JP2005189228A - 肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌の診断及び治療方法 - Google Patents

肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌の診断及び治療方法 Download PDF

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浩和 谷口
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泰 緑川
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正久 深山
Naoko Yamauchi
直子 山内
Yoshitaka Hitsupou
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Hirotoshi Akita
弘俊 秋田
Hiroko Iwanari
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Abstract

【課題】 この発明は、肺非小細胞癌を含む特定の癌の診断及び治療方法、又は診断キットを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、肺非小細胞癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌を、抗AKR1B10モノクローナル抗体を用いた免疫学的手法で診断する方法又は診断キットと、AKR1B10の細胞内局在を制御する癌の治療方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌、特に肺非小細胞癌に特異的な腫瘍マーカーに関する。
肺癌は世界的に増加傾向にあり、日本においても男性の癌死亡率の第1位であり、女性でも第2位を占める。また肺癌の5年生存率は25〜30%といわれており、早期かつ正確な診断が強く望まれている。
肺癌は小細胞癌と非小細胞癌に分類されるが、非小細胞癌が肺癌の80〜85%を占める。非小細胞癌に属する肺腺癌及び扁平上皮癌において、進行癌で行われる化学療法は奏功率が50%以下と有効性が低いため、早期に癌を発見することが急務となっている。肺癌の診断は、主に形態学的及び病理学的診断を組み合わせて行っている。まず、胸部エックス線、コンピューティド・トモグラフィー(CT)検査といった形態学的診断によって癌の存在を確認した上で、喀痰、経気管支鏡的肺組織生検、胸腔鏡下肺生検などによって採取された検体に対する病理学的診断を行う。免疫組織化学は、進行度や組織型の情報も得られることより、肺癌、特に肺非小細胞癌の陽性率が高い抗体が必要とされている。
近年、DNAチップによる遺伝子解析技術が開発され、包括的かつ網羅的な遺伝子の発現解析を行うことが可能になっている。この方法の応用として、癌に特異的に発現する遺伝子を選出することが行われている。肺癌においてもDNAチップによる包括的な遺伝子の発現解析が行われている。たとえば、既知の腫瘍マーカーであるCEA(CEACAM5)等の分子の発現が亢進することが確認されており、DNAチップによる腫瘍マーカーの探索の有効性が期待される一方で、臨床的に有効な肺癌標的分子は、未だ同定されていない状況である。
アルド‐ケト‐リダクターゼファミリー1メンバーB10(aldo−keto−reductase family 1, member B10)は、40を超えるアルド‐ケト‐リダクターゼファミリーの一つである。消化された食物由来の反応性アルデヒドの解毒に主に関与することが示唆されており(非特許文献1)、正常組織では副腎、小腸、大腸で発現が認められている。AKR1B10は、蛋白代謝、シグナル伝達に関与することが推測されているが(非特許文献2)、詳細はわかっていない。さらに、肝癌で発現が亢進することが報告されており、肝癌及び薬剤耐性への関与を示唆されている(非特許文献3及び4)。しかしながら、肝癌以外の癌種に関する報告やこの分子を診断に応用する試みはこれまでになされていない。
カオ(Cao) D.ら 「ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)」,1988年,第273巻,19号,p11429−11435 タン(Tang)DNら 中華外科雑誌(Zhonghua Wai Ke Za Zhi),2003年,第41巻,3号,p180−182 タン(Tang)DNら 中華肝臓病雑誌(Zhonghua Gan Zang Bing Za Zhi),2002年,第10巻,6号,p445−448 ワールド ジャーナル オブ ガストロエンテロロジー(World Journal of Gastroenterology),2003年,第9巻,7号,p1455−1459
本発明は、AKR1B10の検出によって、肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌、特に肺非小細胞癌を診断する方法及び診断キットを提供する。また、本発明は、AKR1B10の細胞内局在の変化を伴う細胞の異常を標的とした癌治療法を提供する。
本発明者らは、肺癌をはじめとする疾患の診断及び治療の標的を同定するために、正常組織、癌細胞株及び各種癌組織におけるDNAチップによる遺伝子の発現解析を行ってきた。その結果、正常肺組織では発現していないが、肺癌で発現が亢進している遺伝子群を抽出することに成功した。その中でも、AKR1B10のmRNAが多くの肺非小細胞癌組織で発現が亢進していることが確認された。また、発明者らが作製した抗AKR1B10モノクローナル抗体を用いた免疫学的手法によって、AKR1B10のタンパク質が肺非小細胞癌で発現が亢進していることが認められ、AKR1B10が肺非小細胞癌のマーカーであることが支持された。同様に、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌においても発現が亢進していることを癌細胞株を用いた免疫学的手法によって実証した。また、本発明者らが行った抗AKR1B10抗体を用いた細胞内局在の解析の結果、細胞の状態によってAKR1B10が細胞質と核を行き来していることを見いだし、AKR1B10の細胞内局在を制御することが癌の治療に有効であることが示された。
