以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1及び図2は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、上面が開放された飼育水槽1の外周に沿って濾過槽3が配置してある。濾過槽3は飼育水槽1と一体に形成されていても、別体に形成されていてもいずれでもよい。また飼育水槽1の外周が円筒形状に形成されている場合には、濾過槽3は円環状になるように配置されるものである。さらに濾過槽3は全長を一体に形成するようにしてもよいが、図1の実施の形態では、濾過槽3を部分的に分断して、飼育水槽1の外周の一部に濾過槽3が配置されない部分125が形成されるようにしてある。このように濾過槽3が配置されない部分125を形成することによって、飼育水槽1の外周の一部が直接外部に面するようにし、この外部露出部125を通して濾過槽3への魚介類の出し入れ、給餌、点検等の作業が行ない易くなるようにしてある。この場合、濾過槽3の幅を狭く形成すれば、濾過槽3の上を通して上記の作業を楽に行なうことができるようになり、外部露出部125を形成する必要がなくなるので、このときには濾過槽3は飼育水槽1の外周の全長に亘って設けるようにしてもよい。
また図1の実施の形態では、濾過槽3を複数の槽ユニット84を接続することによって形成するようにしてある。図3はFRPなどで形成される槽ユニット84を示すものであり、長手方向(水の流れ方向)の両端部に開口90を設けると共に幅方向の断面形状をU字形に形成してある。長手方向の両端部の開口90の内縁には接合フランジ91が延設してあり、また図5(a)に示すように長手方向の5箇所において槽ユニット84の両側壁の内面に仕切板保持溝92a〜92eが凹設してある。さらに図1(b)のように槽ユニット84はその両側壁の下端部を外方へ向けて斜め上方へ傾斜する傾斜面80に形成してある。また槽ユニット84の内側の側壁の上端にはオーバーフロー用膨出部93が外方へ膨出させて設けてあり、このオーバーフロー用膨出部93の上端は図5(b)のように槽ユニット84の側壁の上端より低くなるように切欠してあって、この切欠部にオーバーフロー口85を形成するようにしてある。また各槽ユニット84の底部には排水弁95が設けてある。
図1及び図2の実施の形態では、槽ユニット84を複数個(図1及び図2の実施の形態では3個)接合して一対の槽ユニットグループ94a,94bを形成し、各槽ユニットグループ94a,94bを飼育水槽1の外周に配置することによって濾過槽3が形成されるようにしてあり、槽ユニットグループ94a,94bの一端部間と他端部間において、上記のような飼育水槽1の外周の一部に直接外部に面する外部露出部125が形成されるようにしてある。
槽ユニット84の接続は、図6(b)に示すように(図3も参照)、隣合う槽ユニット84の開口90を対向させると共に枠状のパッキン96を介して接合フランジ91同士を接合し、ボルトナット97で接合フランジ91を結合させることによって行なうことができるものである。そして図6(a)に示すように、水の流れの上流側に位置する槽ユニット84の開口90を塞ぐように仕切板82がこの槽ユニット84の接合フランジ91の内面側に取り付けてある。この仕切板82aの取り付けは、接合フランジ91を結合させるためのボルトナット97を利用して行なうことができるものである。仕切板82aにはネット98を張った開口部83が形成してあり、仕切板82aをこのように取り付けることによって、開口部83は濾過ユニット84の上部内に配置されるものである。ここで、槽ユニットグループ94a,94bの両端部に位置する槽ユニット84においては、端部側の開口90は接続に使用されないので、この開口90は閉塞板などで閉じるようにするものであり、あるいは各槽ユニット84を開口90を設けない状態で成形し、接続に使用する側の端部に開口93を切削等の後加工で形成するようにしてもよい。また一方の槽ユニットグループ94aの水の流れの最下流に位置する槽ユニット84と、他方の槽ユニットグループ94bの水の流れの最上流に位置する槽ユニット84は、図4(b)に示すように、槽ユニット84の下端部間に取り付けた接続管100で接続してある。図1(a)において118は接続管100に設けた排水バルブである。
上記のように、複数の槽ユニット84を接続することによって濾過槽3を形成することができるものであり、各槽ユニット84の上面開口には図2のように蓋101を2枚ずつ被せて取り付けるようにしてある。このように濾過槽3を複数の槽ユニット84から形成することによって、濾過槽3の構成部材を小型化することができるものであり、濾過槽3を設置する施工が容易になるものである。
また上記のように複数の槽ユニット84からなる濾過槽3において、水の流れ方向の最終の槽ユニット84を、粒状のろ材2を静置させた状態で内蔵する固定槽86として形成し、最終以外の槽ユニット84を、粒状のろ材2を流動状態で内蔵する流動槽87として形成するようにしてある。ここで、図1及び図2の実施の形態では、濾過槽3を一対の槽ユニットグループ94a,94bから形成すると共に、一方の槽ユニットグループ94aを水の流れの順に槽ユニット84a,84b,84cで、他方の槽ユニットグループ94bを水の流れの順に槽ユニット84d,84e,84fで形成してあるので、槽ユニット84a〜84eを流動槽87として、槽ユニット84fを固定槽86として形成してある。
