JP2005189190A - 全反射減衰を利用した測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 全反射減衰を利用した測定装置において、測定精度を向上させる。
【解決手段】 凹部10cが形成された形状の誘電体ブロック10および凹部10cの底面に形成された金属膜12からなる測定チップ9の誘電体ブロック10と金属膜12との界面10bに光ビーム13を入射させ、界面10bで反射された光ビーム13を、一列に配列された複数のフォトダイオード17a,17b,17c,…からなる光検出器17により受光し、光検出器17のフォトダイオード17a,17b,17c,…が出力する光検出信号を、光検出器17に接続された差動アンプ18においてその配列方向に関して微分して差分値を出力させ、該差分値に基づいて界面12bでの反射光強度が極小値となる入射角を求める測定装置において、各フォトダイオード17a,17b,17c,…の受光面の該フォトダイオードの配列方向の長さPを、界面12bで全反射した光ビーム13中の暗線の受光面上における半値半幅aの0.6〜1.7倍の長さとする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料の分析をする表面プラズモン共鳴測定装置等の全反射減衰を利用した測定装置に関するものである。
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料中の物質を定量分析する表面プラズモン共鳴測定装置が種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
上記の系を用いる表面プラズモン共鳴測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られ、かつ表面プラズモン共鳴による全反射減衰が生じ得るように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変えて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した光ビームの成分を全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン共鳴測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に光検出手段により暗線として検出される。
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく、もしくは、p偏光成分のみを検出するように設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角θSPから表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、真空中の光速をc、金属、被測定物質の誘電率をそれぞれεとεをそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
Figure 2005189190
すなわち、上記反射光強度が低下する入射角(全反射減衰角)θSPを知ることにより、被測定物質の誘電率εs、つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
なおこの種の表面プラズモン共鳴測定装置においては、全反射減衰角θSPを精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特許文献2に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
特開平6−167443号公報 特開平11−326194号公報
既述のようにアレイ状の光検出手段の各受光素子からの信号の微分値(差分値)を用いれば、検出感度が向上することが知られている。
しかしながら、この各受光素子からの信号の差分値を用いる方式においては、受光素子面上での暗線幅と受光素子の配列方向の幅との相対的な関係が変化すれば差分信号が変化してしまうという問題が明らかになってきた。暗線幅は、測定光の波長や金属膜、誘電体ブロックの材質を変えることによって変化する。また、たとえ測定光の波長等を固定して暗線の広がり角を一定に保っても、装置の設計、例えば、界面と受光素子面との光学的距離が変化すれば、受光素子面上での暗線幅は変化する。
従って、差分方式により検出感度の向上を図っても、上述の問題により感度の向上が妨げられる虞があり、さらにこの問題により装置間による信号ばらつきが発生する虞があると考えられる。
本発明は上記事情に鑑みて、感度を向上すると共に、装置間の信号ばらつきを抑えることができる測定装置を提供することを目的とする。
本発明の全反射減衰を利用した測定装置は、光ビームを出射する光源と、
前記光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、
該誘電体ブロックの一面に設けられた薄膜層と、
前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して前記誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光ビーム入射光学系と、
