JP2005187987A - 繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物及び該組成物を用いる繊維製品の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 繊維製品を乾燥機で乾燥させる際に生じる衣類の縮み及びしわを同時に防止するための繊維製品用組成物と、該組成物を用いた繊維製品の処理方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、(A)少なくとも1つのエステル基を含むアミン化合物、その中和物及び4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤、(B)シリコーン、及び(C)水溶性高分子を含有し、((A)+(B))/(C)=99/1〜40/60(質量比)である繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物に関する。
本発明はまた、布に対して請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物を噴霧する工程;及び繊維製品用乾燥機を用いて乾燥する工程を含む、繊維製品の処理方法に関する。

Description

本発明は、衣類等の繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物及び該組成物を用いる繊維製品の処理方法に関する。特に本発明は、衣類用乾燥機で繊維製品を乾燥させる際に繊維製品に生じる縮み及びしわを防止するのに好適な繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物とその処理方法に関する。
近年、家電メーカー各社が競って乾燥機能が付いた洗濯機を上市、その保有率も高まり、家庭において乾燥機で衣類等の繊維製品を乾かす機会が増えてきている。しかし一方で、乾燥機で衣類等の繊維製品を乾燥させると繊維製品が縮んでしまったり、場合によっては大きなしわが生じる場合がある。この乾燥機を使用した際に生じる繊維製品の縮みやしわの発生を同時に解決できる組成物はこれまでなく、そのため生活者は乾燥機を途中で止めたりするなどハードの操作をせざるを得ないのが現状である。
特許文献1には、洗濯脱水時に機械的に生じる衣料のシワを抑制する衣料用処理剤組成物として、特定の水溶性ポリマー又は水性エマルジョンと、第4級アンモニウム塩とを特定範囲で含有する組成物が開示されているが、該文献に開示されている組成物は、エステル基を有するカチオン性界面活性剤を含有しない。特許文献2にも、しわを減少させる組成物として、有効量のシリコーン及び有効量の皮膜形成ポリマー及び液体キャリアを含有する組成物が開示されているが、該文献に開示されている組成物は、カチオン界面活性剤を含有しない。
特許文献3には、縮み等の繊維製品の形態を回復させる組成物として、4級アンモニウム化合物、3級アミンの無機又は有機酸塩及びシリコーンから選ばれる柔軟化剤に、特定の水溶性高分子化合物及びポリオキシエチレンアルキルエーテル型の特定の非イオン界面活性剤とを、特定比率で組み合わせた繊維製品処理剤組成物が開示されているが、カチオン性界面活性剤とシリコーンとを併有するものではない。特許文献4にも、縮み等の繊維製品の形態を回復させる組成物として、特定重量平均分子量の水溶性加工澱粉及びその誘導体並びに水溶性セルロース誘導体と、シリコーン及び非イオン界面活性剤とを、特定比率で組み合わせた繊維製品処理剤組成物が開示されているが、エステル基を含有するカチオン界面活性剤を含有するものではない。
特許文献1〜4のいずれの組成物も、乾燥機を用いて繊維製品を乾燥させた場合の縮み及びしわの抑制効果は満足いくものではない。
特開平9−105077号公報 特表平10−508912号公報 特開2000−129578号公報 特開2000−129577号公報
従って本発明は、繊維製品を乾燥機で乾燥させる際に生じる衣類の縮み及びしわを同時に防止するための繊維製品用組成物と、該組成物を用いた繊維製品の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、少なくとも1種のエステル基を含むカチオン界面活性剤とシリコーンと水溶性高分子を特定の比率で併用した組成物を布に付着させたあと乾燥機で乾燥させることにより、上記課題を解決することが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)少なくとも1つのエステル基を含むアミン化合物、その中和物及び4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤、
(B)シリコーン、及び
(C)水溶性高分子を含有し、
((A)+(B))/(C)=99/1〜40/60(質量比)である繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物を提供する。
本発明はまた、布に対して上記繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物を噴霧する工程;及び繊維製品用乾燥機を用いて乾燥する工程を含む、繊維製品の処理方法を提供する。
