JP2005187986A - 繊維製品用脱水効率向上剤組成物 - Google Patents

繊維製品用脱水効率向上剤組成物 Download PDF

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直行 江川
Akira Hyodo
亮 兵藤
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Abstract

【課題】 繊維製品の脱水効率を向上させることのできる組成物を提供すること。
【解決手段】 下記(a)、(b)及び(c)成分を含有し、(a)/(b)の質量比が0.1〜30である繊維製品用脱水効率向上剤組成物:
(a)下記一般式(I)で示される3級アミン、その塩又は4級化物またはそれらの混合物:
【化1】
Figure 2005187986

(式中、Gは水素又は炭素数9〜21の直鎖または分岐の炭化水素基を表す。Yは水素、−CH3、−CH2CH3、または−(CH2)n−X−Gを表わす。nは2〜4の整数を表す。Xは−NH−CO−、−NH−、−COO−、−OCO−又は−O−を表わす。)
(b)分子内にSiを含有する高分子化合物:
(c)炭素数10〜18のアルキルまたはアルケニル鎖を1つ有し、デービスの式により求められるHLBが5〜23である非イオン界面活性剤。

Description

本発明は、衣類等の繊維製品用脱水効率向上剤組成物に関する。
近年、生活環境の変化から、室内に洗濯ものを干すことが多くなっている。しかしながら、室内に干すことで乾燥時間が増大し、雑菌の繁殖、部屋干し臭の発生などの問題が生じている。
また、最近は洗濯・乾燥一体型の洗乾機が普及し始めているが、脱水後の衣類の含水率が高いと、乾燥させるのに長時間かかり、電気代がかさむだけでなく、乾燥時間が長くなると衣類の損傷が増えるといった問題もある。
そこで、特許文献1では洗濯におけるすすぎ工程で、フッ素原子含有長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩又は該塩を含有する柔軟仕上げ剤を投入することで、脱水効率を向上させる方法が開示されている。しかしながら、フッ素原子含有界面活性剤で処理した衣類は吸水性が低下し、汗や水分を吸い取りにくくなるなどの問題がある。
また、特許文献2には、乾燥時間を短縮できる布帛柔軟剤組成物が開示されているが、この組成物は、カチオン性界面活性剤と特定の高分子量レオロジー変性剤、すなわち(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、少なくとも1つのN又はSを含有するビニル置換複素環式化合物、会合性モノマー、及び必要により少なくとも2つのエチレン系不飽和結合を有する架橋性モノマーを重合することにより得られる高分子量レオロジー変性剤とを併有するものであって、衣類の脱水効率を向上させるものではなく、乾燥時間を短縮できる効果も不充分であった。
一方、特許文献3及び4にはカチオン性化合物と各種構造のシリコーンを含有する組成物が開示されているが、特許文献3は柔軟剤組成物に関するものであり、特許文献4は繊維製品に柔軟性を付与し、ハリコシを維持し、洗濯ジワを低減するための繊維製品用液体仕上げ剤組成物に関するものであって、脱水効率を向上させることについていずれの文献にも記載も示唆もされていない。
特開平09−188971号公報 特開2001−181980号公報 特開2000−64179号公報 特開2000−110075号公報
従って本発明は、繊維製品の脱水効率を向上させることのできる組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記(a)、(b)及び(c)成分を含有し、(a)/(b)の質量比が0.1〜30である繊維製品用脱水効率向上剤組成物を提供する:
(a)下記一般式(I)で示される3級アミン、その塩又は4級化物またはそれらの混合物:




Figure 2005187986
(式中、Gは水素又は炭素数9〜21の直鎖または分岐の炭化水素基を表す。Yは水素、−CH3、−CH2CH3、または−(CH2)n−X−Gを表わす。nは2〜4の整数を表す。Xは−NH−CO−、−NH−、−COO−、−OCO−又は−O−を表わす。)
(b)分子内にSiを含有する高分子化合物:
(c)炭素数10〜18のアルキルまたはアルケニル鎖を1つ有し、デービスの式により求められるHLBが5〜23である非イオン界面活性剤。
本発明はまた、(i)上記(a)成分と上記(c)成分との混合物を調製する工程;
(ii)工程(i)で得られる混合物に上記(b)成分を添加して混合物を調製する工程;
(iii)工程(ii)で得られる混合物に水を添加して分散して乳化物を調製する工程;を含む繊維製品用脱水効率向上剤組成物の製造方法を提供する。
本発明によれば、洗濯処理工程において、衣類等の繊維製品の脱水効率を向上させることができる。さらに、乾燥時間を短縮することができる。また、本発明によれば、洗濯処理を複数回繰り返しても、衣類等の繊維製品の損傷を効果的に抑制することができる。
本明細書において、「脱水効率向上剤組成物」とは、繊維製品を洗浄・脱水・乾燥する際に、脱水工程の前に添加することにより、脱水工程で、脱水後の繊維製品の含水率を低減させる組成物を意味する。ここで、「脱水効率」とは、該組成物無添加の場合に対して含水率が低減した比率を意味するが、以下の記載では、便宜上、含水率(無添加の場合と比較)で表現する。
本発明の(a)成分は、上記一般式(I)で示される。
一般式(I)において、Gは水素又は炭素数9〜21、好ましくは炭素数11〜19の直鎖または分岐の炭化水素基である。
Yは水素、−CH3、−CH2CH3、または−(CH2)n−X−Gを表わす。
ここで、nは2〜4の整数、特に2又は3であるのが好ましい。
Xは−NH−CO−、−NH−、−COO−、−OCO−又は−O−を表わし、このうち、−NH−CO−、−OCO−又は−O−が好ましい。
本発明で用いることのできる(a)成分としては、具体的には、以下の式(2)〜(8)に示すアミン化合物、それらの有機または無機酸による中和物、およびその4級化物、またはそれらの混合物があげられる。










