− 遊技機の構成 −
図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機の遊技盤の構成を示す正面図で、図2は遊技機を制御する制御系のブロック図である。
遊技盤の表面には、ガイドレールで囲われた略円形の遊技領域が形成され、遊技領域の中央部近傍には画像表示装置80が配置され、遊技領域の下部には特別図柄用始動口(以下、「特図始動口」と称する)16、大入賞口20が配置される。遊技領域の左部分には普通図柄用始動口(以下、「普図始動口」と称する)14が設けられるとともに、遊技領域内の随所に一般入賞口15が複数設けられる。特図始動口16、普図始動口14、一般入賞口15それぞれへの入賞は、図2に示す特図始動センサ16s、普図始動センサ14s、入賞口センサ1 15s−1 … 入賞口センサn 15s−nで検出される。
普図始動口14への入賞記憶数(普図始動記憶数)に対応した表示を行う普図始動記憶表示器11が、遊技領域の下部に設けられる。普図始動記憶の数は、所定の数が限度として定められる。本実施の形態では、普図始動記憶表示器11は四つ設けられ、これに対応して最大四つまでの連続した普図始動記憶数を表示することができ、図2を参照して後で説明する遊技制御装置100内部でも対応した数の普図始動記憶の数が記憶される。
遊技領域の下部左側には普図表示器18が設けられており、普図始動口14への入賞記憶に基づき、この普図表示器18は変動表示をし、最終的に変動表示が停止して結果態様を表示する。普図表示器18で行われる変動表示としては、例えば赤、アンバー、緑等に表示の色を順次変化させることが可能である。
特図始動口16の近傍には普通変動入賞装置17が設けられており、上述した普図表示器18で行われる変動表示の結果態様がアタリであるときに所定の時間(例えば0.5秒)だけ大きく開き、遊技球の特図始動口16への入賞可能性が高められる。普通変動入賞装置17の開閉は普電ソレノイド17aで駆動されて行われる。
遊技領域の下部に、大入賞口20が設けられており、特図始動口16への入賞にともなって開始される変動表示ゲームの結果態様がいわゆる「大アタリ」となると、図2に示す大入賞口ソレノイド20aによって大入賞口20が開閉駆動される。大入賞口20の内部には、切替ソレノイド21aにより揺動駆動される流路切替装置21が配置される。この流路切替装置21は、図1(b)において紙面に対して直交する方向に延在する揺動軸21pまわりに時計回り方向又は反時計回り方向に揺動可能となっており、大入賞口20の内部に形成される二つの開口20L、20Rを排他的に閉塞、開放状態に切り替えることにより、大入賞口20に入賞した球がいずれかの開口に導かれるように流路を切り替えることができる。大入賞口20の内部にはまた、カウントセンサ1 22Lとカウントセンサ2 22Rとが設けられ、入賞した球は、流路切替装置21の状態に応じてその流路が切り替えられて、いずれかのカウントセンサにより、通過した球の数がカウントされる。なお、上述した揺動駆動式の流路切替装置21に代えて、二つの開口20L、20Rを排他的に覆うものであれば、蓋体を左右にスライドさせたり、双方の開口のそれぞれに独立して開閉可能な蓋体を設けたりする、他の方式のものであってもよい。このようにして、一つの大入賞口を、変動表示ゲーム1用の大入賞口として用いることも、変動表示ゲーム2用の大入賞口として用いることも可能であり、遊技盤面内スペースの有効活用が可能となる。また、一方のカウントセンサに遊技球を案内する際には他方のカウントセンサに遊技球が案内されることのないように閉塞することにより、二つの大入賞口として同時に作動することがなく、一時にいずれか一方のみが作動する大入賞口を実現することができる。
また、上述したように二つのカウントセンサ22L、22Rを設けるのに代えて、一つのカウントセンサと、一つの継続センサ(V入賞センサ)を有するものであってもよい。この場合、流路切替装置21は、大入賞口20に入賞した賞球をカウントセンサ又は継続センサに導くための切替装置として作用する。あるいはまた、変動表示ゲーム1が行われているときにカウントセンサ2 22Rを変動表示ゲーム1用の継続センサとし、変動表示ゲーム2が行われているときにはカウントセンサ1 22Lを変動表示ゲーム2用の継続センサとして用いてもよい。
なお、以上では複数の変動表示ゲーム進行に際して共通の大入賞口が用いられる例について説明したが、複数の変動表示ゲームに対応して複数の大入賞口がそれぞれ設けられるものであってもよい。
遊技領域の中央部近傍に配設される画像表示装置80は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等で表示画面部分が構成されている。表示画面中の画像を表示可能な領域(表示領域)には、後で詳しく説明するように、複数の変動表示ゲームを同時に表示することが可能なように複数の変動表示領域が設けられており、さらに、そのうちの一つの変動表示領域には表示画面の左、中、右に設けられた表示領域に、上記変動表示ゲームの結果態様に関連して報知図柄(例えば、「0」〜「9」までの数字及びアルファベットの文字や絵柄等)を変動表示することもできる。加えて、表示画面には、特図始動口16への入賞記憶数(特図始動記憶数)に対応した表示を行う特図始動記憶表示も行われる。
図2において、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置であり、遊技進行を制御するCPU、遊技制御のための不変の情報を記憶しているROM、遊技制御時に遊技制御プログラムのワークエリアなどとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ101、入力インターフェース102、出力インターフェース103、外部通信端子104等から構成される。
遊技用マイクロコンピュータ101は、入力インターフェース102を介して各種検出装置(特図始動センサ16s、普図始動センサ14s、カウントセンサ1 22L、カウントセンサ2 22R、入賞口センサ1…入賞口センサn 15s−1…15s−n)からの検出信号を受けて、大アタリ抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース103を介して、普図表示器18、普電ソレノイド17a、大入賞口ソレノイド20a、切替ソレノイド21a、排出制御装置200、表示制御装置150等に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。遊技制御装置100はまた、盤用外部情報端子41を介して大アタリ中等、遊技機の状態に関する信号をホールコンピュータ(遊技場内に設置される遊技機それぞれの状態を管理するデータ管理コンピュータ)に出力することができる。外部通信端子104は、遊技盤を検査する際に不図示の検査装置を接続するための通信端子であり、遊技用マイクロコンピュータ101は、検査装置から出力されるコードを解読して、検査装置が真正であることを判定し、以後に行われる検査装置との通信を許可する。また、検査装置からの出力要求に対して遊技用マイクロコンピュータ101のチップID(遊技用マイクロコンピュータに付与されたユニークな識別番号)等の情報を出力することもでき、検査装置は遊技用マイクロコンピュータ101から出力される情報(遊技用プログラムのハッシュ値、暗号化コード、プログラムコード、入出力情報を含む遊技制御情報等)に基づいて遊技機が改変されていないかどうかを確認することができる。
排出制御装置200は、遊技制御装置100からの賞球指令信号又はカード球貸ユニット(不図示)からの貸球要求に基づいて、払出ユニット(不図示)の動作を制御し、賞球又は貸球の排出を行わせる。
画像の表示制御を行う表示制御装置150は、CPU151、GDP(Graphics Display Processor)156、RAM153、通信インターフェース155、プログラムやシーケンスデータを格納したROM152、画像データ(図柄データ、背景画データ、動画キャラクタデータ、テクスチャデータ等)を格納した画像ROM206等から構成される。表示制御装置150には画像表示装置80、音制御装置30、装飾制御装置40が接続される。
CPU151は、ROM152に格納されたプログラムを実行し、通信インターフェース155を介して遊技制御装置100から受信する表示指令信号に基づいて所定の変動表示ゲームのための表示制御情報(スプライトデータやポリゴンデータ等で構成される図柄表示情報、背景画面情報、動画オブジェクト画面情報等)を演算して画像の生成をGDP156に指示する。
GDP156は、画像ROM206に格納された画像データ及びCPU151から出力される表示制御情報の内容に基づいて、例えば、画像のポリゴン描画(又は、通常のビットマップ描画)を行うとともに、各ポリゴンに所定のテクスチャを貼り付けてフレームバッファとしてGDP156内に設けられているVRAM157に格納する。そして、GDP156は、VRAM157の画像を所定のタイミング(垂直同期信号V_SYNC、水平同期信号H_SYNC)で画像表示装置80へ送信する。
GDP156が行うその他の描画処理としては、点描画、線描画、トライアングル描画、アルファブレンディング、シェーディング処理(グローシェーディングなど)、陰面消去(Zバッファ処理など)などもある。
ここで、フレームバッファは、複数のフレームバッファをそれぞれVRAM157の所定の記憶領域などに設定しておき、GDP156は、任意の画像に重ね合わせて(オーバーレイ)出力することも可能である。
GDP156から出力されるRGB信号は、不図示のγ補正回路に入力されている。このγ補正回路は、画像表示装置80の信号電圧に対する照度の非線形特性を補正して、画像表示装置80の表示照度を調整して、画像表示装置80に対して出力するRGB信号(表示画像データ)を生成する。
装飾制御装置40は、表示制御装置150からの装飾指令信号を受信し、ランプ60、LED50等の装飾発光装置を制御する。音制御装置30は、PSG(Programmable Sound Generator)やオーディオ・アンプを内蔵し、表示制御装置150からの音制御指令信号に基づいて音楽や効果音等を生成してスピーカを駆動する。
図3は、画像表示装置80に表示される画像の一例を示す概略図である。例示される画像は、特図1記憶表示領域81、特図2記憶表示領域82、特図1表示領域83、特図2表示領域84、三つの報知図柄表示領域85L、85C、85Rを有し、さらに上記特図1記憶表示領域81および特図2記憶表示領域に表示される記憶表示数の和を表示する合成記憶表示領域86を有する。以下の説明で、上述した三つの報知図柄表示領域85L、85C、85Rを総称する場合には単に報知図柄表示領域85と称し、それぞれを区別する場合には左報知図柄表示領域85L、中報知図柄表示領域85C、右報知図柄表示領域85Rと称する。なお、報知図柄表示領域85には、報知図柄に加えて背景図柄等、表示される画像を装飾する図柄も表示される。
以上に説明した遊技機において、弾球発射装置(不図示)から遊技領域に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われ、打ち出された遊技球は、風車等の方向転換部材12によって転動方向を変えながら遊技領域を流下し、特図始動口16、一般入賞口15、大入賞口20、普図始動口14に入賞するか、遊技領域の最下部に設けられたアウト口から排出される。
