JP2005177662A - フラッシュ蒸発を用いたナノ粒子生成方法およびその製造装置 - Google Patents

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裕通 川崎
Chihiro Shiyounai
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Abstract

【課題】キャリアガスによって原料を加熱部に吹き付けてフラッシュ蒸発させる場合,原料が舞い上がってしまうため全ての原料を瞬時に蒸発させることができない。
【解決手段】誘導加熱によって加熱する対象物を凹形状とし,略中央の上部から原料供給のノズルを配置する。もしくは,原料が舞い上がることを防止するために前述の加熱対象物にオリフィスを設けたクヌーセンセル構造の略中央の上部から原料供給のノズルを配置した構成で,原料(微粒子)をフラッシュ蒸発させる。
【選択図】図2

Description

本発明は,微粒子の製造に関し,粒子径が100nm以下のナノ粒子を生成する方法およびその製造装置に関する。
近年,化粧品材料において,高い透明性と紫外線遮蔽効果を兼ね備えた粒子径100nm以下のナノ粒子への期待が高まっている。
ナノ粒子の合成法は,生成される相によって固相法,気相法,液相法に大別される。固相法は,安価に合成できる手法として工業的にも利用されているが,微粒子化には限りがある。一方,液相法はコンタミネーションが生じる可能性がある。このため,ナノ粒子の生成法として,高純度のナノ粒子を生成できる気相法が適している。
気相法は,原料を高温蒸気にした後,急冷却することによって,ナノ粒子を生成する。急冷の際,反応性ガスを添加することで酸化物,窒化物なども生成することができる。気相法は用いる熱源により分類され,熱源に熱プラズマを用いる熱プラズマ法,ヒータを用いる抵抗加熱法,誘導加熱法などがある。
前述の熱プラズマ法の内,高周波熱プラズマ法が広く使用されている。しかし,高周波熱プラズマ法は,数10kWの高周波電力が必要であること,放電を維持するために100L/min以上のプロセスガスを必要とするため工業生産にはコスト的に見合わない。
一方,抵抗加熱法及び誘導加熱法は,図1に示す模式図のように,主に不活性ガスを封入した真空容器内に設置したヒータ上に原料を搭載する。この状態で原料を融点以上に加熱し,蒸発または昇華させナノ粒子を生成する方法である。この生成方法はヒータによって原料を蒸発させるため,熱プラズマ法ほどの用力を必要としない。したがって,生産コストを抑えたナノ粒子生成が可能である。以下の特許文献は抵抗加熱法及び誘導加熱法を用いた微粒子生成装置の一例である。
特許第2873868号
気相法によるナノ粒子の生成は,略1〜10+4Paの範囲内に保持された真空容器内に不活性ガスを供給し,不活性ガス雰囲気中で種々の物質を加熱して,蒸発または昇華させ,得られる蒸気分子が不活性ガス分子と衝突しながら徐々に冷却され分子同士が凝集して生成する。
粒径の小さなナノ粒子を生成できる特長があるが,粒径と形状が異なってしまう問題がある。粒径,形状が異なってしまう原因は,以下に示す2点が要因として考えられる。
(1)蒸気の密度差によって成長速度が異なる。蒸気密度にばらつきがあるため,凝縮後,粒径分布が生じてしまう。
(2)粒子が冷却される際,粒子間の衝突によって接合成長してしまい,粒径と形状が変化してしまう。
この課題と改善策の詳細は発明者等が先願の特願2003−116433にそのを記載しているのでここでは説明を割愛するが,問題の解決にあたっては原料の融点以上に加熱部へ原料を供給し,蒸発させるフラッシュ蒸発法が有効である。しかしながら,キャリアガスによって原料を加熱部に吹き付けてフラッシュ蒸発させる場合,原料が舞い上がってしまうため全ての原料を瞬時に蒸発させることができない課題があった。
この課題を解決するため,抵抗加熱及び誘導加熱によって加熱する対象物を凹形状とし,略中央の上部から原料供給のノズルを配置する。もしくは,原料が舞い上がることを防止するために前述の加熱対象物にオリフィスを設けたクヌーセンセル構造の略中央の上部から原料供給のノズルを配置した構成で,原料(微粒子)をフラッシュ蒸発させることが有効である。
本発明の原料供給加熱装置の構成により,フラッシュ蒸発法で生成したナノ粒子の粒径と形状を更に安定にすることが可能となる。
フラッシュ蒸発法の原料加熱手段において,誘導加熱コイル内に凹形状の加熱対象物を配置し,略中央の上部から原料供給のノズルを配置する。もしくは前記加熱対象の上部に加熱対象物と同一材のリングを配置し,加熱対象と上部に配置したリングによりクヌーセンセル構造となる加熱手段を構成し,クヌーセンセル構造の加熱手段の略中央の上部から,原料供給のノズルを配置した構成で,原料(微粒子)を加熱手段に供給し瞬時に加熱する。
図2に本発明の一実施例であるプラズマ処理を併用したパルスフラッシュ蒸発法によるナノ粒子製造装置のブロック図を示す。以下,図面を参照し説明する。図中,1は真空容器を,2は真空容器1内に第一のガス及び第二のガスを供給するガス供給手段を,3は原料を蒸発させるための加熱手段を,4は製造されたナノ粒子の回収手段を,5は真空容器1内の圧力計測手段を,6は真空容器1内に製造するナノ粒子の原料を供給する原料供給手段を,7は真空容器1内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段をそれぞれ示す。
