JP2005179634A - 高分子発光体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発光素子の発光層に用いたとき、寿命の一層長い発光素子を与えることができる高分子発光体組成物を提供する。
【解決手段】 高分子発光体と、イオン対とを含有する高分子発光体組成物であって、該イオン対の陰イオンが、下記式(1)で示される高分子発光体組成物。


Figure 2005179634

(式中、Yは第13族の原子を表し、Arは、電子吸引性の置換基を有するアリール基または電子吸引性の置換基を有する1価の複素環基を表し、Qは酸素原子または直接結合を表し、Xはハロゲン原子、アルキル基等を表し、aは1以上4以下の整数を表す。Ar、QおよびXがそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【選択図】 なし


Description

本発明は、高分子発光体組成物、高分子発光体溶液組成物およびそれを用いた高分子発光素子(高分子LED)に関する。
高分子発光体(高分子量の発光材料)は低分子量のそれとは異なり溶媒に可溶であるため塗布法により発光素子における発光層を形成でき、素子の大面積化の要求に合致している。このため、近年種々の高分子発光材料が提案されている(例えば、非特許文献1)。
Advanced Materials Vol.12 1737-1750 (2000)
ところで、発光素子は、その寿命が長い、すなわち駆動による輝度の経時的な低下の度合が少ないことが望まれる。
しかしながら、高分子発光体を用いたときに、その素子の寿命は未だ十分なものではなかった。
本発明の目的は、発光素子の発光層に用いたとき、寿命の一層長い発光素子を与えることができる高分子発光体組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく検討した結果、高分子発光体に、陰イオンとして、第13族の原子1個を有し、その原子が、電子吸引性の置換基を有するアリール基または電子吸引性の置換基を有する複素環基と直接または酸素原子を介して結合するという特定構造の陰イオンを有するイオン対を含有させると寿命の著しく向上した発光素子を与えることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、高分子発光体と、イオン対とを含有する高分子発光体組成物であって、該イオン対の陰イオンが、下記式(1)で示されることを特徴とする高分子発光体組成物を提供するものである。


Figure 2005179634

(式中、Yは第13族の原子を表し、Arは、電子吸引性の置換基を有するアリール基または電子吸引性の置換基を有する1価の複素環基を表し、Qは酸素原子または直接結合を表し、Xはハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換アミノ基、アミド基、酸イミド基、アシルオキシ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、シアノ基またはニトロ基を表し、aは1以上4以下の整数を表す。Ar、QおよびXがそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)

また、本発明は、上記高分子発光体組成物に加え、さらに溶媒を含有する高分子発光体溶液組成物に関する。
本発明の高分子発光体組成物を発光素子の発光層に含有させることにより、その素子の寿命を長くすることができる。したがって、本発明の高分子発光体組成物を使用した高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライトまたは照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の装置に好ましく使用できる。
本発明の組成物に用いるイオン対は、その陰イオンが、上記式(1)で示されることを特徴とする。
(1)式における、Yは第13族(IIIB族)の原子を表し、好ましくはホウ素、アルミニウム、ガリウムであり、より好ましくはホウ素である。
(1)式における、Arは、電子吸引性の置換基を有するアリール基または電子吸引性の置換基を有する1価の複素環基を表す。
ここに電子吸引性の置換基とは、共鳴効果や誘起効果により電子を引付ける原子または原子団を表し、その例として、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルキル基などが挙げられる。
電子吸引性の置換基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、フッ素原子が好ましい。
アシル基は、炭素数が通常2〜20程度であり、その具体例として、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
アルキルオキシカルボニル基は、炭素数が通常2〜20程度であり、その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、i−プロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、 i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ラウリルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基などが例示される。
アリールオキシカルボニル基は、炭素数が通常7〜60程度であり、その具体例としては、フェノキシカルボニル基、C1〜C12アルコキシフェノキシカルボニル基、C1〜C12アルキルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、ペンタフルオロフェニルオキシカルボニル基などが例示される。
アリールアルキルオキシカルボニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシカルボニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシカルボニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシカルボニル基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシカルボニル基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシカルボニル基などが例示される。
ヘテロアリールオキシカルボニル基(Q3-O(C=O)−で示される基、Q3は1価の複素環基を表す。)は、炭素数が通常2〜60程度であり、具体的には、チエニルオキシカルボニル基、C1〜C12アルキルチエニルオキシカルボニル基、ピロリルオキシカルボニル基、フリルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、C1〜C12アルキルピリジルオキシカルボニル基、イミダゾリルオキシカルボニル基、ピラゾリルオキシカルボニル基、トリアゾリルオキシカルボニル基、オキサゾリルオキシカルボニル基、チアゾールオキシカルボニル基、チアジアゾールオキシカルボニル基などが例示される。
パーフルオロアルキル基は、直鎖、分岐または環状のアルキル基上の全ての水素原子をフッ素で置換した基を表し、炭素数が通常1〜20程度であり、その具体例としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基、パーフルオロブチル基、ノナフルオロ−i−ブチル基、1,1−ビストリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロラウリル基などが例示される。
次に式(1)のAr1における電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有する1価の複素環基について説明する。
電子吸引性の置換基を有するアリール基は、炭素数が通常6〜60程度でありその例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等に1個以上の上記電子吸引性の置換基が置換したものがあげられる。
電子吸引性の置換基を有する1価の複素環基は、炭素数が通常2〜60程度であり、その例としては、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾール基、チアジアゾール基等に1個以上の上記電子吸引性の置換基が置換したものが例示される。
Arとしては、具体的には下記(I)〜(V)に例示の基が挙げられる。
(I)電子吸引性の置換基を有するアリール基:

Figure 2005179634
(II)電子吸引性の置換基を有する1価の複素環基:

Figure 2005179634
(III)電子吸引性の置換基としてフッ素原子またはトリフルオロメチル基を有するアリール基:

Figure 2005179634
(IV)電子吸引性の置換基としてフッ素原子またはトリフルオロメチル基を有する1価の複素環基:


