JP2005191214A - 微細電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機物や生体分子を使った良質な微細な電子デバイスを、安価に効率よく作製可能な製造方法を提供すること。
【解決手段】まず、カーボンナノチューブ10及び有機物又は生体分子の機能性材料12をデバイス化するために、第1ステップとしてカーボンナノチューブ10を基板18に載置する。カーボンナノチューブ10(CNT)を電極として利用するために、第2ステップとして載置されたカーボンナノチューブ10の任意の部位に集束イオンビーム20(FIB)を照射し、集束イオンビーム20を当てた部位を切断して電極対を作製する。そして、第3ステップとしてカーボンナノチューブ10の切断部位22(電極対間の間隙)に、有機物又は生体分子の機能性材料12を配置又は生成し、切断部位22を接合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンデンサ、電気抵抗、トランジスタ、論理回路に利用される微細電子デバイスの製造方法に関する。
近年、C60などの有機物やDNAなどの生体分子に電極構造を付加することにより、電子デバイスを作製できることが報告されている(例えば、特開2000−321292参照)。その特性は、Siなどの無機結晶性からなるデバイスに比べて電荷移動度が低く、実際の使用においては、電極を大きくとったり駆動電圧を大きくしたりする等の対策により検出電流を増加させる対策が必要であった。
そしてこれら条件により有機物や生体分子を含むデバイスのサイズは数μmから数十μm、大きいものでは数ミリメートルに及んでおり、その微細化は困難であると考えられていた。
しかしながら、近年のナノテクノロジーの報告にあるように1μm以下の微細領域での特性は、μm〜mmサイズの特性とは異なることも予想されており、仮に微細デバイス化した場合には、優れたデバイス動作が得られる、あるいは新規のデバイス機能が確認できる等の可能性が考えられる。
つまり、有機物や生体分子用の微細デバイス作製技術を獲得することは、将来的なデバイス開発にはとても有用である。また、その微細化が可能になれば、LSIなど高集積した演算素子との複合が可能になり、既存電子デバイス素子の多機能化にも貢献できるようになる。
一方で、微細化可能な電子デバイスとして、カーボンナノチューブを用いた電子デバイスも種々提案されており(例えば、特開2000−321292参照)、また、その加工方法も種々提案されている(例えば特開平7−172807号参照)。
特開2000−321292 特開平7−172807号
ところで、本願発明者らは、これまでに1μm以下の金属電極ギャップによりC60やDNAの微細デバイス作製を行ってみたが、それら特性に改善はみられないばかりでなく、劣化する結果も確認された。理由は、基板表面の汚れや凹凸によりC60やDNAの電子状態が摂動を受け、デバイスを微細化した場合にはその影響が強く現れたものと推測できる。
一般に市販の基板を購入して用いる場合には、パッケージ材料との接触による物質の付着、搬送中による振動による微粒子の付着や表面の損傷などにより、基板表面が汚染又は損傷されていることが考えられる。そして、基板を自作して用いる場合には、切断、研磨、洗浄などの作製プロセスにおける汚染や損傷に注意しなければならない。
この問題を解決しようとすると、非常に高額のプロセス装置やクリーンルームを用意しなければならないが、それでもなお基板表面には汚染や凹凸の残ることが実情である。特に有機物や生体分子などを取り扱う場合には、洗浄に用いる溶剤によってそれ自体が分解あるいは溶解してしまうことがあり、専用のプロセスを用意しなければならなくなる。
しかし有機物や生体分子は多種多様であり、専用プロセスを用意すること自体だけでもコスト的な負担が大きく、そのプロセスの最適化はほとんど不可能に近い。
また、有機物や生体分子を微細デバイスに用いる用途では分子の少数単位での特性を利用するため、基板や電極部の微量の汚染や微細な凹凸にも、その分子配向のゆらぎ、分子形状のゆらぎ、汚染物質との間の電荷交換が発生してしまい、結果として有機物や生体分子の電子状態が摂動されてしまう。
以上、C60などの有機物やDNAなどの生体分子の微細化した電子デバイスを作製するには、それらの電子状態に摂動を与えにくい基板や電極を用意しなければない。
そのため有機物や生体分子の電子状態が摂動されにくい電極材料やその加工方法を使う必要があり、また基板については従来の溶液などを用いるプロセスではない手法により表面洗浄・平坦化を行い、その表面が汚染される前に有機物や生体分子を基板表面上に配置してデバイス化する作製法が必要である。
従って、本発明の目的は、有機物や生体分子を使った良質な微細な電子デバイスを、安価に効率よく作製する製造方法を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の微細電子デバイスの製造方法は、
基板にカーボンナノチューブを載置するステップと、
載置された前記カーボンナノチューブの任意の部位に集束イオンビームを照射し、該集束イオンビームを当てた部位を切断するステップと、
前記カーボンナノチューブの切断部位に、有機物又は生体分子を配置又は生成し、当該切断部位を接合するステップと