図2に示すガス供給手段2において,21は第一のガス(希ガス)を,22は第二のガス(反応ガス)を,23,24は第一のガス21及び第二のガス22の流量調節器を,25は真空容器1内に供給するガス供給口を示す。
図2に示す加熱手段3において,31は高周波電源を,32は整合回路を,33は誘導コイルを,34は第一の加熱対象物を,35は第二の加熱対象物を,36は温度計測手段を示す。
図2に示す回収手段4において,41は生成したナノ粒子を回収するフィルタ,42は可変バルブを,43は真空容器1内を真空排気するための排気設備(真空ポンプ)を示す。
図2に示す原料供給手段6において,61は流量調節器,62は原料を真空容器1内に一定量供給するためのフィーダ,63は原料(微粒子)を,64はフィーダ62で定量された原料63を第一のガス21と供に真空容器1内に供給する配管・ノズルを示す。
図2に示すプラズマ発生部7において,71は真空容器1内にプラズマを発生させるための一対の電極を,72は整合回路,73は高周波電源を示す。
図3は加熱手段3と原料供給手段6の一部を抜き出した図面で,図中図2と同一の機能を有するものには同一番号を付している。図3(a)は第二の加熱対象物35の断面形状を35Aで示し,図3(b)は加熱手段3と原料供給手段6の主要部について図示したものである。真空容器1内に配置された誘導コイル33と凹形状の加熱対象物34及び凹形状の第一の加熱対象物と同一材料で中心に穴のあいた第二の加熱対象物35でクヌーセンセル構造を形成している。原料供給手段6のフィーダ62から一定量供給される原料は配管・ノズル63で加熱手段3に供給される。
図4は,加熱対象物にオリフィスを設けたクヌーセンセル36を用いた場合の加熱手段の実施例を示す。
加熱手段3に供給された原料(微粒子)は,凹形状の第一の加熱対象物34,舞い上がりを防止するため第二の加熱対象物35により形成されたクヌーセンセル構造内,もしくはクヌーセンセル36内で効果的にフラッシュ蒸発する。
以下,図2及び図3を参照し,プラズマ処理を併用したパルスフラッシュ蒸発法によるナノ粒子製造の手順を以下説明する。真空容器1内は回収手段4に示す真空容器1内を真空排気するための排気設備(真空ポンプ)43によりプラズマ発生に必要な真空に保たれている。真空容器1内にアルゴンなどの第一のガス(希ガス)21を一定流量供給しながら,排気設備(真空ポンプ)43で排気量をコントロールすることにより所定の圧力に保つ。
プラズマ発生部7は真空容器1内にプラズマを発生させるための一対の電極71に高周波電源73から整合回路72を介し電力を供給し,容器内にプラズマを発生させることで,加熱手段3で加熱され蒸発した蒸気をは直ちにプラズマ処理できる。
原料供給手段6は,流量調節器61と,原料を真空容器1内に一定量供給するためのフィーダ62,及び配管・ノズル64で構成し,フィーダ62は配管・ノズル64を介して希ガス21と同時に原料63(微粒子)を,真空容器1内の加熱部3の直上に原料63(微粒子)を供給する。
原料63を真空容器1内の加熱部3に供給する時に,フィーダ62で少量の原料を供給すると,加熱部3に供給された原料が均一に加熱,蒸発又は昇華することでフラッシュ蒸発する。また,供給動作を間歇的に実施することによって,フラッシュ蒸発した蒸気内での接合成長を抑制することができる。図5に原料供給手段6で,真空容器1内の加熱部3に原料を間歇供給する原料供給のタイムチャートを示した。図中10が原料の供給時間を,11が原料を供給しない時間をそれぞれ示している。
フィーダの一例として表面倣い式のフィーダを図6に示す。表面倣い式は,原料表面にノズル65を近づけてキャリアガスと共に原料を押し出し供給する。供給装置は,容器69内に原料を収容するトレイ691,トレイを回転する機構692,トレイに収容された原料の表面をモニタするレベルセンサ67,ノズルを上下動作する機構66,及びこれらを制御する制御装置68から構成されている。ノズルと原料表面の距離を一定に保つことで原料を定量供給することができる。
フィーダの一例として加振式のフィーダを図7に示す。加振式は,配管を振動させることによって原料を管内輸送し,ノズル64からキャリアガスと共に原料を供給する。供給装置は,原料を収容したホッパー695,配管に接続した加振機構694,加振機構を制御する制御装置693から構成されている。振動周波数,振幅を制御することで原料を定量供給することができる。
高い透明性と紫外線遮蔽効果を兼ね備えた特性が必要な化粧品材料の用途において,微粒子の粒径が100nm以下のナノ粒子のニーズは大きい。
抵抗加熱法の模式図である。 本発明のナノ粒子製造装置のブロック図である。 本発明の加熱手段の一例を示す。 本発明の加熱手段の一例を示す。 間歇的に原料を供給するタイムチャートを示す。 本発明の原料供給装置の一例を示す。 本発明の原料供給装置の一例を示す。
符号の説明
1 真空容器
2 ガス供給手段
3 加熱手段
4 回収手段
5 圧力計測手段
6 原料供給手段
7 プラズマ発生手段
21 第一のガス(希ガス)
22 第二のガス(反応ガス)
33 誘導コイル
34 第一の加熱対象物
35 第二の加熱対象物
36 クヌーセンセル
41 フィルタ
43 排気設備(真空ポンプ)
62 フィーダ
71 電極
73 高周波電源

