JP2005187523A - 排出装置用耐熱性frp部材およびこれを使用したfrp製排出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い強度を有し、より高温にも耐えうる、排出装置用耐熱性FRP部材、および該部材を使用したFRP製排出装置を提供する。
【解決手段】 強化繊維とマトリックス樹脂で構成された耐蝕層と強化層を含む排出装置用耐熱性FRP部材であり、耐蝕層および強化層の強化繊維が炭素繊維を含み、耐蝕層における強化繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%、そして強化層における強化繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%であることを特徴とする排出装置用耐熱性FRP部材。
【選択図】 なし
【解決手段】 強化繊維とマトリックス樹脂で構成された耐蝕層と強化層を含む排出装置用耐熱性FRP部材であり、耐蝕層および強化層の強化繊維が炭素繊維を含み、耐蝕層における強化繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%、そして強化層における強化繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%であることを特徴とする排出装置用耐熱性FRP部材。
【選択図】 なし
Description
本発明は繊維強化複合材料で構成された、排出装置用FRP(繊維強化プラスチック)部材および該部材を使用したFRP製排出装置に関する。
従来のFRP製排出装置例えばFRP製煙突は、強化繊維としてガラス繊維を使用し、マトリックス樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂を多く使用していた。不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂は優れた成形性を有するが、熱変形温度に関してみると、不飽和ポリエステル樹脂で100℃〜130℃、ビニルエステル樹脂でも110℃〜150℃であるため、清掃工場におけるダイオキシン防止対策等での排煙温度の上昇に対応できないことが問題となっている。より耐熱性の高いビニルエステル樹脂を使用していても、かかる樹脂は難燃性を有するものの、燃焼が始まると燃焼が継続し自己消火能力は持たないことから、稼動中の事故や急激な温度上昇にともなう火災の恐れがあった。
従来はFRP製煙突にガラス繊維が多く用いられていたが、ガラス繊維は炭素繊維と比べて、(1)弾性率が低いため、鉛直方向における圧縮応力が生じた場合に圧縮座屈を起こしやすく、(2)十分な剛性を得るためには、肉厚を増やす必要があり、さらに比重が大きいため質量が増加し、さらに(3)耐アルカリ性に劣る、などの問題があった(例えば、特許文献1、2および3参照)。
また、コンクリート製煙突内面にFRPを取り付けた煙突もあるが、これとても質量が重く十分な剛性を有するものではなかった(例えば、特許文献4参照)。
特開昭62−103137号公報
特開昭62−103138号公報
特開昭53−134890号公報
特開平9−302996号公報
本発明の目的は、高い強度を有し、より高温にも耐えうる排出装置用耐熱性FRP部材、および該部材を使用したFRP製排出装置を提供することにある。
即ち本発明は、強化繊維とマトリックス樹脂で構成された耐蝕層と強化層を含む排出装置用耐熱性FRP部材であり、耐蝕層および強化層の強化繊維が炭素繊維を含み、耐蝕層における強化繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%、そして強化層における強化繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%であることを特徴とする排出装置用耐熱性FRP部材に関する。
また本発明は、強化繊維とマトリックス樹脂で構成された耐蝕層と強化層を含む排出装置用耐熱性FRP部材であり、耐蝕層の強化繊維が炭素繊維を含み、強化層の強化繊維がガラス繊維を含み、耐蝕層における強化繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%、強化層における強化繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%であることを特徴とする排出装置用耐熱性FRP部材に関する。
本発明のFRP部材において、強化層の強化繊維はさらにガラス繊維を含んでいてもよい。
本発明のFRP部材において、耐蝕層の強化繊維がさらにガラス繊維を含み、耐蝕層の最内層に炭素繊維層を設け、耐蝕層の外側にある強化層と接する耐蝕層の位置にガラス繊維層を設け、耐蝕層における炭素繊維とガラス繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%であってもよい。
本発明のFRP部材において、耐蝕層の強化繊維がさらにガラス繊維を含み、耐蝕層の最内層に炭素繊維層を設け、耐蝕層の外側にある強化層と接する耐蝕層の位置にガラス繊維層を設け、耐蝕層における炭素繊維とガラス繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%であってもよい。
本発明のFRP部材において、耐蝕層のマトリックス樹脂が、フェノール樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
本発明のFRP部材において、強化層のマトリックス樹脂が、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
本発明のFRP部材において、強化層のマトリックス樹脂が、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
本発明のFRP部材において、耐蝕層に使用する炭素繊維の熱伝導率が5〜300W/(m・K)であってもよい。
本発明のFRP部材において、耐蝕層の肉厚が、部材の全肉厚に対して5%以上50%以下であってもよい。
本発明はまた、本発明の排出装置用耐熱性FRP部材を使用したFRP製排出装置であり、排出装置内側に前記FRP部材の耐蝕層を設け、排出装置外側に前記FRP部材の強化層を設けたことを特徴とするFRP製排出装置に関する。