を有することを特徴としている。
本発明の微細電子デバイスの製造方法においては、前記基板にカーボンナノチューブを載置するステップで、前記基板に前記カーボンナノチューブの1箇所もしくは複数箇所を電極材料によって固定することが好適である
本発明の微細電子デバイスの製造方法においては、さらに、前記カーボンナノチューブと前記電極材料との電気的な接続を改善させるステップを有することが好適である。
本発明の微細電子デバイスの製造方法においては、前記カーボンナノチューブと前記電極材料との電気的な接続を改善させるステップは、前記カーボンナノチューブと前記電極材料とに加熱処理を施すステップであることが好適である。
本発明の微細電子デバイスの製造方法においては、前記加熱処理を施すステップでは、処理温度500℃以上800℃以下で、処理時間5秒以上10分以下で加熱処理を施すことが好適である。
本発明の微細電子デバイスの製造方法においては、前記切断されたカーボンナノチューブ間に電場を印加して、前記有機物または生体分子の配向状態を制御するステップを有することが好適である。
本発明の微細電子デバイスの製造方法においては、前記カーボンナノチューブを切断するステップの後に、該切断されたカーボンナノチューブ間に電場を印加して、該切断したカーボンナノチューブ断面を正対させるステップを有することが好適である。
本発明の微細電子デバイスの製造方法においては、切断部位を接合するステップでは、前記集束イオンビームとしてGaイオンビームを照射することが好適である。
本発明の微細電子デバイスの製造方法によれば、有機物や生体分子を使った良質な微細な電子デバイスを、安価に効率よく作製可能である、といった効果を奏する。
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同様な機能を有する部材には、全図面通して同じ符号を付与して説明する。
図1に、本発明の微細電子デバイスの製造方法を示す工程図を示す。図1(b)及び図1(c)は、図1(a)で示す円で囲まれた領域の部分拡大図である。
本発明の微細電子デバイスの製造方法では、図1(a)に示すように、カーボンナノチューブ10及び有機物又は生体分子の機能性材料12をデバイス化するために、まず、第1ステップとしてカーボンナノチューブ10を基板18に載置する。同図では載置したカーボンナノチューブ10の両端を端子として利用する導電性材料14(例えば電極材料)で固定している。
次に、図1(b)に示すように、カーボンナノチューブ10(CNT)を電極として利用するために、第2ステップとして載置されたカーボンナノチューブ10の任意の部位に集束イオンビーム20(FIB)を照射し、集束イオンビーム20を当てた部位を切断して電極対を作製する。同図では、導電性材料14で固定された間の1箇所に集束イオンビーム20を照射している。なお、同図中、20aは集束イオンビーム20の照射範囲を示す。
そして、図1(c)に示すように、第3ステップとしてカーボンナノチューブ10の切断部位22(電極対間の間隙)に、有機物又は生体分子の機能性材料12を配置又は生成し、切断部位22を接合する。
本発明の微細電子デバイスにおいて、カーボンナノチューブ10は金属材料に負けないほど導電性の高い材料であり、炭素のみの素材であることから、そのカーボンナノチューブ10は、炭素を多く含む素材である有機物や生体分子に対する電極として最適であり、これを電極対とするために基板18に載置して集束イオンビーム20により切断する。詳細には後述するが、切断に集束イオンビーム20を用いることで、カーボンナノチューブ10の破壊及び特性劣化を生じさせることなく再現性良く切断できるばかりでなく、デバイス化に必要な切断部位22周辺の基板18を清浄化、平坦化させることができる。この状態で、カーボンナノチューブ10からなる電極対間(切断部位)をC60などの有機物やDNAなどの生体分子により接合すると、電子状態にあまり摂動を与えず、良好な電気的接触が実現さればかりでなく、不純物の濃度の低い、そして分子配向性あるいは結晶性の高い有機部を含む構造体や生体分子を含む構造体が得られる。このため、安価に且つ効率よく高品質な微細電子デバイスが得られる。
以下、各ステップについて説明する。なお、以下、符号は省略して説明する。
まず、第1ステップでは、基板にカーボンナノチューブを載置する。この載置方法としては、例えば、カーボンナノチューブを上方より振り落とし基板上に付着させる方法、カーボンナノチューブを有機溶媒などに分散させた溶液を基板上に塗布する方法、電場を加え静電気力によりカーボンナノチューブを基板上に補足させる方法、細かな先端のピンセットによりカーボンナノチューブ摘みあげて基板上に落下させる方法、針先端に固着したカーボンナノチューブを基板側に離脱させる方法などが挙げられる。前記電場は、一時的(パルス状)な状態でも、連続的(直流、交流)な状態でもよく、電極形状、電極配置、カーボンナノチューブの外形や特性に応じて使い分けるとよい。また、これら作業においては、電子顕微鏡など微視観察できる手段を併用し、所望のデバイス構造となるようにカーボンナノチューブ載置する位置を制御するとよい。
