JP2005191281A - 希土類磁石とその製造方法、並びにモータ - Google Patents

希土類磁石とその製造方法、並びにモータ Download PDF

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Abstract

【課題】 高い電気抵抗を有し、しかも磁石特性の低下が最小限に抑えられた希土類磁石およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 希土類磁石用磁粉の表面の一部、望ましくは全面を、下記一般式(I)で表される非晶質または/および結晶質の希土類酸化物で被覆し、かつ、希土類酸化物に含まれる不純物を、過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、硝酸塩、有機過酸化物、ペルオキソ過硫酸酸塩の一種または複数種よりなる過酸化物用いて酸化除去してから、圧縮成形し希土類磁石を作製する。
〔化7〕
(I)
(式中、Rはテルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb),またはルテチウム(Lu)である)。
【選択図】図1

Description

夲発明は、高い電気抵抗を有する希土類磁石とその製造方法に関する。また、希土類磁石を用いたモータに関する。
永久磁石式モータに用いられる磁石としては、従来は安価なフェライト磁石が多用されていたが、回転電気の小型化および高性能化に伴い、より高性能な希土類磁石の使用量が年々増加している。代表的な希土類磁石としてはSm−Co系磁石、Nd−Fe−B系磁石が挙げられ、さらなる高性能化、低価格化を達成するための開発が進められている。
しかしながら、希土類磁石は金属磁石であるため電気抵抗が低い。このため、モータに組み込んだ場合の渦電流損が増大し、モータ効率を低下させる問題がある。そこで、希土類磁石自体の電気抵抗を高めて、この問題を解決する技術が各種提案されている。
例えば、希土類磁石用磁粉がSiOおよび/またはAl粒子等の無機絶縁物質で結着された構造を有する希土類磁石が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−321427号公報(特許請求の範囲)
前述の従来技術である、希土類磁石用磁粉がSiOおよび/またはAl粒子で結着された構造を有する希土類磁石の場合、希土類磁石用磁粉の間にSiOおよび/またはAlが存在していると、希土類磁石の電気抵抗を高めることができる。しかしながら、SiOおよび/またはAlを希土類磁石に加えると磁石特性が大きく低下してしまう。これでは、中出力から大出力のモータには適用が難しい。
従来技術は、希土類磁石の電気抵抗を上昇させることができても、その一方で磁石特性の大幅な低下を引き起こしてしまっていた。
本発明の目的は、高い電気抵抗を有し、しかも磁石特性の低下が少ない希土類磁石とその製造方法を提供することにある。
本発明は、希土類磁石粒子と該希土類磁石粒子間に存在する希土類酸化物とからなる希土類磁石であって、過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、硝酸塩、有機過酸化物、ペルオキソ過硫酸酸塩の一種又は複数種を用いて不純物を酸化除去された、下記式(I)で表される非晶質及び/又は結晶質の前記希土類酸化物の一種又は複数種を含む化合物で希土類磁石用磁粉表面の一部又は全面が被覆され、該希土類磁石用磁粉を用いて圧縮成形することを特徴とする。
〔化4〕
(I)
(式中、Rはテルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb),またはルテチウム(Lu)である)。
また、希土類磁石用磁粉表面に下記式(I)で表される炭素成分を含有する非晶質の希土類酸化物を含む化合物で、部分的または全面を被覆され、該希土類磁石用磁粉を用いて圧縮成形して希土類磁石を製造する方法において、下記式(II)で表される希土類錯体を有機溶媒に溶解した溶液と前記希土類磁石用磁粉とを混合する工程と、前記希土類磁石用磁粉に対して脱酸素中で熱処理を施す第一熱処理工程と、前記希土類磁石用磁粉に過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、硝酸塩、有機過酸化物、ペルオキソ過硫酸酸塩の一種又は複数種を添加して前記希土類磁石用磁粉表面の不純物を除去する工程と、前記不純物を除去した希土類磁石用磁粉に対して脱酸素中で熱処理を施す第二熱処理工程とを有することを特徴とする。
〔化5〕
(I)
(式中、Rはテルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb),またはルテチウム(Lu)である)。
〔化6〕
RL (II)
(ここで、Lは有機物の配位子であり、(CO(CH)CHCO(CH))イオン、(CO(C(CH)CHCO(C(CH))イオン、(CO(C)CHCO(C(CH))イオン、(CO(CF)CHCO(CF))イオン等のβ−ジケトナトイオン等の陰イオンの有機基である)。
本発明により、高い電気抵抗を有し、しかも磁石特性の低下が抑制された希土類磁石が提供された。
希土類磁石の磁石特性の低下を抑えるには、希土類磁石粒子の体積分率を上げることが必要である。一方で、希土類磁石の電気抵抗を高める必要がある。これらの両方を満足させるために、希土類磁石粒子の一粒一粒を、磁石特性の低下を抑えることが可能で、かつ、電気抵抗の大きい材料で覆うことを見出し、本発明に至った。
