JP2005180121A - 駅のプラットホームの防音構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工性が良く防音効果以外の兼用的効果も備えた駅のプラットホームの防音構造を提供する。
【解決手段】防音構造は、プラットホーム1に沿って停車する新幹線の車両2の下部の機械装置部分21から発生する車両音による騒音を低減させるものであり、ホーム1上にY方向に1.5〜2m程度の間隔Sを開けてホーム1の端11から0.5m程度の距離dだけ離して配設した吸音パネル3で構成されている。吸音パネル3は、吸音材、遮音板となる外板、被覆材、多孔板、上下カバー、足板、これと一体形成され吸音パネルの本体部分を保持するH型鋼、足板をホーム1に固定するアンカーボルト、等で構成されている。プラットホーム上の騒音低減効果が大きく施工が簡単で安全柵にも兼用できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラットホームに沿って停車している車両から発生する音による騒音を低減させる防音構造に関する。
例えば新幹線のような鉄道駅のプラットホームに列車が停車しているときには、停車中の車両の主として下部の機械装置部分から発生する車両音により、プラットホーム上でも人の話しが聞きにくい位の騒音になっている。
一方、列車の音がプラットホームや上部の屋根等で反射して駅の周辺環境に対する騒音になるとして、このような騒音の発生を低減させるように、プラットホームの下部の退避空間部に吸音体を取り付けた吸音構造が提案されている(特許文献1参照)。
特開平5−17916号公報
しかしながら、このような吸音構造では、プラットホーム上の騒音を低減させるには不十分である。又、退避空間はホーム下の狭い所であるため、施工性が良くないと共に、退避空間を狭めることになるだけで防音効果以外の兼用的効果がない。そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、施工性が良く防音効果以外の兼用的効果も備えた駅のプラットホームの防音構造を提供することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、プラットホームに沿って停車している車両から発生する音による騒音を低減させる防音構造において、
前記音を吸収するように前記車両の側に設けられた吸音材と前記音の通過を遮断するように該吸音材に対して前記車両の側の反対側に設けられ遮音板とを備えた吸音パネルを前記プラットホーム上の前記車両に近い位置に前記車両に平行な方向に人の通過間隔を開けて配設したことを特徴とする。
請求項2の発明は、上記に加えて、前記プラットホームは間隔を開けて対向するように建設されていて前記音を吸収するように両側に設けられた吸音材と前記音の通過を遮断するように前記両側の吸音材の間に設けられた遮音板とを備えた第2吸音パネルを前記間隔の部分に前記車両に平行な方向に通路間隔を開けて配設したことを特徴とする。
本発明によれば、請求項1の発明においては、プラットホームに沿って停車している車両から発生する音として主として車両の下部の機械装置部分から発生する車両音を吸収するように車両の側に設けられた吸音材と車両音の通過を遮断するように吸音材に対して車両の側の反対側に設けられ遮音板とを備えた吸音パネルをプラットホーム上の車両に平行な方向に人の通過間隔を開けて配設するので、車両音が吸音パネルに当たったときに、この音を吸収すると共に、この音のうち吸音材を通過した音のプラットホーム上への通過を遮断することにより、音源側への音の反射を防止しつつ車両と反対側のプラットホーム上の騒音を低減させることができる。
その結果、プラットホーム上で乗車待ちをしている人が会話をしたり場内放送を聞くのが容易になり、騒音による不快感をなくしてホーム上での人の居心地を良くすることができる。
又、この吸音パネルは、車両に平行な方向に人の通過間隔を開けて設けられているので、人は通過間隔の部分を通って車両に乗降することができると共に、通過間隔を除いた吸音パネルの部分を人が車両に接触したりホームから転落することなどを防止する安全柵として利用することができる。
