JP2005188948A - ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置 - Google Patents

ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005188948A
JP2005188948A JP2003427055A JP2003427055A JP2005188948A JP 2005188948 A JP2005188948 A JP 2005188948A JP 2003427055 A JP2003427055 A JP 2003427055A JP 2003427055 A JP2003427055 A JP 2003427055A JP 2005188948 A JP2005188948 A JP 2005188948A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
detection coil
coil
steel material
stainless steel
hardness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003427055A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiyuki Suzuma
俊之 鈴間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2003427055A priority Critical patent/JP2005188948A/ja
Publication of JP2005188948A publication Critical patent/JP2005188948A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Abstract

【課題】 検出コイル内の空隙磁束の影響を低減し、オーステナイト系ステンレス鋼材全体の硬さを高精度に測定することができる方法及び装置を提供する。
【解決手段】 硬さ測定装置1は、被測定ステンレス鋼材Mを囲繞するように配設された励磁コイル11と、励磁コイル11内において、鋼材Mを囲繞するように配設された第1検出コイル12と、励磁コイル11内において、励磁コイル11と第1検出コイル12との間の空隙を囲繞するように配設された第2検出コイル13とを備えている。演算処理装置30は、第1検出コイル12に誘起された電圧と第2検出コイル13に誘起された電圧との電圧差を算出し、当該算出した電圧差に基づいて鋼材Mの磁気特性値を算出し、当該算出した磁気特性値に基づいて鋼材Mの硬さを推定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置に関する。
ステンレス鋼材の代表的な硬さ測定方法として、ビッカース硬さ試験が知られている。ビッカース硬さ試験は、ダイヤモンド圧子を一定の試験荷重で試料の試験面に押し込み、これにより生じた永久くぼみの大きさから試料の硬さを測定する試験である。従って、ビッカース硬さ試験を実施するには、ステンレス鋼材の製品の一部分を試料として抜き出す手間が掛かると共に、製品全体の硬さについての品質管理や品質保証ができないという問題があった。
上記のような問題を解決するべく、図9に示すように、試験材が内部を貫通するように2つのコイルを設置し、その一方のコイル(励磁コイル)に交流電流を通電して当該コイル内部に交流磁界を発生させて試験材を磁化する一方、他方のコイル(検出コイル)に生じる誘導起電力に基づいて試験材の磁気的な特性値を算出し、当該磁気特性値に基づいて試験材の硬さを推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
オーステナイト系ステンレス鋼材の硬さ向上の主要因である加工誘起マルテンサイト(α’相)は強磁性を有するため、オーステナイト系ステンレス鋼材の硬さ測定方法として上記特許文献1記載の方法を適用することは可能である。
特表平9−507570号公報
しかしながら、上記α’相は、一般の強磁性体と比べて比透磁率(μr)が小さいため、検出コイルの出力信号も小さくなる。さらに、ステンレス鋼材のパスライン変動(ステンレス鋼材のバタツキ等)を許容するには、充填率の低い検出コイル(すなわち、鋼材の断面積に比べて、囲繞する空間の断面積が大きいコイル)を用いる必要があるため、出力信号に含まれる検出コイル内の空隙磁束の影響が大きくなる結果、高精度に硬さを測定できないという問題がある。
