JP2007144919A - Frpサンドイッチ構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量なFRPサンドイッチ構造体を提供すること。
【解決手段】フォーム材と、該フォーム材の両面に配置されたスキン材とからなるFRPサンドイッチ構造体において、フォーム材の表面から少なくとも厚み100μmまでの平均セル径が10μm以下であり、かつ独立気泡率が70%以上である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、航空機用部材、自動車用部材、船舶用部材、建材用部材等に好適に用いられるFRPサンドイッチ構造体に関する。
軽量で高強度な素材として、FRP(繊維強化プラスチック)が各種産業分野で注目されている。
このFRPは、比較的大型の部材に成形する場合には、FRPのスキン材と軽量のコア材との組み合わせ構造、特にコア材の両面にFRPスキン材を配置したサンドイッチ構造を採ることがある。このような構成により、大型でありながら軽量で、必要な強度、剛性を備えたFRPサンドイッチ構造体が得られる。
FRPサンドイッチ構造体に用いられるコア材としては、Al合金、ステンレス鋼、Ti合金などの金属材料、多孔質セラミックや泡ガラスなどの非金属材料、プラスチックのフォーム材、木材、ペーパーなどがあるが、中でもプラスチックのフォーム材は軽量で耐食性が優れ、かつ様々な形状に加工が容易のため好ましく用いられる。
プラスチックのフォーム材は、いろいろの方法で作られた泡状のプラスチックのことであり、フォームには各々のセルが独立しているものと、互いにセルが連続しているものとがあり、前者を独立気泡、後者を連続気泡という。FRPサンドイッチ構造体のコア材に用いられる硬質プラスチックフォームは、ほとんどが独立気泡である。
一方、FRPの製造方法には、強化繊維と未硬化のマトリックス樹脂からなる中間体であるプリプレグを作成し、これを積層し、加熱硬化する方法が広く用いられてきた。ところが、この方法はプリプレグという中間体を作らなければならないため、コスト的に優れているとは言えない。
これに対して、型内に配置した強化繊維基材に液状のマトリックス樹脂を注入し、加熱硬化してFRPを得るRTM(Resin Transfer Molding)法が、より生産性の優れるFRPの製造方法として近年注目されている。
RTM法によりFRPサンドイッチ構造体を得るには、フォーム材と該フォーム材の両面に配置した強化繊維基材とを型内にセットし、型内に液状のマトリックス樹脂を注入して、加熱硬化する工程を経る。しかしながら、従来のフォーム材は一般に平均セル径が100μmを越える大きさのため、液状のマトリックス樹脂を型内に注入した際に、強化繊維基材のみならず、フォーム材のセル内にまでマトリックス樹脂が注入されるため、得られるFRPサンドイッチ構造体の重量が重くなる問題があった(例えば、特許文献1)。また、過剰にマトリックス樹脂が注入されるためコスト高になるなどの欠点があった。
特開2002−145977号公報
本発明の目的は、上述した問題点を解決し、軽量なFRPサンドイッチ構造体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のFRPサンドイッチ構造体は、フォーム材と、該フォーム材の両面に配置されたスキン材とからなるFRPサンドイッチ構造体において、フォーム材の表面から少なくとも厚み100μmまでの平均セル径が10μm以下であり、かつ独立気泡率が70%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、液状のマトリックス樹脂が過剰にフォーム材のセル内に注入されず、軽量性に優れたFRPサンドイッチ構造体の提供を可能とする。また、大型で、軽量性に優れたFRPサンドイッチ構造体を安価に製造することが可能となる。
本発明のFRPサンドイッチ構造体は、フォーム材と、該フォーム材の両面に配置されたスキン材とからなるFRPサンドイッチ構造体において、該フォーム材は表面から少なくとも厚み100μmまでの平均セル径が10μm以下であり、かつ独立気泡率が70%以上である。
本発明においては、フォーム材の表面近傍に平均セル径が10μm以下の微細なセルを形成することで、セル内へのマトリックス樹脂の含浸量が低減される。しかしながら、表面から厚み100μm未満の領域に平均セル径が10μm以下のセルを形成した場合、マトリックス樹脂の注入圧力が高いとセルが破泡し、マトリックス樹脂はさらにフォーム材の厚み方向に含浸するため、得られるFRPサンドイッチ構造体の重量が増加してしまう。したがって、フォーム材の表面から少なくとも厚み100μmまでは平均セル径が10μm以下である必要がある。ここで、本発明における平均セル径は、以下の方法で求められる。まず、フォーム材の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、表面から厚み100μmまでに存在する任意のセル30個を抽出する。次に、抽出された各々のセルについて、長さが最長となる直線を引いた時の直線長さを個々のセル径とする。このようにして抽出した30個のセル径の平均値を求めることで平均セル径が求められる。