本発明によれば、衣類等の繊維製品を乾燥機を用いて乾燥する際に生じる縮みとシワとを効果的に防止することができる。
本発明で用いる(A)は、少なくとも1つのエステル基を含むアミン化合物、その中和物及び4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤である。エステル基を含有するカチオン界面活性剤を用いることにより、(B)成分及び(C)成分と一緒に配合した場合、製剤中での各成分の分散状態が良好となり、繊維製品に適用した場合に均一に付着することができるため好ましい。
本発明の(A)成分としては、下記一般式(1)で示される化合物を用いるのが好ましい。
Figure 2005187987
一般式(1)において、Gは水素又は炭素数9〜21、好ましくは炭素数11〜19の直鎖または分岐の炭化水素基である。
Yは水素、−CH3、−CH2CH3、または−(CH2)n−X−Gを表わす。
ここで、nは2〜4の整数、特に2又は3であるのが好ましい。
Xは−NH−CO−、−NH−、−COO−、−OCO−又は−O−を表わし、このうち、−NH−CO−、−OCO−又は−O−が好ましい。
本発明で用いることのできる(A)成分としては、具体的には、以下の式(2)〜(12)に示すアミン化合物、それらの有機または無機酸による中和物、およびその4級化物、またはそれらの混合物があげられる。








Figure 2005187987
ここで、式中に存在するR1は炭素数9〜21、好ましくは炭素数11〜19の直鎖、または分岐のアルキル基またはアルケニル基であって、各式において互いに同一であっても異なっていても構わない。R1は炭素数10〜22の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪酸から誘導される基である。このうち、炭素数12〜20の飽和又は不飽和直鎖脂肪酸が好ましい。
不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜80/20が好ましく、更には40/60〜80/20が特に好ましい。R1のもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。
上記3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸が挙げられる。
本発明で用いる3級アミンは塩酸、硫酸、メチル硫酸によって中和されたアミン塩の形で用いることが好ましい。その中和工程は3級アミンを予め中和したものを水に分散してもよいし、酸水溶液中に3級アミン を液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。
また、上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
以下に3級アミンの中和物、4級化物の例を記載する。
Figure 2005187987
以下に詳細な合成例を記載する。
一般式(2)、(3)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(2)と(3)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(2)と(3)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
一般式(4)、(5)、(6)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(4)、(5)、(6)の合計質量を基準として、(4)は1〜60質量%、(5)は0.5〜98質量%、(6)は0.1〜95質量%の比率で存在することが好ましく、(4)は50〜20質量%、(5)は0.5〜10質量%、(6)は70〜95質量%の比率で存在することが更に好ましい。更にその4級化物を用いる場合にはジメチル硫酸で4級化するのが好ましく、(9)、(10)、(11)で示される4級化物の存在比率も、質量比で(9)が1〜60質量%、(10)は25〜98質量%、(11)は0.1〜40質量%の比率で存在することが好ましく、(9)は30〜60質量%、(10)は10〜55質量%、(11)は5〜35質量%の比率で存在することが更に好ましい。更にそのとき、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率が70/30〜99/1の質量比率で存在していても構わない。但し(9)〜(11)に含まれるエステル基の加水分解を抑えるためには、4級化されていない(4)〜(6)の存在比率を小さくした方が好ましい。
一般式(7)、(8)の化合物は上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、公知の方法[J.Org.Chem.,26,3409,(1960)]で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(7)と(8)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその中和物を用いる場合には、塩酸で中和するのが好ましく、またその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(7)と(8)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