図10は、充填率の小さい検出コイルを用いた場合において、比透磁率(μr)の小さい試験材についての硬さ変化に対する検出コイルの出力信号変化を模式的に示す図である。図10において、(a)部が検出コイル内の空隙磁束に起因した出力信号成分であり、(b)部が試験材のα’相に起因した出力信号成分であって、検出コイルの出力信号は両成分が重畳した信号となっている。ここで、励磁コイルの制御系の負荷変動や、発振器出力を増幅し励磁コイルに出力するためのパワーアンプの出力の微小変動によって励磁コイル内に発生する空間磁界が変化した場合や、電磁気的なノイズが検出コイル近傍に発生した場合、検出コイルの出力信号は空隙磁束の変化によって大きく変化するため、α’相に起因した硬さの測定精度が低下する。換言すれば、検出コイルの出力信号変化が、試験材の硬さに起因した出力信号成分(図10の(b)部)の変化に基づくものなのか、或いは、空隙磁束に起因した出力信号成分(図10の(a)部)の変化に基づくものなのかを識別できないため、硬さの測定精度が低下するという問題がある。
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、検出コイル内の空隙磁束の影響を低減し、オーステナイト系ステンレス鋼材全体の硬さを高精度に測定することができる方法及び装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく、本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼材の硬さを測定する方法であって、被測定ステンレス鋼材を励磁コイル及び検出コイルに挿通するステップと、前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって前記検出コイルに誘起された第1誘起電圧を検出するステップと、前記検出コイル内の空隙磁束のみによって誘起された誘起電圧に相当する第2誘起電圧を検出するステップと、前記第1誘起電圧と前記第2誘起電圧との電圧差を算出するステップと、前記算出した電圧差に基づいて被測定ステンレス鋼材の磁気特性値を算出するステップと、前記算出した磁気特性値に基づいて被測定ステンレス鋼材の硬さを推定するステップとを含むことを特徴とするステンレス鋼材の硬さ測定方法を提供するものである。
斯かる発明によれば、検出コイルに誘起された第1誘起電圧と、前記検出コイル内の空隙磁束のみによって誘起された誘起電圧に相当する第2誘起電圧とを検出し、両者の電圧差を算出して、当該電圧差に基づき被測定ステンレス鋼材の磁気特性値ひいては硬さを測定する構成であるため、検出コイル内の空隙磁束の影響を低減することが可能である。換言すれば、第1誘起電圧に含まれる空隙磁束に起因した成分と、第2誘起電圧とは同等であるため、両者の電圧差を算出することにより、空隙磁束に変化が生じてもその影響を低減することが可能である。従って、オーステナイト系ステンレス鋼材全体の硬さを高精度に測定することが可能である。
また、前記課題を解決するべく、本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼材の硬さを測定する装置であって、被測定ステンレス鋼材を囲繞するように配設された励磁コイルと、前記励磁コイル内において、被測定ステンレス鋼材を囲繞するように配設された第1検出コイルと、前記励磁コイル内において、前記励磁コイルと前記第1検出コイルとの間の空隙を囲繞するように配設された第2検出コイルと、前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する発振装置と、前記励磁コイルと前記第1検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって前記第1検出コイルに誘起された第1誘起電圧と、前記励磁コイルと前記第2検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって前記第2検出コイルに誘起された第2誘起電圧とを検出し、前記第1誘起電圧と前記第2誘起電圧とに基づいて被測定ステンレス鋼材の硬さを演算する演算処理装置とを備え、前記第2検出コイルは、前記第1検出コイルと同一の巻き数並びに略同等の形状及び寸法を有し、前記演算処理装置は、前記第1誘起電圧と前記第2誘起電圧との電圧差を算出し、当該算出した電圧差に基づいて被測定ステンレス鋼材の磁気特性値を算出し、当該算出した磁気特性値に基づいて被測定ステンレス鋼材の硬さを推定することを特徴とするステンレス鋼材の硬さ測定装置を提供するものである。
斯かる発明によれば、第1検出コイルが、励磁コイル内において、被測定ステンレス鋼材を囲繞するように配設される一方、第2検出コイルが、励磁コイル内において、励磁コイルと第1検出コイルとの間の空隙を囲繞するように配設され、且つ、第1検出コイルと同一の巻き数並びに略同等の形状及び寸法を有するため、第2検出コイルに誘起された第2誘起電圧は、第1検出コイル内の空隙磁束のみによって誘起される誘起電圧に略等しいものとなる。本発明は、演算処理装置により、第1誘起電圧と第2誘起電圧との電圧差を算出し、当該算出した電圧差に基づいて被測定ステンレス鋼材の磁気特性値ひいては硬さを測定する構成であるため、被測定ステンレス鋼材が挿通する第1検出コイル内の空隙磁束の影響を低減することが可能である。換言すれば、第1誘起電圧に含まれる空隙磁束に起因した成分と、第2誘起電圧とは同等であるため、両者の電圧差を算出することにより、空隙磁束に変化が生じてもその影響を低減することが可能である。従って、オーステナイト系ステンレス鋼材全体の硬さを高精度に測定することが可能である。
