JP2005171011A - 防汚性封孔処理剤 - Google Patents

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靖男 平井
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昌嘉 前
Ushinobu Kitatani
丑信 北谷
Hiroshige Kusaba
広茂 草場
Hitoshi Nitta
等 新田
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Abstract

【課題】 一度の封孔処理で上塗り塗料を必要とせず、かつ酸化チタンの光触媒作用による防汚性に優れた封孔処理剤を提供する。
【解決手段】 次の化学式1
【化1】
Figure 2005171011

(式中、Rは水素、炭素数1〜18のアルキルまたはアリール、R、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキルを示す。)で示されるシロキサン化合物(a)と、(ポリ)リン酸と水酸化アルミニウムがP/Al原子比1〜3で縮合した形の(ポリ)リン酸アルミニウム縮合物(b)を、(a)中のSiと(b)中のAlのSi/Al原子比を8〜1040の量比で反応させて得られる(ポリ)リン酸アルミニウムシロキサン共縮合物に、好ましくは平均粒子径が0.1〜0.5μmの光触媒活性酸化チタンを含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、防汚性封孔処理剤、すなわち溶射皮膜に存在する微細孔内に浸透して内部で固化することによりその微細孔を封鎖し、素材表面を気体や液体の侵入を防止すると共に封孔処理された表面の汚れを防止する防汚性のある封孔処理剤(封孔塗料)に関する。
現在、鉄鋼などの金属素材の防錆性、防食性、耐磨耗性、耐熱性、断熱性等の向上や装飾の目的で施される溶射法が注目されており、建築や土木、造船、機械等の広範な分野での利用が拡大している。溶射法で得られた溶射皮膜には無数の微細孔が存在するためこの微細孔から溶射皮膜が剥がれやすく、錆発生の原因となるので、種々の封孔剤によって微細孔を封鎖することが行われている。ところが、このような分野においては、封孔処理面が風雨に曝されることが多くその表面が汚れやすい。
一方、アナターゼ型酸化チタンが光触媒として機能し、光を照射すると有機物質の分解や酸化を促すことが従来から知られている。したがって、酸化チタンの光触媒作用を利用することにより防汚性を付与することができる。このような酸化チタンの機能に着目した皮膜が、例えば特開平11−319709号公報や特開2001−347136号公報や特開2001−11375号公報に開示されている。しかし、これらに開示された皮膜形成用塗料は浸透性が悪いので、上記封孔処理面に適用する場合には封孔塗膜を一度形成した上でさらに上塗りを行う必要があり、封孔剤の塗布乾燥に時間を要するなど、工期が長くなるという問題を生じていた。また、封孔剤との密着性が悪いと上塗りをした塗膜の剥落が起こる等の問題を生じる場合もあった。
特開平11−319709号公報 特開2001−347136号公報 特開2001−11375号公報
そこで、本発明者らは、一度の封孔処理で上塗り塗料を必要とせず、かつ酸化チタンの光触媒作用による防汚性に優れた封孔処理剤を提供すべく、鋭意努力したところ、特定の組成を有するシロキサン化合物に光触媒活性を有する酸化チタンを混合することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の防汚性封孔処理剤は、次の化学式1
Figure 2005171011
(式中、Rは水素、炭素数1〜18のアルキルまたはアリール、R、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキルを示す。)で示されるシロキサン化合物(a)と、(ポリ)リン酸と水酸化アルミニウムがP/Al原子比1〜3で縮合した形の(ポリ)リン酸アルミニウム縮合物(b)を、(a)中のSiと(b)中のAlのSi/Al原子比を8〜1040の量比で反応させて得られる(ポリ)リン酸アルミニウムシロキサン共縮合物からなる第1の封孔成分と光触媒活性酸化チタンを含有することを特徴としている。この中でも、特にSi/Al原子比が80〜300の量比で反応させて得られたものが望ましく、得られた第1の封孔成分の粘度が5〜100mPa・Sであるものが望ましい。