遊技球が一般入賞口15に入賞すると、遊技制御装置100は排出制御装置200を制御して所定数(例えば十個)の賞球を払い出す。
遊技球が普図始動口14へ入賞すると、遊技制御装置100は普図始動センサ14sを介して入賞を検出した時点で普通図柄乱数カウンタ値を読み出す。その値に応じて所定の時間にわたって普図表示器18に変動表示ゲーム(普図ゲーム)を行う。結果態様がいわゆる普通図柄に関するアタリ状態である場合には、普図ゲームが終了したときに、例えば普図表示器18の表示色を最終的に赤の状態で所定時間点灯させて普図ゲームがアタリであったことを遊技者に知らせる。このとき、特図始動口16の近傍に設けられている普通変動入賞装置17が普電ソレノイド17aで駆動されて所定の時間(例えば0.5秒)だけ大きく開き、遊技球の特図始動口16への入賞可能性が高められる。
普図表示器18で変動表示ゲームが行われているときに、普図始動口14への新たな入賞があると、遊技制御装置100はその都度普通図柄乱数カウンタ値を読み出して記憶し、普図のゲームの始動記憶数を一つ増すとともに普図始動記憶表示器11の点灯数を一つ増す処理を行う。そして、普図表示器18で実行中の変動表示が終了すると、普図始動記憶表示器11の点灯数を一つ減じて普図表示器18で新たな変動表示ゲームを行う。
特図始動口16へ遊技球が入賞し、変動表示ゲームの始動条件が成立すると、後述するように特図1表示領域83、特図2表示領域84のうち、どちらで変動表示ゲームが行われるかが決められる(始動記憶が振り分けられる)。このように、二つの変動表示ゲームで始動口を共通にすることにより遊技店での釘調整箇所が限定されて調整作業が容易になると共に、遊技者にとっても遊技機の釘調整を観察するポイントが限定されて容易に遊技機を選択しやすくなる。以下では、特図1表示領域83で行われる変動表示ゲームを「変動表示ゲーム1」と称し、特図2表示領域84で行われる変動表示ゲームを「変動表示ゲーム2」と称する。変動表示ゲーム1又は変動表示ゲーム2が行われているとき、これらの遊技進行を遊技者に報知するために、報知図柄表示領域85には後述するように報知図柄が表示される。
また、例えば、変動表示ゲーム1が行われているときに変動表示ゲーム1用の始動記憶(以下、これを「始動記憶1」と称する)が新たに振り分けられると、特図1記憶表示領域81の表示内容が更新され、表示される始動記憶数が一つ増す。このときまた、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2それぞれの始動記憶数の和が表示される合成記憶表示領域86の表示内容も更新され、表示される始動記憶数の和も一つ増す。変動表示ゲーム2が行われているときに変動表示ゲーム2用の始動記憶(以下、これを「始動記憶2」と称する)が新たに振り分けられた場合も同様である。
上述したのとは逆に、少なくとも一つ以上の特図1の始動記憶がある状態で特図1の変動表示開始条件(例えば、大当り中などの変動表示が禁止された状態でないこと、前回の変動表示ゲームが終了してから所定時間が経過した等)が成立した場合には、特図1記憶表示領域81および合成記憶表示領域86の表示内容が更新され、表示される始動記憶数および始動記憶数の和はそれぞれ1減じられる。なお、少なくとも一つ以上の特図2の始動記憶がある状態で特図2の変動表示開始条件が成立した場合も同様である。
これらの始動記憶の数は、遊技制御装置100が管理しており、始動記憶数が変化した時点で情報が遊技制御装置100から表示制御装置150に送られて、上述したように表示内容が更新される。
以上に説明した例では、最大四つまでの始動記憶数を特図1記憶表示領域81、特図2記憶表示領域82それぞれに表示することができ、最大八つまでの始動記憶数の和が合成記憶表示領域86に表示することができるが、本発明はこれらの数や図3に例示される始動記憶数の表示形態に限定されるものではない。
特図始動口16への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の特別図柄乱数カウンタ値がアタリ値であるとき)の始動記憶に基づく特図の変動表示ゲームの結果態様は大アタリ状態となるとともに、報知図柄表示領域85において表示される三つの報知図柄も全部同じ図柄で揃った状態(大アタリ図柄)で停止する。そして、大入賞口ソレノイド20aへの通電によって、大入賞口20が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、大入賞口20が所定の時間だけ大きく開き、その際に遊技球が大入賞口20に入賞すると例えば15個の賞球が払い出されるので、遊技者はこの間多くの遊技球を獲得することができるという遊技価値が付与される。
大入賞口20への遊技球の入賞は、上述したようにカウントセンサ1 22L又はカウントセンサ2 22Rによって検出される。大入賞口20が一度開いた後、一定の時間(例えば30秒)が経過するか、あるいはカウントセンサ1 22L又はカウントセンサ2 22Rによって大入賞口20への遊技球の入賞が所定数(例えば十個)検出された時点で一度閉じ、そして再度開く動作を所定ラウンド数繰り返す。本実施の形態においては、変動表示ゲーム1で導出される大アタリに対しては16ラウンド、変動表示ゲーム2で導出される大アタリに対しては1ラウンド、上記動作が行われるものとするが、他のラウンド数の組み合わせとすることも可能である。
また、ラウンド数が異なる場合の他に、1ラウンドあたりの開放時間や、1ラウンドの開放を終了することとなる規定入賞個数や、賞球数を異ならせることも可能である。
なお、上述したように二つのカウントセンサ22L、22Rを設けるのに代えて一つのカウントセンサと、一つの継続センサ(V入賞センサ)を有するものである場合、以下のように大入賞口20を開閉させてもよい。すなわち、大入賞口20が一度開いた後、一定の時間(例えば30秒)が経過するか、あるいは一つのカウントセンサによって大入賞口20への遊技球の入賞が所定数(例えば十個)検出された時点で一度閉じるのは上記の例と同じであるが、一度閉じた大入賞口20が再度開くための条件を別に設定することができる。この条件としては、大入賞口20が開いているときに、継続センサによる遊技球の通過検知が一回でもあり、なおかつ、一つの大アタリ状態における大入賞口20の累計開閉数が所定回数、例えば16回に満たない場合とすることもできる。
− 遊技制御装置の動作 −
図4は、遊技制御装置100で実行される遊技制御のメインフローを示す。遊技機への電源が投入された後、図4(a)のフローに示す処理が実行されて、所定時間周期、たとえば1ミリ秒ごとにタイマ割り込みが発生すると図4(b)のフローに示す処理のプログラムが呼び出されて実行される。
遊技機への電源が投入されると、図4(a)に示すS401の初期化処理を実行し、遊技機を初期状態に設定する。続くS402で乱数更新処理1を行い、以後このS402の処理を繰り返し行う。
S402で行われる乱数更新処理1は、後述する乱数更新処理2の初期値を更新する処理である。この処理について説明すると、遊技制御装置100で実行される処理の中には、普図始動口14や特図始動口16へ遊技球が入賞したときに、対応する遊技の結果態様を導くための抽選を行ったり、この抽選結果に基づいて変動表示ゲームを進行させる際の演出あるいは装飾にランダム性を付与したりするために行われる、いくつかの乱数処理が含まれる。これらの乱数処理の一例としては、例えば0から316の間でカウンタの値を所定の時間周期、たとえば1ミリ秒周期で1づつ増加させ、値が316を越したときに再び0に戻すような処理がある。そして、上述した遊技球の入賞等の事象を遊技制御装置100が認識した時点でのカウンタの値がそのときの乱数値として抽出される。この乱数値を抽出する処理は、後で図4(b)を参照して説明する、S424での乱数更新処理2に相当する。乱数とは云っても、上記に例示した処理を繰り返すと、317ミリ秒周期で抽出される乱数値は同じ値となってしまい、ランダム性が若干低下する。そこで、さらなるランダム性を付与するための処理が乱数更新処理1である。上記の例におけるカウンタ値の変動を毎回0から開始するのではなく、乱数更新処理1で求められた値をカウンタ値の初期値として変動させ、いわば一回転の変動を終えた時点で、乱数更新処理1により得られた新たな値を次のカウンタの初期値として設定する。そしてまた、一回転のカウンタ値の変動をする処理が行われ、カウンタ値変動時の初期値が次々と更新されてゆく。乱数更新処理1における乱数更新の周期は、乱数更新処理2における乱数更新の周期に比してかなり短いので、上記カウンタのランダム性を増すことができる。本明細書中では、上記カウンタを「乱数カウンタ」と称する。
タイマ割り込みが発生したときに遊技制御装置100で実行される処理手順について、図4(b)を参照して説明する。なお、以下で説明するS420〜S431のタイマ割り込み処理は、例えば、1ミリ秒といった比較的短い時間周期で繰り返し実行される。これらS420〜S431の処理は、割り込み発生毎に必ずしもすべて行なわれるとは限らず、例えば入力処理S421は毎回入力信号を監視するが、出力処理S422は割り込みの発生1回おきに実行される。つまり、1回の割り込み処理で一通りの処理すべてを完了するのではなく、この割り込み処理が複数回繰り返し実行されて一つの処理が完了する場合がある。
S420では割り込み禁止の設定と、レジスタ退避の処理を行い、S421では入力処理を行う。S421における入力処理は、入力インターフェース102を介して入力される各種センサやスイッチ等からの信号にチャタ除去等の処理を施し、入力情報を確定する処理である。
S422では、出力インターフェース103を介し、予め決められたデータを予め決められた出力先に出力する処理を行う。出力されるデータとしては、普図表示器18や大入賞口ソレノイド20a、切換ソレノイド21a、普電ソレノイド17a、さらには後述する盤用外部情報41等が含まれる。S423では、後述する表示制御指令信号(コマンド)を表示制御装置150に出力する処理や、排出制御装置200に賞球指令信号を出力する処理などを行う。
S424では乱数更新処理2を行い、普図変動表示ゲーム、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2がアタリか否かを判定するための各乱数カウンタ、及び変動表示ゲーム1、2を進行させる際の演出あるいは装飾(変動表示パターンや停止図柄等)にランダム性を付与するための各乱数カウンタの値を一づつ増す。
S425では、遊技機の球詰まりや各種スイッチ、センサ等の異常などを監視するエラー監視処理を行い、続くS426ではスイッチの監視処理を行う。このスイッチ監視処理は後で詳述するが、カウントセンサ1 22L、カウントセンサ2 22R、特図始動センサ16s、普図始動センサ14sの入力の有無を検出し、その結果に応じて各カウントセンサの用のカウント数や始動記憶1、始動記憶2、普図始動記憶の各始動記憶数を更新する処理である。
S427では特図1ゲーム処理、すなわち変動表示ゲーム1の進行を制御する処理を行い、S428では特図2ゲーム処理、すなわち変動表示ゲーム2の進行を制御する処理を行う。これらの特図1ゲーム処理、特図2ゲーム処理については後で詳述する。
