しかしながら、特許文献1において開示されている万線型ディザマトリクスの生成方法では、基本マトリクス内の成長順については、「濃度発生順位を画像のライン基調方向と同一方向にする」といった定性的な表現で記載されている。また図示されているディザマトリクスを見ても、成長順は成長中心からライン基調方向の一方方向に単純に成長していく成長順である。このような単純な成長順は、ディザマトリクス生成者が手動で成長順を決定する場合には都合がよく、スクリーン角が0度、90度、45度などといった考えやすい角度である場合には、多少の訓練により成長順を手動で決定することも可能である。しかし、スクリーン角が0度、90度、45度などとはならないような場合には、万線型の成長順を容易に考え出すことは困難となり、熟練者においても試行錯誤を行いながら成長順を決定せざるを得ないというのが実情であり、非常に効率が悪いものとなる。
また、基本マトリクス内の成長順の決定方法が、上述のように定性的に規定され、熟練者が手動で決定するような手法の場合や、先述したようにディザマトリクスの生成をコンピュータプログラムにより短時間で行おうとした場合には、基本マトリクス内の成長順をあらかじめすべてのスクリーン線数に対応してデータ化しておかなければならないので、作業を進める上で大きな障壁となるという問題があった。
また、特許文献2においても、基本マトリクス内の成長順については記載されておらず、成長順については、あらかじめメモリに記憶させておく方法で決定している。また、万線型の成長順についての記載はない。特許文献2において提案されていた方法も、やはり、万線型の成長を行う場合は、基本マトリクス内の成長順をあらかじめ何らかの方法で決めておく必要があるので、すでに説明したような万線型ディザマトリクスの生成時の問題を完全に解決することはできない。
また、特許文献3には、ドット集中型の成長順決定方法が記載されているのであるが、しかし、万線型の成長順については記載されていない。ドット集中型のディザマトリクスでは、従来技術の項で記載した(1)スクリーン線数とスクリーン角度の設定自由度が向上する、(2)フルカラー画像での色モアレの解消が不可能である。ドット集中型のディザマトリクスでは、成長順をスクリーン角度やスクリーン線数によってその都度変更する必要はない。このため、例えば生成しようとするディザマトリクスの基本マトリクスよりも大きな領域を含むような成長順を記述した成長順テーブルを1つ生成しておけば、基本マトリクスの大きさがその成長順テーブルよりも小さいようなすべての場合に対応することが可能である。成長順テーブルを一つ生成するだけであれば、手作業でその作業を行っても重大な問題とはならないが、万線型ディザでは、スクリーン角度ごとに成長順テーブルが1つ必要となるため、多数の成長順テーブルが必要となるという問題がある。
特許文献1および2では、基本マトリクスの形状(ディザマトリクス1周期分の形状)、すなわち1つの成長中心に属する画素の集まりを表した領域は、二つの長方形(例えば、特開2003−134337の図12では、4×4の正方形と1×1の正方形)に属する画素の集まりとして、表されている。しかしながら、基本マトリクスの形状を視覚的に分かりやすく表現したい場合には、基本マトリクスの形状をこのような2つの長方形によって表現することは良いが、この方法では、万線型のディザマトリクスを生成する場合には、次のような問題が未解決である。すなわち、基本マトリクス内の画素の配置のみに基づいて成長順を決定することができないという問題が発生する。これは、基本マトリクス内のいずれかの画素を成長中心(ライン基調の中心線が通過する画素)として設定した場合に、基本マトリクス内のみを見た場合にはこの成長中心から遠く離れた画素であっても、基本マトリクス外の成長中心から近い距離を有する画素となっている場合があり、この場合には基本マトリクス内の成長中心からの距離という情報だけでは成長順を決定することができない。
また、特許文献3においては、同文献の図5に記載されているように、周期的な基準となる4点を結んだ直線で囲まれる領域の内側にあるかそうでないかを判定して、基本マトリクスの形状を決定している。このような基本マトリクス形状の決定方法は、上述の2つの長方形によって記述する方法とは明らかにことなるが、やはり上述した問題、すなわち基本マトリクス内のみを見た場合にはこの成長中心から遠く離れた画素であっても、基本マトリクス外の成長中心から近くの画素に相当してしまうような場合がまったく生じないことを保証する基本マトリクス形状の決定法ではない。このため、やはり上述のような問題が発生する危険性を持つ。また、特許文献3に記載の基本マトリクス形状の決定方法では、成長中心は、周期的な基準となる4点の対角線の交点となるが、この成長中心が画素の中心と一致するとは限らない。つまり、この成長中心は、生成しようとするディザマトリクスのスクリーン線数やスクリーン角度によって変化してしまう。このことによって、すべてのスクリーン線数やスクリーン角度に対して、同じ成長順決定のためのルールを適用することができず、成長順を決定する場合に、場合分けが必要となって煩雑さが増すという問題が生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ディザマトリクスのすべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスの基本マトリクス生成方法、ディザマトリクス生成方法、ディザマトリクス生成方法をコンピュータで実行するプログラム、ディザマトリクス生成装置、画像処理方法、画像形成方法、画像処理装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、隙間および重複無く複数配置されてディザマトリクスを構成しているディザマトリクスの基本マトリクスの生成方法であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、前記ディザマトリクスの周期構造を決定する2つのベクトルのうち第1ベクトルm(mx、my)の値の入力を受け付けるベクトル入力工程と、前記ディザマトリクスを構成している基本マトリクス内のi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする前記2次元平面状の2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する位置取得工程と、前記ベクトル入力工程において受け付けられた前記第1ベクトルmと、前記位置取得工程において取得された位置ベクトルPiとの外積の大きさ|m×Pi|を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された外積の大きさ|m×Pi|の小さい順番に前記基本マトリクス内の要素を順序づける基本順序工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項1にかかる発明によれば、ディザマトリクスの周期構造を決定する2つのベクトルのうち第1ベクトルm(mx、my)の値の入力を受け付け、ディザマトリクスを構成している基本マトリクス内のi番目の要素の位置Piを、基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元平面状の2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得し、受け付けられた第1ベクトルmと、位置取得工程において取得された位置ベクトルPiとの外積の大きさ|m×Pi|を算出し、算出された外積の大きさ|m×Pi|の小さい順番に基本マトリクス内の要素を順序づけて基本マトリクス内の要素を順序付ける。この構成によって、ディザマトリクスを構成する基本マトリクス内の画素を、第1ベクトルとの距離が近い順番に順序づけて成長させることができるので、基本マトリクス内の成長順を簡易に決定し、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス生成のための基本マトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項2にかかる発明は、ディザマトリクス生成方法であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、前記ディザマトリクスの周期構造を決定する第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力工程と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトル値Pi(Pix、Piy)で取得する位置取得工程と、整数をkとして、前記ベクトル入力工程において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得工程において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記基本マトリクスにおいて前記要素Piを配置させる配置工程と、前記配置工程において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項2にかかる発明によれば、ディザマトリクス生成方法であって、ディザマトリクスの周期構造を決定する第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けて、基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトル値Pi(Pix、Piy)で取得して、整数をkとして受け付けられた第1ベクトルm、第2ベクトルs、および位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出して、算出された外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつPiによって定まる基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように基本マトリクスにおいて要素Piを配置させて、配置された基本マトリクス内の要素を、第1ベクトルmの方向に順序づける。この構成によって、基本マトリクス内の画素位置が外部の成長中心との距離以下に設定されて隙間および重複なくディザマトリクスを構成できるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための処理のためのディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項3にかかる発明は、ディザマトリクス生成方法であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配列してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法であって、前記2次元ディザマトリクスに対応させた2次元平面上において、前記ディザマトリクスの周期構造を決定する第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力工程と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトル値Pi(Pix、Piy)で取得する位置取得工程と、前記基本マトリクスを隙間および重複無く周期構造を有して複数配置してディザマトリクスを配置する配置工程と、任意の整数lに対してPi+lsなる変換を施し、施されたPi+lsを新たにPi’として、kを整数として外積の大きさ|m×Pi’|および|m×(Pi’+ks)|を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記外積の大きさが、前記任意の整数kに対して|m×Pi’|≦|m×(Pi’+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記基本マトリクス内において前記i番目の要素Piを配置させる基本配置工程と、前記配置工程において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項3にかかる発明によれば、ディザマトリクス生成方法であって、ディザマトリクスの周期構造を決定する第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けて、基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトル値Pi(Pix、Piy)で取得して、基本マトリクスを隙間および重複無く周期構造を有して複数配置してディザマトリクスを配置し、任意の整数lに対してPi+lsなる変換を施し施されたPi+lsを新たにPi’として、kを整数として外積の大きさ|m×Pi’|および|m×(Pi’+ks)|を算出して、算出された外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi’|≦|m×(Pi’+ks)|の関係を常に満たすように、かつPiによって定まる基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように基本マトリクス内においてi番目の要素Piを配置させ、配置された基本マトリクス内の要素を、第1ベクトルmの方向に順序づける。この構成によって、基本マトリクス内の要素と成長中心を通り第1ベクトル方向との直線との距離が、第2のベクトルs方向にずらせた対応する画素位置と成長中心を通り第1ベクトル方向との直線との距離以下に設定されて、基本マトリクス内では要素が第1ベクトル方向に順序づけられて、隙間および重複なくディザマトリクスを構成できるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項4にかかる発明は、請求項2または3に記載のディザマトリクス生成方法であって、前記基本順序工程が、前記ベクトル入力工程において受け付けられた前記第1ベクトルmと、前記位置取得工程において取得された位置ベクトルPiとの外積の大きさ|m×Pi|を算出し、算出された外積の大きさ|m×Pi|の小さい順番に前記基本マトリクス内の要素を順序づけることによって、前記第1のベクトルm方向に画素が連なる成長順に順序づけることを特徴とする。
