JP2005181664A - 光ファイバ及びこの光ファイバを用いたリボンスロット型光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本願発明の光ファイバは、波長1310nmにおけるモードフィールド径が8.6μm以上であり、波長1280nm〜1625nmにおける伝送損失が0.4dB/km以下であり、直径30mmの曲げによる損失増加が波長1625nmにおいて0.1dB/ターン以下であり、波長1625nmにおける実効屈折率が1.44460以上であり、水素エージング後の波長1383nmにおける伝送損失が0.31dB/km以下であり、かつ偏波モード分散が0.10ps・km−1/2以下であることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
この光ファイバは、OH吸収による1380nm付近の伝送損失を抑制し、1280nmから1600nm付近の広い波長帯域にわたって0.4dB/km以下の低伝送損失を実現している。
光ファイバ内に水素が拡散した場合、OH吸収ピークの増加により波長1380nm付近の伝送損失が増加する現象が知られているが、この光ファイバは、水素の拡散による伝送損失の増加がほとんどない。したがって、1280nmから1600nm付近の広い波長帯域で、長期間安定した光通信が可能である。
この特許文献1に基づいて製造された光ファイバ「OFS Fitel社のAllWave(登録商標)」は1280nmから1625nmにわたる波長帯域で使用可能であるとされている。
このメトロ系光ネットワークに用いる光ファイバケーブルは近年多心化が進んでおり、光ファイバケーブルの構造としては、図4に示すようなものが提案されている。
この光ファイバテープ心線20は、光ファイバ21の外周に、着色層22を施し、これを複数本平面状に並行に配列し、紫外線硬化型樹脂で一括被覆したものであり、1テープの光ファイバの心数としては4心、8心、あるいはそれ以上のものも使用されている。
しかしながら、このリボンスロット型光ケーブルは、配列の乱れは生じにくい構造であるが、曲げ等の外力を受けたときに、積層された光ファイバテープ心線20の両端部、特に、4隅の部分が、スロット溝12の内壁と接触するため、その部分に応力が集中し、側圧によって伝送損失が増加しやすいという問題がある。
前述した特許文献1の光ファイバは、1380nm付近の伝送損失特性は改善されているが、曲げ損失が比較的大きいため、光ファイバの接続部を収納する接続箱の中などに光ファイバの余長を収納した場合、曲げ損失が過大となることがあった。曲げ損失の増加は、特に使用波長帯域中の最も長波長であるL−band(波長1565nm〜1625nm)において顕著であった。
また、前述した特許文献1の光ファイバをリボンスロット型光ファイバケーブルに用いた場合は、ケーブル化後にL−bandでの伝送損失が増加し、敷設後も伝送損失が安定しないという問題があった。
しかしながら、モードフィールド径が小さいと光ファイバ中での非線形現象が大きくなり、伝送特性が悪化する傾向にある。また、モードフィールド径が小さすぎると、1.3μm帯(1280nm〜1330nm)にゼロ分散波長を持つ従来のシングルモード光ファイバ(以降、シングルモード光ファイバと呼ぶ。)と接続する場合、モードフィールド径の差によって接続損失が大きくなり、従来の通信システムをそのまま用いることができないという問題があった。
従来のシングルモード光ファイバの第1コアのクラッドに対する最大比屈折率差Δ1は0.3%〜0.4%であり、本発明の光ファイバの値0.4%〜0.5%と比較すると小さい値となっている。本願請求項1記載の光ファイバのように、第1コアのクラッドに対する最大比屈折率差Δ1を大きくすることにより、実効屈折率を大きくすることができ、曲げ損失を小さくすることができる。
また、従来のシングルモード光ファイバとモードフィールド径が同じであるため、従来のシングルモード光ファイバと接続しても、接続損失を小さく抑えることができ、従来の通信システムをそのまま使用することができる。