このように、発明者らはAKR1B10を特異的に認識するモノクローナル抗体を作製し、AKR1B10の遺伝子及びタンパク質の量が肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌、特に肺非小細胞癌において発現が亢進していることを明らかにした。さらに、AKR1B10の細胞内局在が変化することを示し、癌における機能がわかっていないAKR1B10の役割を明らかにした。これらの知見は、AKR1B10が肺非小細胞癌などの癌において有効な腫瘍マーカーになることを示しており、さらにはAKR1B10が癌を抑制する標的であることを示している。
すなわち、本発明はAKR1B10を癌の診断及び治療の標的とする方法に関し、具体的には(1)生体試料中のAKR1B10のタンパク質を免疫学的手法により検出する癌の判定方法、及び(2)生体試料中のAKR1B10をコードするmRNA量を測定することを特徴とする癌の判定方法に関する。また、(3)AKR1B10のタンパク質の細胞内局在を制御する癌の治療方法に関する。特に(4)これらの診断方法又は治療方法が肺組織を用いる場合に関する。(5)肺癌の診断のためのAKR1B10の検出が抗AKR1B10抗体を用いる免疫学的検出であり、肺癌の中でも特に(6)肺非小細胞癌の判定を行う方法、及び(7)肺非小細胞癌の判定を行うキットに関する。(8)肺非小細胞癌を診断するこれらの方法及びキットが血液を用いたものに関する。同時に本発明は、(9)抗AKR1B10抗体を用いた食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌の判定方法であり、(10)抗AKR1B10抗体を用いた食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌の診断キットに関する。
このように、本発明はAKR1B10の遺伝子及びタンパク質の検出に基づく肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌の診断方法、及び治療方法を提供する。このAKR1B10は、肝癌組織でも検出されるが、癌周囲の肝硬変組織でも検出されることが少なくなく、必ずしも肝癌に特異的ではない(非特許文献3及び4)。従って、従来、腫瘍マーカーとしては用いられていない。肺組織では、AKR1B10は正常部で検出されず、癌組織で多量に発現していることは、これら従来の報告からは予測できないことであった。
肺癌の中でも、非小細胞癌に属する肺扁平上皮癌及び肺腺癌でAKR1B10のmRNAの発現が正常組織に比べて、亢進していることが明らかとなった。同様に、タンパク質を検出するウェスタン・ブロッティング法では、同一患者の正常部と癌部におけるAKR1B10の発現量の比較を行ったところ、すべての肺扁平上皮癌の患者の正常部ではAKR1B10が検出されなかったことに対して、すべての扁平上皮癌の癌部ではAKR1B10が検出されたことより、癌の発生、進展にともなって発現量の亢進する分子であることが明らかとなった。
これまでに、肺癌の腫瘍マーカーとしてサイトケラチン19フラグメント(CYFRA)がよく知られている。CYFRAはサイトケラチンが血液中のタンパク質分解酵素で断片化されたフラグメントであり、既存の方法は癌患者の血液中に存在するこのフラグメントを検出している。この方法の原理からわかるように、CYFRAは血液を用いた診断に限定されている。同じく、血液検査による肺癌のマーカーである扁平上皮癌関連抗原(SCC)も血液検査に限定されている。
一方で、肺癌の精密な検査には、細胞診といった形態学的診断、及び免疫組織化学による病理診断が行われる。本発明者らが作製した抗AKR1B10抗体による免疫組織化学では、肺非小細胞癌に特異的に染色が認められた。このことは、抗AKR1B10抗体を用いた免疫組織化学による肺非小細胞癌の診断が可能になることを示している。血液検査のみでは癌であることを決定できない。一方で、免疫組織化学は、単に癌であるかないかといった情報を提供するだけではなく、組織型と比較することより、癌の進行度に関する情報を提供する。すなわち、免疫組織化学で肺非小細胞癌を判断できる方法が求められている。本発明者らによる抗AKR1B10抗体による免疫組織化学の結果は、肺非小細胞癌である肺扁平上皮癌の12例中9例(75%)でAKR1B10が陽性を認める結果となった。免疫組織化学による肺扁平上皮癌の診断で75%と高い陽性率を示すマーカーがこれまで存在しなかったことより、本発明が提供する抗AKR1B10抗体による肺非小細胞癌の診断が非常に有効であることが示唆される。そして、本発明はAKR1B10に対する抗体を用いた診断法であることより、血液検査への応用も提供する。
なお、本発明者らは、AKR1B10の精度の高い細胞内局在解析を初めて行い、細胞株においてAKR1B10が集密度によって核と細胞質を行き来していることを示した。同時に、臨床検体における免疫組織化学の結果、一部の癌細胞でAKR1B10が核に局在することを示す結果も得られている。肺癌でAKR1B10の発現が亢進している患者に、AKR1B10の細胞内局在を制御することで細胞の癌化を押さえることが期待される。
このように、本発明は、単に癌で発現が亢進している分子を標的にしたものでなく、癌のメカニズムに関連した分子をマーカーとしており、肺癌の診断及び治療に大きく貢献すると考えられる。
本発明は、AKR1B10の遺伝子及びタンパク質を検出することで、肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌、特に肺非小細胞癌の診断方法及び診断キット、そしてAKR1B10の細胞内局在の変化を制御することに基づく癌の治療方法を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のAKR1B10のタンパク質は、下記(a)又は(b)に示すタンパク質である。
(a)配列番号1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、「タンパク質(a)」という)。タンパク質(a)には、配列番号1と同一のアミノ酸配列を持つがアルド−ケト−リダクターゼファミリー1メンバーB10(AKR1B10)でない名前のついたタンパク質も含む。例えばaldose reductase-like 1 、small intestine reductase 、aldose reductase-like peptide 、aldose reductase-related protein、aldo-keto reductase family 1, member B11 (aldose reductase-like)である。
(b)配列番号1記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルド−ケト−リダクターゼ活性を有するタンパク質(以下、「タンパク質(b)」という)。
