JP2005188585A - クランプ装置 - Google Patents

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Shogo Tsuji
省吾 辻
Hideki Kashiwabara
秀樹 柏原
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純一 草野
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Abstract

【課題】 締結部の変形等を招くことなくベルトの曲げ剛性を小さくできるようにして、異形断面の管路接続部に対しても均一な緊縛力を付与できるようにする。
【解決手段】 ベルト2の一端部の近傍にベルト幅の狭い狭幅部3を形成し、ベルト2の他端部の近傍に長孔4を形成する。狭幅部3を長孔4に挿入してベルト2の両端部を交差させ、交差させたベルト2の一方の端部にボルト5を固定するとともに、他方の端部にこのボルト5に螺合されるナット6を固定する。ナット6はフレーム部材7に回転を規制した状態で軸方向変位可能に案内させ、ボルト5の先端部はフレーム部材7に回転可能に支持させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用吸気ダクト等の管路接続部を緊縛固定するクランプ装置に関する。
この種のクランプ装置として、特許文献1に記載されるようなものが案出されている。
このクランプ装置は、一本のワイヤを中央で二つ折れに折曲して、その二つ折れ折曲部から二股状に延びる二本のワイヤ延出部を管路接続部の外周に巻回し、二つ折れ折曲部と二本のワイヤ延出部の先端部を交差させた状態でボルト・ナットによって締結するようになっている。
具体的には、ワイヤ延出部の両端部は屈曲され、この屈曲部分が板状ナットの係止孔に嵌入係合されており、ボルトは、その板状ナットに螺合され、そのナットを貫通した先端部が止め金を介して二つ折れ折曲部に係合されている。したがって、ボルトが板状ナットに対して締め込まれると、二つ折れ折曲部とワイヤ延出部の交差量が増大し、その結果、管路接続部がワイヤによって緊縛固定される。
ところが、このクランプ装置は、ワイヤによって管路接続部を締め込むものであるため、管路接続部に対して接触面積が少ないので絶対的な緊縛力が弱く、管路接続部を周方向に均一に締め込めず、ワイヤの追従性の低下を招くとともに、ワイヤが管路接続部表面に食い込み傷付けてしまう。また、このクランプ装置は、構造上二つ折れ折曲部やワイヤ両端の屈曲部分に応力が集中するため、一定以上ボルトを締め込むと、その部分が変形する等して充分な支持剛性を維持できなくなり、ボルトの締結力を有効に管路接続部の緊縛力に変換できない。
これに対処し得るクランプ装置として、特許文献2に記載されるようなものが案出されている。
このクランプ装置は、管路接続部を薄板状のベルトによって締め付けるものであり、ベルトの一端部に回動操作可能にウォームを設け、他端部に前記ウォームと噛合する複数のラック溝を設けた構成となっている。このクランプ装置では、ウォームの回転操作によってラック溝の噛合位置を移動させ、それによってベルトを締め上げて管路接続部を緊縛固定する。
特開平7-224810号公報 特開2003−28366号公報
特許文献2に記載のクランプ装置は、ワイヤに代えてベルトを用いるため、緊縛固定時の接続管路部に対しての接触面積が多く、絶対的な緊縛力は比較的高まり、管路接続部のくい込み、損傷等も低減される。一方、このクランプ装置はベルトのラック部にウォームを噛合わせてウォームの回転操作により管路接続部を緊縛固定する機構のため、ベルトをある程度以上の厚さにする必要がある。したがって、ベルトの曲げ剛性を下げるために板厚をある程度以下に薄くすると、ウォームに噛合うラック溝が変形し易くなってしまい、ウォームの回転操作による締め上げができなくなってしまう。このため、このクランプ装置においては、ベルトの板厚をある程度以下に薄くすることができず、ベルトの曲げ剛性を下げて追従性を高める必要のある楕円形や長方形等の異形断面の管路接続部に対して均一な緊縛力を付与することがむずかしい。
そこで本発明は、締結部の変形等を招くことなくベルトの曲げ剛性を低く抑えつつ、異形断面の管路接続部に対しても均一な緊縛力を付与することのできるクランプ装置を提供しようとするものである。
