JP2005191018A - マイクロ波プラズマ発生装置 - Google Patents

マイクロ波プラズマ発生装置

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Abstract

【課題】大気圧(またはそれに近い気圧)で動作する低温のプラズマを安定して、しかも小形の装置で発生させることができるマイクロ波プラズマ発生装置を提供する。
【解決手段】本発明によるマイクロ波プラズマ発生装置は、大気圧に近いガスをマイクロ波で励起させプラズマガスを発生するマイクロ波プラズマ発生装置である。同軸形共振キャビティ102は、キャビティの長さが励振波長の1/2の整数倍であり、中心導体205,208を前記長さより短くし、前記中心導体205,208の中心にそってガス流路用の非金属パイプ103を配置し、一方端から注入されたガスが前記非金属パイプが前記中心導体で覆われていないギャップでマイクロ波により励起され他方端からプラズマ化して放出する。前記キャビティはマイクロ波供給回路で励振される。
【選択図】図2

Description

本発明は、マイクロ波励振によって大気圧のガスをプラズマガスに変換し、サーマルプラズマガスを発生するマイクロ波プラズマ発生装置に関する。
サーマルプラズマは大気圧プラズマと略同義である。1970年代に、工業的応用のための開発が盛んになった。応用分野は、工業素材の溶融、溶断加工、接合、精製、治金、スプレイなどの工業素材の加工分野、プラズマの発生する光を利用するディスプレイのための光源などの照明分野、微粒子生成、誘導プラズマをイオン化の手段とする微量試料成分の化学分析の分析分野、半導体プロセスなどの材料の表面処理の洗浄分野であり、広い分野にわたっている。
1980年代には、大気汚染の原因物質の除去に利用することで注目された。テプラ(TePLA)社のRFプラズマ源と、アリオス(ARIOS)社の大気圧プラズマ源が開発され、利用されている。前者はガスをプラズマ状態に励起する高周波が13.56MHz と比較的低いのでプラズマ変換効率が低い。また周波数の関係から装置が大形になっている。
アリオス(ARIOS)社の大気圧プラズマ源を図17を参照して説明する。この装置はこのプラズマ源に、励振周波数は2.45GHz の近くで発振するマイクロ波を用いている。プラズマガスを発生するマイクロ波プラズマ源1の内部にあるプラズマキャビティにマイクロ波を供給する手段としてマイクロ波導波管10を用いている。マイクロ波発振器7から負荷側を見たインピーダンスはプラズマが点灯する前とプラズマ点灯後では大きく変化する。プラズマ源に適切な電力を供給するために導波管10の途中にスタブチューナ11を設け、このスタブチューナ11を自動的に制御して電力を安定供給するようにしてある。導波管を用いるために、装置の大形や重量アップが避けられない。プラズマキャビティの径が15cmと比較的大きい。スタブチューナ11を自動制御するために機械的制御をするパルスモータを必要としている。
本発明の目的は、大気圧(またはそれに近い気圧)で動作する低温のプラズマを安定して、しかも小形の装置で発生させることができるマイクロ波プラズマ発生装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、同軸共振器を用いてプラズマ発生部を一層小形にすることにより、プラズマヘッドを自在に移動させることができるマイクロ波プラズマ発生装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、同軸共振器の動作を安定化する回路を用いて、取り扱いが容易なマイクロ波プラズマ発生装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載のマイクロ波プラズマ発生装置は、
大気圧に近いガスをマイクロ波で励起させプラズマガスを発生するマイクロ波プラズマ発生装置であって、
キャビティの長さが励振波長の1/2の整数倍であり、中心導体を前記長さより短くし、前記中心導体中心にそってガス流路用の非金属パイプを配置し、一方端から注入されたガスが、前記非金属パイプが前記中心導体で覆われていないギャップGで、マイクロ波により励起され他方端からプラズマ化して放出されるようにした同軸形共振キャビティと、および
前記キャビティを励振するマイクロ波供給回路とから構成されている。
本発明のマイクロ波プラズマ発生装置は、高い変換効率であり、機械的な制御の付属回路がなく、小形で高出力であり、広い分野に利用できる。
大気圧に近いガスをマイクロ波で励起させプラズマガスを発生するマイクロ波プラズマ発生装置であって、取り扱いが容易であり、安定した動作ができる。