好ましくは、前記第1検出コイルと前記第2検出コイルとは、前記励磁コイルの中心軸に対して互いに対称な位置に配設される。
斯かる構成によれば、第1検出コイルと第2検出コイルとが、励磁コイルの中心軸に対して互いに対称な位置に配設されるため、両検出コイル内に生じる空隙磁束がより一層同等になる。従って、オーステナイト系ステンレス鋼材全体の硬さをより一層高精度に測定することが可能である。
以上に説明したように、本発明に係るステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置によれば、検出コイルに誘起された第1誘起電圧と、前記検出コイル内の空隙磁束のみによって誘起された誘起電圧に相当する第2誘起電圧とを検出し、両者の電圧差を算出して、当該電圧差に基づき被測定ステンレス鋼材の磁気特性値ひいては硬さを測定する構成であるため、検出コイル内の空隙磁束の影響を低減することが可能である。換言すれば、第1誘起電圧に含まれる空隙磁束に起因した成分と、第2誘起電圧とは同等であるため、両者の電圧差を算出することにより、空隙磁束に変化が生じてもその影響を低減することが可能である。従って、オーステナイト系ステンレス鋼材全体の硬さを高精度に測定することが可能である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るステンレス鋼材(SUS301、SUS304等)の硬さ測定装置を示す概略構成図であり、図2は、図1に示すセンサコイルの縦断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るステンレス鋼材の硬さ測定装置(以下、硬さ測定装置という)1は、被測定ステンレス鋼材M(本実施形態ではステンレス鋼板であり、以下、鋼板Mという)を囲繞するように配設されたセンサコイル10と、センサコイル10に所定周波数の電圧を印加する発振装置20と、センサコイル10の出力信号に基づき鋼板Mの硬さを演算する演算処理装置30とを備えている。
図2に示すように、センサコイル10は、鋼板Mを囲繞するように配設された励磁コイル11と、励磁コイル11内において、鋼板Mを囲繞するように配設された第1検出コイル12と、励磁コイル11内において、励磁コイル11と第1検出コイル12との間の空隙を囲繞するように配設された第2検出コイル13とを備えている。
第2検出コイル13は、第1検出コイル12と同一の巻き数並びに略同等の形状及び寸法を有している。さらに、本実施形態では、第1検出コイル12と第2検出コイル13とが、励磁コイル11の中心軸に対して互いに対称な位置に配設されている。
発振装置20は、発振器21と、発振器21の出力信号を増幅するパワーアンプ22とを備え、センサコイル10を構成する励磁コイル11に所定周波数の電圧を印加するように構成されている。励磁コイル11に所定周波数の電圧を印加することにより、励磁コイル11内、第1検出コイル12内及び第2検出コイル13内には、各コイルの軸方向(鋼板Mの長手方向)に沿った磁界が形成される。
演算処理装置30は、差動アンプ、A/D変換器、汎用のパーソナルコンピュータ或いはワークステーション等から構成されており、前記差動アンプにはセンサコイル10を構成する第1検出コイル12及び第2検出コイル13がそれぞれ結線されている。励磁コイル11と第1検出コイル12との間に生じる電磁誘導によって第1検出コイル12に誘起された第1誘起電圧信号と、励磁コイル11と第2検出コイル13との間に生じる電磁誘導によって第2検出コイル13に誘起された第2誘起電圧信号とは、前記差動アンプに入力される。前記差動アンプの出力信号は、前記A/D変換器によってデジタル信号に変換された後、前記パーソナルコンピュータ等に入力される。前記パーソナルコンピュータ等には、予め後述する処理を実行するためのプログラムが記憶されており、前記入力されたデジタル信号に対して後述する処理を実行する。また、演算処理装置30には、後述するように磁界強度Hを算出するべく、A/D変換器を介して、パワーアンプ22の出力信号が入力される。なお、本実施形態では、差動アンプの出力信号をA/D変換器によってデジタル信号に変換した後、デジタル処理する構成を採用しているが、本発明はこれに限るものではなく、同等の処理を実行するアナログ回路を採用することも可能である。