S429では普図ゲーム処理を行う。具体的には、普通図柄始動センサ14sで検知された普図始動口14への遊技球の通過に基づいて、普図始動記憶に記憶された普図乱数カウンタ値(ステップS426で抽出・記憶した普図ゲームの結果態様に関する乱数)がアタリか否か判定し、普図表示器18の変動表示のための処理を行う。普図乱数カウンタ値が所定の値であれば、普図に関するアタリ状態となり、普図がアタリ図柄(例えば普図表示器18を赤く点灯させる)で変動表示が停止する。また、アタリ状態になると普電ソレノイド17aを駆動して普通電動役物を開放し、特図始動入賞が容易な状態になる。なお、確率変動や時間短縮変動などの特別遊技状態では2.8秒間の開放、通常遊技状態では0.5秒間の開放のようにして、遊技状態に応じて開放態様を変化させる処理を行なう。
S430では外部情報編集処理を行う。この処理では、盤用外部情報端子41を介して接続されるホールコンピュータ(遊技場内に設置される各遊技機の状態を一元的に管理するために遊技場、すなわちホールに設置される管理コンピュータ)に遊技機の状態を出力するための盤用外部情報を編集する処理を行う。盤用外部情報としては、図柄が確定したか、大アタリであるか、確率変動中であるか、変動時間短縮(時短)であるか等、変動表示ゲーム1、2の進行状態に関連する情報が含まれる。
遊技制御装置100は、以上に説明した処理をし、一時退避していたレジスタの復帰処理および禁止設定されていた割り込みの許可設定をする処理をS431で行い、リターンする。そして、次のタイマ割り込みが発生するまでS402における乱数更新処理1を繰り返し行う。
図5は、図4(b)のS423で出力されるコマンドを概略的に説明する図であり、図5(a)は時間の経過に伴って異なる種類のコマンドが遊技制御装置100から表示制御装置150に出力される様子を示し、図5(b)はコマンドのフォーマット例を示す。なお、以下で説明するコマンドがどのタイミングで編集されるかについては後で説明する。
図5(a)では、遊技制御装置100がタイミング[1]で変動パターンコマンドを、タイミング[2]で図柄コマンドを、タイミング[3]で図柄停止コマンドを表示制御装置150に出力し、これに応じてタイミング[1]で変動表示ゲームが始まり、タイミング[3]で変動表示ゲームが停止し、このとき、タイミング[2]で指定された図柄が停止図柄として表示され、結果として時間Tの変動表示ゲームが行われる様子が示されている。上記の各タイミングで遊技制御装置100から表示制御装置150に出力されるコマンドのコマンドフォーマットは基本的に同一で、内部に格納されるコマンドコードの内容がコマンドの出力タイミングごとに異なっている。
図5(b)に例示されるコマンドフォーマットは、ゲーム指定部、モード指定部、アクション指定部を有する。ゲーム指定部には、遊技制御装置150に出力されるコマンドが変動表示ゲーム1に関連するものなのか、変動表示ゲーム2に関連するものなのかを特定するコマンドコードが格納される。各コマンドコードが遊技制御装置150によってどのように解釈されるかについて、その一例となる凡例が図5(b)に示されている。例えば、ゲーム指定部にコマンドコードとして1が格納されていれば、表示制御装置150は入力したコマンドが変動表示ゲーム1に関するものと解釈した上で残りのモード指定部、アクション指定部で指定される内容のコマンドを解釈し、実行する。
モード指定部には、コマンドのモードに関するコマンドコードが格納される。アクション指定部には、モード指定部に格納されたコマンドコードに関連するアクションに関するコマンドコードが格納される。
図5(a)、図5(b)に示される例で説明すると、タイミング[1]で出力されるコマンドとして、例えばゲーム指定部に1が、モード指定部に1が、アクション指定部に2が格納されているものとする。画像表示装置150は、ゲーム指定部のコマンドコードが1であることより、コマンドが変動表示ゲーム1に関するものと解釈し、モード指定部のコマンドコードが1であることより変動パターンコマンドであると解釈し、アクション指定部のコマンドコードが2であることより変動パターン2で変動表示を行うコマンドであると解釈する。すなわち、表示制御部150は、タイミング[1]で入力したコマンドが、特図1表示領域83で変動表示ゲーム1を実行するものであり、変動表示を行う際のパターンとして変動パターン2が指定されているものと解釈し、変動表示ゲーム1の表示を開始する。なお、アクション指定部に格納されるコマンドコードで指定される変動パターンに対応して変動表示時間の長さはそれぞれ決まっており、遊技制御装置100は表示制御装置150に送信したコマンド中の変動パターンに関するコマンドコードに対応する変動表示時間を管理している。本例において、変動パターン2の変動表示に対応する変動表示時間はTであるものとする。
続くタイミング[2]で出力されるコマンドとして、例えばゲーム指定部に1が、モード指定部に2が、アクション指定部に1が格納される。画像表示装置150は、ゲーム指定部のコマンドコードが1であることより、コマンドが変動表示ゲーム1に関するものと解釈し、モード指定部のコマンドコードが2であることより変動パターンの停止図柄を指定するコマンドであると解釈し、アクション指定部のコマンドコードが1であることより停止図柄として図柄1を指定するコマンドであると解釈する。すなわち、表示制御部150は、タイミング[2]で入力したコマンドが、特図1表示領域83でタイミング[1]において開始した変動表示ゲーム1を停止する際の停止図柄は図柄1であると解釈する。
上述したように、遊技制御装置100は、表示制御装置150で実行されている変動表示ゲームの変動表示時間を管理しており、タイミング[1]から時間Tが経過したタイミング[3]で変動表示ゲーム1の変動表示を停止するコマンドを表示制御装置150に出力する。このタイミング[3]で出力されるコマンドとして、例えばゲーム指定部に1が、モード指定部に3が、アクション指定部に1が格納される。画像表示装置150は、ゲーム指定部のコマンドコードが1であることより、コマンドが変動表示ゲーム1に関するものと解釈し、モード指定部のコマンドコードが3であることより変動表示ゲームを停止する図柄停止コマンドであると解釈し、アクション指定部のコマンドコードが1であることより、変動表示ゲームを仮停止するのではなく、本当に停止することを指定する図柄停止コマンドであると解釈する。すなわち、表示制御部150は、タイミング[3]で入力したコマンドが、特図1表示領域83でタイミング[1]において開始した変動表示ゲーム1を停止するものと解釈し、変動表示ゲーム1を停止させる。
上述したシーケンスの途中、例えばタイミング[2]とタイミング[3]との間で特図始動口16に新たな遊技球の入賞があり、始動記憶が変動表示ゲーム1に振り分けられた場合、遊技制御装置100は、ゲーム指定部に1を、モード指定部に4を、アクション指定部に始動記憶変更後の値を格納し、表示制御装置150に出力する。表示制御装置150は、ゲーム指定部のコマンドコードが1であることより、コマンドが変動表示ゲーム1に関するものと解釈し、モード指定部のコマンドコードが4であることより始動記憶数の表示更新を指定するコマンドであると解釈する。そして、表示制御部150は、アクション指定部に格納されたコマンドコードに基づいて、特図1記憶表示領域81に表示される始動記憶1の表示を、合成記憶表示領域86に表示される合成始動記憶の表示とともに更新する。
逆に、新たな始動記憶の増加がない状態で、例えば以前の始動記憶に基づいて変動表示ゲーム2が行われると、遊技制御装置100は、ゲーム指定部に2を、モード指定部に4を、アクション指定部に始動記憶変更後の値(以前の始動記憶数から1減じた値)を格納し、表示制御装置150に出力する。表示制御装置150は、ゲーム指定部のコマンドコードが2であることより、コマンドが変動表示ゲーム2に関するものと解釈し、モード指定部のコマンドコードが4であることより始動記憶数の表示更新を指定するコマンドであると解釈する。そして、表示制御部150は、アクション指定部に格納されたコマンドコードに基づいて、特図2記憶表示領域82に表示される始動記憶2の表示を、合成記憶表示領域86に表示される合成始動記憶の表示とともに更新する。
以上、図5を参照して説明したコマンドフォーマット、このコマンドフォーマット中に含まれるコマンドコードの種類等はあくまでも例示であり、本発明を限定するものではない。例えば、モード指定部の中で変動表示ゲーム1、2の区別を指定して、ゲーム指定部を無くしてもよい。あるいは、コマンドコードを格納する領域を四つ以上にしてもよい。
図6は、遊技制御装置100によって実行される図4のS426のスイッチ監視処理手順を説明するフローチャートである。遊技制御装置100は、S601でカウントセンサ1 22Lがオンしたか否かを(状態ではなく、立ち上がりエッジで)判定し、オンしたと判定される場合にはS602に進んでカウント数1が最大か否かを判定する一方、否定される場合にはS611に分岐する。このカウント数1は、例えば、最大カウント数(大入賞口20の閉塞条件)が十個に設定され、変動表示ゲーム1に関連する大アタリ遊技(以下、これを「特別遊技1」と称する)のラウンドで、開放中の大入賞口20の閉塞条件を判定するために参照される。S602での判定が肯定されると、カウント数1を更新することなくS611に進む一方、否定されるとS603に進んでカウント数1を一つ増し、S611に進む。
遊技制御装置100はまた、カウントセンサ2 22Rからの信号に基づいて上述したのと同様の処理を行う。即ち、S611でカウントセンサ2 22Rがオンしたか否かを(状態ではなく、立ち上がりエッジで)判定し、オンしたと判定される場合にはS612に進んでカウント数2が最大か否かを判定する一方、オフしていると判定される場合にはS621に分岐する。このカウント数2も、例えば最大カウント数(大入賞口20の閉塞条件)が十個に設定され、変動表示ゲーム2に関連する大アタリ遊技(以下、これを「特別遊技2」と称する)のラウンドで、開放中の大入賞口20の閉塞条件を判定するために参照される。S612での判定が肯定されると、カウント数2を更新することなくS621に進む一方、否定されるとS613に進んでカウント数2を一つ増し、S621に進む。
遊技制御装置100は続いて、S621〜S626の処理を行い、特図始動センサ16sの状態に基づく始動記憶振りわけの処理を行う。まず、S621で特図始動センサ16sがオンしたか否かが(状態ではなく、立ち上がりエッジで)判定され、オンしたと判定される場合にはS622に進み、特図始動記憶1の数が特図始動記憶2の数を上回っているかどうかが判定される一方、S621でオフしていると判定される場合にはS631に分岐する。
S622で、特図始動記憶1の数が特図始動記憶2の数よりも大きいと判定されるとS625に分岐する一方、特図始動記憶1の数が特図始動記憶2の数と等しいか、特図始動記憶2の数よりも小さいと判定されるとS623に進む。
S623では、特図始動記憶1の数が4未満であるか(始動記憶領域に空きがあるか否か)否かを判定し、肯定されるとS624に進み、特図始動記憶1の数の更新処理を行ってS631に進む一方、否定されるとS625に分岐する。S624における特図始動記憶1の数の更新処理では、大アタリ判定用乱数の抽出、いわゆる確率変動大アタリや時短大アタリと称される、遊技者にとってさらに有利に遊技が進行する大アタリを導出することとなるアタリ図柄抽選用の乱数抽出、始動記憶領域内情報のシフト、始動記憶数の更新等の処理が行われる。なお、始動記憶領域は、FIFO(先入れ先出し)処理が行われるため、一つの始動記憶に基づく変動表示ゲームが完了すると始動記憶領域内の情報が上述のように一つづつシフトされる。
