JP2005187435A - 血小板産生促進組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞の増殖を促進する活性化剤、該巨核球の成熟を促進する活性化剤、該巨核球の血小板産生を促進する活性化剤を提供する。
【解決手段】 グリコサミノグリカン、又はグリコサミノグリカンとトロンボポエチンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞増殖促進活性化剤、該巨核球成熟促進活性化剤、該巨核球血小板産生促進活性化剤、該活性化剤を含有する医薬。
【選択図】 図1

Description

本発明は、血小板産生を促進するグリコサミノグリカンに関する。
骨髄中の多能性造血系幹細胞がある程度分化して、巨核球系だけに方向付けられた巨核球前駆細胞(colony forming unit−megakaryocyte;CFU−Meg)となり、さらに増殖・分化して巨核球となる。巨核球はさらに核の倍数性の増加、細胞質の成熟を遂げて、最終的に血小板が放出される。血小板産生過程と深く関与している物質に、生理活性因子(サイトカイン)であるトロンボポエチン(thrombopoietin;TPO)があり、肝臓で産生されている。
発明者らは、ヒト臍帯血由来CD34陽性巨核球前駆細胞に対するトロンボポエチンとグリコサミノグリカンの作用を報告している。(例えば、非特許文献1参照)。
YAKUGAKU ZASSHI 121(9)691−699(2001)。
この非特許文献1では、トロンボポエチンと特定のグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸およびヘパラン硫酸)との併用が、臍帯血由来CD34陽性巨核球前駆細胞の増殖は促進するものの、巨核球の成熟作用は持たないものと記載されている。
本発明の課題は、ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞の増殖を促進する活性化剤を提供することにある。
本発明の課題は、ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球の成熟を促進する活性化剤を提供することにある。
本発明の課題は、ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球の血小板産生を促進する活性化剤を提供することにある。
本発明は以下の活性化剤に係る。
1.グリコサミノグリカンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞増殖促進活性化剤。
2.グリコサミノグリカンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球成熟促進活性化剤。
3.グリコサミノグリカンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球血小板産生促進活性化剤。
4.グリコサミノグリカン及びトロンボポエチンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞増殖促進活性化剤。
5.グリコサミノグリカン及びトロンボポエチンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球成熟促進活性化剤。
6.グリコサミノグリカン及びトロンボポエチンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球血小板産生促進活性化剤。
7.上記1〜6の活性化剤を含有する医薬。
8.上記1〜6の活性化剤を含有する血小板産生医薬。
本発明によれば、ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞の増殖、巨核球の成熟、血小板産生を促進する組成物を提供することができる。本発明の組成物は、血小板減少症の患者本人から少量の造血幹細胞を用いた生体外での巨核球・血小板増殖法や造血幹細胞移植後の血小板回復を促進する為に直接患者に投与する医薬品等として用いることができる。
本発明は、グリコサミノグリカンを有効成分とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞の増殖、巨核球の成熟、血小板産生を促進する活性化剤を提供する。
本発明で用いるグリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸等を挙げることができる。好ましくは、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸が良く、より好ましくは、デルマタン硫酸が良い。
これらのグリコサミノグリカンは、生体組織から分離されたものでも、酵素的、微生物的あるいは化学的に合成されたものでも良い。また、これらグリコサミノグリカンを酵素的、微生物的、化学的あるいは物理的に分子量を調節したものであっても良い。これらグリコサミノグリカンは塩でも良い。これら塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩のうち薬学的に許容されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