また、本発明においては、平均粒子径が0.1〜0.5μm以下である酸化チタンを用いるのが好都合である。
さらに、25℃における粘度が20〜1000mPa・Sである次の化学式2で示されるアルコキシシラン化合物又はその部分加水分解縮合物
Figure 2005171011
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜8のアルキルもしくはアリール、Rは、それぞれ同一または異なって、炭素数1〜4のアルキル、nは0〜3の整数を示す。)からなる第2の封孔成分を、前記第1の封孔成分100重量部に対して、0〜100重量部加えるのが好ましい。この場合に、化学式2における前記nが、1または2であるものを用いるのが好ましい。
そして、本発明においては、25℃における粘度が50〜1000mPa・Sとなるように第2の封孔成分で調整するのがよい。
本発明によれば、浸透性および防汚性に優れた封孔処理剤が提供される。この結果、長期間に渡って処理表面を比較的きれいな状態に保つことができ、しかも衛生面においても優れた処理面を得ることができる。
また、素材との定着性に優れているために、封孔処理剤を用いた下塗り処理が不要になり、従来の工法に比べて作業性が向上して工期の短縮を図ることができる。特に、粒子径が0.1〜0.5μmである酸化チタンを用いているので、溶射皮膜の細孔中には封孔成分のみが浸透し、酸化チタンは素材表面に残ることになる。したがって、被膜層に酸化チタンが豊富に存在することになり、細かな粒子径を用いた場合に比べて、少ない酸化チタンの含有量で効果的な防汚性皮膜を形成させることができる。
そして、25℃における粘度が20〜1000mPa・Sである次の化学式2で示されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物からなる第2の封孔成分を併用することにより、得られた封孔皮膜の硬度の調整や硬化触媒を必要とすることなく硬化速度の調整を容易に行える。こうして、塗布中における酸化チタンの沈降を防ぎ、垂直面などへの塗布においていわゆる液だれをなくすことができる。また、形成された封孔皮膜のヒビ割れを改善できる。
本発明の封孔処理剤は、以下の化学式1に示される(ポリ)リン酸アルミニウムシロキサン化合物からなる第1の封孔成分に酸化チタンを配合したものであって、必要に応じて化学式2に示されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物からなる第2の封孔成分が併用される。本発明において、用いられる第1の封孔成分は、次の化学式1で示されるシロキサン化合物(a)と(ポリ)リン酸アルミニウム縮合物(b)を特定のSi/Al原子比となるように縮合して得られる。
Figure 2005171011
(式中、Rは水素、炭素数1〜18のアルキルまたはアリール、R、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキルを示す。)
この化学式1において、Rで示される炭素数1〜18のアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルなどが、アリールとしてはフェニルなどがあげられる。好ましいアルキル基は炭素数6〜12のアルキルである。R、RおよびRで示されるアルキルとしてはメチル、エチル、n−プロピルなどがあげられる。好ましいアルキルはメチルである。
(ポリ)リン酸には、オルトリン酸および二リン酸、三リン酸などオルトリン酸が2〜3個重合した形のポリリン酸が例示される。この(ポリ)リン酸と水酸化アルミニウムが縮合した形の(ポリ)リン酸アルミニウム縮合物(b)におけるP/Alの原子比は通常1〜3、好ましくは1〜1.5である。本発明においては、上記(a)と(b)を、Si/Al原子比が8〜1040、好ましくは80〜300、さらに好ましくは100〜200となるような量比で縮合させる。具体的には、特開2002−167439号公報に開示されている。
この第1の封孔成分は、常温で液体であって水やエタノールに分散可能である。その粘度は通常5〜100mPa・Sであって、やや粘稠性を有しているが、溶射皮膜細孔内部への浸透性は高い。なお、本発明における粘度は、25℃においてBrookfield型回転粘度計(BM型)を用いて、No.2ローター、60rpmで測定した値をいう。
