JP2005190866A - 燃料電池メタルセパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 スタックの締結荷重を一定にするためのばね等を不要とする、電極への面圧を均一化できる、セル面内に生成水が溜まることを抑制できる、の何れか少なくとも1つを達成する燃料電池用メタルセパレータの提供。
【解決手段】(1)燃料電池用メタルセパレータの表面に導電性および耐食性を有するコートを形成し、該コートに0.1〜10MPaの弾性率をもたせた。(2)セパレータに塗布形成後該コートを形成したメタルセパレータを再プレスしてコートのガス拡散層に接触する面の平面度を高くした。(3)金属板18aに複数の孔18dを形成し、コートに水透過性をもたせた。
【選択図】図7

Description

本発明は燃料電池のメタルセパレータに関する。
特開平11−354142号公報は、メタルセパレータを用いた燃料電池において、メタルセパレータ表面に耐食性・導電性のコーティングを施したものを開示している。
また、セパレータとMEAを積層してスタックを構成することを開示している。
特開平11−354142号公報
しかし、従来のコーティングを施したメタルセパレータを積層した燃料電池にはつぎの問題がある。
1)コーティングが不均一な場合は、燃料電池スタックの締結荷重を一定にするため、ばね等の構造材が必要で、コスト、重量、体格アップ等の要因となっている。
2)コーティングが不均一な場合は、電極への面圧が不均一になり、電池性能の低下、耐久性の低下を引き起こす。
3)セル面内に生成水が溜まると発電有効面積が減少し、性能低下を引き起こす。
本発明の第1の目的は、スタックの締結荷重を一定にするためのばね等を不要とする燃料電池メタルセパレータを提供することにある。
本発明の第2の目的は、電極への面圧を均一化できる燃料電池メタルセパレータを提供することにある。
本発明の第3の目的は、セル面内に生成水が溜まることを抑制できる燃料電池メタルセパレータを提供することにある。
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 燃料電池用メタルセパレータの表面に導電性および耐食性を有するコートを形成し、該コートに0.1〜10MPaの弾性率をもたせ(、締結荷重を一定にするために燃料電池スタック端部に従来設けていたばねを不要とし)た燃料電池メタルセパレータ。
(2) 燃料電池用メタルセパレータの表面に導電性および耐食性を有するコートを形成し、該コートをセパレータに塗布形成後該コートを形成したメタルセパレータを再プレスしてガス拡散層に接触する面の平面度を再プレス前より高くした燃料電池メタルセパレータ。
(3) 燃料電池用メタルセパレータに複数の孔を形成し、燃料電池用メタルセパレータの孔形成領域の表面に導電性および耐食性を有するコートを形成し、該コートに水透過性をもたせた燃料電池メタルセパレータ。
上記(1)の燃料電池用メタルセパレータによれば、コートに弾性をもたせたので、スタック締結荷重を一定にするばねが不要となり、締結荷重を一定にするために燃料電池スタック端部に従来設けていたばねが不要となる。その結果、ばね分、コスト、重量、体格を低減できる。
上記(2)の燃料電池用メタルセパレータによれば、コートをセパレータに塗布形成後該コートを形成したメタルセパレータを再プレスしてガス拡散層に接触する面の平面度を再プレス前より高くしたので、電極への面圧が均一化され、電池性能が向上し、耐久性も向上する。
上記(3)の燃料電池用メタルセパレータによれば、メタルセパレータに複数の孔を形成し、メタルセパレータに形成されるコートに水透過性をもたせたので、酸化剤ガスの流路の下流部分で生成された水がコートとメタルセパレータの孔を通してセパレータの裏側のガス流路(冷却水流路とは分離され冷却水流路からシールされているガス流路)に排出され、酸化剤ガス流路下流部のフラッディングを抑制するとともに、排出されたガス流路から必要に応じて酸化剤ガス流路の上流側に戻されることにより、酸化剤ガス入口の乾きを抑制することができる。
以下に、本発明の燃料電池用メタルセパレータを、図1〜図8を参照して説明する。
図中、図1〜図3は本発明の実施例1を示し、図4〜図6は本発明の実施例2を示し、図7、図8は本発明の実施例3を示す。本発明の実施例1〜実施例3にわたって共通する、または類似する部分には、本発明の実施例1〜実施例3にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明の実施例1〜実施例3にわたって共通する、または類似する部分を、たとえば図1〜図3を参照して、説明する。
本発明のシール構造が適用される燃料電池は、積層型燃料電池であり、たとえば、積層型の固体高分子電解質型燃料電池10である。該燃料電池10は、たとえば燃料電池自動車に搭載される。ただし、自動車以外に用いられてもよい。