本発明の組成物における上記(A)成分の配合量は、特に制限されるものではなく、通常、組成物全量に対して、好ましくは0.05〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%配合することができる。このような範囲にあると、特にシワを防止する効果が増大し、また、使用に適した組成物の粘度が得られるので好ましい。
本発明で用いる(B)成分としては、変性、未変性いずれのシリコーンも用いることができるが、未変性ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミド・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれるシリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーン及びジメチルシリコーンがより好ましい。
変性シリコーンの場合、シロキサン骨格に対する各種変性基の変性部位は、側鎖の部分でも、主鎖を部分的に分断しているものなどいずれでも良いが、側鎖に変性基を有するものがより好ましい。また、いずれの場合も主鎖の最末端はメチル基、ヒドロキシル基、水素原子であることが好ましい。また、いずれの場合も主鎖の最末端はメチル基、ヒドロキシル基、水素原子であることが好ましい。
中でも下記一般式(I)で示されるポリエーテル変性シリコーンが最も好ましい。
Figure 2005187987
式(I)中、−Zは、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hであり、Rは同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基である。−Zとしては、−R、−OHが好ましく、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
Xはポリオキシアルキレン基である。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン基等があげられ、これらのうちの1種が付加したものであってもよく、あるいはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位などの異なった種類のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、いずれの場合であっても、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜35質量%である。
−Yは、−R1−O−X−R2または−O−X−R2であり、R1は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R2は水素原子または炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。ここで、R1は、炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの飽和炭化水素基(アルキレン基)が好ましく、中でもプロピレン基が特に好ましい。R2は、水素原子又は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でも水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましい。特に好ましいR2は、水素原子又はメチル基である。
Lは0〜50、Mは1〜1000、Nは10〜10000である。いずれも各繰返し単位の数の平均値を表す。ただし、ポリオキシアルキレン基X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%である。Lは0〜50、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜3000、更に好ましくは20〜500である。
上記一般式(I)で表される変性シリコーンは、各繰返し単位がブロック状に配列しているブロックコポリマーの構造を有するものであってもよく、あるいは、各繰返し単位がランダムに配列しているランダムコポリマーの構造を有するものであってもよい。
上記一般式(I)で表される変性シリコーンの製造方法は、特に限定されるものではない。ポリオキシアルキレン基を有するシリコーンは、Si−H基を有するシリコーンとポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンとの付加反応により製造することができる。製造の際、ポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレン、環状シリコーンなどの未反応原料、エタノール、イソプロピルアルコールなどの製造時に用いる溶剤、白金系などの触媒が微量残存するが、本発明の効果に影響を与えない。