Figure 2005187986
ここで、式中に存在するR1は炭素数9〜21、好ましくは11〜19の直鎖、または分岐のアルキル基またはアルケニル基であって、各式において互いに同一であっても異なっていても構わない。R1は炭素数10〜22の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪酸から誘導される基である。このうち、炭素数12〜20の飽和又は不飽和直鎖脂肪酸が好ましい。
不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜80/20が好ましく、更には40/60〜80/20が特に好ましい。R1のもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも好ましいのは、植物由来のステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜50/50(wt/wt)、シス/トランス体質量比が40/60〜80/20、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の比率が80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸を2質量%以下、炭素数22の脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。
上記3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸が挙げられる。
本発明で用いる3級アミンは塩酸、硫酸、メチル硫酸によって中和されたアミン塩の形で用いることが好ましい。その中和工程は3級アミンを予め中和したものを水に分散してもよいし、酸水溶液中に3級アミン を液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。
また、上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
一般式(2)、(3)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(2)と(3)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(2)と(3)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
一般式(4)、(5)、(6)の化合物は上記脂肪酸組成物又は脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(4)、(5)、(6)の合計質量を基準として、(4)は1〜60質量%、(5)は0.5〜98質量%、(6)は0.1〜95質量%の比率で存在することが好ましく、(4)は5〜20質量%、(5)は0.5〜10質量%、(6)は70〜95質量%の比率で存在することが更に好ましい。更にその4級化物を用いる場合にはジメチル硫酸で4級化し、下記の(9)、(10)、(11)の化合物とする。(9)、(10)、(11)の存在比率は、(9)、(10)、(11)の合計質量を基準として、質量比で(9)が1〜60質量%、(10)は25〜98質量%、(11)は0.1〜40質量%の比率で存在することが好ましく、(9)は30〜60質量%、(10)は10〜55質量%、(11)は5〜35質量%の比率で存在することがさらに好ましい。さらに、4級化物と4級化されていないエステルアミンの存在比率は、4級化物と4級化されていないエステルアミン(質量比)=70/30〜99/1であってもよい。但し、(9)〜(11)に含まれるエステル基の加水分解を抑えるためには、4級化されていない(4)〜(6)の存在比率を小さくした方が好ましい。
Figure 2005187986
一般式(7)、(8)の化合物は上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、公知の方法[J.Org.Chem.,26,3409,(1960)]で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(7)と(8)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(7)と(8)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
本発明の組成物における(a)成分の配合量は好ましくは3〜30質量%であり、より好ましくは4〜20質量%である。このような範囲内にあると、使用上適度な組成物の粘度が得られ、使用性が向上するので好ましい。また、本発明の組成物を処理浴に対して少量使用した場合でも効率的に脱水効率を向上することができるので好ましい。
本発明で用いる(b)成分は分子内にSiを含有する高分子化合物であり、以下の(b−1)及び(b−2)からなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物である。
本発明の(b)成分は、重量平均分子量が3,000以上であるのが好ましく、3,000〜500,000であるのがより好ましい。
本発明で用いる(b−1)成分は、シリコーン化合物である。シリコーン化合物は、変性または未変性であり得、具体的には以下のものがあげられる。
ジメチルポリシロキサンオイル(以下、ジメチルシリコーンとする)、
ジメチルシリコーンオイルの側鎖もしくは末端のメチル基の一部がヒドロキシ基になっているカルビノール変性シリコーン、
アミノ官能基当量が300〜20,000のアミノ変性シリコーン、
エポキシ官能基当量が300〜5,000のエポキシ変性シリコーン、
カルボキシ官能基当量が500〜4,000のカルボキシ変性シリコーン、
ポリオキシアルキレン基を含むポリエーテル変性シリコーン、
アルキル基を含有するアルキル変性シリコーン、
ポリオキシアルキレン基とアミノ基を含有し、アミノ官能基当量が1,000〜5,000であるアミノ・ポリエーテル変性シリコーン。
なお、上記シリコーン化合物には合成副生物、あるいは粘度調整剤として4〜6量体の環状シリコーンオイルが10質量%以下含まれていてもかまわない。
本発明で用いることのできるシリコーン化合物としては市販品を使用することができ、例えば以下のものがあげられる。
ポリジメチルシロキサン
SH200C−1,000CS(東レ・ダウコーニング社製)
SH200C−5,000CS(東レ・ダウコーニング社製)
SH200C−30,000CS(東レ・ダウコーニング社製)
SH200C−60,000CS(東レ・ダウコーニング社製)
SH200C−100,000CS(東レ・ダウコーニング社製)
SH200C−1,000,000CS(東レ・ダウコーニング社製)
アミノ変性シリコーン
BY16−849(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−853(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−872(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−892(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−879B(東レ・ダウコーニング社製)
TSF4706(GE東芝シリコーン社製)
カルビノール変性シリコーン
SF−8428(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−848(東レ・ダウコーニング社製)
エポキシ変性シリコーン
SF8413(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−839(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−855(東レ・ダウコーニング社製)
ポリエーテル変性シリコーン
SH3772(東レ・ダウコーニング社製)
SH3775(東レ・ダウコーニング社製)
SF8410(東レ・ダウコーニング社製)
SF8427(東レ・ダウコーニング社製)
KF6016(信越化学工業社製)
アルキル変性シリコーン
BY16−846(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−601(東レ・ダウコーニング社製)
アミノポリエーテル変性シリコーン
BY16−837(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−893(東レ・ダウコーニング社製)
カルボキシ変性シリコーン
BY16−750(東レ・ダウコーニング社製)
SF8418(東レ・ダウコーニング社製)
本発明で用いることのできる(b−2)成分は、下記(b−2−a)、(b−2−b)、(b−2−c)を必須成分とするSi含有高分子共重合体である。
(b−2−a):以下の一般式で示されるシリコーンマクロマー。
(b−2−b):3級アミン、または4級アンモニウム基を含有するビニルモノマー。
(b−2−c):アニオン性ビニルモノマー
Figure 2005187986
上記式中において、R2は水素又はメチル基を示し、R3はエーテル基を含有しても良い炭素数1〜6、好ましくは1〜4の2価脂肪族基を示す。R4は炭素数1〜30、好ましくは2〜18の脂肪族基、芳香族基、又はヒドロキシル基を示す。hは0、1又は2の数字を示し、jは0〜500、好ましくは10〜300の数字を示す。ここで、脂肪族基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン基等があげられる。芳香族基としては、ベンジル基等があげられる。
上記シリコンマクロマー(b−2−a)は、1種又は2種以上、適宜に組み合わせて使用しても良い。上記シリコンマクロマー(b−2−a)の分子量は、300〜40,000の範囲であるのが望ましく、特に1,000〜20,000の範囲にあることが望ましい。分子量が300〜40,000の範囲内であれば、容易に共重合させることができるので好ましい。
3級アミン、または4級アンモニウム基含有ビニルモノマー(b−2−b)としては、下記式で表わされるビニルモノマーが好ましい。





