JP2005178123A - ラミネート用部材およびラミネート印画物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 平滑な画像面を有する印画物の画像面にラミネート層を接着可能なラミネート用部材、これを用いてラミネート加工して得られるラミネート印画物を提供すること。
【解決手段】 耐熱性基材と、該耐熱性基材上に印画物の画像面上に熱圧着によってラミネート層を接着するための接着層とを有するラミネート用部材であって、
前記接着層が、カチオン系アクリル樹脂を含むことを特徴とするラミネート用部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、印画物の画像面をラミネート層で覆う(ラミネートする)ためのラミネート用部材および印画物の画像面上に、このラミネート用部材を用いて形成したラミネート層を有するラミネート印画物に関する。
銀塩写真、オフセット、電子写真など印画物は、その画像が形成されている面(画像面)にラミネート加工を施し、画像面の上にラミネート層を形成することによって、耐光性、耐水性、耐摩擦性など画像堅牢性が向上し、更に、これにより、画像表面の光沢度や平滑度、画像の最大濃度が上がり画像品位が向上することが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭61−258742号公報
印画物の画像面にラミネート用部材を用いてラミネート加工を施してラミネート印画物を作製する場合、銀塩写真等の被記録媒体の画像記録層を構成する紙繊維間や無機粒子材料等に起因する空隙や凹凸が画像面にある場合は、ラミネート用部材の接着層を構成する接着剤が空隙や凹部に入り込み、物理的に接着性を得ることができる。しかし、画像面の平滑度が高い印画物の場合は、上記の物理的な接着性の寄与が小さくなり、化学的な結合又は親和によって接着性を得る必要があり充分な接着性を得るのが困難となる。
ラミネート用接着剤としては、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。低コスト且つ高透明性の接着剤としては、アクリル樹脂が好ましく用いられる。
しかしながら、従来のアクリル樹脂は、平滑度の高い印画物に対する接着性が低いため、平滑な画像面を有する印画物のラミネート加工に用いるラミネート用部材の接着剤としては不向きであった。
平滑な画像面を有する印画物に対する接着性を向上させるために、粘着付与剤として、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油系樹脂を添加する方法が一般に知られている。しかしながら、アクリル樹脂に上記の粘着付与剤を添加すると、白濁や着色が生じる。このため、上記粘着付与剤を添加したアクリル系接着剤をラミネート用部材に用いると、ラミネート印画物の画像面上に形成するラミネート層が白濁もしくは黄変し、結果として、ラミネート印画物の画質が悪化してしまう。
本発明の目的は、画像品質を向上し、平滑な画像面を有する印画物に対しラミネート加工を施すことにより、印画物の画像面にラミネート層を接着可能なラミネート用部材、これを用いてラミネート加工して得られるラミネート印画物を提供することにある。
上記目的を達成することのできる、本発明にかかるラミネート用部材は、耐熱性基材と、該耐熱性基材上に印画物の画像面上に熱圧着によってラミネート層を接着するための接着層とを有するラミネート用部材であって、
前記接着層が、カチオン系アクリル樹脂であることを特徴とする。
また、本発明にかかるカチオン系アクリル樹脂のカチオンは、4級アンモニウム塩であることを特徴とする。
また、前記4級アンモニウム塩が、ジメチルアミノエチルアクリレート四級塩またはジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩からなることを特徴とする。
さらに、本発明にかかる印画物は、印画物の画像面上に、前記のいずれかのラミネート用部材を用いて形成したラミネート層を有することを特徴とする。
本発明によれば、平滑な印画物に対しても適応可能なラミネート用部材、および、これを用いて形成したラミネート層を有するラミネート印画物を、画像品質を損なうことなく得ることができ、これを提供することができる。
図1に本発明にかかるラミネート用部材の一例の断面図を示す。
図1に示したラミネート用部材1は、耐熱性基材2上に、接着層3を積層された構成を有する。ラミネート印画物のラミネート層は、この接着層3を介して、印画物の画像面に熱圧着される。
耐熱性基材2としては、印画物の画像面上に熱圧着してラミネート層を形成する際に、加熱加圧状況下で安定して形態を維持できるのもであればよくどのようなものを用いてもよい。
