JP2005188967A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】最適な制御パラメーター値を効率的に選び出すことが可能な高速の走査型プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】走査型プローブ顕微鏡測定データは凹凸情報を白黒濃度に対応させた画像としてモニター画面201の走査画像表示領域202に、試料ラインプロファイルの測定位置を示す線203と一緒に表示される。測定パラメーター値は測定パラメーター値表示領域205内に整理されて表示される。試料ラインプロファイル表示領域204には行きの試料ラインプロファイル207と帰りの試料ラインプロファイル208とが表示される。試料ラインプロファイルはX走査の周波数未満の値に設定された周波数で更新される。測定パラメーター値はXY方向に繰り返し走査している間に操作者により適宜変更される。変更された測定パラメーター値は次の更新のタイミングまでに測定動作に反映される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関する。
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、機械的探針を機械的に走査して試料表面の情報を得る装置であり、走査型トンネリング顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型磁気力顕微鏡(MFM)、走査型電気容量顕微鏡(SCM)、走査型近接場光顕微鏡(SNOM)、走査型熱顕微鏡(SThM)などの総称である。原子間力顕微鏡は、これらの中で最も普及しており、試料の導電性絶縁性を問わずその凹凸像をナノメートルオーダーの分解能で測定・画像化することができる。原子間力顕微鏡は、例えば特開昭62−130302号公報に開示されている。原子間力顕微鏡は、真空中・大気中・液体中いずれの測定環境においても測定可能であり、最近では、真空環境を必要とする電子顕微鏡では測定することができない液体中の生きた生体試料のナノメートルオーダーの分解能での観察への応用が注目されている。
現在市販されている原子間力顕微鏡では、一画面を取得するのに数分もの長い時間がかかるのが普通である。しかし、特開2001−330435号公報に開示されている走査型プローブ顕微鏡は、1画面/秒以下の描画レートで液体中の試料の観察が可能であり、言わば高速原子間力顕微鏡と言える。この装置によれば、液中で動いている生体分子やDNAなど生体試料がナノメートル領域で秒単位からサブ秒単位で動く様子を観察することができる。
原子間力顕微鏡では、走査機構を中心に各種の機構の機械的な動きを設定値に基づき制御して、カンチレバーの先端にある探針と試料表面とが安定して相互作用する状態を保ち、探針と試料を相対的にXY方向に走査して試料表面凹凸に対応する三次元画像を得ている。このため、各種の機構の機械的な動きの制御の状態が、得られる三次元画像の画質に大きな影響を与える。
制御あるいは測定のパラメーターには、走査領域の位置や広さ、走査速度、試料への探針の押し込み深さ、試料への探針押し込み深さを一定に保つためのZ方向走査のPID(比例・積分・微分)フィードバック制御条件などがある。探針と試料とのXY方向走査の速度、特に走査速度の速いX方向走査の速度も画質に影響を与える制御対象のパラメーターである。また探針を先端にもつカンチレバーを振動させながら非接触で間欠的に試料と接触させXY方向に相対走査して画像を得る観察法の場合には、カンチレバーの振動周波数や振動振幅も制御対象のパラメーターとなる。
このように画質に影響を与える制御対象のパラメーターがたくさんあるため、米国特許第5,400,647号明細書では、最適なパラメーター値に設定するため、X方向の往復走査を行ないながらそのときの行きと帰り一対のラインプロファイル(XZ断面プロファイル)をモニター上に表示しながら、制御パラメーター値を変化させ、最適なパラメーター値を選ぶ方法が開示されている。X走査の行きと帰りそれぞれのラインプロファイルを、コンピューターモニター上に逐次表示し、両ラインプロファイルが似通ったプロファイルとなるか否かを判断指標として用いる。この手法によれば、最適な制御パラメーター値による制御によってきれいな画像を得ることが可能になる。また、同じ試料を異なる測定で観察しても同様な画像品質のデータを得ることが可能になる。
この手法は、試料が固体である場合や動いていても数分レベル以上のゆっくりした動きを伴う試料である場合には最適な制御パラメーター値を短時間で探すのに有効である。市販の原子間力顕微鏡ではX方向走査の周波数が早くても0.1Hzから1Hzであって、X走査1ラインのみを表示することになるラインプロファイルの場合は、そのモニター画面上での更新の周波数はX方向走査の周波数に一致しているので、測定者は各プロファイルを画像として認識し、行きと帰りのプロファイルを比較することができる。