希土類磁石粒子は、一般に、金属および有機化合物との反応、表面酸化等の化学的変化を生じ易く、これにより磁石特性が低下する。このことから、希土類磁石粒子の表面コーティング剤には、高温でも磁石特性を維持可能で、かつ電気抵抗の高いものが望まれる。本発明者らは、前記一般式(I)で表される非晶質または/結晶質の希土類酸化物が、この要求を満たすことを明らかにした。
また、前記一般式(I)で表される希土類酸化物で希土類磁石粒子をコートするに当たって、体積分率を大きくすることなく磁石特性を保持するには、前記一般式(II)で表される希土類錯体を用い、湿式処理によりコートするのが有効であることを見出した。これは湿式処理を行うことで、希土類磁石粒子表面に非晶質のRを均一かつ薄い膜で被覆することができるからである。RLを溶解する溶媒として、アルコール系の低沸点溶媒を用いることで、希土類磁石粒子表面を変質させることなく、希土類磁石粒子表面に非晶質または/結晶質のRを生成させることが可能になる。また、配位子であるLに500℃以下の低温かつ無酸素の状態で分解除去が可能なβ−ジケトナトイオンの有機基を用いることで、希土類磁石粒子表面に炭素化合物が生成するのを抑えることが可能になる。この要件を満たすβ−ジケトナトイオンには、(CO(CH)CHCO(CH))イオン、(CO(C(CH)CHCO(C(CH))イオン、(CO(C)CHCO(C(CH))イオン、(CO(CF)CHCO(CF))イオン等がある。
しかしながら、R膜が絶縁膜として機能する程度の膜厚になると、R中の炭素原子をR原子に対して原子数として同量程度以下に生成を抑えることは難しい。また、R中の炭素原子がR原子に対して原子数として5倍以上存在すると、Rを表面に生成させた希土類磁石用磁粉からなる磁石は600℃以上の高温において熱的に不安定となる。このため、600℃の熱処理を施した後では、室温での磁石特性は熱処理前後で変化が大きくなる。希土類磁石粒子の磁石特性を損なわないためには、前述のRL含有溶媒の塗布後に行う第一熱処理工程の熱処理温度を100℃から500℃の範囲内にとどめる必要がある。
一方、過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、硝酸塩、有機過酸化物、ペルオキソ過硫酸酸塩は室温から600℃の温度において、真空中でも炭素化合物を酸化することが可能である。そこで、これらの過酸化物を有機溶媒、または水と有機溶媒との混合液に溶解した溶液に、炭素不純物を含む一般式Rで表される非晶質または/および結晶質の希土類酸化物を表面に生成させた希土類磁石用磁粉を混合した。そして、上記酸化剤の適用後の第二熱処理工程において、100〜600℃の熱処理を真空中で実施した。その結果、不純物である炭素成分の酸化除去が可能であることが究明された。
不純物である炭素成分を酸化除去した、一般式Rで表される希土類酸化物膜を表面に生成させた希土類磁石粒子からなる磁石は熱的に安定であり、800℃で熱処理を施した後の室温での磁石特性は熱処理前後で変化が小さかった。また、非晶質または/および結晶質のRよりなる表面処理膜は、希土類磁石用磁粉を用いて圧縮成形した磁石の熱処理に対する磁気特性の安定化及び電気的高抵抗化に有効であることが分かった。
図1は、本発明による希土類磁石を示している。希土類磁石1は希土類磁石粒子2と非晶質または/および結晶質の希土類酸化物3によって構成される。希土類磁石粒子は、強磁性の主相および他成分からなる。希土類磁石がNd−Fe−B系磁石である場合には、主相はNdFe14B相である。磁石特性の向上を考慮すると、希土類磁石(希土類磁石粒子)の原料となる希土類磁石用磁粉は、HDDR法や熱間塑性加工を用いて調製された異方性希土類磁石用磁粉であることが好ましい。希土類磁石用磁粉がHDDR法や熱間塑性加工を用いて調製された異方性希土類磁石用磁粉である場合には、図2に示すような多数の結晶粒4の集合体となる。なお、図2は、図1におけるAの部分を拡大したものである。このとき、結晶粒4が単磁区粒径以下の平均粒径を有していると、保磁力を向上させる上で好適である。希土類磁石用磁粉は、Nd−Fe−B系磁石の他に、Sm−Co系磁石などが挙げられる。得られる希土類磁石の磁石特性や、製造コストなどを考慮すると、Nd−Fe−B系磁石が好ましい。ただし、Nd−Fe−B系磁石に限定されるものではない。場合によっては、希土類磁石中に2種以上の希土類磁石用磁粉が混在していてもよい。例えば、異なる組成比を有するNd−Fe−B系磁石が2種以上含まれてもよく、Nd−Fe−B系磁石とSm−Co系磁石とが混在していてもよい。
なお、本発明において「Nd−Fe−B系磁石」とは、NdやFeの一部が他の元素で置換されている形態も包含する概念である。Ndは、Dy、Tb等のような他の希土類元素の一種または二種以上で置換されていてもよい。置換は、原料合金の配合量を調整することによって行うことができる。この置換によって、Nd−Fe−B系磁石の保磁力向上が図れる。置換されるNdの量は、Ndに対して、0.01atom%以上、50atom%以下であることが好ましい。0.01atom%未満であると置換による効果が不十分となる恐れがある。50atom%を越えると、残留磁束密度を高レベルで維持できなくなる恐れがある。