上述した課題を解決するための手段として、本発明は、ベルトの一端部の近傍にベルト幅の狭い狭幅部を設けるとともに、ベルトの他端部の近傍に挿通孔を設け、前記ベルトの狭幅部を挿通孔に挿入してベルトの両端部を交差させ、交差させたベルトの一方の端部にボルトを固定するとともに、他方の端部にこのボルトに螺合されるナットを固定し、前記ボルトの回動操作に伴なうナットの軸方向変位によってベルトに緊縛力を付与するようにした。
この発明の場合、ボルトの回動操作によってナットが軸方向に変位すると、ベルトの両端部の交差量が増大し、ベルトの緊縛力が管路接続部に付与される。また、この発明のクランプ装置の場合、ベルトの端部はベルトとナットによって単に引っ張られるだけであるため、ベルトの曲げ剛性を下げるためにベルトの厚みを薄くしても、噛み合い構造を持つ従来のもののようにベルトに変形や損傷を生じるようなことはない。
前記挿通孔はベルト長手方向に延出する長孔によって構成し、前記狭幅部のベルト長手方向中央側の端部には前記長孔のベルト幅方向の縁部に当接する肩部を設けるようにしても良い。
この場合、ボルトの回動操作によってベルトの両端部の交差量が増減変化すると、ベルトの狭幅部が長孔内を移動し、このとき肩部が長孔のベルト幅方向の縁部に当接する。そして、こうして肩部が長孔の縁部に当接した状態でベルトの交差量が増減変化すると、このときのベルトの倒れや捩れは肩部によるガイド作用によって防止される。
前記肩部は、ベルトの狭幅部に連続する円弧状に形成することが望ましく、このように円弧状に形成した場合には肩部に応力集中が生じにくくなる。したがって、ベルトの破断や強度低下を未然に防止することができる。
また、前記ナットの回転を規制した状態でそのナットの進退作動を案内するフレーム部材を設け、前記ボルトをこのフレーム部材に回転自在に支持させるようにしても良い。
この場合、ボルトとナットの姿勢がフレーム部材によって略一定に維持されるため、ボルトによる回動操作を安定して行うことができる。
本発明は、ベルトの狭幅部を挿通孔に挿入してベルトの両端部を交差させ、その交差させたベルトの両端部にボルトとナットによって引っ張り力を付与するものであるため、ベルトの肉厚を薄くしてもベルトの締結部に変形が生じることがない。したがって、ベルトの肉厚を薄くしてベルトを管路接続部の外周に柔軟に追従させることができるため、異形断面の管路接続部に対しても均一な緊縛力を付与することができる。
また、本発明は、ベルトを完全に交差させてベルトの両端部に引っ張り力を付与する構造であるため、ベルトによる圧迫力を管路接続部の外周面全域に間断なく付与することができ、その結果、ベルトの締め込みによって管路接続部にヨレ、タワミ等の不均一な歪が発生するのを未然に防止することができ、管路接続部の外周面に傷等の損傷を与えることがない。
次に、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。
このクランプ装置は、図2に示すように車両の吸気ダクト等の管路接続部1の外周に巻回される薄肉の金属製のベルト2を備え、そのベルト2による締付けによって管路接続部1を緊縛固定するようになっている。ベルト2は、長手方向全域がほぼ一定幅に形成され、その一端部の近傍には、図7に示すようにベルト一般部に対して幅の狭い狭幅部3がベルト幅方向の中央部に形成されている。また、ベルト2の他端部の近傍には、ベルト長手方向に沿う長孔4が本発明における挿通孔としてベルト幅方向の中央部に形成されている。狭幅部3の幅B1は長孔4の幅B2よりも若干狭く形成されている。そして、ベルト2は、図1に示すように円環状に曲げられ、一端部側の狭幅部3が他端部の長孔4に挿入されることによって両端部が交差している。狭幅部3はベルト2の一端側を略90°捩ることによって長孔4に挿入され、挿入後には、ベルト2自体の弾性によって捩れのない正規姿勢に戻されている。
前記ベルト2の締付け調整幅はベルト2の両端部の交差量によって決定され、その交差量は狭幅部3と長孔4の長さにより設定される。そして、狭幅部3と長孔4の少なくともいずれか一方を長くすれば調整幅を広げることができるが、この実施形態においては、狭幅部3に対して長孔4側を相対的に長くなるように設定している(図7参照。)。したがって、ベルト長手方向中央側の一般部と狭幅部3の間のベルト幅の変化する部分は、長孔4のベルト幅両縁に常時に接触する肩部2a,2aを成している。そして、この肩部2a,2aは狭幅部3に対して滑らかに連続するように円弧状に形成されている。