溶射法によって素材表面に形成される溶射皮膜は10〜1000μm、通常50〜300μm程度の厚みを有しているが、膜は多孔であり、気孔率は2〜20%に及ぶ。その孔径は溶射材、溶射方法により種々であるが、多くは10μm以下で、平均孔径は0.05〜0.1μmの間にあることが多い。したがって封孔処理剤は0.05〜10μm程度の気孔内部に浸透し、素材表面に達するようなものが望ましい。
混合される酸化チタンは、光触媒活性を有するものである。本発明では、光触媒活性を有するものであれば特に制限なく使用することができるが、好適なものとして、アナターゼ型二酸化チタン、例えば、石原テクノ(株)製のST−41、テイカ(株)製のAMT600、チタン工業(株)製のPC−102などの市販品をあげることができる。光触媒活性酸化チタンは、太陽光や人工照明光などの紫外線、例えば、波長400nm以下の紫外線、好ましくは波長285nm〜380nmの光を吸収することによって励起して発生した正孔(ホール)やOHラジカルが強い酸化作用を示し、この酸化作用により抗菌性を発揮する。そして、この強い酸化作用が、空気中の汚染物質を分解、例えば、空気中の窒素酸化物を酸化して硝酸に変化させたり、窒素を二酸化窒素に、そして水素を水に化学変化させ、また、空気中の硫黄酸化物を酸化して硫酸に変化させることができる。また、紫外線により塗膜表面は超親水性になり、セルフクリーニング性(分解された物質が雨により洗い落とせる)、易洗浄性が発揮される。
用いられる酸化チタンは、溶射皮膜の微細孔に侵入する必要はなく、むしろ微細孔に侵入することなく溶射皮膜の表面に残留するのが望まれる。微細孔に侵入した酸化チタンにより生じる光触媒効果は弱く、酸化チタンが微細孔を塞ぐとその中に気泡が閉じ込められて封孔皮膜のクラックや剥離の原因となるからである。したがって、溶射皮膜の微細孔の孔径を考慮すれば、具体的には、平均粒子径が0.05μm以上、より好ましくは平均粒子径が0.1μm以上、望ましくは0.1〜0.5μmである。すなわち、微細孔の孔径は、孔径は溶射材、溶射方法により種々であるが、その多くは10μm以下で、平均孔径は0.05〜0.1μmの間にあることが多い。したがって、塗布された封孔成分は微細孔内部に浸透し、素材表面に達する。また、溶射皮膜の表面にはガラス性の封孔皮膜が形成され、酸化チタンは微細孔には浸透せずに封孔皮膜中に存在することになる。その一方で、平均粒子径が0.5μmよりも大きいと、酸化チタンの表面積が少なくなり光触媒活性を有効に利用できず、封孔被膜中の酸化チタンの含有量が比較的低い場合には十分な触媒活性が得られなくなる。しかも、被膜が白濁化して透明性も著しく低下する。なお、本発明において平均粒子径とは、体積換算のメジアン径を意味する。
本発明の封孔処理剤には、酸化チタンのみならずアルミニウムが存在するために、得られた封孔皮膜の硬度(鉛筆硬度3H以上)が高くなり、得られた封孔皮膜にクラックが入りやすい。その一方で、第2の封孔成分に酸化チタンを混合するのみでは得られた封孔皮膜が柔らかすぎる(鉛筆硬度2B程度)。しかも、第2の封孔成分のみでは硬化触媒を用いないと硬化性が低下し、塗布中に酸化チタンが沈降して均一な塗布性が得られない。特に垂直面への塗布の際には液だれが生じてしまう。そこで、本発明においては、この両者を混合して粘度を調整することにより、溶射皮膜面への浸透性、定着性、酸化チタンの塗布均一性を確保している。つまり、化学式1で示される(ポリ)リン酸アルミニウムシロキサン共縮合物100重量部に対して、化学式2で示されるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物0〜100重量部の範囲で混合し、好ましくは混合物の粘度を50〜1000mPa・Sとなるように調整する。こうすれば、硬化触媒を用いることなく、酸化チタンが均一に分散した鉛筆硬度B〜3H程度の封孔皮膜が形成される。
第2の封孔成分におけるアルコキシシランは、次の化学式2で示されるケイ素系化合物であって、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。さらに、Rは同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。また、nは0〜3の整数がよく、1または2が好ましい。nが4だとアルコシキシラン化合物とならないからである。このようなアルコキシシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニエルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン等またはこれらの混合物があげられる。