一方、Feは、Co等の他の遷移金属で置換されていてもよい。この置換によって、Nd−Fe−B系磁石のキュリー温度(Tc)を上昇させ、使用温度範囲を拡大させることができる。置換されるFeの量は、Feに対して、0.01atom%以上、30atom%以下であることが好ましい。0.01atom%未満であると置換による効果が不十分となる恐れがある。30atom%を越えると、保磁力の低下が大きくなる恐れがある。
希土類磁石粒子の平均粒径は、1〜500μmが好ましい。平均粒径が1μm未満であると、磁粉の比表面積が大きく、酸化劣化による影響が大きいため、希土類磁石の磁石特性の低下が懸念される。一方、希土類磁石粒子の平均粒径が500μmより大きいと、製造時の圧力によって磁石粉が砕け、十分な電気抵抗を得ることが難しくなる。加えて、異方性希土類磁石用磁粉を原料として異方性磁石を製造する場合には、500μmを越えるサイズにわたり、希土類磁石用磁粉における主相(Nd−Fe−B系磁石においては、NdFe14B相)の配向方向を揃えることが難しい。希土類磁石粒子の粒径は、磁石の原料である希土類磁石用磁粉の粒径を調節することによって制御される。なお、希土類磁石粒子の平均粒径はSEM像から算出することができる。
本発明は、等方性磁石粉から製造される等方性磁石、異方性磁石粉をランダム配向させた等方性磁石、および異方性磁石粉を一定方向に配向させた異方性磁石のいずれにも適用可能である。高エネルギー積を有する磁石が必要であれば、異方性磁石粉を原料とし、これを磁場中配向させた異方性磁石が好適である。
希土類磁石用磁粉は、製造する希土類磁石の組成に応じて、原料を配合して製造する。主相がNdFe14B相であるNd−Fe−B系磁石を製造する場合には、Nd、Fe、およびBを所定量配合する。希土類磁石用磁粉には、公知の手法を用いて製造したものを用いてもよいし、市販品を用いても良い。好ましくは、HDDR法や熱間組成加工を利用したUPSET法を用いて製造された異方性希土類磁石用磁粉を用いる。このような異方性希土類磁石用磁粉は、多数の結晶粒の集合体となっている。異方性希土類磁石用磁粉を構成する結晶粒は、その平均粒径が単磁区臨界粒子径以下であると、保磁力を向上させる上で好適である。具体的には、結晶粒の平均粒径は、500nm以下であるとよい。なお、HDDR法とは、Nd−Fe−B系合金を水素化させることにより、主相であるNdFe14B化合物をNdH、α−Fe、およびFeBの三相に分解させ、その後、強制的な脱水素処理によって再びNdFe14Bを生成させる手法である。UPSET法とは、超急冷法により作製したNd−Fe−B系合金を、粉砕、仮成型後、熱間で塑性加工する手法である。
表面処理後の異方性希土類磁石用磁粉は成形型中に充填される。成形型の形状は特に限定されず、磁石が適用される部位に応じて決定すると良い。成形型に充填する際には、適当な圧力を加えて仮成形するとよい。仮成形の圧力は0.5〜5t/cm程度である。なお、用いる希土類磁石用磁粉が異方性磁石粉である場合には、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形することによって、異方性の希土類磁石を得ることができる。原料磁石粉の磁化容易軸を揃えた状態で成形することで、配向方向での残留磁化を大きくでき、磁石のエネルギー積を向上させることができる。なお、加える配向磁場は10〜20kOe程度である。
成形型中に充填された表面処理後の異方性希土類磁石用磁粉を成形して、バルク磁石を得る。なお、上述の仮成形によって表面処理後の異方性希土類磁石用磁粉を固める作業は、本発明における「成形」には該当しないものとする。仮成形後に行う本成形は、磁石製造に通常用いられる公知の装置を用いることができる。熱間成形によって成形することが好ましい。熱間成形法を用いて成形した場合には、原料である希土類磁石用磁粉を十分に塑性変形させ、高密度な希土類磁石を得ることができる。熱間成形方法は特に規定しない。例えばホットプレスを用いることができる。成形の圧力は1〜10t/cm程度である。また、成形温度は600〜800℃でプレス時間は5〜30分が適当である。通常の熱間成形雰囲気は10Pa以下の真空または不活性ガスフローの雰囲気である。
成形後には、加工(切断、研磨など)、表面処理(保護膜の形成、塗装など)、着磁などの処理を行う。
希土類磁石の加工には各種公知技術を適宜適用できる。即ち、研削(外面研削、内面研削、平面研削、成形研削)、切断(外周切断、内周切断)、ラッピング、面取りなどの加工を実施できる。加工用具としては、ダイヤモンド、GC砥石、外内周切断機、外内周研削機、平面研削機、NC旋盤、フライス盤、マニシングセンターなどを用いることができる。
着磁は、静磁場またはパルス磁場によって行うことができる。飽和に近い着磁状態を得るための目安は、自発保磁力の2倍以上、望ましくは4倍程度の着磁磁場強度である。
本発明による、希土類磁石粒子表面の絶縁性を向上させた希土類磁石を用いてなるモータについて説明する。参考までに図3に本発明の高抵抗希土類磁石が適用された集中巻の表面磁石型モータの1/4断面図を示す。図中の符号は、11がu相巻線、12がu相巻線、13がv相巻線、14がv相巻線、15がw相巻線、16がw相巻線、17がアルミニウムケース、18がステータ、19が磁石、20がロータ鉄、21が軸である。本発明の希土類磁石は、高い電気抵抗を有し、その上、磁石特性にも優れる。このため、本発明の希土類磁石を用いて製造されたモータは、モータの連続出力を高めることが容易に可能であり、中出力から大出力のモータとして好適といえる。また、本発明の希土類磁石を用いて製造されたモータは、磁石特性が優れるため、製品の小型軽量化が図れる。例えば、自動車用部品に適用した場合には、車体の軽量化に伴う燃費の向上が可能である。電気自動車やハイブリッド電気自動車の駆動用モータとしても有効である。これまではスペースの確保が困難であった場所にも駆動用モータを搭載することが可能となり、電気自動車やハイブリッド自動車の汎用化に大きな役割を果たすと考えられる。