S625、S626では、上述したS623、S624における特図始動記憶1の処理と同様の処理を特図始動記憶2に対して行う。S625では、特図始動記憶2の数が4未満であるか否かを判定し、肯定されるとS626に進み、特図始動記憶2の更新処理を行ってS631に進む一方、否定されるとS626をバイパスしてS631に分岐する。S626の特図始動記憶2更新処理の内容はS624における特図始動記憶1更新処理の内容と同様であるので説明を省略する。
S631〜S633では普図始動記憶の更新に関する処理を行う。遊技制御装置100はS631において、普図始動センサ14sがオンしたか否かを(状態ではなく、立ち上がりエッジで)判定し、肯定されるとS632に進んで普図記憶の数が4未満であるか否かを判定する一方、S631の判定が否定されると何もせずにリターンする。S632において普図記憶数が4未満であると判定された場合、S633で普図始動記憶更新の処理を行い、リターンする一方、普図始動記憶数が4と判定される場合には何もせずにリターンする。
図6を参照して以上に説明した例では、一つの特図始動センサ16sを介して検出された始動条件の成立に基づく始動記憶を特図始動記憶1、特図始動記憶2のうち、少ない方に振り分けることにより、始動記憶をほぼ均等に振り分ける例について説明した。このようにすることで、始動記憶のオーバーフローを極力防止することができる。また、S622の振り分け条件で、特図始動記憶1が特図始動記憶2に優先して振り分けられるようになっているので、2つの変動表示ゲームに主従の重み付けをできる。なお、前述した振り分け方法に代えて、単純に交互に振り分けるものであってもよいし、ランダムに振り分けるものであってもよいし、あるいは所定の確率で振り分けられるようにしてもよいし、遊技状態に応じて振り分けるようにしてもよい。例えば、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2で大アタリが導出される確率が異なっているような場合、大アタリが導出される確率の低い方の変動表示ゲームの方に多めに始動記憶が振り分けられるようにしてもよい。この場合、大アタリが導出される確率と始動記憶振りわけの確率との積が、変動表示ゲーム1、2で同じになるようにすることも可能である。あるいは、大アタリ時に付与される遊技価値の小さい方に始動記憶が多く振り分けられるようにしてもよい。すなわち、本実施の形態においては、変動表示ゲーム1で大アタリが導出された場合に大入賞口20が開閉するラウンド数は16で、変動表示ゲーム2で大アタリが導出された場合のラウンド数は1であるものとすると先に説明したが、この例においては、変動表示ゲーム2の方により多く始動記憶が振り分けられるようにしてもよい。以上に加えて、変動表示ゲームの数を3以上として、これら3以上の変動表示ゲームに対して始動記憶を振り分けることも可能である。
なお、図1から図3を参照しての説明で、二つのカウントセンサ22L、22Rを設けるのに代えて一つのカウントセンサと、一つの継続センサ(V入賞センサ)を有するものとしてもよいことを説明した。この場合、S611からS613におけるカウントセンサ2用の処理を継続センサ用の処理とすればよい。このとき、一度でも継続センサのオンを検出したら継続フラグを1にセットする。このように継続フラグを1にセットしておけば、後の処理で継続センサが一度でもオンして次のラウンドに進めるのか否かを容易に判定することができる。
図4のS427における特図1ゲーム処理およびS428の特図2ゲーム処理の内容について、図7を参照して説明する。図7は、遊技の流れを示す状態遷移図であり、以下、この図に従って遊技の概要を説明する。なお、S427における特図1ゲーム処理が変動表示ゲーム1に係る遊技進行を制御するものであり、S428における特図2ゲームが変動表示ゲーム2に係る遊技進行を制御するものであることを除き、その内容は実質的に同じである。従って、図7を参照しての以下の説明では、特図1ゲーム処理、特図2ゲーム処理(変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2に係る遊技進行制御)の区別をしない。
遊技状態としては、図7において丸で囲った四つの状態、すなわち客待ち、変動、大アタリ、待機の状態がある。まず、遊技開始当初(あるいは遊技開始前)の時点では、客待ち状態となっており、客待ち画面の表示を指令する表示制御コマンドが遊技制御装置100から表示制御装置150に送信され、画像表示装置80の画面には客待ち画面(遊技客を呼び込むための動画又は静止画のデモ表示)が表示される。
そして、遊技領域に打ち出された遊技球が特図始動口16に入賞すると、その入賞に基づき、遊技制御装置100によって所定の乱数が抽出され、始動条件として始動記憶領域に記憶される。そして、変動表示開始条件が成立したら、該当する変動表示ゲームの大アタリの抽選が行われる。そして、変動表示ゲーム1の処理および変動表示ゲーム2の処理が実行される際に、互いに他方のゲーム進行状態を監視し、他方のゲーム進行状態に応じて変動表示ゲームの進行を決定し、変動表示パターン、停止図柄等を選択する。これらの変動表示パターン、停止図柄等に基づいて表示制御コマンドが編集され、遊技制御装置100から表示制御装置150に当該表示制御コマンドが送信される。画像表示装置80の画面には、この表示制御コマンドに基づいて変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2が表示される。このとき、報知図柄表示領域85には、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2の進行状態に対応して、後述するように左図柄、中図柄、右図柄などからなる報知図柄が表示される。これが図7における変動状態に相当する。
変動表示ゲームの開始後、所定時間経過すると、報知図柄は例えば左、右、中図柄の順に仮停止(例えば、停止位置にて図柄を微少に変動させること等)されていくが、この過程でリーチ状態(例えば、左図柄と右図柄が大アタリの組合せを発生する可能性のある組合せであり、通常よりも大アタリとなる期待が持てる状態)が発生すると、所定のリーチ遊技が行われる。このリーチ遊技では、例えば中図柄の表示を極低速で変動させたり、高速で変動させたり、図柄の移動方向を逆転させたりする。また、リーチ遊技に合わせた背景表示、キャラクタ表示が行われる。
なお、仮停止状態とは遊技者が図柄を略停止状態として認識可能な状態で、かつ最終停止態様が確定しない状態であり、図柄の最終停止態様(結果態様)が確定した状態と区別される。なお、単に停止状態とした場合には、仮停止状態と、最終停止態様(結果態様)が確定した状態とを含む。また、仮停止状態の具体例としては、停止位置での微少変動の他に、図柄を拡大縮小表示させたり、図柄の色を変化させたり、図柄の形状を変化させる等の態様がある。
そして、大アタリ抽選の結果が大アタリであれば、最終的に左図柄、右図柄、中図柄が所定の大アタリの組合せで停止され、大アタリ状態(特定の遊技価値を付与する状態)となる。
この大アタリになると、上述したとおり大入賞口20が所定期間にわたって開かれる特別遊技が行われる。この特別遊技に際して、大アタリを演出するファンファーレ吹奏、ラウンド数表示、大アタリの演出表示等、遊技制御装置100から表示制御装置150に特別遊技状態の演出内容を指示する表示制御コマンドが送信され、画像表示装置80の画面に特別遊技状態であることを示す画像の表示が行われる。
このとき、大アタリが特定の大アタリ(例えば、確率変動図柄である奇数図柄での大アタリ)であれば、大アタリ遊技後に特定遊技状態(例えば、確率変動状態や変動時間短縮状態などの、遊技者に有利な遊技状態)となり、次回の大アタリの発生確率を高確率にしたり、後述するように遊技球の特図始動口16への入賞に基づく変動表示ゲームの変動表示時間の短縮等が行われるとともに、普通電動役物の変動時間、開放態様を変化させて、特図始動口への入賞を容易にする。
上記の変動表示ゲーム中あるいは特別遊技中に遊技球が特図始動口16に入賞したときには、変動表示ゲームが終了した後(ハズレのとき)にあるいは特別遊技が終了した後に、その特図始動記憶に基づき、新たな変動表示ゲームが繰り返される。また、変動表示ゲームが終了したとき(ハズレのとき)、あるいは大アタリ遊技が終了したときに、変動表示記憶がなければ客待ち状態(デモ表示状態)に遷移する。
待機状態について説明する。図3を参照して前に説明したとおり、本発明に係る遊技機では、一つの画像表示装置80上に変動表示ゲーム1の進行が表示される特図1表示領域83、変動表示ゲーム2の進行が表示される特図2表示領域84が設けられ、変動表示ゲーム1あるいは2の進行状態に応じて報知図柄が報知図柄表示領域85に表示される。S427における特図1ゲーム処理、S428における特図2ゲーム処理は、以下に説明するように、互いに他の変動表示ゲームの進行状態を(特図1ゲーム処理においては変動表示ゲーム2の進行状態を、特図2ゲーム処理においては変動表示ゲーム1の進行状態を)参照しながら各自の変動表示ゲームの進行を決定するように処理を行っている。
例えば、変動表示ゲーム1、2両方が大アタリ状態、あるいは大アタリを導出することとなる状態になったような場合を想定すると、両方の変動表示ゲームを同時に表示したのでは遊技者はどちらの変動表示ゲームに注目してよいのか判らず、また、せっかくの大アタリ状態が二つ同時に進行したのでは、別々に進行する場合に比して短時間のうちに大アタリ状態から脱してしまうことになり、これは遊技者の興趣を低下させてしまうことにつながりかねない。そこで、本発明では、これから進行しようとする変動表示ゲームで導出することとなる結果態様が大アタリを導出することとなっていて(これを事象[A]とする)、なおかつ、他方の変動表示ゲームが既に大アタリを導出することとなっている(これを事象[B]とする)か、他方の変動表示ゲームが大アタリ中である(これを事象[C]とする)となっている場合、すなわち[A]and([B]or[C])という事象の組合せが成立するときには、待機条件が成立したものとして、これから進行しようとする変動表示ゲームの進行を一時的に停止、すなわち「待機」させる。そして、上記のように事象を組み合せた状態でなくなったとき、待機条件が解消したものとして、一時的に待機させていた、大アタリを導出することとなる変動表示ゲームを進行させる。なお、変動状態から待機状態へ、あるいはその逆の移行に際しては後述する待機条件成立フラグの状態が参照される。すなわち、図4のS427、あるいはS428の処理での変動開始条件に待機条件成立フラグがセットされていないことという条件が含まれるために、変動表示ゲームが実行されない待機状態に移行する。
図7に示される変動の状態における遊技制御装置100の制御手順を示す図8を参照し、変動の状態において遊技制御装置100がどのように変動表示ゲーム1、2の進行を決めるのかを詳細に説明する。なお、以下では遊技制御装置100が変動表示ゲーム1の進行を決める手順についてのみ説明し、変動表示ゲーム2の進行を決める手順については変動表示ゲーム1の進行を決める手順と同様であるのでその説明を省略する。
遊技制御装置100は、S801で待機条件成立フラグをリセットする。この待機条件成立フラグは、上述したように変動表示ゲーム1を待機状態に保持する際にセットされるフラグである。