この請求項4にかかる発明によれば、受け付けられた第1ベクトルmと、位置ベクトルPiとの外積の大きさ|m×Pi|を算出し、算出された外積の大きさ|m×Pi|の小さい順番に基本マトリクス内の要素を順序づけることによって、第1のベクトルm方向に画素が連なる成長順に順序づける。この構成によって、ディザマトリクスを構成する基本マトリクスの画素要素が請求項1の方法によって順序づけられるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項5にかかる発明は、請求項2〜4のいずれか1つに記載のディザマトリクス生成方法であって、前記ベクトル入力工程が、万線型ディザ処理を施すスクリーン線数およびスクリーン角度を近似的に実現する第1ベクトルmおよび第2のベクトルsを入力するものであることを特徴とする。
この請求項5にかかる発明によれば、万線型ディザ処理を施すスクリーン線数およびスクリーン角度を近似的に実現する第1ベクトルmおよび第2のベクトルsを入力する。この構成によって、2つのベクトルを、スクリーン線数およびスクリーン角度を規定するように選択して入力することによって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のディザマトリクス生成方法であって、前記ベクトル入力工程が、入力される前記第1ベクトルmは、前記スクリーン角度を近似するものであり、入力される前記第2のベクトルsは、前記第1ベクトルに基づいて前記スクリーン線数を近似的に実現するものであることを特徴とする。
この請求項6にかかる発明によれば、入力される第1ベクトルmは、スクリーン角度を近似するものであり、入力される第2のベクトルsは、第1ベクトルに基づいてスクリーン線数を近似的に実現するものである。この構成によって、2つのベクトルを、スクリーン線数およびスクリーン角度を規定するように選択して入力することによって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項7にかかる発明は、ディザマトリクス生成方法であって、多値ディザマトリクスの深さ方向(多値方向)に閾値レベルを2以上として、請求項2〜6のいずれか1つに記載のディザマトリクス生成方法によって、多値ディザマトリクスを生成することを特徴とする。
この請求項7にかかる発明によれば、多値ディザマトリクスの深さ方向(多値方向)に閾値レベルを2以上として、請求項2〜6のいずれか1つに記載のディザマトリクス生成方法によって、多値ディザマトリクスを生成する。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多値ディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項8にかかる発明は、請求項7に記載のディザマトリクス生成方法であって、多階調ディザマトリクスの深さ方向(多値方向)の成長順が、前記基本マトリクス内において、1つの画素について深さ方向の成長が飽和した後に、次の画素の深さ方向の成長が始まることを特徴とする。
この請求項8にかかる発明によれば、多階調ディザマトリクスの深さ方向(多値方向)の成長順が、基本マトリクス内において、1つの画素について深さ方向の成長が飽和した後に、次の画素の深さ方向の成長が始まる。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多階調ディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項9にかかる発明は、請求項7に記載のディザマトリクス生成方法であって、多値ディザマトリクスの深さ方向(多値方向)の成長順が、前記基本マトリクス内において、前記第1ベクトルm=(mx、my)とした場合においてN=max(|mx|、|my|)で定まるN個の画素単位で深さ方向の成長が飽和した後に、次の前記N個単位で深さ方向の成長がはじまることを特徴とする。
この請求項9にかかる発明によれば、多値ディザマトリクスの深さ方向(多値方向)の成長順が、基本マトリクス内において、第1ベクトルm=(mx、my)とした場合においてN=max(|mx|、|my|)で定まるN個の画素単位で深さ方向の成長が飽和した後に、次のN個単位で深さ方向の成長がはじまる。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多値ディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法を提供することができる。
また、請求項10にかかる発明は、プログラムであって、請求項1〜9のいずれか1つに記載の基本マトリクス生成方法またはディザマトリクス生成方法をコンピュータで実行させることを特徴とする。
この請求項10にかかる発明によれば、プログラムにより、請求項1〜9のいずれか1つに記載の基本マトリクス生成方法またはディザマトリクス生成方法をコンピュータで実行させることができる。
また、請求項11にかかる発明は、ディザマトリクス生成装置であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成装置であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、所定の第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力手段と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する位置取得手段と、整数をkとして、前記ベクトル入力手段において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得手段において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出手段と、前記算出手段において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記要素Piを配置させる配置手段と、前記配置手段において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序手段と、を備えたことを特徴とする。
この請求項11にかかる発明によれば、ベクトル入力手段は2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、所定の第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付ける。位置取得手段は、基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する。算出手段は、整数をkとして、ベクトル入力手段において受け付けられた第1ベクトルm、第2ベクトルs、および位置取得手段において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する。配置手段は、算出された外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつPiによって定まる基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように要素Piを配置させる。基本順序手段は、配置された基本マトリクス内の要素を、第1ベクトルmの方向に順序づける。この構成によって、基本マトリクス内の画素位置が外部の成長中心との距離以下に設定されて隙間および重複なくディザマトリクスを構成できるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス生成装置を提供することができる。
また、請求項12にかかる発明は、画像処理方法であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法が、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、前記ディザマトリクスの周期構造を決定する第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力工程と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトル値Pi(Pix、Piy)で取得する位置取得工程と、整数をkとして、前記ベクトル入力工程において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得工程において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記基本マトリクスにおいて前記要素Piを配置させる配置工程と、前記配置工程において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序工程と、を含むディザマトリクス生成方法によって万線型ディザマトリクスを生成する万線型ディザマトリクス生成工程と、前記万線型ディザマトリクス生成工程において生成された前記万線型ディザマトリクスを使用して多値画像データにディザ処理を施し量子化画像データを生成する量子化画像データ生成工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項12にかかる発明によれば、画像処理方法であって、請求項2に記載のディザマトリクス生成方法によって万線型ディザマトリクスを生成し、生成された万線型ディザマトリクスを使用して多値画像データにディザ処理を施し量子化画像データを生成する。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成し、それを用いて高画質な画像処理を施すことができる。
また、請求項13にかかる発明は、請求項12に記載の画像処理方法において、入力される前記多値画像データに応じて、前記万線型ディザマトリクス生成工程により生成するディザマトリクスを切り換える切替工程を含むことを特徴とする。
この請求項13にかかる発明によれば、入力される多値画像データに応じて、万線型ディザマトリクス生成工程により生成するディザマトリクスを切り換える。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成し、ディザマトリクスを切替ながら高画質な画像処理を施すことができる。
また、請求項14にかかる発明は、請求項12に記載の画像処理方法において、画像を出力する出力画像モードに応じて、前記万線型ディザマトリクス生成工程方法において生成するディザマトリクスを切り換えるモード切替工程を含むことを特徴とする。
この請求項14にかかる発明によれば、画像処理方法であって、画像を出力する出力画像モードに応じて、万線型ディザマトリクス生成工程方法において生成するディザマトリクスを切り換える。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成し、出力画像モードに応じてディザマトリクスを切替ながら高画質な画像処理を施すことができる。
また、請求項15にかかる発明は、画像形成方法であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法が、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、前記ディザマトリクスの周期構造を決定する第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力工程と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトル値Pi(Pix、Piy)で取得する位置取得工程と、整数をkとして、前記ベクトル入力工程において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得工程において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記基本マトリクスにおいて前記要素Piを配置させる配置工程と、前記配置工程において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序工程と、を含むディザマトリクス生成方法によって万線型ディザマトリクスを生成する万線型ディザマトリクス生成工程と、前記万線型ディザマトリクス生成工程において生成された前記万線型ディザマトリクスを使用して多値画像データにディザ処理を施し量子化画像データを生成する量子化画像データ生成工程と、を含む画像処理方法によって、多値画像データにディザ処理を施して出力用画像データを形成するディザ処理工程と、前記ディザ処理工程によって処理された出力用画像データによって画像形成を行う画像形成工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項15にかかる発明によれば、画像形成方法であって、請求項12に記載の画像処理方法によって、多値画像データにディザ処理を施して出力用画像データを形成し、処理を施された出力用画像データによって画像形成を行う。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多値ディザマトリクスを生成して多値画像処理を施して画像形成をすることができる。