Figure 2005179634
(V)パーフルオロアリール基:
パーフルオロアリール基としては、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロ−1−ナフチル基、ヘプタフルオロ−2−ナフチル基、ノナフルオロ−1−ビフェニル基、ノナフルオロ−2−ビフェニル基、ノナフルオロ−1−アントラセニル基、ノナフルオロ−2−アントラセニル基、ノナフルオロ−9−アントラセニル基が例示される。
電子吸引性の置換基として、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を有するものが好ましく(上記式(III)、(IV)および(V))、パーフルオロアリール基(上記式(V))がより好ましい。
式(1)におけるQは酸素原子または直接結合を表し、好ましくはQが直接結合の場合である。
式(1)において、Xはハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換アミノ基、アミド基、酸イミド基、アシルオキシ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、シアノ基またはニトロ基を表す。
Xにおける、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、よう素が例示される。
アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよく、炭素数が通常1〜20程度であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、 i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが例示される。
アルキルオキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよく、炭素数が通常1〜20程度であり、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが例示される。
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよく、炭素数が通常1〜20程度であり、その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、 i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、 i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが例示される。
アリール基は、置換基を有していてもよく、炭素数が通常3〜60程度であり、その具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示される。
アリールオキシ基は、芳香環上に置換基を有していてもよく、炭素数が通常3〜60程度であり、その具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示される。
アリールチオ基は、芳香環上に置換基を有していてもよく、炭素数が通常3〜60程度であり、その具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示される。
アリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数が通常7〜60程度であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示される。
アリールアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよく、炭素数が通常7〜60程度であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示される。
アリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、炭素数が通常7〜60程度であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基などが例示される。
アルケニル基は、炭素数が通常2〜20程度であり、その具体例としてはビニル基、1−プロピレニル基、2−プロピレニル基、3−プロピレニル基、ブテニル基、ペンテニル基、へキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。
また、アルケニル基には1,3−ブタジエニル基などのアルカジエニル基も含まれる。
アルキニル基は、炭素数が通常2〜20程度であり、その具体例としてはエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプテニル基、オクチニル基、シクロヘキシルエチニル基が挙げられる。また、アルキニル基には1,3−ブタジイニル基などのアルキジエニル基も含まれる。
アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜50程度であり、アリールアルケニルにおけるアリール基、アルケニル基としては、上記記載のアリール基、アルケニル基とそれぞれ同様である。その具体例としては、1−アリールビニル基、2−アリールビニル基、1−アリール−1−プロピレニル基、2−アリール−1−プロピレニル基、2−アリール−2−プロピレニル基、3−アリール−2−プロピレニル基などが挙げられる。また、4−アリール1,3−ブタジエニル基などのアリールアルカジエニル基も含まれる。
アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜50程度であり、アリールアルキニル基におけるアリール基、アルキニル基としては、上記のアリール基、アルキニル基とそれぞれ同様である。その具体例としては、アリールエチニル基、3−アリール−1−プロピオニル基、3−アリール−2−プロピオニル基等が挙げられる。また、4−アリールー1,3−ブタジイニルなどのアリールアルカジイニル基も含まれる。
置換シリルオキシ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルオキシ基(HSiO−)があげられる。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
置換シリルオキシ基は、炭素数が通常1〜60程度、好ましくは炭素数3〜30であり、その具体例としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−プロピルシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、t−ブチルシリルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基などが例示される。
置換シリルチオ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルチオ基(HSiS−)があげられる。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
置換シリルチオ基は、炭素数が通常1〜60程度、好ましくは炭素数3〜30であり、その具体例としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリ−n−プロピルシリルチオ基、トリ−i−プロピルシリルチオ基、t−ブチルシリルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、t−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基などが例示される。
置換シリルアミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1〜6個の基で置換されたシリルアミノ基(HSiNH−または(HSi)N−)が挙げらる。なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
置換シリルアミノ基は、炭素数が通常1〜120程度、好ましくは炭素数3〜60であり、その具体例としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリ−n−プロピルシリルアミノ基、トリ−i−プロピルシリルアミノ基、t−ブチルシリルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、t−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(トリエチルシリル)アミノ基、ジ(トリ−n−プロピルシリル)アミノ基、ジ(トリ−i−プロピルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルシリルジメチルシリル)アミノ基、ジ(トリフェニルシリル)アミノ基、ジ(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ジ(トリベンジルシリル)アミノ基、ジ(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジフェニルシリル)アミノ基、ジ(ジメチルフェニルシリル)アミノ基などが例示される。
置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基があげられ、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基は炭素数が通常1〜40程度であり、その具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
アミド基は、炭素数が通常2〜20程度であり、その具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基などが例示される。
酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基があげられ、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜20である。具体的には以下に示す基が例示される。

Figure 2005179634
アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度であり、その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常2〜60程度であり、具体的には、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾール基、チアジアゾール基などが例示される。
ヘテロアリールオキシ基(Q1-O−で示される基、Q1は1価の複素環基を表す)は、炭素数が通常2〜60程度であり、その具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基、チアジアゾールオキシ基などが例示される。
ヘテロアリールチオ基(Q2−S−で示される。Q2は1価の複素環基を表す。)は、炭素数が、通常2〜60程度で、その具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基、チアジアゾールメルカプト基などが例示される。
式(1)において、aは1以上4以下の整数を表し、素子にした時の長寿命化の観点から、aは3以上であることが好ましく、更に好ましくはaが4の場合である。
式(1)で示される陰イオンの中でも、長寿命化の観点からArがパーフルオロアリール基である場合が好ましい。
式(1)で示される陰イオンの中でも、Yがホウ素原子である場合が好ましく、(1−1)で表される場合、長寿命化の観点からより好ましい。

Figure 2005179634

(式中、Ar、Xおよびaは上記と同じ意味を表す。)
さらに好ましくは、上記式(1−1)が、下記式(2)で表される場合である。
〔B(Ar4- (2)
(式中、Arはフッ素およびトリフルオロメチル基から選ばれる2以上で置換されているフェニル基を表す。Arは、それぞれは同一でも異なっていてもよい)。
(2)式中、Arが全て同一であるものが好ましい。
その例として、下記式(VI)、(VII)で示されるものがあげられ、式(VI)で示されるものが好ましい。

Figure 2005179634



Figure 2005179634
また、上記式(1−1)が下記式(6)で表される場合も好ましい。

Figure 2005179634

式中、Xは上記と同じ意味を表す。Arはパーフルオロアリール基を表し、fは3または4の整数を表す。
具体的には、下記の陰イオンが例示される。

Figure 2005179634
次に本発明の組成物が含有するイオン対の陽イオンについて述べる。陽イオンとしては水素イオン、金属カチオンもしくはカルボカチオンであるか、または、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、塩素原子、セレン原子、臭素原子、テルル原子およびヨウ素原子から選択される元素のオニウムが挙げられる。
金属カチオンとしてはアルカリ金属のカチオン、アルカリ土類金属のカチオン、希土類のカチオン、遷移金属のカチオン等があげられ、1価または2価以上の多価でもよい。重原子効果による消光を起こす場合があるので、原子量が50未満であることが好ましい。
具体的にはアルカリ金属のカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオンが挙げられる。
アルカリ土類金属のカチオンとしては、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、(MgCl)、(MgBr)、(MgI)が挙げられ、
希土類のカチオンとしては、スカンジウムイオン、イットリウムイオンが挙げられ、
遷移金属のカチオンとしては、チタニウムイオン、ジルコニウムイオン、ハフニウムイオン、バナジウムイオン、クロミウムイオン、[ビス(η−ベンゼン)Cr]、マンガンイオン、鉄イオン、[(η−シクロペンタジエニル)(η−ベンゼン)Fe]、[(η−シクロペンタジエニル)(η−トルエン)Fe]、[(η−シクロペンタジエニル)(η−1−メチルナフタリン)Fe]、[(η−シクロペンタジエニル)(η−クメン)Fe]、[ビス(η−メシチレン)Fe]、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオンなどが例示される。
カルボカチオンとしては1価または2価以上の多価でもよく、メチリウム、エチリウム、ネオペンチリニウム、シクロプロペニリウム、フェニリウム、アントリリウム、トリフェニルメチリウムが例示される。
窒素原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、下記式に示す脂肪族アンモニウム塩、