Figure 2005187986
上記式中、R5はH又はメチル基を示し、Tは酸素原子またはNHを示し、Aは炭素数1〜8、好ましくは1〜4の直鎖状もしくは分岐状アルキレン基を示し、水酸基を1つ以上含んでも良く、R6はHまたは炭素数1〜12、好ましくは1〜4のアルキル基を示し、R7及びR8は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜12、好ましくは1〜4のアルキル基を示し、Mは、ヨウ素、臭素、塩素イオン、又は炭素数1〜2のアルキル硫酸イオン等を示す。例えば(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル、及びそのハロゲン化アルキルによる四級化物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びそのハロゲン化アルキルによる四級化物が挙げられ、1種用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。ハロゲン化アルキルとしては、例えば塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ベンジルクロリド等が挙げられる。このうち好ましくは、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル及びそのハロゲン化アルキルによる四級化物であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロリドである。
本発明で用いられる高分子共重合体におけるアニオン性ビニルモノマー(b−2−c)としては、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸類、アクリル酸、メタクリル酸(以下、アクリル、メタクリルを(メタ)アクリルと標記する)、クロトン酸、マレイン酸、等のビニル基を有するカルボン酸類、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート等のリン酸類などが挙げられ、これらの中でも、ビニル基を有するカルボン酸類又はスルホン酸その塩が好ましく、更に好ましくは(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。アニオン性ビニルモノマーは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、本発明で用いられているアニオン性ビニルモノマーは、その塩または酸との混合物の形で用いることもできる。これらの塩には、アルカリ金属塩の他、アンモニアやトリエチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基性化合物との塩を挙げることができる。なお、これらよりなる高分子共重合体は、(b−2−a)、(b−2−b)、(b−2−c)とラジカル重合可能な不飽和結合を有する他の単量体を含んでも良い。
本発明で用いることのできる高分子共重合体(b−2)におけるシリコンマクロマー(b−2−a)、3級アミン、または4級アンモニウム基含有ビニルモノマー(b−2−b)、及びアニオン性ビニルモノマー(b−2−c)は必須成分であり、シリコンマクロマー(b−2−a)はSi含有高分子共重合体中1〜60質量%の範囲で含まれるのが好ましく、より好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%の範囲である。上記シリコンマクロマー(b−2−a)の含有量がこのような範囲内にあると、繊維製品の脱水効率を効果的に向上させることができ、また、本発明の組成物の乳化分散性が良好であるので好ましい。
上記3級アミン、または4級アンモニウム塩含有ビニルモノマー(b−2−b)、アニオン性ビニルモノマー(b−2−c)の比率は(b−2−c)/{(b−2−b)+(b−2−c)}が10〜95モル%である必要があり、好ましくは、20〜95モル%、より好ましくは30〜90モル%である。上記比率がこのような範囲内にあると、本発明の組成物の乳化分散性が良好であるので好ましい。
上記高分子共重合体(b−2)の平均分子量は、3,000〜1,500,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜1,000,000、更に好ましくは10,000〜800,000である。
本発明で用いることのできる共重合体(b−2)は従来から公知のラジカル重合法により製造される。この場合、重合開始剤としては従来公知の各種のものを使用することができ、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2―アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン) 2塩酸塩、2,2−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙げられ、アゾ化合物が好ましい。重合方法としては、溶液重合、バルク重合、沈殿重合等の公知の重合法が用いられる。重合温度は用いる溶媒により異なるが、一般には30℃から100℃であり、重合時間は通常1時間から24時間である。
(b)成分の配合量は0.5〜30質量%であるのが好ましく、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは1〜8質量%である。このような範囲内にあると、処理浴に添加する本発明の組成物の量が少なくても、効果的に脱水効率を向上させることができるので好ましい。また、本発明の組成物の粘度を適度な範囲にすることができるため、使用性が向上するので好ましい。
(a)、(b)成分の質量比は、(a)/(b)=0.1〜30、好ましくは3〜30、より好ましくは3〜8である。このような範囲内にあると脱水効率向上効果が良好であるので好ましい。また、本発明の組成物で処理した後の衣類等の繊維製品の吸水性(再湿潤性)も高く、汗や水分を吸い取りにくくなることがないので好ましい。また、本発明の組成物の分散安定性も良好であるので好ましい。
