JP2005188036A - 跳ね出し部における外断熱工法 - Google Patents

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【課題】 住戸躯体側の鉄筋の配筋状況にあわせて連結鉄筋を配筋することができ、かつ跳ね出し部の大きさおよび形状に対応させて施工できる跳ね出し部における外断熱工法を提供することである。
【解決手段】 跳ね出し部における外断熱工法は、躯体の型枠15における跳ね出し部が形成される箇所に、複数の切欠溝4、5または設置用孔を備えた断熱材6を設置した後、前記切欠溝または設置用孔に鉄筋取付用治具8を跳ね出し部側と躯体側とにわたって取り付けるとともに、該躯体側に配筋する鉄筋16を鉄筋取付用治具8に取り付けて、前記型枠14、15内にコンクリート17を打設することである。
【選択図】図1

Description

本発明は跳ね出し部における外断熱工法に関するものである。
近年、冬季の室内における結露や壁内部の結露の防止、および建物の寿命を延ばすために外断熱工法が注目されている。これは建物の外壁に貼り付けた断熱材で建物全体を覆うものであるが、バルコニーなどの跳ね出し部において熱橋(ヒートブリッジ)を低減させるのは困難であった。この跳ね出し部において熱橋を低減させる方法として、図7に示すような、断熱材23に連結鉄筋24を設けた熱橋低減用鉄筋ユニット25が用いられている。そして、この熱橋低減用鉄筋ユニット25を、図8に示すように、バルコニーなどの跳ね出し部26が形成される型枠27内に設置し、該型枠27内にコンクリート28を打設することにより、跳ね出し部26と住戸躯体29との間に設けた断熱材23で熱橋を低減させるというものである。また、その他の跳ね出し部における外断熱工法としては、例えば特開2002−356932号公報の発明がある。
特開2002−356932号公報
しかし、上記の熱橋低減用鉄筋ユニットは、断熱材に多くの連結鉄筋が取り付けられているため、かさばる複雑な形状となって効率的な運搬および保管ができないという問題があった。また跳ね出し部は大きさおよび形状も様々であるため、これに対応するものを全て準備しておくのは殆ど不可能であり、しかも住戸躯体側に配筋された鉄筋が邪魔になって熱橋低減用鉄筋ユニットの連結鉄筋が配筋できないという問題もあった。
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、住戸躯体側の鉄筋の配筋状況にあわせて連結鉄筋を配筋することができ、かつ跳ね出し部の大きさおよび形状に対応させて施工できる跳ね出し部における外断熱工法を提供することである。
課題を解決するための手段である本発明の跳ね出し部における外断熱工法は、躯体の型枠における跳ね出し部が形成される箇所に、複数の切欠溝または設置用孔を備えた断熱材を設置し、前記設置用孔または切欠溝に鉄筋取付用治具を跳ね出し部側と躯体側とにわたって取り付けるとともに、該躯体側に配筋する鉄筋を鉄筋取付用治具に取り付けた後、前記型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする。
また、跳ね出し部における外断熱工法は、跳ね出し部が形成される箇所の躯体の型枠に、プレキャストコンクリート板を設置し、該プレキャストコンクリート板の接合端部に、複数の切欠溝または設置用孔を備えた断熱材を設置し、前記設置用孔または切欠溝に鉄筋取付用治具を跳ね出し部側と躯体側とにわたって取り付けるとともに、該躯体側に配筋する鉄筋を鉄筋取付用治具に取り付けた後、前記型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする。また鉄筋取付用治具の両端部に支圧板を設けたことを含むものである。
連結鉄筋を住戸躯体側の配筋状態にあわせて断熱材に配筋できるので、バルコニーやパラペットなど、どのような形状や大きさの跳ね出し部であっても簡単に外断熱工法をおこなえる。また断熱材における複数の切欠溝または設置用孔に設置された鉄筋取付用治具および連結鉄筋がコンクリートの打ち込みにより、簡単に動かないようになっている。また跳ね出し部における外断熱ができるので、連続的な断熱材で建物全体を覆うことができる。また跳ね出し部をプレキャストコンクリート板で形成する場合も、簡単に外断熱工法が行える。また十分な剪断耐力を有した鉄筋取付用治具は跳ね出し部の重量を負担するとともに、支圧板で跳ね出し部の重量による圧縮力をコンクリートに伝達する。
以下、本発明の跳ね出し部における外断熱工法(以下、外断熱工法という)について説明する。この跳ね出し部はいわゆるマンションなどの集合住宅などにおけるバルコニー、外側廊下およびパラペットなどであり、これらが断熱材を介して住戸躯体に形成されるものである。
図1は、第1の実施の形態の外断熱工法を示し、集合住宅における住戸躯体1の梁2に形成されたバルコニー3により説明する。
はじめに、鉄筋などを配筋するための切欠溝4、5を備えた断熱材6と、この断熱材6に設置する鉄筋取付用治具8とを準備する。この断熱材6は無機発泡系断熱材であり、適宜厚さで、かつバルコニー3と同じ幅に形成され、連結鉄筋7を配筋する上部切欠溝4と、鉄筋取付用治具8を取り付ける下部切欠溝5とが形成されている。これらの切欠溝4、5は、図3に示すように、連結鉄筋7および鉄筋取付用治具8が抜け落ちないように、これらよりも幅狭に形成されているか、あるいは把持突起9が形成されている。