ここで図6に示すように、各槽ユニット84の底部には水の流れ方向に沿って散気管8が配置してある。この散気管8は、流動槽87を形成する槽ユニット84a〜84eの底部に設けられる流動用散気管8aと、固定槽86を形成する槽ユニット84fの底部に設けられる洗浄用散気管8bからなるものである。これらの散気管8の両端に立ち上げた接続管部103の上端は槽ユニット84の側壁から外部に突出させるようにしてあり、濾過槽3の外周部に配置したエア供給配管104に接続してある(図3参照)。図3において119は接続管部103に設けたバルブである。そして各槽ユニット84において、散気管8は図1(b)のように槽ユニット84の幅方向の片側寄り位置に配置するようにしてある。
また流動槽87を形成する各槽ユニット84(最終の槽ユニット84fを除く)にはその中央部の仕切板保持溝92cに差し込むことによって仕切板82が図4及び図6(c)のように取り付けてあり、槽ユニット84内の中央部を水の流れ方向で仕切るようにしてある。この槽ユニット84の中央部に取り付けられる仕切板82bには、図7(a)に示すようにその下部においてネット98を張った開口部83が形成してあり、仕切板82bを濾過ユニット84に取り付けることによって、開口部83は濾過ユニット84の下部内に配置されるものである。この仕切板82bは仕切板保持溝92cに引き抜き自在に差し込んで取り付けられるものであり、仕切板82bの下端に形成した嵌合凹部106に散気管8を嵌合させて押えることによって、散気管8の浮き上がりを防止するようにしてあると共に、仕切板82bを引き抜くことによって、散気管8の補修や取り替えなどができるようにしてある。
各槽ユニット84のうち、槽ユニットグループ94aの水の流れの最下流に位置する槽ユニット84cの下流側端部の仕切板保持溝92eと、槽ユニットグループ94bの水の流れの最上流に位置する槽ユニット84dの上流側端部の仕切板保持溝92aに、それぞれ仕切板82を差し込んで取り付けてある(図4(b)(c)参照)。この仕切板82cには図7(b)に示すようにその上部においてネット98を張った開口部83が形成してあり、仕切板82cを濾過ユニット84に取り付けることによって、開口部83は濾過ユニット84の上部内に配置されるものである。槽ユニット84c、84dの端部にこのように仕切板82cを取り付けることによって、槽ユニット84c、84d内に充填したろ材2が接続管100を通して槽外へ流れ出さないようにしてある。
さらに固定槽86を形成する槽ユニット84fには、中央部の仕切板保持溝92cに図7(c)のような上部にネット98付きの開口部83を設けた仕切板82dが、その両側の仕切板保持溝92b,92dに図7(a)のような下部にネット98付きの開口部83を設けた仕切板82bが、それぞれ引き抜き自在に差し込んで取り付けてある。この仕切板82b,82dの下端に形成した嵌合凹部106に散気管8を嵌合させて押えることによって、散気管8の浮き上がりを防止することができると共に、仕切板82b,82dを引き抜くことによって、散気管8の補修や取り替えなどができるものである。尚、上記の仕切板82の開口部83に張ったネット98は、水は抵抗なく通過するが、ろ材2は通過させない大きさの網目に形成してある。
一方、飼育水槽1は防水性のシート材81で形成するようにしてある。すなわち、シート材81を円形に裁断し、その周端部をリング状の枠107に取り付けて持ち上げることによって、図1(b)のような周囲が円筒形状の側壁となった槽形状に保形して飼育水槽1を形成することができるものである。そしてリング状枠107を図8に示すように濾過槽3を形成する槽ユニット84の内周側の外面に固定することによって、飼育水槽1を濾過槽3で支持するようにしてある。このように飼育水槽1を防水性のシート材81で形成することによって、飼育水槽1をコスト安価に作製することができるものであり、また容積が大きい飼育水槽1を据え付ける施工が容易になるものである。
飼育水槽1の底面17の中央には排出口48が設けてあり、この排出口48の下側に送流管15の一端が接続してある。この送流管15の他端は一方の槽ユニットグループ94aの水の流れの最上流に位置する槽ユニット84aの、水の流れの上流側の端部に接続してある。この送流管15には固形分除去装置6と循環ポンプ4が接続してある。固形分除去装置6はドラムフィルター22と泡沫分離槽23から形成されるものであり、水の流れ方向に沿ってドラムフィルター22、循環ポンプ4、泡沫分離槽23の順に送流管15に接続してある。これらの固形分除去装置6や循環ポンプ4は、飼育水槽1の周囲に沿って略平行に配置して設置されるものである。また他方の槽ユニットグループ92bの水の流れの最下流に位置する槽ユニット84fには返送出口5が設けてあり、図8のようにこの返送出口5は飼育水槽1の周端部の上に配置してある。従って、返送出口5から流出する水は飼育水槽1に直接流入するものであり、返送出口5は配管などを用いることなく飼育水槽1に直結されているものである。
ここで、既述のように各槽ユニット84にはオーバーフロー用膨出部93を設けてオーバーフロー口85が形成してあり、オーバーフロー口85は図9のように飼育水槽1の周端部の上に配置してある。このオーバーフロー口85にはネット123が設けてある。そして上記の水の流れの終端の槽ユニット84fのみ、オーバーフロー口85の代りに返送出口5を設けるようにしてあるが、この返送出口5は、オーバーフロー用膨出部93を切除し、この切除によって開口する切除開口部121に図10のように排出樋108を取り付けることによって形成してある。切除開口部121を切除した部分に排出樋108に設けた取り付け部109を嵌め込んで固定することによって、排出樋108を槽ユニット84fの側壁から突出するように取り付けるようにしてあり、排出樋108の一方の側端部に返送出口5を設けることによって、返送出口5が槽ユニット84fの飼育水槽1側の外面と平行な方向に開口するようにしてある。切除開口部121にはネット122が設けてある。ここで既述のように、各槽ユニット84には複数本の仕切板保持溝92a〜92eを設けて、各種の仕切板82b〜82dを選択していずれかの仕切板保持溝92a〜92eに取り付けるようにしてあり、しかもこのように返送出口5はオーバーフロー用膨出部93を利用して形成することができるようにしてあるので、同じ型を使用してFRP等で製作される槽ユニット84を、いずれの槽ユニット84a〜84fとしても使用することができるものであり、型を共用して槽ユニット84を製造することができ、槽ユニット84の製造コストを安価にすることが可能になるものである。