本発明で用いる(c)成分は、炭素数10〜18、好ましくは10〜16のアルキルまたはアルケニル鎖を1つ有し、デービスの式により求められるHLBが5〜23、好ましくは7.5〜20、より好ましくは10〜20である非イオン界面活性剤である。
(c)成分は(a)、(b)成分を乳化・分散するために配合する。ここでデービスの式は、
HLB=Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)+7
で表され、親水基、親油基の基数は、例えば、刈米孝夫著、界面活性剤の性質と応用、幸書房、92頁〜93頁に記載されている。
(c)成分の非イオン界面活性剤に含まれるアルキルまたはアルケニル鎖は、直鎖でも分岐鎖でもよい。アルケニル基を用いる場合にはシス体、トランス体どちらでも、また混合していても構わないが、シス体の方が好ましく用いられる。単一炭素数のものを用いても、あるいは炭素数の異なる数種を組み合わせて用いても構わない。
本発明で用いることのできる(c)成分としては、直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル基を有する高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル基を有する脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物等があげられる。このうち、直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル基を有する高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
該高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物において、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが好適である。これらの2種又は3種を併有することもできる。併有する場合、アルキレンオキサイド中のエチレンオキサイドの質量比率は50〜100%であることが好ましい。併有する場合、ランダムに付加しても、ブロックで付加してもどちらでも構わない。
原料となる高級アルコールとしては、商業的に入手できるものを使用することができる。具体的には、エクソン化学(株)製エクサール、BASF社製Lutensolシリーズ、協和発酵工業(株)オキソコールC13、Hoechst AG社製Genapolシリーズ(Cシリーズ、Tシリーズ)、Shell製Dobanolシリーズ、CONDEA(SASOL)社のISOFOLシリーズなどを使用することができる。原料アルコールは1級アルコールでも2級アルコールでも使用できるが1級アルコールを用いたほうが組成物の分散性が良好であるので好ましい。
該高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物としては、商業的に入手できるものを使用することもでき、具体例として、日本エマルジョン株式会社のエマレックスシリーズ、三洋化成株式会社のエマルミンシリーズ、ライオン化学株式会社のTDAシリーズ、(株)日本触媒製ソフタノール300等のソフタノールシリーズ、BASF社製Lutensolシリーズ、Emulanシリーズ等を挙げることができる。また、上記化合物には、原料であるアルコールやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが反応副生物としてアルコールエトキシレート中に10質量%以内で含まれていても構わない。
(c)成分の配合量は0.1〜10%であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜8%、さらに好ましくは1〜5%である。このような範囲内にあると、脱水効率向上効果を良好に発揮できるので好ましい。
本発明の繊維製品用脱水効率向上剤組成物は、例えば、以下の方法1又は2により調製することができる。
方法1:(i)(a)成分と(c)成分とを、予め(a)成分の相転移温度以上の温度で良く混合した後、(ii)該混合物に(b)成分を追加しさらに攪拌する。(iii)次いで、(a)成分の相転移温度以上の温度を保ちながらその混合物に水を添加して乳化分散させることにより調製することができる。水は1回で全量を添加することもできるし、2回以上に分けて添加することもできるが、水を2回以上に分けて添加する方法が好ましい。水を2回以上に分けて添加する場合、具体的には、上記配合順序で調製した(a)、(b)、(c)成分の混合物に、{(a)+(b)}成分の濃度が30〜50質量%、好ましくは35〜45%の濃度となるように水を加え高せん断下(例えば、100〜500s-1の剪断力)、(a)成分の相転移温度以上の温度を保ちながら、通常1〜5分間攪拌する。次いで、{(a)+(b)}の濃度が所定濃度(5〜35質量%)になるようにさらに水を加えて攪拌し、乳化分散物を得ることができる。
この時使用する高剪断乳化装置としては、ホモミキサー、マイルダー、クレアミックス、フィルミックス、ウルトラミキサー、ラインミキサー、ベコミックス、レキサミックスなどが挙げられる。乳化温度は、使用する(a)成分の相転移温度以上であるのが好ましい。例えば、(a)成分の相転移温度より5〜10℃高い温度で乳化するのが好ましい。
方法2:(a)成分を(c)成分で乳化分散させた乳化物と、(b)成分を(c)成分で乳化分散させた乳化物を混合し、本発明の乳化物を調製することもできる。
(a)成分の相転移温度は、示差走査熱量計(DSC:セイコー・インスツルメント社製)を用いて測定した。(a)成分にイオン交換水を添加、混合して乳化条件濃度に調整したものを用いて、2℃/分の昇温速度で相転移温度を測定した。相転移温度は一番大きなピークのピークトップ温度とした。
本発明の組成物において、(a)、(b)、(c)成分を含む乳化物粒子の平均粒径は0.01〜0.5μmであるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.4μm、さらに好ましくは0.01〜0.35μmである。平均粒径がこの範囲内にあると、繊維製品に対して均一に吸着しやすく、脱水効率向上効果が著しく増大するので好ましい。このような平均粒径の乳化物は、上記方法1でも2でも得ることができるが、方法1で調製するのが好適である。