また、カーボンナノチューブの載置後、カーボンナノチューブを基板に固定することがよい。この固定方法には、例えば、固定用材料を予め基板に付着させておき、そこにカーボンナノチューブを載置する方法が考えられるが、カーボンナノチューブを正確に配置することは困難であることから、カーボンナノチューブを載置後に固定用材料をカーボンナノチューブ上から付着させる方法が好適である。
この固定用材料としては、導電性材料、半導体材料、絶縁材料のいずれでもよく、基板表面に付着してカーボンナノチューブを固定させる効果の高いものを選択することができる。これら材料のうち導電性材料を用いると、固定部電極としてのカーボンナノチューブから電気的接続を図るための端子として利用可能となるため好適である。これらは、例えば、カーボンナノチューブの任意の箇所に例えば蒸着させることでカーボンナノチューブを固定することができる。もし、その固定部を微細にしたい場合には、半導体プロセス用のレジストなどを用いてパターニングしておくことにより約1μmのサイズにすることができるが、より微細にしたい場合には、走査トンネル顕微鏡を用いて、その電極針先端から電極材料を基板上のカーボンナノチューブ部位に電界蒸発させることも可能であり、その場合には約100μmのサイズまで小さくすることができる。
このような、導電性材料としては、例えばLSIなどの既存の電子素子などとの組み合わせを考えた場合を考慮すると、既存の電子素子に含まれている電極材料(例えば、Ti、Au、Ag、Cu、W、Al、あるいは化合物にして安定化した材料など)であることが好ましい。しかし、導電性の樹脂材料も適用可能である。
カーボンナノチューブを基板に固定する箇所は、切断することを考慮すると、少なくとも切断部位を介して2箇所であることが好適である。また必要に応じて、カーボンナノチューブの安定性の観点から複数箇所で固定することがよい。また、カーボンナノチューブを複数箇所で切断させる場合には、それに応じて切断部位を介して複数の箇所で固定させることができる。但し、単に接続用端子として利用するために導電性材料をカーボンナノチューブに付着させる場合、固定箇所は1箇所でもの構わない。
このように、カーボンナノチューブを導電性材料(特に電極材料)で固定した場合、単にカーボンナノチューブに導電性材料が付着している場合が多いので、良好に導電性材料を接続端子として利用するために、カーボンナノチューブと導電性材料との電気的な接続を改善させる処理を施すことがよい(電気的な接続を改善させるステップ)。このような電気的接続を改善する処理としては、例えば、化学修飾、ドーピング、加熱処理、電子線照射、イオン照射、力学的な圧力などが挙げられる。特に加熱処理は、簡易に且つ効率よく良好な電気的接続を図ることが可能であるため好適である。
この加熱処理の条件としては、処理温度が500℃以上800℃以下であり、処理時間が5秒以上10分以下であることが好ましい。
また、加熱熱処理雰囲気は、アルゴンガスなどを満たした希ガス雰囲気、あるいは10-4Pa以下の真空雰囲気であればよいが、水素ガスなどを加えて還元性ある雰囲気を用いれば、カーボンナノチューブの損傷を最小限に抑えることができる。加熱処理時間に関しては、同様の目的からできるだけ短い処理時間とすることが好ましく、短時間で急速に高温状態にできる赤外線照射加熱法などを用いるとよい。
処理温度は、500℃未満である場合には、電気的な接触を改善する効果が現れないことがあり、800℃を超えた場合にはカーボンナノチューブの電気特性に変化を生じることがある。このため、カーボンナノチューブの電気特性に変化を与えずに導電性材料との電気特性を改善するには、上記範囲の処理温度で加熱処理を施すことが好適である。処理温度としてより好ましくは600以上700℃以下である。
また、加熱時間は、5秒未満であると、基板の熱容量などの影響により充分に加熱されないことがあり、その電気特性の改善効果は乏しい場合があり、10分を超えると、どのカーボンナノチューブを利用しても10分以内には接触部の電気特性の改善効果は完了し、10分以上継続しても特に効果は変わらない。このため、カーボンナノチューブの電気特性に変化を与えずに導電性材料との電気特性を改善するには、上記範囲の処理時間で加熱処理を施すことが好適である。処理時間として好ましくはより好ましくは10秒以上〜1分以下である。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブでも、二層以上の多層カーボンナノチューブでも構わない。また、単層カーボンナノチューブの変種であるカーボンナノホーン(一方の端部から他方の端部まで連続的に拡径しているホーン型のもの)、カーボンナノコイル(全体としてスパイラル状をしているコイル型のもの)、カーボンナノビーズ(中心にチューブを有し、これがアモルファスカーボン等からなる球状のビーズを貫通した形状のもの)、カップスタック型ナノチューブ、カーボンナノホーンやアモルファスカーボンで外周を覆われたカーボンナノチューブ等、厳密にチューブ形状をしていないものもカーボンナノチューブとして用いることができるが、金属的な特性を持つ物が好ましい。また、ハンドリングしやすさを考慮すれば、多層カーボンナノチューブが好ましい。
さらに、カーボンナノチューブ中に金属等が内包されている金属内包ナノチューブ、フラーレン又は金属内包フラーレンがカーボンナノチューブ中に内包されるピーポッドナノチューブ等、何らかの物質をカーボンナノチューブ中に内包したカーボンナノチューブも、カーボンナノチューブとして用いることができる。
