JP2005181549A - 偏光板保護フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Masanori Yoshihara
眞紀 吉原
Kohei Arakawa
公平 荒川
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哲也 豊嶋
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Abstract

【課題】視認性や層間密着性を損なうことがない上、耐擦傷性及び防汚性などに優れた偏光板保護フィルム、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料からなる基材フィルムの少なくとも一面に、直接又はその他の層を介して反射防止層及び保護層が順に積層されてなる偏光板保護フィルムであって、該保護層がSP3成分30〜90%のダイヤモンドライクカーボンで構成され、かつΔYIが10以下である偏光板保護フィルム、及び各層を形成する成膜手段を有する複数の成膜室に、被成膜体を順次連続的に供給することにより、反射防止層及び保護層を形成し、前記偏光板保護フィルムを製造する方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板保護フィルム及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ディスプレイに組み込んだ際に視認性を損なうことがない上、耐擦傷性及び防汚性などに優れ、かつ層間密着性の良好な偏光板保護フィルム、及びこのものを効率よく、工業的に有利に製造する方法に関するものである。
近年、電子ディスプレイデバイスとして、液晶表示装置や有機EL素子などの平面表示装置が脚光を浴びている。液晶表示装置は、CRT(陰極線管)表示装置に比べて、小型でコンパクトであることから、該液晶表示装置を備えた様々な機器が普及してきている。例えばパーソナルコンピュータあるいはビデオカメラ等民生用機器を始めとして各種機器の小型化に対する市場ニーズは高く、具体的には、ラップトップ型コンピュータあるいは液晶モニタ付カメラと呼ばれる小型化された携帯可能な機器が広く普及してきた。これらの機器において、液晶表示装置を具備することは必須となっており、あわせてカラー表示化、高輝度化など高機能高性能化への要求は強い。この液晶表示装置は自己発光型でないため、バックライトやフロントライトなどの光源を必要とする。
この液晶表示装置は、入射した直線偏光を液晶層のもつ電気光学特性で変調し、出射側の偏光板で透過率の強弱や着色の信号として可視化する装置であって、偏光をその表示の原理に用いているため、偏光板は必須の部材である。この偏光板は自然光を直線偏光に変える素子であり、現在、液晶表示装置用の偏光板の多くは、ポリビニルアルコールフィルムからなる基材フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性材料を、染色・吸着させ、延伸配向させてなる偏光フィルムの両面あるいは片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護フィルムを貼り合わせたものが用いられている。そして、この保護フィルムとしては、通常トリアセチルセルロースフィルムが使用される。この液晶表示装置においては、前記偏光板は、液晶層の出射側以外に、通常入射側にも設けられている。
このような液晶表示装置などの表示装置においては、画面に外部から光が入射し、この光が反射して表示画像を見ずらくすることがあり、この問題を解決することが重要な課題となっている。
このような問題を解決するために、これまで種々の表示装置に対して、様々な反射防止処置や防眩処置がとられている。その一つとして反射防止フィルムを各種の表示装置に使用することが行われている。
また、前記液晶表示装置用の偏光板においては、映り込み防止のために、偏光板保護フィルム面に反射防止層を設ける加工処理を施すことが試みられている(例えば、特許文献1参照)。さらに、この偏光板保護フィルムは、視認側最表面に位置するため、耐擦傷性や防汚性などが要求される。
前記反射防止層の形成は、通常物理的気相蒸着(PVD)や化学的気相蒸着(CVD)などのドライ法や湿式法、あるいはそれらを組み合わせた方法により、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層することによって行われている。そして、該偏光板保護フィルムに、前記のような耐擦傷性や防汚性などを付与するために、該反射防止層上に通常保護層が設けられている。
防汚性を付与する目的で、フッ素系樹脂からなる保護層が設けられることがあるが、このものは耐擦傷性の機能は有していない。また、反射防止性能を損なうことなく、耐擦傷性を付与するには、保護層は薄くする必要があり、したがって、高硬度で透明性の高い材料が求められている。
一方、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCと略す。)は、ダイヤモンドに近い硬さをもち、摩擦係数も低いことから、摺動部材分野で実用化が進められている。また、このDLCは、ダイヤモンドに比べて低温で形成できることから、非耐熱性のプラスチックへの適用も可能である。
DLC膜を用いて耐久性を向上させる最も簡単な方法は、膜を厚くすることである。しかしながら、DLC膜は、通常の光学膜に比べて光吸収が大きいことから、膜厚の増加と共に、透過率が低下する。工具などに使用されているDLCとは異なり、ディスプレイ用途では、視認性の観点から、DLC膜の薄さが求められていた。
このような事情のもとで、DLC形成時にフッ素系ガスを導入し、フッ素添加DLCとすることによるDLCの薄膜化が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この技術は、毒性の強いフッ素系ガスを使用するため、安全性の面で生産現場に大きな負担をかけるのを免れないという問題を有している。また、フッ素添加DLC膜は、その撥水性から防汚に対する効果は期待できるものの、反射防止層との密着性の低下が懸念される。該密着性を良くするためにバッファ層を設けるという手段も考えられるが、この場合製造コストの上昇は避けられない。
