3.8となるように調整
水 2000重量%
実施例1と同様の多孔質基材を用意し、その全面に上述の感光性組成物をディップ法によりコーティングし、80℃オーブン中で30分間乾燥して感光性層を形成した。本実施例において形成された感光性層は、感光性還元剤および金属塩を含む材料から構成されるということができる。
感光性層が形成された2枚の多孔質基材を準備し、一方の多孔質基材はそのまま露光を行なって、比較例の多孔質基材(A2)とした。他方の多孔質基材には、実施例1と同様の充填材を充填して、本実施例の複合部材形成用基材(B2)を作製した。
実施例1の場合と同様の露光マスクを用いて、CANON PLA501により光量2J(波長436nm)の条件でそれぞれの基材に露光し、潜像を形成した。
基材(A2)および(B2)を、pH10以上の水酸化ナトリウム水溶液(エチレンジアミンテトラ酢酸(40g/L)、ホルムアルデヒド(100mL/L)含む)で3分間洗浄し、(B2)は、同時に複合部材形成用基材の空孔内に充填された充填材を除去した。
次に、塩化パラジウム(0.25g/L)、硫酸(8重量%)および水(92重量%)を含有する溶液に3分間浸漬した後、蒸留水で3分間洗浄した。最後に、無電解銅めっき液PS−503に30分間浸漬して、導電部に銅めっきを施し、複合部材を作製した。得られた複合部材においては、直径100μmの円が300μmピッチで並んだマスク通りの導電部が形成されていた。一連の水溶液の処理工程において、基材(B2)は基材(A2)に比べて透明であり、処理液の浸透性が向上している様子が観察された。
直径100μmの円の断面を観察したところ、基材(A2)は基材の約30%の深さまで導電部が形成され、多孔質基材の空孔内に充填材を充填した複合部材形成用基材(B2)を用いたものは、露光裏面まで表面と同様100μm幅で貫通し、内部の導電部は(A2)に比べて均一に充分にめっきされていた。
本発明の一実施形態にかかる複合部材の製造方法を示す工程断面図。 マイクロミラーアレイを用いた露光装置の構成を示す概略図。 多孔質基材のUVスペクトル図。 光散乱抑制効果のパターンサイズ依存性を表わすグラフ図。
符号の説明
1…多孔質基材; 2…空孔; 3…充填材; 4…複合部材形成用基材
4a…導電物質充填予定領域; 4b…絶縁領域; 5…露光マスク; 5a…開口部
5b…非開口部; 6…紫外線; 7…洗浄溶液; 8…導電物質
20…マイクロミラーアレイ; 21…投影レンズ; 22…多孔質基材
23…電子デバイス; 27…露光光源; 28…光学フィルター
29…シャッター。

Claims (5)

  1. 三次元的に形成された連続空孔を有する絶縁性物質からなる多孔質基材の前記連続空孔内に感光性層を有するとともに、前記連続空孔の一部に充填材が充填された複合部材形成用基材にパターン露光する工程と、
    パターン露光後の複合部材形成用基材を水または水を含む溶液で洗浄して、前記充填材を前記複合部材形成用基材から除去する工程と、
    前記充填材を除去した前記複合部材形成用基材の露光部または未露光部に導電物質を充填する工程とを具備し、
    前記充填材は、水溶性ポリマーを含み、下記数式で表わされる条件を満たすことを特徴とする複合部材の製造方法。
    Figure 2005191382
    (上記数式(1)中、εAは、多孔質基材を構成する絶縁性物質の屈折率であり、εBは、前記充填材の屈折率である。また、空気の屈折率は1とした。)
  2. 前記感光性層は、陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を生成する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を生成する基とを有する材料;陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を生成する基とを有する材料;陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を消失する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を消失する基とを有する材料;陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を消失する基とを有する材料;露光によって陽イオン交換基あるいは陰イオン交換基のいずれか一方のイオン交換基を生成する基または消失する基を有する材料のいずれか一つの材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の複合部材の製造方法。
  3. 前記感光性層は、感光性還元剤および金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合部材の製造方法。
  4. 三次元的に形成された連続空孔を有する絶縁性物質からなる多孔質基材と、
    前記多孔質基材の前記連続空孔内表面に形成された感光性層と、
    前記連続空孔内の一部の領域に充填された水溶性ポリマーを含む充填材とを具備する複合部材形成用基材であって、
    前記感光性層は、陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を生成する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を生成する基とを有する材料;陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を生成する基とを有する材料;陰イオン交換基および露光によって陰イオン交換基を消失する基のいずれか一方の基と、露光によって陽イオン交換基を消失する基とを有する材料;陽イオン交換基と、露光によって陰イオン交換基を消失する基とを有する材料;露光によって陽イオン交換基あるいは陰イオン交換基のいずれか一方のイオン交換基を生成する基または消失する基を有する材料のいずれか一つの材料から構成されることを特徴とする複合部材形成用基材。
  5. 三次元的に形成された連続空孔を有する絶縁性物質からなる多孔質基材と、
    前記多孔質基材の前記連続空孔内表面に形成された感光性層と、
    前記連続空孔内の一部の領域に充填され、水溶性ポリマーを含む充填材とを具備し、
    前記感光性層は、感光性還元剤および金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする複合部材形成用基材。
JP2003432787A 2003-12-26 2003-12-26 複合部材の製造方法、および複合部材形成用基材 Pending JP2005191382A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003432787A JP2005191382A (ja) 2003-12-26 2003-12-26 複合部材の製造方法、および複合部材形成用基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003432787A JP2005191382A (ja) 2003-12-26 2003-12-26 複合部材の製造方法、および複合部材形成用基材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005191382A true JP2005191382A (ja) 2005-07-14