以下、演算処理装置30において実行される処理について説明する。前述のように、演算処理装置30を構成するパーソナルコンピュータ等には、差動アンプの出力信号、すなわち第1誘起電圧Vと第2誘起電圧Vとの電圧差Vdifに相当するデジタル信号が入力される。図3は、鋼板Sの硬さ変化に対する第1誘起電圧Vと第2誘起電圧Vとの電圧差Vdifの変化を模式的に示す図である。前述のように、第2検出コイル13は、第1検出コイル12と同一の巻き数並びに略同等の形状及び寸法を有するため、図3に示すように、鋼板Sをセンサコイル10に挿通していない状態(図3において硬さ0の場合に相当する)においては、第1検出コイル12内における磁束と第2検出コイル13内における磁束とが略等しくなる結果、電圧差Vdifは略0となる。一方、鋼板Mをセンサコイル10に挿通した状態においては、第2誘起電圧Vが、第1検出コイル12内の空隙磁束のみによって誘起される誘起電圧に略等しいものとなるため、第1誘起電圧Vと第2誘起電圧Vとの電圧差Vdifは、鋼板M内に生じているα’相に起因する誘起電圧に相当することになる。従って、第1検出コイル12内の空隙磁束が変化することによって生じる第1誘起電圧Vの変動(ノイズ源)の影響を低減し、安定して高精度にα’相生成量(硬さ)を推定することが可能である。
次に、演算処理装置30は、前記電圧差Vdifを下記の式(1)のように逐次時間積分する(内蔵クロックの所定クロック数毎に累積加算する)。
∫Vdif dt=∫(VーV dt
=∫Vdt−∫Vdt
=(Φmat+Φair)−Φair’ ・・・(1)
なお、Φmatは第1検出コイル12内における鋼板M内の磁束を、Φairは第1検出コイル12内の空隙磁束を、Φair’は第2検出コイル13内の空隙磁束をそれぞれ意味する。
ここで、前述のように、第2検出コイル13は、励磁コイル11内において、励磁コイル11と第1検出コイル12との間の空隙を囲繞するように配設され、且つ、第1検出コイル12と同一の巻き数並びに略同等の形状及び寸法を有するため、第2検出コイル13に誘起された第2誘起電圧Vは、第1検出コイル12内の空隙磁束のみによって誘起される誘起電圧に略等しいものとなる。換言すれば、第1検出コイル12内の空隙磁束Φairは、第2検出コイル13内の空隙磁束Φair’に略等しいものとなる。従って、前記(1)式は、下記(2)式に置き換えることができる。
∫Vdif dt≒Φmat ・・・(2)
つまり、演算処理装置30は、電圧差Vdifを所定時間積分することにより、第1検出コイル12内における鋼板M内の磁束Φmatを算出する構成であるため、第1検出コイル12内の空隙磁束Φairの影響を低減することが可能である。
次に、演算処理装置30は、前記算出した鋼板M内の磁束Φmatに基づいて鋼板Mの磁気特性値を算出する。具体的には、まず、下記の(3)式に従い、プロセスコンピュータ(図示せず)等から入力された鋼板Mの断面積Sを用いて、鋼板M内の磁束密度Bを算出する。
B=Φmat/S ・・・(3)
次に、演算処理装置30は、パワーアンプ22の出力信号(励磁コイル11に印加する電圧)や予め記憶した励磁コイル11の巻き数等に基づいて算出される磁界強度Hを横軸に、前記磁束密度Bを縦軸にそれぞれプロットした磁化曲線を作成する。演算処理装置30は、作成した磁化曲線に基づき、下記の磁気特性値を算出する。
平均透磁率μ(=B/H)
ここで、Hは飽和磁束密度Bが得られる程度の所定の磁界強度を、Bは当該所定の磁界強度Hに対応する磁束密度Bを意味する。
ここで、演算処理装置30には、予め試料を用いて取得した磁気特性値としての平均透磁率μと、ビッカース硬度との相関関係を示す検量線が記憶されている。より具体的には、各種板厚・板幅毎に取得した試料の平均透磁率μとビッカース硬度との相関関係を示す検量線(一次回帰直線等)が、当該各種板厚・板幅毎に記憶されている。演算処理装置30は、鋼板Sについて取得した磁気特性値としての平均透磁率μと、予め記憶した前記検量線とに基づき、鋼板Sの硬さを推定する。より具体的には、鋼板Sの板厚・板幅に基づいて、対応する検量線を抽出し、平均透磁率μと前記抽出した検量線とにより鋼板Sのビッカース硬度を算出する。このようにして推定された鋼板Sの硬さは、測定結果として演算処理装置30から出力される。
なお、本発明において算出する磁気特性値としては、前記平均透磁率μに限るものではなく、例えば、下記(a)〜(d)のような磁気特性値を算出し、予め試料を用いて取得した(a)〜(d)の各磁気特性値とビッカース硬度との相関関係を示す検量線を用いて鋼板Sの硬さを推定することも可能である。
(a)飽和磁束密度B
(b)透磁率μ(=B/Hmax) ここで、Hmaxは飽和磁束密度Bに到達する磁界強度を意味する。
(c)保磁力H
(d)鉄損W(=∫B dH)
以上に説明したように、本実施形態に係る硬さ測定装置1によれば、励磁コイル11内において、鋼板Sを囲繞するように配設される一方、第2検出コイル13が、励磁コイル11内において、励磁コイル11と第1検出コイル12との間の空隙を囲繞するように配設され、且つ、第1検出コイル12と同一の巻き数並びに略同等の形状及び寸法を有するため、第2検出コイル13に誘起された第2誘起電圧Vは、第1検出コイル12内の空隙磁束のみによって誘起される誘起電圧に略等しいものとなる。演算処理装置30は、第1誘起電圧Vと第2誘起電圧Vとの電圧差Vdifを算出し、当該算出した電圧差Vdifに基づいて鋼板Sの磁気特性値ひいては硬さを測定する構成であるため、鋼板Sが挿通する第1検出コイル12内の空隙磁束の影響を低減することが可能である。換言すれば、第1誘起電圧Vに含まれる空隙磁束に起因した成分と、第2誘起電圧Vとは同等であるため、両者の電圧差Vdifを算出することにより、空隙磁束に変化が生じてもその影響を低減することが可能である。従って、鋼板S全体の硬さを高精度に測定することが可能である。