炭素繊維を含む本発明のFRP部材は、ガラス繊維のみからなるFRP部材に比べて、高い強度を有し、熱による温度上昇も小さく、優れた難燃性を有している。さらにこのような性能を有する本発明のFRP部材は、煙突等の排出装置に用いられることに特に適している。
本発明における排出装置用FRP部材は、排出装置に用いられた場合に排出装置内側を構成する耐蝕層と、排出装置外側を構成する強化層を含んでいる。本発明のFRP部材が用いられる排出装置としては、具体的には例えば煙突、排水管などが挙げられる。排出装置の形状は、どのような形状でもよく、具体的には例えば十字形、I字形、L字形、S字形、T字形、V字形およびY字形などが挙げられる。
耐蝕層は排気ガスや排水等に直接触れる最内層を含んだ層であり、高い耐熱性とともに耐酸性、耐アルカリ性などの耐薬品性、耐水性を有することができる。また強化層は排出装置の強度および剛性を支配しており、高温においても機械的物性の低下を少なくすることができる。
(耐蝕層の構成部材)
耐蝕層の強化繊維は炭素繊維を含んでいる。また他の強化繊維としてガラス繊維を使用し、炭素繊維と組み合わせて使用することができる。耐蝕層の一部にガラス繊維を使用するときは、最内層には炭素繊維のみを使用することが好ましい。炭素繊維は、ガラス繊維よりも耐酸性および耐アルカリ性などの耐薬品性に優れる特徴があるからである。
耐蝕層の強化繊維は炭素繊維を含んでいる。また他の強化繊維としてガラス繊維を使用し、炭素繊維と組み合わせて使用することができる。耐蝕層の一部にガラス繊維を使用するときは、最内層には炭素繊維のみを使用することが好ましい。炭素繊維は、ガラス繊維よりも耐酸性および耐アルカリ性などの耐薬品性に優れる特徴があるからである。
炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維のいずれでもよく、両者を組み合わせて使用することもできる。
前記炭素繊維としては、引張弾性率が通常、200〜600GPa、好ましくは200〜550GPaの炭素繊維や、引張強度が通常、3000〜6000MPa、好ましくは3000〜5600MPaの炭素繊維を使用できる。またフィラメント数が通常、3000〜48000本の炭素繊維を使用でき、熱伝導率が通常、5〜300W/(m・K)の炭素繊維を使用することができる。
耐蝕層に使用する炭素繊維は、熱伝導率が5〜300W/(m・K)であることが好ましい。耐蝕層の熱伝導率を高めることにより伝熱および放熱効果が得られ、特に排出装置長手方向(排出装置軸方向)に炭素繊維を配向させると排出装置長手方向への伝熱および放熱効果が得られるため、例えば排煙温度に因る耐蝕層(最内層)表面温度の上昇を抑制することが可能となる。
また耐蝕層の一部にガラス繊維を使用することができるが、ガラス繊維は熱伝導率が低いため、排出装置の厚み方向へ断熱効果を付与するのに有効である。排出装置最内層に炭素繊維層を使用し、煙等に接触する面での温度上昇を抑制するとともに、排出装置最内層を構成する炭素繊維層の外側にガラス繊維層を使用することで、排出装置最外表面における温度上昇を抑えることができ、排出装置全体の温度上昇を抑制することができる。
ガラス繊維の材質としてはEガラス、Sガラス等が挙げられ、引張弾性率が通常、70〜90GPa、好ましくは70〜87.5GPa、より好ましくは70〜85GPaのガラス繊維や、引張強度が通常、3000〜5000MPa、好ましくは3000〜4800MPaのガラス繊維を使用することができる。またフィラメント数が通常、3000〜48000本のガラス繊維を使用することができ、熱伝導率が通常、0.1〜3W/(m・K)のガラス繊維を使用することができる。
耐蝕層に使用するマトリックス樹脂としては、フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂は難燃性、耐薬品性があり自己消火性もあるので好ましい。フェノール樹脂としては、レゾール系フェノール樹脂、ノボラック系フェノール樹脂またはこれらの混合物などを用いることができる。
耐蝕層における炭素繊維の形態としては、連続繊維あるいは/および短繊維が挙げられ、その使用形態として、一方向シート、簾織りなどの一方向クロス、2方向クロス、チョップドストランドマットなどが挙げられる。
耐蝕層のガラス繊維は、炭素繊維と組み合わせて使用できるが、その使用形態として、連続繊維あるいは/および短繊維からなる、平織りなどのクロス、ロービングクロス、チョップドストランドマットなどが挙げられる。
炭素繊維とガラス繊維の組み合わせ形態としては様々な形態を採用できるが、例えばガラス繊維マットと炭素繊維マットを別々の層として積層したり、ガラス繊維一方向シートと炭素繊維一方向シートを別々の層として積層したり、ガラス繊維織物と炭素繊維織物を別々の層として積層したり、ガラス繊維織物と炭素繊維一方向シートを別々の層として積層したり、あるいは炭素繊維とガラス繊維を混織したり、炭素繊維とガラス繊維それぞれの短繊維同士を混合したり、炭素繊維織物とガラス短繊維を組み合わせたり、ガラス繊維織物と炭素短繊維を組み合わせたり、炭素繊維−ガラス繊維の混織物と炭素繊維−ガラス繊維の混合短繊維を組み合わせて使用することもできる。
本発明における耐蝕層には、炭素繊維およびガラス繊維を組み合わせて使用することができるが、その際、最内層に炭素繊維を使用し、その外側の強化層と接する位置にガラス繊維を使用することもできる。
耐蝕層においては、強化繊維の体積含有率を耐蝕層全体積基準で10〜30体積%(ガラス繊維と炭素繊維を両方含む)とし、フェノール樹脂含有量を高めることが好ましく、これにより難燃性および耐薬品性を耐蝕層に付与することができる。
本発明における排出装置用耐熱性FRP部材に関して、耐蝕性と強度および剛性を両立させるうえで、耐蝕層の肉厚が前記部材の全肉厚に対して5%以上50%以下であることが望ましい。
(強化層の構成部材)
(第1態様)
強化層の強化繊維は炭素繊維を含む。炭素繊維は、耐蝕層に使用される炭素繊維と同様のものを同様に使用できる。強化層に炭素繊維を使用することで、強度および剛性の向上が達成できる。
(第1態様)
強化層の強化繊維は炭素繊維を含む。炭素繊維は、耐蝕層に使用される炭素繊維と同様のものを同様に使用できる。強化層に炭素繊維を使用することで、強度および剛性の向上が達成できる。
(第2態様)
強化層の強化繊維はガラス繊維を含む。ガラス繊維は、耐蝕層に使用されるガラス繊維と同様のものを同様に使用できる。排出装置の設計によっては、厚み方向の断熱性を求められる場合があり、ガラス繊維を使用することが有効となる。