濾過槽3には粒状のろ材2が内蔵してあるが、上記のように濾過槽3を構成する槽ユニット84a〜84fのうち、槽ユニット84a〜84eでは、底部に設けた散気管8(流動用散気管8a)から空気を常時噴出させてエアレーションすることによって、槽ユニット84a〜84e内の水中にろ材2を巻き上げ、槽ユニット84a〜84e内でろ材2が常に流動する流動槽87が形成されるようにしてある。ここで、上記のように散気管8は槽ユニット84a〜84eの一方の長辺側の側壁に偏った位置に配置してあるので、槽ユニット84a〜84e内の水には上下方向の対流が生じ、ろ材2はこの対流によって上下に流動して攪拌される。しかも上記のように槽ユニット84a〜84eの対向する長辺側の各側壁の下部に傾斜面80が形成してあるので、槽ユニット84a〜84eの底部において水は一方の傾斜面80に沿って上昇し、他方の傾斜面80に沿って下降するように対流するものであり、槽ユニット84a〜84eの底部の角部に水が滞留する部分が生じないようにスムーズな流れで対流するものである。従って、流動槽87を形成する槽ユニット84a〜84eの底部の角部に水が滞留してろ材2が動かない部分ができないようにすることができるものであり、流動槽87内のろ材2を効率良く均一に流動・攪拌することができるものである。
また槽ユニット84a〜84fのうち、最終の槽ユニット84fでは、底部に設けた散気管8(洗浄用散気管8b)からは、通常運転時はエアを噴出させないものであり、槽ユニット84f内のろ材2は水中を自重で沈降し、槽ユニット84fの底の上に堆積してろ材2が静置された状態の固定槽86が形成されるようにしてある。この固定槽86を形成する槽ユニット84fに設けられた散気管8は、後述のように固定槽86内のろ材2を洗浄する際に作動されるものである。
上記のように形成される養殖装置にあって、飼育水槽1には海水などの水が張ってあり、飼育水槽1中で魚介類が飼育されている。そして飼育水槽1の水は濾過槽3との間で循環して浄化されるが、飼育水槽1の水は送流管15から送り出されてまずドラムフィルター22で、水中の残餌や糞などに由来する浮遊物質(SS)等の固形分が物理的に分離・除去される。ドラムフィルター22で固形分等が除去された水は、循環ポンプ4で送流管15を通して泡沫分離装置23に送られ、水中のタンパク質などの有機物を発泡させて泡沫として除去する。このように処理された水は濾過槽3の始端部の槽ユニット84aに流入する。ここで、固形分除去装置6は飼育水槽1の周囲に沿って配置するようにしてあるので、濾過槽3と共に固形分除去装置6も飼育水槽1と一纏めにして、設置スペースをより小さくすることができるようにしてある。
そして、濾過槽3に流入した水は、先ず流動槽87を形成する槽ユニット84a〜84eで浄化作用を受ける。流動槽87では散気管8(流動用散気管8a)によってエアレーションされた好気状態で、ろ材2の表面の硝化菌によって硝化作用を受け、水中のアンモニアは亜硝酸に酸化されると共に、さらに硝酸に酸化され、アンモニアは魚毒性の低い硝酸態窒素になる。このとき、流動槽87内のろ材2は流動して攪拌されているので、ろ材2に付着した硝化菌と水との接触効率が高まり、高い硝化能力でアンモニアを除去することができるものである。次に流動槽87を形成する槽ユニット84a〜84eを通過した水は固定槽86を形成する槽ユニット84fに移流し、固定槽86内のろ材2に付着した硝化菌で同様に硝化作用を受ける。固定槽86はエアレーションされていないので、固定槽86内ではろ材2は沈降堆積した状態にあり、水が堆積したろ材2間を通過する際に、水中のSSなどの固形物がろ材2に捕捉されて除去される。このようにして流動槽87及び固定槽86で生物濾過された水は、最終の槽ユニット84fの返送出口5から飼育水槽1に返送される。
返送出口5は槽ユニット84fの水の流れの下流側の仕切板82bよりも下流側端部に設けてあり、槽ユニット84fにおいてこの仕切板82cより下流側の端部の室112にはろ材2が充填されていない。従って返送出口5からろ材2が流出しないようにしてある。またこの室112には熱交換器を設けて水温調整を行なうことができるようにしてもよい。
上記のように濾過槽3に水を通過させて生物濾過するにあたって、始端の槽ユニット84aに流入した水は、仕切板82bに設けた槽下部の開口部83を通過した後に、仕切板82aに設けた槽上部の開口部83を通して槽ユニット84bに移流する。槽ユニット84bに移流した水は、仕切板82bに設けた槽下部の開口部83を通過した後に、仕切板82aに設けた槽上部の開口部83を通して槽ユニット84cに移流する(図4(a)参照)。槽ユニット84cに移流した水は仕切板82bに設けた槽下部の開口部83を通過した後に、仕切板82cに設けた槽上部の開口部83を通過し、槽下部の接続管100を通して、槽ユニット84dの槽下部に移流する。槽ユニット84dに移流した水は仕切板82cに設けた槽上部の開口部83を通過した後に、仕切板82bに設けた槽下部の開口部83を通過し、仕切板82aに設けた槽上部の開口部83を通して槽ユニット84eに移流する(図4(b)参照)。