JP4204000B2 - ディザマトリクス作成方法および装置、画像処理方法および装置、画像形成方法および装置、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Description
また、カラー画像などの複数の異なる色の版を重ね合わせて画像を形成する場合にも、万線型ディザは優れた特徴をもっている。色重ね時には、色モアレと呼ばれる干渉模様が現れるため、異なる色の版のスクリーン角は相互に異なるように設定される。フルカラー画像の場合には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)、の4色のスクリーン角を別々に設定して角度差をできる限り大きくするように設定することが、色モアレ低減の観点から要求される。このとき万線型ディザマトリクスでは180度の範囲でCMYKの4色分の方向軸を設定すれば十分であるので、CMYKの版間のスクリーン角度差をドット集中型ディザに比べて大きくとることが可能である。この結果、色モアレが良好な画像を容易に得ることが可能となる。しかし、万線型ディザマトリクスでは、上記のドットの重なる領域はドット集中型ディザマトリクスよりも少ないため、階調性に優れた画像の出力においては、ドット集中型ディザマトリクスに劣る。
例えば、後述するように、実施例1は、図4のような基本マトリクス形状であるが、これを主ベクトルと副ベクトルで指定される周期構造になるように配置すると、図7のように“ピッタリ”と配置することができる。このとき、隙間が無くまた一部が重なるようなこともなく配置できることが、上記の制約を満たすということになる(図4の形状を少し変えると、隙間ができたり、一部が重なってしまうようなことも起こり得る。このようになってしまった場合には、基本マトリクス形状は上記の制約を満たさないということになる)。隙間ができたり、一部が重なっている状態では、その画素の閾値データを決めることができないのでディザマトリクスを作成することができない。
また、上記したように、「理想的な基本マトリクス形状を簡単には導出することができない」が、ここでの「理想的な」という意味は、下記の二つの条件を満たすことである。
条件(1):基本マトリクス内のある画素から同じ基本マトリクス内の成長中心までの距離が、外部の成長中心までの距離以下となっている。
条件(2):スクリーン線数や角度を変えたときに基本マトリクスの形状も変わるが基本マトリクス形状が変わっても成長中心の位置がいつも同じになっている。
上記の条件(1)、(2)をともに満たすような基本マトリクス形状を決定する方法は、従来技術のいずれにも記載されていない。また、基本マトリクス形状を無作為に選択したのでは、上記の条件(1)、(2)を満たすような形状になることはほとんど無い、つまり、上記したように「簡単には導出することができない」。
本発明の目的は、ドット集中型ディザマトリクスにおいて、ドット成長順と相性のよい基本マトリクス形状の導出を行って、ディザマトリクスの作成を行うディザマトリクス作成方法および装置、画像処理方法および装置、画像形成方法および装置、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。本発明の方法では、すべてのスクリーン線数とスクリーン角度に対応して、理想的な基本マトリ形状に基づいてディザマトリクスの作成を行う。
主ベクトル:m^=(mx、my)
副ベクトル:s^=(sx、sy)
また、基本マトリクスを構成する画素の位置ベクトル(基本マトリクスの成長中心から注目する画素までのベクトル)を下記のように定義したとき、
Pi^=(Pix、Piy) (添字iは、基本マトリクスを構成するi番目の画素を指す)
基本マトリクスを構成する画素の配置を、上記の周期構造を満足するように適当に配置した後に、
Pi^⇒Pi^+km^+ls^ (k、lはともに任意の整数で負の値を含む)
による変換を行い、Pi^+km^+ls^を新たな画素位置ベクトルPi^として配置することにより、新たな基本マトリクス形状へと変換を行った後に、ディザマトリクスの作成を行うことを特徴とする。
主ベクトル:m^=(mx、my)
副ベクトル:s^=(sx、sy)
また、基本マトリクスを構成する画素の位置ベクトル(基本マトリクスの成長中心から注目する画素までのベクトル)を下記のように定義したとき、
Pi^=(Pix、Piy) (添字iは、基本マトリクスを構成するi番目の画素を指す)
基本マトリクスを構成する画素の配置を周期構造を満足するように適当に決定した配置した後に、
Pi^⇒Pi^+km^+ls^ (k、lはともに任意の整数で負の値を含む)