また、ベルト2の長孔4を有する側の端部はボルト5の先端部に固定され、狭幅部3を有する側の端部はボルト5に螺合されるナット6に固定されている。ボルト5の先端部は断面略コ字状のフレーム部材7に回転自在に支持され、ナット6はそのフレーム部材7に進退作動を案内されるようになっている。
さらに詳しくは、フレーム部材7のコ字形断面の底壁7aには貫通孔12が形成されており、この貫通孔12に、ボルト5の先端に形成されたねじの切られていない縮径部5aに平ワッシャ13が挿入された縮径部5aが挿入された後、もう一枚の平ワッシャ13を介装した状態で縮径部5aの先端がかしめ固定されている。ボルト5の先端部はこのようにしてフレーム部材7に回転自在に支持されているが、フレーム部材7の底壁7aには、ベルト2の長孔4を有する側の端部が底壁7aの端部で折り返して重合され、このベルト2の端部に形成した丸孔21a,21bが前記ボルト5の先端部に貫通状態で支持固定されている。ここでは、ベルト2の端部の丸孔21a,21bがボルト5の先端部に貫通状態で支持固定されたものを示したが、必ずしも二つの丸孔21a,21bを支持固定する必要はなく、ベルト2の端部の丸孔21aをボルト5の先端部に貫通させ、ベルト2の端部が底壁7の端部で折り返しただけでも充分な支持強度を得ることができる。
一方、ナット6は、ボルト5に螺合されるナット本体8に略方形状のガイドプレート9が一体に結合されて成り、ガイドプレート9部分がフレーム部材7の対向壁7b,7c間に摺動自在に、かつ回転を規制された状態で介装されている。そして、ガイドプレート9の上端部には、フレーム部材7の幅方向両側に張り出す矩形状の規制フランジ10,10が一体に形成され、この規制フランジ10,10がフレーム部材7の対向壁7b,7cの上端に対して当接可能となっている。この規制フランジ10,10は、フレーム部材7の対向壁7b,7cの上端に当接することによってナット6の下方変位を規制するとともに、フレーム部材7の対向壁7b,7cの端部上面側に突設されたストッパ突起11,11と当接することによってナット6の後退変位(締め込み限界)を規制する。また、ガイドプレート9には、ベルト2の狭幅部3を有する側の端部がガイドプレート9の上端部で折り返して重合され、このベルト2の端部に形成した丸孔20a,20bがナット本体8及びボルト5に貫通状態で支持固定されている。ここでは、ベルト2の狭幅部3側の端部の丸孔20a,20bがナット本体8及びボルト5に支持固定したものを示したが、必ずしも二つの丸孔20a,20bを支持固定する必要はなく、ベルト2の端部の丸孔20bがナット本体8に貫通状態にされ、ガイドプレート9の上端部で折り返しただけでも充分な支持強度を確保することができる。また、ナット本体8は、底壁7a側に向けられたものを示しているが、その反対側に向けたものでも良い。
このクランプ装置によって管路接続部1を実際に緊縛固定する場合には、予め、ボルト5の回動操作によってナット6をボルト先端側に前進させ、ベルト2を充分に拡径した状態においてベルト2を管路接続部1の外周側に配置する。そして、この状態からボルト5の回動操作によってナット6をボルト先端部から離間する方向に後退させ、ボルト5とナット6によってベルト2の両端部に引っ張り力を付与することにより、ベルト2の両端部の交差量を増大させる。この結果、クランプ装置のベルト2が次第に管路接続部1の外周面に締め付けられ、管路接続部1が強固に緊縛固定されることとなる。
このクランプ装置は、ベルト2の一端側の狭幅部3を他端側の長孔4に挿入することによってベルト2の端部相互を交差させ、ボルト5とナット6の締め込みによってベルト2の両端部の引っ張り量を変化させるものであるため、ベルト2の肉厚を薄く設定しても、ベルトのラック溝の噛み込み位置がずれる従来のもののようにベルト2に変形が生じる不具合は生じない。したがって、このクランプ装置においては、ベルト2の肉厚を充分に薄くすることによって管路接続部1に対するベルト2の追従性を良好にすることができ、たとえ、管路接続部1が方形状、楕円状、菱形状等の異形断面であってもベルト2を管路接続部1の外周面に柔軟に追従させ、管路接続部1の外周面に均一な緊縛力を付与することができる。