Figure 2005179634

下記式に示す環状脂肪族アンモニウム塩、

Figure 2005179634

下記式に示す芳香族アンモニウム塩、

Figure 2005179634

下記式に示す窒素原子を含む複素環のオニウム、


Figure 2005179634

下記式(3)などが例示される。

Figure 2005179634
〔式中、RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基またはヘテロアリールオキシ基を表す。RおよびRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基を表す。Zは、直接結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基または2価の複素環基を表す。bおよびcはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。RおよびRがそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。〕
、R、RおよびRにおけるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、置換アミノ基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基の定義、具体例は、上記Xおよび電子吸引性の置換基に記載と同様である。
イミン残基とは、イミン化合物(分子内に、−N=C-を持つ有機化合物のことをいう。その例として、アルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物があげられる)から水素原子1個を除いた残基があげられ、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜20である。具体的には、以下の構造式で示される基などが例示される。

Figure 2005179634
置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基があげられ、炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜30である。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
上記式(3)のZにおける、アルキレン基としては、炭素数は1〜20程度であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基などが例示される。
アリーレン基は炭素数が通常6〜60、好ましくは6〜20であり、フェニレン基(例えば、下図の式1〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、アントラセニレン基(下図の式14〜19)、ビフェニレン基(下図の式20〜25)、トリフェニレン基(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜38)などが例示される。なお式中、アリーレン基上の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基に置換されていてもよい。ただし、アリーレン基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。

Figure 2005179634

Figure 2005179634

Figure 2005179634

Figure 2005179634

Figure 2005179634

2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は、通常2〜60、好ましくは4〜20である。ここで複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。以下に2価の複素環基を例示する。なお式中、2価の複素環基上の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基に置換されていてもよい。ただし、2価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基;ピリジンージイル基(下図の式39〜44)、ジアザフェニレン基(下図の式45〜48)、キノリンジイル基(下図の式49〜63)、キノキサリンジイル基(下図の式64〜68)、アクリジンジイル基(下図の式69〜72)、ビピリジルジイル基(下図の式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下図の式76〜78)、など。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下図の式79〜93)。また、窒素原子を含む式82〜84のカルバゾールやトリフェニルアミンジイル基などの芳香族アミンモノマーを有していることが発光効率の点で望ましい。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基:(下図の式94〜98)が挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基:(下図の式99〜109)、ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル基やベンゾオキサジアゾール-4,7-ジイル基などがが挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基:(下図の式110〜118)が挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基:(下図の式112〜118)が挙げられる。

Figure 2005179634

Figure 2005179634

Figure 2005179634

Figure 2005179634


Figure 2005179634

Figure 2005179634


Figure 2005179634

Figure 2005179634

Figure 2005179634
式中、R'はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基または1価の複素環基を表す。R''はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基または1価の複素環基を表す。
R'、R''におけるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、置換アミノ基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基および1価の複素環基の定義、具体例としては、Xに記載のものと同様である。
R'、R''におけるアシル基の定義、具体例としては、上記Arにおける電子吸引性の置換基に記載のものと同様である。
R'、R''におけるイミン残基および置換シリル基の定義、具体例としては、上記R、R、RおよびRに記載のものと同様である。
式(3)におけるアルケニレン基としては、炭素数は2〜20程度であり、ビニレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、アルケニレン基には、1,3−ブタジエニレン基等のアルカジエニレン基も含まれる。
アルキニレン基としては、炭素数は2〜20程度であり、エチニレン基などが例示される。また、アルキニレン基には、三重結合を2個有する基も含まれ、例えば、1,3−ブタンジイニレン基があげられる。
式(3)の具体例としては、以下があげられる。
Figure 2005179634


イオン対の陽イオンが、上記式(3)で表される2価の陽イオンである場合、発光強度の点で好ましい。
酸素原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、トリメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、トリプロピルオキソニウム、トリブチルオキソニウム、トリヘキシルオキソニウム、トリフェニルオキソニウム、ピリリニウム、クロメニリウム、キサンチリウムが例示される。
リン原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウムが例示される。
硫黄原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、トリプロピルスルホニウム、トリブチルスルホニウム、トリヘキシルスルホニウムなどの脂肪族スルホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムなどの芳香族スルホニウム、メチルジフェニルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウムまたは下記式で示されるオニウムが例示される。


Figure 2005179634
塩素原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、ジメチルクロロニウム、ジエチルクロロニウム、ジプロピルクロロニウム、ジブチルクロロニウム、ジフェニルクロロニウム、メチルフェニルクロロニウムが例示される。
セレン原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、トリメチルセレニウム、トリエチルセレニウム、トリプロピルセレニウム、トリブチルセレニウム、トリヘキシルセレニウム、トリフェニルセレニウム、トリ(4−メチルフェニル)セレニウム、トリ(4−t−ブチルフェニル)セレニウム、メチルジフェニルセレニウム、ジメチルフェニルセレニウムが例示される。
臭素原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、ジメチルブロモニウム、ジエチルブロモニウム、ジプロピルブロモニウム、ジブチルブロモニウム、ジフェニルブロモニウム、メチルフェニルブロモニウムが例示される。
テルル原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、トリメチルテルロニウム、トリエチルテルロニウム、トリプロピルテルロニウム、トリブチルテルロニウム、トリヘキシルテルロニウム、トリフェニルテルロニウム、トリ(4−メチルフェニル)テルロニウム、トリ(4−t−ブチルフェニル)テルロニウム、メチルジフェニルテルロニウム、ジメチルフェニルテルロニウムが例示される。
ヨウ素原子のオニウムとしては1価または2価以上の多価でもよく、ジメチルヨードニウム、ジエチルヨードニウム、ジプロピルヨードニウム、ジブチルヨードニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム、メチルフェニルヨードニウムまたは下記式で示されるオニウムが例示される。



Figure 2005179634

本発明に用いるイオン対としては、具体的には以下の化合物が例示される。
陽イオンが金属カチオンであるものとして例えば、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
陽イオンがカルボカチオンであるものとしては下記のイオン対が例示される。



Figure 2005179634



陽イオンがリン原子のオニウムであるものとしてテトラフェニルホスホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラメチルホスホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
陽イオンが硫黄原子のオニウムであるものとして、芳香族スルホニウム塩系のものがあげられその例として、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。また、脂肪族スルホニウム塩系のものがあげられその例としてトリメチルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられ、その他としては、ジメチルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
陽イオンがヨウ素原子のオニウムであるものとして、芳香族ヨードニウム塩系のものがあげられ、その例として、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート〔ローディア社より「ロードシル(RHODORSIL)光重合開始剤 PI−2074」の名前で市販されている。〕が挙げられ、脂肪族ヨードニウム塩系のものとしては、また、脂肪族ヨードニウム塩系のものがあげられその例としてジメチルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられ、その他としては、メチルフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
陽イオンが窒素原子のオニウムであるものとして、芳香族アンモニウム塩系のものとしては、例えば4−{4−(ジメチルアミノ)スチリル}−N−メチルピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トランス−4−{2−(1−フェロセニル)ビニル}−1−メチルピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、が挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩系のものとしては、テトラメチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラエチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラブチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラドデシルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
芳香族アミニウム塩系のものとしては、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ビフェニレンジアミニウム ビス(テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩系のものもあげられ、その例として、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
芳香族アンモニウム塩系のものとして、下記式(4)で表される新規な化合物があげられる。