また、請求項16にかかる発明は、画像形成方法であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成方法が、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、前記ディザマトリクスの周期構造を決定する第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力工程と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトル値Pi(Pix、Piy)で取得する位置取得工程と、整数をkとして、前記ベクトル入力工程において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得工程において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記基本マトリクスにおいて前記要素Piを配置させる配置工程と、前記配置工程において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序工程と、を含むディザマトリクス生成方法によって万線型ディザマトリクスを生成する万線型ディザマトリクス生成工程と、前記万線型ディザマトリクス生成工程において生成された前記万線型ディザマトリクスを使用して多値画像データにディザ処理を施し量子化画像データを生成する量子化画像データ生成工程と、を含む画像処理方法によって、複数色のカラー情報をもつカラー多値画像データに対して、複数の異なる色ごとにディザ処理を施して出力用画像データを形成する複数色画像データ形成工程と、前記複数色画像データ形成工程によって形成された出力用画像データによってカラー画像形成を行うカラー画像形成工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項16にかかる発明によれば、画像形成方法であって、請求項12に記載の画像処理方法によって、複数色のカラー情報をもつカラー多値画像データに対して、複数の異なる色ごとにディザ処理を施して出力用画像データを形成し、形成された複数色出力用画像データによってカラー画像形成を行う。この構成によって、簡易な方式によって複数色ごとにディザ処理を施してすべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理ができる。
また、請求項17にかかる発明は、画像処理装置であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成装置であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、所定の第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力手段と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する位置取得手段と、整数をkとして、前記ベクトル入力手段において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得手段において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出手段と、前記算出手段において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記要素Piを配置させる配置手段と、前記配置手段において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序手段と、を備えたディザマトリクス生成装置と、前記ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を施すディザ処理装置と、を備えたことを特徴とする。
この請求項17にかかる発明によれば、請求項11に記載のディザマトリクス生成装置と、ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を施すディザ処理装置と、を備える。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス処理装置を提供することができる。
また、請求項18にかかる発明は、画像形成装置であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成装置であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、所定の第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力手段と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する位置取得手段と、整数をkとして、前記ベクトル入力手段において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得手段において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出手段と、前記算出手段において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記要素Piを配置させる配置手段と、前記配置手段において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序手段と、を備えたディザマトリクス生成装置と、前記ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データのディザ処理を行うディザ処理装置と、前記ディザ処理装置によるディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置と、を備えたことを特徴とする。
この請求項18にかかる発明によれば、画像形成装置は、請求項11に記載のディザマトリクス生成装置と、ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データのディザ処理を行うディザ処理装置と、ディザ処理装置によるディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置とを備えた。この構成によって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成してディザ処理し、画像形成できる画像形成装置を提供することができる。
また、請求項19にかかる発明は、画像形成装置であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成装置であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、所定の第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力手段と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する位置取得手段と、整数をkとして、前記ベクトル入力手段において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得手段において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出手段と、前記算出手段において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記要素Piを配置させる配置手段と、前記配置手段において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序手段と、を備えたディザマトリクス生成装置と、入力される多値データの判定を行い前記ディザマトリクス生成装置で生成を行うディザマトリクスを決定する判定装置と、前記判定装置が決定し、前記ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データのディザ処理を行うディザ処理装置と、前記ディザ処理装置によるディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置と、を備えたことを特徴とする。
この請求項19にかかる発明によれば、画像形成装置は、請求項11に記載のディザマトリクス生成装置と、入力される多値データの判定を行いディザマトリクス生成装置で生成を行うディザマトリクスを決定する判定装置と、判定装置が決定し、ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データのディザ処理を行うディザ処理装置と、ディザ処理装置によるディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置とを備えた。この構成によって、多値データを判定してディザマトリクスを決めて生成しディザ処理を行って画像形成するので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像形成装置を提供できる。
また、請求項20にかかる発明は、画像形成装置であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成装置であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、所定の第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力手段と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する位置取得手段と、整数をkとして、前記ベクトル入力手段において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得手段において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出手段と、前記算出手段において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記要素Piを配置させる配置手段と、前記配置手段において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序手段と、を備えたディザマトリクス生成装置と、出力モードを判定して前記ディザマトリクス生成装置で生成を行うディザマトリクスを決定する判定装置と、前記判定装置が決定し、前記ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を施すディザ処理装置と、前記ディザ処理装置によるディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置と、を備えたことを特徴とする。
この請求項20にかかる発明によれば、画像形成装置は、請求項11に記載のディザマトリクス生成装置と、出力モードを判定してディザマトリクスを決定し決定されたたディザマトリクス生成して多値画像データにディザ処理を施し、画像形成を行う。この構成によって、出力モードを判定してディザマトリクスを決定し決定されたたディザマトリクス生成して多値画像データにディザ処理を施して画像形成を行うので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像形成装置を提供できる。
また、請求項21にかかる発明は、画像形成装置であって、2つのベクトルによって基本マトリクスを決定し決定された前記基本マトリクスを隙間および重複無く複数配置してディザマトリクスを生成するディザマトリクス生成装置であって、前記2次元ディザマトリクスに対応する2次元平面上において、所定の第1ベクトルm(mx、my)および第2ベクトルs(sx、sy)の値の入力を受け付けるベクトル入力手段と、前記基本マトリクスのi番目の要素の位置Piを、前記基本マトリクスの要素を最初に定める成長中心を始点とする2次元ベクトルPi(Pix、Piy)の値で取得する位置取得手段と、整数をkとして、前記ベクトル入力手段において受け付けられた前記第1ベクトルm、第2ベクトルs、および前記位置取得手段において取得された位置ベクトルPiから、外積の大きさ|m×Pi|および|m×(Pi+ks)|を算出する算出手段と、前記算出手段において算出された前記外積の大きさが、任意の整数kに対して|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)|の関係を常に満たすように、かつ前記Piによって定まる前記基本マトリクスが隙間および重複無くディザマトリクスを埋めるように前記要素Piを配置させる配置手段と、前記配置手段において配置された基本マトリクス内の要素を、前記第1ベクトルmの方向に順序づける基本順序手段と、を備えたディザマトリクス生成装置と、複数色のカラー情報をもつカラー多値画像データに対して、複数の異なる色ごとに前記ディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データのディザ処理を施すディザ処理装置と、前記ディザ処理装置によって処理を施された出力用画像データにもとづいてカラー画像形成を行う作像装置と、を備えたことを特徴とする。
この請求項21にかかる発明によれば、画像形成装置であって、請求項11に記載のディザマトリクス生成装置と、複数色のカラー情報をもつカラー多値画像データに対して、複数の異なる色ごとにディザマトリクス生成装置により生成されたディザマトリクスにより多値画像データのディザ処理を施すディザ処理装置と、ディザ処理装置によって処理を施された出力用画像データにもとづいてカラー画像形成を行う作像装置とを備えた。この構成によって、複数の色ごとのディザマトリクスを用いて処理を施してカラー画像形成するので、簡易な方式で、カラーディザ処理を施して高画質なカラー画像を形成できる画像形成装置を提供できる。