S802では、始動記憶の有無を判定し、始動記憶ありと判定するとS803に進む一方、始動記憶なしと判定するとS842に分岐する。S803では、始動記憶領域内の先頭にある始動記憶情報を取り出す。この始動記憶情報中には始動条件成立時の乱数(大アタリ判定用の乱数カウンタ値)が記録されており、続くS804でこの乱数カウンタ値は大アタリか否か(上記の説明における事象[A]に相当するか否か)を判定する。S804で大アタリと判定するとS811に進み、変動表示2進行情報を取得する。S811で取得した変動表示2進行情報に基づき、S812では変動表示ゲーム2は大アタリを導出することとなっている状態あるいは大アタリ中の状態であるか(上記の説明における事象[B]or[C]の組合せに相当)を判定する。この変動表示2進行情報については後で詳述する。
S812での判定が肯定される、すなわち上述した事象[A]and([B]or[C])の組合せが成立していると判定されるとS813に進み、待機条件成立フラグをセットする一方、S812での判定が否定されるとS821に進む。S821においては、事象[A]のみが成立しているので、S821で大アタリの変動表示パターンを指示するコマンドコードを選択し、S822で大アタリの停止図柄を指定するコマンドコードを選択し、S841に進む。
S804の判定が否定された場合、すなわち大アタリではないときの分岐先であるS831で遊技制御装置100はハズレを導出する変動表示パターンを指示するコマンドコードを選択し、S832でハズレの変動表示の停止図柄を指示するコマンドコードを選択し、S841に進む。続くS841で、始動記憶領域内の始動記憶情報を更新する処理を行う。S841では、先に説明した始動記憶領域内情報をシフトする処理をし、始動記憶数を更新して一つ減じ、不要となった始動記憶情報をクリアする処理を行う。続くS842において変動表示1進行情報を更新し、リターンする。
上記の変動表示1進行情報およびS812での処理の説明に際して触れた変動表示2進行情報について説明する。遊技制御装置100は、変動表示2進行情報を参照して変動表示ゲーム2の方で上記[B]、[C]の事象が発生していないかを判定し、この判定結果に基づいて変動表示ゲーム1の進行を決定する。そして、決定した進行内容に基づいて、変動表示ゲーム1の方で上記[B]、[C]の事象が発生しているか否かを示す変動表示1進行情報を更新する。すなわち遊技制御装置100は、変動表示2進行情報を参照し、変動表示ゲーム2の方で上記[B]、[C]の事象が発生していないかを判定して変動表示ゲーム1の進行を決定し、決定した進行に基づいて変動表示1進行情報を更新する。遊技制御装置100はまた、変動表示1進行情報を参照し、変動表示ゲーム1の方で上記[B]、[C]の事象が発生していないかを判定して変動表示ゲーム2の進行を決定し、決定した進行に基づいて変動表示2進行情報を更新する。この処理内容を模式的に表した図9を参照して説明すると、それぞれの変動表示ゲームの進行を決定する第1、第2の変動表示ゲーム進行決定手段は、他方の変動表示進行情報を参照して一方の変動表示ゲームの進行を決定し、決定した変動表示ゲームの進行内容に基づいて一方の変動表示進行情報を更新する。変動表示進行情報としては、図7の状態遷移図中に示される各ゲーム状態に関する情報、すなわち、客待ち中、変動表示中、大アタリ中、待機中のいずれかに対応する情報や、変動表示ゲームが導出する結果態様がアタリであるか否かに対応する情報や、変動表示ゲームの変動表示時間に対応する情報などが含まれる。以上に加え、ゲーム状態に関する情報中、変動表示中に対応する情報が含まれる場合には、当該変動表示がアタリを導出するものであるか否かの情報も含まれる。
図8のS831で遊技制御装置100により実行される、ハズレの変動パターン選択処理の内容について図10を参照して説明する。
図10(a)において遊技制御装置100は、S1001で取得した変動表示2進行情報に基づき、S1002において変動表示ゲーム2は大アタリを導出することとなっている状態又は大アタリ中の状態であるか(上記の説明における事象[B]or[C]の組合せに相当)否かを判定する。S1002での判定が肯定されるとS1004に分岐して変動表示パターン選択テーブル2を選択する一方、否定されるとS1003に進み、変動表示パターン選択テーブル1を選択する。変動表示パターン選択テーブル2は、変動表示パターン選択テーブル1のものに比して変動表示時間が短い変動表示パターンで構成される。
遊技制御装置100は、S1005で始動記憶情報内の変動表示演出決定用乱数カウンタ値を取得し、この乱数カウンタ値に基づき、S1006で変動表示パターンを選択してリターンする。
図10(b)はS1003で選択される変動表示パターン選択テーブル1の、図10(c)はS1004で選択される変動表示選択パターンテーブル2の構成を概念的に示す。これらのテーブルは、図5(b)に示されるコマンドのゲーム指定部、モード指定部、アクション指定部に格納すべきコマンドコードを選択するためのものであり、S1005で取得した乱数カウンタ値に対応するコマンドコードが選び出される。例えば、S1003で変動表示パターン選択テーブル1が選択され、S1005で乱数カウンタ値として253が取得されると、対応するコマンドコードとしてGAME=1、MODE=1、ACTION=63が選択される。これらのコマンドコードが組み合わされたコマンドが図4のS423で表示制御装置150に送信されるのに応じ、80秒間にわたる変動表示ゲーム1が図3の特図1表示領域83で実行される。一方、S1004で変動表示パターン選択テーブル2が選択され、S1005で乱数カウンタ値として上記の例と同じく253が取得された場合、対応するコマンドコードとしてGAME=1、MODE=1、ACTION=1が選択される。これらのコマンドコードが組み合わされたコマンドが表示制御装置150に送信されるのに応じ、4秒間にわたる変動表示ゲーム1が実行される。
上記のようにして実行される変動表示ゲームの時間(変動表示時間)は、選択されるアクションのコマンドコードに対応して予め決まっており、この変動表示時間は各コマンドコードに対応して遊技制御装置100、表示制御装置150内部に記憶されている。従って、遊技制御装置100から表示制御装置150に送信したコマンドに対応して行われる変動表示ゲームの変動表示時間を遊技制御装置100、表示制御装置150は予め知ることができる。また、この変動表示時間と、変動表示開始後の経過時間とから、変動表示ゲームが開始してから所定時間経過後の残りの変動表示時間も知ることができる。なお、変動表示時間に関する情報を各コマンドコードに対応して記憶するのに代えて、遊技制御装置100から表示制御装置150に送信されるコマンドコード中に変動表示時間を格納することも可能である。
以上に説明した処理内容をまとめると、一方でハズレの変動表示ゲームを進行させる前に、他方の変動表示ゲームの進行状況を確認する。そして、他方の変動表示ゲームが大アタリを導出することとなっている状態又は大アタリ中の状態であるかを判定し、この判定が肯定される場合には上述のように変動表示時間短縮用の変動表示パターン選択テーブル2の中からコマンドコードを選択し、結果として変動表示時間を短縮させる。このようにして、一方の変動表示ゲームが遊技者にとって有利な状態で進行していて、他方で進行する変動表示ゲームがハズレの場合、他方で進行する変動表示ゲームの変動時間を短縮することによって始動記憶を消化してゆく。このようにして始動記憶が比較的短時間のうちに消化されるので、遊技者は遊技進行途中で遊技球の打ち出しを一時停止することがなくなり、遊技機の稼働効率が向上する。
以上のようにして、遊技制御装置100は、複数の変動表示ゲームで共通して用いられる始動口である特図始動口16への入賞記憶をそれぞれの変動表示ゲームの始動記憶として振り分け、複数の変動表示ゲームの進行を決定し、一方の変動表示ゲームと他方の変動表示ゲームの進行を決定する際に、互いに相手側の変動表示ゲームの進行状態に対応して手前側の変動表示ゲームの進行を決定し、コマンドを表示制御装置150に送信する。
− 表示制御装置の動作 −
図11から図13を参照して表示制御装置150の側で行われる表示制御手順を説明する。図11および図12に示すフローチャートは、表示制御装置150内に組み込まれるCPU151により実行される表示制御手順を示しており、図11はメインの表示制御処理手順を、図12(a)、(b)、(c)はメインの表示制御手順を実行する中で割り込み信号が発生するのに伴い、呼び出されて実行される各種の割り込み処理を示している。また、図13は、遊技制御装置100から発せられるコマンドに対応して表示制御装置150内で表示画像データが生成されて画像表示装置80に画像が表示されるまでのデータフローを概念的に示している。図13では、データを出力したり処理したりする要素を長方形で囲って示し、これらの要素間で授受されるデータを楕円で囲って示している。
CPU151は、S1101において受信データの解析を行う。すなわち、図13に示されるように、遊技制御装置100から第一表示指令信号としての変動表示1コマンド、第二表示指令信号としての変動表示2コマンド(これらのコマンドの内容については図5(b)を参照されたい)を受信し、表示シーケンスを展開する処理を行う。この処理は、受信したコマンドに基づいて変動表示1および変動表示2の双方に関して適宜行われる。S1101の手順中には、後述する通信割り込み処理で保存された受信データをもとに抽選を行い、シーケンス制御データに展開する処理も含まれる。コマンドは先述したとおり、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2それぞれのために独立して出力されるので、CPU151は各変動表示ゲーム用のコマンドごとに上記の表示シーケンスを展開する処理を行う。このようにして、図13にける変動表示1シーケンス、変動表示2シーケンスが生成される。
なお、表示シーケンスとは、表示内容をどのように制御するかを、変動表示時間のタイムテーブルに従って定義する表示制御データである。
S1102では、S1101において変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2用のコマンドが解析され、生成された変動表示1シーケンス、変動表示2シーケンスに基づき、報知図柄の表示シーケンス生成処理を行う。ところで、遊技制御装置100から表示制御装置150に発せられる変動表示のコマンドは、上述のとおり変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2に関するもののみであり、報知図柄表示領域85(図3)に表示される内容に関して遊技制御装置100はその制御を行わず、表示制御装置150の側で制御する。CPU151は、S1101で解析し、展開した変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2のシーケンスに基づいて報知図柄表示領域85で表示される報知図柄表示シーケンスを生成する。このS1102における処理の詳細については後で説明する。