特開昭62−130302号公報 特開2001−330435号公報 米国特許第5,400,647号明細書
特開2001−330435号公報に開示されている高速の走査型プローブ顕微鏡は、X方向走査の周波数が100Hzから1000Hzと市販の装置の50から100倍も高速である。従って、米国特許第5,400,647号明細書の手法によって各X走査ラインの行きと帰りのラインプロファイルを表示しても、一つ一つのラインプロファイルを認識することは不可能である。試料が固体の場合、例えば溝がY方向走査軸に沿っているグレーティングの場合には、試料の規則性が高いのでかろうじてこの手法が使える。しかし、測定領域において形状的な規則性を持たず、しかも数秒以下の短い時間に形状が変化するような生体試料の場合には、ラインプロファイルは流れるように表示されてしまう。このため、それを見ても最適な制御パラメーターを選定することは実質的に不可能である。
本発明は、この様な実状を考慮して成されたものであり、その目的は、最適な制御パラメーター値を効率的に選び出すことが可能な高速の走査型プローブ顕微鏡を提供することである。
本発明の走査型プローブ顕微鏡は、測定パラメーター値の設定のための測定を行なう際、あらかじめ設定された走査領域内においてXY方向に探針と試料を相対的に繰り返し走査しながら1フレーム中の所定のY方向走査位置における一つのX方向走査の往復の試料ラインプロファイルを取得し、取得した試料ラインプロファイルをモニター画面に表示し、モニター画面に表示されている試料ラインプロファイルをX走査の周波数未満の周波数で更新するとともに、相対的にXY方向に繰り返し走査している間に変更された測定パラメーター値は次の更新のタイミングまでに測定動作に反映する。
本発明の別の走査型プローブ顕微鏡は、測定パラメーター値の設定のための測定を行なう際、複数の測定パラメーター値セットを設定し探針を試料表面にアプローチした後、それぞれの測定パラメーター値セットに応じた測定を順次切り替えながら繰り返し行ない、それぞれの測定パラメーター値セットに応じた測定の1フレーム中の所定のY方向走査位置における一つのX方向走査の往復の試料ラインプロファイルを測定パラメーター値セットの数だけ取得し、取得した複数の試料ラインプロファイルをモニター画面に表示し、モニター画面に表示されている試料ラインプロファイルをX走査の周波数未満の周波数で更新するとともに、相対的にXY方向に繰り返し走査している間に変更された測定パラメーター値は次の更新のタイミングまでに測定動作に反映する。
本発明によれば、最適な制御パラメーター値を効率的に選び出すことが可能な高速の走査型プローブ顕微鏡が提供される。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
第一実施形態
図1は、本発明の第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、ハードウェア的には、特開2001−330435号公報に開示されている走査型プローブ顕微鏡と同じ構成である。
図1において、走査型プローブ顕微鏡100は、大まかに走査型プローブ顕微鏡機能の部分と光学顕微鏡機能の部分とを有している。
走査型プローブ顕微鏡機能の部分は、筐体101、光センサーユニット102、センサーユニット用Zステージ103、スライドガラス104、スライドガラス保持部105、カンチレバーチップ106、走査機構保持台107、走査機構108、アクチュエータ駆動回路112、走査制御回路113、フィードバック回路114、AC/DC変換回路115、発振回路116、プリアンプ回路117、半導体レーザー駆動回路118、コンピューター119、モニター120、入力部160を有している。
また光学顕微鏡機能の部分は、光源ランプ139レンズ138を含む顕微鏡観察照明光学系110、接眼レンズ140を含む顕微鏡観察観察光学系111、ハーフプリズム137、顕微鏡照明ランプ電源121、更に走査型プローブ顕微鏡機能の部分と共用する光センサーユニット102の対物レンズ122を有している。
走査型プローブ顕微鏡機能の部分について説明を加える。走査機構保持台107は、手動で微小送りができる三本のマイクロメータヘッド135(図1には二本のみが描かれている)により、筐体101上に三点支持されている。また、走査機構108は、走査機構保持台107に支持されており、試料109は、図中下向きに、すなわちカンチレバーチップ106側と対向するように、走査機構108に取り付けられる。走査機構108は、試料109をX軸、Y軸、Z軸に沿って微動走査させる。走査機構108は、X軸、Y軸、Z軸のおのおのに関してカンチレバーチップ106の探針132と試料109との位置の粗調整を行なう調整機構を備えていてもよい。