本発明(請求項1)にかかる基本マトリクス生成方法は、ディザマトリクスを構成する基本マトリクス内の画素を、第1ベクトルとの距離が近い順番に順序づけて成長させることができるので、基本マトリクス内の成長順を簡易に決定し、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクス生成の基本マトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項2)にかかるディザマトリクス生成方法は、基本マトリクス内の画素位置が外部の成長中心との距離以下に設定されて隙間および重複なくディザマトリクスを構成できるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理が可能なディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項3)にかかるディザマトリクス生成方法は、基本マトリクス内の要素と成長中心を通り第1ベクトル方向との直線との距離が、第2のベクトルs方向にずらせた対応する画素位置と成長中心を通り第1ベクトル方向との直線との距離以下に設定されて、基本マトリクス内では要素が第1ベクトル方向に順序づけられて、隙間および重複なくディザマトリクスを構成できるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項4)にかかるディザマトリクス生成方法は、ディザマトリクスを構成する基本マトリクスの画素要素が請求項1の方法によって順序づけられるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項5)にかかるディザマトリクス生成方法は、2つのベクトルを、スクリーン線数およびスクリーン角度を規定するように選択して入力することによって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項6)にかかるディザマトリクス生成方法は、2つのベクトルを、スクリーン線数およびスクリーン角度を規定するように選択して入力することによって、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成することができる。
また、本発明(請求項7)にかかるディザマトリクス生成方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多値ディザマトリクスを生成するディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項8)にかかるディザマトリクス生成方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多階調ディザマトリクスを生成するディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項9)にかかるディザマトリクス生成方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多値ディザマトリクスを生成することができる。
また、本発明(請求項10)にかかるプログラムは、請求項1〜9のいずれか1つに記載の基本マトリクス生成方法またはディザマトリクス生成方法をコンピュータで実行させることができる。
また、本発明(請求項11)にかかるディザマトリクス生成装置は、基本マトリクス内の画素位置が外部の成長中心との距離以下に設定されて隙間および重複なくディザマトリクスを構成できるので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項12)にかかる画像処理方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成し、それを用いて高画質な画像処理を施すことができる。
また、本発明(請求項13)にかかる画像処理方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成し、ディザマトリクスを切替ながら高画質な画像処理を施すことができる。
また、本発明(請求項14)にかかる画像処理方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成し、出力画像モードに応じてディザマトリクスを切替ながら高画質な画像処理を施すことができる。
また、本発明(請求項15)にかかる画像形成方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のための多値ディザマトリクスを生成して多値画像処理を施して画像形成をすることができる。
また、本発明(請求項16)にかかる画像形成方法は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な複数色ごとにディザ処理を施して画像形成ができる。
また、本発明(請求項17)にかかる画像処理装置は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成できる。
また、本発明(請求項18)にかかる画像形成装置は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像処理のためのディザマトリクスを生成してディザ処理し、画像形成できる。
また、本発明(請求項19)にかかる画像形成装置は、多値データを判定してディザマトリクスを決めて生成しディザ処理を行って画像形成するので、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像を形成できる。
また、本発明(請求項20)にかかる画像形成装置は、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する簡易な方式による高画質な画像を形成できる。
また、本発明(請求項21)にかかる画像形成装置は、複数の色ごとのディザマトリクスを用いて処理を施してカラー画像形成するので、簡易な方式で、カラーディザ処理を施してすべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応する高画質なカラー画像を形成できる画像形成装置を提供できる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるディザマトリクスの基本マトリクス生成方法、ディザマトリクス生成方法、ディザマトリクス生成方法をコンピュータで実行するプログラム、ディザマトリクス生成装置、画像処理方法、画像形成方法、画像処理装置、および画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(1.実施の形態)
(1.1.第1の変換)
図1は、実施の形態1によるディザマトリクス生成方法によって生成したディザマトリクスの1例を示す模式図である。最初に、本発明で使用する用語の定義を図を参照しながら説明する。
「ディザマトリクス」とは、図1のような長方(または正方)形形状をして、8bitなどの入力データを量子化する際に用いられる閾値テーブルのことを指す。図1は、xサイズ(図のx軸方向の画素数)が22であり、yサイズ(図のy軸方向の画素数)が44のディザマトリクスの例であり、図中の1つ1つの数字が、画像の1画素に対応する。図1に示すディザマトリクスは、8bit多値データを量子化するディザマトリクスであるので、ディザマトリクスの各画素には0〜254の値が対応している。また、図1は量子化を行うことによって1bit(2値)データを得るディザマトリクスであるので、ディザマトリクスは1枚のレベルで表される。nbitの量子化を行う場合には、2^n−1枚のレベルを持つディザマトリクスとなる。
ディザマトリクスの各画素にあてはめられる値は0〜254であるが、0〜254の値が同じ数だけディザマトリクスの各画素にあてはめられている必要はなく、0〜254のうちいずれの画素にもあてはめられることがない値が存在していても問題はない。また、図1のディザマトリクスの形状は長方形である。ディザマトリクスの形状は、一般に利便性から長方形、正方形が多く用いられるが、このような形状はディザマトリクスの必須条件ではない。ディザマトリクスの形状は空間を埋め尽くすことができるような形状であればどのようなものであってもよい。
本願発明における「基本マトリクス」とは、上記のディザマトリクスの周期構造を表す1単位のことを指す。図1では、黒太線で囲まれた領域の1つ1つが「基本マトリクス」であり、すべての基本マトリクスはすべて同じ形状である。また、ディザマトクスの周期構造は、別の視点から考えると、2つの独立したベクトル(1次独立なベクトル)で表すことが可能である。
本発明における第1ベクトルおよび第2のベクトルは、通称「主ベクトル」および「副ベクトル」と呼ばれ、このディザマトリクスの周期構造を表す2つのベクトルに対応する。例えば、図1に示した2つのmベクトルおよびsベクトルである。図1のディザマトリクスでは、主ベクトルm、副ベクトルsはそれぞれ、
m=(7、2)
s=(1、−6)
である。
注目する1つの画素から主ベクトルおよび副ベクトルの整数倍移動した画素は、基本マトリクス同士において基本マトリクス内において位置的に対応する等価な要素である。また、図1のディザマトリクスの灰色で塗りつぶした画素が基本マトリクス内の画素位置を決定する基点となる「基本マトリクスの成長中心」である。実施の形態1によるディザマトリクス生成方法において、基本マトリクス内の成長順の決定方法を説明する。
図2は、図1で示したディザマトリクスを構成する基本マトリクス内の画素の成長順を説明する図である。図2では0から43までの番号が各画素に相当する位置につけられおり、画像の濃度が高くなるにしたがってこの番号の順にドットが打たれていく。基本マトリクス内の画素を表すベクトルを、基本マトリクス内に設定した成長中心からのベクトルで表現し、「画素位置ベクトル」と呼び、Piで表す。ここで添え字iは基本マトリクス内にふくまれる画素に対応しており、0から(基本マトリクス内に含まれる画素数−1)までの値をとる(図2の例では、0〜43の値をとる)。
基本マトリクス内に含まれる画素のすべてについて、主ベクトルmと画素位置ベクトルPiとの外積(ベクトル積)の大きさ(|m×Pi|)を計算する。実施の形態1では、この主ベクトルmと画素位置ベクトルPiとの外積の大きさが小さい順に、基本マトリクス内での成長順を決定する。主ベクトルmと画素位置ベクトルPiとの外積の大きさは、主ベクトルmと画素位置ベクトルPiとのなす角をφとしたときに、|Pi・sinφ|に比例した値となる。このため、成長中心を通過する主ベクトル方向の直線との距離が小さい順に、基本マトリクス内の画素の成長順が決定されることになる。この決定方法により、主ベクトル方向にライン状に画素が連なり、画像濃度が大きくなるにしたがってこのライン幅が増加するような、万線型のディザマトリクスを生成することができる。
ここで、ベクトルの位置座標を、
m=(mx、my)
Pi=(Pix、Piy)
とする。
ベクトルの外積の計算は、ベクトルの成分を用いると以下のようになる。
|m×Pi|=|mx・Piy−my・Pix| (式1)
このため、実際の計算は式1の右辺に従って行えば良い。
ベクトルの外積の計算値は、主ベクトル、画素位置ベクトルの成分が整数であれば、必然的に整数となる。このことはコンピュータプログラムを生成する場合に小数点以下の値を含む計算を実行しなくて済むことから、「丸め誤差」などの計算機特有の誤差が発生しないことを意味する。このため、実施の形態1による基本マトリクス内の画素の成長順の決定方法は、計算機特有の小数点以下の計算による誤差が生じない正確な決定方法となる。
また、実施の形態1による方法では、複数の画素位置ベクトルに対して、外積の大きさ|m×Pi|がまったく同じ値を持つ場合も生じる。しかしながら、外積の大きさが同じ値を持つ場合同士の成長順の決定方法は、任意に設定可能である。その理由は、この外積の大きさが同じ値を持つ画素位置ベクトルが指し示す画素は、成長中心を通過する主ベクトル方向の直線に対して、距離が等価な画素となっており、等価な画素に対してどのような順番で成長順を決定しても、形成されるライン状の画素の連なり方に、不具合は生じないためである(従来技術の項で記載したような万線型ディザでの利点が失われるようなことはない)。
一方、外積の大きさがまったく同じ値を持つ画素同士の成長順の決定を、一定のルールに基づいて行っても、問題は生じない。例えば、成長中心からの距離が小さい順番や、できるかぎりドットの間隔が離散するような順番などと設定し得る。このように設定しても何ら問題はない。繰返しになるが、この外積の大きさがまったく同じ値を持つ画素同士の成長順の決定方法はどのようなものであっても、本発明の効果になんら影響することはない。
つぎに、実施の形態1のディザマトリクス生成方法における基本マトリクスの形状の決定方法について説明する。ディザマトクスでの基本マトリクス形状が満たさなければならない要件の1つは、「同じ形状の基本マトリクスを連結することによって、平面を完全に埋めつくことができる」ことである。即ち、基本マトリクスで平面を埋め尽くそうとした場合に、隙間および重複を生じてはならない。この制約から、基本マトリクスの形状を全くの任意に決定することはできない。上記の「同じ形状の基本マトリクスを連結することによって、隙間および重複なく平面を完全に埋めつくことができる」を満たす基本マトリクス形状のうち、最も単純な形状を有するものは2つの長方形(正方形)をあわせた形状の基本マトリクスである。この方法は従来技術において、例えば特開2002−118746(図9)、特開2003−134337(図12)において記載されている。