グリコサミノグリカンの重量平均分子量は、通常、ヒアルロン酸の場合は、約1000〜1000万であり、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸の場合は、約1000〜12万であるが、本発明に使用するグリコサミノグリカンの分子量はこれに限定されない。本発明において重量平均分子量は以下の方法により測定した。
グリコサミノグリカンの1%水溶液5μlを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるゲル濾過で分析した。カラムはTSKgel−(G4000+G3000+G2500)PWX(東ソー、7.8mm×30cm)を用い0.2M塩化ナトリウムを使用して、40℃、0.6ml/分の流速で展開した。各種グリコサミノグリカンの分子量標準品を対照にして求めた。
グリコサミノグリカンとしては市販のものを用いることもできる。ヒアルロン酸としては、生化学工業株式会社製の、ヒアルロン酸ナトリウム塩(ブタ皮由来、分子量40000〜60000)、ヒアルロン酸ナトリウム塩(ヒト臍帯由来、分子量80万〜120万)、ヒアルロン酸ナトリウム塩(鶏冠由来、分子量60万〜120万)、ヒアルロン酸カリウム塩(ヒト臍帯由来)、ヒアルロン酸カリウム(ヒト臍帯由来)等が挙げられる。
ケラタン硫酸としては、生化学工業株式会社製ケラタン硫酸ナトリウム塩(ウシ角膜由来)等が挙げられる。
コンドロイチン硫酸としては、生化学工業株式会社製の、コンドロイチンナトリウム塩、コンドロイチン硫酸Aナトリウム塩(チョウザメ脊索由来)、コンドロイチン硫酸Aナトリウム塩(クジラ軟骨由来)、コンドロイチン硫酸AナトリウムSSG(クジラ軟骨由来、分子量25000〜50000)、コンドロイチン硫酸Bナトリウム塩(ブタ皮由来、分子量11000〜25000)、コンドロイチン硫酸Cナトリウム塩SG(サメ軟骨由来)、コンドロイチン硫酸Cナトリウム塩SSG(サメ軟骨由来、分子量40000〜80000)、コンドロイチン硫酸Dナトリウム塩(サメ軟骨由来)、コンドロイチン硫酸Eナトリウム塩(イカ軟骨由来)等が挙げられる。
ヘパラン硫酸としては、シグマ社製牛腸粘膜由来ヘパラン硫酸(分子量約7500)、生化学工業株式会社製ヘパラン硫酸ナトリウム塩(ウシ腎臓由来)等が挙げられる。
デルマタン硫酸としては、生化学工業株式会社製の、コンドロイチン硫酸Bナトリウム塩(ブタ皮由来、分子量11000〜25000)等が挙げられる。
トロンボポエチンとしては、ヒトトロンボポエチンあるいは非ヒトトロンボポエチン等のトロンボポエチン活性を有するものであれば制限はないが、好ましくは、ヒトトロンボポエチンが良い。ヒトトロンボポエチンとしては、ヒト血清中やヒト血漿中に存在するもの、内在性または外来性のヒト各種細胞、例えば、ヒト肝臓由来細胞(HepG2)やヒト胎児腎臓細胞(HEK)等から産出されるもの等を用いることができる。ヒトトロンボポエチンを使用した場合、抗原性の低下、体内動態の改善をもたらす。
本発明で「トロンボポエチン活性」とは、巨核球前駆細胞の増殖、巨核球の成熟、血小板産生を促進する活性をいう。
本発明においてグリコサミノグリカンをトロンボポエチンと併用しない場合、ヒト体内に存在するトロンボポエチンを利用する。この場合、グリコサミノグリカンの使用量としては、ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞増殖促進の場合は、1〜1000mg/kg体重、好ましくは、10〜100mg/kg体重が良い。ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球成熟促進の場合は、1〜1000mg/kg体重、好ましくは、10〜100mg/kg体重が良い。ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球血小板産生促進の場合は、1〜1000mg/kg体重、好ましくは、10〜100mg/kg体重が良い。
グリコサミノグリカンをトロンボポエチンと併用する場合、グリコサミノグリカンの使用量としては、ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞増殖促進の場合は、トロンボポエチン100μg/mlに対して、1〜20000μg/ml、好ましくは、10〜200μg/mlが良い。ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球成熟促進の場合は、トロンボポエチン100μg/mlに対して、1〜20000μg/ml、好ましくは、10〜200μg/mlが良い。ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球血小板産生促進の場合は、トロンボポエチン100μg/mlに対して、1〜20000μg/ml、好ましくは、10〜200μg/mlが良い。
ヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞の増殖促進、巨核球の成熟促進、血小板産生促進方法としては、例えば、ヒト末梢血から採取したCD34陽性巨核球前駆細胞を、トロンボポエチン存在下、グリコサミノグリカンを添加し、plasma clot法や軟寒天法で培養する方法を挙げることができる。