特開2002−286932号公報 特開2003−98305号公報
本発明は、このような事情のもとで、視認性や層間密着性を損なうことがない上、耐擦傷性及び防汚性などに優れた偏光板保護フィルム、及びこのものを効率よく、工業的に有利に製造する方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材フィルムとして特定の樹脂材料からなるものを用い、かつ反射防止層上に、特定の割合のSP3成分を有するDLCからなる保護層を設けたものであって、ΔYIがある値以下の保護フィルムが、偏光板保護フィルムとしてその目的に適合し得ること、そしてこのものは、反射防止層及び保護層を形成する成膜手段を有する複数の成膜室に、被成膜体を順次連続的に供給することにより、効率よく、工業的に有利に製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料からなる基材フィルムの少なくとも一面に、直接又はその他の層を介して反射防止層及び保護層が順に積層されてなる偏光板保護フィルムであって、該保護層がSP3成分30〜90%のダイヤモンドライクカーボンで構成され、かつΔYIが10以下であることを特徴とする偏光板保護フィルム、
(2)保護層が物理的気相蒸着法又は化学的気相蒸着法により形成されたものである上記(1)項記載の偏光板保護フィルム、
(3)少なくとも1層のハードコート層を有する上記(1)又は(2)項記載の偏光板保護フィルム、
(4)反射防止層及び保護層を有する面側の最表面の電気抵抗値が1×109Ω/□以下である上記(1)、(2)又は(3)項記載の偏光板保護フィルム、及び
(5)脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料からなる基材フィルムの表面上に、又はその他の層が設けられた前記基材フィルムの当該その他の層の表面上に、屈折率の異なる異種の層を交互に積層して反射防止層を形成する工程と、前記反射防止層上にダイヤモンドライクカーボンで構成された保護層を形成する工程とを含む偏光板保護フィルムの製造方法であって、前記各層を形成する成膜手段を有する複数の成膜室に、被成膜体を順次連続的に供給することを特徴とする、上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の偏光板保護フィルムの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、ディスプレイに組み込んだ際に視認性を損なうことがない上、耐擦傷性及び防汚性などに優れ、かつ層間密着性も良好な偏光板保護フィルム、及びこのものを効率よく、工業的に有利に製造する方法を提供することができる。
本発明の偏光板保護フィルムにおいては、基材フィルムとして、吸水率が小さい脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料が用いられる。
該脂環式構造含有重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有するものであり、脂環式構造を主鎖及び側鎖のいずれに有していてもよい。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数は特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個の範囲である。脂環式構造を構成する炭素数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れたフィルムを得ることができる。
脂環式構造含有重合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度に優れることなどから、ノルボルネン系重合体水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物などが好ましく、ノルボルネン系重合体水素化物がより好ましい。
ノルボルネン系重合体の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加型共重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、例えばビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕−デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.10,5〕デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの置換基は、同一又は異なる複数個が環に結合していてもよい。このノルボルネン系単量体は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン及びその誘導体;などが挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体は、単量体成分を、開環重合触媒の存在下で重合することにより得ることができる。開環重合触媒としては、通常使用される公知ものを使用することができる。
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと付加共重合可能な他の単量体との付加重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用することができる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;1、4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を挙げることができる。また、環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体などを挙げることができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。このビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えばビニルシクロヘキサンなどのビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセンなどのビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分の水素化物などが挙げられる。