による変換を行い、
基本マトリクス内に含まれる画素に対して、その画素を含む基本マトリクス内の成長中心からその画素までの距離が、外部の成長中心からの距離よりも大きくなることがないように、
基本マトリクスを構成する画素を変換・再配置して基本マトリクス形状を決定することによりディザマトリクの作成を行うことを特徴とする。
本発明は、周期的に配置された基本マトリクスの周期構造が、2つのベクトルによって決定されるディザマトリクス作成方法において、前記2つのベクトルを下記のように定義し
主ベクトル:m^=(mx、my)
副ベクトル:s^=(sx、sy)
また、基本マトリクスを構成する画素の位置ベクトル(基本マトリクスの成長中心から注目する画素までのベクトル)を下記のように定義したとき、
Pi^=(Pix、Piy) (添字iは、基本マトリクスを構成するi番目の画素を指す)
基本マトリクスを構成する画素の配置(基本マトリクスの形状)が、
|Pi^|≦|Pi^+km^+ls^| (k、l、は負・ゼロを含む任意の整数)
の条件を満足するように配置されることを特徴とする。
m^=(6,3)
s^=(4,−6)
となっている(なお、ここでは、ベクトルの大きさが小さい方を主ベクトル、大きい方を副ベクトルとする)。注目する1つの画素から主ベクトルまたは副ベクトルの整数倍移動することが可能な画素は、基本マトリクスの等価な画素となっている。また、図3のディザマトリクスの灰色で塗りつぶした画素が「ディザの成長中心」を表している。
|Pi^|=√(Pix2+Piy2)
このため、実際の計算は上式の右辺にしたがって行えば良い。ここで、
Pi^=(Pix,Piy)
であり、Pix,Piy,はそれぞれ画素位置ベクトルのx成分,y成分である。
yサイズ:PN/(xサイズ)
ここで、
max(A,B)は、整数AとBのより値が大きな一方を意味する。
gcd(a,b)は、整数aとbとの最大公約数を意味する。
PN=|mx・sy−my・sx|を表す。
Pi^⇒Pi^+jm^+ks^
ここで、Pi^は暫定で決定した基本マトリクス内のi番目の画素位置ベクトル(上記したように決めた成長中心からの画素位置ベクトル)であり、m^,s^はそれぞれ主ベクトル、副ベクトル、j,kはともに任意の整数である。
この変換は、基本マトリクス内に含まれる画素に対して、その画素を含む基本マトリクス内の成長中心からその画素までの距離が、外部の成長中心からの距離よりも大きくなってしまうことがないように、基本マトリクスの形状を決定することができる。上式の意味は、|Pi^|が基本マトリクス内部の成長中心からの距離を意味し、|Pi^−(om^+ps^)|が外部の成長中心からの距離を表しているので、上記の条件を満たすことによって、基本マトリクス内の成長中心からその画素までの距離が、外部の成長中心からの距離よりも大きくなってしまうことがないように、基本マトリクス形状を決定することができる。図6は、この第1の変換を行った後の基本マトリクス形状であり、第1の変換を行った場合でも、基本マトリクスの要件である「同じ形状の基本マトリクスを連結することによって、平面を完全に埋めつくことができる」に反していないことは、図7から明らかである。
Pi^⇒Pi^+jm^+ks^
の変換において、変換後のベクトルの大きさ(|Pi^+jm^+ks^|)が最も小さくなるような、jとkとの組を探索すればよい。例えば、jおよびkの探索範囲として、ディザマトリクス中に含まれる基本マトリクスの数をNとしたときに、
−N/2≦j,k≦N/2
の範囲を探索することによって、上記の目的を完全に達成することが可能である。
主ベクトル:m^=(mx、my)
副ベクトル:s^=(sx、sy)
画素位置ベクトル:Pi^=(Pxi、Pyi)
(添字iは、基本マトリクスを構成するi番目の画素を指す)
基本マトリクスを構成する画素の配置(基本マトリクスの形状)が、負の値を含む任意の整数j,kに対して
|Pi^|≦|Pi^+jm^+ks^|
の関係を常に満たすように配置される(ステップ204)。基本マトリクスをこのような形状にすることにより、基本マトリクスに含まる画素から、同じ基本マトリクス内の成長中心までの距離が、外部の成長中心を通過する直線までの距離よりも大きくなってしまうといった従来の問題が発生しない。このため、このように作成した基本マトリクス形状では、基本マトリクス内のみに注目して成長順を決定した場合でも、成長順に不自然な部分が生じないといった長所をもつ。実施例2では、この特徴を生かしたディザマトリクス作成方法を提案する。
θ1 (θ1≦πの場合)
θ2=θ1−π(θ1≧πの場合)
