JP2005186184A - ドライ加工用工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ドライ加工を行う際に、従来のセラミックス被膜では加工中の発熱により被膜が酸化して被膜が破壊してしまい、露出した工具に被削材が溶着してしまう。これを防ぐ方法としてセラミックス硬質被膜の上に耐溶着性被膜をコーティングする方法が見出されているが、工程が煩雑になる。
【解決手段】
耐摩耗性および耐酸化性に優れた、CrNの微結晶とSiNの非晶質部とがナノメートルオーダーで混在している微構造を持つCrSiN硬質被膜を、ドライ加工プロセス用の工具に成膜することで、耐摩耗性および耐溶着性を向上させ、ドライ工具の寿命を向上させる。
【選択図】
図2
ドライ加工を行う際に、従来のセラミックス被膜では加工中の発熱により被膜が酸化して被膜が破壊してしまい、露出した工具に被削材が溶着してしまう。これを防ぐ方法としてセラミックス硬質被膜の上に耐溶着性被膜をコーティングする方法が見出されているが、工程が煩雑になる。
【解決手段】
耐摩耗性および耐酸化性に優れた、CrNの微結晶とSiNの非晶質部とがナノメートルオーダーで混在している微構造を持つCrSiN硬質被膜を、ドライ加工プロセス用の工具に成膜することで、耐摩耗性および耐溶着性を向上させ、ドライ工具の寿命を向上させる。
【選択図】
図2
Description
本発明は、切削工具の表面にセラミックス硬質被膜をコーティングしたドライ加工に用いられる工具およびその形成方法に関するものである。
切削工具にセラミックス硬質被膜をコーティングし、工具寿命を向上させるという手法は一般化している。特に、TiN、TiCN、TiAlNといったセラミックス硬質被膜が有名である。これらの被膜が工具本体よりも硬いため、耐摩耗特性に優れていることから寿命が延びるのである。
最近、環境改善などの観点から冷媒を用いないドライ加工プロセスが拡がってきた。この加工においては従来の加工に比べ非常に過酷な条件となることから、従来のセラミックス硬質被膜では持たないという問題が生じている。これは、加工中の発熱により被膜が酸化して被膜が破壊してしまい、露出した工具に被削材が溶着してしまうのである。
これを防ぐ方法として、セラミックス硬質被膜の上に耐溶着性被膜をコーティングする方法が見出されている。例えば、特開2003−25116号公報には、TiAlN等の硬質被膜の上に、BやSi等の半金属をコーティングして、熱処理を施すことで耐溶着性を向上させている。
特開2003−25116
しかし、表面改質に2度のコーティングを行うことは煩雑となってしまう。該明細書中には、連続して行ってもよい旨の記載はあるが、連続して行う際には原料を複数用意する必要があるため、生産性が悪くなる。
本発明が解決しようとする問題は、一度のコーティングで、耐摩耗性に優れかつ耐溶着性に優れた被膜を形成し、ドライ加工プロセスという過酷な環境下であっても工具の寿命を延ばし溶着も防ぐことである。
本発明では、耐摩耗性および耐酸化性に優れたCrSiN硬質被膜を見出し、ドライ加工プロセス用の工具に成膜することで耐摩耗性および耐溶着性を向上させ、ドライ工具の寿命を向上させるものである。
このCrSiN硬質被膜が、CrNの微結晶とSiNの非晶質部とがナノメートルオーダーで混在している微構造を持つ際に、耐摩耗性が優れ、かつ耐酸化性が向上し、耐溶着性が向上することが分かった。さらに、Si含有量が3〜11at%の際に、耐摩耗性と耐溶着性の両方に優れることから好適であることも分かった。
被膜の耐酸化性が向上すると、工具使用中の摩擦による発熱での被膜の酸化が防止され、被膜が破壊して露出した工具に被削材が溶着することも防げることから、被膜の耐溶着性も向上すると考えられる。
さらに、このCrSiN硬質被膜を形成するのに、PVD法、特にイオンプレーティング法を用いて成膜するのが好適である。
本発明の効果として、耐摩耗性および耐酸化性に優れた硬質被膜をコーティングすることで、ドライ加工プロセスという過酷な環境下であっても長寿命の工具を提供することができる。
我々は、CrSiN硬質被膜がCrNの微結晶とSiNの非晶質部とがナノメートルオーダーで混在している微構造を持つ際に非常に高硬度であるとの発明をなしている(特開2002−266697号公報参照)。
特開2002−266697
このナノ複合構造を持つCrSiN硬質被膜が耐摩耗性に優れているのは分かっていたが、今回Si含有量を検討し、特に耐酸化性ひいては耐溶着性に優れたCrSiN硬質被膜を見出したものである。以下、実施例に沿って詳細に説明する。
超硬合金製の外径10mmの2枚刃の無処理エンドミルに、アークイオンプレーティング法にてCrSiN被膜を形成した。カソードのCr−SiのSi含有量を10at%として、窒素中でアークイオンプレーティングを行い、CrSiN硬質被膜コーティング工具を得た。成膜の際に同梱した試験片で被膜特性を測定したところ、被膜のSi含有量は7%、硬度はHv2800、密着力を表わすスクラッチ試験の結果(以下、スクラッチ値と呼ぶ)は40Nと良好であった。