タンパク質(a)及び(b)には、翻訳後修飾されたタンパク質及び翻訳後修飾されていないタンパク質のいずれもが含まれる。翻訳後修飾される位置、種類は1又は複数個である。翻訳後修飾とは、リン酸化、糖化、アセチル化、ミリストイル化等があげられる。タンパク質(a)及び(b)には、医薬的に許容される塩も含まれる。
タンパク質(b)は、AKR1B10のタンパク質が特異的又は非特異的に分解されたポリペプチドも含まれる。その長さは10アミノ酸以上が好ましい。
本発明のAKR1B10をコードするmRNAとは、下記(a)又は(b)に示す遺伝子である。
(a)配列番号2記載の塩基配列を鋳型とするポリヌクレオチド(以下、「ポリヌクレオチド(a)」という)。ポリヌクレオチド(a)には、配列番号2記載の塩基配列を鋳型とする塩基配列を持つがアルド−ケト−リダクターゼファミリー1メンバーB10(AKR1B10)でない名前のついたポリヌクレオチドも含む。例えばaldose reductase-like 1 、small intestine reductase 、aldose reductase-like peptide 、aldose reductase-related protein、aldo-keto reductase family 1, member B11 (aldose reductase-like)である。
(b)配列番号2記載の塩基配列を鋳型とするポリヌクレオチドどストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつアルド−ケト−リダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするmRNA(以下、「ポリヌクレオチド(b)」という)。
ポリヌクレオチド(a)又は(b)は、AKR1B10のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームとその5'末端及び/又は3'末端にある非翻訳領域(UTR)を含むことができる。ここでストリンジェントな条件としては、0.1%SDSを含む0.2×SSC中50℃、0.1%SDSを含む1×SSC中60℃等が挙げられる。
本発明の判定方法は、臨床検体におけるタンパク質(a)又は(b)の発現亢進が関与する疾患に罹患しているか否かを判定する工程を含む。疾患とは、例えば、肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌である。本発明は、AKR1B10のタンパク質の検出のみで判定する場合に限定されず、他の診断方法と併せて使用される場合も含まれる。
本発明の癌の判定方法に用いられる生体試料としては、(a)組織、(b)採取した組織の培養物、(c)組織抽出物、(d)癌患者の喀痰、(e)尿、又は(f)血液等が挙げられる。免疫組織化学による判断では(a)〜(d)を用いるのが望ましい。当該組織は、バイオプシーにより採取できる。採取した組織は、免疫組織染色する場合にはパラフィン包埋又は凍結して用いることもできる。
本発明が提供するAKR1B10のタンパク質の検出方法は、抗体を用いた免疫学的手法に基づく。免疫学的手法は当業者に公知の数多くの手段によって達成され、ウェスタン・ブロッティング法、免疫組織化学法、酵素免疫測定法(EIA、ELISA)、放射能免疫測定法(RIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、蛍光免疫測定法(FIA)が含まれる。
具体的には、ウェスタン・ブロッティングであれば、当該臨床検体から得られたタンパク質をポリアクリルアミド電気泳動で分子量の違いで分離し、ポリビリニデンジフルオライド(PVDF)膜又はニトロセルロース膜に転写を行う。その後、抗AKR1B10抗体を作用させ、引き続き、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ蛍光色素、ビオチンなどで標識された抗AKR1B10抗体を認識する抗体、すなわち二次抗体を作用させることで検出を行う。検出は抗AKR1B10抗体を直接標識して行っても良い。タンパク質のサイズでAKR1B10であることを確認する。このサイズはAKR1B10の全長のタンパク質であってもよいし、翻訳後修飾されたAKR1B10、又は分解されたAKR1B10の断片のいずれでもよい。免疫組織化学であれば、バイオプシー又は手術により切除された組織などに抗AKR1B10抗体を用いて組織中のAKR1B10を検出する。同時に、ヘマトキシリンエオジン (HE)染色を行うことで、組織型とAKR1B10の発現量の関係を知ることができる。免疫測定法では、物理吸着や化学結合により抗体を結合させた固相担体(例えば、イムノプレート、ラテックス粒子等)を用いて、検体中のタンパク質(a)又は(b)を捕捉した後、捕捉されたタンパク質(a)又は(b)を、固相担体に固定化された抗体とは別の抗原認識部位をもつ標識化抗体を用いて検出、定量ができる。また、固相担体に検体を固相し、標識化抗体を用いて検出、定量することも可能である。
抗体は大別してポリクローナル抗体とモノクローナル抗体に分けられる。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位を認識することより、特異性が高いことが知られている。本発明による免疫学的手法は、モノクローナル抗体を用いることが望ましい。すなわち、本発明は、モノクローナル抗体のみ、又はモノクローナル抗体とポリクローナル抗体の組み合わせによりタンパク質を検出することを提供する。
本発明の抗体は、生体から得られた内在性タンパク質又は組換えタンパク質のいずれを免疫原としたものでもよい。抗体を作製する際の免疫原であるが、AKR1B10のタンパク質の全長又はその断片のいずれでもよい。また、合成ペプチドを免疫原としてもよいが、その長さは10アミノ酸を超えることが望ましい。組換えタンパク質を産生する宿主は限定されるものではなく、例えば、大腸菌、酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞などであり、無細胞合成系によるタンパク質の産生も含む。組換えタンパク質には、融合タンパク質も含まれる。融合タンパク質とは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース融合タンパク質(MBP)、チオレドキシン、ポリヒスチジン、FLAG配列、Xpress配列等との融合タンパク質である。抗体を産生する動物は、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、モルモット、ラクダなどの哺乳動物があるが、AKR1B10を特異的に認識する抗体であれば動物種は限定しない。