槽ユニット84eに移流した水は仕切板82bに設けた槽下部の開口部83を通過した後に、仕切板82aに設けた槽上部の開口部83を通過して槽ユニット84fに移流する。槽ユニット84fに移流した水は仕切板82bに設けた槽下部の開口部83を通過した後に、仕切板82dに設けた槽上部の開口部83を通過し、仕切板82bに設けた槽下部の開口部83を通過して室112に流入した後に、返送出口5から飼育水槽1に返送される(図4(c)参照)。このように、濾過槽3を流れる水は、各槽ユニット84内において槽上部の開口部83と槽下部の開口部83とを交互に通過するようにしてあり、水を上下方向に蛇行させるようにしてある。従って、水は蛇行した長い距離で濾過槽3内を通過するものであり、ろ材2に対する水の接触効率を高めて効率の高い濾過を行なうことができるものである。
また、各槽ユニット84内の水の流れが悪くなると、各槽ユニット84内の水の水位が上昇して水が溢れるおそれがある。そこで上記のように槽ユニット84a〜84eの飼育水槽1側の側壁の上端縁に、水の流れの下流側端部においてオーバーフロー口85が設けてあり、槽ユニット84a〜84e内の水位が上昇するとオーバーフロー口85から水がオーバーフローして飼育水槽1に戻されるようにしてあり、槽ユニット84a〜84eから水が溢れることを防ぐようにしてある。最終の槽ユニット84fには返送出口5が設けてあるので、この槽ユニット84fにはオーバーフロー口85を設ける必要はない。
次に、固定槽86内のろ材2の洗浄運転について説明する。固定槽86を形成する槽ユニット84fの底部と、送流管15の排出口48とドラムフィルター22の間の位置とに、洗浄用配管114の一端と他端が図1(a)のように接続してある。またこの洗浄用配管114にバルブ115が設けてあると共に、洗浄用配管114の接続箇所と排出口48との間の箇所において送流管15にバルブ116が設けてある。そして先ず、循環ポンプ4を停止させ、洗浄用配管114のバルブ115を開く。濾過槽3内の水は洗浄用配管114から送流管15を通して飼育水槽1に流出し、槽ユニット84f内の水位は返送出口5の下にまで低下する。次に、送流管15のバルブ116を閉じ、槽ユニット84f内の散気管8(洗浄用散気管8b)からエアを噴出させると、槽ユニット84f内のろ材2は水中を舞い上げられて攪拌される。このように槽ユニット84f内のろ材2を攪拌することによって、ろ材2の表面に付着するSSなどの固形物を剥離させる洗浄を行なうことができるものである。このとき、槽ユニット84fは槽ユニット84a〜84eの場合と同様にろ材2が流動し易い構造に形成してあるので、ろ材2の攪拌効果が高く、ろ材2の洗浄を効率良く行なうことができるものである。次に循環ポンプ4を作動させると、槽ユニット84f内の水は洗浄用配管114から送流管15を通して固形分除去装置6のドラムフィルター22と泡沫分離装置23を通過した後に、槽ユニット84aに送り返される。このように濾過槽3と固形分除去装置6との間で水を循環させることによって、洗浄によってろ材2から剥離された固形物を固形分除去装置6で除去することができるものである。
次に、本発明の他の実施の形態を図11以下の図に基づいて説明する。図11の実施の形態では、飼育水槽1の外周壁16の内面に沿って濾過槽3を設けるようにしてあるが、外周壁16の外面に沿って濾過槽3を設けるようにしてもよい。また図11の実施の形態では、飼育水槽1の外周壁16の内側に所定の一定間隙を隔てて内壁18を立設すると共に内壁18と外周壁16の間に天井壁19を掛け渡して取り付けることによって、飼育水槽1の外周壁16と底面17の一部を利用して濾過槽3を飼育水槽1と一体に形成するようにしてある。このように濾過槽3を飼育水槽1と一体に形成すると、養殖装置を構成する部材の点数を少なくすることができ、養殖装置の組み立てが容易になるなどして、設置工事が容易になるものである。勿論、飼育水槽1とは別体の濾過槽3を飼育水槽1の外周に沿って設置するようにしてもよいものであり、この場合には、飼育水槽1として既存のものをそのまま用いることが可能になるものである。
濾過槽3は飼育水槽1の周囲を一周するように全周に亘って設けてあるが、濾過槽3内の一箇所に端部板21を設けてこの部分で濾過槽3の内周を閉塞することによって、端部板21の一方の片面側の部分が濾過槽3の水の流れの上流側になる始端部、端部板21の他方の片面側の部分が濾過槽3の水の流れの下流側になる終端部となり、濾過槽3を細長い形態に形成するようにしてある。そして濾過槽3の始端部に上記の送流管15が接続してあり、また濾過槽3の終端部において内壁18に開口を設けることによって、飼育水槽1内に面して返送出口5が形成してある。
また濾過槽3内の水の流れ方向に沿った複数箇所に開閉部材7が配置してある。開閉部材7は一側端に縦の回動軸25を設けた板として形成してあり、濾過槽3の長手方向に対して平行な向きと垂直な向きの間で回動軸25を中心にして開閉部材7を回動させることができるようにしてある。そして開閉部材7を図11(a)の実線のように濾過槽3の長手方向と平行な向きに回動させたときには、濾過槽3内は開閉部材7で遮断されることなく連通した「開」の状態になる。また開閉部材7を図11(a)の鎖線のように濾過槽3の長手方向と垂直な向きに回動させたときには、濾過槽3内は開閉部材7で閉じられて遮断され「閉」の状態になり、各開閉部材7で濾過槽3内を飼育水槽1の周囲に沿う方向に仕切ることができるものであり、隣り合う開閉部材7間、あるいは開閉部材7と端部板21の間にそれぞれ、相互に遮断された仕切室3a,3b,3c…を形成することができるものである。