Figure 2005179634
式中、R、R、R、R、Z、bおよびcは、上記と同じ意味を表す。
上記式(4)で表される化合物としては、以下に例示の化合物が挙げられる。

Figure 2005179634
Figure 2005179634
下記式(4)で表される化合物は、例えば、下記式(7)で表される化合物とLi[B(C]・n(EtO)とを反応させることにより製造することができる。

Figure 2005179634


〔式中、R、R、R、R、Z、bおよびc上記と同じ意味を表す。X1−およびX2−はそれぞれ独立にハロゲン化物イオン、アルキルスルホネートイオン、アリールスルホネートイオンを表す。〕
ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが例示される。
アルキルスルホネートイオンとしては、メタンスルホネートイオン、エタンスルホネートイオン、トリフルオロメタンスルホネートイオンが例示される。
アリールスルホネートイオンとしては、ベンゼンスルホネートイオン、p−トルエンスルホネートイオンが例示される。
次に、本発明に用いる高分子発光体について説明する。
本発明に用いる高分子発光体は、特に限定されず、ポリスチレン換算の数平均分子量が通常10〜10程度である。本発明に用いられる高分子発光体は、単独重合体であっても共重合体でもよい。
本発明に用いる高分子発光体のなかでは、共役系高分子化合物であるものが好ましい。ここに、共役系高分子化合物とは高分子化合物の主鎖骨格に沿って非局在π電子対が存在している高分子化合物を意味する。この非局在電子としては、2重結合のかわりに不対電子または孤立電子対が共鳴に加わる場合もある。
本発明に用いられる高分子発光体としては、例えば、ポリフルオレン〔例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)第30巻、L1941頁(1991年)〕、ポリパラフェニレン〔例えば、アドバンスト・マテリアルズ(Adv.Mater.)第4巻、36頁(1992年)〕、ポリピロール、ポリピリジン、ポリアニリン、ポリチオフェン等のポリアリーレン系
;ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン等のポリアリーレンビニレン系(例えば、WO98/27136号公開明細書)
;ポリフェニレンサルファイド、ポリカルバゾール等が挙げられる。
〔総説としては、例えば「Advanced Materials Vol.12 1737-1750 (2000)」や、「有機ELディスプレイ技術 月刊ディスプレイ 12月号増刊 P68〜73」〕
中でも、ポリアリーレン系の高分子発光体が好ましい。
ポリアリーレン系の高分子発光体が含む繰り返し単位としては、アリーレン基、2価の複素環基があげられこれらの繰り返し単位を20〜100モル%からなるものが好ましく、50〜99モル%からなるものがさらに好ましい。
ここに、アリーレン基の環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、その具体例として、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ペンタレンジイル基、インデンジイル基、ヘプタレンジイル基、インダセンジイル基、トリフェニレンジイル基、ビナフチルジイル基、フェニルナフチレンジイル基、スチルベンジイル基、フルオレンジイル基(例えば、下式(5)で、A=−CR'R'−である場合)等があげられる。
また、2価の複素環基の環を構成する炭素数は通常3〜60程度であり、具体例としては、ピリジンージイル基、ジアザフェニレン基、キノリンジイル基、キノキサリンジイル基、アクリジンジイル基、ビピリジルジイル基、フェナントロリンジイル基、下式(5)で、A=-O-、-S-、-Se-、−NR''−、または−SiR'R'−である場合があげられる。
更に好ましくは、下記式(5)で示される繰返し単位を含む場合である。

Figure 2005179634


(式中、Aは、式中の2個のベンゼン環上の4個の炭素原子と一緒になって5員環または6員環を完成させるための原子または原子群を表し、R4a、R4b、R4c、R5a、R5bおよびR5cは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基を表し、R4bとR4c、およびR5bとR5cは、それぞれ一緒になって環を形成していてもよい。)
Aは、式(5)中の2個のベンゼン環上の4個の炭素原子と一緒になって5員環または6員環を完成させるための原子または原子群を表し、具体例としては、下記に示すが、これらに限定されるものではない。

Figure 2005179634

式中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシルオキシ基、置換アミノ基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基または1価の複素環基を表す。R'はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基または1価の複素環基を表す。R''はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基または1価の複素環基を表す。
R、R'、R''におけるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換アミノ基、アミド基、酸イミド基、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基の具体例としては、Xに例示のものが挙げられる。
Aの中では、−O−、−S−、−Se−、−NR''−、−CR''−または−SiR''−が好ましく、-O-、-S-、−CR'R'−がより好ましい。
4a、R4b、R4c、R5a、R5bおよびR5cにおけるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基は前記と同様である。
上記式(5)で示される繰返し単位としては、下記の構造が例示される。


Figure 2005179634

Figure 2005179634

式中、ベンゼン環上の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基に置換されていてもよい。
本発明に用いる高分子発光体は、アリーレン基、2価の複素環基の他に、例えば、芳香族アミンから誘導される繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、正孔注入性、輸送性を付与し得る。
この場合、アリーレン基、2価の複素環基からなる繰り返し単位と芳香族アミンから誘導される繰り返しのモル比率は、通常99:1〜20:80の範囲である。
芳香族アミンから誘導される繰返し単位としては、下記式(8)で表される繰返し単位が好ましい。

Figure 2005179634
式中、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基を表す。Ar、ArおよびAr10は、それぞれ独立にアリール基または1価の複素環基を表す。oおよびpはそれぞれ独立に0または1を表し、0≦o+p≦2である。
ここで、アリーレン基、2価の複素環基、アリール基および1価の複素環基の具体例としては、上記式(1)のXまたは式(3)のZに例示の基が挙げられる。
上記式(8)で示される繰り返し単位の具体例としては、以下の繰返し単位があげられる。
Figure 2005179634
式中、芳香環上の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基およびカルボキシル基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
上記式(8)で表される繰返し単位の中で、下式(9)で表される繰り返し単位が特に好ましい。