また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
脂環式構造含有重合体の分子量は、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲であるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれを開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
この脂環式構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常、80℃以上、好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜200℃の範囲である。この範囲において、フィルムは、耐熱性と成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
本発明において、基材フィルムに用いられる樹脂材料は、前述の脂環式構造含有重合体を含むものであるが、本発明の効果が損なわれない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光安定剤、熱安定剤などの安定剤;有機フィラーや無機フィラーなどの充填剤;染料や顔料などの着色剤;近赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤などの添加剤の中から選ばれる少なくとも1種を適宜配合することができる。
本発明に用いる基材フィルムを成形する方法としては、溶液キャスティング法や溶融押出成形法などが挙げられる。中でも、フィルム中の揮発性成分の含有量や厚さムラを少なくできる点から、溶融押出成形法が好ましい。さらに溶融押出成形法としては、ダイスを用いる方法やインフレーション法などが挙げられるが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
基材フィルムを成形する方法として、Tダイを用いる溶融押出成形法を採用する場合、Tダイを有する押出機における樹脂材料の溶融温度は、樹脂材料のガラス転移温度よりも80〜180℃高い温度にすることが好ましく、該ガラス転移温度よりも100〜150℃高い温度にすることがより好ましい。押出機での溶融温度が過度に低いと樹脂材料の流動性が不足するおそれがあり、逆に溶融温度が過度に高いと樹脂が劣化する可能性がある。さらに、フィルム化の前に、用いる樹脂材料を予備乾燥しておくことが好ましい。予備乾燥は、例えば樹脂材料をペレットなどの形態にして、熱風乾燥機などで行われる。予備乾燥を行うことにより、押し出す樹脂材料の発泡を防ぐことができる。
本発明で用いる基材フィルムは、その表面に設けられる反射防止層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
基材フィルムの厚さについては特に制限はないが、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは30〜200μmであり、さらに好ましくは40〜100μmである。フィルムの厚さが10μm未満では、フィルムに腰がないため、加工工程でしわが発生するなど、好ましくない事態を招来するおそれがあり、一方、300μmを超えると、製品が厚くなりすぎ、プラスチックフィルムベースの良さである薄型パネルとならず、好ましくない。
本発明の偏光板保護フィルムにおいては、前記基材フィルムの少なくとも一面に、直接又はその他の層を介して反射防止層が積層されている。この反射防止層は、単層構造又は複層構造の適宜な構造とすることができる。例えば、A.VASICEK著、「OPTICS OF THIN FILMS」P159〜283[北オランダパブリッシングカンパニ、アムステルダム(1960):NORTH−HOLLAND PUBLISHING COMPANY,AMSTERDAM(1960)]や、特開昭58−46301号公報、特開昭59−49501号公報、特開昭59−50401号公報、特開平1−294709号公報、特公平6−5324号公報に記載された構造のものが挙げられる。
本発明においては、前記反射防止層の層構造は、低屈折率材料からなる単層膜若しくは2層以上の多層膜であるのが好ましく、多層膜の場合、各層は隣接する上下層に対して屈折率差をもたせた形で積層されるのがよい。異種の光学材料からなる2層以上の複合多層膜であるのがより好ましい。このような複合多層膜において、各層の厚さや屈折率については、例えば、A.VASICEK著、「OPTICS OF THIN FILMS」等に記載された公知技術に準じて設定することができる。
そして、反射防止層として使われることのできる屈折率が公知の材料の具体例としては、MgF2、CaF、LIF、NaF、BaF2、CaF2等の無機フッ化物;TiO2、SiO2、ZnO、Bi23、Al23、ZrO2、Ta25、Y23、MgO、CeO2、Sb23、Yb23、In23、SnO2等の無機酸化物等が挙げられる。
また、これら屈折率が既知の材料を用いる手段に代えて、樹脂などのマトリクス材料中に超微粒子を分散させて屈折率を可変とし、目的の屈折率の値に調整した材料を用いることもできる。マトリクス材料中に分散させる微粒子の候補としては、フッ化マグネシウムなどの無機フッ化物、シリカ系微粒子の他、真空、空気あるいは窒素などのガスからなる微小な空孔が挙げられる。低屈折率材料を得るという観点からは、シリカ系中空微粒子をマトリクス材料中に分散させたものを用いるのが好ましい。これらの微粒子の含有層を形成する手段としては、マトリクス形成材料中に微粒子を分散させて得られるコーティング組成物を塗布して乾燥する方法が挙げられる。