続くS1103、S1104、S1105で、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2、報知図柄表示用のスプライト制御処理を行う。具体的には、各々の表示シーケンスに従って、表示すべきキャラクタデータ(例えば、一つのキャラクタデータは所定のピクセルサイズを有するスプライトデータとすることができる)やアトリビュートデータ(表示すべきキャラクタデータの拡大・縮小や移動方向・移動速度、複数のキャラクタが重複して表示される場合にどちらを手前側に表示するか、透明度等を指定するデータ)を決定する。
CPU151はGDP156に対し、S1106でデータ転送を、S1107でアトリビュートデータ転送を行う。このS1106、S1107の処理が図13において表示画像制御データ生成部として示されており、この表示画像制御データ生成部からGDP156に表示画像制御データがキャラクタデータとともに出力される様子が示されている。これらのデータを受け、GDP156はVRAM157に画像データを展開する。
S1108では垂直同期フラグが立つ(画像表示装置80の側から垂直同期信号が発せられる)まで待機し、垂直同期フラグが立った(垂直同期フラグ:ON)ことを検出するとS1109に進み、GDP156に対して描画コマンドを発する。このコマンドを受け、GDP156は、VRAM157に記憶されている表示画像データを表示装置80に出力する。
CPU151は、S1110で描画終了フラグをクリアし、S1111で垂直同期フラグをクリアして再度S1101の処理に戻る。
図12(a)は、GDP156が画像表示装置80への描画を終了した時点で描画終了の割り込み信号を発するのに応じてCPU151で行われる割り込み処理であり、この割り込みが発生するとS1201で描画終了フラグをセットしてリターンする。
図12(b)は、画像表示装置80から垂直同期信号が発せられて垂直同期割り込みが発生するのに応じてCPU151で行われる割り込み処理である。この割り込みが発生すると、S1211で垂直同期フラグをセットし、S1221で描画終了フラグの状態に基づいてGDP156による画像表示装置80への描画が終了したことをチェックし、リターンする。
上述の図12(b)におけるS1211の処理で垂直同期フラグがセットされると、図11におけるS1108の判定が肯定され、S1109でGDP156に対して描画コマンドが発せられる。すなわち、CPU151は、画像表示装置80から垂直同期信号が発せられるのに応じてGDP156に対して描画命令を発し、GDP156から画像表示装置80に画像信号が出力される。この間、CPU151は次の画像を表示するためにS1101〜S1107の処理を行う。そしてS1108で垂直同期フラグがセットされていることを確認するとS1109でGDP156に対して描画コマンドを発する、ということを繰り返し行うことにより、画像表示装置80には変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2、特図1始動記憶、特図2始動記憶およびこれらの始動記憶の和である合成始動記憶などとともに、変動表示ゲーム1および変動表示ゲーム2の進行状態に応じて表示制御装置150の側でその表示内容が制御された報知図柄(識別情報)も表示される。遊技制御装置100の側は、変動表示ゲーム1および変動表示ゲーム2の進行のみを決定すればよく、報知図柄については表示制御装置150の側でその表示内容が決定されるため、遊技制御装置100の処理負荷を効果的に減ずることが可能となる。加えて、表示制御装置150の側の構成やCPU151のプログラムを変更するだけで、別の形態の遊技機を形成することも可能となり、複数種類の遊技機間で構成要素の共通化を図ることができる。
図12(c)は、遊技制御装置100から変動表示コマンドが発せられるのに応じてCPU151で行われる割り込み処理である。遊技制御装置100から発信される変動表示1コマンドまたは変動表示2コマンドをS1221で受信する。そして、S1221で受信したデータがノイズなどの混入したデータではなく、有効なデータであるか否かをS1222で判定する。S1222での判定により、受信したデータが有効なデータである場合にはS1223で保存してリターンする一方、無効なデータである場合にはこれを破棄してリターンする。
以上に説明した遊技機で表示内容が制御される様子について、図14から図19を参照して詳細に説明する。図14は、表示制御装置150のCPU151により図11のS1102で処理される内容の詳細を説明するフローチャートであり、図13の変動表示1コマンド又は変動表示2コマンドを遊技制御装置100から受信して生成された変動表示1シーケンス又は変動表示2シーケンスに基づき、報知図柄の表示シーケンスを生成する処理の内容を示している。
CPU151はS1401において、S1101で解析されて生成された変動表示ゲーム1あるいは変動表示ゲーム2の表示シーケンスに対応する変動表示時間値を取得する。この表示シーケンスは、これから新たに実行されるものであるので、本明細書中ではこの変動表示シーケンスに対応する変動表示時間値を「新規変動表示時間値」と称する。
S1402では、現状で実行されている報知図柄表示シーケンスの残りの変動表示時間を取得する。本明細書では、現状で実行されている報知図柄表示シーケンスの残りの変動表示時間を「残り変動表示時間値」と称する。なお、これら新規変動表示時間値、残り変動表示時間値を求める方法については先に説明したとおりである。
CPU151は、S1403において新規変動表示時間値と残り変動表示時間値とを比較する。そしてこの比較結果に基づき、S1404で、残り変動表示時間の方が長いと判定すると何もせずにリターンし、残り変動表示時間が新規変動表示時間と同じか、あるいは下回ると判定するとS1405に進む。
S1405では、実行中の報知図柄表示シーケンスが上書き更新可能な状態にあるか否かを判定し、肯定されるとS1406に進み、報知図柄表示シーケンスの上書き更新処理を行ってリターンする一方、S1405での判定が否定されるとS1407に分岐して報知図柄表示シーケンス延長更新処理を行ってリターンする。
ここで、報知図柄表示シーケンスの上書き更新および上書き更新の処理について説明する。遊技者は報知図柄の表示内容に注目しながら遊技を継続する。例えば、報知図柄の表示内容が、いわゆるリーチ状態の表示になっている場合、遊技者の期待感は高まり、報知図柄への注目度も増す。このような状態のときに、報知図柄の表示内容が突然別のものに切り替わってしまうと、遊技者は結果態様を知ることができないばかりか、遊技の興趣が低下してしまうことにもつながりかねない。そこで、報知図柄が遊技者にとって注目度が高いものであるときには、報知図柄表示シーケンスの上書き更新を禁止することが望ましい。具体的には、報知図柄表示シーケンス実行中に上書き更新禁止フラグをセットすることにより、報知図柄表示シーケンスの上書き更新を禁止することが可能となる。
また、報知図柄表示シーケンスの上書き更新と延長更新とを使い分けることにより、報知図柄表示領域85で変動表示される内容の整合性、一貫性を維持することが以下に説明するように可能となる。たとえば、報知図柄としてリーチ演出がなされているような場合には上記表示シーケンスの上書き更新は禁止して延長更新は可能とすることで、リーチ演出を延長させることができる。あるいは、通常の変動表示が報知図柄表示領域85で行われている場合には、遊技者の注目度もさほど高くないことが予想されるため、上書き更新を可能とすることにより、現状で行われている通常の変動表示を新たな変動表示時間に対応する演出表示に上書き更新することができる。さらに、リーチ変動表示が開始していても、左報知図柄表示領域85L、中報知図柄表示領域85C、右報知図柄表示領域85Rそれぞれで変動表示されている図柄の組み合わせがまだリーチ組み合わせとなっていない場合には上書き更新を許可し、リーチ組み合わせになった後は上書き更新を禁止することも可能である。そして、上書き更新された場合には元来予定していた結果態様の表示は行わず、延長更新された場合には元来予定していた結果態様の表示を行うようにすることもできる。延長更新の許可・禁止に際しては、延長更新禁止フラグを用いることが可能である。
なお、報知図柄の変動表示が上書き更新されたときに結果態様の表示を行わない場合であっても、図3に示す特図1記憶表示領域81あるいは特図2記憶表示領域82に加え、合成記憶表示領域86に表示される始動記憶数は減じられるので、遊技者は結果態様がハズレであったことを知ることができる。また、上記のように結果態様の表示を行わない場合に、ハズレの結果態様を報知する音を発するようにすれば、遊技者は容易に結果態様を知ることができる。
図14を参照して以上に説明した処理により、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2のうちのいずれかが実行されていれば、報知図柄が表示されるので、遊技者は少なくともいずれかの変動表示ゲームが進行していることを容易に理解することができる。また、変動表示ゲーム1あるいは変動表示ゲーム2と、それに伴う報知図柄が表示されているときに新たな変動表示ゲームが開始する場合、先行して進行している変動表示ゲームの進行状況に応じて報知図柄の上書き更新、延長更新を可能とすることにより、遊技者にとって違和感がなく、整合性のとれた報知図柄の延長表示を行うことが可能となる。
図15から図19は、CPU151により実行される上述した処理に基づいて変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2、報知図柄の表示状態が、遊技開始後の時間経過に伴って推移する様子を模式的に示している。
図15(a)は、当初変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2がともに客待ち状態にあり、時刻T1で始動記憶1が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示1コマンドが出力される(図13)のに応じて変動表示ゲーム1が始まり、時刻T2でこの変動表示ゲーム1が終了する様子を示している。図15(a)に示される例においては、時刻T1において残り変動表示時間はゼロである(もともと報知図柄の表示が行われていないので、残り変動表示時間はゼロとなっている)ので、S1404での判定は否定されてS1405に進む。報知図柄表示シーケンスの上書き更新禁止フラグもセットされていないので、S1405での判定は肯定されてS1406の処理が行われ、結果として特図1表示領域83に変動表示ゲーム1が変動表示され、報知図柄表示領域85には変動表示ゲーム1に対応する報知図柄、すなわち疑似識別情報が変動表示される。そして、時刻T2で変動表示ゲーム1および報知図柄の変動表示が停止する。
