JP2005187776A - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顔料沈降安定性および再分散性に優れるカチオン電着塗料組成物を提供すること。
【解決手段】 比重0.9〜3.0および平均粒径10〜700nmを有する有機顔料を、塗料固形分に対して1〜20重量%の量で含有する、カチオン電着塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、顔料沈降安定性および再分散性に優れる、有機顔料を含むカチオン電着塗料組成物に関する。
カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料組成物中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加することにより行なわれる塗装方法である、この方法は、複雑な形状を有する被塗物であっても細部にまで塗装を施すことができ、自動的かつ連続的に塗装することができるので、特に自動車車体等の大型で複雑な形状を有する被塗物の下塗り塗装方法として広く実用化されている。
一般に電着塗料組成物には、多量の防錆顔料および体質顔料が、防錆効果および塗膜物性の向上を目的として加えられており、そしてチタン白などの屈折率が大きい顔料または隠ぺい力に優れるカーボンブラックなどが必要に応じて加えられている。これらの顔料は、塗料組成物中において溶媒中に分散した状態にある。これらの顔料は一般に無機顔料であって比重が高く、そのため電着塗料組成物中において沈降が生じやすい。例えば無機顔料を含む従来の電着塗料組成物は、ほんの数時間の静置によって無機顔料が沈降する。そして沈降した顔料は強固に凝集するため、再び撹拌を行なっても元の分散状態に戻すことは非常に困難である。このような凝集を防ぐため、電着塗料組成物を含む電着槽および補給タンクは常時撹拌が必要となり、これが塗装業者の設備およびエネルギー費用における負担となっている。
さらに、比重の高い無機顔料は、電着塗装中においても沈降が生じやすい。電着塗装中に沈降した沈降物は、被塗物の水平面上に降り積もることがある。これは、肌荒れ、塗装ムラ等を有する塗膜をもたらす原因となる。自動車車体等の大型であってそして水平部面積の大きな被塗物の塗装では、これらは特に大きな問題となる。
特開平6−73314号公報(特許文献1)には、ラジカル重合性モノマーを共重合して得られる既架橋微小樹脂粒子(ミクロゲル)を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物が記載されている。カチオン電着塗料組成物にこのようなミクロゲルを配合することにより、凝集、異常付着、沈降等の問題を起こすことなく、防食性などを向上させることができると記載されている。この塗料組成物は、酸化チタンおよびカオリンなどの無機顔料を30重量%以上含むものである。
また特開平6−340832号公報(特許文献2)には、電着塗料の樹脂固形分100重量部に対して、球状の高純度アモルファスシリカ粉を0.1〜40重量部含有することを特徴とする電着塗料組成物が記載されている。この球状の高純度アモルファスシリカ粉を用いることによって、電着塗料浴中におけるチタン白や防錆性顔料などの沈降を防止できると記載されている。しかし特開平6−340832号公報では、撹拌の省略および断続な撹拌の可能性については全く触れられていない。
特開平6−73314号公報 特開平6−340832号公報
本発明は、顔料沈降安定性および再分散性に優れる、有機顔料を含むカチオン電着塗料組成物を提供することにある。
本発明は、比重0.9〜3.0および平均粒径10〜700nmを有する有機顔料を、塗料固形分に対して1〜20重量%の量で含有する、カチオン電着塗料組成物を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明のカチオン電着塗料組成は有機顔料を含み、かつ無機体質顔料を実質的に含まない。そのため、塗料組成物中に含まれる顔料の樹脂吸着性が高く、このため分散された有機顔料の凝集性が低減されている。また特定範囲の比重および平均粒径を有する有機顔料を使用することにより、顔料の沈降性が改善されており、長時間静置させた場合であっても沈殿物の生成量が少なく、かつこの生じた沈殿物は再撹拌によって容易に再分散させることができる。そのため、カチオン電着塗料組成物の貯蔵における常時撹拌、および電着塗装における電着槽の常時撹拌を必要とせず、撹拌を省略したり断続的に撹拌させたりすることができる。これにより、電着塗装における塗装コストを削減することができる。
さらに、本発明のカチオン電着塗料組成物は顔料沈降安定性に優れるため、電着塗装中においても沈降が生じ難い。そのため、塗装中に沈降した沈殿物の、被塗物の水平上面上への降り積もりが低減されており、外観、特に水平外観が良好な塗膜を得ることができる。さらに、本発明のカチオン電着塗料組成物は比重の高い顔料を含まないため、比重の小さい電着塗膜を得ることができる。そのため、自動車車体など、塗装面積の大きい被塗物における電着塗膜の重量を低減させることができる。これにより、大きい被塗物の軽量化を図ることができる。
本発明で使用されるカチオン電着塗料組成物は、水性媒体、水性媒体中に分散するか又は溶解した、バインダー樹脂、中和酸、有機溶媒、有機顔料、硬化触媒を含有する。バインダー樹脂は、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシアネート硬化剤を含む。水性媒体としては、イオン交換水等が一般に用いられる。
