JP2005177840A - 2段圧延機 - Google Patents

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Abstract

【課題】製作、設置、維持管理等にかかるコストが低いハウジングレス型圧延機において、高価な油圧装置やタイロッドなどを用いることなくミル定数を高めて、従来のハウジング型圧延機、ハウジングレス型圧延機による問題を解消した、新規なハウジングレス型圧延機を低コストで提供する。
【解決手段】一体型モノチョック6で上下ロール1,2を支持すると共に、ロールチョックの分離間隙を無くしその分だけ各ロール軸3、ロール軸受け4、偏心スリーブ5を大径として、高いミル定数を備えた圧延機Aを実現した。一体型モノチョック6により圧延時の圧延荷重を受け止めて上下ロール1,2の分離を抑制するので、外力による締め付け機構や押え装置が不要な簡素な構造の圧延機Aとして、製作、設置、維持管理にかかるコストを大幅に低減することができた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、上下2本のロールで、例えば金属板、二次電池の電極板などの薄い被圧延材を圧延する2段圧延機に関する。
従来、上下2本のロールで被圧延材を圧延する2段圧延機として、上下ロールのロール軸を上下個別に設けたロールチョックで支持すると共にそれら上下のロールチョックをハウジングで支持するハウジング型の圧延機(例えば特許文献1参照)や、上下ロールのロール軸を上下個別に設けたロールチョックで支持すると共にそれら上下のロールチョックを外力による締め付け機構や押え装置で支持するハウジングレス型の圧延機(例えば特許文献2、3参照)が知られている。
また、特許文献1に記載されるように、上下のロールの各ロール軸を偏心スリーブで回転自在に支持すると共に、各偏心スリーブを所要の角度に回転させて上下のロール間の間隙調整を行うようにした圧延機が知られている。
ハウジング型2段圧延機の一例を図2に基づいて詳述すれば、この圧延機A’は、上ロール1’及び下ロール2’の両ロール軸3’を、夫々ロール軸受け4’を内装した上チョック10’及び下チョック11’で回転自在に支持すると共に、その上チョック10’及び下チョック11’を、ハウジング12’で支持している。
下ロール2’及び下チョック11’はハウジング12’内の下部に固定され、上ロール1’及び上チョック10’はプルバックビーム14’とプルバック油圧シリンダ15’によってハウジング12’内の上部に昇降可能に支持されると共に圧下スクリュー13’の昇降に追従して昇降動作するようになっている。
圧下スクリュー13’はハウジング12’の上部に内装されており、該圧下スクリュー13’の昇降により上チョック10’を介して上ロール1’が昇降して上下ロール1’,2’の間隙を調整すると共に、被圧延材9’を圧延する際の反力(上下ロール1’,2’の分離力)を圧下スクリュー13’で受けるようになっている。
ハウジングレス型で、偏心スリーブにより上下ロール間の間隙調整を行う圧延機の一例を図3に基づいて詳述すれば、この圧延機A”は、上ロール1”及び下ロール2”の両ロール軸3”を、夫々ロール軸受け4”とその外側に偏心スリーブ5”を内装した上チョック10”及び下チョック11”で回転自在に支持している。
上下のチョック10”,11”の間にはロール間隙調整ライナー19”が挟まれており、そのライナー19”を所要の厚みのものに適宜変更することにより、上下ロール1”,2”間の間隙の大まかな調整を行うようになっている。
また、偏心スリーブ5”の鍔部の外周にはウォームギヤー5a”が設けられ、外接するウォーム16”で偏心スリーブ5”を回転させることにより、上下のロール1”,2”の間隙を微調整するようになっている。
上下のチョック10”,11”は、夫々を貫通するタイロッド17”とその上端に装着された油圧シリンダ18”で締結されており、被圧延材9”を圧延する際の反力(上下ロール1”,2”の分離力)を油圧シリンダ18”で受けるようになっている。
前記した夫々の2段圧延機は、被圧延材9’、9”に合わせて上下のロール1’,2’、1”,2”間の間隙を調整した後、各ロールを図示しないロール駆動装置によって回転させながら、調整された上下ロールの間隙に被圧延材9’、9”を通して所要の厚さに圧延するようになっている。
特開平4−237505号公報 特開平10−286606号公報 特開2001−252708号公報
ところで、2段圧延機で被圧延材を圧延する際、上下のロール間に圧延の反力(圧延荷重)が生じて上下のロールを分離させる方向に力が発生し、その力(上下ロールの分離力)により圧延機の各部に歪が生じ、上下ロール間の間隙が広がる。