の値を用いて、この値が小さいものから順に画素の成長順を決定する。なお、θ1=θ2となる場合が多数存在するが、この場合には、θ1である方の画素を優先するようにしてある。図15は、実施例6の成長順決定方法により決定した基本マトリクスの画素成長順の例である。
スクリーン角度:α
主ベクトル:m^=(mx、my)
両者は下記の関係を持つ
tanα=my/mx
実施例7では、mx、myをそれぞれ、−20〜+20の範囲で変化させながら、最も左辺の値に近いmxとmyの組み合わせを導出し、主ベクトルの値を決定する。
副ベクトル:s^=(sx、sy)
解像度:R
スクリーン線数:LNは下記の関係をもつ
LN=R×|m^|/|s^×m^|
ただし、
|m^|=√(mx2 + my2)
|s^×m^|=|sx×my−mx×sy|
解像度:R、主ベクトル:m^、はすでに決まっているため、sx、syをそれぞれ−20〜+20の範囲で変化させながら、左辺の値に近いsxとsyの組み合わせを導出し、副ベクトルの値を決定する。
実施例8では、1つの画素では低いレベルから高いレベルへと順に番号付づけを行い、1画素が飽和した後に別の画素の番号付けを行うような深さ方向(多値方向)の成長順になっている。実施例8では、このような成長順を、上述の成長ルールを反映させたコンピュータープログラムを作成することにより実現している。また、図17は次ぎのような見方をすることにより、実施例1の成長順を踏襲していることが分かる。図17では、3つのレベルの内の1つのレベル(例えばLEVEL=0)についてのみ注目すると、その注目レベルのなかでの成長順(番号の大きさの順番)は、実施例1のディザマトリクスの成長順と一致している。
2 基本マトリクス形状決定部
3 成長順および配置決定部
4 ディザマトリクス作成部
Claims (19)
- 基本マトリクスを周期的に配置することによってディザマトリクスの作成を行うディザマトリクス作成方法において、基本マトリクスの周期構造を決定する2つのベクトル(以下、ベクトルmをm^と表記)を下記のように定義し、
主ベクトル:m^=(mx、my)
副ベクトル:s^=(sx、sy)
基本マトリクスを構成する画素の位置ベクトルを下記のように定義したとき、
Pi^=(Pix、Piy) (添字iは、基本マトリクスを構成するi番目の画素)
基本マトリクスを構成する画素の配置を、前記周期構造を満足するように決定して配置した後に、
Pi^⇒Pi^+km^+ls^ (k、lはともに任意の整数で負の値を含む)
による変換を行い、
基本マトリクス内に含まれる画素に対して、その画素を含む基本マトリクス内の成長中心からその画素までの距離が、外部の成長中心からの距離よりも大きくなることがないように、
基本マトリクスを構成する画素を変換・再配置して基本マトリクス形状を決定することによりディザマトリクの作成を行うことを特徴とするディザマトリクス作成方法。 - 請求項1に記載のディザマトリクス作成方法において、基本マトリクスを構成する画素の成長順を、相当する画素位置ベクトルの大きさ|Pi^|で順位づけを行い、画素位置ベクトルの大きさが等しいものが複数存在する場合には、画素位置ベクトルPi^と基準ベクトルとのなす角をθとすることにより、前記θの大きさにより順位づけを行うことを特徴とするディザマトリクス作成方法。
- 請求項1に記載のディザマトリクス作成方法において、基本マトリクスを構成する画素の成長順を、相当する画素位置ベクトルの大きさ|Pi^|で順位づけを行い、画素位置ベクトルの大きさが等しいものが複数存在する場合には、画素位置ベクトルPi^と基準ベクトルとのなす角をθ1とし、θ1≧πの場合にはθ2=θ1−πにより算出したθ2を用いて、前記θ1またはθ2の大きさにより順位づけを行うことを特徴とするディザマトリクス作成方法。
- 解像度とスクリーン線数とスクリーン角度とからディザマトリクスの作成を行うディザマトリクス作成方法において、前記スクリーン角度と前記スクリーン線数に近い、スクリーン線数とスクリーン角度とを実現するディザマトリクスの周期構造を決定する2つのベクトルを決定し、前記2つのベクトルに基づきディザマトリクスの作成を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のディザマトリクス作成方法。
- 請求項1〜4のいずれか一つに記載のディザマトリクス作成方法において、閾値レベルを2以上とした多値ディザマトリクスを作成することを特徴とするディザマトリクス作成方法。