図15(b)は、時刻T1で始動記憶1が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示1コマンドが出力されたのに応じて変動表示ゲーム1が始まり、時刻T2で始動記憶2が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示2コマンドが出力されたのに応じて変動表示ゲーム2が始まる様子を示している。時刻T1においては図15(a)を参照して説明したのと同様の処理手順を経て特図1表示領域83に変動表示ゲーム1が変動表示され、報知図柄表示領域85には変動表示ゲーム1に対応する報知図柄、すなわち疑似識別情報が変動表示される。続く時刻T2で始動記憶2が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示2コマンドが出力されたのに応じて図14の処理が再度実行される。S1403で新規変動表示時間値(時刻T2からT4まで至る時間に相当する値)と残り変動表示時間値(時刻T2からT3まで至る時間に相当する値)とが比較され、S1404での判定は、新規変動表示時間の方が長いので否定され、S1405に進む。ここで、上書き更新禁止フラグはセットされていないものとして説明すると、S1405の判定は肯定されてS1406の処理が行われる。その結果、報知図柄の変動表示終了タイミングは時刻T3から時刻T4にまで延長される。このとき、時刻T3において終了する変動表示ゲーム1の結果態様が報知図柄表示領域85に表示される。そして、時刻T4において終了する変動表示ゲーム2の結果態様が報知図柄表示領域85に表示される。
図15(c)も、図15(b)と同様に、時刻T1で始動記憶1が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示1コマンドが出力されたのに応じて変動表示ゲーム1が始まり、時刻T2で始動記憶2が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示2コマンドが出力されたのに応じて変動表示ゲーム2が始まる様子を示している。図15(b)に対する図15(c)の相違点は、時刻T2から新規に始まる変動表示ゲーム2に関連する新規変動表示時間が時刻T2における残り変動表示時間よりも短い点である。この場合、時刻T2で行われる図14の処理において、S1404の判定が否定され、識別情報の変動表示時間を延長する処理は行われない。結果として、時刻T1からT4までの間実行される変動表示ゲーム1に対応する報知図柄が報知図柄表示領域85で変動表示される。この場合、時刻T3において終了する変動表示ゲーム2の結果態様は報知図柄表示領域85に表示されない。このとき、音、光、画像等を用いて結果態様の省略があったことを報知することが望ましい。例えば、装飾制御装置40に制御信号を発し、盤面のLED50やランプ60の発光パターンを変えたり、変動表示停止時に発せられる停止音を連続音にしたり、報知図柄表示領域85に表示される図柄の大きさ、色等を変化させたりすることが可能である。このようにすることにより、遊技者は始動入賞が知らないうちに消えてしまったような感覚を有するのを解消することができる。
図16(a)、図16(b)、図16(c)を参照して、報知図柄が変動表示される際に上書き更新禁止フラグの設定が変化した場合の変動表示ゲームの表示形態について説明する。
図16(a)は、当初変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2がともに客待ち状態にあり、時刻T1で始動記憶1が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示1コマンドが出力される(図13)のに応じて変動表示ゲーム1が始まり、時刻T3でこの変動表示ゲーム1が終了する様子を示している。図15(a)に示される例との相違点は、時刻T1から時刻T2まで上書き更新禁止フラグがリセットされて上書きが許可され、時刻T2から時刻T3まで上書き更新禁止フラグがセットされて上書きが不許可となっている点である。図16(a)に示す例は、例えばリーチ変動表示が行われる場合に相当する。時刻T1でリーチ変動表示が始まっているが、時刻T1からT2までの間は左報知図柄表示領域85L、中報知図柄表示領域85C、右報知図柄表示領域85Rそれぞれで変動表示されている図柄の組み合わせがまだリーチ組み合わせとなっておらず、上書き更新禁止フラグもセットされていない。そして、時刻T2でリーチ組み合わせとなったのに応じて上書き更新禁止フラグがセットされ、上書き更新は不許可となる。なお、このように上書き更新禁止フラグを用いるのに代えて、時系列に定義される報知図柄表示シーケンスデータ中に上書き更新許可・不許可を示すデータ含めておき、CPU151がこのシーケンスデータを参照して上書き更新許可・不許可を判定するものであってもよい。
図16(b)は、時刻T1で変動表示ゲーム1の進行が始まり、それに伴って変動表示ゲーム1に対応する報知図柄の表示が始まり、時刻T2で変動表示ゲーム2の進行が始まる際に上書き更新許可状態にある例を示す。時刻T1においては図15(a)を参照して説明したのと同様の処理手順を経て特図1表示領域83に変動表示ゲーム1が変動表示され、報知図柄表示領域85には変動表示ゲーム1に対応する報知図柄、すなわち疑似識別情報が変動表示される。続く時刻T2で始動記憶2が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示2コマンドが出力されたのに応じて図14の処理が再度実行される。S1403で新規変動表示時間値(時刻T2からT5まで至る時間に相当する値)と残り変動表示時間値(時刻T2からT4まで至る時間に相当する値)とが比較され、S1404での判定は、新規変動表示時間の方が長いので否定され、S1405に進む。時刻T2の時点で、上書き更新は許可状態にあり、S1405の判定は肯定されてS1406の処理が行われる。その結果、報知図柄の変動表示終了タイミングは時刻T4から時刻T5にまで延長されるとともに、報知図柄表示シーケンスデータは上書き更新される。この場合、時刻T4において終了する変動表示ゲーム1の結果態様が報知図柄表示領域85に表示される。
図16(c)は、時刻T1で変動表示ゲーム1の進行が始まり、それに伴って変動表示ゲーム1に対応する報知図柄の表示が始まり、時刻T3で変動表示ゲーム2の進行が始まる際に上書き更新不許可状態にある例を示す。時刻T1においては特図1表示領域83に変動表示ゲーム1が変動表示され、報知図柄表示領域85には変動表示ゲーム1に対応する報知図柄、すなわち疑似識別情報が変動表示される。続く時刻T2で上書き更新は許可状態から不許可状態に切り替わる。時刻T3で始動記憶2が振り分けられて遊技制御装置100から変動表示2コマンドが出力されたのに応じて図14の処理が再度実行される。S1403で新規変動表示時間値(時刻T3からT5まで至る時間に相当する値)と残り変動表示時間値(時刻T3からT4まで至る時間に相当する値)とが比較され、S1404での判定は、新規変動表示時間の方が長いので否定され、S1405に進む。時刻T3の時点で、上書き更新は不許可状態にあり、S1405の判定は否定されてS1407の処理が行われる。その結果、報知図柄の変動表示終了タイミングは時刻T4から時刻T5にまで延長される。変動表示時間が延長された報知図柄の時刻T4からT5に至る間の報知図柄表示シーケンスデータは、変動表示ゲーム2用の変動表示2シーケンスに基づいて生成される。時刻T4では、変動表示を終了する変動表示ゲーム1の結果態様が報知図柄表示領域85に表示され、続いて時刻T5で変動表示を終了する変動表示ゲーム2の結果態様が報知図柄表示領域85に表示される。
ところで、一つの報知図柄を用いて、時に並行して進行する変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2に対応する表示を行った場合、報知図柄の表示内容が、変動表示、結果態様の表示(図柄確定)と交互に目まぐるしく行われるようなことも考えられる。結果態様を遊技者に報知するためには、ある程度の間、結果態様を静止状態ないしは準静止状態に維持することが望ましい。そうでないと、結果態様を表示した筈が、遊技者にとってはそれが変動表示の一環で行われた表示としか認識できない可能性がある。そのような不具合を抑制する報知図柄の表示方法について図17から図19を参照して説明する。
図17(a)は、時刻T1で変動表示ゲーム1の進行が始まり、それに伴って変動表示ゲーム1に対応する報知図柄の表示が始まり、時刻T2で変動表示ゲーム2の進行が始まる際に報知図柄の変動表示時間が当初のT1〜T3からT1〜T4に延長される例を示している。そして、時刻T3で変動表示ゲーム1が終わるのに応じて結果態様を報知図柄表示領域85に表示した上で時刻T4まで変動表示ゲーム2に対応する報知図柄の表示を行うことが可能な例を示している。ここで、報知図柄表示領域85に変動表示ゲームの結果態様を静止状態ないしは準静止状態に維持し、表示した確定図柄を遊技者が確定図柄と認識するのに必要な時間を「図柄確定時間」と称する。また、報知図柄表示領域85に報知図柄を変動表示させる際、遊技者が違和感を感じることのない範囲で最も短い表示時間を「最低変動時間」と称する。図17(a)において、先に進行していた変動表示ゲーム1が時刻T3で終了し、その後に進行していた変動表示ゲーム2が時刻T4で終了している。すなわち、相次いで進行する複数の変動表示ゲームの変動が停止する時間間隔(これを「変動停止間隔」と称する)は、T4−T3で表される。この変動停止間隔が、上述した図柄確定時間と最低変動時間との和を上回る図17(a)の例では、先に進行していた変動表示ゲームの結果態様を表示する。このとき、変動表示シーケンス中に図柄確定のシーケンスが存在することをCPU151は認識し、時刻T4まで行われる報知図柄の変動表示を規定する報知図柄表示シーケンス中に時刻T3で結果態様を表示するシーケンスを上書きし、報知図柄表示シーケンスを更新する。
図17(b)は、上述した変動停止間隔が短いため、当該の変動停止間隔中に図柄確定時間と最低変動時間とを確保することができない例を示す。図17(b)において、時刻T1で変動表示ゲーム1の進行が始まり、それに伴って変動表示ゲーム1に対応する報知図柄の表示が始まり、時刻T2で変動表示ゲーム2の進行が始まる際に報知図柄の変動表示時間が当初のT1〜T3からT1〜T4に延長される点は図17(a)のものと同様である。しかし、変動停止間隔が図柄確定時間と最低変動時間との和よりも小さい(短い)ため、先に進行していた変動表示ゲーム1が時刻T3で終了したのに伴う結果態様の表示は省略される。
以上のようにして、変動停止間隔が長くて図柄確定時間と最低変動時間を確保できる場合には、延長された報知図柄の変動表示進行中に停止する変動表示ゲーム1または2に対応して報知図柄表示領域85に結果態様の表示を行う。逆に、変動停止間隔が短くて図柄停止時間と最低変動時間を確保できない場合には、延長された報知図柄の変動表示進行中に停止する変動表示ゲーム1または変動表示ゲーム2に対応する結果態様の表示を省くことで、報知図柄の変動表示を違和感なく行うことができ、また遊技者は変動表示ゲームの結果を確実に認識することが可能となる。
図17(a)、図17(b)に示す例では、変動停止間隔が短くて図柄確定時間と最低変動時間が確保できない場合に結果態様の表示を省いているが、すべての変動表示ゲームの停止に対応して結果態様を表示することを可能にする例を図18、図19を参照して説明する。
図18(a)は、図17(a)と同様、変動停止間隔(T3〜T4)が長くて図柄確定時間と最低変動時間とを確保可能なため、延長された報知図柄の変動表示進行中の時刻T3で停止する変動表示ゲーム1に対応して報知図柄表示領域85に結果態様の表示を行う例を示している。本例においても、時刻T4まで行われる報知図柄の変動表示を規定する報知図柄表示シーケンス中に時刻T3で結果態様を表示するシーケンスを上書きし、報知図柄表示シーケンスを更新する。