Figure 2005179634
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基を表す。xおよびyはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。zは0〜2の整数を示す。wは0〜5の整数を示す。
本発明に用いられる高分子発光体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。発光の量子収率の高い高分子発光体を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
本発明に用いられる高分子発光体の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていても良い。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素―炭素結合を介してアリール基または複素環基と結合している構造が例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
本発明に用いられる高分子発光体は、数平均分子量がポリスチレン換算で103〜108程度であることが好ましく、中でも、数平均分子量がポリスチレン換算で10〜10程度である場合、更に好ましい。
また、薄膜からの発光を利用するので高分子発光体としては、固体状態で発光を有するものが好適に用いられる。
本発明に用いる高分子発光体の合成法としては、例えば該当するモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignardカップリング反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。これらのうち、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignardカップリング反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が、反応制御が容易であり、好ましい。
高分子発光体を高分子LEDの発光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
本発明の高分子発光体組成物は高分子発光体とイオン対とを含有することを特徴とするが、イオン対の含有量が、高分子発光体を100重量部としたとき、通常0.001〜10重量部程度であり、好ましくは、0.001〜5重量部、より好ましくは0.001〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部である。
また本発明の高分子発光体溶液組成物は、高分子発光体と、イオン対と溶媒とを含有することを特徴とする。この溶液組成物を用いて、塗布法により、発光層を形成できる。この溶液組成物を用いて、製造された、発光層は通常は、本発明の高分子発光体組成物を含むものとなる。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子発光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
溶媒の量は、高分子発光体100重量部に対して、通常1000〜100000重量部程度である。
本発明の組成物は、必要に応じ、色素、電荷輸送材料等を含有していてもよい。
本発明の高分子LEDは、陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が本発明の高分子発光体組成物を含むことを特徴とする。
また、本発明の高分子LEDは、 陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が本発明の溶液組成物を用いて形成されることを特徴とする。
また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)

ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。
発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極

電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103S/cm以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
発光層は、例えば、本発明の高分子発光体溶液組成物を用いて、溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDにおいては、発光層に上記高分子発光体以外の発光材料を混合して使用してもよい、上記高分子発光体以外の発光材料を含む発光層が、上記高分子発光体を含む発光層と積層されていてもよい。
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
本発明の高分子LEDにおいて、通常は、陽極および陰極からなる電極の少なくとも一方が透明または半透明であり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けても良く、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
本発明の素子の中では、発光層を形成する際または形成後に、50℃以上の温度で熱処理して製造された素子が寿命の観点から好ましい。
熱処理の条件は、通常は、熱処理によりオニウム塩が分解する条件があげられ
熱処理の温度は、50℃以上であり、 50℃〜 300℃の範囲が好ましい。
熱処理の時間は通常 1秒〜24時間 程度である。
熱処理は、例えば、ホットプレート、オーブン、赤外線ランプなどを用いて行うことができる。また、熱処理は、減圧下で行ってもよい。
熱処理は、発光層を形成後に実施することが好ましく、発光層を形成した直後であることがより好ましい。
また本発明の素子は、発光層を形成する際または形成後に、放射線を照射して製造されたものであってもよい。放射線としては、例えば、紫外線、電子線、X線があげられ、紫外線が好ましい。
本発明の高分子LEDは面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子発光体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは発光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動しても良い。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、数平均分子量については、クロロホルムまたはテトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
合成例1
<高分子発光体1の合成>
2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(26g、0.047mol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソペンチルフルオレン(5.6g、0.012mol)および2,2’−ビピリジル(22g、0.141mol)を脱水したテトラヒドロフラン1600mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(40g、0.15mol)加え、60℃まで昇温し、8時間反応させた。反応後、この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水200mL/メタノール1200mL/イオン交換水1200mL混合溶液中に滴下して30分間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して風乾した。その後、トルエン1100mLに溶解させてからろ過を行い、ろ液をメタノール3300mLに滴下して30分間攪拌した。析出した沈殿をろ過し、メタノール1000mLで洗浄した後、5時間減圧乾燥した。得られた高分子発光体1の収量は20gであった。高分子発光体1のポリスチレン換算の平均分子量は、Mn=4.6×104、Mw=1.1×10であった。
<高分子発光体溶液組成物の調整>
高分子発光体1をトルエンに1.5wt%、さらにオニウム塩を表1に示される添加量で混合し溶解させた。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調整した。オニウム塩としては下式で示されるローディア製のロードシル光重合開始剤PI-2074を用いた。オニウム塩の添加量は、高分子発光体の重量100重量部に対する重量部で表した。
Figure 2005179634
Figure 2005179634
<素子の作成および評価>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(
エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、Baytron)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、調整した高分子発光体塗布溶液を用いて1400rpmの回転数のスピンコートにより約85nmの厚みで成膜した。UV露光を行う場合は、その後窒素雰囲気下でi線(365nm)で測定した照度が50W/cm2の高圧水銀ランプで10秒間UV露光を行った。さらに、これを減圧下90℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを1nm、陰極として、カルシウムを5nm、次いでアルミニウムを100nm蒸着して、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10-5Torrであった。得られた素子に電圧を印加することにより、高分子発光体からのEL発光が得られた。得られた素子の特性を表1に示す。寿命試験は、発光部が2mm×2mm(面積4mm2 )の素子で1mAの定電流駆動を行いながら輝度を測定した。換算寿命は、初期輝度100Cd/m駆動時の寿命に換算したもので、半減寿命∝(初期輝度)-1の関係を仮定している(有機EL材料とディスプレイ、シーエムシー刊(2001年)、107ページの記載)。イオン対を含まない高分子発光体溶液組成物を用いて作成した比較例1の素子に比べて、イオン対を含む高分子発光体溶液組成物を用いて作成した実施例1の素子は、著しい寿命の改善が見られた。
合成例2
<高分子発光体2の合成>
合成例1と同様の操作で、高分子発光体2を得た。高分子発光体2のポリスチレン換算の平均分子量は、Mn=9.9×104、Mw=2.0×10であった。
合成例3
〈トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩(略称TPSTB)の合成〉
Figure 2005179634

100 ml-三つ口フラスコ中でリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.90gとクロロホルム10 mlを混合した。続いてトリフェニルスルホニウム塩化物0.30 gの10 ml水溶液を加えて24 時間攪拌した。水層を除いた後、イオン交換水で洗浄した。クロロホルム溶液を濃縮乾固し、メタノール−t-ブチルメチルエーテルより再結晶することにより白色固体0.80 gを得た。
1H-NMR (300 MHz / CDCl3) : δ(ppm) 7.50 (d, 2H), 7.70 (dd, 2H), 7.83 (dd, 1H).
19F-NMR (300 MHz / CDCl3) : δ(ppm) 128.85 (d, 2F), 159.28 (dd, 1F), 163.09 (dd, 2F).
合成例4
〈トリメチルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩(略称TMeSTB)の合成〉

Figure 2005179634

100 ml-三つ口フラスコ中でリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.27gとクロロホルム10 mlを混合した。続いてトリメチルスルホニウム臭化物0.10 gの10 ml水溶液を加えて21 時間攪拌した。析出した固体をろ取し、クロロホルムと水で洗浄することにより、白色固体0.18 gを得た。
1H-NMR (300 MHz / DMSO-d6) : δ(ppm) 2.90 (s, 9H)
19F-NMR (300 MHz / DMSO-d6) : δ (ppm) 132.86 (d, 2F), 161.75 (dd, 1F), 166.41 (dd, 2F).
合成例5
〈テトラブチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩(略称N4B)の合成〉
Figure 2005179634