本発明の(B)成分として使用する変性シリコーンは、その分子量が特に制限されるものではないが、重量平均分子量は500〜1,000,000が好ましく、より好ましくは1,000〜100,000の範囲である。このような範囲にあると、乾燥時にできるしわを防止する効果が増大し、また、本発明品の製造時のハンドリング性が良好であるので好ましい。
本発明で使用する(B)成分は商業的に入手できるものを使用することもできる。
本発明の組成物における上記(B)成分の配合量は、特に制限されるものではなく、通常、組成物全量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%配合することができる。このような範囲にあると、特にシワを防止する効果が増大し、また、使用に適した組成物の粘度が得られるので好ましい。
本発明で用いる(C)成分は、水酸基、カルボキシル基あるいはアミノ基などの親水基を有し、水溶性あるいはゲル状態でこれらの親水基を介して水和する高分子である。皮膜形成能が高いものが好ましい。水溶性高分子を併用することで、乾燥機で衣類を乾燥させたときに発生するシワのみならず縮みをも同時に効果的に防止することができる。(C)成分としては、任意の公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的には、ポリ酢酸ビニルの鹸化物及びその誘導体、加工澱粉とその誘導体、セルロース誘導体、特定のアクリル系、メタクリル系又はスチレン系重合体もしくは共重合体等があげられる。このうち、ポリ酢酸ビニルの鹸化物及びその誘導体が最も効果的である。
ポリ酢酸ビニルのケン化物及びその誘導体において、ビニルアルコールのホモポリマーは、ポリ酢酸ビニルを100mol%鹸化して得られる。ポリ酢酸ビニルを不完全に鹸化すれば、ビニルアルコールと酢酸ビニルとのコポリマー状態のものが得られる。
ポリ酢酸ビニルを好ましくは70〜100mol%、より好ましくは85〜100mol%ケン化したもの、更に好ましくは95〜100mol%ケン化したものが好適である。また、重合度としては、好ましくは300〜5000、より好ましくは1000〜4000、更に好ましくは1500〜3000である。ケン化度、重合度がこのような範囲にあると、繊維上での皮膜形成性が高く、縮み防止効果が増大すると共に、処理後の繊維製品の風合いが好適であるので好ましい。
また、このような範囲の鹸化度のポリマーに対しカルボン酸変性、カチオン変性を行い、変性ポリビニルアルコールとして使用することができる。変性度は皮膜形成の点から低いほうが良い。
本発明の(C)成分のポリ酢酸ビニルのケン化物及びその誘導体は、公知の方法により製造することもできるし、商業的に入手できるものを使用することもできる。例えば、ポリビニルアルコール完全けん化物として、クラレから商品名PVA124、PVA117で市販されているもの、ポリビニルアルコールカチオン変性物として、クラレから商品名CM-318で市販されているものを使用することができる。
加工澱粉の例としては、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉等のヒドロキシアルキル化澱粉、カルボキシメチル化澱粉等のカルボキシアルキル化澱粉、及びこれらを過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤又は酵素により低粘度化したもの等があげられる。
水溶性高分子として加工澱粉を用いる場合、置換度は、長期間保存した場合の加工澱粉の変性による沈澱物の生成に起因する色物の衣類に使用した時の白化現象の防止、及び繊維に強度与える観点から、0.08〜0.3であるのが好ましく、特に0.1〜0.2であるものを用いることが好ましい。
加工澱粉の水溶液の粘度は、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤または酵素で加工澱粉を分解することにより低下可能であり、スプレー性を良好なものとして白化現象を防止するため、例えば5重量%水溶液では20℃で100mPa・s以下の粘度とするのが好ましい。
本発明の(C)成分の加工澱粉は、公知の方法により製造することもできるし、商業的に入手できるものを使用することもできる。例えば、ヒドロキシプロピル化澱粉として、日澱化学(株)から商品名バイオスターチL(BSL)で市販されているものを使用することができる。
セルロース誘導体の例としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等があげられる。
水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロースを用いる場合、そのエーテル化度は、好ましくは0.6〜1.5、特に0.8〜1.0の範囲のものが好ましい。
本発明の(C)成分のセルロース誘導体の例は、公知の方法により製造することもできるし、商業的に入手できるものを使用することもできる。例えば、信越化学工業から商品名メトローズ60SH−50として市販されているものを使用することができる。