そのため、被圧延材を所要の厚さに圧延するには、上下のロール間隙を圧延後の厚さ寸法より狭い間隙に設定して圧延を行う必要があり、圧延時のロール間隙の広がり量が圧延後の厚さ寸法より大きくなってしまう圧延機においては、ロール間隙をマイナス間隙(上下ロールが互いに圧着する状態)にしなければならない。
一般に、圧延荷重とロール間隙の変化量の比率はミル定数と称され、圧延機全体の剛性の度合いを表すようになっている。圧延荷重による上下ロール間隙の変化は主に、ロールの歪、ロール軸受けの歪、ロールチョックの歪、圧下スクリューの歪、ハウジングの歪及びその他の歪によるものである。
このような点に関し、前述した従来のハウジング型2段圧延機、ハウジングレス型2段圧延機についてより詳細に検討した場合、上下のロールのロール軸を支持するロールチョックが上下個別に分離された構造のため、圧延荷重がかかった際のロール間隙の変化量が大きく、ミル定数の低い圧延機となる虞れがある。
よって、被圧延材が、例えば薄い短尺板状材料である場合、ロール間隙がマイナス間隙(上下ロールが互いに圧着する状態)になるよう調整した上で圧延を行わなければならない。この場合、上下ロールが常に高い圧着力で接触しているためロール表面の磨耗や損傷が発生する虞れがあると共に、圧延終了時に短尺板状材料がロール間から抜ける時、上下ロールが元の圧着状態に戻るためロール同士が衝突することになり、ロールの損傷が起こりやすい。磨耗や損傷によるロール表面の不良は、圧延後の製品の品質低下につながるため好ましくない。
また、被圧延材が、例えば薄くて長さ方向に段付きのある板状材料であって、高段部のみを圧延する場合、低段部まで圧延してしまう虞れがある。また、二次電池の電極板のような薄いシート状の基材(低段部)に、電極材を短冊状に塗布して高段部とした、または短尺な薄い被圧延材を貼り合せて高段部とした被圧延材の、該高段部のみを断続的に圧延する場合、前記低段部まで圧延してしまうとシート状基材が破断し、圧延が中断してしまう虞れがある。
また、被圧延材が、例えば厚み偏差や硬度むらがある材料の場合、圧延中の圧延荷重が変動するが、ミル定数が低い圧延機では圧延荷重の変動によるロール間隙の変化量が大きく、精度の高い圧延が困難である。
また、従来の圧延機は、ロールチョックが上下に分離しており、その分離間隙による寸法制限があるため、ロール軸、ロール軸受け、偏心スリーブの径の大きさが制限され、ロール胴部の径とロール軸の径の比は概ね1:0.55〜0.6程度であって、ロール軸、ロール軸受け、偏心スリーブが比較的小径になってその剛性を高くできず、この点もミル定数の低下に影響している。
このような不具合を解消するため、図2に示す従来のハウジング型2段圧延機では、大型で大重量のハウジング12’や圧下装置(14’,15’,13’)を用いてミル定数を高めており、圧延機の製作や設置にかかるコストが高価になるという問題がある。
また、図3に示す従来のハウジングレス型2段圧延機では、上下のロールチョック10”,11”を、圧延荷重より大きな力でタイロッド17”と油圧シリンダ18”により締結してミル定数を高めているが、大きな力で両ロールチョック10”,11”を締結するためには、常に高い圧力を保持しておく油圧装置が必要になり、圧延機の製作、設置、維持管理にかかるコストが高価になるという問題がある。
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、偏心スリーブにより上下ロール間の間隙を容易に微調整し得ると共に、製作、設置、維持管理等にかかるコストが低いハウジングレス型圧延機において、高価な油圧装置やタイロッドなどを用いることなくミル定数を高めて、前述した従来の問題点を解消した新規なハウジングレス型圧延機を低コストで提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の圧延機は、上ロールと下ロールの各ロール軸をロール軸受けを介して回転自在に支持する各ロール毎に備えられた偏心スリーブと、前記各偏心スリーブを回転自在に支持するロールチョックと、前記各偏心スリーブを所要の角度に回転させて前記各ロール間の間隙を調整する調整機構を具備し、前記上ロールと下ロールの間に被圧延材を通して圧延する2段圧延機であって、前記ロールチョックを一体型のモノチョックとし、該モノチョックで前記各偏心スリーブとロール軸受けを介して各ロール軸を支持して高いミル定数を備えたことを特徴とするハウジングレスモノチョック型の2段圧延機である。