50ml2口フラスコを窒素置換し、テトラブチルアンモニウムクロライド0.15g(を4.4mlの水に溶解し、リチウム[テトラキス(ペンタフルオロベンゼン)]ボレート0.44gを加えた。一旦、溶解後、固体が析出した。クロロホルム4.4mlを加えると固体は溶解した。5時間攪拌後、分液し、水相を5mlのクロロホルムで2回抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、0.45gの1を得た。
1H-NMR(300MHz、CDCl
δ3.09〜3.03(8H、m)、1.62〜1.51(8H、m)、1.42〜1.30(8H、m)、0.97(12H、t)
19F-NMR(300MHz、CDCl
δ14.2、10.3、−133.1
MS(ESI-positive)
m/z:242
MS(ESI-negative)
m/z:679
実施例5
1‘−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウム ビステトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成)


Figure 2005179634

25mlシュレンク管を窒素置換し、1,1'-Diphenyl-4,4'-Bipyridinium Dichloride 57mgを2.5mlの水に溶解し、リチウム[テトラキス(ペンタフルオロベンゼン)]ボレート250mgを加えた。クロロホルム2.5mlを加え、7時間攪拌した。分液し、水相を濾過、洗浄した。残渣と有機層を合わせ、溶媒を留去したところ、129mgの1,1‘−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウム ビステトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを得た。
H−NMR(300MHz、DMSO−d
δ9.71(4H、d)、9.07(4H、d)、7.98(4H、d)、7.83〜7.79(6H、m)
19F−NMR(300MHz、DMSO−d
δ−132.8、−161.8、−166.3
合成例6
(4−{4−(ジメチルアミノ)スチリル}−N−メチルピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成)

Figure 2005179634

25mlシュレンク管を窒素置換し、4-(4-(Dimethylamino)styryl)-N-methylpyridinium Iodide 113mgを2.5mlの水に懸濁させ、リチウム[テトラキス(ペンタフルオロベンゼン)]ボレート250mgを加えた。クロロホルム2.5mlを加え、7時間攪拌した。分液し、水相を濾過、洗浄した。残渣と有機層を合わせ、溶媒を留去したところ、91mgの4−{4−(ジメチルアミノ)スチリル}−N−メチルピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを得た。
H−NMR(300MHz、DMSO−d
δ8.69(2H、d)、8.05(2H、d)、7.91(1H、d)、7.60(2H、d)、7.17(1H、d)、6.79(2H、d)、4.18(3H、s)、3.03(6H、s)
19F−NMR(300MHz、DMSO−d6)
δ−132.8、−161.8、−166.3
合成例7
(トランス−4−{2−(1−フェロセニル)ビニル}−1−メチルピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成)

Figure 2005179634

25mlシュレンク管を窒素置換し、Trans-4-〔2-(1-Ferrocenyl)vinyl〕-1-methylpyridinium Iodide 130mgを2.5mlの水に懸濁させ、リチウム[テトラキス(ペンタフルオロベンゼン)]ボレート250mgを加えた。クロロホルム2.5mlを加え、7時間攪拌した。分液し、水相を濾過、洗浄した。残渣と有機層を合わせ、溶媒を留去したところ、167mgのトランス−4−{2−(1−フェロセニル)ビニル}−1−メチルピリジニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを得た。
H−NMR(300MHz、DMSO−d
δ8.73(2H、d)、8.06(2H、d)、7.89(1H、d)、6.97(2H、d)、4.75(2H、s)、4.60(2H、s)、4.23(5H、s)、4.19(3H、s)
19F−NMR(300MHz、DMSO−d
δ−132.6、−161.8、−166.1
合成例8
〈テトラドデシルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成〉

Figure 2005179634

25mlシュレンク管を窒素置換し、Tetradodecylammonium Chloride 225mgを2.5mlの水に溶解し、リチウム[テトラキス(ペンタフルオロベンゼン)]ボレート250mgを加えた。クロロホルム2.5mlを加え、7時間攪拌した。分液し、水相をクロロホルムで抽出し、溶媒を留去したところ、407mgのテトラドデシルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを得た。
H−NMR(300MHz、CDCl
δ3.02(8H、br)、1.56(8H、br)、1.29〜1.23(44H、m)、0.87(12H、t)
19F−NMR(300MHz、CDCl
δ−132.2、−162.5、−166.5
<高分子発光体溶液組成物の調製>
高分子発光体2をトルエンに1.5wt%、さらに添加物として金属塩、またはオニウム塩を表2に示される添加量で混合し溶解させた。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調整した。金属塩、オニウム塩としては、合成例で合成したもの、及び下記に示される試薬購入品(試薬会社名を記載)ものを用いた。金属塩、オニウム塩の添加量は、高分子発光体の重量100重量部に対する重量部で表した。
LiB:リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート エチルエーテルコンプレックス (東京化成製)
AB:N,N−ジメチルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート (STREM CHEMICALS製)
TB:トリチル テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
(STREM CHEMICALS製)
Figure 2005179634
<素子の作成および評価>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(
エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、Baytron)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、調製した高分子発光体塗布溶液を用いて1400rpmの回転数のスピンコートにより約85nmの厚みで成膜した。UV露光を行う場合は、その後窒素雰囲気下でi線(365nm)で測定した照度が50W/cm2の高圧水銀ランプで10秒間UV露光を行った。さらに、これを減圧下90℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを1nm、陰極として、カルシウムを5nm、次いでアルミニウムを100nm蒸着して、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10-5Torrであった。得られた素子に電圧を印加することにより、高分子発光体からのEL発光が得られた。得られた素子の特性を表2に示す。寿命試験は、発光部が2mm×2mm(面積4mm2 )の素子で10mAの定電流駆動を行いながら輝度を測定した。換算寿命は、初期輝度100Cd/m駆動時の寿命に換算したもので、半減寿命∝(初期輝度)-1の関係を仮定している(有機EL材料とディスプレイ、シーエムシー刊(2001年)、107ページの記載)。イオン対を含まない高分子発光体溶液組成物を用いて作成した評価比較例3,4の素子に比べて、イオン対を含む高分子発光体溶液組成物を用いて作成した評価実施例6〜14の素子は、著しい寿命の改善が見られた。
合成例9
<4−t−ブチル−2,6−ジメチルブロモベンゼンの合成>

Figure 2005179634

不活性雰囲気下で、500mlの3つ口フラスコに酢酸225gを入れ、5−t−ブチル−m−キシレン24.3gを加えた。続いて臭素31.2gを加えた後、15〜20℃で3時間反応させた。
反応液を水500mlに加え析出した沈殿をろ過した。水250mlで2回洗浄し、白色の固体34.2gを得た。
1H−NMR(300MHz/CDCl):
δ(ppm) = 1.3〔s,9H〕、2.4〔s,6H〕、7.1〔s,2H〕
MS(FD)M 241
合成例10
<N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミンの合成>