強化層の強化繊維はガラス繊維を含む。ガラス繊維は、耐蝕層に使用されるガラス繊維と同様のものを同様に使用できる。排出装置の設計によっては、厚み方向の断熱性を求められる場合があり、ガラス繊維を使用することが有効となる。
(第3態様)
強化層の強化繊維は炭素繊維およびガラス繊維を含むことができる。
強化層に使用するマトリックス樹脂としては、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。フェノール樹脂としては、レゾール系フェノール樹脂、ノボラック系フェノール樹脂またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。ポリエステル樹脂としては、オルソ系不飽和ポリエステル樹脂、イソ系不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂、ヘット酸系不飽和ポリエステル樹脂またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。ビニルエステル樹脂としては、エピビス系ビニルエステル樹脂、ノボラック系ビニルエステル樹脂、ハロゲン化ビス系ビニルエステル樹脂またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。これらの樹脂は難燃性、耐薬品性があるので好ましい。
強化層の強化繊維は炭素繊維およびガラス繊維を含むことができる。
強化層に使用するマトリックス樹脂としては、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。フェノール樹脂としては、レゾール系フェノール樹脂、ノボラック系フェノール樹脂またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。ポリエステル樹脂としては、オルソ系不飽和ポリエステル樹脂、イソ系不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂、ヘット酸系不飽和ポリエステル樹脂またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。ビニルエステル樹脂としては、エピビス系ビニルエステル樹脂、ノボラック系ビニルエステル樹脂、ハロゲン化ビス系ビニルエステル樹脂またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。これらの樹脂は難燃性、耐薬品性があるので好ましい。
排出装置の耐熱性を決定するため、マトリックス樹脂の選定は非常に重要である。耐熱性が高い順に、フェノール樹脂>ビニルエステル樹脂>不飽和ポリエステル樹脂となり、排出装置の温度設計条件により使い分けることができる。フェノール樹脂を使用するのは特に不燃性を得たいためである。
強化層における炭素繊維の形態としては、連続繊維あるいは/および短繊維が挙げられ、その使用形態として、一方向シート、簾織りなどの一方向クロス、2方向クロス、チョップドストランドマットなどが挙げられる。
強化層のガラス繊維は、連続繊維あるいは/および短繊維が使用でき、その使用形態として、平織りなどのクロス、ロービングクロス、チョップドストランドマットなどが挙げられる。
本発明における強化層には、炭素繊維およびガラス繊維を組み合わせて使用することもできるが、その際、ガラス繊維チョップドストランドマットと炭素繊維クロスを交互に積層して強化層を構成することができる。炭素繊維クロスとして一方向シートまたは簾織りなどの一方向クロスを使用する場合、ある炭素繊維層は、炭素繊維の配向方向が排出装置の長手方向と平行になるように積層し、ほかの炭素繊維層では、炭素繊維の配向方向が排出装置の横断方向と平行となるように積層することができる。
すなわち炭素繊維の配向方向を適宜設定することにより、排出装置の強度および剛性を制御することができる。例えば排出装置長手方向に繊維を配向させると曲げ剛性を向上させ、風圧を受けた際の排出装置の振れを抑制することができる。一方、横断方向に繊維を配向させると横断方向の剛性が向上し、断面変形による座屈破壊を抑制することができる。長手方向と横断方向の繊維の配向比率を適宜設定することで両者の特徴を併せ持つ最適な排出装置の強度を得ることができる。
特に、強化層に炭素繊維からなる2方向クロスを使用した場合、排出装置の長手方向および横断方向における剛性および強度を同時に改善できるため非常に効果がある。
強化層においては、強化繊維の体積含有率を強化層全体積基準で30〜70体積%とし、耐蝕層よりも強化繊維含有率を高めることが好ましい。これにより引張強度、圧縮強度、曲げ強度、引張弾性率、圧縮弾性率、曲げ弾性率等を高めることができ、排出装置全体において強度、剛性等の機械的物性を向上することができる。
(実施態様の例1)
本発明における排出装置用耐熱性FRP部材の実施態様としては、強化繊維として炭素繊維のみを、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂のみを使用することができ、この場合は非常に高い難燃性および耐薬品性をFRP部材に付与することができる。
本発明における排出装置用耐熱性FRP部材の実施態様としては、強化繊維として炭素繊維のみを、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂のみを使用することができ、この場合は非常に高い難燃性および耐薬品性をFRP部材に付与することができる。
難燃性および耐薬品性をFRP部材に付与するために、耐蝕層における炭素繊維の体積含有率を耐蝕層全体積基準で10〜30体積%としてフェノール樹脂含有量を高め、排出装置の機械的強度および剛性を高めるために強化層における炭素繊維の体積含有率を強化層全体積基準で30〜70体積%として炭素繊維含有率を高めることが好ましい。
(実施態様の例1による排出装置用耐熱性FRP部材の製造法)
(耐蝕層の製造法および強化層の製造法)
本発明のFRP部材は中空であればどのような形状でもよいが、例えばパイプ状マンドレルを使用し、フィラメントワインディング法、ハンドレイアップ法などにより円筒状の排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。また引き抜き成形法によっても、上記排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。