同軸形共振キャビティは、キャビティの長さが励振波長の1/2の整数倍であるから、従来のものに比較して小形にできる。
前記同軸共振キャビティは、ガスのプラズマ化による前記キャビティからの電磁波の放射を抑制する電磁波放射防止用チョークを構成する立体回路をプラズマガス放出側に備えているから、種々の分野に利用できる。
前記同軸共振キャビティは、前記同軸共振キャビティでプラズマ化前後の動作モードの差による負荷の変動が少なくなるように立体回路パラメータを選択して構成されているから動作が安定である。
前記マイクロ波供給回路は、マイクロ波発生源と、前記供給回路と、前記同軸共振キャビティの動作状態をマイクロ波発生源に帰還する帰還回路から構成されているから、特に調整することなく自動化が容易で取り扱いが簡単である。
前記マイクロ波発生源はマグネトロンであり、サーキュレータを介して前記同軸共振キャビティに供給され、前記同軸共振キャビティの動作の変化は前記マグネトロンの励磁コイルと陽極に帰還されて動作を安定させるように構成してあるから、大きいプラズマ出力を安定して取り出すことができる。
前記マイクロ波発生源は固体発振器とすることもできるから、装置を一層小形にすることができ全体を可搬形に構成することもできる。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は本願発明のマイクロ波プラズマ発生装置の概略図である。マイクロ波プラズマ発生源101は、同軸形キャビティ102と中心のガス流路石英パイプ103を含んでいる。マイクロ波発振器(マグネトロン)107は励起用のマイクロ波を発振する。出力はサーキュレータ108、同軸コネクタ109、同軸ケーブル110、方向性結合器111、キャビティ励振用のアンテナ105を介して同軸形キャビティ102に接続される。方向性結合器111は進行波と反射波を検出して、位相器112、3db結合器113、検出器114、差動増幅器115を介してマイクロ波発振器(マグネトロン)107の陽極に帰還接続されている。キャビティ励振用アンテナ105から励起用のマイクロ波電力が供給される。内部電磁界は、内部電磁界検出用ループアンテナ106により検出され、励磁用の差動増幅器116を介してマイクロ波発振器(マグネトロン)107の励磁用コイル117に帰還接続される。
マイクロ波プラズマ発生源101の内部は同軸形キャビティ102を形成しており、同軸部の中心にガス流路を形成する薄肉の石英パイプ103が配置されている。なお同軸形キャビティ102の中心の同軸部は、一部が除去されており,その部分で、石英パイプ103が露出している。
キャリヤガスは前記石英パイプ103の上端から同軸形キャビティ102に送られる。このキャリヤガスは前記同軸形キャビティ102の中央部において同軸形キャビティ102の内部の電界により、励起されプラズマ状態になり、ガス流路石英パイプ103の下部からプラズマガス104として排出される。
マイクロ波発振器107は、前記同軸形キャビティ102を励起するマイクロ波を発生する。このマイクロ波の周波数は、工業用として認められている IMS(Industrial Medical Science) 周波数バンド内の2.450GHzである。
前記同軸形キャビティ102の中央部においてキャリヤガスがプラズマ状態に変化するときにキャビティ内部の状態が急変するので、プラズマ状態になる前の負荷と直後の負荷が大きく変化する。この変化により励起周波数が変化することは好ましくない。
この対策の第一段階として、本発明では、プラズマ化以前キャビティ内の電界分布とプラズマ化後の電界分布の変化を利用して、プラズマ化の前後においても同じ周波数の共振器として動作するように設計する。
そのような設計にしても周波数の僅かな変動を免れることができないので、第2段階として、プラズマ化の前後の前述の周波数の変化を検出して、このデータを前記マイクロ波発振器107の陽極電圧と励磁電流を制御し、発振周波数をロックする方法をとる。
次にマイクロ波プラズマ発生源101の構造についてやや詳しく説明する。図2はキャビティ構造を示す斜視図である。キャビティ102は銅製のボディで覆われている。前記キャビティ102の上部からキャリヤガスがガス流路用石英パイプ103を通してキャビティ102の中央部に導かれる。上部中心導体205の中心部を前記石英パイプ103が貫通している。
下部中心導体208の中心部もガス流路用石英パイプ103が貫通している。上部中心導体205と下部中心導体208の間は、前記ガス流路石英パイプ103のみが露出している。この露出部に電界が加わるので、ガス流路用石英パイプ103の中のキャリヤガスが励起され、プラズマ化する。