さらに、波長1280nm〜1625nmにおける伝送損失が0.4dB/km以下であり、水素エージング後の波長1383nmにおける伝送損失が0.31dB/km以下であることから、水素の拡散による伝送損失の増加もほとんどないため、1380nm付近を含む1280nm〜1625nmの広い波長帯域において長期間安定した低伝送損失を保つことができる。
また、低偏波モード分散を有しているため、高速・大容量の光伝送が可能である。
このようにしてなる本願請求項2に記載の光ファイバによれば、従来のシングルモード光ファイバのモードフィールド径を保ちつつ、さらに曲げ損失の小さい光ファイバを提供することができる。
このようにしてなる本願請求項3に記載の光ファイバは、従来のシングルモード光ファイバと分散特性がほぼ同じであるため、従来の通信システムをそのまま使用することができる。
このようにしてなる本願請求項4に記載の光ファイバは、1280nmより長い波長においてシングルモード動作が保証され、1280nmより長波長の広い波長帯域で使用可能である。
前述したように、本発明の光ファイバは従来のシングルモード光ファイバと比較すると第1コアのクラッドに対する最大比屈折率差Δ1が大きくなっている。最大比屈折率差Δ1を大きくしたことにより、曲げ損失は小さくできるが、伝送損失の悪化やゼロ分散波長が長波長側にシフトしてしまう傾向がある。
このようにしてなる本願請求項5に記載の光ファイバによれば、伝送損失の悪化やゼロ分散波長のシフトを抑制することができ、従来のシングルモード光ファイバと同じ特性を容易に得ることができる。
このようにしてなる本願請求項6に記載のリボンスロット型光ファイバケーブルによれば、ケーブル化時に発生する側圧による曲げ損失を抑え、敷設後もL−bandを含む広い波長帯域において長期間安定した光通信が可能なリボンスロット型光ファイバケーブルを提供することができる。
本願発明に係る光ファイバは、波長1625nmにおける実効屈折率を1.44460以上とすることにより、波長1625nmにおける直径30mmに曲げたときの損失増加を0.1dB/ターン以下とすることを特徴の一つとしている。
光ファイバにおいては、通常、第1コアの最大屈折率n1とクラッド層の屈折率nCの間の値になる。
屈折率分布が円筒対称形で半径方向に任意の値を持つ光ファイバにおける電界分布を表す基礎方程式は、下記式1に示すとおりである。
この式の導出については大越等による「光ファイバ、オーム社、4、5、7章、1983年」に詳細な説明がある。
一例としてこの方法を用いることにより、任意の屈折率分布n(r)を持つ光ファイバの実効屈折率を求めることができる。
ここで、屈折率分布n(r)は光ファイバを線引きする前のプリフォームをプリフォームアナライザ等で測定して求めることができる。また光ファイバを直接RNF法などで観察する方法もある。
実効屈折率は光ファイバの屈折率分布n(r)の形状によって変化するが、プリフォーム製造時にコア部分にドープするゲルマニウムの量を増やし、単に第1コアの最大屈折率n1を大きくすることにより、大きくすることが可能である。
つまり、使用波長帯域中の最も長波長である1625nmにおいて、曲げ損失が最も大きくなる。したがって、波長1625nmにおける曲げ損失を抑制することが重要である。
直径60mm未満の径に曲げても曲げ損失が過大とならないようにするためには、波長1625nmにおいて直径30mmに曲げによる損失増加を0.1dB/ターン以下、より好ましくは0.03dB/ターン以下とする必要がある。
従来のシングルモード光ファイバにおいて、第1コア1のクラッド3に対する最大比屈折率差Δ1は0.3%〜0.4%であり、本発明の光ファイバの値0.4%〜0.5%と比較すると小さい値となっている。このように、第1コアのクラッドに対する最大比屈折率差Δ1を大きくしたことにより、実効屈折率を大きくすることができ、曲げ損失を小さくすることができる。
前述したように、本実施形態の光ファイバは、従来のシングルモード光ファイバと比較して第1コアのクラッドに対する最大比屈折率差Δ1を大きくしている。これにより、曲げ損失は小さくなるが、伝送損失の悪化やゼロ分散波長が長波長側にシフトしてしまう傾向がある。
このように第2コア2の最小屈折率n2を−0.1%〜0%とすることにより、伝送損失の悪化やゼロ分散波長のシフトを抑制することができ、従来のシングルモード光ファイバと同じ特性を容易に得ることができる。
