JP2005189536A - レンチキュラーレンズシートの製造方法 - Google Patents

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和雄 馬場
Yoshihiro Oda
義弘 小田
Kazunori Hirose
和典 廣瀬
Yoji Ono
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Abstract

【課題】 拡散用レンチキュラーレンズを使用せず、安価な露光光源を用いながらも、蹴られのない出射特性を有しかつ均一なBS比率を実現したレンチキュラーレンズシートの製造方法を提供する。
【解決手段】 レンチキュラーレンズシートの製造方法は、(1)光透過性基板の一方の面にレンチキュラーレンズを形成するレンズ形成工程、(2)光透過性基板の他方の面に感光性材料層を形成する感光性材料層形成工程、(3)感光性材料層に対しレンチキュラーレンズ側から露光光線を照射して感光性材料層の露光を行う露光工程、及び(4)該感光性材料層の露光部又は非露光部に光吸収層を形成する光吸収層形成工程からなる。本発明においては、露光工程における露光光線の照射を、露光光線の露光光源と光透過性基板のレンチキュラーレンズとの間に、露光光線の拡散角が±2°以上±15°以下となるようにルーバーを配置して行う。
【選択図】 図3

Description

本発明は、背面投写型テレビジョン等に用いられるレンチキュラーレンズシートの製造方法に関する。
背面投写型テレビジョンには、従来より透過型スクリーンが用いられている。このような透過型スクリーンは、図1(断面の概略構成図)に示すように、光出射面に、一般に等間隔で同心円状の微細ピッチのレンズが形成されているフレネルレンズシート1と、レンチキュラーレンズシート2とが密着した構造となっており、フレネルレンズシート1が映像光源側に配置される。なお、フレネルレンズシート1には、迷光(ゴースト)を軽減するなどのために、通常、光拡散材が分散されており、このためレンチキュラーレンズシート2に入射する映像光は拡散光成分を含んだ平行光となるのが一般的である。
一方、レンチキュラーレンズシート2には、図2に示すように、その光入射面に等間隔になるようにかまぼこ型のレンズが配置されている。従って、フレネルレンズシート1から出射された拡散光を含んだ平行光または収束光は、レンチキュラーレンズシート2により水平方向に大きく拡散され、これによって水平方向の広い視野範囲で映像を観察することが可能となる。なお、水平方向のみならず垂直方向においても映像観察が可能な範囲を拡大するために、レンチキュラーレンズシート2にも一般に光拡散剤が分散されている。
また、このようなレンチキュラーレンズシート2においては、図2に示すように、光入射面における各々のレンズの集光部以外の部位(非集光部)に、黒樹脂インクなどの光吸収材よりなる光吸収層3(以下、ブラックストライプあるいはBSと称することがある)が設けられており、それにより明室でのコントラスト向上が図られている。
ところで、透過型スクリーンに投影される画像をより高精細化することが求められている中で、レンチキュラーレンズシートに対してもレンズのピッチを微細化することが求められているが、ピッチが小さくなると、光吸収層を位置精度良く、光入射面側に設けられた各レンズの集光部以外の部位に設けることが困難となる。このため、レンチキュラーレンズシートの出射側の表面にネガ型の光反応性材料を配置し、入射レンズ(即ち、レンチキュラーレンズ)を介すと共に入射レンズへの入射角を調整した平行光を用いて露光することによって露光部に潜像を形成し、現像して非露光部を除去することにより、高い位置精度で露光部に硬化樹脂パターンを形成し、それを染色して光吸収層を作成する技術が開発されている(特許文献1参照)。
ところが、特許文献1に開示された技術の場合には、露光光線として平行光が用いられているため、入射レンズにより集光された露光光線の範囲(露光部)が比較的狭い領域に集中することになるので、露光部にBSを形成しない場合(即ち、非露光部にBSを形成する場合)には、その開口領域も比較的狭い領域に集中することになる。このようなレンチキュラーレンズシートを、光拡散材が混入された実際のフレネルレンズシートと共に用いた場合には、、映像光のうち、フレネルレンズシートで拡散された成分が光吸収層で蹴られ、スクリーンの周辺輝度が低下するという問題がある。