本発明に用いることのできる耐熱性基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)などの材料からなるフィルムやシート等を挙げることができる。
本発明に用いることのできる耐熱性基材の厚さは、ラミネート処理に適した厚さとすれば良く、特に限定されない。一般的には、例えば、3〜50μmの範囲から選択することができる。
接着層3は、カチオン系アクリル樹脂を含む。
接着層3の層厚は、通常は、3〜30μmから選択すればよい。
カチオン系アクリル樹脂としては、室温でタックが低く、且つ塗工時の乾燥工程で成膜すればよく、特に限定されないが、アクリル樹脂のガラス転移温度は、例えば、−20〜110℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜80℃のアクリル樹脂から選択することができる。ガラス転移温度の低いアクリル樹脂を用いると接着性が向上し、80℃以下が最も好適であり、室温でのタックは0℃以上とすると最も好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、1000〜500000であり、好ましくは5000〜300000であり、より好ましく10000〜200000である。アクリル樹脂の重量平均分子量を10000以上とすると、膜が強靭になり、ラミネート印画物の耐久性が向上する。また、重量平均分子量を100000以下にすると、印画物への接着性が向上する。
カチオン系アクリル樹脂のカチオン成分としては、ジメチルアミノエチルアクリレート四級塩またはジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩が好適である。
カチオン成分以外のアクリルモノマーとしては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物が挙げられる。さらに紫外線吸収剤機能を有するモノマーをアクリルモノマーと共重合することも可能である。例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エトキシベンゾフェノンを挙げることができる。(なお、上記の「(メタ)アクリル酸エチル」の記載は「メタアクリル酸エチル」または「アクリル酸エチル」を表す。)。
本ラミネート用部材は上記接着層のほかに他の層を有していてもよい。例えば、本発明のラミネート用部材を熱転写型のラミネート部材として機能するように構成することを目的として、耐熱性基材と接着層の間に、耐熱性基材に対し剥離可能な表面保護層を設けても良い。この場合、表面保護層は本発明の接着層と密着する必要がある。表面保護層の厚さは、特に限定されないが、一般的には、1〜20μmとすることができる。
また、接着層と耐熱性基材との密着性を向上させるために、プライマー層を設けることもできる。
本発明のラミネート用部材の製造方法としては、使用する材料等に応じて公知の製造方法のなかから適切な方法を選択して採用することができる。
例えば、本発明のラミネート用部材の各層を構成する材料を用い、必要な場合は適当な溶剤と混合して、当該各層を形成するための塗工液を各々調製し、各層の積層順序に応じて、これらを耐熱性基材の上に塗布し、乾燥して、順次各層を形成することによって製造することができる。
上記の各層を形成するための各々の塗工液を調整する際に、本発明の効果を阻害することのない範囲内において、本発明の属する技術分野において通常使用されている添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤等、を用いることができる。
上記各層の塗工方法としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スロットダイコーティング法、マイクログラビアコーティング法等の方法を用いることができる。
本発明のラミネート用部材を用いて形成したラミネート層を有するラミネート印画物は、銀塩写真、オフセット印刷物、電子写真などの平滑な画像面を有する印画物を用いて作製することができる。しかしながら、このような印画物のみならず、インクジェット印画物のように、凹凸のある、粗い画像面を有する印画物を用いてラミネート印画物を作製することもできる。
ラミネート印画物は、例えば、印画物の画像面に、本発明のラミネート用部材の接着層面を重ねあわせ、加熱ロール等を用いて加圧・加熱圧着し、ラミネート用部材と圧着された印画物(およびラミネート用部材)を冷却し、耐熱性基材を剥離し、または、剥離することなくこれをラミネート層の一部として利用することにより、画像面上にラミネート層が積層された印画物、すなわち、ラミネート印画物を作製することができる。