- 請求項5に記載の多値ディザマトリクス作成方法において、深さ方向の成長順が、1つの基本マトリクス内では、1つの画素について深さ方向の成長が飽和した後に、別の画素の成長が始まるような、多値ディザマトリクスを作成することを特徴とするディザマトリクス作成方法。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載のディザマトリクス作成方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
- 請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載のディザマトリクス作成方法により作成したディザマトリクスを、多値画像データに対してディザ処理を行うディザ処理装置において読み取り可能な形式で出力することを特徴とするディザマトリクス作成装置。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載のディザマトリクス作成方法によってディザマトリクス作成し、該ディザマトリクスを用いて、多値画像データにディザ処理を施して、量子化画像データの作成を行うことを特徴とする画像処理方法。
- 請求項10に記載の画像処理方法において、入力される多値画像データに応じて、前記ディザマトリクス作成方法により作成を行うディザマトリクスを切り換えることを特徴とする画像処理方法。
- 請求項10に記載の画像処理方法において、出力画像モードに応じて、前記ディザマトリクス作成方法により作成を行うディザマトリクスを切り換えることを特徴とする画像処理方法。
- 請求項10〜12のいずれか一つに記載の画像処理方法により多値画像データにディザ処理を施して出力用画像データを形成し、該出力用画像データに基づいて画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項10〜12のいずれか一つに記載の画像処理方法により複数色のカラー情報を持つカラー多値画像データに対して、複数の異なる色毎にディザ処理を施して出力用画像データを形成し、該出力用画像データに基づいてカラー画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項9に記載のディザマトリクス作成装置と、前記ディザマトリクス作成装置により作成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を行うディザ処理装置とを具備したことを特徴とする画像処理装置。
- 請求項9に記載のディザマトリクス作成装置と、前記ディザマトリクス作成装置により作成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を行うディザ処理装置と、ディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置とを具備したことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項9に記載のディザマトリクス作成装置と、入力される多値データの判定を行い前記ディザマトリクス作成装置で作成を行うディザマトリクスを決定する判定装置と、前記ディザマトリクス作成装置により作成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を行うディザ処理装置と、ディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置とを具備したことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項9に記載のディザマトリクス作成装置と、出力モードを判定して前記ディザマトリクス作成装置で作成を行うディザマトリクスを決定する判定装置と、前記ディザマトリクス作成装置により作成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を行うディザ処理装置と、ディザ処理後の画像データに基づき画像形成を行う作像装置とを具備したことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項9に記載のディザマトリクス作成装置と、複数色のカラー情報を持つカラー多値画像データに対して、複数の異なる色毎に前記ディザマトリクス作成装置により作成されたディザマトリクスにより多値画像データにディザ処理を行うディザ処理装置と、出力用画像データに基づいてカラー画像形成を行う作像装置とを具備したことを特徴とする画像形成装置。
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