反射防止層の厚さとしては特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.02〜0.5μmの範囲で選定される。
本発明の偏光板保護フィルムにおいては、基材フィルムと反射防止層との間にその他の層を介在させることができる。その他の層としてはプライマー層、ハードコート層及びガスバリア層が挙げられる。
プライマー層は、基材フィルムと反射防止層との接着性の付与及び向上を目的として形成される。
プライマー層を構成する材料としては、例えば、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、これらの重合体に極性基を導入した変性物などを挙げることができる。これらの中で、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂の変性物及び環化ゴムの変性物を好適に用いることができる。
主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂としては、ポリブタジエン骨格又は少なくともその一部に水素添加したポリブタジエン骨格を有する樹脂を挙げることができ、例えば、ポリブタジエン樹脂、水添ポリブタジエン樹脂、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)、その水素添加物(SEBS共重合体)などを挙げることができる。これらの中で、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物の変性物を好適に用いることができる。
重合体の変性物を得るために用いる極性基を導入するための化合物としては、カルボン酸又はその誘導体が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸などの不飽和カルボン酸;塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミド、無水物、エステルなどの誘導体;などを挙げることができる。これらの中で、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物による変性物は、密着性に優れるので、好適に用いることができる。不飽和カルボン酸又はその無水物の中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの不飽和カルボン酸などは、2種以上を混合して用い、変性することもできる。
プライマー層の形成方法は特に限定されず、例えば、プライマー層形成用塗工液を公知の塗工方法により基材フィルム上に塗工して形成する方法などが挙げられる。プライマー層の厚さは特に限定されないが、通常0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
ハードコート層は、基材フィルムの表面硬度、耐繰り返し疲労性及び耐擦傷性を補強する目的で形成される。ハードコート層の形成材料としては、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系等の有機系ハードコート材料;二酸化ケイ素等の無機系ハードコート材料;が挙げられる。中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。ハードコート層の形成方法は特に限定されず、例えば、ハードコート層形成用塗工液を公知の塗工方法により基材フィルム上に塗工して、紫外線を照射し硬化させて形成する方法などが挙げられる。ハードコート層の厚さは特に限定されないが、通常0.5〜30μm、好ましくは3〜15μmである。
基材は、その片面または両面に必要に応じてガスバリア層等が設けられていてもよい。ガスバリア層の具体例としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等からなるものが挙げられる。
本発明においては、DLC膜は反射防止層として形成される積層膜の上に保護層として設けられる。DLCはラマン分光スペクトル等による構造解析から非晶質のダイヤモンド構造(SP3構造)の中に非晶質のグラファイト構造(SP2構造)を持つものが混在した形で含まれるものと考えられている。SP3構造はSP2構造や水素により終端され、長距離秩序を持たない構造となっている。
DLC膜が硬質であるためには、膜中の炭素のSP3/SP2成分比が高く、かつ水素の含有量が少ないことが必要とされるが、膜中の水素の含有量は膜中の炭素のSP3成分の存在比率と相関を持っている。
本発明においては、前記SP3成分は30〜90%であり、好ましくは30〜80%、より好ましくは55〜80%である。ここで、SP3成分が30〜90%であるとは、DLC膜中の炭素の30〜90%がSP3結合であることを意味する。SP3成分が30%未満では、SP2結合の増加により、内部応力が下がり、基板等の下地層に対する密着性が良好になる傾向にあるが、硬度が得られないため、耐久性に劣り、透過率が低下する。また、SP3成分が90%を超えると膜硬度が向上するが、内部応力が大きくなり可とう性が得られない。
SP3成分を制御する方法としては、(1)プラズマ中のイオンエネルギーの制御、(2)基板温度の制御、(3)成膜中の水素分圧の制御、(4)原料ガス流量の制御、(5)プラズマ中に発生するイオン種の制御が挙げられる。これら(1)〜(5)の方法の中から単独もしくは組み合わせにより、所望のSP3/SP2比を持つDLC膜が達成できる。
本発明における硬質炭素薄膜中のSP3/SP2比は、電子線エネルギー損失分光法(EELS)により測定することができる。
本発明における保護層を形成する方法としては、物理的気相蒸着法(PVD法)、化学的気相蒸着法(CVD法)、レーザーアブレーション等いずれの手法も採用可能である。さらには、上記方法を複数組み合わせて薄膜を形成してもよい。