以下、実施例について説明する。
[実施例1]
希土類磁石用磁粉には、公知のHDDR法を用いて調製したNd−Fe−B系異方性磁石用磁粉を用いた。具体的な手順は以下の通りである。まず、成分組成がNd12.6Fe残部Co17.46.5Ga0.3Al0.5Zr0.1よりなる鋳塊を準備した。この鋳塊を1120℃で20時間保持して均質化した。均質化した鋳塊は、水素雰囲気中で室温500℃まで昇温させて保持し、さらに、850℃まで昇温させて保持した。引き続いて、850℃の真空雰囲気中に保持した後、冷却して、微細な強磁性相の再結晶集合組織(結晶粒)を有する合金を得た。この合金をジョークラッシャーおよびブラウンミルを用いてアルゴンガス中で粉体化し、平均粒径300μm以下の希土類磁石用磁粉とした。
希土類磁石用磁粉のR表面処理は、希土類錯体であるジスプロシウム2,4−ペンタンジオネイト1gをイソプロピルアルコール100mlに溶解した溶液を用いて行った。R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸テトラエチルアンモニウム1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、7500mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で150℃、1時間と350℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し、2000mlの過塩素酸テトラエチルアンモニウム溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積および電気抵抗率を測定した。磁石密度は希土類磁石の寸法および質量から求めた。磁石特性は試験片を40kOeで着磁後、振動試料型磁力計(理研電子社製BHV−525)を用いて測定した。また、電気抵抗率は、KYOWARIKEN社製K705RMを用い4探針法により測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
一方、本発明のR表面処理と不純物除去用の過酸化物を用いた処理の組み合せは、保磁力が19.4kOeを有するNd12.4Fe残部Dy0.6Co206.2Ga0.4Al1.5Zr0.1の成分組成を有する異方性HDDR磁粉にも有効であることが分かった。即ち、該磁石用磁粉に対して本実施例1と同様にして作製した磁石は磁石密度7.5g/cm、保磁力19.0kOe、最大エネルギー積22MGOe、電気抵抗率4500μΩcmの特性値を有した。このことから、Nd−Fe−B系異方性磁石用磁粉に対して、本発明を用いることにより磁粉の特性を損なうことなく、高電気抵抗を有する磁石の作製を可能にした。
[実施例2]
希土類磁石用磁粉のR表面処理において、希土類錯体であるホルミウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネイト1.6gをイソプロピルアルコール300mlに溶解した溶液を用いた。また、R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸アンモニウム1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、21000mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で190℃、1時間と、500℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し2000mlの過塩素酸アンモニウム溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
[実施例3]
希土類磁石用磁粉のR表面処理において、希土類錯体であるツリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネイト1.6gをメチルアルコール300mlに溶解した溶液を用いた。また、R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸テトラメチルアンモニウム1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
希土類磁石用磁粉1kgに対し、21000mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で180℃、1時間と、450℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し2000mlの過塩素酸テトラメチルアンモニウム溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は750℃、保持時間は20分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