AKR1B10のタンパク質をコードするmRNA量を測定する判定方法は、正常組織及び癌組織から得られるAKR1B10のmRNAの発現量の変化の測定を含むものである。mRNAの発現量の変化とは、転写レベルの異常、mRNAの安定性の異常に基づくものである。これらの異常は、検体におけるmRNAの存在量に基づいて測定できる。遺伝子の発現の変化は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法、DNAチップ、in situ hybridization法、ノーザン・ブロッティングなどの当業者に公知の数多くの手段によって達成することができる。また、発現量の変化が、遺伝子の塩基の変異に起因するタンパク質の機能低下及び遺伝子の発現制御を行う転写制御領域の塩基の変異に基づくこともあることより、塩基の変異の検出によって癌の診断を行うことができる。塩基の変異の検出は当業者に公知の数多くの手段によって達成することができる。mRNAの検出は部分配列又は全長配列のいずれかで行う。部分配列である場合には、15塩基以上が望ましい。検出の対象とする配列は、他のmRNAと相同性のない限り制限されない。ポリヌクレオチド(b)には、スプライシングの異常によって発生した転写産物も含まれる。転写の異常によって発生した転写産物は、野生型のAKR1B10と通常30%、好ましくは50%以上の相同性を有する。
本発明者らは均一の性質をもつ細胞株の細胞内局在解析の結果、細胞の集密度によってAKR1B10の局在が変化することを見いだしている。細胞の集密度は、細胞の増殖や細胞周期に密接に関係している。本発明者らによって得られた知見からAKR1B10が細胞周期を制御していることが明らかにされていることより、本発明はAKR1B10の細胞内局在を制御することで癌細胞の増殖を抑えることを提供する。すなわち、本発明はAKR1B10の細胞内局在を変化させることを目的とした抗体ならびに抗癌剤や低分子化合物を治療に用いる方法である。AKR1B10の細胞内局在を変化させる抗癌剤や低分子化合物とは、AKR1B10に直接、又は間接的に結合し、局在の変化をもたらすものである。医薬的に投与が可能なAKR1B10に結合するポリペプチド又はポリペプチドの誘導体も含む。抗癌剤や低分子化合物の分子量は通常10,000以内、好ましくは3,000以内である。ポリペプチド又はその誘導体は通常30アミノ酸以内、好ましくは20アミノ酸以内が望ましい。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
[実施例1]ヒト肺癌組織ならびにヒト正常肺組織における遺伝子発現解析
(1)DNAチップ解析
分化度やステージの異なる12例の肺腺癌、5例の肺扁平上皮癌、10例の肺小細胞癌から摘出された組織の癌部及び1例の正常肺(表1)より、ISOGEN(日本ジーン社)を用いて添付の方法に従い全RNAを抽出した。続いて、肺扁平上皮癌、肺腺癌、肺小細胞癌ならびに正常肺におけるmRNAの発現量をジーンチップHG−U133バージョンA及びB(Gene Chip HG-U133 version A and B;アフィメトリックス社製)を用いて解析した。すなわち、肺腺癌に関しては12例分より調製した全RNAをそれぞれ等量ずつ混合したもの、扁平上皮癌に関しては5例別々に、小細胞癌に関しては10例別々にそれぞれ5μgを、また対照として1例の正常肺より調製した全RNA 5μgを試料として用い、発現解析技術マニュアル(Expression Analysis Technical Manual;アフィメトリックス社製)に準じて遺伝子の発現解析を行った。それぞれの解析における全遺伝子の発現スコアの平均値を100とし、各遺伝子の発現量は相対値とした。すでに解析済みの正常組織遺伝子の発現解析の結果と比較した結果、図1に示すように、AKR1B10のmRNAの発現量の値が正常肺組織では3であったのに対し、5例の肺扁平上皮癌では101、1385、3470,111,2911で、肺腺癌組織では81とAKR1B10は肺非小細胞癌で強く発現していることが判明した。
(2)半定量的PCR
AKR1B10の遺伝子の発現量の比較を、正常肺5例、肺扁平上皮癌9例、肺腺癌12例、肺小細胞癌10例における半定量的PCRで行った。PCRに用いるプライマーは、AKR1B10の遺伝子である配列番号2の644番目から666番目までの塩基をPCRプライマー(配列番号3)とし、配列番号2の917番目から934番目までの配列をアンチセンス方向のPCRプライマー(配列番号4)として設計した。肺腺癌組織12例に関してはジーンチップ解析時に調製した全RNAを使用し、一方、摘出肺から調製された正常肺組織4例に関しては上記と同様の方法により全RNAを抽出した。全RNAより逆転写酵素スーパースクリプトII(SuperscriptII;インビトロジェン社製)を用いて一本鎖cDNAを合成したものをそれぞれ鋳型DNAとしPCR反応を行い、各組織におけるmRNA発現量を比較した。各25μLのPCR反応液は、500mM 塩化カリウム,100mM トリスヒドロキシアミノメタン塩酸塩(pH8.3),20mM 塩化マグネシウム,0.1%ゲラチン、各1.25mM デオキシヌクレオチド三リン酸(デオキシアデニル三リン酸,デオキシシチジル三リン酸,デオキグアニルル三リン酸,デオキシチミジル三リン酸)、1μLの一本鎖cDNA、5pmoleずつのセンスプライマー(配列番号5)、アンチセンスプライマー(配列番号6)、0.25μLの組換えTaqポリメラーゼを含むように調製した後、初めに94℃で3分間一次変性を行い、94℃で15秒、57℃で15秒、72℃で30秒からなるサイクルを35回行なった。また、各検体から得られたRNA中のヒトβ−アクチン遺伝子発現量もヒトβ−アクチンに特異的なセンスプライマー(配列番号7)ならびにアンチセンスプライマー(配列番号8)を用い上記と同様に解析を行った。PCR法により増幅された産物は1.0%アガロースゲル電気泳動後、エチジウムブロマイド染色にて検出を行った(図2、図3)。
その結果、正常肺では5例すべてで、肺小細胞癌では10例中すべてでAKR1B10のmRNAが検出されなかった一方で、肺扁平上皮癌組織の9例中9例すべてで、肺腺癌では12例中7例でAKR1B10のmRNAの発現が亢進していることが確認された。 肺非小細胞癌におけるAKR1B10のmRNAの発現の亢進は、PCR反応の各サイクルでPCR産物を定量する定量的PCRによって確認した。
(3)定量的PCR