Claims (8)

  1. 真空容器内に第一のガス(希ガス)及び第二のガス(反応性ガス)を供給するガス供給手段と,原料を蒸発させるための加熱手段と,製造されたナノ粒子の回収手段と,前記真空容器内の圧力計測手段と,前記真空容器内に製造するナノ粒子の原料を供給する原料供給手段とを有し,前記加熱手段において誘導加熱コイル内に凹形状の第一の加熱対象物,もしくは前記第一の加熱対象物の上部に第一の加熱対象物と同一材で中央部に孔を有した板材の第二の加熱対象物を配置し,前記第一の加熱対象物と上部に配置した第二の加熱対象物でクヌーセンセル構造の加熱手段を構成,もしくは加熱対象物にクヌーセンセルを用い,前記原料供給手段のノズルが前記加熱手段の略中央の上部に配置した構成で,原料(微粒子)をフラッシュ蒸発させることを特徴とするナノ粒子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の加熱手段において,誘導加熱コイル内に配置した凹形状の加熱対象と,前記凹形状の第一の加熱対象物上部に配置したリングで囲まれた空間の温度が略一様になるように,両者間の距離を調整可能な構造を有したしたナノ粒子の製造方法。
  3. 請求項1に記載の原料供給手段において,原料の供給に希ガスを含むキャリアガスを使用し,前記原料を加熱手段に間歇的に供給することを特徴としたナノ粒子の製造方法。
  4. 請求項1に記載のナノ粒子の製造方法において,加熱手段で蒸発した原料をプラズマ処理することを特徴とするナノ粒子の製造方法。
  5. 真空容器内に第一のガス(希ガス)及び第二のガス(反応性ガス)を供給するガス供給手段と,原料を蒸発させるための加熱手段と,製造されたナノ粒子の回収手段と,前記真空容器内の圧力計測手段と,前記真空容器内に製造するナノ粒子の原料を供給する原料供給手段とを有し,前記加熱手段において誘導加熱コイル内に凹形状の第一の加熱対象物,もしくは前記第一の加熱対象物の上部に第一の加熱対象物と同一材または高融点材で中央部に孔を有した板材の第二の加熱対象物を配置し,前記第一の加熱対象物と上部に配置した第二の加熱対象物でクヌーセンセル構造の加熱手段を構成,もしくは加熱対象物にクヌーセンセルを用い,前記原料供給手段のノズルが前記加熱手段の略中央の上部に配置した構成で,原料(微粒子)をフラッシュ蒸発させることを特徴とするナノ粒子製造装置。
  6. 請求項5に記載の加熱手段において,誘導加熱コイル内に配置した凹形状の加熱対象と,前記凹形状の第一の加熱対象物上部に配置したリングで囲まれた空間の温度が略一様になるように,両者間の距離を調整可能な構造を有したしたナノ粒子製造装置。
  7. 請求項5に記載の原料供給手段において,原料の供給に希ガスを含むキャリアガスを使用し,前記原料を加熱手段に間歇的に供給することを特徴としたナノ粒子製造装置。
  8. 請求項5に記載のナノ粒子の製造方法において,加熱手段で蒸発した原料をプラズマ処理することを特徴とするナノ粒子製造装置。
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