基本マトリクス形状の決定方法を、図1の実際のディザマトリクスを例にして説明する。図1のディザマトリクスの例では、主ベクトルと副ベクトルが形成する平行四辺形が正方形ではないため、2つの長方形(この場合は2つの正方形ではなく2つの長方形)を使用すれば上記の「同じ形状の基本マトリクスを連結することによって、隙間および重複なく平面を完全に埋めつくことができる」の要件を満たす基本マトリクス形状を決定することができる。
図3は、主ベクトルと副ベクトルから設定できる2つの長方形を使用した基本マトリクスの一例を説明する図である。図1のディザマトリクスでは、第1の長方形(xサイズは|mx|=7、yサイズは|sy|=6)と第2の長方形(xサイズは|sx|=1、yサイズは|my|=2)を、図3のように合わせた形状が、上記の要件「隙間および重複なく同じ形状の基本マトリクスを連結することによって、平面を完全に埋めつくことができる」を満たす形状になっている。ここで、mx、my、sx、syはそれぞれ、主ベクトルm、副ベクトルsのx成分、y成分である。
図4は、図3に示した2つの長方形による基本マトリクスから埋め尽くされたディザマトリクスを説明する図である。図3に示した2つの長方形によって形成された基本マトリクスを使用して、図4のディザマトリクス(xサイズが22、yサイズが44)のように構成した(逆の見方をすれば分割した)。図4における各基本マトリクス内の数字0〜21は、各基本マトリクスの形状を識別するために付けられたものである。このようにして2つの長方形による基本マトリクスを使用して、ディザマトリクスを隙間および重複無く分割することが可能であることが分かる。主ベクトルと副ベクトルの成分から、2つの長方形を特定する上記の方法では、主ベクトルと副ベクトルとを適当に選ぶ必要がある。しかしながら、この選び方が不適当であっても、副ベクトルsに対して簡単な変換を行うことによって、適当な主ベクトルと副ベクトルとの組み合わせにすることができる。このため、上記の2つの長方形の大きさは、主ベクトルと副ベクトルから一義的に決定することが可能である。
上のようにして暫定的に決定した2つの長方形からなる基本マトリクスは、当然のことではあるが44個の画素を含む基本マトリクスとなっている。図3には、適当な順番で44画素に番号をふってあるが、これは単に画素を識別するためのものであり、基本マトリクス内の画素の成長順とは関係がない。基本マトリクス内の画素の成長順は、すでに説明した方法で決定されるため、この時点ではどのような順番で画素に番号付けを行っても全く問題はない。
実施の形態1では、図3のように決定した暫定の基本マトリクス形状を次のようにして変換する。基本マトリクス内の画素の1つを成長中心として決定する。この成長中心はどの画素であっても一般性を失わないので、図3においては、最も分かりやすい左上の画素(斜線を描かれた画素)としてあるが、これを成長中心が基本マトリクスのほぼ中央にくるように移動する。このほぼ中央に位置する画素を選択する方法は、種々の方法があるので詳細な説明は省略する。例えば、基本マトリクスを2次元図形と見なしてその重心を計算し、計算された重心に最も近い画素を成長中心として選択する。そして、ディザマトリクスを2次元平面と見て、その2次元平面上に置かれた基本マトリクスを想定し、基本マトリクス内の選択された成長中心から、基本マトリクス内の画素の位置ベクトルPiを定めることができる。今、基本ベクトル内の各画素位置ベクトルは、このようにして成長中心を基点にして暫定的に定められたとする。この場合、画素の要素Piは、P0〜P43である。
最初に、基本マトリクスの形状の変換を第1の変換として以下のように行う。
ここで、考えている画素の存在する1つの基本マトリクス外の他の基本マトリクスの対応する画素を表現する式を挙げる。それは、
Piに対してPi+jm+ks (式2)
である。
Piは暫定的に決定した基本マトリクス内のi番目の画素位置ベクトル(上のように決めた成長中心からの画素位置ベクトル)であり、m、sはそれぞれ主ベクトル、副ベクトル、j、kはともに任意の整数である。それ故、式2は、jおよびkを任意の整数に動かすことによって、他の基本マトリクス内における対応する点を示すことになる(但し、j=k=0の場合は元の基本マトリクス内のPiの画素位置ベクトルとなる)。そして、式2で示されたPi+jm+ksを改めてここでPiとする。
上記の置き換えられたPiに対して、任意の整数o、pに対して下記の条件を常に満たすように、画素位置ベクトルを決定する。これが第1の変換である。即ち、
|Pi|≦|Pi−(om+ps)| (式3)
この式3の条件は、基本マトリクス内に含まれる画素に対して、その画素を含む基本マトリクス内の成長中心からその画素までの距離が、外部の成長中心からの距離以下とすることである。
また、この変換においては、Piが、基本マトリクスが敷き詰められて隙間および重複なくディザマトリクスを構成するという制約を加える。このようにして、基本マトリクスの形状を決定することができる。上式の意味は、|Pi|が基本マトリクス内部の成長中心からの距離を意味し、|Pi−(om+ps)|が外部の成長中心からの距離を表しているので、式3を満たすことによって、基本マトリクス内の成長中心からその画素までの距離が、外部の成長中心からの距離以下になるように、基本マトリクス形状を決定することができる。これが第1の変換であって、まず第1の変換によって基本マトリクス形状を決定する。
図5は、第1の変換処理を施した後の基本マトリクス形状の一例を示す図である。図6は、図5に示された変換後の基本マトリスクを使用してディザマトリクスを生成した一例を示す図である。第1の変換処理を施した場合でも、基本マトリクスの要件である「同じ形状の基本マトリクスを連結することによって、隙間および重複なく平面を完全に埋めつくことができる」ことを示している。
(1.2.第2の変換)
実施の形態1では、第1の変換によって決定された基本マトリクスに対して、さらに第2の変換を行う。第2の変換では、画素位置ベクトルと副ベクトルとの外積の大きさが、副ベクトル方向に平行移動した対応する画素位置ベクトルと副ベクトルとの外積の大きさ以下であるという制約条件によって変換する。この変換でも、複数の基本マトリクスが隙間および重複なくディザマトリクスを埋め尽くすという制約条件を満たして変換する。
第1の変換後の基本ベクトル内の画素位置ベクトルPiを、副ベクトル方向に平行移動した対応する画素位置ベクトルは、
Pi+ks (式4)
で表現される。ここで、Piは第1の変換を行った後の基本マトリクス内のi番目の画素位置ベクトル(成長中心からの画素位置ベクトル)であり、sは副ベクトル、kは任意の整数である。
ここで、第1の変換の時と同様に、式4の変換によって変換された画素位置ベクトルを改めてPiと見なした時に、この変換後の画素位置ベクトルPiが、任意の整数pに対して常に下記の条件を満たすように、かつ、基本マトリクスが隙間および重複なくディザマトリクスを埋め尽くすという制約条件下で、画素位置ベクトルを決定する。即ち、上述の条件を式で表現すると、
|m×Pi|≦|m×(Pi−ps)| (式5)
である。これが第2の変換である。
この第2の変換では、基本マトリクス内に含まれる画素に対して、その基本マトリクス内の成長中心を通過し主ベクトル方向に伸びる直線までの距離が、外部の成長中心を通過し主ベクトル方向に伸びる直線からの距離以下であるとの条件(式5)によって、基本マトリクスの形状が決定される。
|m×Pi|が基本マトリクス内部の成長中心を通過する主ベクトル方向の直線までの距離に比例する数値である。|m×(Pi−ps)|が基本マトリクス外部の成長中心を通過する直線までの距離に比例する数値となる。この第2の変換によって、基本マトリクスに含まれる画素が、基本マトリクス内部の成長中心を通過する主ベクトル方向の直線までの距離が、外部の成長中心を通過する主ベクトル方向の直線までの距離以下となる。図5の形状の基本マトリクスに対して、第2の変換を行った場合、基本マトリクスの形状は第2の変換前と同じ形状となった。ただし、このことは第1の変換を行った後の基本マトリクス形状が偶然にも第2の変換の条件をみたしていただけのことでり、いつもこのようになるわけではない。(第2の変換で基本マトリクス形状が変化する場合を後述する。)
実施の形態1のディザマトリクス生成方法では、すでに説明したように、(1)基本マトリクスの形状を暫定的に2つの長方形を合わせた形状で求める、(2)基本マトリクス形状に第1の変換を行い基本マトリクス内の成長中心からの距離が、外部の成長中心までの距離以下で、かつ隙間および重複なくディザマトリクスを埋める基本マトリクス形状とする、(3)基本マトリクス形状に第2の変換を行い基本マトリクス内の成長中心を通過する主ベクトル方向の直線までの距離が、外部の成長中心を通過する主ベクトル方向の直線からの距離以下で、かつ隙間および重複なくディザマトリクスを埋めるような基本マトリクス形状とする、の3段階で、基本マトリクスの形状を決定している。
しかしながら、本発明の目的である、万線型ディザマトリクスの生成のためには、(3)の段階は必須であるが、(1)や(2)は別の方法であっても全く問題はなく、(2)などは省略したとしても万線型ディザマトリクスの生成にはなんら影響を及ぼさない。例えば、(1)での暫定の基本マトリクス形状の決定方法については、後段で基本マトリクス形状の変換を行うため、上で説明した2つの長方形を合わせた形状とする以外の方法で基本マトリクス形状を導出しても構わない。たとえば、公知技術(特開2003−163806の図5)に記載されている方法を使用することが可能であり、まったく別の方法で可能である。また、(2)の第1の変換についても、「基本マトリクスの成長中心を基本マトリクスの中央に位置した方が、理解しやすい。」「成長中心に対してほぼ対称的に配置され、美しい。」程度の意味をもつにすぎず、機能的な役割は余りない。このため、第1の変換を省略して、第2の変換を行ったとしてもまったく問題とはならない。
既に説明した実施の形態1では、基本マトリクス形状を上記の手順で生成したので、図5に示された基本マトリクスは、基本マトリクス内の成長中心を通過する主ベクトル方向の直線についてのみ注目すれば、外部の成長中心を通過する直線までの距離は必ずそれ以上の距離になった。このため、同じ基本マトリクス内に含まれる成長中心を通過する直線までの距離のみに注目して、基本マトリクス内の画素の成長順を決定することにより、万線型のディザマトリクスを実現するための基本マトリクス内の画素成長順を容易に決定することが可能である。
図7は、ディザマトリクス内における個々の基本マトリクス毎の番号付けの順番を説明する図である。このディザマトリクス内における個々の基本マトリクスの番号付け、即ちディザマトリクス内における個々の基本マトリクスの配置順序は、どのような順序でも可能である。実施の形態1では、図7に示したディザマトリクス内における個々の基本マトリクスの番号付けをもとにディザマトリクスを生成しているため、図7のように、大きな番号と小さな番号がディザマトリクス内に偏らないように配置されるよう、順序づけられており、図中の番号はその順序づけを示している。
図1に示した実施の形態1のディザマトリクスは、上記の様にして決定したディザマトリクス内における個々の基本マトリクスの配置順(図7)と、個々の基本マトリクス内の番号付け(図2)とから、0〜254値を順番に割り当てて生成した一例である(図1)。
(1.3.実施の形態1によるディザマトリクス生成装置および生成手順)
図8は、実施の形態1によるディザマトリクス生成装置の機能的ブロック図である。図9は、実施の形態1によるディザマトリクス生成の手順を説明するフローチャートである。図8および9を参照しながら、実施の形態1によるディザマトリクス生成装置の各部の機能、およびディザマトリクス生成装置を使用するディザマトリクス生成方法の手順を説明する。
実施の形態1によるディザマトリクス生成装置10は、入力部1と、暫定形状決定部2と、第1変換部3と、第2変換部4と、配置決定部5と、成長順決定部6と、ディザマトリクス生成部7と、出力部8と、操作表示部11とを備える。
ここで、操作表示部11および入力部1は、本発明のベクトル入力手段を構成する。第2変換部4は、本発明における位置取得手段、算出手段、および基本配置手段を構成する。配置決定部6は、本発明における配置手段を構成する。成長順決定部6およびディザマトリクス生成部7は、本発明における基本順序手段を構成する。
操作表示部11は、キーボード、タッチパネルなどによって構成され、操作者が主ベクトル・副ベクトルなどディザ形状を決定するための値の入力を受け付ける。入力部1は、操作表示部11から操作者によって入力された主ベクトル・副ベクトルの入力値を受信し、受信した入力値を暫定形状決定部2に送信する。入力部1から送信された主ベクトル・副ベクトル値を受信した暫定形状決定部2は、主ベクトル・副ベクトル値によって、暫定的な基本マトリクスの形状を例えば、2つの長方形を組み合わせた形で決定する(ステップS101)。
第1変換部3は、暫定形状決定部2によって決定された暫定的な基本マトリクス形状を、上述した第1の変換によって変換処理を施す、即ち、暫定的に決定された2つの長方形の基本マトリクス形状を変形する。この時、基本マトリクス形状は、隙間および重複なくディザマトリクスを埋めるという制約条件下で変形される(ステップS102)。
第2変換部4は、第1変換部3によって変換されて変形された基本マトリクスに対して、上述した第2変換処理を施して、基本マトリクス内の画素配置を決定する。この時、基本マトリクス形状は、隙間および重複なくディザマトリクスを埋めるという制約条件下で変形される(ステップS103)。
成長順決定部6は、第2変換処理後の基本マトリクス内における画素の成長順を決定する(ステップS104)。
配置決定部5は、第2変換処理部4によって第2変換処理を施された基本マトリクスを基にして、完全に平面状態で隙間および重複無く覆うことができるように、ディザマトリクス内における個々の基本マトリクスの配置を決定する(ステップS105)。
ディザマトリクス生成部7は、ステップS104およびステップS105によって処理を施された基本マトリクス内の画素の成長順およびディザマトリクス内の個々の基本マトリクスの配置から、ディザマトリクスを生成し、また多階調画像に対しては、多階調画像用のディザマトリクスを生成する(ステップS106)。