固体高分子電解質型燃料電池10は、膜−電極アッセンブリ(MEA:Membrane-Electrode Assembly )とセパレータ18との積層体からなる。積層方向は上下方向に限るものではなく、任意の方向でよい。
膜−電極アッセンブリは、イオン交換膜からなる電解質膜11とこの電解質膜の一面に配置された触媒層からなる電極(アノード、燃料極)14および電解質膜の他面に配置された触媒層からなる電極(カソード、空気極)17とからなる。膜−電極アッセンブリとセパレータ18との間には、アノード側、カソード側にそれぞれ拡散層が設けられる。
セパレータ18には、アノード14、カソード17に燃料ガス(水素)および酸化ガス(酸素、通常は空気)を供給するための反応ガス流路27、28(燃料ガス流路27、酸化ガス流路28)と、その裏面に冷媒(通常、冷却水)を流すための冷媒流路26が形成されている。また、セパレータ18には、燃料ガス流路27に燃料ガスを供給、排出するための燃料ガスマニホールド30、酸化ガス流路28に酸化ガスを供給、排出するための酸化ガスマニホールド31、冷媒流路26に冷媒を供給、排出するための冷媒マニホールド29が形成されている。
膜−電極アッセンブリとセパレータ18を重ねて単位燃料電池(「単セル」ともいう)19を構成し、少なくとも1つのセルからモジュールを構成し、モジュールを積層してセル積層体とし、セル積層体のセル積層方向両端に、ターミナル20、インシュレータ21、エンドプレート22を配置し、セル積層体をセル積層方向に締め付け、セル積層体の外側でセル積層方向に延びる締結部材(たとえば、テンションプレート24)、ボルト・ナット25により固定して、燃料電池スタック23を構成する。
各セル19の、アノード側14では、水素を水素イオン(プロトン)と電子にする電離反応が行われ、水素イオンは電解質膜11中をカソード側に移動し、カソード17側では酸素と水素イオンおよび電子(隣りのMEAのアノードで生成した電子がセパレータを通してくる、またはセル積層方向一端のセルのアノードで生成した電子が外部回路を通して他端のセルのカソードにくる)から水を生成する反応が行われ、かくして発電が行われる。
アノード側:H2 →2H+ +2e-
カソード側:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2
セパレータ18は、メタルセパレータであってもよいし、メタルセパレータと樹脂フレームの組合せであってもよい。
メタルセパレータ18は、金属板18a(たとえば、ステンレス板)と、金属板18aの少なくとも一面(両面でもよい)の表面に塗布、形成されたコート18b(コーティング層)とからなる。コート18bは、導電性と耐食性を有する。コート18bは、たとえば、導電性フィラー(たとえば、固体である、C粉、天然黒鉛粉、金属粉など)を混入した、樹脂、ゴム(たとえば、SBR)を液状で塗布し、固化したものである。コート18bは、MEAまたは拡散層に接触される。コート18bは、反応ガス流路27、28の表面を形成しており、燃料ガス、酸化剤ガスはコート18bに接触する。隣り合うセルの金属板18aの間には、冷却水流路26が形成され、金属板18aは冷却水に接触する。
上記の構成の作用・効果については、メタルセパレータ18がコート18bを有し、該コート18bが導電性、耐食性を有するので、電極からの電子を隣り合うセパレータ間に流すことができるとともに、反応ガスに微量含まれるフッ酸や硫酸などの酸成分から金属板18aを保護することができる。
つぎに、本発明の各実施例の構成、作用・効果を説明する。
〔実施例1〕
本発明の実施例1では、図1〜図3に示すように、メタルセパレータ18のコート18bは、弾性を付与され、「弾性コート」18bとなっている。コート18bの弾性率は、0.1MPa〜10MPaとされ、従来のコートに比べて柔らかく、また、ステンレスの弾性率2×105 MPaに比べて柔らかい。この弾性率は、コート18b中のゴム(たとえば、SBR)の割合を選定する(従来に比べて増やす)ことにより、得られる。コート18bは、厚さ方向に均一な弾性をもつ単一層である。
また、コート18bの厚さは100μm以下とされ、たとえば、10〜100μm、より望ましくは、50〜100μmとされ、従来に比べて厚い。コート18bは、塗布、スプレー、ディッピングなどにより形成される。
実施例1の作用・効果については、コート18bに弾性をもたせることによって、セパレータ18に弾性を付与する。これによって、スタック23の端部に従来設けていた、締結荷重を一定にするためのばねが不要となり、ばね除去分、低コスト、軽量なスタックを構成できる。
〔実施例2〕
本発明の実施例2では、図4〜図6に示すように、メタルセパレータ18の金属板18aに導電性、耐食性のコート18bを塗布、形成後、コート18bを形成したメタルセパレータ18を再プレスして、拡散層に接する側の面18c(ガス流路27、28となる溝をもつ面の場合は、溝と溝との間のリブの頂面18c)の平面度の高いセパレータ18を形成する。