Δ1={(n1 2−nc 2)/2n1 2}・100 (2)
Δ2={(n2 2−nc 2)/2n2 2}・100 (3)
ここで前記各式中、n1は第1コア1の最大屈折率、n2は第2コア2の最小屈折率、そしてncはクラッド3の屈折率である。
このように、従来のシングルモード光ファイバとモードフィールド径を同じとすることにより、従来のシングルモード光ファイバと接続しても、接続損失を小さく抑えることができ、従来の通信システムをそのまま使用することが可能である。
光ファイバ内に水素が拡散した場合、OH基による吸収ピークの増加により、波長1380nm付近において、伝送損失が増加する現象が知られている。
水素の拡散によるOH吸収損失の増加は、光ファイバ内に構造欠陥が多量に存在している場合に顕著である。
使用波長帯域を1280nm〜1625nmに広げるためには、この伝送損失の増加をできるだけ小さくしなければならない。
なお、本明細書においては水素エージングとは、IEC60793−2−50 C.3.1に従うものとし、下記に示す条件とする。
光ファイバを、室温下において水素濃度が0.01気圧の雰囲気中にて水素に曝露し、波長1240nmにおける伝送損失が水素曝露前の伝送損失(初期値)に比べて0.03dB/km以上増加するまでその状態を維持する。その後、大気中に取出して14日間以上放置し、伝送損失の測定を行う。
WDM伝送において、各波長の伝送速度を高速化するためには光ファイバの偏波モード分散を小さく抑える必要がある。たとえば各波長において40Gbit/sの速度で400kmの伝送を行うためには、伝送路全体の偏波モード分散を0.10ps/km−1/2以下とする必要がある。
本実施形態に係る光ファイバは、偏波モード分散が0.10ps・km−1/2以下、さらに好ましくは0.08ps・km−1/2以下であり、例えば40Gb/sのような高速な伝送にも適した光ファイバである。
まず、多くのサンプル光ファイバの偏波モード分散をLMC条件で測定する。次に、得られた測定値の分布の中から重なり無く任意の20個の測定値を選択し、それらの二乗和の平方根を取る作業を多数回、一般には10万回以上繰り返し、得られた値のうち大きいほうから0.01%に該当する値をLDVとする。これを対象光ファイバの偏波モード分散を表す値とする。
本実施形態においては、偏波モード分散として上記LDVを採用している。
本実施形態に係る光ファイバは、ケーブルカットオフ波長λCCが1280nm以下であるため、1280nmより長波長の広い波長帯域においてシングルモード動作が保障される。
ここでケーブルカットオフ波長λCCとは、ITU−T(国際電気通信連合)G.650で定義するケーブルカットオフ波長λCCをいう。その他、本明細書で特に定義しない用語についてはITU−T G.650における定義及び測定方法に従うものとする。
表1において、2aは第1コアの直径、2bは第2コアの直径を示している。
各実施例および比較例の光ファイバは、図3に示した屈折率プロファイルを有する。ただし、Δ2が0.00である実施例4および比較例6は、第2コアを有さず、コアが第1コアのみで構成されていることを意味している。
また、第1コアの直径2aは、Δ1の1/2の屈折率となる位置を結ぶ線の長さとし、第2コア2の直径2bは、第2コア2とクラッド4との境界領域において、Δ2の1/2の屈折率となる位置を結ぶ線の長さとする。
また、モードフィールド径、分散特性は、従来のシングルモード光ファイバとほぼ同じ値になっているため、従来のシングルモード光ファイバとの接続損失も小さく、従来のシングルモード光ファイバに用いられていた通信システムをそのまま用いることができる。
さらに、実施例1〜4のいずれの光ファイバも、ケーブルカットオフ波長λCCが1280nm以下であり、1280nmより長波長の広い波長帯域においてシングルモード動作が保証される。
図1に示すように、いずれの光ファイバにおいても曲げ損失は波長が長くなるに従い指数関数的に増加している。そして、実施例1、実施例2の光ファイバは最も曲げ損失が大きくなる1625nmにおいて直径30mmの曲げによる損失増加が0.1dB/ターン以下(実施例2においては0.03dB/ターン以下)を満たしており、L−band(1565nm〜1625nm)を含む広い波長帯域において曲げ損失が小さい値となっている。