本発明の活性化剤は医薬の有効成分として用いることができる。医薬としては、その製剤化の目的に応じて安定化剤、希釈剤、可溶化剤、防腐剤、酸化防止剤、賦形剤および等張化剤等を含有することができる。
本発明の医薬は、注射等の非経口、経肺、経鼻および経口を含めた種々の投与経路に応じた剤形として、溶液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、凍結乾燥製剤等が例示される。
本発明のグリコサミノグリカンを活性成分とする医薬は、活性成分として通常0.01〜100mg/kg体重を、病状、性別および投与経路等に応じて、1日1回〜数回程度に分けて投与することができる。
本発明のグリコサミノグリカンおよびトロンボポエチンを活性成分とする医薬は、活性成分としてグリコサミノグリカン通常0.01mg/kg体重〜100mg/kg体重を、トロンボポエチンを通常0.05μg/kg体重〜1mg/kg体重を、病状、性別および投与経路等に応じて、1日1回〜数回程度に分けて投与することができる。
本発明によれば、本発明のグリコサミノグリカンあるいはグリコサミノグリカンおよびトロンボポエチンを有効成分とし、血小板の増加を必要とする多数の疾患患者に対する血小板増加剤が提供される。
さらには、制癌剤や免疫抑制剤の投与による化学療法や放射線療法、あるいは骨髄移植(BMT)や末梢血幹細胞移植術(PBSCT)、臍帯血移植(CBSCT)施行患者における血小板減少症の治療剤が提供される。
さらに、血小板障害、例えば、血小板産生障害や血小板の寿命短縮(血小板破壊の亢進、あるいは血小板消費の亢進)による血小板減少を特徴とする多数の疾患への治療剤が提供される。
例えば、先天性のファンコニ貧血、化学療法や放射線療法に伴う再生不良性貧血、骨髄異型性症候群、急性骨髄性白血病または骨髄移植のような骨髄形成不全による血小板減少症などが挙げられ、このような患者の血小板の回復を促進する為に用いることもできる。
また、トロンボポエチン産生異常による血小板減少症にも有用である。血小板や巨核球の寿命短縮による血小板減少症としては例えば、突発性血小板減少性紫斑病、後天性免疫不全症候群(AIDS)、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少症等があり、このような患者の血小板回復促進にも有用である。
さらに、外科手術前に投与して自分の血小板を増加させ、その血小板を自分の手術時に輸血用血小板として用いる、いわゆる自己血小板輸血への用途としても有用である。
さらに、例えば他の化学薬品または医薬品、または治療的処置による一過性の血小板の欠損または損傷によってもたらされた血小板障害の治療にも有用である。そのような患者で新しい無傷の血小板の放出を促進するのに用いることができる。さらにトロンボポエチンの主たる産生臓器の一つが肝臓であることが明らかにされていることから、血小板減少をきたす各種の肝臓病、例えば、胆道閉鎖症、肝臓移植、肝硬変、肝炎等にも投与の臨床応用が期待される。さらに、保存血小板の止血血栓形成能を回復させる用途としても有用である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。また、実施例及び比較例において、各種物性測定は以下の方法で行った。
(1)試料および試薬
本発明では全て以下に示した生化学工業株式会社製のグリコサミノグリカンを使用した。
ヒアルロン酸ナトリウム塩(HA−h:from human umbilical cord、HA−p:from pig skin、HA−r:from rooster comb)、ケラタン硫酸ナトリウム塩(KS:from bovine cornea)、コンドロイチン硫酸(CS−A:from whale cartilage、CS−C:from shark cartilage、CS−D:from shark cartilage、CS−E:from squid cartilage)、デルマタン硫酸(DS:from hog skin)、ヘパラン硫酸(HS:from bovine kidney)をそれぞれDulbecco’s phosphate buffered salts(PBS)に5mg/mlになるように溶解後、メンブランフィルター(MILLEX−GP、0.22μm)に通してろ過滅菌し、サンプルとした。
遺伝子組換え型ヒトトロンボポエチン(TPO)および遺伝子組換え型ヒトstem cell factor(SCF)は、Biosource製を使用した。
フローサイトメーター(EPICS XL、Beckman Coulter、CA)の測定に使用した各種蛍光抗体溶液は全て以下に示したBeckman Coulter Immunotechのモノクローナル抗体を使用した。
Fluorescein isothiocyanate(FITC)−conjugated anti−human CD34(FITC−CD34)、FITC−conjugated anti−human CD41(FITC−CD41)、Phycoerythrin(PE)−conjugated anti−human CD41(PE−CD41)、PE−cyanin 5 fluorochrome tandem(PC5)−conjugated anti−human CD45(PC5−CD45)。