定量的PCRはiCycler(バイオラッド社製)を用いて行った。RT−PCRで得られたcDNA1μLを鋳型として、PCRバッファー(最終濃度として50mM塩化カリウム、10mM トリスヒドロキシアミノメタン塩酸塩(pH8.3)、2mM塩化マグネシウム、0.01%ゼラチン)、200μM dNTPs(タカラ社製)、0.1μMのAKR1B10センスプライマー(配列番号3)、アンチセンスプライマー(配列番号4)、Taqポリメラーゼ、及び二本鎖の核酸に取り込まれることで蛍光を発するサイバーグリーン(SYBR GREEN)を含む25μLの反応液の系でPCRを行った。PCRの反応は、94℃で15秒、57℃で15秒、72℃で30秒からなるサイクルを30回行なった。内部コントロールとして、β−アクチンのPCR反応も行い、プライマーはセンスプライマー(配列番号5)、アンチセンスプライマー(配列番号6)を使用した。
検出は、二本鎖核酸に取り込まれたサイバーグリーンが発する蛍光(ハロゲンランプによる励起光494nm、蛍光515nm〜545nmのバンドパスフィルターにて検出)を検出することで行った。ネガティブ・コントロール(鋳型となるcDNAを含まない)以外のすべての測定対象物における蛍光が生じている蛍光強度を1点定め、その蛍光強度に達したサイクル数を決定した。数値化は、H1648を標準として行った。3点の濃度(1/1、1/10、1/100)のcDNAで行ったPCRにおいて、定められた蛍光強度に達したサイクル数をプロットした。測定対象物において定められた蛍光強度に達したサイクル数を内挿することで数値化した。
AKR1B10の定量は各サンプルにおける含まれるβ−アクチンに対する相対的濃度として決定した。まず、各サンプルにおける内在性のβ−アクチンの定量的PCRを行うことで初期鋳型DNA量を求めた。その値でAKR1B10の初期鋳型DNA量を割って補正を行い、得られた数値を目的遺伝子のmRNAの相対量とした。各サンプルのAKR1B10の相対比は、定量的PCRから得られたβ−アクチンの初期鋳型DNA量に対するAKR1B10の初期鋳型DNA量によって表した。
結果を図4に示す。AKR1B10のmRNAは、正常肺では5例すべてが、肺小細胞癌では10例すべてが、対β−アクチン発現量が2より少なかったのに対し、肺扁平上皮癌では9例中すべてが、肺腺癌では12例中5例が対β−アクチン発現量が2以上あったことより、肺非小細胞癌ではAKR1B10のmRNAの発現が亢進していることが確認された。
Figure 2005189228
[実施例2]抗AKR1B10モノクローナル抗体の作製
(1)免疫原の調製
AKR1B10遺伝子の増幅:AKR1B10のタンパク質(a)をコードする領域の遺伝子は、肝臓癌細胞株HepG2のcDNAから増幅させた。PCRプライマーには配列6又は7からなるEcoR I又はXho Iの制限酵素サイトのついたオリゴヌクレオチドを用いた。PCR用酵素及び試薬には、アドバンテージ2ポリメラーゼミックス(Advantage 2 Polymerase Mix;クロンテック社製)及びアドバンテージ2PCRバッファー(Advantage 2 PCR buffer)、200μM デオキシヌクレオチド三リン酸、0.2μMプライマーを用い、cDNA 1μLを鋳型にしたPCR(94℃30秒、68℃30秒、72℃3分、35サイクル)を行った。
PCR産物は0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行った後、AKR1B10の遺伝子と長さが同一である部位を切り出し、キアクイック ゲル抽出キット(QIAquick gel extraction kit;キアゲン社製)を用いてゲルからPCR産物の溶出及び精製を行った。
ライゲーション:PCR産物はDNAライゲーションキット(タカラ社製)を用いてpGEM−T easyベクター(プロメガ社製)に組み込みを行った。ゲルから精製を行ったPCR産物4μLに、ライゲーションバッファー5μL及びpGEM−T easyベクターを加え、16℃で30分間保温した。
PCR産物を組み込んだpGEM−T easyベクターはコンピテント細胞XL−1 Blue(ストラタジーン社製)へ形質転換し、5−ブロモ−4−クロロ−3−β−インドリルーガラクトピラノシド(5-Bromo-4-Chloro-3-Indolyl-β-Galactopyranoside;X-gal)を用いたカラーセレクションを行い、PCR産物が組み込まれたベクターのみを選出した。形質転換は、コンピテント細胞に10μLのライゲーション反応産物を加え、30分間氷冷後に、42℃のヒートショック45秒、続けて2分間氷冷して形質転換を起こさせた。さらに、抗生物質耐性遺伝子の発現を行うために抗生剤を含まないLB培地を900μL加え、37℃で30分間穏やかに撹拌した。遠心で菌体を回収し、20mg/mLのX−galを20μL散布させた、アンピシリンを含むLBプレートに菌体をまき込み、37℃で16時間培養した。プレート上で生育したコロニーのうち、発色をしていないコロニー(PCR産物がベクターに組み込まれていることが予想されるもの)を5個選択し、最終濃度が100μg/mLのアンピシリンを含む5mLのLB培地で37℃、16時間激しく撹拌し、菌体を増殖させた。
増殖した菌体の一部から、フェノール/クロロホルム抽出によってプラスミドDNAを回収し、EcoR I(8U/μL)を0.5μL、10×H バッファーを2μL、蒸留水を7.5μL加え、37℃で1時間消化を行った。0.8%のアガロースゲルを用いた電気泳動で消化物のサイズが目的のPCR産物のサイズと同一であることを確認した。
AKR1B10の遺伝子が組み込まれたと考えられるプラスミドDNAの回収はカンタムプレップ プラスミド ミニプレップキット(Quantum Prep Plasmid MiniPrep Kit (バイオラッド社製)を用いて行った。溶出は蒸留水で行った。
精製されたプラスミドに組み込まれたPCR産物の塩基配列の確認をキャピラリー電気泳動によるシーケンスで行った。シーケンスの反応は、ダイナミックETターミネーター サイクル シーケンス キット(DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit;アマシャムバイオサイエンス社製)を用い、各0.2μMのT7プライマー(配列番号9)及びSP6プライマー(配列番号10)を用いた。シーケンスによって得られたPCR産物の塩基配列は、Unigeneのデータから得られた野生型のAKR1B10配列(NM_020299.3)と比較し、変異のないPCR産物をもつプラスミドDNAを選び出した。