Family

ID=34790383

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003432787A Pending JP2005191382A (ja) 2003-12-26 2003-12-26 複合部材の製造方法、および複合部材形成用基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005191382A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007102196A (ja) * 2005-09-09 2007-04-19 Denso Corp 光学素子の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07207450A (ja) * 1994-01-13 1995-08-08 Nitto Denko Corp フッ素樹脂製部分メッキ多孔質シートの製法
JPH1125755A (ja) * 1997-03-04 1999-01-29 W L Gore & Assoc Inc 金属系相互接続性の複合材料
JP2001345537A (ja) * 2000-03-31 2001-12-14 Toshiba Corp 複合部材の製造方法、感光性組成物、複合部材製造用の絶縁体、複合部材、多層配線基板及び電子パッケージ
JP2002327397A (ja) * 2001-04-25 2002-11-15 Nicca Chemical Co Ltd 紙用透明化剤
JP2002368347A (ja) * 2001-06-05 2002-12-20 Toshiba Corp フレキシブル配線基板

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07207450A (ja) * 1994-01-13 1995-08-08 Nitto Denko Corp フッ素樹脂製部分メッキ多孔質シートの製法
JPH1125755A (ja) * 1997-03-04 1999-01-29 W L Gore & Assoc Inc 金属系相互接続性の複合材料
JP2001345537A (ja) * 2000-03-31 2001-12-14 Toshiba Corp 複合部材の製造方法、感光性組成物、複合部材製造用の絶縁体、複合部材、多層配線基板及び電子パッケージ
JP2002327397A (ja) * 2001-04-25 2002-11-15 Nicca Chemical Co Ltd 紙用透明化剤
JP2002368347A (ja) * 2001-06-05 2002-12-20 Toshiba Corp フレキシブル配線基板

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007102196A (ja) * 2005-09-09 2007-04-19 Denso Corp 光学素子の製造方法
JP4645557B2 (ja) * 2005-09-09 2011-03-09 株式会社デンソー 光学素子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6709806B2 (en) Method of forming composite member
JP3766288B2 (ja) 複合部材の製造方法及び電子パッケージ
US6835889B2 (en) Passive element component and substrate with built-in passive element
KR100806160B1 (ko) 레지스트 패턴의 형성 방법 및 반도체 장치의 제조 방법
US7370412B2 (en) Method for connecting electronic device
US6649516B2 (en) Method for manufacturing a composite member from a porous substrate by selectively infiltrating conductive material into the substrate to form via and wiring regions
JP3548130B2 (ja) 複合部材の製造方法、感光性組成物および多孔質基材
KR100933538B1 (ko) 레지스트 커버막 형성 재료, 레지스트 패턴의 형성 방법,전자 디바이스 및 그 제조 방법
JP2973626B2 (ja) レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法
JP3675768B2 (ja) 複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物
JP4314236B2 (ja) 複合部材の製造方法、感光性組成物、複合部材製造用の絶縁体、複合部材、多層配線基板及び電子パッケージ
US8697342B2 (en) Method of modifying chemically amplified resist pattern, modifier for chemically amplified resist pattern, and resist pattern structure
JP2005191382A (ja) 複合部材の製造方法、および複合部材形成用基材
JP3871649B2 (ja) 複合部材、複合部材の製造方法、および複合部材形成用材料
JP4334482B2 (ja) 複合部材の製造方法
US6906423B1 (en) Mask used for exposing a porous substrate
JP6346161B2 (ja) パターン形成方法
EP1232294B1 (de) Metallisierungsverfahren für dielektrika
JP2002290016A (ja) 複合部材の製造方法、感光性組成物、絶縁体、および複合部材
JP3813839B2 (ja) フレキシブル配線基板
JP4314235B2 (ja) 複合部材の製造方法、感光性組成物、複合部材製造用の絶縁体、複合部材、多層配線基板及び電子パッケージ
JP3629087B2 (ja) パターン形成方法
JP2004295149A (ja) ケイ素ポリマー組成物および絶縁膜の製造方法
JP2004247759A (ja) 複合部材の製造方法
JP4034725B2 (ja) 回路配線基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070327

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070731