有機顔料
本発明のカチオン電着塗料組成物には有機顔料が含まれる。そして、本発明のカチオン電着塗料組成物においては、塗装分野で一般的に使用される体質顔料、例えばカオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレー、硫酸バリウムなどは含まれない。つまり、本発明のカチオン電着塗料組成物は、無機体質顔料を実質的に含まない。ここにいう無機体質顔料とは、塗料組成物中に増量剤として加えられる無機顔料を意味する。一般に無機体質顔料は比重2.5〜4.5、平均粒径500〜100000nmを有する。本発明のカチオン電着塗料組成物は有機顔料を含み、かつ無機体質顔料を含まないため、塗料組成物中に含まれる顔料の樹脂吸着性が高い。そのため塗料組成物中に分散された顔料が凝集し難くなっており、顔料分散性および再分散性に優れたものとなっている。
本発明のカチオン電着塗料組成物中に含まれ得る有機顔料として、例えば、赤色、橙色系の有機顔料である、β−ナフトール類、ナフトールAS類、ピラロゾン類、ベンズイミダゾロ類、ウオッチングレッド、パーマネントレッド2B、レーキレッドR、ボルドー10B、ボンマルーンメジウム、ボンマルーンライト、チオインジゴ類、アントラキノン類、ペリレン類、ペリノン類、キナクリドン類、ジケトピロロピロール類など、黄色系の有機顔料である、ファーストイエロー、ベンズイミダゾロイエロー、ジスアゾ類、ポリアゾ類、イソインドリノン類、イソインドリン類、アントラキノン類、キノフタロン類、アゾ、アゾメチン、ニトロソ基等を有する有機色素と金属イオンとからなる化合物など、緑色系の有機顔料である、フタロシアニングリーンなど、青色系の有機顔料である、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、インダントロンブルーなど、紫色系の有機顔料である、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレットなど、が挙げられる。
この有機顔料は比重0.9〜3.0、好ましくは0.9〜2.2であるものを用いる。比重が3.0を超える場合は、顔料沈降安定性が低下するおそれがある。さらに本発明では、平均粒径10〜700nm、好ましくは10〜200nmである有機顔料を用いる。平均粒径が700nmを超える場合は、顔料凝集性、沈降安定性が劣るおそれがある。
平均粒径とは、一般に粒子の粒度(粒径が粗いか細かいか)を表わすために用いられ、重量50%に相当するメジアン径や算術平均径、表面積平均径、体積面積平均径などが使用される。本発明に用いる樹脂微粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により測定されるメジアン径を示す。
カチオン電着塗料組成物の塗料固形分中における有機顔料の顔料濃度は、1〜20重量%、好ましくは1〜5重量%である。顔料濃度が1重量%少ない場合は、隠蔽力が低下する。また、顔料濃度が20重量%を超える場合は、塗膜外観が悪化し、肌荒れなどが生じるおそれがある。
また、被塗物の隠蔽性を向上させることを目的として、着色顔料と併せてカーボンブラックなどの無機着色顔料を使用してもよい。塗料組成物中に着色剤として加えられるカーボンブラックなどの無機着色顔料は、増量剤として加えられる無機体質顔料ではなく、本発明の塗料組成物に含めてもよい。しかし、無機着色顔料を含める場合、有機顔料と同様に比重0.9〜3.0および平均粒径10〜700nmを有する無機着色顔料を使用する必要がある。この範囲から外れる無機着色顔料を使用すると、良好な顔料沈降安定性および再分散性が得られないからである。
顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。
顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂ワニスと共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂ワニスとは、顔料分散樹脂を水性媒体中に分散させたものである。顔料分散樹脂としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。
一般に、顔料分散樹脂は、顔料100質量部に対して固形分比20〜100質量部の量で用いる。顔料分散樹脂ワニスと顔料とを混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて、顔料分散ペーストを得る。
カチオン性エポキシ樹脂
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポキシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
特開平5−306327号公報に記載される、下記式
Figure 2005187776
[式中、Rはジグリシジルエポキシ化合物のグリシジルオキシ基を除いた残基、R’はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、nは正の整数を意味する。]で示されるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよい。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックポリイソシアネート硬化剤とポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからである。