シーケンスで野生型のAKR1B10と同一のアミノ酸配列(配列番号1)をコードすることが確認されたプラスミドDNAは、制限酵素(EcoR I及びXho I)で酵素消化(37℃、1時間)を行い、0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行い、pGEM−T easyから遺伝子を単離、精製した。精製はキアクイック ゲル抽出キットを用いて行った。
pGEM−T easyによって増幅され、切り出されたフラグメントは、大腸菌タンパク質発現用ベクターであるpET41(ノバジェン社製)に組み換えた。pET41に組み込まれた遺伝子は、GST融合タンパク質として翻訳される。
pET41を制限酵素(EcoR I及びXho I)で消化し、電気泳動を行い、キアクイック ゲル抽出キットで精製を行った。pGEM−T easyによって増幅したAKR1B10の配列をもつフラグメントはDNAライゲーションキットを用いてpET41に組み込みを行った。
pGEM−T easyから精製を行ったAKR1B10フラグメント4μLに、ライゲーションバッファー5μL及びpET41を1μL加え、16℃で30分間保温した。
ライゲーション反応の終了したプラスミドDNAはXL−1 Blueへ形質転換を行い、カナマイシンを含むLB培地で16時間振盪を行い、菌体を増殖させた。増殖させた大腸菌から、カンタムプレップ プラスミド ミニプレップキットを用いて、プラスミドの精製を行った。pET41へのAKR1B10の挿入を確認するために、pETがもつ配列に対するプライマー(配列番号11及び12)でシーケンスを行った。
pET41ベクターに組み込まれた配列番号1のAKR1B10を、T7プロモーターを持つコンピテント細胞BL21 Codon PLUS RIL(ノバジェン社製)に形質転換させた。
形質転換は、以下の手順で行った。100μLのBL21 Codon PLUS RILにpET−AKR1B10‐FLを1μg/μL濃度で1μL加え5分間氷冷した。その後、42℃の恒温層に20秒間漬け、ヒートショックを与えた。さらに2分間氷冷した後、900μLの抗生剤無添加のLBを加え、37℃で10分間インキュベートした後に、遠心(1000×g、5分)を行った。
上清を廃棄した後コンピテント細胞を再懸濁させ、カナマイシンを含んだLBプレートにまきこんで37℃で16時間、選択培養を行った。
タンパク質合成は以下の手順で行った。プラスミドが導入されたと考えられるカナマイシン耐性のコロニーを、カナマイシンを含む5mLのLB培地の中でコンフルエントになるまで培養を行った。この培養液を500mLのカナマイシン入りLB培地に加え、旋回振とうさせながら37℃で培養を行った後に、菌体が増殖したことを確認した上で、タンパク質合成を誘導するIPTG(Isopropyl-Thio-β-D-Galactopyranoside)を500μMになるように加え、22℃で16時間、旋回振とう培養を行った。
大腸菌を用いて発現させたAKR1B10のGST融合タンパク質の精製はGSTとグルタチオンの結合を利用したアフィニティ精製で行った。まず、培養液を6000×g、4℃で10分間遠心することで大腸菌の菌体を回収した。菌体溶解バッファー(50mM塩化ナトリウム、1mM EDTA、1mM ジチオスレイトール(DTT)、50mMトリスヒドロキシアミノメタン塩酸塩, pH8.0)を加え、氷上で超音波処理を行った。その後、最終濃度が1%になるようにTriton X−100を添加し、13400×g、4℃で45分間遠心を行って上清を回収した。この上清にグルタチオンセファロース(アマシャムバイオサイエンス社製)を500μL加え、4℃で1時間転倒混和を行ない、GST‐AKR1B10融合蛋白質を吸着させた。
遠心(3000×g、4℃、5分)でグルタチオンセファロースを回収し、10mLのPBS−T(0.5%Triton X−100を含むPBS)で洗浄後、溶出バッファー(50mM還元型グルタチオン、200mM塩化ナトリウム1mM EDTA、1mMDTT、200mM Tris−HCl,pH8.0)を加えて4℃で1時間転倒混和し、GST融合タンパク質を溶出させた。遠心(3000×g、4℃、5分)によってグルタチオンセファロースを除去し、GST融合AKR1B10精製蛋白質を得た。PD−10カラム(アマシャムバイオサイエンス社製)でPBS溶液とし、ブラッドフォード法によってタンパク質濃度を定量し、SDS−PAGEによって純度を検定し、免疫に必要なタンパク質の量及び純度を満たしていることを確認し、このタンパク質を以下に示すモノクローナル抗体作製のための免疫原とした。
ヒトAKR1B10の完全長蛋白質(アミノ酸配列番号1番目から316番目)のGST−融合発現物(大腸菌発現物)精製品を免疫原とした。マウス(BALB/c雌6週齢)に50μg/匹で3回免疫した後、血清中の抗体価を検定した。抗体価検定法として、免疫原0.5μg/wellを固相化したELISA用プレートに、予めGST蛋白質で抗GST抗体のノイズを吸収させた免疫マウス血清の希釈列を反応させ、HRP標識抗マウス抗体の反応を経て、基質添加後に得られた発色について450nmの吸光度を測定する方法(免疫抗原固相ELISA法)を使用した。
抗体価亢進を認めたマウスに25μg/匹を最終免疫し、72時間後に脾臓細胞を採取し、骨髄腫細胞(P3/NSI−1−Ag4−1)と細胞融合(Kohler G, Milstein C: Nature 256, 495(1975))を行った。HAT選択培地で培養を行うことにより、ハイブリドーマを得た。ハイブリドーマの培養上清を予めGST蛋白質で吸収させた後に免疫抗原固相ELISAを行い、AKR1B10(大腸菌発現物)に対して反応するものを一次選抜した。免疫抗原ELISA陽性のバイブリドーマについては、COS7細胞にAKR1B10を強制発現させた細胞株のタンパク質抽出液を用いたウエスタン・ブロッティングにおいて特異性を検定した。陽性のものについて限界希釈法にてクローニングを行い、モノクローナル抗体産生株を樹立した。抗体産生ハイブリドーマをBALB/cマウスに接種することによってマウス腹水を得た。腹水中のモノクローナル抗体を硫安塩析法で精製し、精製抗体を調製した。
このようにして得られたモノクローナル抗体のGST−AKR1B10に対する抗体価を免疫抗原固相ELISAで測定した結果が図5である。抗体の濃度に比例して、免疫抗原に対する抗体の親和性が高くなっていることがわかる。また、コントロールとしてのGSTのみに対する抗体の親和性がないことより、得られた抗体はAKR1B10のタンパク質を特異的に認識するものであることが示された。図6は、COS7細胞に強制発現させたAKR1B10のタンパク質に対するウェスタン・ブロッティングの結果である。作製したモノクローナル抗体は、組換えAKR1B10を導入した細胞抽出液において40kDa付近のAKR1B10のタンパク質のみを認識していることより、この抗体がAKR1B10を特異的に認識していることがわかる。