実施の形態1の方法で生成したディザマトリクスの1例である図1においては、解像度1200dpiで出力を行った場合に、スクリーン角度15.95度、スクリーン線数198.54lpiのディザマトリクスを実現する。
(1.4.変形例1)
図10は、実施の形態1によるディザマトリクス生成方法の変形例1を説明する図である。既述の実施の形態1によるディザマトリクスの例では、基本マトリクスの形状を決定する際に行う画素位置ベクトルの変換のうち、第2の変換処理を施した場合、第1の変換処理を施された画素位置ベクトルが変化しない特殊な場合であったが、それに対して図10に示した例は、第2の変換によって基本マトリクスの形状が変化する例である。
図10に示されたディザマトリクスは、主ベクトルと副ベクトルとがつぎのような成分を持つ場合の例である。
m=(7、2)
s=(6、−4)
第1の長方形(xサイズ|mx|=7、yサイズ|sy|=4)と第2の長方形(xサイズ|sx|=6、yサイズ|my|=2)を図のように合わせた形状を、暫定の基本マトリクス形状とする。(図10の形状101)
この暫定の基本マトリクス形状101に対して、第1の変換(基本マトリクス内の成長中心からの距離が、外部の成長中心からの距離以下である形状への変換)を行った後、基本マトリクス102を生成する。第1の変換処理を施した後の基本マトリクス形状102に対して、さらに第2の変換(基本マトリクス内の成長中心を通る主ベクトル方向に伸びる直線までの距離が、外部の成長中心を通る主ベクトル方向に伸びる直線までの距離以下となるような形状への変換)処理を施した後の基本マトリクス形状が、図10に示した基本マトリクス103である。このディザマトリククスにおいては、第2の変換による基本マトリクス形状の決定が必須であることが分かる。第1の変換および第2の変換においては、基本マトリクスが隙間および重複なくディザマトリクスを埋めるという制約条件はそのまま継続している。
図11は、実施の形態1の変形例1によるディザマトリクスを説明する図である。図11に示したディザマトリクスは、解像度1200dpiで出力を行った場合に、スクリーン角度が15.95度、スクリーン線数が218.40lpiのディザマトリクスを実現する。
ここで図8に示したように、さらに画像処理部91を備えた構成とすれば、画像処理装置となる。ディザマトリクス生成装置の出力部8は、生成されたディザマトリクスを、画像処理のための信号として画像処理部91に出力する。画像処理部91は、受信したディザマトリクスを使用して、画像処理を施す。
また図8に示したように、さらに画像出力部92を備えた構成とすれば、画像形成装置となる。画像処理部91が送信したディザ処理を施された画像データを、画像出力部92は受信し、受信したディザ処理画像データを、画像形成部92は画像出力する。
(1.5.効果)
ディザマトリクス生成方法は、(1)基本マトリクスを構成する画素の成長順を、主ベクトル(m)と画素位置ベクトル(Pi)との外積の大きさ|m×Pi|により順位付けしたので、数値計算により成長順を計算することが可能であり、コンピュータプログラムを生成することにより、自動的に成長順を決定できる。この方法により、従来、任意のスクリーン角度およびスクリーン線数に対応するディザマトリクスの生成は困難だったのが、本実施の形態によるディザマトリクス生成方法によって可能となる。
ディザマトリクス生成者は、主ベクトルの値のみを入力することにより、必要とするスクリーン角度のディザマトリクスについて、成長順を求めることが可能である。そのため、熟練者があらかじめ生成したすべてのスクリーン角度についての成長順に関する情報を持つ必要がなく、コンピュータプログラムのメモリサイズを飛躍的に低減でき、負荷の少ないコンピュータプログラムでディザマトリクスの生成が可能となる。
従来、スクリーン角度が任意の値の場合、近年の解像度の高い画像機器を使用することによって基本マトリクスを構成する画素が多くなった場合は、成長順を容易に考え出せず、熟練者でも試行錯誤を伴って成長順を決定するという実情があり効率が悪かった。本発明の方法では、第1および第2ベクトルを入力することによって、スクリーン角度が0度、90度、45度以外のスクリーン角度であっても、また基本マトリクス構成する画素が多くなった場合でも、一義的に万線型ディザマトリクスの成長順を決定することができ、このような問題も解決することが可能である。
従来のレーザープリンタ、インクジェットプリンタ、印刷機などの画像形成装置であらかじめ生成したディザマトリクスを、画像形成装置内あるいは、プリンタドライバ内の不揮発メモリに記憶させておいて使用し擬似中間処理(ディザ処理)を行っていた。しかし、本発明のディザマトリクス生成方法は、低負荷のコンピュータプログラムにより、ディザマトリクスを記憶しておく必要なく、すべてのスクリーン角度およびスクリーン線数について万線型ディザマトリクスの生成が可能となる。つまり、画像形成装置内部にディザマトリクス生成プログララムを搭載して必要となるディザマトリクスを画像形成装置内部で必要時に生成することが可能となる。従って、出力する画像データに応じて(例えば、色モアレや画像輪郭部のジャギーなどに応じて)、適当なスクリーン角度、スクリーン線数を選択して、画像出力を行うことが可能な画像形成装置を実現できる。
(2.実施の形態2)
(2.1.テーブルを使用した基本マトリクスの生成方法)
実施の形態1のディザマトリクス生成方法においては、基本マトリクスを構成する画素の成長順(順位づけ)と、ディザマトリクス内の個々の基本マトリクス配置の両方を決定して、ディザマトリククスを生成した。それに対して実施の形態2では、スクリーン角度をベクトルを入力することで指定し、指定されたスクリーン角度を有するディザマトリクスを構成する基本マトリクスの画素の成長順を決定することが可能な基本マトリクス生成方法である。
従来技術において説明したように、万線型ディザマトリクスの生成においては、スクリーン角度が異なるごとに異なる成長順を生成する必要があること、また成長順の決定を熟練者の経験や勘による手作業に依存して生成していることの2つが、任意のスクリーン角度に対応して万線型ディザマトリクスを生成する上で制約となっていた。実施の形態2では、すべてのスクリーン角度において、成長順を決定することが可能なディザマトリクス生成方法を示す。
図12は、実施の形態2によるディザマトリクス生成方法において用いる基本マトリクスの画素位置成長順テーブルの一例を示す図である。実施の形態2のディザマトリクス生成方法では、ディザマトリクス(基本マトリクス)の成長順を記憶した成長順テーブルを生成する。この成長順デーブルは、生成しようとするディザマトリククスの基本マトリクスが、完全に内部に含まれるサイズである。
図12に示した基本マトリクスの画素位置の成長順テーブルは、万線型ディザのスクリーン角度が−29.8度の場合に対応する。実施の形態2では、この成長順テーブルの生成を次のようにして行う。ます、基本マトリクスに対して十分な大きさを有するxサイズ、yサイズのテーブル(図12では15×15)を生成し、番号付けをする。この番号付けは任意の方法でよい。次にこのテーブルの中央の1画素を成長中心として決定する。以後は、実施の形態1で説明した方法によって、上記のデーブルを構成するすべての画素に対して「画素位置ベクトル」を定義して、この画素位置ベクトルをPiで表す。
但しここで、画素位置ベクトルは画素を対応した2次元ベクトル平面であるので、画素点の座標は整数値となる。整数値を取る座標でベクトルの方向を指定するため、完全に指定の角度に等しくなるわけではなく、あくまで指定角度の近似値となる。
万線型ディザのドットが連なる方向をベクトルで指定する。ここでは、このベクトルを実施の形態1と同じ表記にするために、主ベクトルmと表すことにする。図12では、主ベクトルm=(7、−4)である。画素位置ベクトルと主ベクトルとを用いて、両ベクトル同士の外積の大きさ
|m×Pi|=|mx・Piy−my・Pix| (式6)
を計算する。ここで、ベクトル値は、
m=(mx、my)
Pi=(Pix、Piy)である。
この値の小さい順に順位付けを行うことによって、成長順テーブルを生成する。図12は、このようにして順位付けを行った成長順テーブルの一例である。実施の形態2の方法では、主ベクトルmの値を指定することによって、どのような方向に連なる万線ディザマトリクス、つまりどのようなスクリーン角度のディザマトリクスであっても、ライン状に連なって画像濃度が高くなるにしたがってこのライン幅が大きくなるような基本マトリクスの成長順を決定することが可能にとなる。
ディザマトリクスの生成を行うためには、上述の基本マトリクスの画素の成長順の決定のほかに、基本マトリクスの形状(基本マトリクスを構成する画素の配置)、ディザマトリクス内に含まれる基本マトリクスの配置を決定する必要があるが、実施の形態2ではこれらについては、どのような方式を使用しても良い。例えば、従来技術と同様に基本マトリクスの形状を二つの正方形を組み合わせた形状として決定する方法であっても可能であり、特開2003−163806(図5)のように周期的な4点を結んだ直線で囲まれる領域の内側となる画素による決定方法なども可能である。
実施の形態2では、いずれかの方法によって決定した基本マトリクス形状と、上述の方法により決定した成長順テーブルとを比較し、基本マトリクスを構成する画素の成長順を決定する。図12は、二つの長方形で形成される基本マトリクス(破線で記載)と成長順テーブルを比較することによって、万線型の成長順となるような基本マトリクスを構成する画素の成長順を決定することを説明している。また、このとき使用する基本マトリクス形状を内包するように大きめに生成しておくことが必要である。
実施の形態2による基本マトリクスの生成方法は、多くの既存のディザ生成方法と組み合わせることが可能になる。すでに説明したように、従来のディザマトリクス生成方法では、ディザマトリクスの成長順を熟練者の経験に基づく手作業により決定していた。実施の形態2の基本マトリクスの生成方法は、この手作業で行っていた部分を、コンピュータなどによる計算により高速かつ高精度に決定できる。このため、実施の形態2では、ディザマトリクス生成における基本マトリクスの画素の成長順決定以外の方法は、既存の方法を踏襲できる。つまり、既存のディザマトリクス生成方法の一部分のみを変更するだけで、すべてのスクリーン角度に対応した万線型ディザマトリクスの生成が可能になる。
(2.2.ディザマトリクス生成装置および方法)
図13は、実施の形態2によるディザマトリクス生成装置の機能的ブロック図である。実施の形態2によるディザマトリクス生成装置20が、実施の形態1によるディザマトリクス生成装置と異なる点は、テーブル生成部22、配置決定部25、成長順決定部26、およびディザマトリクス生成部27を備える点である。
テーブル生成部22は、入力されたベクトル値によって定まるディザマトリクスの成長順を記憶した成長順テーブルを生成する。
暫定形状決定部2は、上述したように例えば公知技術によって2つの長方形から成る基本マトリクスの形で、基本マトリクスの形状を決定する。
配置決定部25は、基本マトリクス形状決定部23によって決定された基本マトリクスを隙間無く重複無く周期的に配置したディザマトリクスを生成する。
成長順決定部26は、暫定形状決定部2によって決定された基本マトリクスの形状と、テーブル生成部22が生成した成長順テーブルとを比較して、基本マトリクス内の画素の成長順を決定する。
ディザマトリクス生成部27は、個々に隙間および重複なく基本マトリクスが埋められて生成されたディザマトリクスに対して、決定された個々の基本マトリクスを順番に並べて、かつ画素の成長順を加えてディザマトリクス、あるいは多値用のディザマトリクスを生成する。
図14は、実施の形態2によるディザマトリクス生成方法の手順を説明するフローチャートである。図13および図14を参照しながら、実施の形態2によるディザマトリクス生成の手順を説明する。
テーブル生成部22は、入力された主ベクトル・副ベクトルによって定まるディザマトリクスの成長順を記憶した成長順テーブルを生成する(ステップS201)。同時に、暫定形状決定部2は、入力された主ベクトル・副ベクトル値によって、基本マトリクスの形状を決定する(ステップS202)。ここでの基本マトリクスの形状決定は、2つの長方形を組み合わせる方法など、どのような方法でも良い。
成長順決定部26は、暫定形状決定部2によって決定された基本マトリクスの形状と、テーブル生成部22によって生成された成長順テーブルとを比較して、基本マトリクス内の画素の成長順を決定する(ステップS203)。
配置決定部25は、暫定形状決定部2によって決定された基本マトリクスを、個々の基本マトリクスを順番に、隙間無く重複無く周期的に配置してディザマトリクスを生成する(ステップS204)。ディザマトリクス生成部27は、ディザマトリクス、あるいは多階調画像用のディザマトリクスを生成する(ステップS205)。
(2.3.効果)
実施の形態2による基本マトリクスの画素の成長順決定は、上述のように計算によって決定するためコンピュータプログラムの生成により、高速かつ高精度に決定できる方法である。このため、任意のスクリーン角度において基本マトリクス内の成長順を決定することが可能にする。
(3.実施の形態3)
(3.1.基本マトリクス形状の決定方法)
実施の形態3は、基本マトリクスに含まれる画素の配置、即ち基本マトリクス形状を決定する方法である。決定された基本マトリクス内における成長順は任意の方法でよい。
実施の形態3による基本マトリクスの形状の決定方法は、基本マトリクス内の画素位置ベクトルと主ベクトルと所定の主ベクトルとの外積の大きさが、該画素位置ベクトル以外の基本マトリクス内において対応する画素位置ベクトル(対応する画素位置ベクトルと称する)と該主ベクトルとの外積の大きさ以下であるように、かつ基本マトリクスが隙間および重複なくディザマトリクスを構成することである。