図13は、マイクロ波プラズマ発生源部のガス流路石英パイプ103内部のプラズマ状ガスを示す図、図14はマイクロ波プラズマ発生源部のガス流路石英パイプ内部の中心部から半径方向に向かう各位置の電界強度分布を示す図である。ガスがプラズマ化されると、図13に示すガス流路石英パイプ103の内部のプラズマ状ガス1302は、電気的に導体とみなすことができる。そのため、励起用のマイクロ波がプラズマ状ガス1302の内部に進入できなくなる。
この励起用のマイクロ波の電界は、図14に示す曲線1401のようにパイプの外周に存在しパイプ103の内部ではパイプ103内壁面が外部の電界とおなじ電位でのみ中心になるに従って減衰する曲線を描く。これは金属導体において、表面にのみ電荷が集中する表皮効果の現象に類似している。このようにガス流路石英パイプ103の内壁付近の電界は強いが、中心に向かうと急激に減少する。プラズマガスは、外部から見ると電気的に導体に見える。すなわち下部中心導体208ではガスがプラズマ化することにより、ガスが導体のような電気特性をもつので、この部分で丁度アンテナの効果を示し、外部にマイクロ波が放出される恐れがある。この点については後述する。
図3は、本発明による装置のプラズマ発生前におけるマイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図、図4はプラズマ発生直後におけるマイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図である。図3に、キャリヤガスがプラズマ化される直前の時点で、上部中心導体と下部中心導体の間の空間に発生される励起電界301を示す。上部の中心導体205と下部の中心導体208の間に電界が上下方向に加わる。この電界の分布はリエントランラントモード(TMモード)の振動になっている。図4はプラズマ化後の電界分布を示している。
励起電界401は、キャビティの外側の内壁から中心導体の方向に加わり、丁度同軸モード(TEMモード)の振動を示す。
図5は、ガスがプラズマ化する直前の電界の分布と電気的等価回路を対比して示してある。この電界の振動モードはリエントランラントモード(TMモード)になる。電気的等価回路はL1とC1とL2の直列回路になり、共振周波数は次式に示される。
1 =1/(2π(ROOT[C1*(L1+L2)] ))
2 =1/(2π(ROOT[C2*L3*L4/ (L3+L4)] ))
このように動作モードに伴う共振周波数の変化が起こることになるが、このような共振周波数の変化があることは、好ましいことではなく、あったとしても、その差が少ないことが望ましい。そこで本発明では、キャビティの内の構造を変えて、f1 とf2 とがほぼ等しくなるように最適化を行う。これは、前述の式において C1 (L1+L2)と2C2L3L4/ (L3+L4)を等しくするようにキャビティの形状を選定することに他ならない。このように前記同軸形キャビティ102の構造を最適に設計し、キャリヤガスがプラズマ状態になる直前の負荷と直後の負荷が大きく変化しても、マイクロ波の入力部のキャビティ励起用アンテナから見た負荷変動を少なくすることができる。これによりシステムの動作の安定化を大幅に上げることができる。
前記の第2の対策について第1図を参照して回路の動作とともに説明する。第2の対策はマイクロ波発振器(マグネトロン)107の陽極電圧と励磁磁界を制御することにより行なわれる。マイクロ波発振器(マグネトロン)107の出力はサーキュレータ108に供給される。このサーキュレータ108は、プラズマ状態の前後での負荷変動が影響し、マイクロ波発振器(マグネトロン)107の発振周波数に変化を与える現象を回避するために、すなわち負荷の反射電力を絶縁するために用いられる。さらに同軸コネクタ109を経て方向性結合器111に加わり、この方向性結合器111の出力からキャビティ励振用アンテナ105を介して、マイクロ波プラズマ発生源101のキャビティ102に供給される。
方向性結合器11のb 端子にはそれぞれ進行波と反射波が出力される。反射波は位相器112を通して3db結合器113のP2端子に加えられる。この反射波の電力は位相器112を調整することにより、共振周波数において最小値になるように設定されている。この位相器112は反射波の位相を進行波の位相に対して自由に設定できるので、共振時において反射波と進行波の位相が同相になるように設定する。