さらに各開閉部材7の水の流れ方向での前側と後側の位置において、濾過槽3内にネット状の通水シート26が張ってある。図の実施の形態では送流管15を接続した箇所から水の流れの下流側の箇所にも通水シート26が張ってある。そして濾過槽3内にはろ材2が充填されているが、このろ材2は各仕切室3a,3b,3c…の区画において張られている通水シート26の間に配置されている。通水シート26は水は自由に通過させるが、ろ材2は通過させない網目のネットで形成されているので、開閉部材7を開いた状態でも、ろ材2は各仕切室3a,3b,3c…の区画から移動したり流れ出したりしないようになっている。ここで、ろ材2としては、略円筒形状や粒状など任意の形態のものを用いることができるものであり、浮上ろ材であってもよい。
また、各仕切室3a,3b,3c…の区画にはそれぞれ、濾過槽3内の底部に沿って洗浄用の散気管8が配置してある。この散気管8は長手方向に沿って多数のエア吐出口28を設けて形成されるものであり、各開閉部材7の近傍に配置したエア供給管29を介してメインエア供給管30に接続してある。メインエア供給管30はブロア31に接続してあり、各エア供給管29に設けたバルブ32を開くことによって、個々の散気管8のエア吐出口28からエアを濾過槽3の各仕切室3a,3b,3c…の区画内に噴出させることができるようにしてある。
さらに各仕切室3a,3b,3c…の区画にはそれぞれ、排水管9が接続してあり、各排水管9にはバルブ33が設けてある。上記のように各開閉部材7の水の流れ方向での前側と後側の位置に通水シート26が張ってあり、各開閉部材7はこれらの通水シート26の間に配置されているが、各排水管9も開閉部材7と同様にこの通水シート26の間に配置されているものである。
上記のように形成される養殖装置にあって、飼育水槽1には海水などの水が張ってあり、飼育水槽1中で魚介類が飼育されている。そして飼育水槽1の水は濾過槽3との間で循環して浄化されるが、飼育水槽1の水は送流管15から送り出されてまず固形分除去装置6で、水中の残餌や糞などに由来する浮遊物質(SS)等の固形分が物理的に分離・除去される。固形分除去装置6で固形分等が除去された水は、循環ポンプ4で送流管15を通して濾過槽3の始端部に送られる。このとき、開閉部材7は総て図11(a)の実線のように濾過槽3の長手方向と平行な向きの開状態になっており、濾過槽3内は開閉部材7で遮断されることなく始端部から終端部に至るまで連通した状態にある。従って、濾過槽3に流入した水は、図11(a)の矢印のように、濾過槽3の始端部から終端部に向けて濾過槽3内を長手方向に沿って流れ、濾過槽3内に充填したろ材2で濾過される。ろ材2の表面には好気性の微生物が培養されており、この微生物の働きで魚介類の排泄物に起因するアンモニアを魚介類に対して無毒な硝酸に硝化することができるものである。また濾過槽3内は始端の送流管9と終端の返送出口5の部分及び後述のエア抜き管39の部分以外は密閉構造に形成されており、濾過槽3の内部に水が充満して流れるようにしてある。そして、このように濾過槽3内のろ材2で生物的に濾過されて浄化された水は、濾過槽3の終端部の返送出口5から飼育水槽1に返送されるものである。
ここで、濾過槽3は上記のように飼育水槽1の周囲に沿って配置してあるので、飼育水槽1と濾過槽3とを一つに纏めることができ、飼育水槽1の近傍に濾過槽3を並べて設置する場合のように飼育水槽1の周辺に凹凸ができることがなくなり、養殖装置を設置する際のスペースを小さくすることが可能になるものである。そして特に、濾過槽3の返送出口5を飼育水槽1内に開口させるようにして、濾過槽3を飼育水槽1と直結することによって、濾過槽3から飼育水槽1に水を返送するための複雑な配管が不要になり、設置スペースをより小さくすることができるものである。また濾過槽3の他に、上記のように固形分除去装置6も飼育水槽1の周囲に沿って配置することによって、固形分除去装置6も濾過槽3と同様に飼育水槽1と一纏めにすることができ、養殖装置の設置スペースをより小さくすることができるものである。
また、上記のように濾過槽3を飼育水槽1の周囲に沿って配置する結果、濾過槽3は飼育水槽1の周囲に沿った方向で細長い形態に形成されるものであり、濾過槽3に流入した水は濾過槽3の始端部から終端部まで長い距離でろ材2に接触して効率高く濾過・浄化されるものである。そしてこのように濾過槽3は細長い形態に形成される結果、濾過槽3の断面積が小さくなって濾過槽3内を流れる水の流速は速くなる。ここで、ろ材2の表面へのSS等の付着によるろ材2間の目詰まりを考えると、ろ材2は単位容積当たりの表面積が小さいものを用いることが望ましく、このようなろ材2は水との接触効率が悪いが、濾過槽3内を流れる水の流速が速くなると、ろ材2の表面で水が滞留することが少なくなって、ろ材2に対して水が接触する効率が高くなり、この点でも水の濾過・浄化を効率高く行なうことができるものである。さらに、濾過槽3の断面積を小さくすることができる結果、濾過槽3の高さを低いものに形成することが可能になるものであり、循環ポンプ4で水を揚水して濾過槽3に供給するにあたって、揚水能力の小さい循環ポンプ4を使用することができ、ランニングコストを小さくすることができると共に、濾過槽3の上面の高さを飼育水槽1の外周壁16の上端より低く形成することが可能になり、飼育水槽1内の魚介類の取り出しや維持管理などの作業を、飼育水槽1の外周壁16の外側から容易に行なうことができるものである。