物理的気相蒸着法による製法においては、原料として、主に固体の材料が使われる。最も一般的な方法としては、グラファイト・ターゲットを用いてアルゴン/水素混合ガス雰囲気下で行うスパッタリング法である。スパッタリング法においては、アルゴン等の不活性ガスが存在する程度の0.5〜2.0Pa程度の真空中で、グロー放電などにより加速されたAr+などの陽イオンをターゲットに衝突させ、ターゲット材料を飛ばして基材フィルムに薄膜層を形成させる。これ以外の手法としては、イオンプレーティング法、カソーディックアーク法等が挙げられる。
化学的気相蒸着法としてはRFプラズマCVD、マイクロ波CVD、ECRプラズマCVD、イオンビーム、熱フィラメントCVDなどが挙げられ、原料としては炭化水素系ガスの混合ガスを導入し、ガスをプラズマもしくは熱により分解し基材上に膜を形成する。ここで、炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、トルエン、プロパン、アセチレン、ブタン等を用いることができる。
これらは単独でDLC膜の形成に用いることができるが、H2ガスや不活性ガス[ヘリウムガス(He)、ネオンガス(Ne)、アルゴンガス(Ar)又はクリプトンガス(Kr)]等の異種ガスとともに用いてDLC膜を形成することもできる。
次に前記CVD法の中でECRプラズマCVD法によりDLC膜を形成する方法について説明する。
図1は本発明のDLC膜からなる保護層を形成することができるECRプラズマCVD装置の1例を示す概略断面図である。図1を参照して、真空チャンバー18には、プラズマ発生室14が設けられている。プラズマ発生室14には、導波管12の一端が取り付けられており、導波管12の他端には、マイクロ波供給手段11が設けられている。マイクロ波供給手段11で発生したマイクロ波は、導波管12及びマイクロ波導入窓13を通って、プラズマ発生室14に導かれる。
プラズマ発生室14には、プラズマ発生室14内にアルゴン(Ar)ガスなどの放電ガスとメタン(CH4)、水素(H2)などの原料ガスを導入するためのガス導入管15が設けられている。また、プラズマ発生室14の周囲には、プラズマ磁界発生装置16が設けられている。マイクロ波による高周波磁界と、プラズマ磁界発生装置16からの磁界を作用させることにより、プラズマ発生室14内に高密度のECRプラズマが形成される。
真空チャンバー18内には、基板ホルダー17が設けられており、基板ホルダー17の上に、基板10が載せられている。
プラズマ発生室14と基板10との間の領域に、グリッド19が設けられている。このグリッド19には、直流電源20の陰極が接続されている。この直流電源20の接続により、グリッド19に負の電圧が印加される。グリッド19に負の電圧を印加することにより、プラズマ発生室14内のプラズマ中の正のイオンに加速エネルギーが加えられ、基板10上に加速エネルギーが与えられた正のイオンが照射される。従ってグリッドに印加する電圧を制御することにより、プラズマ中のイオンの運動エネルギーを制御することができる。具体的には、グリッド19に印加する加速電圧を高めることにより、イオンの運動エネルギーを高くすることができる。
本発明のDLC膜からなる保護層は、基材フィルムの反射防止層上に中間層を設け、この中間層の上に形成してもよい。このような中間層の材料としては、例えば、Si、Ti、Zr、W、Mo、Ru、Ge等の単体及びこれらの酸化物、窒化物、炭化物などを挙げることができる。これらの中間層を形成する場合は、例えばマグネトロンRFスパッタリング法などにより形成することができる。例えば、アルゴンプラズマ中でこれらのイオンをスパッタリングし、形成することができる。また酸化物や窒化物は、これらのスパッタリングと同時にチャンバー内に酸素または窒素ガスを導入することにより形成することができる。中間層の膜厚としては、2〜5nm程度が一般的である。
該保護層の厚さは15nm以下であることが望ましく、好ましくは10nm以下、より好ましくは2〜5nmの範囲である。2nm未満ではDLCのコーティングを均一に行うのが難しくなり、耐擦傷性が確保できにくくなる。15nmを超えるとDLC自体の着色性により黄色味を帯び可視光線透過率が低下し、ディスプレイへの適用が難しくなる。ディスプレイへの適用を考えた場合、黄色度を意味する指標であるΔYI(イエローインデックス)で見た場合、ΔYI値は10以下であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。このΔYIは色差計で測定できる。
本発明の偏光板保護フィルムを製造する方法としては、前述の構成及び性状を有する偏光板保護フィルムが得られる方法であればよく、特に制限はないが、以下に示す本発明の方法に従えば、効率よく、所望の偏光板保護フィルムを製造することができる。
本発明の方法においては、脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料からなる基材フィルムの表面上に、又はその他の層が設けられた前記基材フィルムの当該その他の層の表面上、屈折率の異なる異種の層を交互に積層して反射防止層を形成する工程と、前記反射防止層上にDLCで構成された保護層を形成する工程を含み、そして、これらの工程は、前記各層を形成する成膜手段を有する複数の成膜室に、被成膜体を順次連続的に供給することにより、実施される。
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法は、吸水率の低い脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料からなる基材フィルムを用いているため、反射防止層を形成する前に乾燥工程を設ける必要がない。
この連続生産する方法は、例えば、図2の説明図に示す成膜装置を用いて実施することができる。図2に示す装置は、プライマー層形成部2、ハードコート層形成部3、反射防止層形成部4〜7、保護層形成部8からなる。
まず、巻出しロール1から巻出された基材フィルム上に、プライマー層形成部2及びハードコート層形成部3において、プライマー層及びハードコート層を形成する。プライマー層及びハードコート層の形成材料及び形成方法は上述したとおりである。