このコーティング工具を以下の条件で切削試験を行い、切削長25mと50mの時点でのコーナー部の摩耗深さを評価した。測定部を図1にて示す。
切削条件:エアーブロー(ドライ)
加工方法:側面切削
切削速度:200m/min
送り速度:0.05mm/刃(1000mm/min)
切り込み:aa=10mm、ar=0.2mm
切削長:25m,50m
被削材:SKD61(HRC51)
切削条件:エアーブロー(ドライ)
加工方法:側面切削
切削速度:200m/min
送り速度:0.05mm/刃(1000mm/min)
切り込み:aa=10mm、ar=0.2mm
切削長:25m,50m
被削材:SKD61(HRC51)
切削長50mでも溶着することはなく、切削長25mと50mでの摩耗深さはそれぞれ80μm、100μmであった。
アークイオンプレーティングのカソードのSi含有量を5%と代え、実施例1と同様にCrSiN硬質被膜を形成した。被膜のSi含有量は3%、硬度はHv2200、スクラッチ値は32Nと良好であった。切削試験の結果、溶着はなく、摩耗深さは順に100μm、170μmであった。
アークイオンプレーティングのカソードのSi含有量を15%と代え、実施例1と同様にCrSiN硬質被膜を形成した。被膜のSi含有量は11%、硬度はHv2500、スクラッチ値は30Nと良好であった。切削試験の結果、溶着はなく、摩耗深さは順に75μm、98μmであった。
(比較例1)アークイオンプレーティングのカソードのSi含有量を3%と代え、実施例1と同様にCrSiN硬質被膜を形成した。被膜のSi含有量は1.6%、硬度はHv1900と低くなり、スクラッチ値は25Nであった。切削試験の結果、溶着はなかったが、摩耗深さは順に150μm、200μmと大きくなった。
(比較例2)アークイオンプレーティングのカソードのSi含有量を18%と代え、実施例1と同様にCrSiN硬質被膜を形成した。被膜のSi含有量は14%、硬度はHv2900と良好であったが、スクラッチ値は13Nと低くなった。また、切削試験の結果、被膜の一部に剥れが見られ、焼き付いてはいないものの、50mでの摩耗深さは不均一となってしまった。
(比較例3)アークイオンプレーティングのカソードをTiAlに代え、実施例1と同様にTiAlN被膜を形成した。硬度はHv2000、スクラッチ値は20Nで、切削試験の結果、溶着はなく、摩耗深さは順に150μm、220μmであった。
図2に各実施例にて作製したCrSiN硬質被膜(実施例6ではTiAlN被膜)を形成した超硬合金エンドミルによる切削試験の結果を示す。縦軸はコーナー部での摩耗深さ、横軸は切削長である。
比較例1(実施例4)では、Si含有量が少ないため、CrSiN硬質被膜の硬度が十分に上がらず耐摩耗性が不十分であった。また、比較例2(実施例5)ではスクラッチ値が低く密着力が低いことから被膜の一部が剥れ、耐溶着性が不十分となった。
そこで、耐摩耗性と耐溶着性の両方を要求を同時に満たす範囲は、CrSiN硬質被膜のSi含有量が3〜11at%となることが分かった。この範囲であれば、最も過酷なエンドミルのコーナー部においても溶着もなく、TiAlN被膜より3割以上も耐摩耗性が向上していることから、ドライ加工においても好適な工具を得ることができる。
Claims (4)
- CrSiN硬質被膜を成膜したことを特徴とするドライ加工用工具。
- 前記CrSiN硬質被膜が、CrNの微結晶とSiNの非晶質部とがナノメートルオーダーで混在している微構造を持つことを特徴とする、請求項1に記載のドライ加工用工具。
- 前記CrSiN硬質被膜が、被膜中のSi含有量が3〜11at%であることを特徴とする、請求項1ないし2に記載のドライ加工用工具。
- 前記CrSiN硬質被膜が、イオンプレーティング法で形成されたことを特徴とする、請求項1ないし3に記載のドライ加工用工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003428713A JP2005186184A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | ドライ加工用工具 |
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JP2003428713A JP2005186184A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | ドライ加工用工具 |
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Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2003
- 2003-12-25 JP JP2003428713A patent/JP2005186184A/ja active Pending
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