アクリル系、メタクリル系重合体もしくは共重合体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の重合体もしくは共重合体及びこれらの塩があげられる。その分子量は2000〜100万のものが好ましい。スチレン系重合体又は共重合体の例としては、スチレンスルホン酸重合体もしくは共重合体、又はこれらの塩等があげられる。
本発明の(C)成分のアクリル系、メタクリル系重合体もしくは共重合体は、公知の方法により製造することもできるし、商業的に入手できるものを使用することもできる。例えば、日本純薬から商品名ジュリマーAC103で市販されているもの、日本純薬から商品名ジュリマーAC203で市販されているもの、大同化成から商品名ダイドールHEC、ダイヤケムコ、ユカフォーマー104Dで市販されているものを使用することができる。スチレン系重合体もしくは共重合体としては、ライオンから商品名ポリティPS-1900で市販されているものを使用することができる。
本発明で使用する成分(C)としては、上記水溶性高分子の1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中の成分(C)の配合量は特に限定しないが、組成物全体の重量を基準として0.1〜8重量%とするのが好ましく、特に0.5〜6重量%とするのが好ましい。
本発明において、((A)+(B))/(C)=99/1〜40/60(質量比)であり、好ましくは80/20〜60/40である。このような範囲にあると、縮み及びしわ防止に優れ、処理後の繊維製品が柔軟であるので好ましい。
本発明の組成物は、非イオン界面活性剤、エタノールなどアルコール類、無機または有機の水溶性塩類、香料、色素、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤等の任意成分を発明の効果に影響を与えない範囲の量で更に含有することができる。
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分を十分に攪拌したところに、(C)成分を溶解した水溶液(場合によっては非イオン界面活性剤を添加)を添加し、更に十分に攪拌することにより製造することができる。
本発明の組成物は、繊維製品に噴霧することにより適用することもできるし、本発明の組成物を水に分散させたものに、繊維製品を浸漬、リンス処理することにより本発明の組成物を繊維製品に付着させることもできる。布に対して噴霧するのが好ましい。噴霧により適用すると、本発明の組成物が繊維製品に効率的に付着するので好ましい。その後タンブラー式家庭用衣類乾燥機またはドラム式洗濯乾燥機または縦型乾燥機能付き洗濯機で乾燥させることが好ましい。この場合の(C)成分の噴霧量としては、布の重量に対して、0.01〜2%噴霧することが好ましいが、より好ましくは0.05%〜1.5%、更に好ましくは0.5%〜1.2%である。このような範囲にあると、縮み及びしわ防止に優れ、処理後の繊維製品の風合いが好適であるので好ましい。またこの場合の噴霧法としては、以下を例として挙げることができる。
本発明の組成物を繊維製品に適用するのに使用できる収納容器は、その形態、種類などが特に制限されるものではなく、使用形態などによって適宜選定することができるが、繊維製品に適用する際の使用性を考慮すれば、スプレータイプの容器が好適であり、例えばディスペンサータイプのポンプスプレー容器、トリガースプレー容器(直圧あるいは蓄圧型)などを用いることができる。ポンプスプレー容器としては、例えば特開平9−256272号公報等に記載されているものが挙げられる。トリガースプレー容器としては、例えば特開平9−268473号、特開平9−256272号、特開平10−76196号公報等に記載されているものが挙げられる。
乾燥機は、市場に出ている物を使用でき、乾燥専用機や、洗濯乾燥機等特に制限なく使用することができる。例えば、松下電器のNH−D45Aのような従来タイプの衣類乾燥機や東芝TW−V8630、TW−853EXのようなドラム式洗濯乾燥機、日立製作所のNW−8CX 松下電器のNA−FD8003のような縦型式洗濯乾燥機などを挙げることができる。
(A)成分
(A−1)は、以下に示す合成で得られるものである。
(メチルエステルの合成)
オレイン酸メチル75質量%、リノール酸メチル16質量%およびステアリン酸メチル9質量%よりなるパーム脂肪酸メチル(ライオンオレオケミカル(株)、パステルM182)2.5kgと市販の安定化ニッケル触媒2.5g(0.1質量%/脂肪酸メチル)を4Lのオートクレーブに仕込み、窒素ガス置換を3回行った。ついで、回転数を800rpmにあわせ、温度185℃で約77Lの水素ガスを導入した。導入した水素が完全に消費されたら、冷却し、濾過助剤を使用して触媒を除き、水素添加したパーム脂肪酸メチルを得た。けん化価より求めた分子量は297であった。GCから求めた脂肪酸メチル組成は、ステアリン酸メチル36質量%、エライジン酸メチル(トランス体)36質量%、オレイン酸メチル(シス体)28質量%、リノール酸メチル0質量%であり、不飽和脂肪酸メチルエステルのトランス/シス比率は57/43(質量比)であった。尚、不飽和アルキル基は、GCにより次の方法で測定した。
機種 :Hitachi FID ガスクロG−3000カラム:GLサイエンス TC-70(0.25mm I.Dx30)