Figure 2005171011
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜8のアルキルもしくはアリール、Rは、それぞれ同一または異なって、炭素数1〜4のアルキル、nは0〜3の整数を示す。)
また、第2の封孔成分を構成するアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物は、上記のアルコキシシラン化合物に水を加えて、触媒の存在下で撹拌しながら昇温することにより、部分的に加水分解を生じさせると共に縮合させることにより得られたものである。上記アルコキシシラン化合物の加水分解および縮合の程度は粘度で規定され、その粘度は好ましくは25℃で20〜1000mPa・S、さらに好ましくは25〜1000mPa・Sである。20mPa・Sより小さいと、塗布時に拡散して十分な封孔効果が得られないことがある。一方、1000mPa・Sより大きいと微細孔へ浸透しにくくなり、やはり混合した場合の封孔効果が低下することがある。具体的には、特開2002−363539号公報に開示されている。
本発明において用いられる酸化チタンの配合量は、好ましくは第1の封孔成分100重量部、第2の封孔成分を用いた場合にはそれらの全量100重量部に対して5〜90重量部であり、30〜80重量部の範囲であるのがさらに好ましいが、酸化チタンによる光触媒作用を発揮する限りにおいて、この範囲に制限されるものではない。
溶射皮膜表面へ当該封孔処理剤を適用するには、エアガンによる吹き付けや、刷子塗りなど一般の塗料を塗布するのに用いられる方法がそのまま使用できるが、エアガンによる吹き付けが作業上も効果面でも好ましい。溶射皮膜の厚みにもよるが一般的には、塗布量は10〜200g/m、好ましくは50〜150g/m程度である。溶射皮膜表面に塗布された封孔成分は、数時間〜24時間でゆっくりと縮合・硬化する。
得られた硬化物は、透明なガラス質で、撥水性、耐薬品性の高い可撓性硬化物となる。このように本発明による封孔処理剤は、封孔剤として極めて適した性状を有しているだけでなく、金属、セラミック、セメント等への接着も良好であるので、これらの表面保護剤としても有用である。
以下、本発明の実施例、試験例に基づいて、さらに本発明について詳細に説明する。
〔実施例1〕2.0mlの酢酸に0.3gのクエン酸を溶解し、その溶液に水酸化アルミニウム粉末4.7gを分散させた。撹拌下にオルトリン酸を水酸化アルミニウムに対して等モル滴下してスラリー状のリン酸アルミニウム縮合物を得た。2000ml容の三頚コルベンに、ヘキシルトリエトキシシラン(KBE3063、信越化学(株)製)1000mlを収容し、中央の頚にシールした撹拌機を装着し、他の1頚から乾燥窒素ガスを導入して湿気を遮断した。コルベンは10℃に保たれた水浴に固定した。もう1つの頚から上記リン酸アルミニウム縮合物が総量でヘキシルトリエトキシシランの4重量%に達するまで毎分2mlずつ加えて反応させた。リン酸アルミニウムの滴下終了後もさらに1時間撹拌して、透明安定な粘稠液であるリン酸アルミニウムシロキサン共縮合物(Si/Al原子比:8/1)を得た。この液にアンモニアガスを導入して液を中和し、粒状のシリカゲルを入れて水分ならびに中和塩を吸着除去すると、粘度41mPa・S、比重1.26(20℃)のリン酸アルミニウムシロキサン共縮合物が得られた(第1の封孔成分)。そして、この第1の封孔成分100重量部に対し、光触媒活性酸化チタン(石原テクノ(株)製ST−41:平均粒子径0.5μm)を40重量部添加してペイントシェーカーに30分間かけて混練し、粘度460mPa・Sの半透明な封孔処理剤を得た。
〔実施例2〕クエン酸モノ水和物3.0gに、無定型リン酸アルミニウム3.0gを混合するとスラリー状のリン酸アルミニウム縮合物が得られた。このスラリーに水を数滴(0.25ml)加えると透明な液となった。この液を実施例1で用いたのと同様のヘキシルトリエトキシシラン1000mlを収容した2000ml容のコルベンに毎分2mlずつ滴下した。Si/Al原子比が8/1に達するまでスラリー状のリン酸アルミニウム縮合物を加えた後、さらに1時間撹拌を続けると、透明な粘稠液が得られた。アンモニアガスを通して液を中和した後、粒状シリカゲルを加え水分と中和塩を吸着除去して、比重1.130(20℃)、粘度45mPa・Sの第1の封孔成分が得られた。この第1の封孔成分100重量部に対し、光触媒活性酸化チタン(チタン工業(株)製PC102:平均粒子径0.1μm)を30重量部添加してペイントシェーカーに30分間かけて混練し、粘度480mPa・Sのほぼ透明な封孔処理剤を得た。