本発明にかかるラミネート印画物の作製に用いることのできるラミネート装置の一例を図2に示す。図2に示した装置においては、ロール状に巻き取られたラミネート用部材1と印画物4とが、ラミネート用部材1の接着層面3と、印画物4の画像面とが向き合うように配置されて、一対の加熱ローラー5に供給され、これらが加熱ローラー5の間を通過する際に、加圧・加熱されて圧着され、次いで、冷却されてラミネート印画物が作製される。
加圧・加熱条件は、使用する機械のラミネート印画物の作製速度、印画物やラミネート用部材の材質等を考慮して、適切な条件を選べばよい。例えば、本発明のラミネート用部材を用いて図2に示したような加熱ロール方式の装置により加圧・加熱して圧着してラミネート印画物を作製する場合には、一般的には5〜50N/cm、好ましくは15〜35N/cmの線圧で、また、一般的には60〜160℃、好ましくは、80〜130℃の温度で加圧・加熱して圧着すればよい。
実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
カチオン系アクリル樹脂として、アクアブリッドAQ−908(ダイセル化学工業(株)製;固形分26%水分散体、Tg=15℃;商品名)を塗工液として使用し、耐熱性基材として、PETフィルム、コスモシャイン A4100(東洋紡績(株)製;25μm;商品名)を用い、前記塗工液を、前記PETフィルムの易接着面にバーコーターで乾燥層厚15μmとなるよう塗工し、乾燥し、ラミネート用部材を得た。
(比較例1)
ノニオン系アクリル樹脂として、ビニブラン2706C(日信化学工業(株)製;固形分40%水分散体、Tg=14℃;商品名)を塗工液として使用した以外は、実施例1と同様にして、ラミネート用部材を得た。
(ガラス転移温度)
本実施例および比較例におけるガラス転移温度(Tgと表すことがある)は、T.G.Foxの方法(Bull.Am.Phys.Soc,(第1巻、第3号、第123頁、1956年)によって算出した。
(銀塩写真の作成)
機器としては、コニカナイスプリントシステム602AQ(コニカ(株)製)を、処理液としては、コニカミニラボカラーペーパープロセス2−20QA−M(コニカ(株)製)を用いた。また、処理済みネガとしては、コニカインプレッサ50(コニカ(株)製、SuperDD100、フジリアラ)を用いた。印画紙として、コニカカラーQAペーパータイプA5を用いて処理し、銀塩写真を得た。
(オフセット印刷物の作成)
オフセット印刷用インキとして、スーパーテックプラス 墨((株)ティーアンドケイ東華製)を、オフセット印刷用紙 ハイマッキンレー アート(五條製紙(株)製、104.7g/m2に、RI印刷適性試験機(明製作所(株)製、RI−2型)を使用して、坪0.5g/m2となるように黒べた画像を印刷し、オフセット印刷物を得た。
(評価方法)
上記実施例および比較例のラミネート用部材を銀塩写真、オフセット印刷物の画像表面に120℃、10mm/sで熱圧着し、ラミネート印画物を得る。その後、ラミネート印画物をカッターにて、10mm2の面積を1mmピッチで縦横を碁盤目状に100個の升目を、ラミネート表面から被着体と印画物の界面までカットし、セロファンテープを密着後、セロファンテープを剥がし、ラミネート印画物の被着体と印画物の界面で剥れるか否かで接着性を評価した。
接着性は次の基準に従って評価した。
○:剥れが、100升中10升未満
×:剥れが、100升中10升以上
結果を以下に示す。
(結果)
実施例1:○
比較例1:×
本発明の一実施形態のラミネート用部材の構成の一例を説明するための断面図である。 ラミネート装置の一例の要部を模式的に示す図である。
符号の説明
1 ラミネート用部材
2 耐熱性基材
3 接着層
4 印画物
5 加熱ローラー

Claims (4)

  1. 耐熱性基材と、該耐熱性基材上に印画物の画像面上に熱圧着によってラミネート層を接着するための接着層とを有するラミネート用部材であって、
    前記接着層が、カチオン系アクリル樹脂を含むことを特徴とするラミネート用部材。
  2. 前記カチオン系アクリル樹脂のカチオンが、4級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1記載のラミネート用部材。
  3. 前記4級アンモニウム塩が、ジメチルアミノエチルアクリレート四級塩またはジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩からなることを特徴とする請求項2記載のラミネート用部材
  4. 印画物の画像面上に、請求項1〜3のいずれかに記載のラミネート用部材を用いて形成したラミネート層を有することを特徴とするラミネート印画物。
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