飼育水槽1の水を濾過槽3との間で循環させて浄化する上記の通常運転時には、循環ポンプ4は「ON」、開閉部材7は総て「開」、ブロア31は「OFF」、バルブ32,33は総て「閉」となっている。この通常運転を継続していると、濾過槽3内のろ材2の表面にSS等の汚れが付着し、ろ材2の表面への水の接触効率が悪くなると共にろ材2間を水が通過し難くなって、ろ材2による水の濾過・浄化効果が低下するので、ろ材2を洗浄する逆洗と呼ばれる作業を行なう必要がある。そして濾過槽3内のろ材2の汚れは、濾過槽3の全長で均一ではなく、例えば、始端部に近い部分で汚れ易く、終端部に近い部分では汚れ難いというように、濾過部3の水の流れ方向で汚れの度合いが異なる。そこで本発明では、濾過槽3内を水の流れ方向に複数の仕切室3a,3b,3c…に仕切ることができるようにし、各仕切室3a,3b,3c…ごとに独立してろ材2の洗浄を効率良く行なうことができるようにしてある。
すなわち、例えば始端部の仕切室3a内のろ材2を洗浄する場合は、先ず、循環ポンプ4の作動を「OFF」にした後、開閉部材7のうち、仕切室3aの後部の開閉部材7aを回動して図11(a)の鎖線のように濾過槽3の長手方向と垂直な向きの「閉」状態にし、濾過槽3内を開閉部材7aで遮断して密閉された仕切室3aを形成する(その他の開閉部材7b,7c,7dは「開」のままでよい)。次に、ブロア31を「ON」にすると共にこの仕切室3aに設けた散気管8に接続したエア供給管29のバルブ32を「開」にすることによって、散気管8のエア吐出口28からエアを吐出させ、この吐出させるエアで仕切室3b内のろ材2を水中に巻き上げて攪拌するエアレーションを行なう。このようにエアレーションしてろ材2を水中で攪拌することによって、ろ材2を洗浄(逆洗)することができるものである。
このように仕切室3a内のろ材2の洗浄を終えた後、散気管8からエアを吐出させながら、循環ポンプ4の作動を「ON」にすると共に、仕切室3aの後部の開閉部材7aを「閉」にしたまま、この仕切室3bに接続された排水管9のバルブ33を開くと、循環ポンプ4で送られる水に押されて、仕切室3a内の水は排水管9から排出される。ろ材2の洗浄によってろ材2から剥離したSSなどの汚れは、この水とともに排水管9から排出されるものである。尚、養殖装置が海の近くにある場合など、海水等の飼育用の水を大量で使用できるときには、この水を揚水ポンプで仕切室3bに直接引き込んで流すことによって、循環ポンプ4を作動させる必要なく、仕切室3a内の汚れた水を排出することができるものである。このようにして、濾過槽3のうち仕切室3aの区画のろ材2を洗浄し、洗浄して汚れた水を排出することができるものである。
また始端部から二つ目の仕切室3b内のろ材2を洗浄する場合は、開閉部材7のうち、仕切室3bの前部と後部の開閉部材7a,7bを回動して「閉」状態にし、濾過槽3内を開閉部材7a,7bで遮断して密閉された仕切室3bを形成するようにし、あとは上記に準じて仕切室3b内のろ材2を洗浄することができる。そして仕切室3b内のろ材2の洗浄を終えた後、仕切室3bの散気管8からエアを吐出させながら、循環ポンプ4の作動を「ON」にすると共に、仕切室3aの後部の開閉部材7bを「閉」にしたまま、仕切室3bの前部の開閉部材7aを回動して「開」にし、さらにこの仕切室3bに接続された排水管9のバルブ33を開くと、循環ポンプ4で濾過部3に送られる水に押されて、仕切室3b内の水は排水管9から排出される。このようにして、仕切室3b内のろ材2の洗浄、及び洗浄して汚れた水の排出を行なうことができるものであり、さらに他の仕切室3c,3dの区画のろ材2についても、同様にして洗浄及び洗浄して汚れた水の排出を行なうことができるものである。
ここで、上記のように濾過槽3内のろ材2を洗浄した後に、ろ材2から剥離したSSなどの汚れを水と共に濾過槽3内から排出するにあたって、濾過槽3を内部に水が充満して流れる密閉構造に形成してあるので、濾過槽3内に水面の上側において空間がある場合のように、汚れが水面に浮遊して漂うようなことがなくなり、汚れを水ととも押し流して排水管9から排出することができるものであり、濾過槽3内から汚れを効率よく排出することができるものである。
図12は濾過槽3の各仕切室3a,3b,3c,3dの区画の部分を示すものであり、濾過槽3の天井壁19の下面には所定間隔で水の流れ方向に複数枚の整流板11が垂下して設けてある。濾過槽3内のろ材2で水を濾過・洗浄するために、水を濾過槽3内に通過させるにあたって、水が天井壁19の下面に沿って流れると、この水はろ材2への接触機会が少なく濾過・洗浄の作用をあまり受けないまま、返送出口5から飼育水槽1に返送されてしまうおそれがある。このために天井壁19に整流板11が垂下して設けてあり、天井壁19の下面付近の水を整流板11で下方へ迂回させるように流すことができ、濾過槽3内に充填したろ材2に十分に接触させながら水を流すことができるものであり、ろ材2による濾過を効率良く行なうことができるものである。
尚、各整流板11の上端部には空気通過穴42が設けてあり、濾過槽3の上部内に空気が溜まった場合に、この空気を空気通過穴42を通して天井壁19の下面に沿って移動させ、エア抜き管39から排出することができるようにしてある。また、上記のネット状の通水シート26は、一部の整流板11から垂下して取り付けるようにしてある。