前記発振周波数に対する反射波と進行波の位相差は共振周波数において零になる。一方進行波は3db結合器113のP1端子に加わる。3db結合器113の出力端子のP3とP4は検出器114に供給され、直流電圧に変換される。それぞれの直流電圧は差動増幅器115の入力部に供給される。差動増幅器115の出力電圧は、この2つの直流電圧が等しいときに、出力零になるように調整されている。マイクロ波プラズマ発生源101のキャビティ102内の中心部のガスがプラズマ状態にならないときに、共振周波数で動作するように設定する。発振が始まり、ガスがプラズマ状態に転換したときに、キャビティ102内の電界分布が変化する。先に詳しく説明したように、キャビティの寸法設計を最適化を計ることにより、プラズマ化の前後の周波数変化を充分に少なくできる。この負荷状態が変わる場合、この周波数はキャビティ102の固有の共振周波数とは少し異なる周波数になるが、この周波数の差異をさらに少なくするために、マイクロ波発振器107に電気的にネガティブフィードバックをかける。この制御の方法について説明する。この異なる周波数でマイクロ波発振器(マグネトロン)107が電力を供給すると、キャビティ102から反射波が生じ、方向性結合器111のb 端子にはこの反射波が発生する。さらに位相器112を通過し、3db結合器113の出力端子のP2に供給される。
一方進行波は3db結合器113の出力端子のP1に供給される。その結果検出器114の出力信号は振幅の異なる電圧が生ずる。差動増幅器115の出力にはこの差電圧が発生する。この電圧がマイクロ波発振器(マグネトロン)107の陽極電圧に重畳されて印加される。陽極電圧はパルスで供給されているので、当然差動増幅器115の差電圧は、陽極のパルス電圧に同期して供給される回路(図1では記載されていない)は附加されている。すなわちキャビティ102の共振周波数に近づくように動作する。このフィードバック動作によりマイクロ波発振器(マグネトロン)107の発振周波数はキャビティ102の固有の共振周波数にフェイズロックされる。
さらにシステムの周波数の安定性を増すために、マイクロ波発振器(マグネトロン)107の励磁用コイルの電流も制御する。すなわち内部電磁界検出用ループアンテナ106から検出した誤差信号が励磁用差動増幅器116で誤差信号に相当する電流を発生させ、この電流で励磁用コイルの電流を変化させ、キャビティ102の固有の共振周波数に近づけるようにフィードバックされる。このように図1の回路では、陽極電圧と励磁電流の両者を制御し、システムの周波数の安定性を図ることができる。
前述したように、プラズマガスは、外部から見るとマイクロ波帯では電気的に導体に見える。すなわち下部中心導体208ではガスがプラズマ化することにより、ガスが導体のような電気特性をもつので、この部分で丁度アンテナの効果を示し、外部にマイクロ波が放出される恐れがある。そのために、特に下部中心導体208の内部にチョーク構造を形成する。この構造により、外部に電波が送出されるのを防いでいる。この外部放出マイクロ波(外部機器に妨害電波として働くので)を抑制するために、下部中心導体208の内部にチョーク構造を設ける。このチョークとしてλ/ 4構造の同軸チョークを入れることで、前記の漏洩するマイクロ波を大幅に下げることができる。なおチョーク302(図3,4)は前述したように、ガスがプラズマ化したのちに、外部に漏れるマイクロ波を抑制するために設けられている。図4はプラズマ化後の電界分布を示している。励起電界401は、キャビティの外側の内壁から中心導体の方向に加わり、丁度同軸モードの振動を示す。なお上部中心導体205の中心を通るガス流路石英パイプ103の直径はマイクロ波の波長に比べて十分小さく、流れるガスはプラズマ化されないガスであるので、この上部中心導体205の部分からマイクロ波が外部に放射することはない。
図7は、本発明による前記マイクロ波プラズマ発生源と異なる構造のマイクロ波プラズマ発生源を示す図である。前述したマイクロ波プラズマ発生源101とは、異なる構造のキャビティで図2に示した構成の上部導体を延長して、下部導体を省略した形態となっている。基本的な動作原理は異ならない。図2に示したものと同一の機能または形状部分には同一の符号を付してある。
キャビティは銅製ボディで覆われている。前記キャビティの上部からキャリヤガスが中心導体705を貫通して設けられているガス流入用石英パイプ103を通してキャビティの中央部に導かれている。中心導体705とキャビティの下部との間は、前記ガス流路石英パイプ103のみが露出している。この露出部に電界が加わるので、ガス流路石英パイプ103の中のキャリヤガスが励起され、プラズマ化する。
この構造のマイクロ波プラズマ発生源の電界分布は、プラズマ化前では図8に示した分布になり、またプラズマ化直後から図9に示した分布に変わる。図8はキャリヤガスがプラズマ化される直前の時点で、上部中心導体とキャビティ下部の間の空間に発生される励起電界801を示す。上部の中心導体705とキャビティ下部の間に電界が上下方向に加わる。これは電界の分布はリエントランラントモードの振動になる。図9はプラズマ化後の電界分布を示している。励起電界901は、キャビティの外側の内壁からパイプ103の方向に加わり、丁度同軸モードの振動を示す。図2に示した実施例と同様に前後で共振周波数が変わらないように回路の構造を設計することができる。