二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば、特開2000−128959号公報第0012〜0047段落に記載されており、公知である。
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数の種類を併用して用いてもよい。
ブロックイソシアネート硬化剤
本発明のブロックイソシアネート硬化剤で使用するポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーもブロックイソシアネート硬化剤に使用してよい。
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
ブロック剤としては、ε−カプロラクタムやブチルセロソルブ等通常使用されるものを用いることができる。しかしながら、これらの内、揮発性のブロック剤はHAPsの対象として規制されているものが多く、使用量は必要最小限とすることが好ましい。
硬化触媒
本発明で使用される硬化触媒としては、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、モノブチル錫オキサイドおよびそれらの混合物等が挙げられる。好ましくは、ジブチル錫オキサイドである。
上記硬化触媒は、電着塗料中の樹脂固形分に対し0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%の量で配合する。
カチオン電着塗料組成物の調製
本発明のカチオン電着塗料組成物は、上に述べた硬化触媒、カチオン性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤、及び顔料分散ペーストを水性媒体中に分散することによって調製される。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂を中和して、バインダー樹脂エマルションの分散性を向上させるために中和酸を含有させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。
使用される中和酸の量は、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂固形分100gに対して10〜25mg当量、好ましくは15〜20mg当量である。中和酸の量が10mg当量未満であると水への親和性が十分でなく水への分散ができないか、著しく安定性に欠ける状態となり、25mg当量を越えると析出に要する電気量が増加し、塗料固形分の析出性が低下し、つきまわり性が劣る状態となる。
カチオン性エポキシ樹脂、及び硬化剤としてブロックイソシアネートを配合し、水性媒体にこれらを分散させる方法として、カチオン性エポキシ樹脂にブロックイソシアネートを溶液状態で混合してエマルションとする方法がある。
ブロックイソシアネート硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級アミノ基、水酸基、等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性エポキシ樹脂(スルホニウム変性エポキシ樹脂および/またはアミン変性エポキシ樹脂)と、ブロックイソシアネート硬化剤との固形分質量比(エポキシ樹脂/硬化剤)で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。
有機溶媒は、カチオン性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤、顔料分散樹脂等の樹脂成分を合成する際に溶剤として必要であり、完全に除去するには煩雑な操作を必要とする。また、バインダー樹脂に有機溶媒が含まれていると造膜時の塗膜の流動性が改良され、塗膜の平滑性が向上する。
塗料組成物に通常含まれる有機溶媒としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
塗料組成物は、上記のほかに、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は被塗物に電着塗装され、電着塗膜を形成する。被塗物としては導電性のあるものであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム板及びこれらを表面処理したもの、これらの成型物等を挙げることができる。
電着塗装は、被塗物を陰極として陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が不充分となり、450Vを超えると、塗膜が破壊され異常外観となる。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は、通常10〜45℃に調節される。
電着過程は、カチオン電着塗料組成物に被塗物を浸漬する過程、及び、上記被塗物を陰極として陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過程、から構成される。また、電圧を印加する時間は、電着条件によって異なるが、一般には、2〜4分とすることができる。