以上のように、本発明においては、一般的なカーボンナノチューブのほか、その変種や、種々の修飾が為されたカーボンナノチューブ等、いずれの形態のカーボンナノチューブでも、使用することができる。したがって、本発明における「カーボンナノチューブ」には、これらのものが全て、その概念に含まれる。
一方、基板の材料としては特に限定されないが、集束イオンビームによって、カーボンナノチューブよりスパッタされにくいものが好ましい。具体的には、シリコンウェハ、ガリウム砒素などの無機の結晶基板が挙げられる。それら基板は、ドーピングによる導電性の制御、あるいは酸化処理による表面絶縁膜の形成など、デバイスプロセス用に対し好適に調整されたものを用いることにより、本カーボンナノチューブデバイスに必要なプロセスを軽減(短縮)させることができる。
次に、第2ステップについて説明する。
第2ステップでは、載置されたカーボンナノチューブの任意の部位に集束イオンビームを照射し、集束イオンビームを当てた部位を切断する。集束イオンビームによりカーボンナノチューブの任意の部位にスパッタリング加工を施すことで、そのビーム照射部分のナノチューブを消失させ、対向した端部をもつカーボンナノチューブ対(電極対)を作製する。
このようなカーボンナノチューブ対を個々のカーボンナノチューブを配置して作製する場合、微細領域に正確に配置することが要求され、細く長いカーボンナノチューブを1μm以下の距離に対向して配置することは困難であり、効率が良いとはいえず、集束イオンビームを用いてカーボンナノチューブを切断加工する手段は非常に最適である。
なお、これまでに同様の効果をもつ手法として、電子ビーム照射、あるいはカーボンナノチューブへの直接通電などを検討したが、集束イオンビームによる加工が最も有効である。その理由は以下の通りである。
まず、電子ビーム照射の場合には、集束イオンビームによるスパッタリングとは異なり、電子ビームにより局所的に加熱されカーボンナノチューブの炭素分子が蒸散していると推測されるが、カーボンナノチューブを破断させるために多くの電子線量(電流量)が必要であり、その量を確保するには電子線のビーム径を大きくせざるをえず、1μm以下のカーボンナノチューブの加工は困難である。
また、破断後にカーボンナノチューブが変形してしまうこともあり、電子線加熱による損傷が破断部分の周辺にまで及んでしまっていると推測できる。
さらに、電子線加熱によりカーボンナノチューブを破断した部分周辺には、付着物が確認されることが多く、カーボンナノチューブの蒸散したカスなのか、周辺部の表面付着物が加熱蒸散したカスなのかは不明であるが、電子デバイス用の電極に用いるには、あまり適していない。
一方、カーボンナノチューブへの直接通電の場合には、カーボンナノチューブ中の局所的に高い抵抗値の部分が選択的に加熱され、燃焼することにより、カーボンナノチューブを破断させることができる。しかし、破断される位置はいつも異なる結果となり、その位置をあらかじめ予測することが困難であったため、微細デバイスの作製用途には適していない。また、その破断部分が数十μm以上となることが多く、破断部分の大きさに関しても再現性の低い。
もちろん、これらカーボンナノチューブの加工は、使用するカーボンナノチューブの特性変動が強く反映されていると思われ、電子ビームや通電加熱による破断方法を完全に否定することはできない。
しかし、集束イオンビームを用いた場合には、カーボンナノチューブの種類に関係なく1μ以下のサイズを再現性よく加工する結果が得られる。そのため、多くの種類が報告されているカーボンナノチューブに共通した加工手段として、本願では集束イオンビームを用いる。
また、集束イオンビームは、カーボンナノチューブのスパッタと同時に基板表面もスパッタしており、カーボンナノチューブが切断された時点では、カーボンナノチューブの切断部及びその周辺の基板表面は、その表層部分がスパッタにより取り除かれた非常に清浄な表面となる。さらにスパッタにより微細な基板表面の凹凸は取り去られ、より平面性の高い表面となる。つまり、一般的なプロセス工程で汚染、荒らされた基板表面は、集束イオンビームにより清浄化、平坦化される。
ここで、基板の清浄化とは、基板表面の不純物を除去するという意味を含む。またここでいう不純物は、油分やナトリウムなど通常の洗浄では除去しきれないもの、表面に吸着してしまうもの、表面材料に化学的に結合してしまったものを含む。
集束イオンビームに用いたイオン種にはガリウム(Ga)イオンが代表的なものとして挙げられるが、その他スパッタリング作用をもつイオン種であれば用いることができる。ただし、微細加工の用途においては、ビーム径をより補足できるイオン種であることが好ましく、その目的からガリウム(Ga)イオンが好適である。
集束イオンビームの制御条件に関しては、加速電圧1kV以上100kV以下、イオンビーム電流は1pA以上1000pA以下であればよく、より好ましくは加速電圧10kV以上50kV以下、イオンビーム電流(プローブ電流)は3pA以上500pA以下である。
加速電圧が1kV以下の低加速電圧では、集束イオンビームによるスパッタリング効果が低くなってしまうため加工でき難くなる、あるいは加工に長時間を要してしまうことがあるため好ましくない。そして、加速電圧が100kV以上の高加速電圧では、スパッタリング効率における素材の選択性が低くなることがあり、高電圧のために集束イオンビーム自体の制御性が悪く、カーボンナノチューブの加工時にカーボンナノチューブ以外の周辺部も同様に加工されてしまうことがあるため好ましくない。