前記界面において互いに異なる反射角で全反射した、暗線を含む光ビームの各成分を個別に受光するように隣接して配列された複数の受光素子からなる光検出手段と、
該光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、前記配列方向に関して微分して差分値を出力する微分手段と、
該微分手段により出力された差分値に基づいて、前記界面での反射光強度が極小値となる入射角を求める演算手段とからなる全反射減衰を利用した測定装置において、
前記複数の受光素子の受光面の前記配列方向の長さが、該受光面上における前記暗線の半値半幅の0.6〜1.7倍の長さであることを特徴とするものである。
前記長さが、前記暗線の半値半幅の0.8〜1.5倍の長さであることがさらに好ましく、前記長さが、前記暗線の半値半幅と同一の長さであることが最も好ましい。
なお、ここで半値半幅とは半値幅の二分の一の大きさをいい、半値幅は、光ビームの受光強度分布に対してローレンツ曲線をフィッティングさせた場合の該ローレンツ曲線における半値幅で定義するものとする。
上記のような測定装置としては、金属膜を上記薄膜層として用いる前述の表面プラズモン共鳴測定装置や、誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成された光導波層とからなる層を上記薄膜層として用いる前述の漏洩モード測定装置等がある。
本発明の全反射減衰を利用した測定装置は、界面において互いに異なる反射角で全反射した光ビームの各成分を個別に受光するように隣接して配列された複数の受光素子からなる光検出手段の、受光素子の受光面の配列方向の長さを光ビーム中の暗線の該受光面上における半値半幅の0.6〜1.7倍の長さとしてあるため、測定光の波長、測定チップの金属膜、材質等の相違、界面と受光面との光学的距離にかかわらず、精度の高い測定信号を取得することができる。
また、本発明の測定装置のように、受光素子の受光面の配列方向の長さと該受光面上における暗線の半値半幅の関係を規定することにより測定装置間の測定ばらつきを抑えることができる。
なお、受光面の受光素子配列方向の長さを光ビーム中の暗線の受光面上における半値半幅の0.6〜1.7倍としたことにより、測定装置において得られる最大差分傾きの90%以上の大きさの差分傾きを得ることができる。また、この長さを暗線の半値半幅の0.8〜1.5倍の長さとすれば、最大差分傾きの95%以上の大きさの差分傾きを得ることができ、さらに、該長さを暗線の半値半幅と同一の長さとすれば最大差分傾きを得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の一実施の形態の測定装置は、複数の誘電体ブロックに光ビームを並列的に入射させることにより複数の試料の分析を同時に行うことが可能な表面プラズモン共鳴測定装置であり、図1は本実施の形態の表面プラズモン共鳴測定装置の概略構成を示す平面図であり、図2はこの表面プラズモン共鳴測定装置の側面形状を示すものである。
上記表面プラズモン共鳴測定装置101は、同様の構成の複数の表面プラズモン測定ユニット101A、101B、101C…により構成されている。
各測定ユニットの構成について、個別の要素を表す符号であるA、B、C…の符号は省略して説明する。各測定ユニットは、測定チップ9と、光ビーム13を発生する光源であるレーザ光源14と、上記光ビーム13を測定チップ9に対して入射させる入射光学系15と、測定チップ9で反射された光ビーム13を平行光化して光検出器17に向けて射出するコリメーターレンズ16と、コリメーターレンズ16より出射された光ビーム13を受光して光強度を検出する光検出器17と、光検出器17に接続された差動アンプアレイ18と、差動アンプアレイ18に接続されたドライバ19と、ドライバ19に接続されたコンピュータシステム等からなる信号処理部20と、各測定ユニットの信号処理部20に接続された1つの表示手段21とからなる。
測定チップ9は、四角錐の4つの稜線が集まる頂角を含む一部分が切り取られ、かつこの四角錐の底面に試料液11を貯える試料保持機構として機能する凹部10cが形成された形状の誘電体ブロック10と、この誘電体ブロック10の凹部10cの底面に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる薄膜層である金属膜12とからなる。この誘電体ブロック10は、例えば透明樹脂等により形成することができる。なお、金属膜12の上に後述するセンシング媒体30を設けてもよい。また、測定チップ9の誘電体ブロック10は、互いに隣接する複数の表面プラズモン測定ユニットの測定チップの誘電体ブロックと一体的に構成されたものであってもよい。
入射光学系15は、レーザ光源14から射出された光ビーム13を平行光化するコリメーターレンズ15aと、この平行光化された光ビーム13を上記界面10bに向けて収束させる集光レンズ15bとから構成されている。
光ビーム13は、集光レンズ15bにより上述のように集光されるので、界面10bに対して種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なお、この入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そのため、界面10bで全反射した光ビーム13には、種々の反射角で全反射された成分が含まれることになる。なお、上記入射光学系15は、光ビーム13を界面10b上に点状に集光させずにデフォーカス状態で入射させるように構成してもよい。そのようにすれば、界面10b上のより広い領域において光ビーム13が全反射されるので、全反射減衰の状態の検出誤差が平均化されて全反射解消角の測定精度を高めることができる。