[実施例3]抗AKR1B10抗体を用いたウェスタン・ブロッティングによる肺癌組織におけるAKR1B10のタンパク質の発現解析
ヒト肺非小細胞癌(腺癌及び扁平上皮癌)の組織抽出物を用いて抗AKR1B10モノクローナル抗体によるウエスタン・ブロットを行った。
ヒト組織抽出物調製は、組織片にRIPAバッファー(150mM塩化ナトリウム,1%NP−40,0.5%デオキシコール酸,0.1%SDS,50mM トリスヒドロキシアミノメタン塩酸塩 pH8.0)を添加して超音波破砕後、遠心して上清画分を回収して行った。各々の抽出サンプルについて蛋白質濃度をブラッドフォード法で定量し、4mg/mLとなるように調製した後、SDS‐サンプルバッファーと等量混合し(最終濃度 SDS濃度2%,2−メルカプトエタノール濃度5%)、95℃で5分間加熱処理を行った。15%ポリアクリルアミドゲルを調製して抽出物サンプルを10μgずつアプライし、SDS−PAGEを行った。ポリアクリルアミドゲル中でサイズによって分離されたAKR1B10は、Hybond−P膜(アマシャムバイオサイエンス社製)に100Vで60分間転写し、転写膜を調製した。
転写膜は5%スキムミルクで25℃1時間ブロッキングした後、50mM 塩を含むトリスヒドロキシアミノメタン塩酸バッファー(以下TBS)で3回洗浄した。
一次抗体である抗AKR1B10抗体を10μg/mL濃度で5mL/転写膜一枚分アプライし、室温で1時間反応させた後、TBSで3回洗浄を行った。二次抗体であるHRP標識抗マウスIgG抗体(アマシャムバイオサイエンス社製)の5000倍希釈液5mLをアプライし、室温で1時間反応させた後TBSで3回洗浄を行った。ECL plus検出試薬(アマシャムバイオサイエンス社製)を2mLアプライし、得られた化学発光シグナルをX腺フィルムに5分間感光させた。
得られた結果を図7に示す。図7から明らかように、3人の肺扁平上皮癌の患者から得られた癌部、非癌部を比較すると、すべての症例においてAKR1B10のタンパク質は明らかに癌部で発現が亢進していることが示された。このことは単に、癌でAKR1B10の発現が亢進していることを示すだけでなく、正常から癌に移行するに従って発現が亢進していることを示している。すなわち、AKR1B10は肺扁平上皮癌を規定するタンパク質である。肺腺癌ではわずかながらAKR1B10のバンドが検出された。
[実施例4]抗AKR1B10抗体を用いた免疫組織化学による肺癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌組織におけるAKR1B10のタンパク質の発現解析。
ヒト肺癌(小細胞癌、腺癌及び扁平上皮癌)、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、ヒト正常肺、ヒト正常食道の病理組織標本を用いて、抗AKR1B10モノクローナル抗体による免疫染色を行った。
各検体は、固定パラフィン包埋標本を4μmに薄切した切片をスライドガラスに張り付け、37℃で16時間置くことで十分乾燥させた。100%キシレンに5分間で3回漬けることで脱パラフィンし、100%アルコールに5分間を3回、70%エタノールで5分間漬けることで親水化を行った。その後、50mM TBSで5分間、3回洗浄した後、クエン酸バッファー(10mM,pH6.0)中で120℃10分間の抗原の賦活化を行った。抗原の賦活化後、TBSによる5分間で3回の洗浄を行った後、1μg/mLに希釈された抗AKR1B10抗体と室温で1時間反応させた。内在性のペルオキシダーゼを失活させるために、0.3%の過酸化水素で15分間、室温で作用させた。さらにTBSで3回洗浄した後、二次抗体であるENVISION+キット/HRP(DAKO)を1時間作用させた。TBSによる5分間で3回の洗浄後、発色基質にはDAB(3,3'-Diaminobenzidine Tetrahydrochloride)を用いた。また、核の対比染色にはヘマトキシリンを用いた。
肺癌における免疫組織化学の結果、肺扁平上皮癌では13例中9例でAKR1B10が陽性であることが示された(図8)。同様に、肺腺癌では12例中2例でAKR1B10が陽性であることが示された。また、食道癌では85例中69例、咽頭癌では10例中9例、舌癌では9例中7例、喉頭癌では12例中11例が陽性であることが示された(表2)
Figure 2005189228
肺小細胞癌の2例で染色が認められなかった。AKR1B10の染色は主に細胞質であったが、一部核に局在している症例が見られた(図8)。正常肺組織、正常食道組織では、AKR1B10の染色が認められなかった。また、食道癌、咽頭癌、喉頭癌及び舌癌組織でもAKL1B10の染色が認められた(図10〜図14)。
本発明の抗AKR1B10抗体が肺においては、肺非小細胞癌でのみ染色性を認めたことより、免疫組織化学で使用できる抗体であることが示されたと同時に、抗AKR1B10抗体を用いた免疫組織化学が肺非小細胞癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌の診断に有効であることが示された。
[実施例5]ウェスタン・ブロッティングによる様々な癌に由来する癌細胞株におけるAKR1B10のタンパク質の発現解析
作製された抗AKR1B10抗体を用いて84種類の癌細胞株に対してウェスタン・ブロッティングを行った結果が、図9である。肺癌に由来する細胞株(A549,H1395,H1648)の他、食道癌(TTn,TE−5,TE−6,TE−9,TE−11,TE−14,TE−15)、胃癌(2M,D3,MKN1,MKN45,NUGC4,Kato III)、腎癌(SKRC39,Caki1,Caki2,VMRC−RCZ,VMRC−RCW)、大腸癌(LoVo,T84)、子宮頸癌(ME−180)、脳腫瘍(T98G)、膵癌(Capan−1)、膀胱癌(JMSU3)に由来する細胞株でもAKR1B10の発現が認められた。
[実施例6]抗AKR1B10抗体を用いた共焦点レーザースキャン顕微鏡による細胞内局在解析
共焦点レーザースキャン顕微鏡による細胞内局在解析は、固定後、抗AKR1B10抗体を用いた細胞に対して行った。具体的には以下の通りである。培養された肺癌細胞株A549の培地を除去し、PBSで3回洗浄を行った。その後、4%パラホルムアルデヒドに5分間浸し、細胞の固定を行った。PBSで3回洗浄した後、0.2%Triton X−100を含むPBS溶液に5分間浸すことで、細胞膜の浸透化を行った。さらにPBSで3回洗浄した後、抗体希釈液(DAKO社製)に1時間浸すことで、非特異的な抗体の吸着を防ぐブロッキングを行った。