イオンビーム電流が1pA以下では、加工時間が非常に長くかかることがあるため好ましくない。1000pA以上では加工速度が速すぎて加工部分を制御でき難くなることがあり、微細加工の用途には適していない。
ここで、集束イオンビームはイオンビーム電流量を小さくすればイオンビーム径を小さくできるため、実際の微細加工においては、加工時間を犠牲にして(少し長い加工時間にして)、低いイオンビーム電流(細いビーム径)で加工すると良い。例えば、加速電圧30kV、集束イオンビーム電流3.6pA(ビーム径は約22nm)で加工した場合には、約50nmの幅でカーボンナノチューブを良好に切断することができる。
集束イオンビームをカーボンナノチューブに照射する際、基板全体あるいはナノチューブ周辺部を傾斜させておくと基板の表面状態を調整することができる。すなわち、基板のスパッタ度合いを調整することが可能である。その理由は、傾斜した基板面に対して集束イオンビームが入射した場合には、集束イオンビームは基板表面から弾性反射される確率が上がり、その基板表面は集束イオンビームによりスパッタを受けにくくなるためである。このとき、カーボンナノチューブは基板面上に配置させてあるため、基板面を傾斜させても表面から突出しているため、その加工条件に変化はなく、傾斜なしの場合と同様に集束イオンビームによる加工を行うことができる。
集束イオンビームによるカーボンナノチューブの加工範囲、即ち切断部位の間隔の調整方法としては、イオンビーム径の大小を制御する方法、あるいはイオンビームの走査範囲を指定する方法のいずれかを選択することができる。
ただし、イオンビーム径が大きくなりすぎると、イオンビーム内でのイオン濃度分布が発生し、加工ムラが発生してしまう。そのため、大きな範囲の加工には適度な大きさのイオンビーム径を選択して、そのイオンビームの走査範囲により指定することが好ましい。また、微細加工においては、イオンビーム径をできるだけ小さくするため、集束イオンビームの中心位置の変動も無視できないようになる。そのため集束イオンビームの照射時には、カーボンナノチューブを横切るように集束イオンビームを往復運動させるとよい。その場合にカーボンナノチューブの径方向の加工ムラは消失し、カーボンナノチューブを非常に微細な間隔に切断することが可能になる。
ここで、集束イオンビームによるカーボンナノチューブの切断部位の間隔としては、1nm〜10μmの範囲程度であり、好ましくは20nm〜1μmである。1nm以下の場合には、カーボンナノチューブの切断状況を確認することが非常に困難であり、加工再現性に乏しくなってしまう。また10μm以上の場合には、イオンビームでの切断に多大な時間を費やすことになり、大量にデバイスを作製する方法としては好ましくない。そのため、加工再現性および必要加工時間の観点から、より好適な条件は20nm〜1μmである。
次に、第3ステップについて説明する。
第3ステップでは、カーボンナノチューブの切断部位に、有機物又は生体分子を配置又は生成し、当該切断部位を接合させる。この際、上述のように、集束イオンビームによって切断部位周辺の基板表面は清浄化、平坦化されているため、不純物の濃度の低い、そして分子配向性あるいは結晶性の高い有機部を含む構造体や生体分子を含む構造体が得られ、極めて良質な微細電子デバイスを作製することができる。
有機物又は生体分子の配置方法又は生成方法としては、特に限定されないが、具体的には真空蒸着法、溶液キャスト法、気相育成法などが挙げられる。また本明細書において、「接合」とは物理的な接合だけではなく、電気的に接合している状態も含むものとする。
有機物又は生体分子を配置又は生成する際、カーボンナノチューブ対間に電場を印加して、カーボンナノチューブ対間に電界を付与することがことがよい。カーボンナノチューブ対間に電界を付与することで、その対向した端部間に静電間力が生じて正対し、当該端部間が引き合い位置ズレすることなく、カーボンナノチューブ対間を接合することができる。電界の強度としては、気体放電条件を避けることが必要であり、気体圧力および気体成分元素などにより条件を適宜調整するとよい。例えば、真空中であれば0.1kV/cm〜100MV/cmの条件で本効果を確認しているが、カーボンナノチューブの剛性に応じて高い電界強度となるように調整するとよい。ところで、高い電界強度では絶縁性が保てない構造や材料を含む電子デバイスと融合させる場合では、100MV/cmまでに絶縁破壊を生じてしまう可能性が考えられ、その場合には10MV/cmとすることが好ましい。
また、上記カーボンナノチューブ対間の電界は、その間に存在する有機物又は生体分子を静電気的に配向させる効果があり、電界中で有機物や生体分子を配置させることにより優れた特性の電子デバイスとなる。この場合の電界強度は、前記カーボンナノチューブの位置ずれ防止と同程度の電界でよく、大きなサイズの分子ほど高い電界強度にするなど、適度に調節して用いると良い。