電着塗膜の膜厚は、好ましくは5〜25μm、より好ましくは20μmとする。膜厚が5μm未満であると、防錆性が不充分であり、25μmを超えると、塗料の浪費につながる。
上述のようにして得られる電着塗膜を、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜260℃、好ましくは140〜220℃で、10〜30分間焼き付けることにより硬化させる。
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 ブロックイソシアネート硬化剤の製造
攪拌機、冷却器、窒素注入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(コロネートHX:日本ポリウレタン(株)製)199部とメチルイソブチルケトン32部、およびジブチルスズジラウレート0.03部を秤りとり、攪拌、窒素をバブリングしながら、メチルエチルケトオキシム87.0部を滴下ロートより1時間かけて滴下した。温度は50℃からはじめ70℃まで昇温した。そのあと1時間反応を継続し、赤外線分光計によりNCO基の吸収が消失するまで反応させた。その後n−ブタノール0.74部、メチルイソブチルケトン39.93部を加え、不揮発分80%とした。
製造例2 アミン変性エポキシ樹脂エマルションの製造
攪拌機、冷却器、窒素注入管および滴下ロートを取り付けたフラスコに、2,4/2,6−トリレンジイソシアネート(80/20wt%)71.34部と、メチルイソブチルケトン111.98部と、ジブチルスズジラウレート0.02部を秤り取り、攪拌、窒素バブリングしながらメタノール14.24部を滴下ロートより30分かけて滴下した。温度は室温から発熱により60℃まで昇温した。その後30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル46.98部を滴下ロートより30分かけて滴下した。発熱により70〜75℃へ昇温した。30分間反応を継続した後、ビスフェノールAピロピレンオキシド(5モル)付加体(三洋化成工業(株)製BP−5P)41.25部を加え、90℃まで昇温し、IRスペクトルを測定しながらNCO基が消失するまで反応を継続した。
続いてエポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YD−7011R)475.0部を加え、均一に溶解した後、130℃から142℃まで昇温し、MIBKとの共沸により反応系から水を除去した。125℃まで冷却した後、ベンジルジメチルアミン1.107部を加え、脱メタノール反応によるオキサゾリドン環形成反応を行った。反応はエポキシ当量1140になるまで継続した。
その後100℃まで冷却し、N−メチルエタノールアミン24.56部,ジエタノールアミン11.46部およびアミノエチルエタノールアミンケチミン(78.8%メチルイソブチルケトン溶液)26.08部を加え、110℃で2時間反応させた。その後エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル20.74部とメチルイソブチルケトン12.85部を加えて希釈し、不揮発物82%に調節した。数平均分子量(GPC法)1380、アミン当量94.5meq/100gであった。
別の容器にイオン交換水145.11部と酢酸5.04部を秤り取り、70℃まで加温した上記アミン変性エポキシ樹脂320.11部(固形分として75.0部)および製造例1のブロックイソシアネート硬化剤190.38部(固形分として25.0部)の混合物を徐々に滴下し、攪拌して均一に分散させた。そのあとイオン交換水を加え固形分36%に調整した。
製造例3 顔料分散樹脂ワニスの製造
攪拌機、冷却器、窒素注入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコに、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J)382.20部と、ビスフェノールA111.98部を秤り取り、80℃まで昇温し、均一に溶解した後、2−エチル−4−メチルイミダゾール1%溶液1.53部を加え、170℃で2時間反応させた。140℃まで冷却した後、これに2−エチルヘキサノールハーフブロック化イソホロンジイソシアネート(不揮発分90%)196.50部を加え、NCO基が消失するまで反応させた。これにジプロピレングリコールモノブチルエーテル205.00部を加え、続いて1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール408.00部、ジメチロールプロピオン酸134.00部を添加し、イオン交換水144.00部を加え、70℃で反応させた。反応は酸価が5以下になるまで継続した。得られた樹脂ワニスはイオン交換1150.50部で不揮発分35%に希釈した。
実施例1
サンドグラインドミルに、製造例3で得た顔料分散樹脂ワニス57.42部、有機顔料であるジケトピロロピロールレッド(比重1.35、平均粒径80nm、Ciba社製)17.25部、およびイオン交換水25.33部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た。
製造例2で得たカチオン性エポキシ樹脂エマルション45.2部に、上記の顔料分散ペースト23.2部を加え、混合した。さらにジブチル錫オキサイド0.6部およびイオン交換水31.6部を加えて、顔料濃度20重量%である赤色のカチオン電着塗料組成物を得た。