また、本発明に用いるフォーム材の独立気泡率は70%以上である必要がある。独立気泡率が70%以上であると、フォーム材の最表面のセルにマトリックス樹脂が含浸しても、さらに厚み方向に隣接するセルにマトリックス樹脂が含浸することを低減できるためである。ここで、本発明における独立気泡率はASTM D2856に準拠する方法で求められる。
したがって、本発明に用いるフォーム材は表面から少なくとも厚み100μmまでの平均セル径が10μm以下であることと同時に、独立気泡率が70%以上であることが必要である。
本発明に用いる、表面から少なくとも厚み100μmまでの平均セル径が10μm以下であり、かつ独立気泡率が70%以上であるフォーム材は、厚み方向にセル径が均一なフォーム材を200〜350℃の温度で加熱処理し、表面のセルを溶融することにより得ることができる。加熱処理の温度はフォーム材の耐熱性によって適宜選択できる。また、加熱処理する方法としては、オーブン内で加熱する方法、加熱ロールを用いる方法、赤外線ヒーターを用いる方法などがあるが、加熱ロールを用いる方法は表面近傍のセルのみを溶融できるため好ましく用いられる。
本発明に用いるフォーム材の密度は0.02〜0.2g/cm3の範囲であることが好ましい。密度が0.02g/cm3未満のものを用いると、十分な強度が得られなくなる恐れがある。また、密度が0.2g/cm3を越えると、強度は高くなるものの、重量が嵩み、軽量化という目的に反するものになってしまう。
本発明に用いるフォーム材の圧縮強度は1MPa以上であることが好ましい。圧縮強度が1MPa未満のものを用いると、FRPサンドイッチ構造体が十分な剛性が得られなくなる恐れがある。
本発明に用いるフォーム材の剪断強度は1MPa以上であることが好ましい。剪断強度が1MPa未満のものを用いると、FRPサンドイッチ構造体が低い剪断荷重で破壊する恐れがある。
本発明に用いるフォーム材の熱変形温度は100℃以上であることが好ましい。熱変形温度が100℃未満であると、マトリックス樹脂を注入・硬化する際にフォーム材が変形したり、FRPサンドイッチ構造体が高温下で使用した際に変形する恐れがある。
本発明において対象とするFRPサンドイッチ構造体は、フォーム材と該フォーム材の両面に配置されたスキン材とからなる。このスキン材は、強化繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料である。これらスキン材の強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維などが用いられる。なかでも、軽量でありながら、強度や弾性率などの機械特性が優れる繊維強化複合材料が得られることから、炭素繊維が好ましく用いられる。強化繊維は短繊維、連続繊維のいずれであってもよく、両者を併用してもよいが、繊維体積含有率の高い繊維強化複合材料を得るためには、連続繊維であることが好ましい。本発明のFRPサンドイッチ構造体では、強化繊維をマット、織物、ニット、ブレイド、一方向シートなどの形態に加工した強化繊維基材が好ましく用いられる。
また、強化繊維基材は、所望の形状に裁断、積層したものを用いてもよい。さらには、裁断、積層後、ステッチや、少量の融着性樹脂を付与して加熱・加圧する方法などにより、予め強化繊維を所望の形状に賦形したものを用いてもよい。
スキン材のマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が、成形性やコストの点で好ましい。ただし、ナイロンやABS樹脂などの熱硬化性樹脂も使用可能である。
フォーム材としては、フォーム材や木材等を使用できるが、軽量化の点でフォーム材が好ましい。フォーム材の材質としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル、ポリスチロール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリルイミド樹脂などが使用できる。
本発明のFRPサンドイッチ構造体は、航空機、鉄道車両、自動車(乗用車、レーシングカー、バス、バン、ワゴン、トラック、トレーラーなど)、自動二輪車、船舶などの部材、例えば外板、内装材、空力部材などに、さらに電子機器の筐体に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、実施例中のフォーム材の評価方法、FRPサンドイッチ構造体の成形方法は以下に示す通りである。表1に各実施例のフォーム材の特性、FRPサンドイッチ構造体の重量をまとめて示す。
A.フォーム材の平均セル径測定
フォーム材の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、表面から厚み100μmまでに存在する任意のセル30個を抽出した。次に、抽出された各々のセルについて、長さが最長となる直線を引いた時の直線長さを個々のセル径を測定した。このようにして任意に抽出した30個のセル径の平均値を計算することで平均セル径を求めた。
B.フォーム材の密度