図13は、開閉部材7と散気管8と排水管9とを備えた仕切ユニット10を示すものである。仕切ユニット10は上面板35と下面板36の両側端間に側面板37を設けて、対向する二側面が開口した縦長の箱状に形成されるものであり、仕切ユニット10の各側面開口部にはネット状の通水シート26が張ってある。また一方の開口部には通水シート26の内側において開閉部材7が取り付けてある。開閉部材7は一側端に設けた回動軸25の上端と下端を仕切ユニット10の上面板35の軸受け44と下面板36の軸受け45に枢支し、回動軸25を中心に板状の開閉部材7を回動させることによって、開口部を開閉できるようにしてある。回動軸25の上面板35から上方へ突出させた上端部には、開閉部材7を手動で回動させるレバー38が設けてある。また散気管8から立ち上げたエア供給管29を上面板35に通して取り付けるようにしてあり、上面板35を通して取り付けた排水管9の下端部を仕切ユニット10の下端部内に配置するようにしてある。さらに、上面板35の下面付近で開口するエア抜き管39が上面板35から上方へ突出して設けてあり、このエア抜き管39の少なくとも一部を透明に形成するなどすることによって、エア抜き管39で水圧検知手段12を形成するようにしてある。また必要に応じて、濾過槽3の各仕切室3a,3b,3c…に酸素供給をするための酸素供給管40が上面板35を通して仕切ユニット10に取り付けてある。図13において49は上面板35に設けたメンテナンス用の孔、50はこの孔49を密閉するために脱着自在にネジ止め固定される蓋板である。
また図14は返送ユニット52を示すものであって、上面板53と下面板54の隣り合う二側端間に側面板55を設けて、隣り合う二側面が開口した縦長の箱状に形成されるものであり、上面板53には仕切ユニット10と同様にメンテナンス用孔49及び蓋板50が設けてある。返送ユニット52の一側面の開口部56には水流の向きを設定するルーバー57が設けてある。ルーバー57は上下に長い板材で形成してあり、上端と下端を上面板53と下面板54に固定して複数枚平行に配置してある。各ルーバー57は返送ユニット52の一側面の開口部56の開口面に対して側方へ傾斜するようにしてあり、各ルーバー57は連結棒58で結合してある。
上記のように形成される複数の仕切ユニット10を所定間隔で組み込んで濾過槽3を形成することによって、図15のように、各仕切ユニット10の開閉部材7で濾過槽3内を飼育水槽1の周囲に沿う方向で複数の仕切室3a,3b,3c…に分割できるようにすることができるものであり、また最終端の仕切ユニット10に隣接して返送ユニット52を組み込むことによって、返送ユニット52の開口部56で返送出口5を形成するようにしてある。従って、仕切ユニット10を濾過槽3に組み込むことによって、濾過槽3内を仕切室3a,3b,3c…に分割する開閉部材7と、散気管8、排水管9、エア抜き管39、酸素供給管40を同時に各仕切室3a,3b,3c…に取り付けることができるものであり、濾過槽3の組み立てを容易に行なうことができるものである。また返送出口5を形成する返送ユニット52の開口部56には傾斜するルーバー57が設けてあり、返送出口5から飼育水槽1に返送される水の水流は、ルーバー57によって向きが飼育水槽1の中央から外れる斜め方向に設定されている。従ってこの水流によって飼育水槽1内の水には飼育水槽1の周方向に沿った環状の流れが生じるようになっており、この環状の流れによって水中の固形分などの異物は中央に集められて、排出口48から効率的に排出されるようになっている。
ここで、上記のエア抜き管39は、濾過槽3内の空気を排出して濾過槽3内に水が充満して流れるようにするためのものである。また濾過槽3内のろ材2の表面にSS等の汚れが付着すると、ろ材2間を水が通過し難くなって、濾過槽3内の水圧が高くなり、従って、濾過槽3内の水圧を検知することによって、ろ材2の汚れ具合を知ることができる。エア抜き管39は濾過槽3内の水圧を検知する水圧検知手段12を兼ねているものである。すなわち、濾過槽3内の水圧が高くなると、濾過槽3から水がエア抜き管39を上昇するので、エア抜き管39内の水位の変化を見ることによって、濾過槽3内の水圧を検知することができるものであり、この水圧検知によってろ材2の汚れ具合を判断することができ、ろ材2の洗浄時期を的確に知ることができるものである。エア抜き管39には図16に示すような空気抜きバルブ60が接続してある。空気抜きバルブ60内には密度が水より小さいボール61が上下動自在に配置してあり、ボール61の下側と上側において空気抜きバルブ60の内周に下弁座62と上弁座63が設けてある。このエア抜き管39にあって、ボール61は通常は下弁座62の上に載置されていて下弁座62を閉じているが、濾過槽3内の空気圧が高まるとボール61は押し上げられて下弁座62が開き、濾過槽3内の空気を排出することができる。また濾過槽3内に水が充満されてエア抜き管39を水が上昇すると、この水によってボール61は浮上して上弁座63を閉じ、空気抜きバルブ60は閉の状態になって、水がエア抜き管39から流出することを防ぐことができる。
図17は本発明の他の実施の形態を示すものであり、濾過槽3の各仕切室3a,3b,3c,3dの区画に接続した各排水管9をそれぞれ排水配管65に接続してあり、各仕切室3a,3b,3c,3dの各排水管9にはバルブ33a,33b,33c,33dが設けてある。この排水配管65は送流管15に接続してあり、送流管15には排出口48と排水配管65との接続箇所の間の位置においてバルブ66が設けてある。また排水配管65には排出管67が接続してあり、排出管67にはバルブ68が設けてある。さらに排水配管65には、終端の仕切室3dの排水管9との接続箇所及び排出管67との接続箇所と、送流管15との接続箇所の間の位置において、バルブ69が設けてある。その他の構成は上記の各実施の形態と同じである。