Figure 2005179634

不活性雰囲気下で、100mlの3つ口フラスコに脱気した脱水トルエン36mlを入れ、トリ(t−ブチル)ホスフィン0.63gを加えた。続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.41g、上記の4−t−ブチル−2,6−ジメチルブロモベンゼン9.6g、t−ブトキシナトリウム5.2g、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン4.7gを加えた後、100℃で3時間反応させた。
反応液を飽和食塩水300mlに加え、約50℃に温めたクロロホルム300mlで抽出した。溶媒を留去した後、トルエン100mlを加えて、固体が溶解するまで加熱、放冷した後、沈殿をろ過し、白色の固体9.9gを得た。
合成例11
<N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミンの合成>

Figure 2005179634

不活性雰囲気下で、1000mlの3つ口フラスコに脱水N,N−ジメチルホルムアミド350mlを入れ、上記のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン5.2gを溶解した後、氷浴下でN−ブロモスクシンイミド3.5g/N,N−ジメチルホルムアミド溶液を滴下し、一昼夜反応させた。
反応液に水150mlを加え、析出した沈殿をろ過し、メタノール50mlで2回洗浄し白色の固体4.4gを得た。
1H−NMR(300MHz/THF−d8):
δ(ppm) = 1.3〔s,18H〕、2.0〔s,12H〕、6.6〜6.7〔d,4H〕、6.8〜6.9〔br,4H〕、7.1〔s,4H〕、7.2〜7.3〔d,4H〕
MS(FD)M 738

合成例12
(化合物Pの合成)

Figure 2005179634

化合物P
不活性雰囲気下、300ml三つ口フラスコに1‐ナフタレンボロン酸5.00g(29mmol)、2−ブロモベンズアルデヒド6.46g(35mmol)、炭酸カリウム10.0g(73mmol)、トルエン36ml、イオン交換水36mlを入れ、室温で撹拌しつつ20分間アルゴンバブリングした。続いてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム16.8mg(0.15mmol)を入れ、さらに室温で撹拌しつつ10分間アルゴンバブリングした。100℃に昇温し、25時間反応させた。室温まで冷却後、トルエンで有機層を抽出、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。トルエン:シクロヘキサン=1:2混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムで生成することにより、化合物P5.18g(収率86%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz/CDCl3):
δ7.39〜7.62(m、5H)、7.70(m、2H)、7.94(d、2H)、8.12(dd、2H)、9.63(s、1H)
MS(APCI(+)):(M+H) 233
合成例13
(化合物Qの合成)

Figure 2005179634

化合物Q
不活性雰囲気下で300mlの三つ口フラスコに化合物P8.00g(34.4mmol)と脱水THF46mlを入れ、−78℃まで冷却した。続いてn−オクチルマグネシウムブロミド(1.0mol/lTHF溶液)52mlを30分かけて滴下した。滴下終了後0℃まで昇温し、1時間撹拌後、室温まで昇温して45分間撹拌した。氷浴して1N塩酸20mlを加えて反応を終了させ、酢酸エチルで有機層を抽出、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後トルエン:ヘキサン=10:1混合溶媒を展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物Q7.64g(収率64%)を淡黄色のオイルとして得た。HPLC測定では2本のピークが見られたが、LC−MS測定では同一の質量数であることから、異性体の混合物であると判断した。
合成例14
(化合物Rの合成)

Figure 2005179634

化合物R
不活性雰囲気下、500ml三つ口フラスコに化合物Q(異性体の混合物)5.00g(14.4mmol)と脱水ジクロロメタン74mlを入れ、室温で撹拌、溶解させた。続いて、三フッ化ホウ素のエーテラート錯体を室温で1時間かけて滴下し、的か終了後室温で4時間撹拌した。撹拌しながらエタノール125mlをゆっくりと加え、発熱がおさまったらクロロホルムで有機層を抽出、2回水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物R3.22g(収率68%)を無色のオイルとして得た。
1H−NMR(300MHz/CDCl3):
δ0.90(t、3H)、1.03〜1.26(m、14H)、2.13(m、2H)、4.05(t、1H)、7.35(dd、1H)、7.46〜7.50(m、2H)、7.59〜7.65(m、3H)、7.82(d、1H)、7.94(d、1H)、8.35(d、1H)、8.75(d、1H)
MS(APCI(+)):(M+H)+ 329
合成例15
(化合物Sの合成)

Figure 2005179634

化合物S
不活性雰囲気下200ml三つ口フラスコにイオン交換水20mlをいれ、撹拌しながら水酸化ナトリウム18.9g(0.47mol)を少量ずつ加え、溶解させた。水溶液が室温まで冷却した後、トルエン20ml、化合物R5.17g(15.7mmol)、臭化トリブチルアンモニウム1.52g(4.72mmol)を加え、50℃に昇温した。臭化n−オクチルを滴下し、滴下終了後50℃で9時間反応させた。反応終了後トルエンで有機層を抽出し、2回水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物S5.13g(収率74%)を黄色のオイルとして得た。
1H−NMR(300MHz/CDCl3):
δ0.52(m、2H)、0.79(t、6H)、1.00〜1.20(m、22H)、2.05(t、4H)、7.34(d、1H)、7.40〜7.53(m、2H)、7.63(m、3H)、7.83(d、1H)、7.94(d、1H)、8.31(d、1H)、8.75(d、1H)
MS(APCI(+)):(M+H)+ 441
合成例16
(化合物Tの合成)