光センサーユニット102は、カンチレバーチップ106のカンチレバー131の動きを測定する、光てこ方式の光センサーである。光センサーユニット102は、対物レンズ122、対物レンズ支持台123、プリズム124、偏光ビームスプリッター125、コリメートレンズ126、半導体レーザー127、レーザー位置調整ステージ128、二分割フォトダイオード129、フォトダイオード位置調整ステージ130を有している。
半導体レーザー127から発せられた光は、コリメートレンズ126で平行光とされた後、偏光ビームスプリッター125で反射された後、プリズム124で更に反射され、対物レンズ122に入る。平行光は、対物レンズ122で集光され、カンチレバーチップ106のカンチレバー131の背面に集光される。カンチレバー131の背面で反射された光は、逆の道をたどり、偏光ビームスプリッター125を通過し、更に直進して二分割フォトダイオード129に至る。カンチレバー131の角度変位は、二分割フォトダイオード129上の光スポットの動きに反映され、電気信号として出力される。
光センサーユニット102の対物レンズ122は、顕微鏡観察照明光学系110、顕微鏡観察観察光学系111とともに、光学顕微鏡観察光学系を構成し、試料109の光学顕微鏡観察を可能にする。対物レンズ122は、光学顕微鏡用の対物レンズであり、例えば20倍の倍率を有する。
センサーユニット用Zステージ103は、対物レンズ122を含む光センサーユニット102の位置を粗動調整するためにあり、光センサーユニット102に含まれる対物レンズ122を上下させ、光センサーの焦点合わせや顕微鏡観察の焦点合わせを行なう。
スライドガラス保持部105は、スライドガラス104を保持する。スライドガラス保持部105には、カンチレバーチップ106の取り付け部から離れたところに、カンチレバー131を励振させるための励振用圧電素子133が固定されている。この励振用圧電素子133にはカンチレバー131の共振周波数近傍の交流電圧が印加される。励振用圧電素子133は、この電圧印加に応じて振動し、その振動はカンチレバーチップ106に伝わりカンチレバー131を振動させる。
このようにカンチレバー131を振動させる測定では、光センサーユニット102から出力されるカンチレバー131の変位信号は交流的になる。AC/DC変換回路115は、これを直流信号に変換する。カンチレバー131を振動させない測定では、この回路はバイパスし動作させなくてもよい。
また、図1には、液体中での観察の様子が描かれており、走査機構108の試料109の付近からカンチレバーチップ106が固定されたスライドガラス104の近傍に、水134が垂らされており、試料109とカンチレバーチップ106は共に水中に位置している。大気中での測定を行なう場合には、この水134は不要である。
図1に示されるように、走査型プローブ顕微鏡100は、装置を制御/駆動する電気回路などを含んでいる。
走査制御回路113には、コンピューター119から、XYZ走査の制御信号が与えられる。図1に「Z」で記される信号は、走査機構108のZ走査用のアクチュエータとカンチレバーチップ106の探針132との距離を調整するための信号である。この「Z」の信号は主に測定前のフォースカーブ測定のときなど測定条件設定時にコンピューター119から出力される。またコンピューター119は発振回路116を制御して、励振用圧電素子133を動作させ、カンチレバー131をその共振周波数付近で振動させる。
測定に入ると、コンピューター119から出力されるラスター走査制御信号(図に「X」と「Y」で記される)に基づいて、走査機構108のアクチュエータがX軸とY軸に沿って走査される。カンチレバー131の先端にある探針132と試料109の表面との相互作用に基づくカンチレバー131の変位は光センサーユニット102で検出され、光センサーユニット102はその変位信号を出力する。光センサーユニット102からの変位信号出力は、プリアンプ回路117で増幅され、AC/DC変換回路115に入力される。AC/DC変換回路115は、発振回路116からの参照信号の周波数成分の信号を抽出し、交流信号を直流信号に変換する。
フィードバック回路114は、コンピューター119から指示されたセッティング信号とAC/DC変換回路115からの入力信号とを比較し、走査制御回路113にZフィードバック信号Zfbを送る。このZフィードバック信号ZfbがZ方向アクチュエータの走査制御信号となる。走査制御回路113は、Zフィードバック信号Zfbに基づいてアクチュエータ駆動回路112を制御し、走査機構108のZ走査用のアクチュエータを駆動する。コンピューター119は、自分自身が発生する「X」と「Y」の走査制御信号とフィードバック回路114からの信号を元に、試料109の表面情報を三次元情報として処理し、モニター120に表示させる。