また、鉄筋取付用治具8はバルコニー3の重量を負担できる剪断耐力を備えたステンレス製の筒体10であり、圧縮力をコンクリートに伝えるための支圧板11が両端部に設けられ、一方の支圧板11は雄ネジ12で筒体10内にねじ込まれ、支圧板11から雄ネジ12にかけて鉄筋接続用雌ネジ部13が形成されている。
次に、下部切欠溝5に鉄筋取付用治具8を取り付けた断熱材6をバルコニー3と住戸躯体1の間におけるバルコニー用型枠14に設置するとともに、上部切欠溝4にバルコニー用型枠14と住戸躯体用型枠15とにわたって配筋されるステンレス製の連結鉄筋7を設置する。上記鉄筋取付用治具8はバルコニー用型枠内に突出して取り付けられ、一方の支圧板11が住戸躯体用型枠15側に位置している。
次に、鉄筋取付用治具8を住戸躯体側の鉄筋16の配筋位置に応じて上下に微調整した後、ステンレス製の連結鉄筋7を鉄筋接続用雌ネジ部13にねじ込んで住戸躯体用型枠15側に配筋する。このステンレス製の鉄筋取付用治具8と連結鉄筋7とによって、バルコニー側からの熱が住戸躯体側に伝わり難くなている。
次に、バルコニー用型枠14と住戸躯体用型枠15とにコンクリート17を同時に打設し、これが硬化した後に脱型すると、断熱材6を介したバルコニー3が形成される。なお、鉄筋取付用治具8は上下部の切欠溝4、5にしっかりと組み込まれているため、このコンクリート17の打設力によって動くことはない。また上下部の切欠溝4、5を設置用孔にすることもできる。
また図4は、鉄筋取付用治具8の一方の支圧板11に鉄筋接続用ナット19を設けたものであり、これ以外は第1の実施の形態の外断熱工法と同じ構成である。また図5は、一方の支圧板11にのみ鉄筋接続用雌ネジ部13を設けたものであり、これ以外は第1の実施の形態の外断熱工法と同じ構成である。
図6は、第2の実施の形態の外断熱工法を示し、バルコニー3をプレキャストコンクリート板20で形成するものである。これは、はじめに、バルコニー用のプレキャストコンクリート板20、いわゆる上面からトラス筋の一部が突出したハーフプレキャストコンクリート板(以下ハーフPC板という)20の基端部側を住戸躯体用型枠15に設置するとともに、先端部側を支保工21で支持して、バルコニー用型枠14を形成する。このハーフPC板20の接合端部には、下部切欠溝5に鉄筋取付用治具8を取り付けた断熱材6が設置されている。
次に、断熱材6の上部切欠溝4に、バルコニー用型枠14と住戸躯体用型枠15とにわたるステンレス製の連結鉄筋7を配筋する。そして、上記と同様に、これらの型枠14、15に、同時にコンクリート17を打設して、このコンクリート17が硬化した後に脱型すると、断熱材6を介したバルコニー3が形成される。また、この実施の形態においても、図4および図5の鉄筋取付用治具8を使用することができる。
なお、上記の実施の形態において、コンクリート13はバルコニー用型枠14と住戸躯体用型枠15とに同時に打設したが、同時ではなく、一方を先に打設し、その後に他方を打設するようにしてもよく、その順番は任意とする。また上記の実施の形態においては、跳ね出し部としてのバルコニー3について説明したが、バルコニー3に限らず、外側廊下やパラペットであっても同じ方法を適用することができる。
第1の実施の形態の外断熱工法を示す断面図である。 図1の要部拡大断面図である。 断熱材の正面図である。 他の鉄筋取付用治具によるバルコニーにおける外断熱工法を示す断面図である。 他の鉄筋取付用治具によるバルコニーにおける外断熱工法を示す断面図である。 第1の実施の形態の外断熱工法を示す断面図である。 従来の外断熱工法に使用する熱橋低減用鉄筋ユニットであり、(1)は正面図、(2)は平面図である。 従来の外断熱工法の断面図である。
符号の説明
1、29 住戸躯体
2 梁
3、26 バルコニー
4 上部切欠溝
5 下部切欠溝
6 断熱材
7、24 連結鉄筋
8 鉄筋取付用治具
9 把持突起
10 筒体
11 支圧板
12 雄ネジ
13 鉄筋取付用雌ネジ部
14 バルコニー用型枠
15 住戸躯体用型枠
16 鉄筋
17、28 コンクリート
19 鉄筋接続用ナット
20 PC板
21 支保工
25 熱橋低減用鉄筋ユニット
27 型枠

Claims (3)

  1. 躯体の型枠における跳ね出し部が形成される箇所に、複数の切欠溝または設置用孔を備えた断熱材を設置し、前記設置用孔または切欠溝に鉄筋取付用治具を跳ね出し部側と躯体側とにわたって取り付けるとともに、該躯体側に配筋する鉄筋を鉄筋取付用治具に取り付けた後、前記型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする跳ね出し部における外断熱工法。
  2. 跳ね出し部が形成される箇所の躯体の型枠に、プレキャストコンクリート板を設置し、該プレキャストコンクリートの板の接合端部に、複数の切欠溝または設置用孔を備えた断熱材を設置し、前記設置用孔または切欠溝に鉄筋取付用治具を跳ね出し部側と躯体側とにわたって取り付けるとともに、該躯体側に配筋する鉄筋を鉄筋取付用治具に取り付けた後、前記型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする跳ね出し部における外断熱工法。
  3. 鉄筋取付用治具の両端部に支圧板を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の跳ね出し部における外断熱工法。
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