乳化物の粒子径の測定方法としては種々あるが、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製)を用いた測定が、簡便性の点から好ましい。
また、本発明の組成物には本発明の目的を損なわない範囲で以下のものを配合することができる。
組成物の粘度をコントロールする目的で無機または有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウムなどを例示でき、組成物中に0〜1%配合できる。塩の添加は乳化組成物製造のどの工程で入れても構わないが、2回以上に分けて添加するのが好ましい。つまり、組成物製造中に0〜0.5質量%、製造後に0〜0.5質量%添加することである。製造中の添加量より製造後の添加量を多くすることにより、組成物の粘度を低下させることができる。
また、組成物の香気や色調の安定性を向上させるために酸化防止剤や金属キレート剤を配合することができる。酸化防止剤としてはアスコルビン酸、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン:ジブチルヒドロキシトルエン)を例示できる。酸化防止剤は0〜1質量%配合できる。金属キレート剤としてはエチレンジアミン4酢酸・2ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸などを例示でき、組成物中に0〜1%配合できる。
また、組成物の防腐力、殺菌力を強化する目的で特開2002−327375で開示されている防腐剤や殺菌剤を配合でき、組成物中に0〜1%配合できる。
また、組成物の外観を向上する目的や組成物に芳香を付与するために、通常の繊維製品用仕上げ剤組成物で使用している任意の染料および/または顔料、香料成分を配合することもできる。
本発明には脂肪酸やアルカノールアミンや、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコールが含まれても良い。これらの成分は製造時に配合していなくても、(a)成分が加水分解され、脂肪酸と、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンを生じる場合もあるからである。また、低級アルコールは(a)成分のハンドリング性を向上する目的でスラリー溶媒として用いられる場合があり、組成物中に含まれる。
本発明の繊維製品用脱水効率向上剤組成物は、(a)成分の分子中に含まれるエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1.0〜6.0の範囲にすることが好ましい。好ましくはpH2.0〜4.0の範囲である。pH調整には、任意の無機または有機の酸およびアルカリを使用することができるが、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
本発明の繊維製品用脱水効率向上剤組成物を実際に使用する場合、その方法は特に制限されないが、すすぎ後、水量に対し、本組成物を成分(a)と(b)との合計の濃度が30〜300ppmとなるような量で添加して使用するのが望ましく、40〜150ppmとなるような量で使用するのが更に好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、後述の例において成分添加量%はすべて質量%(特に指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
〔実施例1〜20、比較例1〜5〕
下記の要領により繊維製品用脱水効率向上剤組成物を調製し、繊維製品を仕上げ処理したあとの含水率を測定した。
繊維製品用脱水効率向上剤組成物の調製方法
以下に示す(a)成分、(b)成分および(c)成分と、表1に示す任意成分(d)および表2に示す香料成分(e)を用い、表3、4および表5に示す組成により、また、以下の配合方法に従って繊維製品用脱水効率向上剤組成物を調製した。
配合方法1
176gの(a−1)成分を内径120mmのガラス容器に取り55℃に加温し、スリーワンモーターを用いて1000rpmで攪拌しながら、40gの(c−1)成分を加えて30秒間混合した。攪拌羽としては、長さが100mmの羽を30mm間隔で3本有するパドル羽を用いた。そこに予め55℃に加温してあった40gの(b−1−1)成分を添加し、さらに30秒間攪拌した。そこに予め50℃に加温しておいた、イオン交換水を246g加えて、3分間攪拌した。ついで残りのイオン交換水458gを加えてさらに3分間攪拌した(イオン交換水の分割比率は35/65)。最後に10質量%に調整した塩化カルシウム(d−2成分)溶液を40g加えた後、室温まで冷却した。
この配合方法は実施例1、実施例4〜20、および比較例2〜4で行なった。この配合方法1で実施例4〜20を配合する場合には、成分および配合量を所定の数値に変更して行なった。また、任意成分で配合する(d)成分は所定量をイオン交換水に溶解させて配合を行なった。
配合方法2
176gの(a−1)成分を内径120mmのガラス容器に取り55℃に加温し、スリーワンモーターを用いて1000rpmで攪拌しながら、40gの(c−1)成分を加えて30秒間混合した。攪拌羽としては、長さが100mmの羽を30mm間隔で3本有するパドル羽を用いた。そこに予め55℃に加温してあった40gの(b−1−1)成分を添加し、さらに30秒間攪拌した。そこに予め50℃に加温しておいた、イオン交換水を704g加えて、3分間攪拌した。最後に10質量%に調整した塩化カルシム(d−2成分)溶液を40g加えた後、室温まで冷却した。
この配合方法は実施例2で行なった。
配合方法3
176gの(a−1)成分を内径120mmのガラス容器に取り55℃に加温し、スリーワンモーターを用いて1000rpmで攪拌しながら、30gの(c−1)成分を加えて30秒間混合した。攪拌羽としては、長さが100mmの羽を30mm間隔で3本有するパドル羽を用いた。そこに予め50℃に加温しておいた、イオン交換水を422g加えて3分間攪拌し、(a−1)成分の乳化物を得た。