なお光ビーム13は、界面10bに対してp偏光で入射させる。そのようにするためには、予めレーザ光源14をその偏光方向が上記所定の方向となるように配設すればよい。その他、光ビーム13を界面10bに対してp偏光で入射させるには波長板で光ビーム13の偏光の向きを制御するようにしてもよい。
光検出器17は、複数の受光素子であるフォトダイオード17a、17b、17c…が1列に配列されてなるフォトダイオードアレイであり、フォトダイオードの配列方向が図2の紙面に略平行となるように、かつコリメーターレンズ16を通して平行光化されて入射される光ビーム13の伝播方向に対して略直交するように配設されている。すなわち、複数のフォトダイオード17a、17b、17c…は、界面10bにおいて種々の反射角で全反射された光ビーム13の各成分を、それぞれ異なるフォトダイオード17a、17b、17c…で受光するように隣接して配列されている。なお、各フォトダイオード17a、17b、17c…としては、それぞれの受光面の配列方向の長さP(図4(2)参照)が、光ビーム13中の暗線の半値半幅aと略同一となるものが選択されている。
光検出器17に接続された差動アンプアレイ18は、光検出器17の受光素子であるフォトダイオード17a、17b、17c…が出力する光検出信号を、フォトダイオードの配列方向に関して微分して差分値を出力する微分手段である。
ドライバ19は、図3の表面プラズモン共鳴測定装置の電気的構成を示すブロック図に示す通り、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c…の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路22a、22b、22c…、これらのサンプルホールド回路22a、22b、22c…の各出力が入力されるマルチプレクサ23、このマルチプレクサ23の出力をデジタル化して信号処理部20に入力するA/D変換器24、マルチプレクサ23とサンプルホールド回路22a、22b、22c…とを駆動する駆動回路25、および信号処理部20からの指示に基づいて駆動回路25の動作を制御するコントローラ26から構成されている。
以下、上記構成の表面プラズモン共鳴測定装置による試料分析について説明する。
図2に示す通り、レーザ光源14から射出された光ビーム13は、入射光学系15を通して、誘電体ブロック10と金属膜12との界面10b上に収束される。
界面10b上に収束され、この界面10bで全反射された光ビーム13は、コリメーターレンズ16を通して光検出器17によって検出される。光検出器17は、各フォトダイオード17a、17b、17c…によって検出された上記光ビーム13の強度分布を示す信号を出力する。
界面10bに特定入射角θSPで入射した上記光ビーム13の成分は、金属膜12とこの金属膜12に接している物質との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度が鋭く低下する。つまり上記特定入射角θSPが全反射解消角であり、この角度θSPにおいて反射光強度は極小値を示す。この反射光強度が低下する領域は、図2にDで示すように、界面10bで全反射された光ビーム13中の暗線として観察される。
光ビーム13は光検出器17の各フォトダイオード17a、17b、17c…により受光され、以下のような信号処理が行われる。
フォトダイオード17a、17b、17c…の各出力は、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c…に入力される。この際、互いに隣接する2つのフォトダイオードの出力が、共通の差動アンプに入力される。したがって各差動アンプ18a、18b、18c…の出力は、複数のフォトダイオード17a、17b、17c…が出力する光検出信号を、それらの配列方向に関して微分したものと考えることができる。
各差動アンプ18a、18b、18c…の出力は、それぞれサンプルホールド回路22a、22b、22c…により所定のタイミングでサンプルホールドされ、マルチプレクサ23に入力される。マルチプレクサ23は、サンプルホールドされた各差動アンプ18a、18b、18c…の出力を、所定の順序に従ってA/D変換器24に入力する。A/D変換器24はこれらの出力をデジタル化して信号処理部20に入力する。
図4は、界面10bで全反射された光ビーム13の界面10bへの入射角θに対応するフォトダイオードの受光面位置毎の光強度と、差動アンプ18a、18b、18c…の出力との関係を説明するものである。ここで、光ビーム13の界面10bへの入射角θと上記反射された光ビーム13の光強度Iとの関係は、すなわちフォトダイオードアレイ上のフォトダイオード配列方向位置xと光強度Iとの関係で表され、同図(1)のグラフに実線で示すようなものであるとする。配列方向位置xは入射角θと対応付けられるものであり、全反射減衰解消角θSPに対応する位置をxSPで示す。