なお、本実施形態では、オーステナイト系ステンレス鋼材として鋼板を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、鋼管や棒鋼等にも適用可能である。この場合の硬さ測定装置を構成する各コイルの形状は、例えば図4に示すように、それぞれ断面円形の励磁コイル11a、第1検出コイル12a及び第2検出コイル13aを適用することが可能である他、被測定ステンレス鋼材の形状に応じて適宜変更すればよい。
また、本実施形態では、第1検出コイル12に誘起された第1誘起電圧と、第2検出コイル13に誘起された第2誘起電圧との電圧差を算出する手段として、差動アンプを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、通常の差動結線を用いることができる他、図5に示すように、第1検出コイル12と第2検出コイル13とでブリッジ回路を形成し、被測定ステンレス鋼材の磁気特性変化によって生ずる不平衡電圧を第1誘起電圧と第2誘起電圧との電圧差として算出する構成を採用することも可能である。
さらに、図6に示すように、温度変化による出力変動を抑制するべく、第1検出コイル12、第2検出コイル13、演算処理装置30の差動アンプ31、及び、各検出コイル12、13と差動アンプ31とを結線する信号線121、131を冷却する(一定温度に保つ)のが好ましい。より具体的には、図6に示すように、例えば、恒温槽41と、恒温槽41内の水を循環させるための配管42と、配管42から導入された水を内部に流通させるための筐体43とを具備する冷却装置40によって、恒温槽41内の水中に差動アンプ31を浸漬し、配管42内に信号線121、131を挿通し、筐体43内に第1検出コイル12及び第2検出コイルを収納して、流通する水でそれぞれを冷却する(一定温度に保つ)ことが好ましい。これにより、長期的には気温の変化や短期的には鋼板Sの温度変化などに起因して、検出コイル12、13の温度が変化しそのインピーダンスが変化することに伴う出力変動や、熱膨張によってコイル線の径が変化することに伴う出力変動を抑制することが可能である。なお、図6に示す冷却装置40を適用した場合、励磁コイル11(図6には図示せず)は、筐体43の外方に巻回する構成を採用することができる他、筐体43内に配置することにより第1検出コイル12等と同様に冷却する構成を採用することも可能である。
以下、実施例及び比較例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
<実施例>
オーステナイト系ステンレス鋼板(SUS301、板厚0.2mm、板幅640mm)の圧延条件を変更することにより、鋼板の長手方向に硬さ(ビッカース硬度Hv)を変化させた試験材について、図1及び図2を参照して説明した硬さ測定装置と同様の装置構成を用いて硬さを測定すると共に、測定後の鋼板から試料を抜き出してビッカース硬さ試験を実施し、両測定値を比較した。図7は、測定値を比較した結果を示す。図7において、横軸は圧延条件変更位置を基準とした鋼板の長手方向位置を、縦軸はビッカース硬度Hv及び硬さ測定装置の出力値をそれぞれ示す。また、図7に示す「H材」とはHv=400〜440程度の材料を、「3/4H材」とはHv=360〜400程度の材料を意味する。図7に示すように、本実施例に係る硬さ測定装置の出力値(図中、実線でプロット)は、ビッカース硬度(図中、□でプロット)と良好な対応関係を示すことが分かった。図8は、図7に示す測定結果について、両測定値の相関を定量評価した結果を示す。図8に示すように、本実施例に係る硬さ測定装置によれば、ビッカース硬度に対し±5%の精度で硬さを測定できることが分かった。
<比較例>
実施例と同様の試験材(但し、本比較例ではSUS304を使用)について、図9を参照して説明した従来の硬さ測定装置と同様の装置構成を用いて硬さを測定すると共に、測定後の鋼板から試料を抜き出してビッカース硬さ試験を実施し、両測定値を比較した。図11は、測定値を比較した結果を示す。図11において、横軸は圧延条件変更位置を基準とした鋼板の長手方向位置を、縦軸はビッカース硬度及び硬さ測定装置の出力値をそれぞれ示す。図11に示すように、本比較例に係る硬さ測定装置の出力値(図中、実線でプロット)は、図7の場合に比べて、ビッカース硬度(図中、□でプロット)との対応関係が悪いことが分かった。