つぎに、予め55℃に加温してあった40gの(b−1−1)成分を、内径120mmのガラス容器に取り55℃に加温し、スリーワンモーターを用いて1000rpmで攪拌しながら、10gの(c−1)成分を加えて30秒間混合した。攪拌羽としては、長さが100mmの羽を30mm間隔で3本有するパドル羽を用いた。そこに予め50℃に加温しておいた、イオン交換水を282g加えて、3分間攪拌し、(b−1−1)成分の乳化物を得た。
この(a−1)成分を含む乳化物と(b)成分を含む乳化物を混合し、最後に10質量%に調整した塩化カルシウム(d−2成分)溶液を40g加えた後室温まで冷却した。
この配合方法は実施例3で行なった。
また、比較例1では(a)(b)成分を配合しないため、表5に示す組成に成る様にイオン交換水に各成分を溶解させて調製した。
上記乳化物の平均粒子径の測定はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製)を用い、屈折率を1.08として算出し、モード径における平均粒子径を表3、4、5に併せて示した。
以下、脱水効率の試験方法について示す。
脱水効率向上剤組成物による処理
市販の綿タオルを市販洗剤「トップ」(ライオン(株)社製)により洗濯機(CW-C30A1-H 三菱電機製)を用いて2回前処理を行なったものを試験布として用いた(洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水、洗浄10分→注水すすぎ10分を2回)。前処理した綿タオル約1000g(12枚)を洗濯機(CW-C30A1-H 三菱電機製)を用いて、市販洗剤「トップ」(ライオン(株)社製)で洗浄し(標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用、10分)、ためすすぎを1回行なった後、すすぎ2回目に表3〜5に示す脱水効率向上剤組成物を水量30Lに対して20mL加えて、3分間処理を行なった(浴比30倍、25℃の水道水使用)。その後、1分間脱水を行なった後、綿タオルの含水率を測定し、12枚のタオルの含水率の平均値が、
70%未満のときに◎
70〜80%のときに○
80〜90%のときに△
90%超のときに×
とし、結果を表3、4、5に併せて示した。含水率は以下の式に従って算出した。
含水率(%)=(処理後の布重量−処理前の布重量)/処理前の布重量 ×100
本発明に用いた成分(a)の合成方法を示す。
(a−1)の合成
a−1−1.メチルエステルの合成
オレイン酸メチル75質量%、リノール酸メチル16質量%およびステアリン酸メチル9質量%よりなるパーム脂肪酸メチル(ライオン株式会社、パステルM182、分子量296)2.5kgと市販の安定化ニッケル触媒2.5g(0.1質量%/脂肪酸メチル)を4Lのオートクレーブに仕込み、窒素ガス置換を3回行った。ついで、回転数を800rpmにあわせ、温度185℃で約77Lの水素ガスを導入した。導入した水素が完全に消費されたら、冷却し、濾過助剤を使用して触媒を除き、水素添加したパーム脂肪酸メチルを得た。けん化価より求めた分子量は297であった。GCから求めた脂肪酸メチル組成は、ステアリン酸メチル36質量%、エライジン酸メチル(トランス体)36質量%、オレイン酸メチル(シス体)28質量%、リノール酸メチル0質量%であり、不飽和脂肪酸メチルエステルのシス/トランス比率は43/57(質量比)であった。尚、不飽和アルキル基は、GCにより次の方法で測定した。
機種 :Hitachi FID ガスクロG-3000カラム:GLサイエンス TC-70(0.25mm I.Dx30)
温度 :カラム150℃ → 230℃,昇温速度10℃/min、インジェクター&デイテクタ-240℃カラム圧力:1.0kgf/cm2
a−1−2.アルカノールアミンエステルとその4級化物の合成
上記(a−1−1)で調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)にステアリン酸メチル137g(0.46モル)とパルミチン酸メチル156g(0.58モル)を混合した脂肪酸メチルエステル(飽和脂肪酸メチル/不飽和脂肪酸メチルの質量比60/40)と、トリエタノールアミン250g(1.67モル)、酸化マグネシウム0.51g、14%水酸化ナトリウム水溶液3.69gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
得られたアルカノールアミンエステル270g(0.46モル)を温度計,滴下ロート,冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、ジメチル硫酸57.4g(0.45モル)を1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、約62gの未変性エタノール(日本エタノール(株))を滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(Degussa社)をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加した。得られた反応生成物にはモノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が28/53/19(質量比)で含まれていた。この反応生成物の30質量%の乳化分散液を調製し、DSCを用いて相転移温度を測定したところ、47℃であった。このエタノール溶液中には、4級化されていないモノエステルアミンとジエステルアミンとトリエステルアミンが合計で9.0質量%含まれており、その比率は1/9/90(質量比)で存在していた。さらに副生成物として、両性化合物が2.0質量%含まれていた。
(a−2)の合成
パーム油由来のステアリン酸メチル45質量%とオレイン酸メチル40質量%とパルミチン酸メチル15質量%とを含む脂肪酸メチルエステルの混合物(ライオン株式会社製、パステルM180、パステルM181、パステルM16の混合物)1122g(3.82モル)、トリエタノールアミン300g(2.01モル)、酸化マグネシウム1.06g、及び、20%水酸化ナトリウム水溶液6.67g(エステル交換触媒:モル比(ナトリウム化合物/マグネシウム化合物)=1.26/1、前記脂肪酸低級アルキルエステル及びトリエタノールアミンの総質量に対する触媒使用量:0.17質量%)を、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに仕込んだ。窒素置換を行った後、窒素を0.40L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で170℃まで昇温し、8時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から、触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると621であった。