また図4の(2)は、フォトダイオード17a、17b、17c…の配列方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード17a、17b、17c…の配列方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。
そしてフォトダイオード17a、17b、17c…の配列方向位置差動アンプ18a、18b、18c…の出力I’(反射光強度Iの差分値)との関係は、同図(3)に示すようなものとなる。
信号処理部20は、A/D変換器24から入力された差分値I’の値に基づいて、差動アンプ18a、18b、18c…の中から、差分値として正の値を有し、かつ全反射解消角θSPに対応する位置xSPにおける差分値I’=0に最も近い出力が得られているもの(図4(3)の例では差動アンプ18eとなる)と、差分値として負の値を有し、かつ位置xSPに対応する差分値I’=0に最も近い出力が得られているもの(図4(3)の例では差動アンプ18dとなる)を選択し、それらの差動アンプが出力する差分値に基づいて、位置xSPすなわち全反射解消角θSPを算出する。なお、場合によっては差分値I’=0を出力している差動アンプが存在することもあり、そのときはその差動アンプに基づいて全反射解消角θSPを算出する。以後、所定時間が経過する毎に上記と同様な動作を繰り返し、全反射解消角θSPを算出し、測定開始時からの角度変化量を求め表示手段21に表示する。
上述のように、測定チップ9の金属膜12に接している物質の誘電率つまりは屈折率が変化すると、それに応じて全反射解消角θSPも変化するため、この全反射解消角θSPの角度変化量を時間の経過とともに測定し続けることにより、金属膜12に接している物質の屈折率変化を調べることができる。
なお金属膜12の上に、試料液11の中の特定物質と結合するセンシング媒体30を固定した場合、試料液11とセンシング媒体30との結合状態に応じてセンシング媒体30の屈折率が変化するので、上記差分値I’を測定し続けることにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。つまりこの場合は、試料液11およびセンシング媒体30の双方が、分析対象の試料となる。そのような特定物質とセンシング媒体30との組合せとしては、例えば抗原と抗体等が挙げられる。
ところで、図4(1)に示すような光ビームの反射強度曲線における暗線の半値幅の大きさは、測定光の波長や金属膜、誘電体ブロックの材質、界面とフォトダイオードの受光面との光学的距離等の装置構成が変化すれば変化する。図4(1)には光ビーム強度曲線(実線)と併せて該この光ビーム強度曲線に対してフィッティングさせたローレンツ曲線(点線)を示している。ここでは、光ビームにおける暗線幅はこのローレンツ曲線(f(x)=1-1/(x2+a2))の半値幅2aで定義する。
界面と受光面との距離を88mmとした構成の測定装置において、受光面上における暗線の半値幅2a=1.2mm(半値半幅a=0.6mm)のとき、受光面の受光素子配列方向の長さを変化させた場合、図4(3)に示すような差分信号I’における全反射減衰位置での傾きがどのように変化するかを調べた結果を図5に示す。
図5には、受光面の受光素子配列方向の長さ(以下、「PD長」という)(a)0.1545mm、(b)0.309mm、(c)0.618mm、(d)0.927mm、(e)1.236mm、(f)3.09mm、(g)4.326mm、(h)6.18mmのそれぞれの場合についての差分信号I’曲線を示している。図5に示すグラフから、受光面上における暗線の幅が一定の場合であっても、PD長によって全反射減衰位置θSPの傾き(差分傾き)が大きく変化することが分かる。一般に、差分傾きが大きいほど感度が高く、差分傾きが小さいほど感度が低い、したがって、所定の暗線幅に対する差分傾きが最大となるようなPD長とすることが最も好ましい。
図5の各PD長と差分傾きの関係を図6に示す。図6においては、PD長と受光面上における暗線の半値幅との関係を一般的なものとして表すために、PD長を暗線の半値半幅で規格化している。なお、PD長が長くなると、ファンビーム状の光ビーム中のいずれの場所に暗線があるかによって点線矢印で示す範囲で差分傾きが大きく変化する。図6の実測値に対してフィッティングさせた近似曲線(実線)で示すように、PD長と差分傾きの関係は、PD長が半値半幅と同一長である点で最大値を取る曲線で表されるものとなった。
図6から、PD長は、半値半幅と同一長であるとき、差分傾きが最大となり最もよい感度が得られることが明らかになった。上述の実施形態の測定装置においては、PD長と半値半幅が略同一長であるものとしたが、最大差分傾きの90%以上の傾き、より好ましくは95%以上の傾きが得られる範囲であれば良好な感度の測定を行うことができると考えられる。すなわち、PD長は、暗線の半値半幅と同一長であることが最適であるが、暗線の半値半幅の0.6〜1.7倍の長さ、より好ましくは半値半幅の0.8〜1.5倍の長さであればよい。
上述の表面プラズモン共鳴測定装置は、一部の構成を変更することにより漏洩モード測定装置とすることができる。図7は、上述の表面プラズモン共鳴測定装置101の一部を変更して構成した漏洩モード測定装置の測定ユニットの側面図である。なおこの図7において、図2中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