以下、この走査型プローブ顕微鏡100におけるコンピューター119による制御動作について説明する。
まず、画像取得のための測定に際し最適な測定パラメーター値への設定のための測定を行なう際、あらかじめ複数の測定パラメーターのデフォルト値あるいはその直前に行なった測定のときの測定パラメーター値を初期測定パラメーターとして設定する。次に、フォースカーブ測定として知られる探針132の位置とカンチレバー131の変形量の関係を知るための測定シークエンスを行ない、モニター120に表示されているフォースカーブに基づき探針132を試料109の表面にアプローチしたときの探針132の荷重値を設定するように、Z方向走査用の圧電体への印加電圧を調整し設定する。
次に、あらかじめ設定された走査領域内において、やはりあらかじめ設定された周波数で、XY方向に探針132と試料109とを相対的に繰り返し走査する。この後は、走査領域に対してあらかじめ設定されたXY各方向の画素に対応した走査型プローブ顕微鏡測定データを取り込む。ここで、走査型プローブ顕微鏡測定データとは、カンチレバー131の変位を設定した値に保つように、Z方向圧電体を駆動制御するフィードバック制御電圧値である。
1フレーム中の所定のX方向走査ラインを選択し、その試料ライン上の往復の走査型プローブ顕微鏡測定データを取り込み、その試料ラインプロファイルをモニター120に表示する。この試料ラインプロファイルは次の更新のタイミングまでモニター120に表示され続ける。
続いて、このとき表示されている試料ラインプロファイルを、X走査の周波数未満の値に設定された周波数で更新する。モニター120上の試料ラインプロファイルの更新は、走査プローブ顕微鏡を扱う人間が試料ラインプロファイルの形を認識できる0.1秒以上の時間間隔で行なう。
例えば、100画素×100画素の走査型プローブ顕微鏡画像を0.1秒で描画する場合、すなわちフレームレートが10Hzの場合、X走査の周波数は1kHzになる。画像取得のための測定に際し最適な測定パラメーター値への設定のために、100画素×1ラインをそれと同じ1kHzで繰り返し走査すれば往復の試料ラインプロファイルは1kHzでコンピューター119に取り込まれるが、市販のモニターのリフレッシュレートより高い周波数であり、全てをリアルタイムで表示することができない。また表示できるような工夫がなされても、走査型プローブ顕微鏡を扱う人間はそれを認識することができない。
これに対して、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡100では、試料ラインプロファイルはX走査の周波数未満の周波数で更新されて表示される。上述した例では100走査に一回の割合、すなわち10フレームに一回の割合でモニター120上の試料ラインプロファイルを更新すれば、10Hzで試料ラインプロファイルが最新のデータに更新される。
また、モニター120の画面に表示されている測定パラメーター値は、XY方向に相対的に繰り返し走査している間に、走査プローブ顕微鏡を扱う人間つまり操作者によって入力部160を介して適宜変更される。これに対して、コンピューター119は、変更された測定パラメーター値を、次の更新のタイミングまでに測定動作に反映させる。
図2は、上記の試料ラインプロファイルを表示しているモニター画面201の例を示している。モニター画面201において、設定された走査領域の走査型プローブ顕微鏡測定データは、走査画像表示領域202に凹凸情報を白黒濃度に対応させた画像として表示される。走査画像表示領域202には、走査領域中の試料ラインプロファイルの測定位置を示す線203が一緒に表示される。この測定のときに設定されている最新の測定パラメーター値は、測定パラメーター値表示領域205内に整理されて表示される。複数の測定パラメーター値は、測定パラメーター値表示領域205内にある複数の領域206にそれぞれ表示される。試料ラインプロファイルは試料ラインプロファイル表示領域204に表示される。試料ラインプロファイル表示領域204には、行きの試料ラインプロファイル207と帰りの試料ラインプロファイル208とが表示される。
以上より、高速の走査型プローブ顕微鏡100の画像取得のための測定に際し最適な測定パラメーター値への設定のため指標が適切なタイミングで与えられる。走査型プローブ顕微鏡100を扱う人間は、認識可能に時間表示される試料ラインプロファイルの形状を見ながら、複数ある測定パラメーター値を変更して、よりコントラストの高い試料ラインプロファイルになるよう測定パラメーター値を調整することができる。
上述した説明では、モニター120上の試料ラインプロファイルの更新は、X走査の周波数にあわせた時間間隔、つまりX走査の周期の整数倍の時間間隔で行なっているが、X走査の周期とは独立した一定の時間間隔で行なってもよい。