更に、この吸収パネルはプラットホーム上に配置されているため、吸収パネルをプラットホーム上の所定位置に並べた後にアンカーボルトで止める程度の工事によって設置されるので、施工工事が極めて簡単である。
請求項2の発明においては、上記に加えて、プラットホームが間隔を開けて対向するように配設されていて、この間隔の部分に第2吸音パネルを車両に平行な方向に通路間隔を開けて設け、第2吸音パネルが車両音を吸収するように両側に設けられた吸音材と車両音の通過を遮断するように両側の吸音材の間に設けられた遮断板とを備えるように構成するので、対向するプラットホームのうちの何れか一方側のプラットホームだけに車両が停車しているときに、その車両が発生させる音を吸収し、停車している車両への音の反射を防止しつつ他方側への音の通過を遮断し、一方側の車両音による他方側のプラットホーム上の騒音を低減させることができる。この場合、吸音パネルが通路間隔を開けて配置されているので、線路等の保守作業をするときには、作業者が通路間隔部分を通って両側の軌道部分に行き来することができ、第2吸音パネルを設けても作業等に障害になるようなことはない。
図1は本発明を適用した防音構造の全体構成の一例を示し、図2はこの防音構造に適用する吸音パネルの一例を示す。
本例の防音構造は、例えば新幹線のプラットホーム1(以下「ホーム1」と略す)に沿って停車する新幹線の車両2によって発生する音として下部の機械装置部分21から発生する音を主体とした車両音による騒音を低減させるものであり、ホーム1上に車両2に平行な方向であるY方向に人の通過間隔として1.5〜2m程度の間隔Sを開けてホーム1の車両2に近い位置としてホーム1の端11から例えば0.5m程度の一定距離dだけ離して配設した吸音パネル3で構成されている。一定距離は、人の通過可能な範囲で防音効果が高いように小距離にされる。間隔Sは少なくとも車両2の繋ぎ部分に設けられ、上記一定距離の部分を介して人が車両に乗降できるようにされる。なお、車両の途中に人が通れる程度の間隔を適当に追加して設けるようにしてもよい。
吸音パネル3は、車両音を吸収するように車両2の側であるホーム1の外側Aの側に設けられた吸音材31と車両音の通過を遮断するように吸音材31に対して外側Aの側の反対側である内側Bの側に設けられ遮音板として塗装鋼板等からなる外板32とを備えている。吸音材31は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、グラスウール、ロックウール、再生PET等の適当な材料のものからなり、水分等の侵入や付着を防止でき音を透過可能な被覆材33で包まれている。被覆材としては、再生PET繊維の不織布や再生PET樹脂やフィルム等の適当な材料が用いられる。
被覆された吸音材31は、外側Aの側に設けられた金属製多孔板34及び前記外板32によってその形状を保持される。なお,多孔板34に代えてスリット開口板等の他の適当な開口板を使用してもよい。両側の板を含む吸音材の上下端は上下カバー35、36で覆われていて、これらによって吸音パネル3の本体部分3Aが一体的に形成されている。なお、図1(c)では図示を省略しているが、紙面に直角な方向の両端になる左右端も通常カバーで覆われる。そして、ホーム1に対しては、下端に足板37を溶接取り付けしたH型鋼38からなるパネル取付枠をY方向に吸音パネルの長さ分だけ離して2箇所の位置に立設し、H型鋼のH字部分の間に本体部分3Aを挿入して適当な詰め物で固定すると共に、足板37をホーム1にアンカーボルト39によって固定することによって吸音パネル3をホーム1上に配設した状態にする。H字部分の他の間には、連続して配設される他の吸音パネル3の本体部分3Aが装着される。