フォーム材を一辺が50mmの立方体に切断した後、重量を測定し、体積で除することによりフォーム材の密度を求めた。
C.フォーム材の剪断強度
ASTM C273に準拠し、フォーム材の剪断強度を測定した。
D.フォーム材の圧縮強度
ASTM D1621に準拠し、フォーム材の圧縮強度を測定した。
E.フォーム材の熱変形温度
DIN 53424に準拠し、フォーム材の熱変形温度を測定した。
F.FRPサンドイッチ構造体の成形
強化繊維基材として1m2に裁断した炭素繊維織物“トレカ(登録商標)”クロスCO6343B(東レ(株)製)を用い、フォーム材の両面にそれぞれ4ply積層した。これを両面金型内にセットし、以下に示す組成の液状のマトリックス樹脂を注入圧力0.5MPaにて注入し、100℃で15min硬化した後、脱型してFRPサンドイッチ構造体を得た。
なお、炭素繊維織物“トレカ(登録商標)”クロスCO6343B(東レ(株)製)は、経糸、緯糸ともに炭素繊維“トレカ(登録商標)” T300B(東レ(株)製)(引張強度3530MPa、引張弾性率230GPa)の3000フィラメントを使用した平織であり、繊維目付は198g/m2、織り密度は経糸、緯糸ともに12.5本/25mmである。
a.マトリックス樹脂の組成
エポキシ樹脂として“エピコート(登録商標)” 828(ジャパンエポキシレジン(株)製)を100重量部、硬化剤として“リカシッド(登録商標)” MH-700(新日本理化(株)製)を90重量部、硬化触媒として“キュアゾール(登録商標)” 2E4MZを10重量部とを50℃にて攪拌・混合したエポキシ樹脂組成物を液状のマトリックス樹脂とした。
(実施例1)
フォーム材として、耐熱“フォーマック(登録商標)”(積水化学工業(株)製、密度0.11g/cm3、厚み4mm、アクリル樹脂)を温度250℃、ギャップ3mmに設定した加熱ロール間に速度3m/minで通し、フォーム材を得た。得られたフォーム材の表面から厚み100μmまでの平均セル径は7μmであり、厚みは3.9mmであった。
上述の方法により成形したFRPサンドイッチ構造体の重量は3331gであり、十分に軽量であった。
(実施例2)
加熱ロールの温度を300℃に変更した以外は実施例1と全く同様にしてフォーム材を得た。得られたフォーム材の表面から厚み100μmまでの平均セル径は3μmであり、厚みは3.8mmであった。
実施例1と同様にして成形したFRPサンドイッチ構造体の重量は3233gであり、十分に軽量であった。
(比較例1)
フォーム材として、耐熱“フォーマック(登録商標)”(積水化学工業(株)製、密度0.11g/cm3、厚み4mm、アクリル樹脂)を用いた。フォーム材の平均セル径は750μmであった。このフォーム材を加熱ロールを通さない以外は実施例1と全く同様に成形した結果、FRPサンドイッチ構造体の重量は3985gであり、実施例1と比較して約650g重量増であった。
(実施例3)
フォーム材として“ロハセル(登録商標)” 71IG-F(レーム社製、密度0.75g/cm3、厚み4mm、ポリアクリルイミド)を温度300℃、ギャップ3mmに設定した加熱ロール間に速度3m/minで通し、フォーム材を得た。得られたフォーム材の表面から厚み100μmまでの平均セル径は7μmであり、厚みは3.9mmであった。
実施例1と同様にして成形したFRPサンドイッチ構造体の重量は2584gであり、十分に軽量であった。
(比較例2)
フォーム材として“ロハセル(登録商標)” 71IG-F(レーム社製、密度0.75g/cm3、厚み4mm、ポリアクリルイミド)を温度350℃、ギャップ3mmに設定した加熱ロール間に速度3m/minで通し、フォーム材を得た。得られたフォーム材の表面から厚み100μmまでの平均セル径は7μmで微細であるが、厚みは3.5mmとなり初期の4mmに対して大幅に厚みが薄くなり、成形が不可能であった。
本発明は、航空機用部材、自動車用部材、船舶用部材、建材用部材等、軽量で高強度な特性が要求される部材に用いることができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。

Claims (6)

  1. フォーム材と、該フォーム材の両面に配置されたスキン材とからなるFRPサンドイッチ構造体において、該フォーム材は表面から少なくとも厚み100μmまでの平均セル径が10μm以下であり、かつ独立気泡率が70%以上であるFRPサンドイッチ構造体。
  2. 前記フォーム材の表面の少なくとも片面が200℃〜300℃で加熱処理された請求項1に記載のFRPサンドイッチ構造体。
  3. 前記フォーム材の密度が0.02〜0.2g/cm3である請求項1または2に記載のFRPサンドイッチ構造体。
  4. 前記フォーム材の剪断強度が1MPa以上である請求項1〜3に記載のFRPサンドイッチ構造体。
  5. 前記フォーム材の圧縮強度が1MPa以上である請求項1〜4に記載のFRPサンドイッチ構造体。
  6. 前記フォーム材の熱変形温度が100℃以上である請求項1〜5に記載のFRPサンドイッチ構造体。
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