また、更新の周波数は固定せず、コンピューターのキーボードから入力指示して、最も見やすい周波数に変更できるようにしてもよい。
特開2001−330435号公報に開示されている高速の走査型プローブ顕微鏡は、X方向走査の周波数が最高で1000Hz程度であって市販の装置の50〜100倍も高速である。従って、このような高速の走査型プローブ顕微鏡を使う測定に米国特許第5,400,647号明細書の手法を適用し、各X走査ラインの行きと帰りのラインプロファイルを表示しようとしても、一つ一つの試料ラインプロファイルを認識することは不可能である。
これに対して、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡100によれば、試料109が測定領域において形状的な規則性を持たず、しかも数秒以下の短い時間の間に形状が変化するような生体試料であっても、認識可能な時間表示される試料ラインプロファイルの形状をたよりに、測定パラメーター値を変更したときに、試料ラインプロファイルのコントラストが上がるか否か、ノイズが増えるか減るかなどを総合的に判定し、測定パラメーター値を効率的に最適なに収束させることができる。その結果、最適な制御パラメーター値によって測定を行なって高速の走査型プローブ顕微鏡できれいな動画像を得ることができる。
本実施形態では100画素×1ラインを1kHzで繰り返し走査するとして説明したが、1フレーム100画素×100ラインを走査しながらそのうちの1ラインを試料ラインプロファイル測定のためのラインとして設定し、これをフレームレートの周波数あるいはそれ以上の周波数で更新・表示してもかまわない。この手法によれば必要以上に同一ライン上を高速走査せずに済み、必要以上の走査により試料109が壊れることを防ぐことができる。
なお、更新周波数の目安は、30Hzから0.5Hzであって、より実効的には10Hzから1Hzである。
第二実施形態
本実施形態の走査プローブ顕微鏡は、ハードウェア的な構成は第一実施形態と同じである。本実施形態では、試料ラインプロファイルの表示を走査型プローブ顕微鏡を扱う人間が認識可能な周波数でするという第一実施形態の考えを踏襲しながら、よりコンピューター119に依存した制御を行なって、より効率的に測定パラメーター値を最適な値に設定できるようにする。
本実施形態では、走査型プローブ顕微鏡100のコンピューター119による制御動作は次のように行なわれる。
まず、測定パラメーター値の設定のための測定を行なう際、複数の測定パラメーター値セットを設定する。ここで測定パラメーター値セットとは、走査領域の位置や広さ、画素数、X方向走査周波数、試料への探針の押し込み深さ、試料109への探針132の押し込み深さを一定に保つためのZ方向走査のPIDフィードバック制御条件などが一組となった制御値の集合を指す。また、探針132を先端にもつカンチレバー131を振動させながらで、もしくは間欠的に試料109と接触させXY方向に相対走査して画像を得る観察法の場合には、カンチレバー131の振動周波数や振動振幅も制御対象のパラメーターとなる。
次に、探針132を試料109の表面にアプローチした後、それぞれに応じた測定を順次切り替えながら繰り返し行ない、それぞれの測定パラメーター値セットに応じた測定の1フレーム中の所定の位置のX方向走査の往復の試料ラインプロファイルを測定パラメーター値セットの数だけ取得する。取得した複数の試料ラインプロファイルはモニター120の画面上に表示する。表示されている試料ラインプロファイルは次の更新のタイミングまでモニター120の画面上に表示され続ける。
続いて、モニター120の画面上に表示されている複数の試料ラインプロファイルを、複数フレームに一回、走査型プローブ顕微鏡100を扱う人間に認識可能な周波数で更新する。更新の時間間隔の詳細は第一実施形態と同様である。
なお、測定パラメーター値セットの順次切り替えは、コンピューター119から吐き出される測定パラメーター値セットが順次切り替えられることにより行なわれる。
図3は、上記の試料ラインプロファイルを表示しているモニター画面301の例を示している。モニター画面301において、設定された走査領域の走査型プローブ顕微鏡測定データは、走査画像表示領域302に凹凸情報を白黒濃度に対応させた画像として表示される。走査画像表示領域302には、走査領域中の試料ラインプロファイルの測定位置を示す線303と304と305が一緒に表示される。この測定のときに設定されている最新の測定パラメーター値は、測定パラメーター値表示領域309と310と311の中に整理されて表示される。測定位置を示す線303と304と305にそれぞれ対応する試料ラインプロファイルは、それぞれ試料ラインプロファイル表示領域306と307と308に表示される。おのおのの試料ラインプロファイル表示領域306と307と308には、行きの試料ラインプロファイルと帰りの試料ラインプロファイルとが表示される。