この実施形態では、キャビティ下部でガスがプラズマ化することにより、ガスが導体のような電気特性をもつので、この部分で丁度アンテナの効果を示し、外部にマイクロ波が放出する。この外部放出マイクロ波を抑制するために、チョーク707(図8,9参照)が外側導体706内に配置されている。
このチョーク707としては、λ/ 4構造の同軸チョークを入れることで、前記の漏洩するマイクロ波を大幅に下げることができる。
図7の実施例と同様に、図2に示した実施例でもキャビティ下部よりでガスがプラズマ化することにより、ガスが導体のような電気特性をもつので、この部分で丁度アンテナの効果を示し、外部にマイクロ波が放出する。そのために、図2に示すキャビティでも同様なチョーク302(図3および図4参照)を用いている。これにより、外部放出マイクロ波を抑制する。
次に、前述した図2に示した実施例に、使用状態を判断し改良を施した実施例について図10〜12を参照して、さらに説明する。この実施例も前述と同様に同軸形キャビティの長さは、マイクロ波の波長をλとすると、n (λ/2)になるよう設計する。同軸形キャビティの直径は、周波数2.450GHzとして、2cm程度になる。
特に装置が小型化や携帯性に優れるので、応用範囲が広がる大きい特徴が得られる。
小形化でき、携帯性と操作性のよいプラズマトーチのようなマイクロ波プラズマ発生装置を示す。図10は、マイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図であり、図11は、プラズマ発生直後におけるマイクロ波プラズマ発生源のプラズマ化以後の電界分布を示す図である。図12は、マイクロ波プラズマ発生源の使用状態を示す図である。
図10に示すように、前記装置は同軸形の細長い構造で、上部からパイプ103にキャリヤガス1001を流入して使用する。パイプ103は同軸形キャビティ1003の中心部の上部中心導体107、下部中心導体108を貫通している。図10に示すように流入ガスがプラズマ状態になる直前では、励起電界1004は同軸の長い方向に加わる。マイクロ波電力はカップリングループにより同軸形キャビティ1003に供給される。このときキャビティ内の電界により、ガスはプラズマ状態に励起される。
ガスがプラズマ状態になると、プラズマガスの導体化現象により、アンテナ効果で外部にマイクロ波が放射する。これを抑制するためにλ/ 4構造のチョーク1006を配置する。図11に示すように、流入ガスがプラズマ状態になる直後では、励起電界1104はキャビティの外側の内壁から同軸の中心線の方向に加わる。この電界により、ガスがプラズマ状態を持続する。ガスがプラズマ状態になると、プラズマガスの導体化現象が生じ、アンテナ効果のために外部にマイクロ波が放射する。これを抑制するためにλ/ 4構造のチョーク1006を配置する。この同軸形キャビティの下部にあるチョーク1006を覆ったケースの構造はペン先のような形状になっている。その先端からプラズマ化されたプラズマガス1007が放出され、このガスで各種の洗浄などに広く利用される。
本発明のマイクロ波プラズマ発生装置において、マイクロ波発生にマグネトロンを利用した例を示した。本発明のマイクロ波発生源として固体素子を用いることもでき、固体素子としてマイクロ波用FETを利用できる。マイクロ波用FETとして、GaAsMESFET、HEMTFETが適している。
図15は、前記固体装置を用いたマイクロ波プラズマ発生装置の使用状態を示す回路図、図16は、マイクロ波発生源として固体装置を用いたマイクロ波プラズマ発生装置の回路部分の実施例を示すブロック図である。
図15に示すように、マイクロ波電力がマイクロ波発振装置1508から同軸ケーブル1509を通してプラズマ発生装置(プラズマトーチ)1513に供給される。またプラズマ化されるべきガスは、ガスボンベ1512からガス流路用ホース1511を通して、プラズマ発生装置(プラズマトーチ)1513に供給される。
図16にマイクロ波発振装置1508の回路図を示す。キャビティ内の電磁界を検出して、その検出信号1505を誤差信号検出回路1506(図1に示す結合器などで構成する回路をさす)にて検波して、フィードバックコントロール用電圧1507に変換する。この電圧1507は固体素子を用いた VCO(Voltage Controlled Oscillator )1501に印加される。VCO 1501の出力信号はサーキュレータ1502を通り、MOSFETなどの固体アンプ1503で電力増幅されて、図15に示すプラズマ発生装置1513のキャビティに供給される。この装置は、固体素子を用いているので、先に説明したマグネトロン使用のものに比較して装置をより一層小形にすることができる。