得られたアルカノールアミンエステル(分子量621)280g(0.451モル)を、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、窒素置換した。その後、50℃に加熱し、ジメチル硫酸56.9g(0.451モル)を1時間かけて滴下した。反応熱により反応温度が上昇し、ジメチル硫酸滴下終了時点で、85℃に到達した。そのまま85℃に保ち2時間攪拌した。反応終了後、約64gのエタノールを滴下し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(住友化学工業(株))をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加し、エタノール溶液を調製し、(a−2)を得た。得られた反応生成物にはモノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が18/48/34(質量比)で含まれていた。この反応生成物の30質量%の乳化分散液を調製し、DSCを用いて相転移温度を測定したところ、49℃であった。このエタノール溶液中には、4級化されていないモノエステルアミンとジエステルアミンとトリエステルアミンが合計で8.5質量%含まれており、その比率は1/11/88(質量比)で存在していた。さらに副生成物として、両性化合物が1.5質量%含まれていた。
以下本発明で用いた(b)成分について示す。
(b−1)成分:シリコーン化合物
b−1−1:アミノ変性シリコーン(TSF4706:GE東芝シリコーン社製)
b−1−2:アミノ変性シリコーン(BY16−872:(東レ・ダウコーニング社製)
b−1−3:ポリエーテル変性シリコーン
b−1−4:ポリエーテル変性シリコーン
b−1−5:ポリエーテル変性シリコーン(KF6016:信越化学工業社製)
b−1−5:アルキル変性シリコーン(BY16−846: 東レ・ダウコーニング社製)
b−1−6:エポキシ変性シリコーン(SF8413: 東レ・ダウコーニング社製)
b−1−7:カルボキシ変性シリコーン(SF8418:東レ・ダウコーニング社製)
b−1−8:ポリジメチルシロキサン(SH200−30,000cs:東レ・ダウコ
ーニング社製)
なお、b−1−3、b−1−4は次の様に合成した。すなわち、攪拌装置、凝縮機、温度計および窒素挿入口を備えた1Lの4つ口フラスコに、以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを100g、イソプロピルアルコールを50g、ポリオキシアルキレン化合物を11g、付加反応用触媒を0.2g、2%酢酸ナトリウムのイソプロピルアルコール溶液を0.3g投入して、これらを窒素雰囲気下、90℃で3時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去することによりb−1−3、b−1−4を得た。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2005187986
ポリオキシアルキレン化合物
CH2=CHCH2O−(C24O)10−γ
b−1−3の場合、γ=H
b−1−4の場合、γ=CH3
(b−2)成分
(b−2−1)
以下のSi含有高分子共重合体を用いた。合成法を以下に示す。この際、高分子の組成比の計算は、アニオン性モノマーは酸型、4級アンモニウムカチオンは対イオンに塩化物イオンとして計算した。また、シリコンマクロマー(b−2−a)に関しては、上記構造式(9)におけるサイラプレーンFM−0711(以下、FM−0711と記す)(h=2、j=11、R2=メチル基、R3=プロピレン基、R4=ブチル基)チッソ(株)社製の化合物を用いた。
(b−2−1)の合成
攪拌機および冷却管を備えた500mL容のセパラブルフラスコにエタノール117.4g、シリコンマクロマー(チッソ株式会社製、FM−0711)45.8gを加え、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。そこにジメチルアミノエチルメタクリレート3.2g、メタクリル酸15.3g、tert−ブチルメタクリレート40.7g及びエタノール52.2gの混合溶液と2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1.0gとエタノール25.4gの混合溶液を15分間隔で8回に分けて添加後、さらに80℃で3時間加熱攪拌し、合成を行なった。得られた高分子化合物の重量平均分子量97000であった。
(b−2−2)
シリコーングラフトポリマー(X−24−798A:信越化学工業社製)
以下本発明で用いた(c)成分について示す。
(c)成分:非イオン界面活性剤
(c−1):TA400−75(ライオン製:HLB=15.9)
(c−2):エマレックス730(日本エマルジョン製:HLB=13.1)
(c−3):Emulan To4070(BASF社製:HLB=15.9)
(c−4):ポリオキシエチレン(平均付加モル数20モル)ラウリルエーテル(ライオン(株)にて合成:HLB=14.9)
(c−5):エソミン O/20(ライオンアクゾ社製:HLB=11.2)
(c−6):ポリオキシエチレン(平均付加モル数8モル)ラウリルエーテル(ライオン(株)にて合成:HLB=5.8)
(c−7):ポリオキシエチレン(平均付加モル数80モル)デシルエーテル(ライオン(株)にて合成:HLB=30.6)
以下、任意成分として配合したd成分について表1に示す。
Figure 2005187986
また、実施例と比較例に配合した香料成分(e成分)について表2に示す。
