以上のような吸音パネル3は、その吸音及び遮音性能によってホーム1上の騒音を低減させることができる。その低減量は、一般的に使用されている近似計算方法によって簡単に計算される。即ち、光の回折理論を用いて実験によって得られた図3に示す音圧レベルの減衰値曲線によって求めることができる。図においてNはフレネルナンバーと称される無次元値であり、これを定めるδ及びλは、それぞれ、音源位置と目標位置までの障害物である外板32を備えた吸音パネル3を回避した経路と直結経路との経路距離差及び音の波長である。
図4は、ホーム1に本例の吸音パネル3を配設したときの音源位置Pと目標位置Q1 、Q2 との距離関係を示す。音源位置Pは、車両音が主としてホーム1と車両2との隙間部分から長さ方向に一様に指向性なく放散している場合の隙間部分の一点である。目標位置Q1 、Q2 は一例であり、人の視界を妨げることなく防音効果の得られる高さとして1mの高さにされている吸音パネル3の頂点3aからホーム1の内側Bの側に1m離れた所及び吸音パネル3の頂点の1m上でホーム1の内側Bの側に2m離れた所である。
これらの位置では、波長2.72mの音に対して、N及び減衰値Δdbは、計算及び図3から、
N(Q1 )=2(1.1+1-1.8)/2.72 =0.22 Δdb(Q1 )≒5db
N(Q2 )=2(1.1+2.2-3.2)/2.72 =0.07 Δdb(Q2 )≒4db
となる。従って、プラットホーム上での会話を容易にする程度の十分大きい騒音低減効果を得ることができる。なお、波長2.7mは、実際に騒音レベルが高いときの周波数125Hzの音の波長である。又、上記計算値は実測値に十分近い値であった。
このような防音効果を持つ吸音パネル3は、Y方向に車両2に沿って設けられているので、この部分では人がホームの端11の行くことができない。その結果、吸音パネル3が安全柵としての効果も兼ね備えることになり、人が誤って車両に接触したりホームから転落するような事故を防止することができる。
又、本発明の防音構造は、吸音パネル3をプラットホーム1上に配設するだけであるから、基本的に設置工事が容易である。そして本例では、前記の如く、足板37とH型鋼38とを一体化してパネル装着枠とし、これをホーム1に配置し、これに吸音パネルの本体部分3Aを挿入し、足板37をホーム1に固定するだけの工事によって防音構造を完成させることができるので、施工工事が極めて簡単である。
図5は本発明を適用した防音構造の他の例を示す。
本例の防音構造では、図1の吸音パネル3の上部に透明遮音板4を追加して遮音効果を高めている。即ち、図1の吸音パネル3のH型鋼38を上方に延長し、これらの部分に桟板41を固定し、吸音パネル3の上に透明ポリカーボネイト等からなる透明遮音板4を挿入し、上カバー35で蓋をすることによって遮音板追加型吸音パネル3´を製作し、これを図1の吸音パネル3と同じ配置にした防音構造にしている。
このようなパネル3´によれば、吸音効果の点では図1のものと同じであるが、人の視界を遮ることなく遮音効果を一層向上させることができる。即ち、図6に示す図4と同じQ1 、Q2 位置及び同じ高さでQ2 から更に離れたQ3 、Q4 の位置の騒音レベルの減衰値Δdbを、図4の場合と同様の計算により、それぞれ9.5、7.5、8.0及び8.5dbにすることができた。
図7は本発明を適用した防音構造の他の例を示す。
本例の防音構造は、図1のホーム1上に吸音パネル3を配設した構造に加えて、ホーム1がホーム1A及び1Bとして間隔を開けて対向するように配設されている場合に、この間隔の部分のほぼ中央位置に第2吸音パネル5を通路間隔として例えば10m程度のピッチでY方向に作業者等が通過可能な1m程度の間隔S2 を開けて配設した構造にされている。
この第2吸音パネル5は、車両2の車両音を吸収するように両側に設けられた吸音材と車両音の通過を遮断するように両側の吸音材の間に設けられた遮音板とを備えた構造にされるが、本例では、図2(c)に示すような吸音パネル3の2枚分のそれぞれを多孔板34及び吸音材31が外向きになって外板32が内向きに背中合になるように組み合わせた構造のものである。このような構造にすれば、図2の吸音パネルを標準品としてそのまま使用することができ、生産性を良くしてコスト低減を図ることができる。但し、外板32を1枚だけにして全体を一体的に形成した製品にしてもよいことは勿論である。