有機物及び生体分子としては、目的とする微細電子デバイス種により適宜選択される。具体的には、有機物としてはC60とその誘導体、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチエニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィド、ポリフエニレンなどの共役系高分子とこれらの高分子にアクセプター分子またはドナー分子を導入した導電性高分子、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、ナフタレン誘導体、キナクリドン系顔料、ペンタセン及びその誘導体などがあげられる。また切断したカーボンナノチューブ間に、別のカーボンナノチューブを載置しても良好なデバイスが得られる。このため、本明細書における有機物には、カーボンナノチューブも含まれる。
また、生体分子としてはタンパク質、核酸、糖類、生物が産生した炭素を含む分子などが挙げられる。
以上、説明したように、良質な微細電子デバイスを安価に且つ効率よく作製することができる。
本発明の微細電子デバイスの製造方法では、細く長いカーボンナノチューブ用いれば微細領域に複数本を集合させることも可能となり、2本以上の多配線からなる微細電子デバイスにも応用できる。
また、本発明の微細電子デバイスの製造方法では、非常に有効な使い方として1本のカーボンナノチューブから複数個のデバイスを作製することもできる。一般的に複数のナノチューブを用いた場合には、それぞれの特性が微妙に変化して、それらをデバイス化した場合には、その特性のばらつきを生じてしまう可能性がある。しかし、集束イオンビームで1本のカーボンナノチューブを、複数本のカーボンナノチューブに切断加工して、それらをデバイス化すれば、デバイス特性のばらつきを最小限に抑えることができる。その簡単な例として、1本のカーボンナノチューブの2箇所を集束イオンビームで加工することにより、NOR素子を作製すると、2つのトランジスタの動作特性はほぼ等しくなり、良好なNOR応答が実現できる。
作製可能な微細電子デバイスの例としては、コンデンサ、電気抵抗、トランジスタ、論理回路(例えば、AND素子、OR素子、NOT素子、NOR素子など)などが挙げられる。
さらに、上記にはナノチューブを電極とすることの利点として、有機物や生体分子との良好な電気的な接合を述べたが、意図的あるいは偶発的にその接合部の電気特性を変化させることもでき、その場合にはナノチューブ間で有機分子や生体分子は電気的に孤立した状態となり、それらの量子状態をデバイス機能として利用することも可能である。つまり、本技術を利用して、量子デバイスを作製できる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
[第1の実施の形態]
まず、下記のようにして、集積イオンビームによりカーボンナノチューブを加工して、微細電子デバイス用のカーボンナノチューブ電極を作製した。
熱酸化膜500nmをもつ高ドープのシリコンウェハを基板とした。その表面上にはカーボンナノチューブを分散させた有機溶剤を展開して、カーボンナノチューブを配置させた。そして、さらにフォトレジストを展開し、カーボンナノチューブへの電極パターニングを行った。電極パターニングでは、高倍率CCDで観察しながら、基板表面のカーボンナノチューブの位置を確認し、そのカーボンナノチューブ両端をマスキングして露光を行った。
電極は電子ビーム加熱装置により、Ti(300nm)、Au(100nm)を連続して蒸着した。この操作により、蒸着された金属はカーボンナノチューブ両端を基板表面に固定するため、後工程においてフォトレジストを除去することが可能となる(図1(a)参照)。
カーボンナノチューブは,アーク放電法で作製されたMTR社(米国)の多層カーボンナノチューブを用いた。2次電子像での観察すると、直径100〜200nm、長さは10〜50μmであり、ともに広い分布を有している。上記で作製したデバイスは、ArとH2混合気体中で600℃、30secの条件でアニールを行い、その後の2端子抵抗値は、約5kΩであった。
集束イオンビーム装置(FIB装置)は、日本電子製の集束イオンビーム装置(JFIB−2300)を使用した。加工条件は、加速電圧30kV、イオンビーム電流3.6pAの条件に設定し、上記操作により基板上に固定したカーボンナノチューブにGaイオンを照射(約300×105cm-2-1)した。その照射部分は、あらかじめ2次電子像上でカーボンナノチューブを確認した後、Au/Ti電極間のほぼ中央の位置となるように範囲を指定しカーボンナノチューブを切断した(図1(b)参照)。このようにして、カーボンナノチューブ電極を作製した。
ここで、図2(a)にシリコン基板表面に配置したカーボンナノチューブの2次電子像を示す。同図の中央にある白色の線状のものがカーボンナノチューブ(CNT)であり、両端の白いパッド部分がAu/Tiの電極パッド(導電性材料)である。図2(b)の拡大図に示すようにカーボンナノチューブを横断するようにイオンビームの照射範囲(加工部)を指定することにより、カーボンナノチューブの一部のみを加工させる。ビーム径は計算上22nmと推測できるが、衝突時の相互作用により約50nm程度の広がりが生じているようである。図2(c)は集束イオンビームにより加工した直後の2次電子像である。