〔実施例3〕トリポリリン酸ナトリウム1モルに対して3モルの水酸化アルミニウムを加え、さらにクエン酸1.5モルと少々の硫酸を加えて、押し出し機で練り込んだ。これに1lのエチルアルコールを加えると水を分離して、ペースト状のトリポリリン酸アルミニウム縮合物が得られた。ジャケット、撹拌機付きの50lステンレス製の釜に40kgのデシルトリメトキシシランを入れ、乾燥した窒素ガスを封入した後撹拌しながら、得られたトリポリリン酸アルミニウム共縮合物800gを、約3時間掛けて滴下し、ガラス窓から液が透明に成るのを確かめた。透明に仕上がった時点で20gのシリカゲルを加え、過剰な中和塩を吸着除去すると比重1.26、粘度42mPa・Sのポリリン酸アルミニウムシロキサン共縮合物(Si/Al原子比:170/1)が得られた(第1の封孔成分)。
これとは別に、撹拌機、加熱ジャケット、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を取り付けた1リットルの4ツ口フラスコにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:KBM13)259重量部、ジフェニルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製:KBM202)124重量部、メタノール50重量部およびテトラ−n−ブトキシチタン(日本曹達(株)製:B−1)0.3重量部の混合液を仕込んだ。
次に、液温を20℃に維持しながら、イオン交換水37重量部を30分間にわたり滴下した。その後、液温を徐々に90℃まで昇温して加水分解縮合にて発生したメタノール及び希釈液のメタノールの留出がなくなるまで抜き出し、上記のアルコキシシラン化合物とその部分加水分解縮合物からなる粘度110mPa・S(25℃)の縮合液を得た(第2の封孔成分)。
この第2の封孔成分を上記第1の封孔成分100重量部に対して20重量部混合し、さらに光触媒活性酸化チタン(チタン工業(株)製PC102:平均粒子径0.1μm)を40重量部添加してペイントシェーカーに30分間かけて混練して、粘度530mPa・Sのほぼ透明な封孔処理剤を得た。
〔実施例4〕実施例1において得られた第1の封孔成分100重量部に対し、光触媒活性酸化チタン(石原テクノ(株)製ST−01:平均粒子径0.007μm)を40重量部添加してペイントシェーカーに30分間かけて混練し、粘度780mPa・Sの透明な封孔処理剤を得た。
〔実施例5〕実施例1において得られた第1の封孔成分100重量部に対し、光触媒活性酸化チタン(石原テクノ(株)製ST−21:平均粒子径0.02μm)を40重量部添加してペイントシェーカーに30分間かけて混練し、粘度610mPa・Sの透明な封孔処理剤を得た。
〔試験例1〕溶射皮膜の封孔処理試験
亜鉛溶射した5cm×10cmの鋼板(新潟メタリコン(株)製)の溶射皮膜に、実施例1〜3で得られた封孔処理剤を塗布し、その封孔効果を評価した。比較のため、封孔処理剤として用いられているエポキシ樹脂塗料(日本ペイント(株)製、ハイポン30マスティックプライマー)を用いて同様の実験を行った。なお、塗布に際して、実施例の封孔処理剤はエタノールにて約40mPa・Sに希釈し、エポキシ樹脂塗料はハイポンエポキシシンナー(日本ペイント(株)製)にて約40mPa・Sに希釈した。
素材表面処理:前処理としてブラスト処理(グリット100#)
溶射方法:酸素−アセチレンガスを用いるフレーム溶射
溶射材:亜鉛溶射
膜厚:70μm
塗布方法:エアスプレーにより、溶射面から20cm離れたところから塗布
塗布量:35g/m
硬化条件:25℃で10時間放置
〔評価試験〕
(1)耐食性
耐食塩水試験JIS−H8300の溶射皮膜の耐食性試験に準じ、試験片を40℃、3%食塩水に72時間浸漬して、塗布面の膨れ、剥がれ、赤錆の有無、程度を目視で観察した。
(2)防浸透性
フェロシアン化カリウム発色試験酸の浸透性を評価するため、蒸留水にフェロシアン化カリウムを溶かして3%溶液を作り、硫酸を加えてpHを4.5〜5.0に調製した。これに界面活性剤オクタデシルモノメチルアンモニウムサルフェートを0.05%となるよう加え、室温下、試験片を12時間毎に60分間浸漬して引き上げ、この操作を6回繰り返した。その間にフェロシアン化カリと鉄錆の反応によるプルシアンブルーの発色を観察した。