すなわち、コート18bを塗布、形成した状態では、コート18bの表面は図4に示すように、凹凸があるが、これを型によりプレスすることにより、図5に示すように、面18cの平面度を図8のコート表面の平面度より高くする。
再プレスの場合、流路溝付き型によりプレスすることにより、コート18bに、面18cの平面度を高くすると同時に、流路溝27、28を形成することができる。流路溝27、28を形成する場合、図5に示すように、金属板18aは平板のままとすると、コート18bの厚さは、流路溝27、28の深さ以上でなければならない。
また、流路溝27、28を形成する場合、図6に示すように、金属板18aも屈曲させるようにすると、コート18bの厚さは、図5に比べて、薄くてよい。
実施例2の作用・効果については、再プレスにより、コート18bの拡散層またはMEA接触面の平面18cの平面度が均一化、かつ高くされ、拡散層またはMEAとの接触率が向上し、均一当たりが実現される。これによって、接触抵抗が低減し、電池性能が向上し、膜や電極の耐久性が向上する。
また、コート18bにガス流路27、28を成形型にて形成する場合は、メタルセパレータは複雑な成形が不要となり、プレスコストが低減する。また、セパレータ金属材種の選択の自由度が上がり、低コスト化をはかることができる。
〔実施例3〕
本発明の実施例3では、図7、図8に示すように、メタルセパレータ18の金属板18aに複数(多数)の孔18dを形成し、燃料電池用メタルセパレータの孔18d形成領域の表面に導電性および耐食性を有するコート18bを形成し、該コート18bに水透過性をもたせる。コート18bに水透過性をもたせるには、コート18bをポーラス状に形成することなどにより行う。
孔18d形成領域は、酸化剤ガス流路28の下流領域、すなわち、フラッディングを起こしやすい領域とし、酸化剤ガス流路28のセパレータを隔てた背面側には、冷却水流路26とセル面内方向にシール材28Bにより遮断されたガス流路28Aを形成しておく。図7は、メタルセパレータ18を、コート18bを除去し金属板18aだけの状態で示してある。
実施例3の作用・効果については、セパレータ発電面で生成された水が、孔18d形成領域において、コート18bの透過性部分と金属板18aの孔18dを透過して背面側のガス流路28Aに抜け、酸化剤ガス流路28の下流領域でのフラッディングが防止される。フラッディング防止により、生成水によって発電面積が縮小することがなく、安定した運転が可能になる。また、背面側に抜けた水を酸化剤ガスの上流側に戻すことにより、セルの酸化剤ガス入口部での電解質膜の乾燥を抑制でき、安定した燃料電池の運転を可能にする。
本発明の実施例1、実施例2、実施例3は、互いに独立に実施されてもよいし、2以上の実施例が互いに組み合わせて実施されてもよい。
本発明の実施例1の燃料電池メタルセパレータを具備した燃料電池のスタックの側面図である。 図1の燃料電池の一部の断面図である。 図1の燃料電池のメタルセパレータの正面図である。 本発明の実施例2の燃料電池メタルセパレータのコート形成後の斜視図である。 図4のメタルセパレータの再プレス後の斜視図である。 図5のメタルセパレータで金属板の屈曲される場合の断面図である。 本発明の実施例3の燃料電池メタルセパレータの金属板18aの一部分の斜視図である。 本発明の実施例3の燃料電池メタルセパレータの正面図である。
符号の説明
10 (固体高分子電解質型)燃料電池
11 電解質膜
14 電極(アノード、燃料極)
17 電極(カソード、空気極)
18 メタルセパレータ
18a 金属板
18b コート
18c 面
18d 孔
19 セル
20 ターミナル
21 インシュレータ
22 エンドプレート
23 スタック
24 締結部材(テンションプレート)
25 ボルト
26 冷媒流路
27 燃料ガス流路
28 酸化ガス流路
28A 背面側のガス流路
28B シール材
29 冷媒マニホールド
30 燃料ガスマニホールド
31 酸化ガスマニホールド

Claims (3)

  1. 燃料電池用メタルセパレータの表面に導電性および耐食性を有するコートを形成し、該コートに0.1〜10MPaの弾性率をもたせた燃料電池メタルセパレータ。
  2. 燃料電池用メタルセパレータの表面に導電性および耐食性を有するコートを形成し、該コートをセパレータに塗布形成後該コートを形成したメタルセパレータを再プレスしてガス拡散層に接触する面の平面度を再プレス前より高くした燃料電池メタルセパレータ。
  3. 燃料電池用メタルセパレータに複数の孔を形成し、燃料電池用メタルセパレータの孔形成領域の表面に導電性および耐食性を有するコートを形成し、該コートに水透過性をもたせた燃料電池メタルセパレータ。
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