測定位置と試料ラインプロファイルと測定パラメーター値は、相互の関係を理解しやすくするために、測定位置を示す線303と304と305と試料ラインプロファイル表示領域306と307と308と測定パラメーター値表示領域309と310と311とはそれぞれ上・中・下の位置関係で対応し関連づけられている。つまり、一番上の線303で示された測定位置に対応する試料ラインプロファイルは上段の試料ラインプロファイル表示領域306の中に表示され、その測定パラメーター値は上段の測定パラメーター値表示領域309の中に表示される。同様に、中間の線304で示された測定位置に対応する試料ラインプロファイルは中段の試料ラインプロファイル表示領域307の中に、その測定パラメーター値は中段の測定パラメーター値表示領域310の中に表示され、一番下の線305で示された測定位置に対応する試料ラインプロファイルは下段の試料ラインプロファイル表示領域308の中に、その測定パラメーター値は下段の測定パラメーター値表示領域311の中に表示される。
測定パラメーター値設定のための測定を停止するまで、試料ラインプロファイル表示領域306と308は順次更新される。
本実施形態によれば、高速の走査型プローブ顕微鏡100の画像取得のための測定に際し最適な測定パラメーター値への設定に利用できる複数の指標、すなわち複数の試料ラインプロファイルが適切なタイミングで与えられる。走査型プローブ顕微鏡100を扱う人間は認識可能な時間表示されるそれぞれの試料ラインプロファイルの形状を観察しながらあるいは比較しながら、各測定パラメーター値セットの測定パラメーターの値を変更して、よりコントラストの高い試料ラインプロファイルになるよう測定パラメーター値を調整することができる。そして最も良い測定パラメーター値セットをーつ選び、走査型プローブ顕微鏡画像取得時の測定パラメーター値として採用し測定を行なう。
例えば、雲母基板にDNA鎖を緩やかに固定した試料を測定する場合について説明する。DNA鎖が分散してマグネシウムをわずかに溶かした溶液を雲母基板に滴下し数分から数十分放置すると、DNA鎖は完全に雲母基板に固定されること無く、ある部分のみが雲母基板にアンカリングされ、DNA鎖が緩やかに固定した試料ができる。これを高速の走査型プローブ顕微鏡100で観察すると、X方向走査の周波数がある程度以上速い場合は、基板に固定されていないDNA鎖の部分も画像化することができる。高速の走査型プローブ顕微鏡100は、これまでの走査が遅い走査型プローブ顕微鏡では観察することができなかった試料状態を画像化することができる。これは溶液中におけるDNA鎖の動きの緩和時間と関係があると考えられる。実際、逆にX方向走査の周波数を遅くした場合はきれいに画像化することができない。
このように高速の走査型プローブ顕微鏡100では、これまでの走査型プローブ顕微鏡では観察できなかった基板に半固定されている試料が動く様子まで観察することが可能であるが、その分測定パラメーター値の設定において個々の試料の特性にあわせた測定パラメーター値を選ぶということが重要になる。従って、最適な測定パラメーター値を選定するために時間がかかるので、この作業を効率的に行なうことが走査プローブ顕微鏡観察実験を効率的に進めるためにとても重要になる。
本実施形態のように、複数の測定パラメーター値セットに応じた試料ラインプロファイルが同じ画面に表示されていると、比較しながら測定パラメーター値の絞り込みを行なえ、従来の走査型プローブ顕微鏡のように試料ラインプロファイルを表示するにしても一つのみの場合と比べ、効率的にこの作業を進めることができる。
また、探針132を先端にもつカンチレバー131を振動させながら間欠的に試料109と接触させXY方向に相対走査して画像を得る液体中で行なう観察法の場合には、カンチレバー131を振動させていることに加え、それを液体中で行なうことから、大気中で行なう観察より測定パラメーター値の設定が一層複雑である。
液体中ではカンチレバー131の機械的Q値が1前後まで小さくなるため、カンチレバー131の液体中での共振周波数を中心に比較的広い周波数領域で測定可能なカンチレバー131の励振周波数を選ぶことができる。このことは逆に言えば測定パラメーター値の設定の項目が増えたことと同義である。本実施形態のように複数の測定パラメーター値を比較しながら最適な値に絞り込んでゆく手法は、この作業を効率的に進めるにとても有効である。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