Figure 2005187986


Figure 2005187986





















Figure 2005187986







Figure 2005187986
上記実施例1〜20で示した組成物は50℃で1カ月放置した後も良好な分散安定性を示した。
なお、上記実施例1〜20の組成物で処理した綿タオルは、比較例2の組成物で処理した綿タオルに比べて良好な吸水性を示した(バイレック法による測定結果)。また、実施例1〜20の組成物で処理した衣類は、比較例2の組成物で処理した衣類に比べて、毛玉防止性、型崩れ防止性、色褪せ防止性に優れていた。

Claims (3)

  1. 下記(a)、(b)及び(c)成分を含有し、(a)/(b)の質量比が0.1〜30である繊維製品用脱水効率向上剤組成物:
    (a)下記一般式(I)で示される3級アミン、その塩又は4級化物またはそれらの混合物:
    Figure 2005187986
    (式中、Gは水素又は炭素数9〜21の直鎖または分岐の炭化水素基を表す。Yは水素、−CH3、−CH2CH3、または−(CH2)n−X−Gを表わす。nは2〜4の整数を表す。Xは−NH−CO−、−NH−、−COO−、−OCO−又は−O−を表わす。)
    (b)分子内にSiを含有する高分子化合物:
    (c)炭素数10〜18のアルキルまたはアルケニル鎖を1つ有し、デービスの式により求められるHLBが5〜23である非イオン界面活性剤。
  2. (a)/(b)の質量比が3〜30であることを特徴とする請求項1記載の繊維製品用脱水効率向上剤組成物。
  3. (i)請求項1記載の(a)成分と、請求項1記載の(c)成分との混合物を調製する工程;
    (ii)工程(i)で得られる混合物に、請求項1記載の(b)成分を添加して混合物を調製する工程;
    (iii)工程(ii)で得られる混合物に水を添加して分散して乳化物を調製する工程;を含む繊維製品用脱水効率向上剤組成物の製造方法。
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