実施の形態3では、主ベクトル、副ベクトル、画素位置ベクトルをそれぞれ次のように表す。
主ベクトル:m=(mx、my)
副ベクトル:s=(sx、sy)
画素位置ベクトル:Pi=(Pxi、Pyi)
ここで、添字iは、基本マトリクスを構成するi番目の画素を指す。
基本マトリクスを構成する画素の配置(基本マトリクスの形状)が、負の値をふくむ任意の整数kに対して、
|m×Pi|≦|m×(Pi+ks)| (式7)
の関係を常に満たすように配置される。ここで、kは任意の整数である。
基本マトリクスの画素位置ベクトルを式7で制限することにより、基本マトリクスに含まる画素から同じ基本マトリクス内の成長中心を通過して主ベクトル方向に伸びる直線までの距離が、外部の成長中心を通過して主ベクトル方向の直線までの距離よりも大きくなってしまう従来の問題が発生しない。このように生成した基本マトリクス形状を使用すれば、基本マトリクス内にのみに注目して成長順を決定した場合でも、成長順に不自然な部分が生じないという利点をもつ。ここでも、求める基本マトリクス形状は、隙間および重複なくディザマトリクスを埋め尽くすという制約条件を課す。
実施の形態3では、基本マトリクス内において構成する画素の成長順は、どのような方法でも可能であり、例えば手作業による決定方法も可能である。逆に、手作業によって基本マトリクス内の成長順を決定する場合、この基本マトリクス形状の決定方法は非常に有効である。なぜなら、すでに説明したように1つの基本マトリクス内の画素配置のみに注目するだけで、外部の成長中心の配置に注意をはらう必要が全くないからである。従来、このような基本マトリクス形状ではなかったため、熟練者が試行錯誤を繰り返して不具合のない画素の成長順を決定していた。しかしながら実施の形態3では、基本マトリクス内の画素の成長順を手作業で決定する場合であったとしても、比較的容易に成長順を決定できる。これにより、試行錯誤の手間を低減することが可能となる。
(3.2.ディザマトリクス生成装置および方法)
実施の形態3によるディザマトリクス生成装置の機能ブロック図は、図8に示した図を使用することができる。ただし実施の形態3によるディザマトリクス生成装置において操作表示部11からは、操作者などによる基本マトリクス内の画素の成長順を入力できるものとする。また、成長順決定部6は、操作表示部11から入力された基本マトリクス内の画素の成長順によって、基本マトリクス内の成長順を決定するものとする。また、ディザマトリクスを構成する個々の基本マトリクスをどのような周期で成長させるかは、操作表示部11から入力されたベクトルsの入力値によって設定されるものとする。
実施の形態3では、基本マトリクス内の画素の成長順として、既存の成長順を用いることも全く問題がない。従来技術の特開2002−118746のような成長順を、さまざまスクリーン角度のディザマトリクスや、基本マトリクスを構成する画素数が多い(解像度の大きい)場合に適用する場合にも、有効な基本マトリクス形状となる。
図15は、実施の形態3によるディザマトリクス生成の手順を説明するフローチャートである。主ベクトル・副ベクトル値が入力部1から操作者によって入力されてから、第2変換部が基本マトリクス内の画素配置を決定するステップS303までは、実施の形態1によるディザマトリクス生成方法のステップS101からステップS103までと同様であるので、説明を省略する。
基本マトリクス内の画素の成長順を、操作者は入力部1から入力し、入力された成長順によって成長順決定部6は、ディザマトリクス内における基本マトリクスの成長順を決定する(ステップS304)。
第2変換部4によって決定された基本マトリクス内の画素配置と、配置決定部4によって決定されたディザマトリクス内における個々の基本マトリクスの配置順とから、成長順決定部6は基本マトリクス内の画素の成長順を決定する(ステップS305)。
第2変換部4によって決定された基本マトリクス内の画素配置により、配置決定部4は、ディザマトリクス内における基本マトリクスの配置を決定する(ステップS306)。ディザマトリクス生成部7は、成長順決定部6が決定した基本マトリクス内の画素の成長順と、配置決定部4が決定したディザマトリクス内の基本マトリクスの配置から、ディザマトリクスを生成する(ステップS307)。
(3.3.効果)
従来、基本マトリクスは例えば暫定的に定めた2つの正方形(長方形)をあわせた形状をそのまま基本マトリクス形状とした場合、注目する画素と同じ基本マトリクスの内部の成長中心を通過する直線までの距離よりも、外部の成長中心を通過する直線までの距離の方が小さくなってしまう問題が発生した。この問題が発生した場合、基本マトリクスを構成する画素の成長順を同じ基本マトリクス内の成長中心を通過する直線からの距離で順位付けを行っただけでは、ライン基調の画素成長順に不規則な箇所(直線からの距離が大きいような、画素が先にドットONとなる)が生じてしまう問題が発生する。
これに対して、実施の形態3によるディザマトリクス生成方法では、基本マトリクスの形状を上述の式7の条件を満足するように形成するため、このような問題は発生せず、不規則な成長順が発生することのないライン基調の画素成長順を、基本マトリクス内の画素配置にのみ注目しても実現することが可能となる。この結果、ディザマトリククスの生成時における困難さを解消することができるようになる、従来非効率であったディザマトリクスの生成(試行錯誤を行いながらディザマトリクスを生成していた)を、試行錯誤の不要な効率的な生成方法を実現することに寄与することができる。
また、従来の方式で、基本マトリクス形状を等価な4つの画素を直線で結んだ領域の内側となる画素によって形成される形状(特開2003−163806)とした場合にも、すでに説明したような基本マトリクス内の成長中心を通過する直線からの距離で順位付けを行っただけでは、ライン基調の画素成長順に不規則な箇所(直線からの距離が大きな画素が先にドットONとなる)が生じてしまうという問題が発生する。また成長中心が、選択するスクリーン線数によって、一定していない(画素の中心と必ずしも一致しない)といった問題があった。このことは、同じスクリーン角度であってもスクリーン線数が異なる場合には、ハイライト部(基本マトリクス内で1ドット目や2ドット目などの少ないドットが打たれた状態)において画素の連なり方がことなることを意味する。特に万線型のディザ処理を行った画像においては、この画素の連なり方の違いにより、ハイライト部の特性(ハイライトの出現性)が異なる場合があり、スクリーン線数を変えることによって、ライン基調の成長順が成長中心に対して変化することになり、成長順は固定したままスクリーン線数のみを変えたい場合に等に適応できず、ハードウェア条件から適当なスクリーン線数のディザマトリクスを選択したい場合に、予測精度が低下してしまう要因となる。この結果、ディザマトリクスの選択を効率的に行えないといった問題が生じるのであるが、本発明の基本マトマトリクス形状の決定方法では、このような問題が発生することのないディザマトリクスの生成方法を実現することができる。
また、基本マトリクス形状(「同じ形状の基本マトリクスを連結することによって、平面を完全に埋めつくことができる」の要件をみたすような形状)をどのように選択した場合であっても、上記の式7を満たす基本マトリクス形状へと変換することにより、例えばもっとも計算負荷が小さい2つの正方形(長方形)を合わせた形状で暫定の基本マトリックス形状を決定し、これをさらに第2の変換により変換して、計算負荷がさらに小さい基本マトリクス形状の決定方法を実現でき。このことは、計算時間の低減、メモリサイズの低減などの低負荷のプログラムを可能にする。
(4.実施の形態4)
(4.1.スクリーン角度・線数から主ベクトルと副ベクトルを決定)
実施の形態4によるディザマトリクス生成方法は、実施の形態1の構成に加えて、入力されたスクリーン角度とスクリーン線数とから、それに近いスクリーン角度とスクリーン線数とを実現する主ベクトルと副ベクトルとの組み合わせを決定する。
まず入力されたスクリーン角度から、主ベクトルの値を決定する。スクリーン角度、主ベクトルをつぎのように表したとき、
スクリーン角度:θ (式8)
主ベクトル:m=(mx、my)
両者はmx、myが実数値の場合は下記の関係をもつ。
tanθ=my/mx (式9)
しかしながら、mx、myはここでは整数値としているので、mx、myをそれぞれ、−20〜+20の範囲で変化させながら、最も左辺の値に近いmxとmyの組み合わせを導出し、主ベクトルとして決定する。
このようにして決定した、mx、myを使用して、次に副ベクトルの値を決定する。副ベクトルと解像度とを、
副ベクトル:s=(sx、sy)
解像度:R
とすると、スクリーン線数:LNは下記の関係となる。
LN=R・|m|/|s×m| (式10)
ただし、
|m|=(mx^2+my^2)^0.5 (式11)
|s×m|=|sx×my−mx×sy| (式12)
ここで、解像度:R、主ベクトル:m、はすでに決まっているため、sx、syをそれぞれ−20〜+20の範囲で変化させながら、左辺の値に近いsxとsyの組み合わせ導出し、副ベクトルの値を決定する。
(4.2.ディザマトリクス生成装置および方法)
図16は、実施の形態4によるディザマトリクス生成装置の機能的ブロック図である。実施の形態4によるディザマトリクス生成装置が、実施の形態1によるディザマトリクス生成装置と異なる点は、ベクトル決定部41を備えた点である。ベクトル決定部41は、操作表示部11を介して入力部1から入力されたスクリーン角度、線数、および解像度のデータを受信して、ディザマトリクスを規定する主・副ベクトルを決定する。
図17は、実施の形態3によるディザマトリクス生成手順を説明するフローチャートである。操作者から操作表示部11を介して入力部1から受信したスクリーン角度、線数、解像度のデータは、ベクトル決定部41に送信され、ベクトル決定部41は、スクリーン角度、線数、解像度のデータによって主・副ベクトルを決定する(ステップS401)。
ベクトル決定部31によって決定された主・副ベクトルの情報は、暫定形状決定部2に送信される。暫定形状決定部2が、主・副ベクトルによってディザマトリクスを構成する基本マトリクスを暫定的に決定するステップS402から、ディザマトリクス生成部がディザマトリクスあるいは多階調画像用のディザマトリクスを生成するステップS407までは、実施の形態1によるディザマトリクス生成手順を示したフローチャートにおけるステップS101からステップS106までと同様であるので、説明を省略する。
(4.3.効果)
ディザ処理におけるスクリーン角度とスクリーン線数とは、解像度・主ベクトル・副ベクトルの組み合わせにより一義的に決定されるが、このとき、主ベクトルおよび副ベクトルはそれぞれの成分がすべて整数になっている。ディザマトリクスを使用してディザ処理を行う使用者側の立場からは、ディザ処理の特徴を直感的に理解しやすいのは、スクリーン角度とスクリーン線数を指定する方法である。このため、使用者側の立場から、主ベクトルおよび副ベクトルを意識することなく、直感的に理解のしやすい形でのディザマトリクス生成方法が可能になる。
ディザマトリクスを生成する場合には、スクリーン線数よりもスクリーン角度に注目して生成しておこなうことが多い。特に、カラー画像用のディザマトリクスを生成する場合には、色モアレが発生しないようにディザマトリクス組み合わせる。この色モアレは、重ね合わせるディザマトクスのスクリーン角度差に大きく依存するため、スクリーン角度に注目してディザマトリクスが生成される。
上述のような方法で、目的となるスクリーン角度およびスクリーン線数に近いスクリーン角度、スクリーン線数を実現するディザマトリクスを実現する、主ベクトルと副ベクトルの組み合わせを探索するが、この方式では実際には主ベクトルを決定した後に副ベクトルを決定するため、すべての主ベクトルと副ベクトルの組み合わせについて探索することに比べて、探索空間を狭くすることができる。この結果、短時間で主ベクトルと副ベクトルとを決定することが可能となる。また、上述の理由により、カラー画像に対するディザマトリクスの生成では、スクリーン角度が優先されることが場合が多いため、このような方法でも十分な精度で主ベクトルと副ベクトルの組み合わせを決定することができる。
このようにして決定した主ベクトルと副ベクトルとを用いて、実施の形態1と同じディザマトリクス生成方法により、入力されたスクリーン角度とスクリーン線数に近いスクリーン角度とスクリーン線数のディザマトリクスを生成することが可能なディザマトリクス生成方法を実現する。
(5.実施の形態5)
(5.1.多階調ディザマトリクスの生成)
実施の形態5によるディザマトリクス生成方法が、実施の形態1と異なる点は、多階調画像のディザ処理を行うディザマトリクスを生成することである。
実施の形態5によるディザマトリクスは、8bit画像を、2bit画像に変換するディザマトリクスを生成する。2bit(4値)の量子化数をもつ画像に変換するためのディザマトリクスは、3つのレベルのディザマトリクスになる。
図18は、実施の形態5によるディザマトリクス生成方法によって生成した2bitに変換するディザマトリクスの1例である。図18に示されたように、2bit画像に変換するディザマトリクスでは、1bitディザマトリクスとは異なって1画素あたり3つのレベルそれぞれに閾値を記入する。(1画素あたりの自由度が3倍になる。)
実施の形態5によるディザマトリクス生成方法では、1つの画素位置に対応する画素位置において、低いレベルから高いレベルへと順に番号付づけを行い、1つの画素が飽和したのちに、別の画素の番号付けを行うような深さ方向(多値方向)の成長順になっている。例えば、レベル0(ディザマトリクス1800)での成長中心が0の値は、レベル1(ディザマトリクス1801)で1となり、レベル2(1802)では3となる。そして、再びレベル0に戻って、次の数字は4から始まる。レベル0での4は、レベル1で6となり、レベル2では8となり、再びレベル0に戻って、9から始まる。実施の形態5では、このような成長順を、上述の成長ルールを反映させたコンピュータプログラムを生成することにより実現している。