図17のように形成される養殖装置にあっては、養殖を開始する立ち上げ時に、濾過槽3のろ材2に付着した硝化菌を増殖させて活性化する操作を行なうことができる。この操作を行なうには、まず、濾過槽3内の水にアンモニアなど添加して富栄養化をした後、各仕切室3a,3b,3c,3dの仕切ユニット10に設けた開閉部材7a,7b,7c,7dのうち、仕切室3a,3b,3cの開閉部材7a,7b,7cを開くと共に終端の仕切室3dの開閉部材7dを閉じ、また排水配管65のバルブ69と終端の仕切室3dの排水管9のバルブ33dを開くと共に他の排水管9のバルブ33a,33b,33c、送流管15のバルブ66、排出管67のバルブ68を閉じる。そしてこの状態で循環ポンプ4を作動させると、濾過槽3内の水は、始端の仕切室3aの区画から終端の仕切室3dの区画へと流れた後、終端の仕切室3dの区画の排水管9から排水配管65に流入し、排水配管65から送流管15を通して始端の仕切室3aの区画に吐出されるようになっている。このようにして、濾過槽3内の水を始端の仕切室3aから終端の仕切室3dへと流す循環を行なわせることができるものであり、ろ材2に付着した硝化菌を増殖させる立ち上げ運転を行なうことができるものである。
また、仕切室3a,3b,3c,3dのろ材2を洗浄した後に、洗浄した仕切室3a,3b,3c,3dの水を排出するにあたって、この水を固形分除去装置6に通して汚れを取除いた後に、濾過槽3に戻して、水を再使用できるようにすることもできる。例えば始端の仕切室3aを既述のように洗浄した後に、この仕切室3a内の水を排出するときの操作を説明すると、まず、仕切室3aの開閉部材7aを閉じ、仕切室3b,3c,3dの開閉部材7b,7c,7dを開いたまま、仕切室3aの排水管9のバルブ33aと排水配管65のバルブ69を開くと共に他の排水管9のバルブ33b,33c,33d、送流管15のバルブ66、排出管67のバルブ68を閉じる。そしてこの状態で循環ポンプ4を作動させると、仕切室3a内の水は仕切室3aの排水管9から排水配管65に流入し、さらに送流管15を通して固形分除去装置6を通過し、洗浄で汚れた水の固形分が固形分除去装置6で除去される。このように固形分除去装置6で清浄化された水は送流管15を通して仕切室3aに戻されるものであり、濾過槽3で再使用することができるものである。従ってこのものでは、仕切室3a,3b,3c,3dのろ材2を洗浄した後の水を廃棄する必要がなくなり、廃棄することによって不足する水量を補うような必要がなくなるものである。
また仕切室3a,3b,3c,3dのろ材2を洗浄した後にその水をそのまま廃棄することもできる。例えば始端の仕切室3aを既述のように洗浄した後に、この仕切室3a内の水を廃棄するときの操作を説明すると、まず、仕切室3aの開閉部材7aを閉じ、仕切室3b,3c,3dの開閉部材7b,7c,7dを開いたまま、仕切室3aの排水管9のバルブ33a、排出管67のバルブ68、送流管15のバルブ66を開くと共に他の排水管9のバルブ33b,33c,33d、排水配管65のバルブ69を閉じる。そしてこの状態で循環ポンプ4を作動させると、飼育水槽1の水が送流管15を通して仕切室3aに流入し、この水に押されて仕切室3a内の水は排水管9から流出する。そしてこの水は排水配管65を通して排出管67から廃棄されるものである。
図18及び図19は本発明の他の実施の形態を示すものである。図19に示すように仕切ユニット10の飼育水槽1の側の側面板37に返送用開口72が形成してあり、返送用開口72にはルーバー73が設けてある。この返送用開口72の内側の周囲にはパッキン74が取着してある。仕切ユニット10の他の構成は上記の図13のものと同じであるが、開閉部材7を回動して実線の「開」の状態にすると、開閉部材7は側面板37の内面と平行になってパッキン74に密着し、返送用開口72を開閉部材7で塞ぐことができるようにしてある。従って開閉部材7を回動して鎖線の「閉」の状態にすると、返送用開口72を開くことができるものである。そしてこの図19の仕切ユニット10bを所定間隔で組み込むと共に最終の位置には上記の図13の返送用開口72を設けない仕切ユニット10aを組み込んで濾過槽3を形成することによって、図18のように、各仕切ユニット10bの開閉部材7で濾過槽3内を飼育水槽1の周囲に沿う方向で複数の仕切室3a,3b,3c…に分割できるようにすることができるものである。その他の構成は図15のものと同じである。
そして図18の実施の形態にあって、例えば始端部から二つ目の仕切室3b内のろ材2を洗浄する場合は、図18に実線で示すように、始端部の仕切室3aと二つ目の仕切室3bの間の開閉部材7aを回動して「閉」状態にし、仕切室3bと仕切室3aの間を遮断すると共に、その他の開閉部材7b,7c,7dは「開」状態のままにしておく。このように開閉部材7aを「閉」状態にすることによって、この開閉部材7aの箇所の返送用開口72が開かれ、他の開閉部材7b,7cの箇所の返送用開口72は閉じられている。この状態で仕切室3bに設けた散気管8からエアを吐出させることによって、仕切室3b内のろ材2をエアレーションして洗浄することができる。ここで、このように仕切室3bのろ材2を洗浄している間も、循環ポンプ4を作動し続けることができるものであり、飼育水槽1の水は循環ポンプ4の作動で濾過槽3に送られ、仕切室3aの開口している返送用開口72から飼育水槽1に返送される。このように、図18の実施の形態では、始端部の仕切室3aを除いて、仕切室3b,3c,3dのいずれかのろ材2を洗浄している間も、その手前の仕切室3a,3b,3cの返送用開口72を通して飼育水槽1の水を濾過槽3との間で循環させることができるものであり、飼育水槽1の濾過洗浄を継続することができるものである。このように仕切室3bのろ材2の洗浄を終えた後、図18に破線で示すように仕切部材7aを「開」の状態にすると共に最終の仕切室3dの開閉部材7dを「閉」の状態にし、さらに各仕切室3a,3b,3c,3dに接続された排水管9のバルブ33を開くと、循環ポンプ4によって濾過部3に送られる水に押されて、仕切室3b内の水を排水管9から排出することができ、洗浄で汚れた水を濾過槽3から排出することができるものである。