(耐蝕層の製造法および強化層の製造法)
本発明のFRP部材は中空であればどのような形状でもよいが、例えばパイプ状マンドレルを使用し、フィラメントワインディング法、ハンドレイアップ法などにより円筒状の排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。また引き抜き成形法によっても、上記排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。
最初に耐蝕層を積層し、その後耐蝕層の上に強化層を積層し硬化を行う。最初に、耐蝕層の肉厚が排出装置用FRP部材の全層厚みの5%以上50%以下、また耐蝕層における炭素繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%となるように、所定の量の炭素繊維および樹脂を使用して耐蝕層を積層した後、強化層の肉厚が排出装置用FRP部材の全層厚みの50%以上95%以下となるように、また強化層における炭素繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%となるように、所定の量の炭素繊維および樹脂を使用して強化層を積層し、硬化を行う。
耐蝕層および強化層に使用する炭素繊維として、フェノール樹脂を含浸した一方向炭素繊維プリプレグを使用する場合、炭素繊維を0度方向(パイプの長手方向)のみに配向させ、または90度方向(パイプの円周方向)のみに配向させ、または0度と90度方向に交互に配向させて前記プリプレグを積層する(巻き付ける)ことができる。
簾織りなどの一方向クロスを使用する場合、ワインディング法、ハンドレイアップ法などによる部材製造の際にフェノール樹脂を繊維に含浸させながら積層することができる。その際の炭素繊維は、0度方向のみ、90度方向のみ、または0度と90度方向に交互に配向して積層することができる。
二方向炭素繊維クロスを使用する場合には、あらかじめフェノール樹脂を含浸させた二方向クロスプリプレグとして使用することもできるし、二方向クロスを使用し、ワインディング法、ハンドレイアップ法などによる部材製造過程においてフェノール樹脂を含浸させることもできる。
また、炭素繊維を使用したチョップドストランドマットを使用する場合、部材製造過程においてフェノール樹脂を含浸させるが、炭素繊維クロスと炭素繊維チョップドストランドマットを交互に積層することができる。
耐蝕層、強化層の積層、硬化の後、マンドレルを取り除くことにより、円筒状の排出装置用耐熱性FRP部材が得られる。
炭素繊維クロスを使用する場合、その単位面積あたり質量は100g/m2以上800g/m2以下であること、また炭素繊維クロスの厚みが0.05mm以上0.6mm以下であることが望ましい。
(実施態様の例2)
本発明の他の実施態様としては、強化層にガラス繊維とポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂を使用し、内側の耐蝕層はフェノール樹脂をマトリックス樹脂とし、全部の強化繊維として炭素繊維を使用するか、最も内側に炭素繊維を使用してその外側の強化層と接する位置にガラス繊維を使用することにより、従来の排出装置用耐熱性FRP部材では得られなかった、優れた耐熱性および難燃性を得ることができる。
本発明の他の実施態様としては、強化層にガラス繊維とポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂を使用し、内側の耐蝕層はフェノール樹脂をマトリックス樹脂とし、全部の強化繊維として炭素繊維を使用するか、最も内側に炭素繊維を使用してその外側の強化層と接する位置にガラス繊維を使用することにより、従来の排出装置用耐熱性FRP部材では得られなかった、優れた耐熱性および難燃性を得ることができる。
(実施態様の例2よる排出装置用耐熱性FRP部材の製造法)
(耐蝕層の製造法)
前記実施様態の例1と同様に、例えばパイプ状マンドレルを使用し、フィラメントワインディング法、ハンドレイアップ法などにより円筒状の排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。また引き抜き成形法によっても、上記排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。最初に耐蝕層を積層し、その後耐蝕層の上に強化層を積層し硬化を行う。
(耐蝕層の製造法)
前記実施様態の例1と同様に、例えばパイプ状マンドレルを使用し、フィラメントワインディング法、ハンドレイアップ法などにより円筒状の排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。また引き抜き成形法によっても、上記排出装置用耐熱性FRP部材を製造することができる。最初に耐蝕層を積層し、その後耐蝕層の上に強化層を積層し硬化を行う。
まず耐蝕層の製造に関して、炭素繊維のみを耐蝕層に使用する場合には炭素繊維とフェノール樹脂の組み合わせにより耐蝕層を積層し、この上から強化層を積層し硬化する。また炭素繊維とガラス繊維を耐蝕層に使用する場合には、最初に炭素繊維とフェノール樹脂の組み合わせにより最内層の耐蝕層を積層し、この上からガラス繊維とフェノール樹脂の組み合わせにより、強化層と接することになる耐蝕層を積層する。
耐蝕層の肉厚が排出装置用FRP部材の全層厚みの5%以上50%以下、また耐蝕層における強化繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%となるように、耐蝕層の積層には所定の量の強化繊維および樹脂を使用する。
耐蝕層に使用する炭素繊維の形態として、フェノール樹脂を含浸した一方向プリプレグ、簾織りなどの一方向クロスなどが挙げられ、炭素繊維は、0度方向のみ、90度方向のみ、または0度と90度方向に交互に配向して積層することができる。また二方向クロス、チョップドストランドマットなどを使用することもできる。
耐蝕層に使用する炭素繊維の形態として、フェノール樹脂を含浸した一方向プリプレグ、簾織りなどの一方向クロスなどが挙げられ、炭素繊維は、0度方向のみ、90度方向のみ、または0度と90度方向に交互に配向して積層することができる。また二方向クロス、チョップドストランドマットなどを使用することもできる。