そこで、この問題に対し、露光部を拡散用レンチキュラーレンズを通して拡散させた光で露光し、出射側表面の露光部を比較的広くとって開口率を上げ、かつ、その拡散特性がシャープにカットオフするものを用いてBS率のばらつきを小さくする技術が提案されている(特許文献2参照)。この技術においては、光吸収層に拡散用レンチキュラーレンズのパターンが生じるのを防ぐために、拡散用レンチキュラーレンズのピッチは、レンチキュラーレンズシート2のピッチより十分小さくする必要がある。従って、現状の高精細なレンチキュラーレンズシート2のピッチが0.3mm〜0.1mmであるため、拡散用レンチキュラーレンズのピッチは0.1mm以下のピッチとなる。
特開昭50−136028号公報 特開2000−147665号公報
しかしながら、特許文献2で提案されているように、微細なピッチの拡散用レンチキュラーレンズを作製しようとした場合、設計特性どおりにシャープに拡散特性がカットオフされるものを作製することは、成形精度が不十分であるために困難であり、作製した拡散用レンチキュラーレンズの拡散特性は実際にはカットオフせず、すそ引きを生じ、結果的にBS率にばらつきが生じてしまうという問題がある。しかも、特許文献1や特許文献2で開示された技術で用いられる露光光源は高い平行度を必要とするが、一般的に高い平行度の光源は高価である、という問題もあった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、拡散用レンチキュラーレンズを使用せず、安価な露光光源を用いながらも、蹴られのない出射特性を有しかつ均一なBS比率を実現したレンチキュラーレンズシートの製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、光吸収層を形成するための感光性材料にレンチキュラーレンズを介して露光光線を照射する際に、露光光線の露光光源とレンチキュラーレンズとの間に、露光光線の拡散角が所定範囲になるようにルーバーを配置して露光を行うことにより、上述の目的が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、光透過性基板の一方の面にレンチキュラーレンズを有し、光透過性基板の他方の面の該レンチキュラーレンズによる非集光部に光吸収層を有するレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
光透過性基板の一方の面にレンチキュラーレンズを形成するレンズ形成工程、
該光透過性基板の他方の面に感光性材料層を形成する感光性材料層形成工程、
該感光性材料層に対しレンチキュラーレンズ側から露光光線を照射して該感光性材料層の露光を行う露光工程、及び
該感光性材料層の露光部又は非露光部に光吸収層を形成する光吸収層形成工程
を有し、
該露光工程における露光光線の照射を、露光光線の露光光源と光透過性基板のレンチキュラーレンズとの間に、露光光線の拡散角が±2°以上±15°以下となるようにルーバーを配置して行うことを特徴とするレンチキュラーレンズシートの製造方法を提供する。ここで、ルーバーとして多数のハニカム形状筒体を使用することが好ましい。また、ルーバーとして光吸収表面を有するものを使用することが好ましい。
上記のようにしてレンチキュラーレンズシートを製造することにより、適度な幅の光吸収層を有し、映像光がさえぎられることなく出射することを可能にしたレンチキュラーレンズシートが得られる。
本発明は、光透過性基板の一方の面にレンチキュラーレンズを有し、光透過性基板の他方の面の該レンチキュラーレンズによる非集光部に光吸収層を有するレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、レンズ形成工程、感光性材料層形成工程、露光工程、及び光吸収層形成工程を含むものである。以下、工程毎に詳細に説明する。
レンズ形成工程
まず、光透過性基板の一方の面に、通常、並列に配列されたかまぼこ型のレンチキュラーレンズを形成する。ここで、光透過性基板としては、従来よりレンチキュラーレンズシート用材料として用いられている光透過性の熱可塑性樹脂、熱又は紫外線硬化型樹脂からなる基板が挙げられる。また、光透過性基板の一方の面にレンチキュラーレンズを形成する具体的手法としては、従来より行われている方法を採用することができ、例えば、光透過性の熱可塑性樹脂を使用する場合には押出し法等を採用することができ、光透過性の紫外線硬化性樹脂を使用する場合にはキャスティング法(いわゆる2P法)等を採用することができる。ピッチの小さいレンチキュラーレンズを得るためには、2P法を用いることが成形精度等の点から好ましい。