また、図3に、図2(a)と2(c)で計測したイオンビーム加工前後のカーボンナノチューブデバイスの2端子電気特性(電流−電圧特性)を示す。同図において、横軸は印加電圧、縦軸はカーボンナノチューブデバイスの2端子電流の絶対値を対数表示したものである。同図に示すように、その加工前後を比較すると、電流値の変化が4桁以上あり、カーボンナノチューブが集束イオンビームにより切断されたことがわかる。
そして、カーボンナノチューブ電極を用いて、カーボンナノチューブの切断部位にC60を蒸着し、切断部位を接合した(図1(c)参照)。この際、切断したカーボンナノチューブ断面を正対させるため、また蒸着したC60の配向状態を制御するため、カーボンナノチューブ電極間に約0.1MV/cmの電界を付与した。
このようにしてC60FETを作製した。このC60FETは、カーボンナノチューブ両端の電極パッドをSource−Drain(SD)電極、基板上の熱酸化膜をGate酸化膜、基板のシリコンウェハをGate電極としてデバイス動作させたものである。
ここで、図4に、同様に切断したカーボンナノチューブに対してC60を蒸着して作製したC60FETデバイスの2次電子像を示す。同図に示すように、カーボンナノチューブの切断部位のギャップ間隔(切断部位の間隔)は約50〜100nm程度であり、非常に再現性よく集束イオンビームにより加工できており、ギャップ間隔にC60を蒸着されている。
また、図5には作製したC60FETの電気特性(ソース・ドレイン間の電流電圧特性をプロットしたものであり、異なるゲート電圧の条件を重ねてある。)を示す。図5に示す電気特性は非常に優れたFET特性を2つ示している。
まず1つめは、SD電流の飽和特性である。FETに独特の現象であるが、100nm以下という非常に短いSD電極ギャップにも関わらず、その飽和特性が非常に明快に現れている。通常、短ギャップ効果により飽和特性が消失してしまうと考えられるが、このカーボンナノチューブによるC60FETではその短ギャップ効果がみられない。これは、デバイスを微細化してもなお良好にFET動作できることを示す結果であり、工業的に有用な発見である。未だそのメカニズムは解明できていないが、おそらくカーボンナノチューブの細さ(電極幅)が影響しているのだろうと思われる。
一方、2つめはGate電圧依存性である。一般的に、有機物では金属電極との界面にショットキー障壁が形成され、その作用により電流増幅の効果が現れだす閾値が10V以上になることが多く、悪いものでは30V以上にまで達してしまう。しかし、このカーボンナノチューブのC60FETでは、その閾値は2V以下にあり、非常に低電圧でもデバイス動作が可能である。この理由としては、カーボンナノチューブの素材が炭素であるため、同様の炭素構造体であるC60との界面は良好な電気的接合がなされ、その結果FETの電流増幅の閾値が低くなったものと考えられる。
またこのFETの動作から、C60には電荷キャリアが非常に少ない状態であることがわかる。このことは、C60に欠陥や不純物がほとんどないことを示している。このような良好なC60が作成できた理由として、カーボンナノチューブ切断時に基板も同時に集束イオンビームによって照射されるため、基板表面が、不純物が少なく平面性の高い状態になっていることが考えられる。この効果は、分子配向がデバイス特性に強く反映される有機物や生体分子に対して有効である。
なお、実施例1で作製したC60FETは、デバイス動作させると、基板がゲート電極として機能するため、当該基板とこれに載置されたSD電極としてのカーボンナノチューブとの間に電界が生じて静電間力が働く。このためカーボンナノチューブが基板側に押えつけられた状態でデバイス動作が行われる。従って、微細電子デバイスとして安定したデバイス動作が行われることとなる。これは、当該デバイスに限らず、基板とこれに載置したカーボンナノチューブとの間に電界を生じさせるデバイス動作を行うデバイスには同様のことがいえる。
[第2の実施の形態]
実施例1と同様にして作製したカーボンナノチューブ電極の切断部位に、DNA膜を溶液キャスト法により基板上に薄膜化して配置し、DNAデバイスを作製した。
ここで、図6に、集束イオンビームで切断したカーボンナノチューブの切断部位にDNA膜を配置したデバイスの2次電子像を示す。同図に示すように、DNA膜の膜厚が大きいために、その膜下に配置してあるカーボンナノチューブ部分が判別しにくくなっているが、カーボンナノチューブ10部と加工部と示す破線の交差部分にカーボンナノチューブ10の切断部位が位置している。切断したカーボンナノチューブ10のギャップ幅は実施例1と同様に100nm以下である。
また、図7には、得られたDNAデバイスの電気特性(電流−電圧特性)を示す。図7に示すように、きれいな直線状の電流−電圧特性を示し、カーボンナノチューブとDNAが電気的に良好な接合(オーミック)であることが分かる。
このDNAデバイス電気特性の結果に関して、Au/Ti電極でも同様の測定が可能ではないかと考えられたため、5μm幅のAu/Ti電極を集束イオンビームのイオンビームで切断し、その上にDNA膜を展開して電気特性の計測を試みた。電極ギャップはカーボンナノチューブと同様に50nm以下である。結果を図8に示す。図8において、横軸は印加電圧、縦軸はカーボンナノチューブ電極或いはAu/Ti電極の2端子電流の絶対値を対数表示したものである。図8に示すように、電極幅が5μmとカーボンナノチューブに比べて100倍以上あるため、検出電流が増加する結果になるはずであるが、Au/Tiの場合にDNA膜の抵抗値は1013Ω以上となり、全く電流が流れていない。この結果は、上述のC60FETと同様に、カーボンナノチューブとDNA膜の電気的な接合が良好であることを示している。