本発明によるマイクロ波プラズマ発生装置の実施例を示す図である。 本発明によるマイクロ波プラズマ発生源の実施例を示す図である。 本発明によるプラズマ発生直前におけるマイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図である。 本発明によるプラズマ発生直後におけるマイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図である。 本発明によるプラズマ発生直前における前記マイクロ波プラズマ発生源の電気的な等価回路を示す図である。 本発明によるプラズマ発生直後における前記マイクロ波プラズマ発生源の電気的な等価回路を示す図である。 本発明による前記マイクロ波プラズマ発生源と異なる構造のマイクロ波プラズマ発生源を示す図である。 本発明による前記マイクロ波プラズマ発生源と異なる構造のプラズマ発生直前における一例のマイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図である。 本発明による前記マイクロ波プラズマ発生源と異なる構造のプラズマ発生直後における一例のマイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図である。 本発明によるプラズマ発生前における細長い小型化されたマイクロ波プラズマ発生源の励起電界の分布を示す図である。 本発明によるプラズマ発生後における細長い小型化されたマイクロ波プラズマ発生源のプラズマ化以後の電界分布を示す図である。 本発明による細長い小型化されたマイクロ波プラズマ発生源の使用状態を示す図である。 マイクロ波プラズマ発生源部のガス流路石英パイプ内部のプラズマ状ガスを示す図である。 マイクロ波プラズマ発生源部のガス流路石英パイプ内部の中心部から半径方向に向かう各位置の電界強度分布を示す図である。 前記固体装置を用いたマイクロ波プラズマ発生装置の使用状態を示す回路図である。 マイクロ波発生源として固体装置を用いたマイクロ波プラズマ発生装置の回路部分の実施例を示すブロック図である。 従来のマイクロ波プラズマ発生装置の例を示す図である。
符号の説明
1 マイクロ波プラズマ源
7 マイクロ波発振器
8 サーキュレータ
10 マイクロ波導波管
11 パルスモータ制御の3スタブチューナ
101 マイクロ波プラズマ発生源
102 同軸形キャビティ
103 ガス流路石英パイプ
104 プラズマガス
105 キャビティ励振用アンテナ
106 内部電磁界検出用ループアンテナ
107 マイクロ波発振器(マグネトロン)
108 サーキュレータ
109 同軸コネクタ
110 同軸ケーブル
111 方向性結合器
112 位相器
113 3db結合器
114 検出器
115 差動増幅器
116 励磁用差動増幅器
205 中心導体
208 中心導体
302 チョーク
401 励起電界
705 中心導体
706 外側導体
707 チョーク
1001 キャリヤガス
1002 カップリングループアンテナ
1003 同軸形キャビティ
1004 励起電界
1006 チョーク
1302 プラズマ状ガス
1501 マイクロ波固体発振器(VCO)
1502 サーキュレータ
1503 固体アンプ
1504 マイクロ波電力信号
1505 検出信号
1506 誤差信号検出回路
1507 フィードバックコントロール用電圧
1508 マイクロ波発振装置
1509 同軸ケーブル
1510 負帰還ケーブル
1511 ガス流路用ホース
1512 ガスボンベ
1513 プラズマ発生装置(プラズマトーチ)
1514 試料

Claims (1)

  1. 大気圧に近いガスをマイクロ波で励起させプラズマガスを発生するマイクロ波プラズマ発生装置であって、
    キャビティの長さが励振波長の1/2の整数倍であり、中心導体を前記長さより短くし、前記中心導体中心にそってガス流路用の非金属パイプを配置し、一方端から注入されたガスが、前記非金属パイプが前記中心導体で覆われていないギャップGで、マイクロ波により励起され他方端からプラズマ化して放出されるようにした同軸形共振キャビティと、および
    前記キャビティを励振するマイクロ波供給回路と、
    から構成したマイクロ波プラズマ発生装置。
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