温度 :カラム150℃ → 230℃,昇温速度10℃/min、インジェクター&デイテクタ-240℃カラム圧力:1.0kgf/cm
(アルカノールアミンエステルとその4級化物の合成)
調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489gにステアリン酸メチル137gとパルミチン酸メチル156gを混合した脂肪酸メチルエステル(不飽和脂肪酸メチル/飽和脂肪酸メチルの質量比40/60)と、トリエタノールアミン250g、酸化マグネシウム0.51g、14%水酸化ナトリウム水溶液3.69gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
得られたアルカノールアミンエステル270gを温度計,滴下ロート,冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、ジメチル硫酸57.4gを1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、約62gの未変性エタノール(日本エタノール(株))を滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(Degussa社)をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加した。得られた反応生成物にはモノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が28/53/19(質量比)で含まれていた。このエタノール溶液中には、4級化されていないモノエステルアミンとジエステルアミンとトリエステルアミンが合計で9.0質量%含まれており、その比率は1/9/90(質量比)で存在していた。さらに副生成物として、両性化合物が2.0質量%含まれていた。
(A-2)本文中に(化合物12)として記載されるアミン中和物であり、式中R1は、炭
素数17飽和アルキル基/炭素数15の飽和アルキル基=60/40である。
(A-3)塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ライオンアクゾ製、商品名アーカード
218P)(比較品)
(B)成分
(B-1)ポリエーテル変性シリコーン
(B-2)ポリエーテル変性シリコーン
(B-3)ポリエーテル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング、SH3771)
(B-4)ジメチルシリコーン(東レ・ダウコーニング、SH200C-1000CS)
なお、(B−1)、(B−2)は、次に示す方法で合成したものである。
攪拌装置、凝縮機、温度計及び窒素挿入口を備えた1Lの4つ口フラスコに、以下に示すオイルガノハイドロジェンポリシロキサンを100g、イソプロピルアルコールを50g、以下に示すポリオキシアルキレン化合物を11g、付加反応用触媒(2重量%塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液)を0.2g、2%酢酸ナトリウムのイソプロピルアルコール溶液を0.3g投入して、これらを窒素雰囲気下、90℃で3時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去することにより(B−1)、(B−2)を得た。
・オルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2005187987
(B−1)の場合、α=70、β=3
(B−2)の場合、α=210、β=9
・オルガノハイドロジェンポリシロキサン
CH2=CHCH2O(C2410−γ
(B−1)の場合、γ=H
(B−2)の場合、γ=CH3
(C)成分
(C-1)ポリビニルアルコール完全けん化物(クラレ、PVA124)
(C-2)ポリビニルアルコール完全けん化物(クラレ、PVA117)
(C-3)ポリビニルアルコールカチオン変性物(クラレ、CM-318)
(C-4)ポリアクリル酸アミド(日本純薬、ジュリマーAC103)
(C-5)ポリアクリル酸メタクリル酸共重合体(日本純薬、ジュリマーAC203)
(C-6)ポリスチレンスルホン化物(ライオン、ポリティPS-1900)
(C-7)ポリ塩化ジメチルアリルアンモニウムアクリルアミド共重合体(大同化成、ダイ
ドールHEC)
(C-8)メタクリル酸両性化物(ダイヤケムコ、ユカフォーマー104D)
(C-9)ヒドロキシプロピル化澱粉(日澱化学(株)、バイオスターチL(BSL))
(C-10)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業、メトローズ60SH
−50)
繊維製品用縮みしわ防止剤組成物の調整法
上記(A)成分、(B)成分を500mlビーカーにとり、攪拌羽を用いて充分に攪拌した。
一方で、1000mlビーカーにて(C)成分をイオン交換水に溶解(場合によっては、加温)し、これに適宜、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンイソトリデシルアルコール(40EO)、ライオン化学、レオコールTDA−400−75)を0.5%添加した。そして、これを50℃に加温し、(A)と(B)が入ったビーカーに攪拌羽根で攪拌しながら添加した。更に均一になるまで充分に攪拌して、500gの繊維製品用縮みしわ防止剤組成物を調整した。なお、(A)成分、(B)成分、(C)成分は有効成分量として配合した。