Figure 2005179634

化合物T
空気雰囲気下、50mlの三つ口フラスコに化合物S4.00g(9.08mmol)と酢酸:ジクロロメタン=1:1混合溶媒57mlを入れ、室温で撹拌、溶解させた。続いて三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム7.79g(20.0mmol)を加えて撹拌しつつ、塩化亜鉛を三臭化ベンジルトリメチルアンモニウムが完溶するまで加えた。室温で20時間撹拌後、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10mlを加えて反応を停止し、クロロホルムで有機層を抽出、炭酸カリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ヘキサンを展開溶媒とするフラッシュカラムで2回精製した後、エタノール:ヘキサン=1:1、続いて10:1混合溶媒で再結晶することにより、化合物T4.13g(収率76%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz/CDCl3):
δ0.60(m、2H)、0.91(t、6H)、1.01〜1.38(m、22H)、2.09(t、4H)、7.62〜7.75(m、3H)、7.89(s、1H)、8.20(d、1H)、8.47(d、1H)、8.72(d、1H)
MS(APPI(+)):(M+H)+ 598
合成例17
<高分子発光体3の合成>
化合物T(8.0g)、および2,2’−ビピリジル(5.9g)を脱水したテトラヒドロフラン300mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液を60℃まで昇温し、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(10.4g、0.038mol)加え、5時間反応させた。反応後、この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水40mL/メタノール300mL/イオン交換水300mL混合溶液中に滴下して30分間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して風乾した。その後、トルエン400mLに溶解させてからろ過を行い、ろ液をアルミナカラムを通して精製し、1N塩酸約300mLを加えて3時間攪拌し、水層を除去し、有機層に4%アンモニア水約300mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。有機層にイオン交換水約300mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。有機層にメタノール約100mLを滴下して1時間攪拌し、続いて静置した後、上澄み液をデカンテーションで除去した。得られた沈殿物をトルエン100mLに溶解して、メタノール約200mLに滴下して1時間攪拌し、ろ過して2時間減圧乾燥した。得られた共重合体の収量は4.1gであった(以後、高分子発光体3と呼ぶ)。高分子化合物3のポリスチレン換算の平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=1.5×10、Mw=2.7×10であった(移動相:テトラヒドロフラン)。
合成例18
<高分子発光体4の合成>
化合物T(0.65g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(0.34g)および2,2’−ビピリジル(0.58g)を脱水したテトラヒドロフラン100mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(1.0g)加え、60℃まで昇温し、攪拌しながら3時間反応させた。反応後、この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水10mL/メタノール約100mL/イオン交換水約100mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して3時間減圧乾燥し、その後、トルエン50mLに溶解させてからろ過を行い、ろ液をアルミナカラムを通して精製し、4%アンモニア水約50mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。有機層にイオン交換水約50mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。有機層はメタノール約100mLに滴下して1時間攪拌し、続いて静置した後、上澄み液をデカンテーションで除去した。得られた沈殿物をトルエン50mLに溶解して、メタノール約200mLに滴下して1時間攪拌し、ろ過して2時間減圧乾燥した。得られた共重合体の収量は390mgであった(以後、高分子発光体4と呼ぶ)。高分子発光体4のポリスチレン換算の平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=1.6×10、Mw=7.4×10であった(移動相:テトラヒドロフラン)。
合成例19
(トリ(4−t−ブチルフェニルスルホニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩(略称TTBPSTB)の合成〉
200ml4つ口フラスコを窒素置換し、トリ(4−t−ブチルフェニルスルホニウム)トリフルオロメタンスルホネート0.581g、リチウムテトラキス(ペンタフロロフェニル)ボレート−エチルエーテルコンプレックス 0.834g、イオン交換水20ml、ジエチルエーテル60mlを仕込んだ。攪拌棒、温度計、コンデンサ−を装着した後21〜23℃で16時間反応させた。反応後フラスコ内容物を200ml分液ロートに移し水層を分離した。イオン交換水30mlでエーテル層を3回洗浄した。エーテル層を200ml三角フラスコに移し無水硫酸ナトリウムを加え脱水した後、無水硫酸ナトリウムを濾別した。室温下エバポレータでエーテル層を濃縮し、次に70〜75℃で真空ポンプで恒量になるまで乾燥した。1.04gの化合物(略称TTBPSTB)を得た。
H−NMR(270MHz、DMSO-D
δ7.78(12H,m)、1.31(27H、s)

Figure 2005179634
<高分子発光体溶液組成物の調製>
高分子発光体3と高分子発光体4の70:30(重量比)混合物をトルエン/酢酸エチル=80/20(重量比)の混合溶媒に1.2wt%、さらに添加物としてイオン対を表3に示される添加量で混合し溶解させた。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調整した。イオン対としては、合成例で合成したものを用いた。イオン対の添加量は、高分子発光体全体の重量100重量部に対する重量部で表した。
<素子の作成および評価>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、Baytron)を用いてスピンコートにより70nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、調製した高分子発光体塗布溶液を用いて1000rpmの回転数のスピンコートにより約85nmの厚みで成膜した。さらに、これを減圧下90℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを1nm、陰極として、カルシウムを5nm、次いでアルミニウムを100nm蒸着して、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10-5Torrであった。得られた素子に電圧を印加することにより、高分子発光体からのEL発光が得られた。得られた素子の特性を表1に示す。寿命試験は、発光部が2mm×2mm(面積4mm2 )の素子で10mAの定電流駆動を行いながら輝度を測定した。換算寿命は、初期輝度5000cd/m駆動時の寿命に換算したもので、半減寿命∝(初期輝度)-1の関係を仮定している(有機EL材料とディスプレイ、シーエムシー刊(2001年)、107ページの記載)。イオン対を含まない高分子発光体溶液組成物を用いて作成した評価比較例5の素子に比べて、イオン対を含む高分子発光体溶液組成物を用いて作成した評価実施例15の素子は、著しい寿命の改善が見られた。
Figure 2005179634




Claims (13)

  1. 高分子発光体と、イオン対とを含有する高分子発光体組成物であって、該イオン対の陰イオンが、下記式(1)で示されることを特徴とする高分子発光体組成物。

    Figure 2005179634

    (式中、Yは第13族の原子を表し、Arは、電子吸引性の置換基を有するアリール基または電子吸引性の置換基を有する1価の複素環基を表し、Qは酸素原子または直接結合を表し、Xはハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換アミノ基、アミド基、酸イミド基、アシルオキシ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、シアノ基またはニトロ基を表し、aは1以上4以下の整数を表す。Ar、QおよびXがそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
  2. Arがパーフルオロアリール基であることを特徴とする請求項1に記載の高分子発光体組成物。
  3. aが3以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子発光体組成物。
  4. 上記式(1)が、下記式(2)であることを特徴とする請求項1に記載の高分子発光体組成物。
    〔B(Ar4- (2)
    (式中、Arはフッ素およびトリフルオロメチル基から選ばれる2以上で置換されているフェニル基を表す。Arはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  5. イオン対の陽イオンが、水素イオン、金属カチオンもしくはカルボカチオンであるか、または窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、塩素原子、セレン原子、臭素原子、テルル原子およびヨウ素原子から選択される元素のオニウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子発光体組成物。
  6. 窒素原子のオニウムが、下記式(3)で表される2価のオニウムであることを特徴とする請求項5に記載の高分子発光体組成物。

    Figure 2005179634

    (式中、RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基またはヘテロアリールオキシ基を表す。RおよびRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基を表す。Zは、直接結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基または2価の複素環基を表す。bおよびcはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。RおよびRがそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
  7. 高分子発光体が、下式(5)で表される繰返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子発光体組成物。

    Figure 2005179634


    (式中、Aは、式中の2個のベンゼン環上の4個の炭素原子と一緒になって5員環または6員環を完成させるための原子または原子群を表し、R4a、R4b、R4c、R5a、R5bおよびR5cは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはカルボキシル基を表し、R4bとR4c、およびR5bとR5cは、それぞれ一緒になって環を形成していてもよい。)
  8. イオン対の含有量が、高分子発光体を100重量部としたとき、0.001〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子発光体組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子発光体組成物がさらに溶媒を含有することを特徴とする高分子発光体溶液組成物。
  10. 陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が請求項1〜8のいずれかに記載の高分子発光体組成物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
  11. 陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が請求項9記載の高分子発光体溶液組成物を用いて形成されることを特徴とする高分子発光素子。
  12. 発光層を形成する際または形成後に、50℃以上の温度で熱処理して製造されることを特徴とする請求項10または11記載の高分子発光素子。
  13. 下記式(4)で表されることを特徴とするイオン対。

    Figure 2005179634

    (式中、R、R、R、R、Z、bおよびcは、前記と同じ意味を表す。)

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