本発明の第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。 第一実施形態に従って試料ラインプロファイルを表示しているモニター画面の例を示している。 第二実施形態に従って試料ラインプロファイルを表示しているモニター画面の例を示している。
符号の説明
100…走査型プローブ顕微鏡、101…筐体、102…光センサーユニット、103…センサーユニット用Zステージ、104…スライドガラス、105…スライドガラス保持部、106…カンチレバーチップ、107…走査機構保持台、108…走査機構、109…試料、110…顕微鏡観察照明光学系、111…顕微鏡観察観察光学系、112…アクチュエータ駆動回路、113…走査制御回路、114…フィードバック回路、115…AC/DC変換回路、116…発振回路、117…プリアンプ回路、118…半導体レーザー駆動回路、119…コンピューター、120…モニター、121…顕微鏡照明ランプ電源、122…対物レンズ、123…対物レンズ支持台、124…プリズム、125…偏光ビームスプリッター、126…コリメートレンズ、127…半導体レーザー、128…レーザー位置調整ステージ、129…二分割フォトダイオード、130…フォトダイオード位置調整ステージ、131…カンチレバー、132…探針、133…励振用圧電素子、134…水、135…マイクロメータヘッド、137…ハーフプリズム、138…レンズ、139…光源ランプ、140…接眼レンズ、201…モニター画面、202…走査画像表示領域、203…測定位置を示す線、204…試料ラインプロファイル表示領域、205…測定パラメーター値表示領域、206…領域、207、208…試料ラインプロファイル、301…モニター画面、302…走査画像表示領域、303、304、305…測定位置を示す線、306、307、308…試料ラインプロファイル表示領域、309、310、311…測定パラメーター値表示領域。

Claims (6)

  1. 走査型プローブ顕微鏡において、測定パラメーター値の設定のための測定を行なう際、あらかじめ設定された走査領域内においてXY方向に探針と試料を相対的に繰り返し走査しながら1フレーム中の所定のY方向走査位置における一つのX方向走査の往復の試料ラインプロファイルを取得し、取得した試料ラインプロファイルをモニター画面に表示し、モニター画面に表示されている試料ラインプロファイルをX走査の周波数未満の周波数で更新するとともに、相対的にXY方向に繰り返し走査している間に変更された測定パラメーター値は次の更新のタイミングまでに測定動作に反映する、走査型プローブ顕微鏡。
  2. 走査型プローブ顕微鏡において、測定パラメーター値の設定のための測定を行なう際、複数の測定パラメーター値セットを設定し探針を試料表面にアプローチした後、それぞれの測定パラメーター値セットに応じた測定を順次切り替えながら繰り返し行ない、それぞれの測定パラメーター値セットに応じた測定の1フレーム中の所定のY方向走査位置における一つのX方向走査の往復の試料ラインプロファイルを測定パラメーター値セットの数だけ取得し、取得した複数の試料ラインプロファイルをモニター画面に表示し、モニター画面に表示されている試料ラインプロファイルをX走査の周波数未満の周波数で更新するとともに、相対的にXY方向に繰り返し走査している間に変更された測定パラメーター値は次の更新のタイミングまでに測定動作に反映する、走査型プローブ顕微鏡。
  3. 試料ラインプロファイルの更新をX走査の周期の整数倍の時間間隔で行なう、請求項1または請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 試料ラインプロファイルの更新をX走査の周期とは独立した一定の時間間隔で行なう、請求項1または請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 試料ラインプロファイルの更新をフレームレートの周波数あるいはそれ以上の周波数で行なう、請求項1または請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  6. 試料ラインプロファイルの更新を0.1秒以上の時間間隔で行なう、請求項3ないし請求項5のいずれかひとつに記載の走査型プローブ顕微鏡。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009031175A (ja) * 2007-07-30 2009-02-12 Hitachi High-Technologies Corp 自動分析装置
JP2010521693A (ja) * 2007-03-16 2010-06-24 ビーコ インストルメンツ インコーポレイテッド 高速走査spmスキャナ及びその動作方法

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