次に、反射防止層形成部4〜7を通過させ、ハードコート層の表面上に、複数の薄膜を積層することで、計4層からなる反射防止層を形成する。反射防止層の成膜手段としては特に限定されず、公知の成膜手段を採用できる、真空下で無機酸化物薄膜を成膜する場合にはスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法のいずれかであるのが好ましい。
ついで、反射防止層が形成された基材フィルムを保護層形成部8に送り込み、反射防止層上に保護層を形成する。保護層の成膜手段としては特に限定されず、公知の成膜手段を採用できる、高硬度の薄膜を成膜する場合にはプラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタリング法のいずれかであるのが好ましい。このようにして保護層が積層された基材フィルムは、巻取りロール9に巻取られる。
図3は、反射防止層を形成する装置の1例を示す図である。この層は、プラスチックフィルム等の連続シート状材料に対してスパッタリングによる成膜処理を行うものであり、大気圧状態から真空状態に真空引きすることができる密閉された室(内部空間)を備える。
偏光板保護フィルムの原料となる基材フィルム103はロール状に巻かれており、巻出しロール102に装着される。巻出された基材フィルム103は複数のガイドロール104に導かれて、成膜ロール105に達し、複数の成膜カソード106によりスパッタリングで多層膜が連続的に成膜される。この多層膜にはSiO2層、ITO層などが含まれる。成膜処理された基材フィルム103は再びガイドロール104に導かれ、巻取りロール107により巻取られる。このスパッタリングによる成膜プロセスの際、真空室101は真空ポンプ108により常に排気され、図示しないが、成膜に必要となる作用ガス(希ガス類)や反応性ガス(酸素など)がボンベにより導入される。
図4は、保護層を連続的に形成する装置の一例を示す図である。成膜室21は真空ポンプ22により所定の真空度を保つようになっている。真空室内の圧力は、通常10-2〜10-5Paである。まず、反射防止層が積層された基材フィルムは、巻出しロール23から巻出された後、ガイドロール26に導かれ保護層形成部24を通過し、巻取りロール27に至る。保護層形成部24にはECRプラズマCVD装置25が備わっており、炭化水素系原料ガスを供給するガス導入部25cを備え、マイクロ波電源25aより導波管25bに電力を供給して、プラズマにより原料ガスを分解して、反射防止層が形成された基材フィルム上に保護層となるダイヤモンドライクカーボンが形成される。保護層が積層された基材フィルムは巻取りロール27に巻取られる。
また本発明の偏光板保護フィルムにおいては、基材フィルムの反射防止層を有する面側の最表面の電気抵抗値は、帯電防止の観点から1×109Ω/□以下が好ましい。この表面の電気抵抗値が1×109Ω/□を超えると帯電防止効果が十分に発揮できず、静電気により空気中の塵埃などが付着するおそれが生じる。より好ましい電気抵抗値は1×108Ω/□以下であり、特に1×107Ω/□以下が好ましい。偏光板保護フィルムの表面の電気抵抗値が、前記の範囲になるように、必要に応じ帯電防止層を設けてもよい。フィルム表面の電気抵抗値を上記範囲にすることにより、フィルム表面への空気中のほこりの吸着を防止したり、静電気放電による電子部品の破損や誤動作を防止することができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、以下のように偏光板に適用することができる。
液晶表示装置における偏光板は、液晶セルの出射側に設けられるが、通常入射側にも設けられている。この偏光板は、一般にポリビニルアルコールからなる基材フィルムにヨウ素や有機染料などの二色性材料を染色又は吸着させたのち、一方向に延伸配向させて偏光フィルムを作製し、この両面にトリアセチルセルロース(TAC)などの保護フィルムを貼り合わせることにより、製造されている。本発明の偏光板保護フィルムを前記偏光板の反射防止性保護フィルムとして用いる場合には、片面に設けられた反射防止層を有する偏光板保護フィルムを、該反射防止層が表面側になるように、偏光板の出射側保護フィルム上に貼り合わせてもよいし、あるいは、偏光板の出射側保護フィルムの代わりに、反射防止層が設けられた偏光板保護フィルムを、該反射防止層が表面側になるように用いてもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す要領に従って求めた。
(1)SP3成分含有量
電子線エネルギー損失分光法(EELS)によりSP3/SP2比を測定する。
(2)膜厚(反射防止層及び保護層)
高速分光エリプソメーター[J.A.Woollam社製、「M−2000U」]を用いて、測定波長245〜1000nm、入射角55度、60度及び65度で測定し、その測定値をもとに算出する。
(3)ΔYI
ASTM E313に準拠して分光式色差計[日本電色工業製、「SE2000」]を用いて測定する。なお、同様の測定を五回行い、その算術平均値をΔYIとする。
(4)表面抵抗
二重リングプローブ法により、抵抗率計[三菱化学製、「ハイレスタUPMCP−HT450型」]を用いて測定する。
(5)耐擦傷性試験
ピンオンディスク型摩擦磨耗試験機[東京試験機製作所「FPD−DB−600HVG(S)]を用い、荷重4.9N、速度0.1m/sの条件にて、摩擦時間30分後の表面状態を目視で確認した。
○:摩耗は確認されない。
×:表面上に摩耗痕が確認される。
(6)光学性能
プラスチックセル基板を使用した液晶表示用セル(3インチ、プラスチック基板の厚さ400μm)を準備し、これのフロント側に反射防止機能付偏光板を貼り合せ、更にもう一枚偏光板を用意しこれをリア用としてセルとは反対側になるように貼り合わせた。この液晶表示素子を60℃、95RH%の環境下で500hr放置した後、照度33000Luxのバックライトの上に置き、液晶セルのパネル端部の色抜けや、パネル面内の色相のバラツキを確認した。