[実施例4]
希土類磁石用磁粉のR表面処理において、希土類錯体であるイッテルビウム6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネイト2.30gをエチルアルコール200mlに溶解した溶液を用いた。また、R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸テトラエチルアンモニウム1gと次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素6%)0.1mLをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、13500mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で170℃、1時間と、400℃、1時間の熱処理を行った。
前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し、2000mlの過塩素酸テトラエチルアンモニウムに次亜塩素酸ナトリウムを添加した処理液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
[実施例5]
希土類磁石用磁粉のR表面処理において、希土類錯体であるエルビウム(111)2,4−ペンタンジオネイト1gをイソプロピルアルコール100mlに溶解した溶液を用いた。また、R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸アンモニウム1gとペルオキソニ硫酸アンモニウム0.1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、7200mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で150℃、1時間と、350℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し、2000mlの過塩素酸アンモニウムにペルオキソニ硫酸アンモニウムを添加した処理液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
[実施例6]
希土類磁石用磁粉のR表面処理において、希土類錯体であるジスプロシウム2,4−ペンタンジオネイト1gをイソプロピルアルコール100mlに溶解した溶液を用いた。また、R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸テトラメチルアンモニウム1gと塩素酸ナトリウム0.1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、2500mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で150℃、1時間と、350℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し、1000mlの過塩素酸テトラメチルアンモニウムに塩素酸ナトリウムを添加した処理液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
[実施例7]
希土類磁石用磁粉のR表面処理において、希土類錯体であるジスプロシウム2,4−ペンタンジオネイト1gをイソプロピルアルコール100mlに溶解した溶液を用いた。R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸テトラエチルアンモニウム1gと硝酸ナトリウム0.1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、25000mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で150℃、1時間と350℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し、5000mlの過塩素酸テトラエチルアンモニウム溶液に硝酸ナトリウムを添加した処理液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、および電気抵抗率を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
[実施例8]
希土類磁石用磁粉には、公知のUPSET法を用いて調製したNd−Fe−B系異方性磁石粉末を用いた。具体的な手順は以下の通りである。まず、成分組成がNd13.7Fe残部Co6.75.5Ga0.6よりなる鋳塊を準備した。この鋳塊を高周波溶解し、溶湯を周速度30m/sで回転する片ロールに噴射することにより、Nd−Fe−B系超急冷薄帯を得た。これを乳鉢により粉砕し、平均粒径350μm以下に調製した。次に、粉砕された超急冷薄帯を軟鋼製の円筒状容器に充填し、容器内を真空引きした後、円筒状容器を密閉した。この容器を800℃に高周波加熱した後、プレス機を用いて一軸に圧縮した。続いて、容器からNd−Fe−B系磁石材料を取り出し、コーヒーミルを用いて平均粒径300μm以下の希土類粉末とした。