抗AKR1B10抗体が0.1mg/mLになるように希釈された一次抗体溶液に1時間作用させた。PBSで3回洗浄した後に二次抗体である1/100希釈されたFITC標識抗マウスイムノグロブリンG抗体(SIGMA社製)を1時間作用させた。二次抗体を作用させている間は遮光を行った。反応の終わった二次抗体を除去し、PBSで3回洗浄を行った。PBSを除去した後に、核の染色剤であるプロピリジウム イオード(PI)を含有した封入剤であるベクターシールド(ベクター社製)を添加し、カバーガラスをのせ、プレパラートを完成させた。
検鏡は、共焦点レーザースキャン顕微鏡(Leica社製)によって行った。FITCを励起させるための励起光は488nm、PIを励起させる励起光は568nmのレーザーで行った。検出した蛍光はFITCが500〜550nm、PIが600〜650nmであった。約0.6μm間隔で、細胞に対して垂直方向に3カ所の断面をスキャンした。各断面は8回の平均の測定である。
結果を図15に示した。抗AKR1B10抗体で認識されたAKR1B10は細胞によって細胞質にあるもの、核にあるものが混在していることがわかる。細胞の集密度によって、緑色に示されたAKR1B10の局在が核又は細胞質に変化している。また、同一の視野の中で染色されたAKR1B10が細胞質又は核と異なっているのは、本来均一な性質をもつ細胞の異なった状態を表している。この細胞株が均一な集団であることと細胞の集密度による局在の変化は、AKR1B10が細胞周期によって局在を変化させていることを示している。このような細胞内局在の変化は図9で示した免疫組織化学でも確認されている。癌細胞は細胞周期が異常な状態になっていることはよく知られており、AKR1B10の細胞内局在を制御することで細胞の癌化を制御することができることを示している。
ジーンチップによって正常組織、癌組織、及び癌細胞株におけるAKR1B10のmRNAの発現量を測定した結果である。 正常肺組織又は肺扁平上皮癌におけるAKR1B10のmRNAの発現量を半定量的PCRで測定した結果である。 正常肺組織又は肺腺癌、肺小細胞癌におけるAKR1B10のmRNAの発現量を半定量的PCRで測定した結果である。 正常肺組織又は肺扁平上皮癌、肺腺癌、肺小細胞癌におけるAKR1B10のmRNAの発現量を定量的PCRで測定した結果である。 免疫抗原固相ELISAによる抗AKR1B10抗体の抗体価の測定 COS7細胞に発現させた組換えAKR1B10のタンパク質に対するウェスタン・ブロッティングの結果である。 肺正常部及び癌部の臨床検体におけるAKR1B10のタンパク質をウェスタン・ブロッティングで検出した結果である。 肺正常部及び癌部の臨床検体(肺扁平上皮癌(A、B、C)、肺腺癌(D))におけるAKR1B10のタンパク質を免疫組織化学で検出したものである。 様々な癌に由来する癌細胞株におけるAKR1B10のタンパク質を検出した結果である。 食道癌の臨床検体におけるAKR1B10のタンパク質を免疫組織化学で検出したものである。 食道癌の臨床検体におけるAKR1B10のタンパク質を免疫組織化学で検出したものである。 咽頭癌の臨床検体におけるAKR1B10のタンパク質を免疫組織化学で検出したものである(上は上皮内、下は浸潤部)。 喉頭癌の臨床検体におけるAKR1B10のタンパク質を免疫組織化学で検出したものである。 舌癌の臨床検体におけるAKR1B10のタンパク質を免疫組織化学で検出したものである(下は上皮内)。 共焦点レーザースキャン顕微鏡によるAKR1B10の細胞内局在解析を行った結果である。

Claims (12)

  1. 生体試料中の、配列番号1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号1記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列からなりアルド−ケト−リグクターゼ活性を有するタンパク質を免疫学的手法により検出することを特徴とする癌の判定方法。
  2. 生体試料中の、配列番号1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号1記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列からなりアルド−ケト−リグクターゼ活性を有するタンパク質をコードするmRNA量を測定することを特徴とする癌の判定方法。
  3. 生体試料が、癌組織である請求項1又は2記載の判定方法。
  4. 癌組織が肺、喉頭、咽頭、舌、子宮、胃、腎、大腸、脳、膵および膀胱である請求項1〜3いずれか1項記載の判定方法。
  5. 検出が、生体試料中の、配列番号1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号1記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列からなりアルド−ケト−リグクターゼ活性を有するタンパク質に対する抗体を用いる免疫学的検出である請求項1、3又は4記載の判定方法。
  6. 判定の対象が、肺非小細胞癌である請求項1〜5のいずれか1項記載の判定方法。
  7. 生体試料が、血液である請求項1〜6いずれか1項記載の判定方法。
  8. 判定の対象が、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌、膀胱癌である請求項1〜5いずれか1項記載の判定方法。
  9. 生体試料中の、配列番号1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号1記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列からなりアルド−ケト−リグクターゼ活性を有する抗体を含有する癌の診断キット。
  10. 判定の対象が、肺非小細胞癌である請求項9記載のキット。
  11. 判定の対象が、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌、胃癌、腎癌、大腸癌、子宮頸癌、脳腫瘍、膵癌又は膀胱癌である請求項9記載のキット。
  12. 配列番号1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号1記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列からなりアルド−ケト−リグクターゼ活性を有するタンパク質の細胞内局在を制御することを特徴とする癌の治療方法。
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