(2)ヒト末梢血採取法
末梢血は、赤十字血液センターが採取したA型成人400ml献血由来血清学的検査済みBuffy coat(核酸検査未確定)の供与を受け用いた。
(3)CD34陽性細胞の分離
採取後48時間以内の末梢血を5mM EDTA−PBSを用いて約2倍に希釈後、Ficoll−Paque(Amersham Pharmacia Biotech AB、Uppsala、Sweden)15ml上に希釈試料20mlを積層し、遠心分離(300g、30min)した。Buffy coatを回収し、5mM EDTA−PBSで洗浄した。末梢血Buffy coatは希釈せず同様に積層した。得られたlight−density細胞より、MACS磁気ビーズカラム法(Miltenyi Biotec、Germany)によりCD34陽性細胞を分離・精製した。light−density細胞懸濁液にブロッキング試薬、CD34抗体を添加し、4℃、15分間インキュベートした。0.5%BSA 5mM EDTA−PBSを用いて洗浄遠心(4℃、250g、10min)、再懸濁後、マイクロビーズを添加し4℃、15分間インキュベートした。終了後、同様に洗浄、再懸濁し磁気ビーズカラムにかけ非吸着細胞を溶出した。プランジャーを用いて吸着細胞を回収し、CD34陽性細胞とした。生細胞数は、トリパンブルーを用い血球算定盤にて計算した。CD34細胞陽性率は、フローサイトメーターを用いて測定した。陽性率は、82〜92%であった。
(4)造血前駆細胞(CFU−Meg)の測定
CFU−Megの測定は、human AB platelet poor plasma(ヒト血漿)を用いたplasma clot法もしくは軟寒天法で行った。イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM、Gibco BRL)に100U/mlペニシリン(Gibco BRL、NY)、100μg/mlストレプトマイシン(Gibco BRL)、1mM MEMピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)、1% MEMビタミン混液(Gibco BRL)、1% MEMnonessentialアミノ酸(Sigma、MO)、1×10−3Mチオグリセロール(Sigma)、0.2μg/mlL−アスパラギン(和光純薬、東京)、7.4μg/ml塩化カルシウム(和光純薬)、0.2%ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin、BSA、Sigma)を加えたIMDM混液に、造血因子として50ng/ml TPOおよび50〜200μg/ml各種グリコサミノグリカンを加え、さらに2%アプロチニン(Trasylol、バイエル薬品、大阪)および15%ヒト血漿を含む培地を調製し、CD34陽性細胞を1×10個/mlになるように懸濁した。この混合液を24wellsのプレート(Falcon、Becton Dickinson Labware、NJ)に300μl/wellになるように播き、37℃、5%CO存在下11〜12日間培養した。培養後アセトン・メタノール混液(2:1)で固定、乾燥後、コロニー数測定まで−20℃で保存した。
(5)巨核球コロニー染色法
固定処理後の各wellに、0.5%BSA−PBS400μl/wellを加え、室温で10分間インキュベートした。0.5%BSA−PBSにて100〜150倍に希釈調製したFITC−CD41抗体溶液200μl/wellを添加し、室温遮光下で60分間インキュベートした。処理後抗体溶液を捨て、PBSで2回洗浄後、0.1%クエン酸ナトリウム溶液で希釈調製したpropidium iodide(PI、Sigma)溶液(0.3μg/ml)200μl/wellを添加し、2分間インキュベートした。PI溶液を捨て、超純水で2回洗浄後、室温遮光下にて乾燥させた。処理後、蛍光顕微鏡(Olympus、東京)下、FITC陽性細胞3個以上50個未満の小型コロニーと50個以上の大型コロニーをそれぞれ計数した。
(6)液体培養法
CD34陽性細胞2〜5×10個/mlを、TPO50ng/mlおよび20%ヒト血漿を含むIMDM混液に懸濁し、24wellsプレート(Falcon)に500μl/wellになるように捲き、37℃、5%CO存在下11〜12日間培養した。このヒト血漿濃度ではplasma clotは形成されない。培養後細胞を回収し、フローサイトメーターを用いて表面抗原ならびにDNA ploidyの解析を行った。
(7)免疫学的表面抗原の測定法
培養前のCD34陽性細胞および液体培養後回収された細胞の懸濁液を、FITC−CD34、PE−CD41、PC5−CD45の抗体混合溶液に添加し、暗所室温にて20分間インキュベート後、5mM EDTA−PBSを用いて洗浄遠心(4℃、250g、10min)し、0.5%BSA−5mM EDTA−PBSに再懸濁した。細胞懸濁液を35μmのナイロンメッシュ(Falcon)に通し、フローサイトメーターを用いて測定した。
(8)DNA Ploidyの測定法