実施例2
サンドグラインドミルに、製造例3で得た顔料分散樹脂ワニス60.07部、有機顔料であるアゾ錯体イエロー(比重1.64、平均粒径80nm、Ciba社製)18.07部、およびイオン交換水21.85部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た。
製造例2で得たカチオン性エポキシ樹脂エマルション46.3部に、上記の顔料分散ペースト22.2部を加え、混合した。さらにジブチル錫オキサイド0.6部およびイオン交換水31.6部を加えて、顔料濃度20重量%である黄色のカチオン電着塗料組成物を得た。
実施例3
サンドグラインドミルに、製造例3で得た顔料分散樹脂ワニス59.42部、有機顔料である塩素化銅フタロシアニングリーン(比重2.20、平均粒径80nm、大日本インキ化学工業(株)社製)17.85部、およびイオン交換水22.73部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た。
製造例2で得たカチオン性エポキシ樹脂エマルション46.0部に、上記の顔料分散ペースト22.4部を加え、混合した。さらにジブチル錫オキサイド0.6部およびイオン交換水31.6部を加えて、顔料濃度20重量%である緑色のカチオン電着塗料組成物を得た。
実施例4
サンドグラインドミルに、製造例3で得た顔料分散樹脂ワニス72.62部、有機顔料である塩素化銅フタロシアニンブルー(比重1.70、平均粒径40nm、大日精化工業(株)社製)9.34部、およびイオン交換水18.04部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た。
製造例2で得たカチオン性エポキシ樹脂エマルション39.5部に、上記の顔料分散ペースト42.9部を加え、混合した。さらにジブチル錫オキサイド0.6部およびイオン交換水17.6部を加えて、顔料濃度20重量%である青色のカチオン電着塗料組成物を得た。
比較例1
サンドグラインドミルに、製造例3で得た顔料分散樹脂ワニス48.86部、二酸化チタン(比重4.0、平均粒径200〜300nm)25.32部、カーボンブラック(比重1.80、粒径14nm)0.73部、カオリン(比重2.63、平均粒径800nm)18.28部、リンモリブデン酸アルミニウム(比重3.0±0.3、平均粒径2700nm)1.37部およびイオン交換水5.44部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た。
製造例2で得たカチオン性エポキシ樹脂エマルション52.5部に、上記の顔料分散ペースト8.8部を加え、混合した。さらにジブチル錫オキサイド0.6部およびイオン交換水38.7部を加えて、顔料濃度20重量%である灰色のカチオン電着塗料組成物を得た。
比較例2
サンドグラインドミルに、製造例3で得た顔料分散樹脂ワニス50.0部、カーボンブラック(比重1.80、平均粒径14nm)15.0部、およびイオン交換水35.0部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た。
製造例2で得たカチオン性エポキシ樹脂エマルション46.5部に、上記の顔料分散ペースト4.0部を加え、混合した。さらにジブチル錫オキサイド0.6部およびイオン交換水49.4部を加えて、顔料濃度20重量%である黒色のカチオン電着塗料組成物を得た。
実施例および比較例で得られたカチオン電着塗料組成物およびそれらを電着塗装して得られた電着塗膜について、以下の方法により評価を行なった。
沈降性試験
実施例および比較例により得られたカチオン電着塗料組成物85gを、100ml試験管に入れ、24時間静置した。その後、上澄み液を静かに取り除き、沈殿物の重量を測定した。沈降性(%)の値を、下記式によって算出した。
Figure 2005187776
再分散性試験
沈降性試験において取り除いた上澄み液を、沈殿物の入った試験管に再び戻した。沈殿物が完全に分散するまで、試験管を上下方向に180度回転させた。この回転させた回数を記録した。
水平外観
未処理リン酸亜鉛鋼板に、上記で得られたカチオン電着塗料を乾燥膜厚20μmになるように電着し、水洗後、160℃で10分間焼付けし、得られた塗膜の表面を表面粗さ計SJ−201P(Mitutoyo社製)で、カットオフ2.5mmおよび区間数5の基準で表面粗度(Ra)を測定した。このRa値は、値が低いほど外観が良好であることを示している。
上記試験結果を表1にまとめる。表1に示されるとおり、本発明の電着塗料組成物は、比較例のものと比較して、沈降安定性および再分散性に優れる電着塗料組成物であって、かつ比重が軽く水平外観に優れた塗膜を得ることができるものであることが確認された。
Figure 2005187776

Claims (3)

  1. 比重0.9〜3.0および平均粒径10〜700nmを有する有機顔料を、塗料固形分に対して1〜20重量%の量で含有する、カチオン電着塗料組成物。
  2. 無機体質顔料を含まない、請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
  3. さらにカチオン性エポキシ樹脂およびブロックイソシアネート硬化剤を含むカチオン電着塗料組成物である、請求項1または2記載の電着塗料組成物。
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