前記各偏心スリーブが、上下に分離されたロールチョックで支持される場合、上下のロールチョックの分離間隙による寸法制限がある分、ロール軸、ロール軸受け、偏心スリーブが比較的小径になってその剛性を高くできない。
よって、本発明では、前記ロールチョックを一体型のモノチョックとして前記上下のロール間におけるロールチョックの分離間隙を無くし、その分だけ夫々のロール軸、ロール軸受け、偏心スリーブを大径とした。この場合、ロールチョックが一体型のモノチョックであることと、ロール軸、ロール軸受け、偏心スリーブが大径であることの相乗効果によって、より高いミル定数を備えた圧延機とすることができる。
上下分離型のロールチョックを用いた場合、上下のロールチョックを支持するためのハウジングか、若しくは両ロールチョックをタイロッドや油圧シリンダ等の外力による締め付け機構や押え装置が必要になり、圧延機の製作、設置、維持管理にかかるコストが高価になる。
よって、本発明では、前記一体型のモノチョックにより圧延時の圧延荷重を受け止めて前記各ロールの分離を抑制し、外力による締め付け機構や押え装置を不要とした。この場合、簡素な構造の圧延機として、その製作、設置、維持管理にかかるコストを大幅に低減することができる。
本発明に係る圧延機は以上説明したように、一体型のモノチョックにより上下のロールを支持するハウジングレスモノチョック型の2段圧延機としたので、上下分離型のロールチョックを用いる場合に比べ、ミル定数の高いハウジングレス圧延機とすることができた。
また、ロールチョックをモノチョックとすると共に、ロール軸、ロール軸受け、偏心スリーブを大径にすることで、より高いミル定数を備えたハウジングレス圧延機を提供することができた。
また、圧延荷重をモノチョック内で受け止めることで、外力による締め付け機構や押え装置などが不要な簡素な構造でありながら、高いミル定数を備えたハウジングレス圧延機とすることができた。
したがって、低コストで製作、設置が可能で、維持管理コストも低く、被圧延材が短尺,薄物であったり、高低二段の高さを備えた材料であったり、シート状基材であっても、上下ロールの間隙をマイナス間隙にすることなく、高精度で圧延を行うことができ、且つロール面の磨耗や損傷も少なく高品質の圧延製品を得ることができるなど、多くの効果を奏する。
以下、本発明に係るハウジングレスモノチョック型2段圧延機の実施形態の一例を、図1を参照して説明する。
本例の2段圧延機Aは、上ロール1及び下ロール2の両ロール軸3を、夫々ロール軸受け4とその外側に偏心スリーブ5を内装したモノチョック6に組み込んで、上下のロール1,2を回転自在に支持している。
各偏心スリーブ5の鍔部外周には歯車5aを設け、外接するピニオン歯車7を偏心スリーブ駆動装置8で駆動して、各偏心スリーブ5を所要の角度に回転させ、上下ロール1,2間のロール間隙を微調整し得るよう構成されている。
各ロール軸3,ロール軸受け4,偏心スリーブ5はモノチョック6に組み込まれるので、上下分離型のロールチョックで支持する場合のように上下ロールチョック間に分離間隙が確保されることが無く、その分だけ、各ロール軸3、ロール軸受け4および偏心スリーブ5を大径とすることができた。
また、ロールチョックが一体型のモノチョック6であると共に、各ロール軸3、ロール軸受け4および偏心スリーブ5を従来の上下分離ロールチョック型圧延機に比し大径とし得たので、外力による締め付け機構や押え装置を不要としながら、ミル定数の高い圧延機とすることができた。
以下、実施例と比較例の対比により、本発明をさらに詳述する。
図1に示すハウジングレスモノチョック型2段圧延機A、図2に示すハウジング有りの上下分離ロールチョック型2段圧延機A’、図3に示すハウジングレス上下分離ロールチョック型圧延機A”の夫々において、上下のロールとして、胴部径520mm、胴部長さ700mmのロールを用いた。
図1に示す本例の圧延機Aでは、ロールチョックが一体型のモノチョックであり上下ロール間におけるロールチョックの分離間隙が不要のため、ロール軸の径を360mmまで大径にすることができ、上下ロールの胴部径とロール軸の径との比をおおよそ1:0.7の割合にすることができた。
これに対し、図2,図3に示す従来の圧延機A’,A”では、ロールチョックが上下分離型であり上下ロール間におけるロールチョックの分離間隙が必要のため、ロール軸の径はおよそ280mmが限界であり、上下ロールの胴部径とロール軸の径との比はおおよそ1:0.55〜0.6であった。
また、夫々の圧延機のミル定数を測定した結果、図1に示す本例の圧延機Aのミル定数は約600Ton/mm以上であったのに対し、図2,図3の従来の圧延機A’,A”のミル定数は夫々約170Ton/mm,約280Ton/mmで、各ミル定数の比率はおよそ、A’:A”:A=1:1.6:3.5以上であった。