DNA Ploidyの測定は、萩原らの方法(Exp.Hematol.,26,228〜235,1998)により行った。培養前のCD34陽性細胞および液体培養後、回収された細胞懸濁液にFITC−CD41抗体を加え、室温にて20分間インキュベートした。0.5%BSA 5mM EDTA−PBSで洗浄遠心(4℃、250g、5min)し、沈殿をCATCH mediumに懸濁し、4℃、1時間インキュベートした。終了後、1%パラホルムアルデヒド(和光純薬)−CATCH medium溶液を当量添加し、5分間固定後PBSで洗浄遠心(4℃、250g、5min)した。沈殿を50μg/ml PI−0.7%クエン酸−0.6%塩化ナトリウム溶液で4℃、1時間処理後、50μg/ml RNAase(Sigma)を添加し、暗所室温にて30分間インキュベートした。その後、35μmのナイロンメッシュに通し、フローサイトメーターを用いて測定した。DNA ploidyの分布は、新鮮分離したヒト末梢血由来単核細胞の蛍光強度を2Nとして相対評価を行った。コントロール群と処理群間の有意差検定は、Studentのt検定で行った。
実施例1
CFU−Meg 由来巨核球コロニー形成に対する各種グリコサミノグリカンの作用
末消血CD34陽性細胞の培養において、HA−h 50μg/mlの添加で巨核球コロニーはコントロールの1.3倍に増加した(表1)。CS−Aは、50,100μg/mlにおいても、コントロールの約1.3倍に増加させた。さらにDSは、いずれの濃度においても総コロニーをコントロールに比べおよそ1.5倍と有意に増加させた。ヒト末消血CD34陽性細胞は、臍帯血や骨髄にくらべ成熟した細胞集団であり、その分化増殖能も相対的に低いことが知られている。さらに、造血幹細胞移植後の造血回復に要する時間が、骨髄、臍帯血及び末梢血それぞれを使用した場合で大きく異なっている。これは、造血幹細胞表面に発現している各種接着因子の差に由来することが最近になって明らかにされている。このように標的細胞であるCD34陽性CFU−Megの違いやGAGの親和性との差が、本研究にてGAGの作用の違いになってあらわれた要因の一つである可能性が推察される。
Figure 2005187435
実施例2
ヒト末消血由来CD34陽性細胞の液体培養におけるDSの作用
液体培養(9日間)の結果、細胞数は培養開始時の1.2倍に増加したのに対し、DS添加では約2倍に増加した(表2)。また回収された各細胞に含まれる巨核球数およびCFU−Meg数は培養開始時のおよそ37倍、1.3倍にそれぞれ増加し、DSの添加では、およそ60倍、2.7倍に増加した。
Figure 2005187435
各細胞のDNA ploidy の測定から培養開始時に92.6%の細胞のDNA ploidy が2Nであったのに対し、培養後8N,16N,32Nの高倍数体巨核球が検出され、(表3)、培養によって巨核球が成熟することが示された。培養開始時ほぼ7%程度であった4N以上の巨核球は、コントロールで45.8%、DS添加では53.6%と、DSに巨核球成熟の増加傾向が認められた。以上の結果から、DSは末梢血CD34陽性CFU−Megの巨核球への分化増殖を促進すると共に、巨核球の成熟も促進することが明らかとなった。
Figure 2005187435
実施例3 巨核球からの血小板様粒子放出に対するグリコサミノグリカンの影響
末梢血CD34陽性細胞で巨核球コロニー形成促進作用の見られたHA−h,CS−A,DSについて巨核球からの血小板様粒子放出に対する影響を検討した(図1)。その結果、コロニー形成促進作用の見られたHA−h,CS−Aは、コントロールとの間に有意な差は示さなかった。一方DSの添加でおよそ40%の巨核球に血小板様粒子放出促進作用が認められた。しかし相互の組み合わせによる相乗作用は認められなかった。DSには成熟巨核球からの血小板放出を強く促進することが示された。
以上の結果より、TPOによるヒト巨核球・血小板造血作用をデルタマン硫酸は優位に促進した。このことは、細胞外マトリックス成分として生体内に広く分布するデルタマン硫酸が、医薬品としての応用的価値を有することを示すものである。
巨核球からの血小板様粒子放出に対するグリコサミノグリカンの影響を示すグラフである。

Claims (8)

  1. グリコサミノグリカンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞増殖促進活性化剤。
  2. グリコサミノグリカンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球成熟促進活性化剤。
  3. グリコサミノグリカンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球血小板産生促進活性化剤。
  4. グリコサミノグリカン及びトロンボポエチンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球前駆細胞増殖促進活性化剤。
  5. グリコサミノグリカン及びトロンボポエチンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球成熟促進活性化剤。
  6. グリコサミノグリカン及びトロンボポエチンを有効成分とすることを特徴とするヒト末梢血由来CD34陽性巨核球血小板産生促進活性化剤。
  7. 請求項1〜6の活性化剤を含有する医薬。
  8. 請求項1〜6の活性化剤を含有する血小板産生医薬。
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