希土類磁石用磁粉のR表面処理には、希土類錯体であるジスプロシウム2,4−ペンタンジオネイト1gをイソプロピルアルコール100mlに溶解した溶液を用いた。また、R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸テトラエチルアンモニウム1gと亜塩素酸ナトリウム0.1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、7500mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で150℃、1時間と、350℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し、2000mlの過塩素酸テトラエチルアンモニウム溶液に亜塩素酸ナトリウムを添加した処理液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は15分、成形圧力は3t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積、電気抵抗率ともに優れた特性を有していることが分かった。
(比較例1)
表面処理を施していない希土類磁石用磁粉を用いて、実施例1と同様の方法で希土類磁石を作製した。
(1)表面処理を施していない希土類磁石用磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(2)前記(1)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、および電気抵抗率を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積に関して優れた特性を有していた。しかしながら、希土類磁石用磁粉に対してR表面処理とR中の不純物除去用の過酸化物を用いた処理を施していないため、電気抵抗率に関しては低い値の磁石となった。
(比較例2)
希土類錯体であるジスプロシウム2,4−ペンタンジオネイト1gをイソプロピルアルコール100mlに溶解した溶液を用いて、希土類磁石用磁粉のR表面処理を行った。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、7500mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で150℃、1時間と、350℃、1時間および600℃、30分の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(3)前記(2)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は800℃、保持時間は10分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、電気抵抗率に関して優れた特性を有していた。しかしながら、最大エネルギー積に関しては悪い値となった。これは、希土類磁石用磁粉表面に生成させたR膜中に不純物として炭素原子がR原子に対して原子数として約10倍存在していたことが原因と考えられる。R膜中に不純物として炭素原子が多量に含まれていたため、800℃の高温で成形した磁石は熱的に不安定となり、磁石特性が大きく低下したと考えられる。
[実施例9]
希土類錯体であるジスプロシウム2,4−ペンタンジオネイト1gをイソプロピルアルコール100mlに溶解した溶液を用いて、希土類磁石用磁粉のR表面処理を行った。また、R中の不純物除去用の過酸化物として、過塩素酸テトラエチルアンモニウム1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(1)希土類磁石用磁粉1kgに対し、1250mlのR表面処理溶液を添加し、攪拌した。その処理磁粉に対し、真空中で150℃、1時間と、350℃、1時間の熱処理を行った。
(2)前記(1)で作製した処理磁粉1kgに対し、500mlの過塩素酸テトラエチルアンモニウム溶液を添加し、攪拌し、溶媒を除去した。その処理磁粉に対し、真空中で350℃、1時間と600℃、30分の熱処理を行った。
(3)前記(2)で作製した処理磁粉を成形型に充填した。続いて、成形型中の混合体に磁場をかけることによって、希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形した。配向磁場は10kOe、仮成形圧力は0.5t/cmとした。
(4)前記(3)で作製した仮成形体をAr中での熱間成形によって成形し、バルクの希土類磁石を得た。成形には熱源を有する成形装置を用いた。成形温度は750℃、保持時間は20分、成形圧力は5t/cmとした。
得られた希土類磁石の密度、保磁力、最大エネルギー積、電気抵抗率及び元素分析を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた希土類磁石は、最大エネルギー積に関しては優れた特性を有していた。しかしながら電気低効率に関してはそれほど良好な値が得られなかった。これはR表面処理溶液の添加量が少なく、Rで表される希土類酸化物の磁石に占める量が1wt%よりも少ないために、希土類磁石用磁粉に対するR表面処理膜の厚さが薄かったからと考えられる。
Figure 2005191281
[実施例10]