これに対し、比較例6の光ファイバは、L−bandにおける損失増加が大きく、L−bandでの使用は難しいことがわかる。
比較例6の光ファイバは、L−bandにおける曲げ損失が大きいのに対し、実施例1の光ファイバではL−bandを含む広い波長帯域において曲げ損失が小さいことがわかる。
本願発明の光ファイバは、60mm未満の径に曲げて使用するような用途においても、L−bandにおける曲げによる損失増加が無く、好適に用いることができる。
さらに実施例1〜4の光ファイバを前述したIEC60793−2−50 C.3.1に規定される条件にて水素に曝露した後、波長1383nmでの伝送損失を測定したところ、全て0.31dB/km以下であった。すなわち、水素の拡散により伝送損失がほとんど増加せず、1380nm付近を含む1280nm〜1625nmの広い波長帯域において長期間安定した低伝送損失を保つことができる。
このように本願発明の光ファイバを用いてリボンスロット型光ファイバケーブルを製造することにより、ケーブル化時に発生する側圧による曲げ損失を抑え、敷設後もL−bandを含む広い使用波長帯域において長期間安定した光通信が可能なリボンスロット型光ファイバケーブルとなる。
2 第2コア
3 クラッド
10 光ファイバケーブル
11 スロットロッド
12 スロット溝
13 テンションメンバー
14 テープ巻回層
15 シース
20 光ファイバテープ心線
21 光ファイバ
22 着色層
Claims (6)
- 最大屈折率n1を有する第1コアと、該第1コアを取り囲み、前記最大屈折率n1より小さい屈折率nCを有するクラッドからなるシングルモード光ファイバであって、前記第1コアのクラッドに対する最大比屈折率差Δ1が0.4%〜0.5%であり、波長1310nmにおけるモードフィールド径が8.6μm以上であり、波長1280nm〜1625nmにおける伝送損失が0.4dB/km以下であり、直径30mmの曲げによる損失増加が波長1625nmにおいて0.1dB/ターン以下であり、波長1625nmにおける実効屈折率が1.44460以上であり、水素エージング後の波長1383nmにおける伝送損失が0.31dB/km以下であり、かつ偏波モード分散が0.10ps・km−1/2以下であることを特徴とする光ファイバ。
- 直径30mmの曲げによる損失増加が波長1625nmにおいて0.03dB/ターン以下であり、波長1625nmにおける実効屈折率が1.44560以上であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
- 零分散波長が1300nm〜1324nmの範囲にあり、零分散波長における分散スロープが0.092ps/nm/km以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバ。
- ケーブルカットオフ波長が1280nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ファイバ。
- 前記第1コアの外周に最小屈折率n2を有する第2コアを有し、前記第2コアのクラッドに対する最小比屈折率差Δ2が−0.1%〜0%であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバ。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光ファイバを用いたことを特徴とするリボンスロット型光ファイバケーブル。
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KR20100093387A (ko) * | 2009-02-16 | 2010-08-25 | 엘에스전선 주식회사 | 광대역에서 단일 모드 전송이 가능한 광섬유, 이를 이용한 광전송선 및 광통신 시스템 |
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