図1は、本発明の一実施形態に係るステンレス鋼材の硬さ測定装置を示す概略構成図である。 図2は、図1に示すセンサコイルの縦断面図である。 図3は、図2に示す硬さ測定装置において、硬さ変化に対する第1誘起電圧と第2誘起電圧との電圧差の変化を模式的に示す図である。 図4は、本発明に係るステンレス鋼材の硬さ測定装置について、センサコイルの他の実施形態を示す縦断面図である。 図5は、本発明に係るステンレス鋼材の硬さ測定装置について、第1誘起電圧と第2誘起電圧との電圧差を算出する手段の他の実施形態を示す図である。 図6は、本発明に係るステンレス鋼材の硬さ測定装置について、センサコイル等に冷却装置を適用した実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図7は、本発明の実施例に係る硬さ測定装置の出力値とビッカース硬度とを比較した結果を示す。 図8は、図7に示す測定結果について、硬さ測定装置の出力値とビッカース硬度との相関を定量評価した結果を示す。 図9は、従来の硬さ測定装置を示す概略構成図である。 図10は、従来の硬さ測定装置において、硬さ変化に対する検出コイルの出力信号変化を模式的に示す図である。 図11は、本発明の比較例に係る硬さ測定装置の出力値とビッカース硬度とを比較した結果を示す。
符号の説明
1・・・硬さ測定装置 10・・・センサコイル 11・・・励磁コイル
12・・・第1検出コイル 13・・・第2検出コイル 20・・・発振装置
30・・・演算処理装置

Claims (3)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼材の硬さを測定する方法であって、
    被測定ステンレス鋼材を励磁コイル及び検出コイルに挿通するステップと、
    前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって前記検出コイルに誘起された第1誘起電圧を検出するステップと、
    前記検出コイル内の空隙磁束のみによって誘起された誘起電圧に相当する第2誘起電圧を検出するステップと、
    前記第1誘起電圧と前記第2誘起電圧との電圧差を算出するステップと、
    前記算出した電圧差に基づいて被測定ステンレス鋼材の磁気特性値を算出するステップと、
    前記算出した磁気特性値に基づいて被測定ステンレス鋼材の硬さを推定するステップとを含むことを特徴とするステンレス鋼材の硬さ測定方法。
  2. オーステナイト系ステンレス鋼材の硬さを測定する装置であって、
    被測定ステンレス鋼材を囲繞するように配設された励磁コイルと、
    前記励磁コイル内において、被測定ステンレス鋼材を囲繞するように配設された第1検出コイルと、
    前記励磁コイル内において、前記励磁コイルと前記第1検出コイルとの間の空隙を囲繞するように配設された第2検出コイルと、
    前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する発振装置と、
    前記励磁コイルと前記第1検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって前記第1検出コイルに誘起された第1誘起電圧と、前記励磁コイルと前記第2検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって前記第2検出コイルに誘起された第2誘起電圧とを検出し、前記第1誘起電圧と前記第2誘起電圧とに基づいて被測定ステンレス鋼材の硬さを演算する演算処理装置とを備え、
    前記第2検出コイルは、前記第1検出コイルと同一の巻き数並びに略同等の形状及び寸法を有し、
    前記演算処理装置は、前記第1誘起電圧と前記第2誘起電圧との電圧差を算出し、当該算出した電圧差に基づいて被測定ステンレス鋼材の磁気特性値を算出し、当該算出した磁気特性値に基づいて被測定ステンレス鋼材の硬さを推定することを特徴とするステンレス鋼材の硬さ測定装置。
  3. 前記第1検出コイルと前記第2検出コイルとは、前記励磁コイルの中心軸に対して互いに対称な位置に配設されていることを特徴とする請求項2に記載のステンレス鋼材の硬さ測定装置。
JP2003427055A 2003-12-24 2003-12-24 ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置 Pending JP2005188948A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003427055A JP2005188948A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003427055A JP2005188948A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005188948A true JP2005188948A (ja) 2005-07-14

Family

ID=34786426