耐蝕層に使用するガラス繊維の形態として、フェノール樹脂を含浸した一方向プリプレグ、簾織りなどの一方向クロスなどが挙げられ、ガラス繊維は、0度方向のみ、90度方向のみ、または0度と90度方向に交互に配向して積層することができる。また二方向クロス、チョップドストランドマットなどを使用することもできる。
(強化層の製造法)
次に強化層の製造法を説明する。ガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂を組み合わせて使用し、前記耐蝕層の上にこれらを積層して硬化し強化層とする。
次に強化層の製造法を説明する。ガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂を組み合わせて使用し、前記耐蝕層の上にこれらを積層して硬化し強化層とする。
強化層の積層に際しては、強化層の肉厚が排出装置用FRP部材の全層厚みの50%以上95%以下となるように、また強化層におけるガラス繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%となるように、所定の量のガラス繊維およびマトリックス樹脂を使用する。
強化層に使用するガラス繊維の形態として、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などを繊維に含浸した一方向プリプレグ、簾織りなどの一方向クロスなどを使用し、ガラス繊維は、0度方向のみ、90度方向のみ、または0度と90度方向に交互に配向して積層することができる。また二方向クロス、チョップドストランドマットなどを使用することもできる。強化層において、ガラス繊維クロスとガラス繊維チョップドストランドマットを交互に積層することができる。
前記排出装置用耐熱性FRP部材の硬化として、耐蝕層を積層しフェノール樹脂を硬化した後、強化層を積層し、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などを硬化する、二段式の硬化を行うこともできる。
炭素繊維クロスを使用する場合、その単位面積あたり質量は100g/m2以上800g/m2以下であること、また炭素繊維クロスの厚みが0.05mm以上0.6mm以下であることが望ましい。
耐蝕層、強化層の積層、硬化の後、マンドレルを取り除くことにより、円筒状の排出装置用耐熱性FRP部材が得られる。
(実施例1)
PAN系炭素繊維(T700S(商品名)、引張強度4900MPa、引張弾性率230GPa、熱伝導率8W/(m・K)、東レ製)とフェノール樹脂を使用して、一方向炭素繊維プリプレグ(1)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量40質量%)、および一方向炭素繊維プリプレグ(2)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量67質量%)の2種類の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。上記樹脂含有量67質量%の炭素繊維プリプレグ(2)を3層、および樹脂含有量40質量%の炭素繊維プリプレグ(1)を12層、炭素繊維の配向方向が互いに同一となるよう積層して得られた積層体を、ホットプレスを用いて60℃、4時間硬化することにより、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向CFRP成形板を得た。
PAN系炭素繊維(T700S(商品名)、引張強度4900MPa、引張弾性率230GPa、熱伝導率8W/(m・K)、東レ製)とフェノール樹脂を使用して、一方向炭素繊維プリプレグ(1)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量40質量%)、および一方向炭素繊維プリプレグ(2)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量67質量%)の2種類の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。上記樹脂含有量67質量%の炭素繊維プリプレグ(2)を3層、および樹脂含有量40質量%の炭素繊維プリプレグ(1)を12層、炭素繊維の配向方向が互いに同一となるよう積層して得られた積層体を、ホットプレスを用いて60℃、4時間硬化することにより、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向CFRP成形板を得た。
樹脂含有量67質量%の炭素繊維プリプレグ(2)層は耐蝕層に相当し、耐蝕層の厚み2mm、耐蝕層の強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また樹脂含有量40質量%の炭素繊維プリプレグ(1)層は強化層に相当し、強化層の厚み4mm、強化層の強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
前記CFRP成形板から、強化繊維の長手方向長さ42mm、幅6.5mmの短冊状の試験片を切り出し、支点間距離24mmにより三点曲げ式による層間せん断試験を実施した。層間せん断試験は130℃の温度条件下で実施した。
また前記CFRP成形板から、長さ200mm、幅200mmの試験片を切り出し、耐蝕層側表面に温度130℃、直径8mmの熱源を2分間接触させた後、熱源を離した直後におけるCFRP成形板の表面温度を、赤外線非接触式温度計により測定した。
また前記CFRP成形板から、長さ200mm、幅200mmの試験片を切り出し、耐蝕層側表面に温度130℃、直径8mmの熱源を2分間接触させた後、熱源を離した直後におけるCFRP成形板の表面温度を、赤外線非接触式温度計により測定した。
さらに前記CFRP成形板から長さ200mm、幅200mmの試験片を切り出し、耐蝕層を下面にしてこの試験片を水平保持し、下方からプロパンによるバーナーの炎を接触させ、CFRP試験片の燃焼が始まるまでの時間を計った。結果を表に示す。
表に示すように、実施例1におけるCFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、自己燃焼は起こらなかった。
(実施例2)