また、このクランプ装置は、ベルト2の両端部を交差させてその両端部に引っ張り力を付与するものであるため、管路接続部1の外周面の周方向にベルト2を間断なく連続して密着させることができる。したがって、ベルト2の締め込みによって管路接続部1の外周に不均一な歪が発生するのを防止し、締め込み対象物に対し傷等の損傷を与えることなく締め込みが行える。さらに、このクランプ装置は、ベルト2の両側の端末部をボルト5とナット6に固定し、ボルト5の回動操作によってベルト2の両側の端末部に引っ張り力を付与するものであるため、ベルト2の締め込み量が増大してもベルト2の端末部が外部に飛び出すことがない。このため、ベルト2の端末部がバタ付くことがなく、特に、車両用吸気ダクトの接続部等に用いる場合には、静粛面に優れるという利点がある。
さらに、この実施形態のクランプ装置は、ベルト2の狭幅部3の端部に設けられた肩部2a,2aが長孔4の幅方向の両縁に常時当接するようになっているため、ベルト2の締め付け時等におけるベルト2の倒れや捩れは肩部2a,2aによるガイド作用によって防止することができる。したがって、このクランプ装置においては、管路接続部1に対する緊縛固定を容易、かつ、確実に行うことができる。
さらに、この実施形態のクランプ装置は、ベルト2の肩部2a,2aが狭幅部3に滑らかに連続する円弧形状に形成されているため、肩部2a,2aと狭幅部3の連接部分に応力集中が生じにくく、強度・耐久性に対する信頼性が高いという利点がある。
また、このクランプ装置は、略コ字状のフレーム部材7でナット6の回転を規制した状態でそのナット6の進退作動を案内するとともに、フレーム部材7の底壁7aにボルト5の先端部を回転自在に支持させるようになっているため、ボルト5とナット6の姿勢変化をフレーム部材7によって確実に規制することができる。特に、この実施形態では、ナット6にフレーム部材7の上端に張り出す規制フランジ10,10が設けられているため、ボルト5の回動操作時におけるボルト頭部の下方への倒れ込み等、締め込みが不安定となるのを確実に防止することができる。
なお、この発明の実施形態は以上で説明したものに限るものでなく、例えば、上記の実施形態ではベルト2の他端近傍に挿通孔として長孔4を形成し、その長孔4にベルト2の一端側の比較的長さの短い狭幅部3を挿入するようにしたが、長孔4に代えてベルト長手方向の長さの短い矩形若しくは楕円状の挿通孔を設け、その挿通孔にベルト長手方向の長さを充分に長くした狭幅部を挿入するようにしても良い。
本発明の最良の実施の形態を示す斜視図。 同実施形態を示す側面図。 同実施形態を示す平面図。 同実施形態を側面図。 同実施形態を示す図4のA矢視図。 同実施形態を示す背面図。 同実施形態を示すベルト単体の平面図。
符号の説明
1…管路接続部
2…ベルト
2a…肩部
3…狭幅部
4…長孔(挿通孔)
5…ボルト
6…ナット
7…フレーム部材

Claims (4)

  1. 管路接続部の外周にベルトを巻回し、そのベルトによって管路接続部を緊縛固定するクランプ装置において、
    前記ベルトの一端部の近傍にベルト幅の狭い狭幅部を設けるとともに、前記ベルトの他端部の近傍に挿通孔を設け、
    前記ベルトの狭幅部を挿通孔に挿入してベルトの両端部を交差させ、
    交差させたベルトの一方の端部にボルトを固定するとともに、他方の端部にこのボルトに螺合されるナットを固定し、
    前記ボルトの回動操作に伴なうナットの軸方向変位によってベルトに緊縛力を付与することを特徴とするクランプ装置。
  2. 前記挿通孔をベルト長手方向に延出する長孔によって構成するとともに、前記狭幅部のベルト長手方向中央側の端部に前記長孔のベルト幅方向の縁部に当接する肩部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
  3. 前記肩部を、ベルトの狭幅部に連続する円弧状に形成したことを特徴とする請求項2に記載のクランプ装置。
  4. 前記ナットの回転を規制した状態でそのナットの進退作動を案内するフレーム部材を設け、前記ボルトをこのフレーム部材に回転自在に支持させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクランプ装置。
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