図18(b)は、変動停止間隔(T3〜T4)が短いため、当該の変動停止間隔中に図柄確定時間と最低変動時間とを確保することができない例を示す。この場合、時刻T3で変動表示を停止する変動表示ゲーム1に対応する結果態様の表示を報知図柄表示領域85に行った上で、報知図柄の表示停止タイミングをT4からT5へと延長して図柄確定時間と最低変動時間とを確保する。
図19では、先行する変動表示ゲーム1が時刻T1から始まり、それに続く変動表示ゲーム2が時刻T2から始まり、先行する変動表示ゲーム1が終了する時刻T4よりも前の時刻T3で変動表示ゲーム2が終了する例が示されている。本例ではT3〜T4が変動停止間隔となる。この変動停止間隔(T3〜T4)が図18(b)に示す例と同様に短いため、当該の変動停止間隔中に図柄確定時間と最低変動時間とを確保することができない。この場合、時刻T3で変動表示を停止する変動表示ゲーム2に対応する結果態様の表示を報知図柄表示領域85に行った上で、報知図柄の表示停止タイミングをT4からT5へと延長して図柄確定時間と最低変動時間とを確保する。
図18(b)、図19を参照して説明したように、変動停止間隔が短くて図柄確定時間と最低変動時間とを確保することができない場合、先に終了する変動表示ゲームの結果態様を報知図柄表示領域85に表示した後、遅延時間を設けることにより、次の結果態様の表示開始までの間に最低変動時間を確保する。このようにして、すべての変動表示ゲームに対応して結果態様を表示することが可能となり、また、十分な図柄確定時間を確保することができるので、遊技者は報知図柄の表示状態だけに注意するだけで複数の変動表示ゲームの進行状態を把握することが可能となる。
なお、図18および図19を参照しての上記説明では、変動停止間隔が短くて図柄確定時間と最低変動時間とを確保することができない場合、先に終了する変動表示ゲームの結果態様を表示した後、遅延時間を設ける例について説明したが、これに代えて、先に終了する変動表示ゲームの変動表示時間を短縮することにより変動停止間隔を確保することも可能である。
以上では、同時進行可能な形で、互いに独立して複数実行される変動表示ゲームのそれぞれに対応するようにして一つの報知図柄が表示される例について説明した。そして、各変動表示ゲームの進行に対応して表示される報知図柄の変動表示時間を、これら複数の変動表示ゲームの開始タイミングに応じて調節し、遊技者にとっては複数の変動表示ゲームが混合されて一つの変動表示ゲームにまとめあげたかのように感じられるようにした遊技機の例について説明した。これに代えて、以下に説明するように、同時進行可能な形で複数実行される変動表示ゲームのうち、いずれかの変動表示ゲームの進行状態を択一的に報知することも可能である。
図20は、表示制御装置150のCPU151により図11のS1102で処理される内容の詳細で、図14に示したものとは別の処理例を説明するフローチャートであり、遊技制御装置100から受信した変動表示1コマンドおよび変動表示2コマンドに基づき、報知図柄の表示シーケンスを生成する処理の内容を示している。
S2001においてCPU151は、報知図柄表示領域85への報知図柄の表示を変動表示ゲーム1に対応するものにするか、変動表示ゲーム2に対応するものにするか、それとも前状態維持、すなわち前に決められた側の変動表示ゲームに基づいて報知図柄を表示する状態を維持するかを判定する。S2001で変動表示ゲーム1に対応する報知図柄の表示を行うものと判定されるとS2002に進み、変動表示ゲーム1の表示シーケンスに基づく報知図柄表示シーケンスを生成してリターンする。あるいは、S2001で変動表示ゲーム2に対応する報知図柄の表示を行うものと判定されるとS2003に進み、変動表示ゲーム2の表示シーケンスに基づく報知図柄表示シーケンスを生成してリターンする。また、S2001で前状態維持と判定されるとS2004に進み、S2001実行以前に決定していた側の変動表示ゲームの表示シーケンスに基づいて報知図柄表示シーケンスを生成してリターンする。
上記のS2001においては、図21にその概念図が示されるような報知図柄判定テーブルをROM152内に格納し、このテーブルを参照して上述した判定を行うことができる。図21に示される報知図柄判定テーブルは、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2の状態(各変動表示ゲームの状態については図7に示されている)の組み合わせに応じ、どちらの変動表示ゲームに対応する報知図柄を表示するか判定するためのものである。この判定テーブルを参照することにより、例えば、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2が共に客待ち状態にある場合、変動表示ゲーム1の客待ち状態に対応する報知図柄を表示するものと判定される。また、変動表示ゲーム1の状態が変動状態で、変動表示ゲーム2の状態が大アタリ状態となった場合、変動表示ゲーム2に基づく報知図柄を表示するものと判定される。変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2が共に変動状態にある場合、前の状態が維持される。これはS2001からS2004への処理の分岐に相当する。
図21に示されるテーブルに基づき、どちらの変動表示ゲームに対応して報知図柄の表示を行うかが決定されると、報知図柄は以下のように表示される。すなわち、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2がともに変動状態にある場合、上述のように前の状態が維持されて、始動記憶が継続する限りどちらか一方の変動表示ゲームに対応する報知図柄の表示のみが継続して行われる。このとき、他方の変動表示ゲームで導出されることとなる結果態様が大アタリとなる場合には報知図柄を他方の変動表示ゲームに対応するものに切り替える。したがって、遊技者が気づかぬうちに大アタリを導出することとなる変動表示が進行してしまい、突然大アタリ状態となって遊技者が混乱するようなこともない。なお、図21に示されるテーブル中の、「 − 」はあり得ない事象の組み合わせであることを示している。また、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2がともに客待ち状態のときにはテーブルで定義せずにCPU151が報知図柄の表示内容を適宜決めるようにしてもよい。
なお、以上では図20、図21を参照し、テーブルを用いてどちらの変動表示ゲームに対応する報知図柄を表示するか決定する例について説明したが、遊技制御装置100から表示制御装置150に出力される変動表示コマンドの情報中に優先順位を設定する情報を含めておき、CPU151がこの優先順位を設定する情報の比較結果に基づいて、どちらの変動表示ゲームに対応する報知図柄の表示を行うか決定してもよい。また、一方の変動表示ゲームが確率変動中、あるいは変動時間短縮中などの、遊技者にとって期待のもてる遊技が進行している場合には、そちらの変動表示に対応する報知図柄を優先的に表示するようにしてもよい。
以上では、複数の変動表示ゲームが複数の変動表示領域で並行して進行可能な形で行われ、これら複数の変動表示ゲームの進行を制御する複数の表示指令信号に基づいて、あるいは複数の表示指令信号に基づいて生成される複数の変動表示シーケンスに基づいて報知図柄の表示シーケンスを決定する例について説明した。このとき、遊技制御手段が複数の変動表示ゲームの進行を独立して制御し、互いに相手側の変動表示ゲームの進行状況を参酌しながらそれぞれの変動表示ゲームの進行を決定することにより、例えば一方の側で大アタリを導出する変動表示が行われているようなときに他方の側でハズレの結果態様を導出する変動表示が行われるような場合、この他方の側で進行する変動表示ゲームの変動表示時間を短縮する例について説明した。これに対し、変動表示ゲームの進行を遊技者が強制的に停止できるストップスイッチをさらに設けることも可能である。このストップスイッチとして、タッチセンサ、メカニカルスイッチ、フォトリフレクタ等のスイッチやセンサ類を遊技盤上の所望の位置に設けることができる。ストップスイッチは、一つだけ設けられていてもよいし、複数の変動表示ゲームに対応して複数設けられていても良い。ストップスイッチは遊技制御装置100に接続され、遊技制御装置100は変動表示ゲームの進行中に、遊技者によってストップスイッチが操作されたことを検出することができる。先に説明した例では、遊技制御装置100が変動表示ゲーム開始のコマンドを表示制御装置150に送信して変動表示ゲームを開始し、予め定められた変動表示時間が経過したところで変動表示ゲームを停止する停止コマンドを表示制御装置150に送信して変動表示ゲームを終了するものであった。これに対し、ストップスイッチを装備する遊技機では、変動表示ゲームが進行中で、ストップスイッチ受付条件が成立しているときに遊技者によるストップスイッチの操作を検出すると、進行中の変動表示ゲームを速やかに停止する。ストップスイッチ受付条件としては、変動表示ゲームが開始してからの経過時間、当該変動表示ゲームで導出されることとなる結果態様などに基づいて設定することが可能である。
本発明において、上記ストップスイッチをさらに有するものでは、進行中の一方の変動表示ゲームが導出することとなる結果態様が特定の結果態様(アタリ)である場合にはこの一方の変動表示ゲームに対してストップスイッチを受け付けないようにすることができる。その一方、上記変動表示ゲームと共に進行している別の変動表示ゲームで導出されることとなる結果態様が特定の結果態様ではない場合、この別の変動表示ゲームに対してストップスイッチを受け付け可能とすることができる。このようにすることにより、一方の変動表示ゲームがいわゆる大アタリ導出前であっても、他方の変動表示ゲームで始動記憶を消化し、より短時間のうちにより多くの変動機会を遊技者に与えることが可能となる。
以上では、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2、報知図柄が一つの画像表示装置上に表示される例について説明したが、遊技機が複数の画像表示装置を有していて、変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2、報知図柄の表示がそれぞれの画像表示装置に表示されるようにしてもよい。このとき、例えば変動表示ゲーム1、変動表示ゲーム2についてはいわゆる7セグメントLEDや多色LEDなどの表示形態変更可能なLEDを用いて表示し、報知図柄については液晶表示装置やCRT、有機EL等の表示装置を用いることもできる。
さらに、上述した実施の形態の説明において、進行する複数の変動表示ゲームすべてが時短大アタリ、確変大アタリ等の機能を有していてもよいし、特定の変動表示ゲームに対してのみこれらの機能を付与するものであってもよい。
以上の発明の実施の形態と請求項との対応において、特図1表示領域83が第一変動表示領域を、特図2表示領域84が第二変動表示領域を、報知図柄表示領域85が第三変動表示領域を、遊技制御装置100が遊技制御手段を、表示制御装置150が表示制御手段を、遊技用マイクロコンピュータ101が第一変動表示ゲーム進行制御手段および第二変動表示ゲーム進行制御手段を、CPU151が第一変動表示ゲーム表示制御手段、第二変動表示ゲーム表示制御手段および第三変動表示ゲーム表示制御手段を、画像表示装置80が表示装置を、それぞれ構成する。
今回開示した実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。