ピッチ系炭素繊維(XN−60(商品名)、引張強度3400MPa、引張弾性率620GPa、熱伝導率180W/(m・K)、日本グラファイトファイバー株式会社製)とフェノール樹脂を使用して、一方向炭素繊維プリプレグ(1)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量37質量%)、および一方向炭素繊維プリプレグ(2)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量64質量%)の2種類の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。上記樹脂含有量64質量%の炭素繊維プリプレグ(2)を4層、および樹脂含有量37質量%の炭素繊維プリプレグ(1)を13層、炭素繊維の配向方向が互いに同一となるよう積層して得られた積層体を、ホットプレスを用いて60℃、4時間硬化することにより、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向CFRP成形板を得た。
ピッチ系炭素繊維(XN−60(商品名)、引張強度3400MPa、引張弾性率620GPa、熱伝導率180W/(m・K)、日本グラファイトファイバー株式会社製)とフェノール樹脂を使用して、一方向炭素繊維プリプレグ(1)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量37質量%)、および一方向炭素繊維プリプレグ(2)(炭素繊維質量300g/m2、樹脂含有量64質量%)の2種類の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。上記樹脂含有量64質量%の炭素繊維プリプレグ(2)を4層、および樹脂含有量37質量%の炭素繊維プリプレグ(1)を13層、炭素繊維の配向方向が互いに同一となるよう積層して得られた積層体を、ホットプレスを用いて60℃、4時間硬化することにより、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向CFRP成形板を得た。
樹脂含有量64質量%の炭素繊維プリプレグ(2)層は耐蝕層に相当し、耐蝕層の厚み2.2mm、耐蝕層の強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また樹脂含有量37質量%の炭素繊維プリプレグ(1)層は強化層に相当し、強化層の厚み3.8mm、強化層の強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
実施例1と同様に試験片を切り出し、かかる試験片に関して層間せん断試験、加熱試験および燃焼試験を行った。
表に示す通り、実施例2におけるCFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も非常に小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、自己燃焼は起こらなかった。
表に示す通り、実施例2におけるCFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も非常に小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、自己燃焼は起こらなかった。
(実施例3)
PAN系炭素繊維T700Sおよびフェノール樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量67質量%の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。またガラス繊維およびビニルエステル樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量33質量%の一方向ガラス繊維プリプレグを作製した。
PAN系炭素繊維T700Sおよびフェノール樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量67質量%の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。またガラス繊維およびビニルエステル樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量33質量%の一方向ガラス繊維プリプレグを作製した。
前記ガラス繊維プリプレグを23層、ガラス繊維の配向方向が互いに同一となるよう積層して得られた積層体を、ホットプレスを用いて60℃、4時間硬化した後、得られたGFRP成形板の片側に前記炭素繊維プリプレグを1層、炭素繊維とガラス繊維の配向方向が同一となるように積層して得られた積層体を、さらに60℃、4時間硬化することにより、炭素繊維T700S/フェノール樹脂+ガラス繊維/ビニルエステル樹脂の2つの要素を有する、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向ハイブリッドFRP成形板を得た。
なお、炭素繊維T700S/フェノール樹脂層は耐蝕層に相当し、耐蝕層の厚み0.7mm、耐蝕層の強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また、ガラス繊維/ビニルエステル樹脂層は強化層に相当し、強化層の厚み5.3mm、強化層の強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
実施例1と同様に試験片を切り出し、かかる試験片に関して層間せん断試験、加熱試験および燃焼試験を行った。
表に示す通り、実施例3におけるハイブリッドFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、優れた難燃性を有していた。
表に示す通り、実施例3におけるハイブリッドFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、優れた難燃性を有していた。
(実施例4)
PAN系炭素繊維T700Sおよびフェノール樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量67質量%の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。またガラス繊維およびビニルエステル樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量33質量%の一方向ガラス繊維プリプレグを作製した。