また、図18に示されたディザマトリクスは、次のような見方をすることによって、実施の形態1によるディザマトリクス生成方法での基本マトリクスの画素の成長順を踏襲していることが分かる。例えば、図18では、3つのレベルうちの1つのレベル(例えばレベル0)についてのみ注目すると、その注目レベルのなかでの成長順(番号の大きさの順番)は、実施の形態1のディザマトリクスの成長順と一致している。
ここで、ディザマトリクス生成部7は、成長順決定部6からのデータを受信しながら上記のようにして複数のディザマトリクスからなる多階調ディザマトリクスを生成することができる。
(5.2.効果)
多値ディザ処理では、一定の領域で再現可能な階調数が増加するため、テクスチャと呼ばれる低周波のディザ処理の模様を少なくなるような高画質のディザマトリクスを使用することが可能となる。また、多値のティザマトリクスを生成するため、テクスチャの無い高画質のディザマトリクスを生成することが可能となる。
(6.実施の形態6)
(6.1.多値ディザマトリクスの生成方法)
実施の形態6によるディザマトリクス生成方法が、実施の形態5と異なる点は、深さ方向(多値方向)の成長順が1つの基本マトリクス内では、主ベクトルmをm=(mx、my)としたときに、
N=max(|mx|、|my|) (式13)
で定まる、N個の画素単位で深さ方向の成長が飽和した後に、次のN個単位で深さ方向の成長が始まるように、多値ディザマトリクスを生成する点である。ここで、max(、)の意味は、両者の最大値を選択する意味である。
ここで式13の算出は、実施の形態1によるディザマトリクス生成装置におけるディザマトリクス生成部7が行う(図8)。
図19は、実施の形態6によるディザマトリクス生成方法で生成した2bit画像へ変換するディザマトリクスの例である。図19に示されたディザマトリクスにおける主ベクトル、副ベクトルはそれぞれ、
m=(2、6)
s=(8、−2)
である。
ここで、N=max(|2|、|6|)=6となる。故に、N=6個の画素単位で深さ方向に成長が飽和したのちに、次の6個単位で深さ方向の成長順が始まるような、深さ方向への成長順となっている。実施の形態6によるディザマトリクス生成方法でも、このような成長順を上述の成長ルールを反映させたコンピュータプログラムを生成することにより実現している。図18と同じく、図19においても、3つのレベルうちの1つのレベル(例えばレベル0)についてのみ注目すると、その注目レベルのなかでの成長順(番号の大きさの順番)は、実施の形態1によるディザマトリクスの成長順と一致している。
図18および図19に示したディザマトリクスは、ともに解像度1200dpiで出力した場合、スクリーン角度:71.60度、スクリーン線数:172.49lpiで、1画素あたり2bitの量子化画像を得るためのディザマトリクスとなる。
(6.2.効果)
1つの基本マトリクス内では、1つの画素についての深さ方向の成長が飽和したのちに、別の画素の成長が始まるような、多値ディザマトリクスを生成する。このようなディザマトリクスでは、万線型ディザマトリクスの特徴を維持しながら、トナーを付着させる領域を小さくすることができる。この結果、ドットゲインと呼ばれるトナー付着領域が大きくなってしまう現象を低減することに寄与するため、階調性に優れた画像を実現するためのディザマトリクスを生成することが可能となる。
1つの基本マトリクス内では、主ベクトルの値から定まるN個の画素単位で深さ方向の成長が飽和した後に、次のN個単位で深さ方向の成長順が始まるような多値ディザマトリクスを生成する。このようなディザマトリクスでは、ディザ処理を行った画像の周期構造が、副ベクトル方向の周期性のみを持つようになるため、特にカラー画像に対して適応した場合に色モアレの少ないディザマトリクスを生成することが可能となる。
また、トナーの付着領域を広めにすることができるようになるため、トナー付着部の三次元構造をみると、高さ方向に平坦な(高さの小さい)構造をもつ画像を実現することができるようになる。この結果、粒状性とよばれるザラツキを表す尺度の小さな(ザラツキつきの少ない)画像を実現することが可能なディザマトリクスを生成することができるようになる。
(7.実施の形態7)
(7.1.画像処理装置)
図20は、本発明の実施の形態によるディザマトリクス生成装置を備えた画像処理装置の機能的ブロック図である。図20に示した画像処理装置200は、実施の形態で説明したディザマトリクス生成装置201を備えてディザマトリクスを生成し、生成されたディザマトリクスを用いて、入力された汎用の画像フォーマット(例えばTIFF形式)の画像データ205に対して、ディザ処理装置202がディザ処理を施し、ディザ処理を施された画像データを画像出力部204に出力したり、コンピュータシステムのディスプレイ(不図示)に表示したり、記録媒体に記録したりする(不図示)。
実施の形態7の画像処理装置は、上述のように入力画像に対して単純にディザ処理を行って、結果を出力するような画像処理装置であるが、他の画像処理をこの画像処理装置に組みこむことも可能である。また、ディザ処理以外の他の画像処理工程において、本発明の提案するディザマトリクス生成方法により生成した万線型ディザマトリクスを使用するような画像処理を含むことも可能である。例えば、ブルーノイズマスクに代表されるようなFMスクリーンディザと本発明の方法によるAMスクリーンディザとを適当にミキシング処理し、新規なディザマスクを生成するなどの構成も可能である。この場合には、周期性が緩和されることによりモアレ(干渉模様)が緩和される効果を奏することができる。
さらに、ディザ処理工程をまったく含まず、本発明の生成方法により生成を行ったディザマトリクスを別の画像処理工程で用いるような場合においても、本発明による効果を奏することが可能である。例えば、実施の形態1の方法により生成されたディザマトリクスを用いて、誤差拡散処理における閾値の部分にそれらを使用することもできる。
(7.2.効果)
実施の形態7によるディザマトリクス生成方法を組みこんだ画像処理方法を実現することによって、入力画像データに対して、所望のスクリーン角度とスクリーン線数による万線型のディザ処理を行った画像データが得られるようになる。ディザ処理を行った画像データは、電子写真装置・印刷機・インクジェットプリンタなどにおいて高画質の画像をえることができるようになる。
また、本発明の提案する万線型ディザマトリクスの生成方法は、データをほとんど持つことのない軽量のコンピュータプログラムにより実現される方法であるため、すべてのスクリーン線数・スクリーン角度に対応しながら、メモリ負荷や動作の快適性をほとんど損なうことのない画像処理装置を実現する。
従来のディザマトリクス自体をメモリ上に記憶していた画像処理方法に比べて、メモリ消費量がほとんど増加することなく飛躍的に多くの種類のディザマリクスから、入力データに対して最適なディザマトリクスを選択することができる。
また、入力データによる切り換えは、いわゆる画像種(文字画像、写真画像、グラフィックス画像)によるディザマトリクスの切り替えを、その中間的な画像にまで対応させて異なるディザマトリクスを適用することなども可能である。(従来では、文字画像、写真画像、グラフィックス画像の3レベル程度で分類していたが、さらに細かな分類を行いそれに合わせて細かく特性を変えたディザマトリクスを生成して、対応するようなことを可能とする。)
また、ディザ処理によるグレーの斜め線などが途切れるといった現象に対しても、スクリーン角度を変化させたディザマトリクスを適用することにより解消することができる。
また、使用者が選択した出力画像モードに応じて、ディザ処理を行う際のディザマトリクスを変えながら、ディザ処理を実行可能な画像処理装置を実現する。
また、使用者が設定する出力モードに応じて最適なディザマトリクスを選択することができる。たとえば、使用者が階調性を重視した画像を希望した場合にはスクリーン線数が低めのディザマトリクスを生成して適用し、鮮鋭性を重視した画像を希望した場合にはスクリーン線数の高めのディザマトリクスを生成して、適用するようなことが可能となる。また、このような使用者により微妙なチューニングを、実質的には連続的に可変させながら、実行することを可能にする。
(8.実施の形態8)
(8.1.実施の形態によるディザマトリクス生成装置を備えた画像形成装置)
実施の形態8は、本発明によるディザマトリクス生成装置を備えた電子写真方式のカラー画像形成装置である。
図21は、本発明によるディザマトリクス生成装置を備えた画像形成装置の機能的ブロック図である。画像形成装置210は、画像判定部211、階調補正処理部212、ディザマトリクス生成装置213、出力モード判定部214、ディザ処理部215、および作像部216を備える。
入力画像データ(TIFFなどの汎用フォーマット)221が入力されると、画像判定部211は画像を判定し、判定された情報がディザマトリクス生成装置213に送信される。一方、画像判定部211は、入力画像データを階調補正処理部212に送信し、階調補正処理部212は、受信した入力画像データに対して階調補正処理を施す。
一方、操作者による出力モード選択222がなされると、選択された出力モード情報が送信され、出力モード判定部214は受信した出力モード情報から出力モードを判定して、判定された出力モードはディザマトリクス生成装置213に送信される。
ディザマトリクス生成装置213は、出力モード判定部214からの出力モード判定情報と、画像判定部211から判定された画像情報を受信し、必要なディザマトリクスを生成し、ディザ処理部215に送信する。
ディザ処理部215は、階調補正処理部212によって階調補正処理を施された画像データに対して、受信したディザマトリクスを使用して、ディザ処理を施す。ディザ処理を施された出力画像用データ(汎用フォーマットまたは専用フォーマット)223は、作像部216に送信され、作像部216は画像出力して、出力画像224を出力する。ここで作像部は電子写真方式などである。
このようにして画像形成装置210は、入力多値データに対してディザ処理をおこない、このディザ処理後の画像データを画像出力する。
ここで画像形成装置221は電子写真方式の画像形成装置であるが、別方式の画像形成装置であっても可能である。例えば、オフセット印刷方式、インクジェット方式、熱転写方式、デジタル銀塩方式などどのような方式でも可能である。
(8.2.効果)
実施の形態8によるディザマトリクスによって多値画像データにディザ処理を施して出力用画像データを形成し、この出力用画像データにもとづいて画像形成を行う画像形成方法を実現できる。
実施の形態8による画像処理方法により、複数色のカラー多値画像データに対して、複数の異なる色ごとにディザ処理を施して出力画像データを形成し、この出力用画像データにもとづいてカラー画像形成を行うカラー画像形成方法を実現する。
さらに、万線型のディザマトリクスを異なるスクリーン角度で、異なる色ごとに組み合わせることが可能となる。このため、色モアレの少ない出力画像を得ることができる。
また、出力画像の色モアレの状況に応じて、各色ごとに適用するディザマトリクスを変更すること可能である。このため、出力する画像に対して、色モアレが最適となるディザマトリクスを選択して使用することもできるようになる。
(9.ハードウェア構成、記録媒体)
図22は、実施の形態によるディザマトリクス生成装置のハードウェア構成例を示す図である。上述したディザマトリクス生成装置は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現できる。コンピュータ2200は、CPU(Central Processing Unit)2201によって装置全体が制御されている。CPU2201には、バス2207を介してROM(Read Only Memory)2202、RAM(Random Access Memory)2203、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)2204、グラフィック処理装置2205、入力インタフェース2206が接続されている。ROM2202、およびRAM2203には、CPU2201に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が格納される。またRAM2203には、CPU2201による処理に必要な各種データが格納される。HDD2204には、OS、各種ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、検出されたデータなどが格納される。
グラフィック処理装置2205には、モニタ2211が接続されている。グラフィック処理装置2205は、CPU2201からの命令に従って、画像をモニタ2211の画面に表示させる。入力インタフェース2206には、キーボード2212とマウス2213とが接続されている。入力インタフェース2206は、キーボード2212やマウス2213から送られてくる信号を、バス2207を介してCPU2201に送信する。
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。本実施の形態をコンピュータ2200上で実現するには、コンピュータ2200にドライバプログラムを実装する。
尚、本実施形態のディザマトリクス生成装置で実行されるディザマトリクス生成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(R)ディスク、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されて提供される。
また、本実施形態のディザマトリクス生成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供および配布するように構成しても良い。