乾燥機による衣類の縮み・しわの評価方法
(1)処理方法
(試験布の調整)
市販の綿肌シャツ(綿100%、B.V.D.シャツ、富士紡績(株))を市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)により、家庭用ニ槽式洗濯機(三菱、CW−C30A1−H)を用いて洗浄15分(洗剤は標準量使用、浴比30倍、50℃水道水)→脱水2分の工程を2サイクル繰り返した後、流水すすぎ15分→脱水5分の工程を5回繰り返し、自然乾燥したものを試験布とした。
(本発明品による処理)
上記処理を行った、綿肌シャツ8枚を使用。予め綿肌シャツには収縮率の測定用に腹部中心に縦横30cmの正方形を描いた。市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)により、洗浄10分(洗剤は標準使用量、浴比20倍、通常水道水使用)、すすぎ2回、脱水3分に設定した家庭用全自動洗濯機(東芝、AW−F80HVP)で洗浄をした。脱水終了後、濡れている試験布に対して、トリガー容器(ライオン(株)商品「衣類のキレイキレイ」で使用している容器を使用)に入れた本発明品を試験布上に1枚当たり50gを前後満遍なく噴霧した。そして、試験布5枚を衣類乾燥機(松下 NA−D45H)に入れて、標準コースで自動で終了するまで乾燥した。乾燥後衣類を乾燥機よりとりだし、以下の評価を行った。
(2)評価
(衣類の縮み)
肌シャツの腹部中心に描いた縦横30cmの正方形の大きさを計測する。そして、処理前後の面積収縮率を算出、平均を出し、以下に示す評価基準で評価を行った。
5:面積収縮率〜5%未満
4:面積収縮率5%以上〜8未満
3:面積収縮率8以上〜12未満
2:面積収縮率12%以上〜15未満
1:面積収縮率15%以上〜
(衣類のしわ)
乾燥機から取り出した肌シャツに対して、専門パネラー10名が目視評価を行い、処理剤なしで処理し、20℃45%RH室で吊干し乾燥した試験布(乾燥機を使用していないためしわはついていない)を対照として、以下の基準で点数をつけその平均点をとり、平均点が1.4点以上〜2.0点以下を◎、0.7点以上〜1.4点未満を○、0.1点以上〜0.7点未満を△、0.0点以下を×として判定した。
+2:対照よりはっきりしわが少ない
+1:対照よりやややしわが少ない
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がややしわが少ない
−2:対照の方がはっきりしわが少ない












Figure 2005187987

Claims (4)

  1. (A)少なくとも1つのエステル基を含むアミン化合物、その中和物及び4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤、
    (B)シリコーン、及び
    (C)水溶性高分子を含有し、
    ((A)+(B))/(C)=99/1〜40/60(質量比)である繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物。
  2. (B)が、一般式(I)で示される変性シリコーンである、請求項1記載の繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物:
    Figure 2005187987
    (式(I)中、−Zは、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hである。Rは同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基である。Xはポリオキシアルキレン基である。−Yは、−R1−O−X−R2または−O−X−R2であり、R1は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R2は水素原子または炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。Lは0〜50、Mは1〜1000、Nは10〜10000である。ただし、ポリオキシアルキレン基X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%である)。
  3. (C)が、ポリ酢酸ビニルのケン化物及びその誘導体である、請求項1又は2記載の繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物。
  4. 布に対して請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維製品用液状縮み及びしわ防止剤組成物を噴霧する工程;及び繊維製品用乾燥機を用いて乾燥する工程を含む、繊維製品の処理方法。
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