第2吸音パネル5は、ホーム1上より低い線路レベルに設けられるので、吸音パネル3より高く例えば2.5m程度の高さのものにされる。又、図5の吸音パネル3´のように、吸音パネルの本体部分3Aの上に1mの透明遮音板4を追加装備した図7(a)に二点鎖線で追加部分を示すような第2吸音パネル5´にされてもよい。
このような第2吸音パネル5又は5´によれば、図8に示すように対向するプラットホームのうちの何れか一方側として本例ではホーム1Bだけに車両2Bが停車しているときに、その車両が発生させる音を吸収して停車している車両2Bへの音の反射を防止しつつ、他方側のホーム1Aへの音の通過を遮断し、車両2Bの車両音による他方側ホーム1A上の騒音を低減させることができる。例えばホーム1及び吸音パネル5又は5´が図示のような寸法で配置されているときには、車両2Bによるホーム1A上のQ5 位置の騒音レベルの減衰値Δdb(Q6 )を、それぞれの吸音パネル5又は5´において5db又は7dbにすることができる。
本例の吸音パネル5、5´も、平地上の広い場所に設置されるので、その設置工事は容易である。又、吸音パネル5、5´がY方向に間隔S2 を開けて配置されているので、線路等の保守作業をするときには、作業者が間隔S2 部分を通って両側の軌道部分に行き来することができ、第2吸音パネルを設けても作業等に障害は生じない。
なお、図7において二点鎖線で示す如く、ホーム1の下の退避空間に吸音パネル6を追加装備するようにしてもよい。その場合には、車両2の下部の車両音が退避空間内で反射して発生する反響音を2〜3dB低減させ、それに対応してホーム1上の騒音を低下させることができる。
又以上では、防音構造を、車両が一定の長さで一定の位置に停車する新幹線のプラットホームに適用した例について説明したが、本発明の防音構造は、各駅停車、準急、急行、特急等の各種車両が停車する一般の駅のプラットホームに対しても適用可能であり、その場合でも、騒音低減及び安全性向上の効果を得ることができる。
本発明は、特に新幹線のプラットホームを含み駅のプラットホームにおける防音装置として好都合に利用される。
本発明を適用した防音構造の全体構成の一例を示し、(a)は正面図で(b)は平面図である。 上記防音構造の吸音パネルの一例を示し、(a)乃至(d)は正面図、側面図、本体部分の断面図及び平面図である。 上記防音構造における音圧レベルの減衰値の曲線図である。 上記減衰値の計算位置を示す説明図である。 上記防音構造に適用される吸音パネルの他の例を示し、(a)は正面図で(b)は側面図である。 上記防音構造における前記減衰値の計算位置を示す説明図である。 本発明を適用した防音構造の他の例を示し、(a)は正面図で(b)は平面図である。 上記防音構造における前記減衰値の計算位置を示す説明図である。
符号の説明
1 ホーム(プラットホーム)
2 車両
3、3´ 吸音パネル
5、5´ 第2吸音パネル
31 吸音材
32 外板(遮音板)
A 車両の側
B 車両の側の反対側
S 通過間隔
2 通路間隔
Y 車両に平行な方向

Claims (2)

  1. プラットホームに沿って停車している車両から発生する音による騒音を低減させる防音構造において、
    前記音を吸収するように前記車両の側に設けられた吸音材と前記音の通過を遮断するように該吸音材に対して前記車両の側の反対側に設けられ遮音板とを備えた吸音パネルを前記プラットホーム上の前記車両に近い位置に前記車両に平行な方向に人の通過間隔を開けて配設したことを特徴とする防音構造。
  2. 前記プラットホームは間隔を開けて対向するように建設されていて前記音を吸収するように両側に設けられた吸音材と前記音の通過を遮断するように前記両側の吸音材の間に設けられた遮音板とを備えた第2吸音パネルを前記間隔の部分に前記車両に平行な方向に通路間隔を開けて配設したことを特徴とする請求項1に記載の防音構造。
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