なお、光透過性基板は単層であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の例としては、2P法を採用した場合であって、紫外線を透過するポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持基材上に紫外線硬化性樹脂を塗布したものにレンチキュラーレンズを形成する場合が挙げられる。
感光性材料層形成工程
次に、一方の面にレンチキュラーレンズが形成された光透過性基板の他方の面に感光性材料層を形成する。感光性材料層は、光によって性質が変化する材料であって、後述する工程において、その性質の変化を利用して、感光性材料そのものから、あるいは他の材料を更に用いて光吸収層を形成可能な材料から形成することができる。例えば、公知の光硬化性樹脂、ネガ型レジストやポジ型レジスト、感光剤等から感光性材料層を形成することができる。また、光透過性基板の他方の面に感光性材料層を形成する具体的手段としては、感光性材料が液状、ペースト状であれば、スクリーンコーティング法等の公知の塗工方法の中から適宜採用することができる。感光性材料がフィルム状であれば、熱圧着法や接着剤を用いるラミネーション法等を採用することができる。
露光工程
次に、光透過性基板の他面に形成された感光性材料層に対し、レンチキュラーレンズ側から露光光線を照射して該感光性材料層の露光を行う。この露光によれば、レチキュラーレンズにより露光光線が集光される結果、感光性材料層に、特性が一部異なる露光部と非露光部とが形成されることになる。
この露光工程においては、露光光線の照射を、露光光線の露光光源と光透過性基板のレンチキュラーレンズとの間に、露光光線の拡散角が±2°以上±15°以下、好ましくは±3°以上±10°以下、より好ましくは±4°以上±8°以下となるようにルーバーを配置して行う。露光光線の拡散角が±2°未満であると、ルーバーによって遮られる露光光線が少なくなり、光源を有効利用できないため効率的ではなく、一方、±15°を超えると、拡散特性が広がり過ぎるため、レンチキュラーレンズによって焦光された露光光線がぼやけ、出射窓が広くなりすぎるので好ましくない。このようなルーバーを透過した拡散光は、その拡散特性が非常にシャープにカットオフされたものとなり、これにより適度な幅の出射窓をもうけながら均一なBS幅を実現することができる。ルーバーによる拡散角の制御は、ルーバーの形状や大きさ、所期のBS幅に応じて適宜選択すればよい。
ルーバーの具体的な形状としては、レンチキュラーレンズシートのBSに平行な短冊を重ねたものが挙げられるが、ルーバーの形状安定性を考慮すると、格子状、特に図3に示すようなハニカム(蜂の巣)状の筒体(図3のハニカムルーバー4参照)からなるものが好ましい。この場合、ルーバーによる拡散角の制御は、開口の大きさと筒体の長さを調節することで行うことができる。
また、ルーバーとしては、その表面で意図しない光の反射や拡散が生じて露光光線の平行度や拡散性に問題が生じないように、ルーバーの表面を光吸収表面とすることが好ましい。光吸収表面とする手法としては、例えば、スプレー、静電塗装等によって、黒塗料を塗布するなどの方法を挙げることができる。
露光工程で使用する図3に示すような露光光源5は、十分大きな拡散特性を持ったものであればよい。通常、露光には高いエネルギーを持った光線が用いられることから、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどの紫外線源が使用されるが、感光材料の選択によっては、蛍光灯などの可視光源も使用可能である。なお、露光光源の拡散特性が不十分な場合には、露光光源とルーバーとの間に光拡散板6などの光拡散手段を設けてもよい。
光吸収層形成工程
次に、露光処理が施された感光性材料層の露光部又は非露光部に光吸収層を形成する。これによりレンチキュラーレンズシートが得られる。ここで、露光部又は非露光部のいずれに光吸収層を形成するかという点については、感光性材料層の種類に応じた適した方法を適宜選択することができる。
例えば、感光性材料として光硬化可能な粘着性樹脂を用いた場合には、露光部のみ硬化し粘着性が低下するのに対し、非露光部は粘着性が低下しないため、その差を利用して、転写性インクフィルムからインク層を転写するなどの方法により、非露光部にのみ光吸収層を形成することができる。また、感光性材料としてネガ型レジストを用いた場合には、露光部のみ硬化させ、一方、非露光部を溶剤で溶出除去することにより、露光部に樹脂パターンを形成することができ、その樹脂パターンを染色することによりあるいは露光部の表面にインクを印刷することにより、露光部に光吸収層を形成することができる。逆に、ネガ型レジストが除去された非露光部を埋めるようにインク樹脂を印刷することにより、非露光部に光吸収層を形成することもできる。