このように、実施例の結果から、集束イオンビームにより基板上でカーボンナノチューブを切断して当該切断部位に有機物や生体分子を配置或いは生成することで、分子配向や不純物の影響を受けやすい有機物や生体分子を機能部材として含む微細電子デバイスを、高品質で安価にかつ効率的に製造することができることがわかる。
特に、実施例1で作製したC60FETを例に挙げて説明すると、カーボンナノチューブを切断したsub−μmサイズのカーボンナノチューブギャップにも係わらず、明確な飽和特性のある典型的なFET特性がみられている。ギャップを短くした場合には、短いギャップによる効果である短チャンネル効果により、飽和特性が消失してしまうはずである。おそらく、本発明によって作製したC60FET中のC60薄膜は、電荷キャリアの無い状態(中性)にあり、非常に高い電気抵抗を持っていると推測できる。そのことは、上述したように、その原因である不純物や構造欠陥の極めて少ないことを意味しており、良質なC60薄膜の形成されていると判断できる。
さらに、FET特性に現れているゲート電圧閾値(C60薄膜に電荷が注入され始める閾値電圧を示す)であるが、この電圧が数Vと極めて小さい。通常、金属電極などを用いた場合には、仕事関数差によるショットキーバリアや界面準位によるエネルギー障壁によって、その閾値電圧が銃V以上になってしまうことが一般的であるが、本発明にで作製したC60FETではそのようなことは無いようである。
その理由は、電極がカーボンナノチューブでありC60と同様の炭素素材であり、仕事関数差が小さくショットキーバリアの影響が現れにくい状況にあること、及び、電極部材であるカーボンナノチューブは非常に細くC60薄膜の形成時のC60分子配向に影響を与えにくく、極めて良質なC60薄膜が形成されていると判断できる。後者は、これまで見出されていなかったカーボンナノチューブを電極に用いた場合の効果であり、電極を配置した後工程においてC60などの有機物あるいは生体分子からなる機能層を追加するデバイスに最適な方法であると言える。
本発明の微細電子デバイスの製造方法を説明するための工程図である。 実施例1で作製したカーボンナノチューブ電極を示す平面図である。 実施例1において、カーボンナノチューブ電極のGaイオンビームによる加工前後の電極間の電気特性を示す関係図である。 実施例1で作製したC60FETを示す平面図である。 実施例1で作製したC60FETの電気特性を示す関係図である。 実施例2で作製したDNAデバイスを示す平面図である。 実施例2で作製したDNAデバイスの電気特性を示す関係図である。 実施例2で作製したDNAデバイスと、Au/Ti電極間にDNAを配置したデバイスと、の電気特性を示す関係図である。
符号の説明
10 カーボンナノチューブ
12 機能性材料
14 導電性材料
18 基板
20 集束イオンビーム
22 切断部位

Claims (8)

  1. 基板にカーボンナノチューブを載置するステップと、
    載置された前記カーボンナノチューブの任意の部位に集束イオンビームを照射し、該集束イオンビームを当てた部位を切断するステップと、
    前記カーボンナノチューブの切断部位に、有機物又は生体分子を配置又は生成し、当該切断部位を接合するステップと
    を有することを特徴とする微細電子デバイスの製造方法。
  2. 前記基板にカーボンナノチューブを載置するステップで、前記基板に前記カーボンナノチューブの1箇所もしくは複数箇所を導電性材料によって固定することを特徴とする請求項1に記載の微細電子デバイスの製造方法。
  3. さらに、前記カーボンナノチューブと前記導電性材料との電気的な接続を改善させるステップを有することを特徴とする請求項2に記載の微細電子デバイスの製造方法。
  4. 前記カーボンナノチューブと前記導電性材料との電気的な接続を改善させるステップは、前記カーボンナノチューブと前記電極材料とに加熱処理を施すステップであることを特徴とする請求項3に記載の微細電子デバイスの製造方法。
  5. 前記加熱処理を施すステップでは、処理温度500℃以上800℃以下で、処理時間5秒以上10分以下で加熱処理を施すことを特徴とする請求項4に記載の微細電子デバイスの製造方法。
  6. 前記切断されたカーボンナノチューブ間に電場を印加して、前記有機物または生体分子の配向状態を制御するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の微細電子デバイスの製造方法。
  7. 前記カーボンナノチューブを切断するステップの後に、該切断されたカーボンナノチューブ間に電場を印加して、該切断したカーボンナノチューブ断面を正対させるステップを有することを特徴とする請求項1に記載の微細電子デバイスの製造方法。
  8. 前記切断部位を接合するステップでは、前記集束イオンビームとしてGaイオンビームを照射することを特徴とする請求項1に記載の微細電子デバイスの製造方法。
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