PAN系炭素繊維T700Sおよびフェノール樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量67質量%の一方向炭素繊維プリプレグを作製した。またガラス繊維およびビニルエステル樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量33質量%の一方向ガラス繊維プリプレグを作製した。
前記ガラス繊維プリプレグを14層、ガラス繊維の配向方向が互いに同一となるよう積層して得られた積層体を、ホットプレスを用いて60℃、4時間硬化した後、得られたGFRP成形板の片側に炭素繊維プリプレグを4層、炭素繊維とガラス繊維の配向方向が同一となるように積層し、得られた積層体を、さらに60℃、4時間硬化することにより、炭素繊維T700S/フェノール樹脂+ガラス繊維/ビニルエステル樹脂の2つの要素を有する、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向ハイブリッドFRP成形板を得た。
なお、炭素繊維T700S/フェノール樹脂層は耐蝕層に相当し、耐蝕層の厚み2.6mm、耐蝕層の強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また、ガラス繊維/ビニルエステル樹脂層は強化層に相当し、強化層の厚み3.4mm、強化層の強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
なお、炭素繊維T700S/フェノール樹脂層は耐蝕層に相当し、耐蝕層の厚み2.6mm、耐蝕層の強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また、ガラス繊維/ビニルエステル樹脂層は強化層に相当し、強化層の厚み3.4mm、強化層の強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
実施例1と同様に試験片を切り出し、かかる試験片に関して層間せん断試験、加熱試験および燃焼試験を行った。
表に示す通り、実施例4におけるハイブリッドFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、優れた難燃性を有していた。
表に示す通り、実施例4におけるハイブリッドFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、優れた難燃性を有していた。
(実施例5)
PAN系炭素繊維T700Sおよびフェノール樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量67質量%の一方向炭素繊維フェノールプリプレグを作製した。ガラス繊維およびフェノール樹脂を使用して、ガラス繊維質量300g/m2および樹脂含有量60質量%の一方向ガラス繊維フェノールプリプレグを作製した。また、ガラス繊維とビニルエステル樹脂を使用して、ガラス繊維質量300g/m2および樹脂含有量33質量%の一方向ガラス繊維ビニルエステルプリプレグを作製した。
PAN系炭素繊維T700Sおよびフェノール樹脂を使用して、炭素繊維質量300g/m2および樹脂含有量67質量%の一方向炭素繊維フェノールプリプレグを作製した。ガラス繊維およびフェノール樹脂を使用して、ガラス繊維質量300g/m2および樹脂含有量60質量%の一方向ガラス繊維フェノールプリプレグを作製した。また、ガラス繊維とビニルエステル樹脂を使用して、ガラス繊維質量300g/m2および樹脂含有量33質量%の一方向ガラス繊維ビニルエステルプリプレグを作製した。
一方向炭素繊維フェノールプリプレグを2層、一方向ガラス繊維フェノールプリプレグを2層、強化繊維の配向角度がすべて互いに同一となるように積層して得られた積層体を、ホットプレスを用いて60℃、4時間硬化し、耐食層に相当する一方向FRP成形板を得た。
耐食層に相当する前記一方向FRP成形板のガラス繊維フェノールプリプレグ層側に、一方向ガラス繊維ビニルエステルプリプレグを16層、ガラス繊維の配向角度が前記一方向FRP成形板の強化繊維の配向角度と同一となるように積層し、得られた積層体をさらに60℃、4時間硬化することにより、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向ハイブリッドFRP成形板を得た。
耐食層は、炭素繊維T700Sおよびガラス繊維とフェノール樹脂より構成され、強化層はガラス繊維およびビニルエステル樹脂より構成される。耐蝕層に関して、厚みは2.3mm(うち炭素繊維T700S/樹脂層の厚みは1.3mm、ガラス繊維/樹脂層の厚みは1mm)、強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また強化層に関して、厚みは3.7mm、強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
耐食層に相当する前記一方向FRP成形板のガラス繊維フェノールプリプレグ層側に、一方向ガラス繊維ビニルエステルプリプレグを16層、ガラス繊維の配向角度が前記一方向FRP成形板の強化繊維の配向角度と同一となるように積層し、得られた積層体をさらに60℃、4時間硬化することにより、長さ500mm、幅400mm、厚み6mmの一方向ハイブリッドFRP成形板を得た。
耐食層は、炭素繊維T700Sおよびガラス繊維とフェノール樹脂より構成され、強化層はガラス繊維およびビニルエステル樹脂より構成される。耐蝕層に関して、厚みは2.3mm(うち炭素繊維T700S/樹脂層の厚みは1.3mm、ガラス繊維/樹脂層の厚みは1mm)、強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また強化層に関して、厚みは3.7mm、強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
実施例1と同様に試験片を切り出し、かかる試験片に関して層間せん断試験、加熱試験および燃焼試験を行った。
表1に示す通り、実施例5におけるハイブリッドFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、優れた難燃性を有していた。
表1に示す通り、実施例5におけるハイブリッドFRP成形板は、高い層間せん断強度を有し、熱源の接触による表面温度の上昇も小さかった。また、バーナーによる燃焼においても、優れた難燃性を有していた。