さらに、同程度のサイズのロールを用いた市販の2段圧延機数台について検証したところ、そのミル定数は100〜300Ton/mmの範囲であり、本例の圧延機Aの優位性が確認できた。
被圧延材が、圧延後の製品厚み0.5mm、圧延荷重200Tonfである場合、図2の圧延機A’(ミル定数;約170Ton/mm)では、上下ロールのロール間隙の設定値が、0.5mm−(200Ton÷170Ton/mm)=−0.67mmであり、上下のロールを圧着状態にしなければならなかった。また、図3の圧延機A”(ミル定数;約280Ton/mm)では、上下ロールのロール間隙の設定値が、0.5mm−(200Ton÷280Ton/mm)=−0.21mmであり、上下のロールを圧着状態にしなければならなかった。
これに対し、本例のハウジングレスモノチョック型圧延機A(ミル定数;約600Ton/mm)では、上下ロールのロール間隙の設定値が、0.5mm−(200Ton÷600Ton/mm)=+0.16mmであり、上下ロールを非接触状態に維持し得ることが確認できた。
被圧延材が、低段部の厚み0.3mm、高段部の圧延後の製品厚み0.8mm、圧延荷重200Tonfで高段部を圧延し低段部は圧延しないものの場合、圧延後の製品の高段部と低段部の寸法差が0.5mmであるから、ミル定数が200Ton÷0.5mm=400Ton/mmを超えた圧延機を必要とし、前記した圧延機A’,A”では圧延不能であり、本例の圧延機Aが必要であることが確認できた。
被圧延材が、厚み偏差や硬度むらがある材料で、圧延中における圧延荷重の変動が5Tonfである場合、圧延後の製品の厚さ精度は、前記圧延機A’(ミル定数;約170Ton/mm)では5Ton÷170Ton/mm=0.029mmであり、前記圧延機A”(ミル定数;約280Ton/mm)では5Ton÷280Ton/mm=0.017mmであった。
これに対し、本例の圧延機A(ミル定数;約600Ton/mm以上)では、圧延後の製品の厚さ精度は5Ton÷600Ton/mm=0.008mm以下になり、厚さ精度の高い圧延が可能であることが確認できた。
以上、本発明の実施形態例を図面と実施例を参照して説明したが、本発明に係るハウジングレスモノチョック型2段圧延機はこれらに限定されず、特許請求範囲の各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明において一対のロールのロール軸を一体型モノチョックで支持する支持構造は、2段圧延機における上下ロールの支持以外に、例えば、カレンダー機における左右一対のロールの支持構造として採用することも可能である。
本発明に係るハウジングレスモノチョック型2段圧延機の実施形態の一例を示し、(イ)は正面図で一部を断面で表し、(ロ)は側面図を表す。 従来のハウジング型の2段圧延機の一例を示し、(イ)は正面図で一部を断面で表し、(ロ)は側面図を表す。 従来のハウジングレス型で、偏心スリーブにより上下ロール間の間隙調整を行う圧延機の一例を示し、(イ)は正面図で一部を断面で表し、(ロ)は側面図を表す。
符号の説明
1:上ロール
2:下ロール
3:ロール軸
4:ロール軸受け
5:偏心スリーブ
6:モノチョック
7:ピニオン歯車
8:偏心スリーブ駆動装置
9:被圧延材

Claims (3)

  1. 上ロールと下ロールの各ロール軸をロール軸受けを介して回転自在に支持する各ロール毎に備えられた偏心スリーブと、前記各偏心スリーブを回転自在に支持するロールチョックと、前記各偏心スリーブを所要の角度に回転させて前記各ロール間の間隙を調整する調整機構を具備し、前記上ロールと下ロールの間に被圧延材を通して圧延する2段圧延機であって、
    前記ロールチョックを一体型のモノチョックとし、該モノチョックで前記各偏心スリーブとロール軸受けを介して各ロール軸を支持して高いミル定数を備えたことを特徴とするハウジングレスモノチョック型の2段圧延機。
  2. 前記ロールチョックを一体型のモノチョックとして前記上下のロール間におけるロールチョックの分離間隙を無くし、その分だけ夫々のロール軸、ロール軸受け、偏心スリーブを大径にしたことを特徴とする請求項1記載の2段圧延機。
  3. 前記一体型のモノチョックにより圧延時の圧延荷重を受け止めて前記各ロールの分離を抑制し、外力による締め付け機構や押え装置を不要としたことを特徴とする請求項1又は2記載の2段圧延機。
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