この漏洩モード測定装置も、上述の表面プラズモン共鳴測定装置と同様に測定チップ9を用いるように構成されている。この測定チップ9の上面に形成された凹部10cの底面にはクラッド層40が形成され、さらにその上には光導波層41が形成されている。これらクラッド層40と光導波層41とによって薄膜層が形成されている。
誘電体ブロック10は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層40は、誘電体ブロック10よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層41は、クラッド層40よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層40の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層41の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
上記構成の漏洩モード測定装置において、レーザ光源14から射出された光ビーム13を誘電体ブロック10を通してクラッド層40に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム13の多くの成分が誘電体ブロック10とクラッド層40との界面10bで全反射するが、クラッド層40を透過して光導波層41に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層41を導波モードで伝搬されるようになる。こうして導波モードが励起されると、特定入射角で入射した入射光のほとんどが光導波層41に取り込まれるので、上記界面10bに特定入射角で入射し、全反射された光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
光導波層41における導波光の波数は、該光導波層41上の試料液11の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角である全反射解消角を知ることによって、試料液11の屈折率や、それに関連する試料液11の特性を分析することができる。本実施形態の漏洩モード測定装置においても、光検出器17のフォトダイオード17a、17b、17c、…の受光面の配列方向の長さ(PD長)と受光面上における暗線の半値半幅との関係が上記実施の形態と同様の構成であることから、最大の差分傾きを得ることができ良好な感度の測定を行うことができる。
本発明の実施の形態による表面プラズモン共鳴測定装置の概略構成を示す平面図 表面プラズモン共鳴測定装置の側面形状を示す図 表面プラズモン共鳴測定装置の電気的構成を示すブロック図 光ビームの界面への入射角と差動アンプの出力との関係を示す図 異なるPD長を有する光検出器において得られる差分信号を示すグラフ PD長と差分傾きとの関係を示すグラフ 漏洩モード測定装置の一例を示す図
符号の説明
9 測定チップ
10 誘電体ブロック
10b 界面
12 金属膜
13 光ビーム
14 レーザ光源
15 入射光学系
16 コリメータレンズ
17 光検出器
17a、17b、17c、… フォトダイオード
18 差動アンプアレイ
19 ドライバ
20 信号処理部
21 表示手段
50 測定チップユニット
101 表面プラズモン共鳴測定装置
101A、101B、101C… 表面プラズモン測定ユニット

Claims (3)

  1. 光ビームを出射する光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、
    該誘電体ブロックの一面に設けられた薄膜層と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して前記誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られ種々の角度で入射させる光ビーム入射光学系と、
    前記界面において互いに異なる反射角で全反射した、暗線を含む光ビームの各成分を個別に受光するように隣接して配列された複数の受光素子からなる光検出手段と、
    該光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、前記配列方向に関して微分して差分値を出力する微分手段と、
    該微分手段により出力された差分値に基づいて、前記界面での反射光強度が極小値となる入射角を求める演算手段とからなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記複数の受光素子の受光面の前記配列方向の長さが、該受光面上における前記暗線の半値半幅の0.6〜1.7倍の長さであることを特徴とする測定装置。
  2. 前記長さが、前記暗線の半値半幅の0.8〜1.5倍の長さであることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
  3. 前記長さが、前記暗線の半値半幅と同一の長さであることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
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