また、感光性材料としてポジ型レジストを用いた場合には、露光部のみ溶出除去し、一方、非露光部はそのまま保持することができる。従って、非露光部に樹脂パターンを形成することができ、その樹脂パターンを染色することによりあるいは非露光部の表面にインクを印刷することにより、非露光部に光吸収層を形成することができる。逆に、ポジ型レジストが除去された露光部に、埋めるようにインク樹脂を印刷することにより、露光部に光吸収層を形成することもできる。
このように光吸収層が形成されたレンチキュラーレンズシートは、フレネルレンズシートと組み合わせて、透過型スクリーンとして使用することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
100μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、ウレタンアクリレートを含む紫外線硬化樹脂を乾燥厚で100μm厚となるようにドクターブレード法で塗布した。その紫外線硬化樹脂に対しレンチキュラーレンズ用成形型を押し当てながら、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から高圧水銀灯で紫外線を照射して、200μmピッチのレンチキュラーレンズシートを作製した。
次に、レンチキュラーレンズシートのポリエステルフィルム側に感光材料としてデュポン社製クロマリン粘着材シートを転写した。ついで、ウシオ電機社製メタルハライドランプを用い、レンチキュラーレンズシートのレンズ側から露光した。この結果、粘着材シートの非露光部の粘着性が維持されていたが、露光部の粘着性が大きく低下した。なお、この露光の際、レンチキュラーレンズシートとランプの間に、レンチキュラーレンズシートから50mmの距離に、ルーバー表面が光吸収処理された厚み30mm、対向辺間6mmのハニカムルーバー(昭和飛行機工業社製)を配置した。この時の露光光線の拡散角は±6°であった。
露光後、デュポン社製クロマリン黒色シートを露光処理された粘着材シートに押し付けた後、引き剥がした。その結果、デュポン社製クロマリン粘着シートの非露光部に黒色シートが転写し、非露光部に光吸収層をもつレンチキュラーレンズシートが得られた。
得られたレンチキュラーレンズシートを、フレネルレンズと組合せ、背面投射表示装置に取り付け、外観及び映像の評価を行った。その結果、BSが均一に形成されているために外観は良好で、BSによる蹴られ現象もなく、スクリーン周辺輝度が明るい映像となった。
本発明によれば、拡散用レンチキュラーレンズを使用せず、安価な露光光源を用いながらも、蹴られのない出射特性を有しかつ均一なBS比率を実現したレンチキュラーレンズシートを製造できる。従って、本発明は、レンチキュラーレンズシートの製造方法として有用なものとなる。
背面投写型テレビジョンに用いられている一般的な透過型スクリーンの断面の概略断面図である。 本発明が適用されるレンチキュラーレンズシートを説明する概略断面図である。 本発明におけるルーバーを用いた露光光学系の一例である。
符号の説明
1 フレネルレンズシート
2 レンチキュラーレンズシート
3 光吸収層

Claims (3)

  1. 光透過性基板の一方の面にレンチキュラーレンズを有し、光透過性基板の他方の面の該レンチキュラーレンズによる非集光部に光吸収層を有するレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
    光透過性基板の一方の面にレンチキュラーレンズを形成するレンズ形成工程、
    該光透過性基板の他方の面に感光性材料層を形成する感光性材料層形成工程、
    該感光性材料層に対しレンチキュラーレンズ側から露光光線を照射して該感光性材料層の露光を行う露光工程、及び
    該感光性材料層の露光部又は非露光部に光吸収層を形成する光吸収層形成工程
    を有し、
    該露光工程における露光光線の照射を、露光光線の露光光源と光透過性基板のレンチキュラーレンズとの間に、露光光線の拡散角が±2°以上±15°以下となるようにルーバーを配置して行うことを特徴とするレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  2. 該ルーバーがハニカム形状筒体からなる請求項1記載の製造方法。
  3. 該ルーバーが光吸収表面を有する請求項1または2記載の製造方法。
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