○:額縁近辺での光漏れはなく、均一な黒色に見える。
△:額縁ごく近辺で多少の光漏れが認められる。
×:額縁から離れたところでも光漏れが認められる。
(7)視認性
前記(6)で作製した液晶表示素子を暗室に配置し、明表示の際の正面から5°の位置における輝度を、色彩輝度計[トプコン社製、色彩輝度計「BM−7」]を用いて測定する。輝度が大きいほど視認性に優れる。
製造例1 基材フィルム1Aの作製
ノルボルネン系重合体[製品名「ZEONOR 1420R」、日本ゼオン社製:ガラス転移温度Tg136℃、飽和吸水率0.01重量%未満]のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて110℃で4時間乾燥した。そしてこのペレットを、リーフディスク形状のポリマーフィルター(ろ過精度30μm)を設置したダイリップの先端部にクロムめっきを施した平均表面高さRa=0.05μmのリップ幅650mmのコートハンガータイプのTダイを有する単軸押出機を用いて、260℃で溶融押出しして600mm幅の長尺基材フィルム1Aを得た。得られた長尺基材フィルム1Aの揮発成分の含有量は0.01重量%未満、飽和吸水量は0.01重量%未満であった。また、この基材フィルム1Aの膜厚は40μmであった。
製造例2 ハードコート剤の調製
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー[新中村化学社製、商品名「NKオリゴ U−6HA」]30重量部、ブチルアクリレート40重量部、イソボロニルメタクリレート[新中村化学社製、商品名「NKエステル IB」]30重量部、光重合開始剤(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)10重量部をホモジナイザーで混合して紫外線硬化性樹脂組成物からなるハードコート剤を調製した。
製造例3 プライマー溶液の調製
無水マレイン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物[旭化成工業社製、「タフテックM1913」、メルトインデックス値は200℃、49N荷重で1.0g/10分、スチレンブロック含量30重量%、水素添加率80%以上、無水マレイン酸付加量2%]2重量部を、キシレン8重量部とメチルイソブチルケトン40重量部の混合溶媒に溶解し、孔径1μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルターでろ過して、完全な溶液のみをプライマー溶液として調製した。
製造例4 反射防止用塗布液の調製
テトラメトキシシランのオリゴマー[コルコート社製「メチルシリケート51」]と、メタノールと、水と、0.01モル/L塩酸水溶液を、重量比21:36:2:2で混合し、これを25℃の恒温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量850のシリコーンレジンを得た。
次に、中空シリカ微粒子として、中空シリカイソプロパノール分散ゾル[触媒化成工業社製、固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚さ約8nm]を前記シリコーンレジンに加え、中空シリカ微粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が、固形分基準で重量比7:3となるように配合し、その後、全固形分が1重量%になるようにメタノールで希釈し、反射防止用塗布液を調製した。
製造例5 偏光板の作製
重合度2400、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウム配合の40℃の染色浴に浸漬して染色処理を行った後、ホウ酸とヨウ化カリウムを添加した60℃の酸性浴中で総延伸倍率が5.3倍となるように延伸処理と架橋処理を行った。水洗処理した後、40℃で乾燥して、厚さ28μmの偏光板を得た。
実施例1
製造例1で得られた基材フィルム1Aの両面に、高周波発信機[コロナジェネレータ「HV05−2」、Tamtec社製]を用いて、出力電圧100%、出力250Wで、直径1.2mmのワイヤー電極で、電極長240mm、ワーク電極間1.5mmの条件で3秒間コロナ放電処理を行い、表面張力が0.072N/mになるように表面改質して基材フィルム1Bを得た。
製造例3で得られたプライマー溶液を、表面改質した基材フィルム1Bの片面に、乾燥後のプライマー層の膜厚が0.5μmになるように、ダイコーターを用いて塗布し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて、プライマー層を有する基材フィルム1Cを得た。
基材フィルム1Cのプライマー層を有する方の面に、製造例2で得たハードコート剤を硬化後のハードコート層の膜厚が5μmになるように、ダイコーターを用いて連続的に塗布した。次いで80℃で5分間乾燥させた後、紫外線照射(積算光量300mJ/cm2)を行い、ハードコート剤を硬化させ、ハードコート層積層フィルム1Dを得、ロール状に巻取った。このハードコート層の厚さは5μmであった。
(1)反射防止層の形成
製造例4で得た反射防止用塗布液を1時間放置したのちに、ハードコート層積層フィルム1Dの上にワイヤーバーコーターにより塗布して、厚さ約100nmの塗膜を形成し、さらに1時間放置して乾燥したのちに、被膜を200℃で10分間酸素雰囲気下で熱処理し、反射防止層の第1層目が形成された積層フィルムを得た。
次いで、反射防止層の第1層目が形成された長尺ロールを連続スパッタ成膜装置内に装填し、内部を真空排気した。真空排気から2時間後、真空チャンバー内の圧力が1×10-4Pa以下になったことを確認してから、巻出し側より0.5m/minの速度でフィルムの走行を開始し、まずハードコート層を積層した面とは反対側の面に、RFプラズマ電源を用いて、出力150W、圧力0.3Paの条件でプラズマボンバードを行い真空排気のみでは除去し切れなかった、基材フィルム表面の水分を除去し、真空内で巻取り側ロールに巻取った。