(比較例1)
ガラス繊維とビニルエステル樹脂を使用して、一方向ガラス繊維プリプレグ(1)(ガラス繊維質量300g/m2、樹脂含有量33質量%)、および一方向ガラス繊維プリプレグ(2)(ガラス繊維質量300g/m2、樹脂含有量60質量%)の2種類の一方向ガラス繊維プリプレグを作製した。上記樹脂含有量60質量%のガラス繊維プリプレグ(2)を5層、および樹脂含有量33質量%のガラス繊維プリプレグ(1)を15層積層し、得られた積層体をホットプレスで60℃、4時間硬化することにより、厚み6mmの一方向GFRP成形平板を得た。
ガラス繊維とビニルエステル樹脂を使用して、一方向ガラス繊維プリプレグ(1)(ガラス繊維質量300g/m2、樹脂含有量33質量%)、および一方向ガラス繊維プリプレグ(2)(ガラス繊維質量300g/m2、樹脂含有量60質量%)の2種類の一方向ガラス繊維プリプレグを作製した。上記樹脂含有量60質量%のガラス繊維プリプレグ(2)を5層、および樹脂含有量33質量%のガラス繊維プリプレグ(1)を15層積層し、得られた積層体をホットプレスで60℃、4時間硬化することにより、厚み6mmの一方向GFRP成形平板を得た。
樹脂含有量60質量%のガラス繊維プリプレグ(2)層は耐蝕層に相当し、耐蝕層の厚み2.3mm、耐蝕層の強化繊維の体積含有率は耐蝕層全体積基準で25%であった。また樹脂含有量33質量%のガラス繊維プリプレグ(1)層は強化層に相当し、強化層の厚み3.7mm、強化層の強化繊維の体積含有率は強化層全体積基準で50%であった。
実施例1と同様に試験片を切り出し、かかる試験片に関して層間せん断試験、加熱試験および燃焼試験を行った。
表に示す通り、比較例1におけるGFRP成形板は、層間せん断強度が低く、熱源の接触による表面温度の上昇も大きかった。また、バーナーによる燃焼において短時間で自己燃焼が始まった。
表に示す通り、比較例1におけるGFRP成形板は、層間せん断強度が低く、熱源の接触による表面温度の上昇も大きかった。また、バーナーによる燃焼において短時間で自己燃焼が始まった。
以上説明したように、炭素繊維を含む本発明のFRP部材は、ガラス繊維のみからなるFRP部材に比べて、高い強度を有し、熱による温度上昇も小さく、優れた難燃性を有している。さらにこのような性能を有する本発明のFRP部材は、煙突等の排出装置に用いられることに特に適している。
Claims (9)
- 強化繊維とマトリックス樹脂で構成された耐蝕層と強化層を含む排出装置用耐熱性FRP部材であり、耐蝕層および強化層の強化繊維が炭素繊維を含み、耐蝕層における強化繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%、そして強化層における強化繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%であることを特徴とする排出装置用耐熱性FRP部材。
- 強化繊維とマトリックス樹脂で構成された耐蝕層と強化層を含む排出装置用耐熱性FRP部材であり、耐蝕層の強化繊維が炭素繊維を含み、強化層の強化繊維がガラス繊維を含み、耐蝕層における強化繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%、強化層における強化繊維の体積含有率が強化層全体積基準で30〜70体積%であることを特徴とする排出装置用耐熱性FRP部材。
- 強化層の強化繊維がさらにガラス繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の排出装置用耐熱性FRP部材。
- 耐蝕層の強化繊維がさらにガラス繊維を含み、耐蝕層の最内層に炭素繊維層を設け、耐蝕層の外側にある強化層と接する耐蝕層の位置にガラス繊維層を設け、耐蝕層における炭素繊維とガラス繊維の体積含有率が耐蝕層全体積基準で10〜30体積%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の排出装置用耐熱性FRP部材。
- 耐蝕層のマトリックス樹脂が、フェノール樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の排出装置用耐熱性FRP部材。
- 強化層のマトリックス樹脂が、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の排出装置用耐熱性FRP部材。
- 耐蝕層に使用する炭素繊維の熱伝導率が5〜300W/(m・K)であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の排出装置用耐熱性FRP部材。
- 耐蝕層の肉厚が、部材の全肉厚に対して5%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の排出装置用耐熱性FRP部材。
- 請求項1乃至8のいずれか1つに記載の排出装置用耐熱性FRP部材を使用したFRP製排出装置であり、排出装置内側に前記FRP部材の耐蝕層を設け、排出装置外側に前記FRP部材の強化層を設けたことを特徴とするFRP製排出装置。
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JP2009023163A (ja) * | 2007-07-18 | 2009-02-05 | Toyota Motor Corp | 繊維強化樹脂面材 |
JP2012096306A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-05-24 | Kitagawa Iron Works Co Ltd | 高剛性チャック及びその製造方法 |
JP5583260B1 (ja) * | 2013-10-18 | 2014-09-03 | 水道機工株式会社 | 撹拌機 |
JP2015137309A (ja) * | 2014-01-22 | 2015-07-30 | トヨタ自動車株式会社 | 熱伝導性積層体 |
-
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- 2003-12-24 JP JP2003427593A patent/JP2005187523A/ja active Pending
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