実施例1で得た希土類磁石を表面磁石型モータ(ステータ12極、ロータ8極)に適用した。図3は作製した集中巻の表面磁石モータの1/4断面図である。ステータ18は電磁鋼板の積層体とした。ロータ鉄20の上に図示するような形状の磁石19を配置した。実施例1の希土類磁石を用いて製造されたモータは、連続出力が1.8kWであった。本発明の希土類磁石は、電気抵抗が高く渦電流損失が低いため、磁石発熱が少なく、熱設計において有利である。しかも、優れた磁石特性を有する。このため、モータの連続出力を容易に高め得ることが示された。
なお、本発明の磁石は、希土類磁石用磁粉の表面に形成される希土類酸化物の不純物が少ないので、希土類元素との反応性に乏しい。このため加圧焼結などの厳しい製造条件を用いた場合であっても、得られる希土類磁石は、非常に優れた磁石特性を有する。
(比較例3)
比較例1で得た希土類磁石を用いた以外は実施例9と同様にしてモータを製造した。製造されたモータは、連続出力が1.2kWであった。
本発明により、磁石特性が優れ、しかも電気抵抗の高い希土類磁石が実現した。これにより、希土類磁石を用いたモータのモータ効率を高めることが可能になった。
本発明の一実施例による希土類磁石の断面模式図。 図1におけるAの部分の拡大図。 本発明の一実施例による表面磁石型モータの1/4断面図。
符号の説明
1…希土類磁石、2…希土類磁石粒子、3…非晶質の炭素成分含有希土類酸化物、4…結晶粒、19…磁石。

Claims (11)

  1. 希土類磁石粒子と該希土類磁石粒子間に存在する希土類酸化物とからなる希土類磁石であって、
    過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、硝酸塩、有機過酸化物、ペルオキソ過硫酸酸塩の一種又は複数種を用いて不純物を酸化除去された、下記式(I)
    〔化1〕
    (I)
    (式中、Rはテルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb),またはルテチウム(Lu)である)
    で表される非晶質及び/又は結晶質の前記希土類酸化物の一種又は複数種を含む化合物で希土類磁石用磁粉表面の一部又は全面が被覆され、該希土類磁石用磁粉を用いて圧縮成形したことを特徴とする希土類磁石。
  2. 前記希土類酸化物を含む化合物の含量は、前記希土類磁石に対して1〜10wt%であることを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石。
  3. 前記希土類磁石粒子の平均粒径が1〜500μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類磁石。
  4. 前記希土類磁石用磁粉がNd−Fe−B系磁粉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の希土類磁石。
  5. 前記希土類磁石が異方性磁石であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の希土類磁石。
  6. 希土類磁石用磁粉表面に下記式(I)
    〔化2〕
    (I)
    (式中、Rはテルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb),またはルテチウム(Lu)である)
    で表される炭素成分を含有する非晶質の希土類酸化物を含む化合物で、部分的または全面が被覆され、該希土類磁石用磁粉を用いて圧縮成形して、希土類磁石を製造する方法において、下記式(II)
    〔化3〕
    RL (II)
    (ここで、Lは有機物の配位子であり、(CO(CH)CHCO(CH))イオン、(CO(C(CH)CHCO(C(CH))イオン、(CO(C)CHCO(C(CH))イオン、(CO(CF)CHCO(CF))イオン等のβ−ジケトナトイオン等の陰イオンの有機基である)
    で表される希土類錯体を有機溶媒に溶解した溶液と前記希土類磁石用磁粉とを混合する工程と、前記希土類磁石用磁粉に対して脱酸素中で熱処理を施す第一熱処理工程と、前記希土類磁石用磁粉に過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、硝酸塩、有機過酸化物、ペルオキソ過硫酸酸塩の一種または複数種を添加する工程と、その後に前記希土類磁石用磁粉に対して脱酸素中で熱処理を施し不純物を除去する第二熱処理工程とを有することを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  7. 前記第一熱処理工程は100〜500℃の温度で行うことを特徴とする請求項6に記載の希土類磁石の製造方法。
  8. 前記第二熱処理工程は100〜600℃の温度で行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の希土類磁石の製造方法。
  9. 前記熱処理を経た前記希土類磁石用磁粉を成形金型に充填する工程と、前記希土類磁石用磁粉を磁場配向させながら仮成形する仮成形工程と、前記希土類磁石用磁粉を成形する本成形工程とを有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の希土類磁石の製造方法。
  10. 前記本成形工程は、熱間成形によって500〜800℃の成形温度で前記希土類磁石用磁粉を成形することを特徴とする請求項9に記載の希土類磁石の製造方法。
  11. 請求項1〜5に記載の希土類磁石を用いることを特徴とするモータ。
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