(3)皮膜硬さ
鉛筆の先端を尖らせて、垂直に1kgの荷重で押し当てる。荷重を加えたまま鉛筆を引っ張って、塗膜に傷が付くかを試験して硬度を判定した。5Hで傷がつけば、鉛筆硬度は4Hと判定する。
(4)耐候性
JIS A 5703に準じて評価した。すなわち、上記で封孔処理された鋼板を、サンシャインウェザーメータで500時間照射し、照射前後の状態を目視にて比べて、「〇」(変化が認められない)、「△」(僅かに光沢が低下した)、「×」(明らかな光沢の低下、クラック、チョーキング等が観察された)の3段階で評価した。
(5)防汚性
防汚性に対する評価として屋外暴露を行い、暴露後の表面明度差ΔLを求めた。表面明度差ΔLは、色彩色差計(ミノルタ社製、CR−300)を用いて5ヶ所測定し、その平均値を算出した。なお、防汚性の評価には、亜鉛溶射鋼板に、下塗りとしてポリウレタン塗料(白色)を塗装し、その上塗りとして上記封孔処理剤を約20μmの膜厚に塗装したものを用いた。そして、このものを4月〜8月の4ヶ月間南向き45度で屋外にて暴露した。
これらの結果を表1ならびに図1に示した。
Figure 2005171011
〔試験例2〕封孔皮膜の防汚性評価
実施例1および実施例4ならびに実施例5で得られた封孔処理剤を使って、酸化チタン粒子径の違いによる防汚性について評価した。試験は、試験例1に記載された方法と同様の方法で行った。その結果を図2に示した。
試験例1、2の結果、酸化チタン粒子の粒子径が大きくなるにつれて、被膜の透明性が低下した。また、粒子径が0.1μmより小さなものの方が光触媒作用が大きくなると予想されるところ、本実施例では0.1μmより小さな粒子径のものを用いた方が防汚性は低下する傾向にあり、酸化チタン粒子が微細孔内に侵入し、その効果が低下したことを窺わせる結果となった。
防汚性試験の結果を示す図である。 酸化チタンの粒子径と防汚性との関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 次の化学式1
    Figure 2005171011
    (式中、Rは水素、炭素数1〜18のアルキルまたはアリール、R、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキルを示す。)で示されるシロキサン化合物(a)と、(ポリ)リン酸と水酸化アルミニウムがP/Al原子比1〜3で縮合した形の(ポリ)リン酸アルミニウム縮合物(b)を、(a)中のSiと(b)中のAlのSi/Al原子比を8〜1040の量比で反応させて得られる(ポリ)リン酸アルミニウムシロキサン共縮合物からなる第1の封孔成分と光触媒活性酸化チタンを含有することを特徴とする防汚性封孔処理剤。
  2. Si/Al原子比が80〜300である請求項1に記載の防汚性封孔処理剤。
  3. 粘度が5〜100mPa・Sである(ポリ)リン酸アルミニウムシロキサン共縮合物である請求項1または2のいずれかに記載の防汚性封孔処理剤。
  4. 酸化チタンの平均粒子径が、0.1〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載に防汚性封孔処理剤。
  5. さらに、25℃における粘度が20〜1000mPa・Sである次の化学式2で示されるアルコキシシラン化合物又はその部分加水分解縮合物
    Figure 2005171011
    (式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜8のアルキルもしくはアリール、Rは、それぞれ同一または異なって、炭素数1〜4のアルキル、nは0〜3の整数を示す。)からなる第2の封孔成分を、前記第1の封孔成分100重量部に対して、0〜100重量部加えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防汚性封孔処理剤。
  6. 化学式2における前記nが、1または2であることを特徴とする請求項5に記載の防汚性封孔処理剤。
  7. 25℃における粘度が、50〜1000mPa・Sであることを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の防汚性封孔処理剤。

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