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003427055A Pending JP2005188948A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005188948A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8839671B2 (en) 2008-12-09 2014-09-23 Ts Tech Co., Ltd. Measurement method and measurement device
JP2019148424A (ja) * 2018-02-26 2019-09-05 Jfeスチール株式会社 鋼板の磁気変態率測定装置
JP2019168253A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 株式会社島津製作所 磁性体検査システム、磁性体検査装置および磁性体検査方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8839671B2 (en) 2008-12-09 2014-09-23 Ts Tech Co., Ltd. Measurement method and measurement device
JP2019148424A (ja) * 2018-02-26 2019-09-05 Jfeスチール株式会社 鋼板の磁気変態率測定装置
JP2019168253A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 株式会社島津製作所 磁性体検査システム、磁性体検査装置および磁性体検査方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2593677C2 (ru) Электромагнитный датчик и его калибровка
US8269488B2 (en) Eddy current testing method, steel pipe or tube tested by the eddy current testing method, and eddy current testing apparatus for carrying out the eddy current testing method
JP2010054254A (ja) 磁気測定方法および装置
KR102501065B1 (ko) 결함 측정 방법, 결함 측정 장치 및 검사 프로브
KR20170120167A (ko) 로프 손상 진단 검사 장치 및 로프 손상 진단 검사 방법
JP2008224495A (ja) 渦流検査方法、該渦流検査方法で検査した鋼管、及び該渦流検査方法を実施するための渦流検査装置
JP5266695B2 (ja) 方向性電磁鋼板の磁気特性変動部位の検出方法および装置
JP2004279055A (ja) 鋼管内面の浸炭深さ測定方法及び装置
JP4736811B2 (ja) 磁性体の複素透磁率測定装置の脚部間隔決定方法
JPH0466863A (ja) 鋼材の加工による残留応力の測定方法
JP2005188948A (ja) ステンレス鋼材の硬さ測定方法及び装置
JP3223596B2 (ja) 金属材料内の変形挙動検出方法及び装置
JP2008185436A (ja) 金属被検体の電磁気特性測定方法及び電磁気特性測定装置
JP2013170910A (ja) 浸炭深さ測定方法及び装置
KR101001616B1 (ko) 가역투자율 측정 장치
JP4029400B2 (ja) 鋼管内面の浸炭深さ測定方法
JP2006337250A (ja) 渦電流を用いた加工深さの測定方法及びこれを用いた測定装置
JPH05281063A (ja) 鋼材の張力測定装置
JPS62853A (ja) 硬度測定方法
JP2005315732A (ja) 強磁性体の変位測定装置
JPH07190991A (ja) 変態率測定方法及び装置
JP2000304725A (ja) 鋼材の変態層厚さ計測方法
US9804286B2 (en) Method of optimising the output of a sensor for indicating the relative location of a mettalic object
JPS62229038A (ja) 応力測定装置
US20150369632A1 (en) Sensor and optimising method therefor

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070928

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080107

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080523