次いで、真空度が安定した後、巻取り側ロールからフィルムの走行を開始させ、ボンバード処理を行った面に、以下の条件でスパッタリング法により反射防止層の第2、第3層目を形成した。スパッタリング時の条件を以下に示す。
<スパッタリング条件>
真空到達度:1×10-5Pa
作業真空度:0.3Pa
放電ガス:150標準状態cm3/min
電力密度:4kW/cm2
2層目SiO2 100nm
3層目ITO 130nm
さらに、上記積層フィルム上に1層目と同一条件にて第4層目を形成し、4層で構成される反射防止層が形成された積層フィルムを得た。
(2)保護層の形成
反射防止層が形成された積層フィルムを、連続DLC形成装置内に充填し、内部を真空排気した。真空排気から2時間後、真空チャンバー内の圧力が1×10-4Pa以下になったことを確認してから、巻出し側より走行を開始し、保護層を形成した。
原料ガス:エチレン(C24)110標準状態cm3/min
キャリアガス:アルゴン(Ar)40標準状態cm3/min
成膜圧力:0.5Pa
放電出力:700W
グリッド電圧:−400V
巻取り速度:2.0m/min
上記の条件にて反射防止層上に厚さ5nmのDLC層を形成した。
(3)反射防止機能付き偏光板の作製
得られた偏光板保護フィルムの基材フィルム面側に、アクリル系接着剤[住友スリーエム社製、「DP−8005クリア」]を介して、製造例5にて作製した偏光板を貼り合わせ、また偏光板のもう片方の面側に、アクリル系接着剤を介して、表面改質した基材フィルム1Bを貼り合せて、反射防止機能付き偏光板を作製した。
実施例2
保護層の形成において、グリッド電圧を−150Vとした以外は、実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得、次いで、反射防止機能付き偏光板を得た。
比較例1
保護層の形成において、グリッド電圧を0Vとした他は、実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得、次いで、反射防止機能付き偏光板を得た。
比較例2
保護層の形成において、巻き取り速度を0.5m/minとした他は、実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得、次いで、反射防止機能付き偏光板を得た。
比較例3
保護層としてDLC層を反射防止層上に形成しなかった他は、実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得、次いで、反射防止機能付き偏光板を得た。
比較例4
ノルボルネン系重合体(NB)に代えて、厚さが50μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)[商品名「フジタック」、富士写真フィルム社製]を使用した以外は、実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得、次いで、反射防止機能付き偏光板を得た。
実施例1、2及び比較例1〜4の偏光板保護フィルムの特性を第1表に示す。
第1表から明らかなように、本発明の偏光板保護フィルムは、ΔYI、耐擦傷性、光学性能及び視認性の全てが良好で、バランスがとれていることが分かる。
本発明の偏光板保護フィルムは、ディスプレイに組み込んだ際に、視認性を損なうことがない上、耐擦傷性、防汚性、光学性能に優れており、かつ層間密着性も良好であって、特に液晶表示装置用として好適である。
本発明の偏光板保護フィルムにおけるDLC膜を形成するためのECRプラズマCVD装置の1例の概略断面図である。 本発明の偏光板保護フィルムを製造する際に用いられる成膜装置の1例の説明図である。 スパッタリングにより反射防止層を形成するための装置の1例を示す膜式的平面図である。 保護層を連続的に形成する装置の1例の説明図である。
符号の説明
1、23、102 巻出しロール
2 プライマー層形成部
3 ハードコート層形成部
4〜7 反射防止層形成部
8、24 保護層形成部
9、27、107 巻取りロール
11 マイクロ波供給手段
12、25b 導波管
13 マイクロ波導入窓
14 プラズマ発生室
15、25c ガス導入管(ガス導入部)
16 プラズマ磁界発生装置
17 基板ホルダー
18 真空チャンバー
19 グリッド
20 直流電源
21 成膜室
22、108 真空ポンプ
25 ECRプラズマCVD装置
25a マイクロ波電源
26、104 ガイドロール
101 真空室
103 基材フィルム
105 成膜ロール
106 成膜カソード

Claims (5)

  1. 脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料からなる基材フィルムの少なくとも一面に、直接又はその他の層を介して反射防止層及び保護層が順に積層されてなる偏光板保護フィルムであって、該保護層がSP3成分30〜90%のダイヤモンドライクカーボンで構成され、かつΔYIが10以下であることを特徴とする偏光板保護フィルム。
  2. 保護層が物理的気相蒸着法又は化学的気相蒸着法により形成されたものである請求項1記載の偏光板保護フィルム。
  3. 少なくとも1層のハードコート層を有する請求項1又は2記載の偏光板保護フィルム。
  4. 反射防止層及び保護層を有する面側の最表面の電気抵抗値が1×109Ω/□以下である請求項1、2又は3記載の偏光板保護フィルム。
  5. 脂環式構造含有重合体を含む樹脂材料からなる基材フィルムの表面上に、又はその他の層が設けられた前記基材フィルムの当該その他の層の表面上に、屈折率の異なる異種の層を交互に積層して反射防止層を形成する工程と、前記反射防止層上にダイヤモンドライクカーボンで構成された保護層を形成する工程とを含む偏光板保護フィルムの製造方法であって、前記各層を形成する成膜手段を有する複数の成膜室に、被成膜体を順次連続的に供給することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板保護フィルムの製造方法。
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