JP2005170912A - 置換ビニルエーテル誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
置換ビニルエーテル類の二重結合炭素原子に置換基として電子吸引性基を有し、該結合部分が電子不足の状態である置換ビニルエーテル類からエーテル交換法により置換ビニルエーテル誘導体を製造する方法を提供する。
【解決手段】
炭素−炭素2重結合を形成する炭素原子に少なくとも1個の電子吸引性基を置換基として有する置換ビニルエーテル類とアルコール類又はフェノール類とを、対アニオンを有し、且つ該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下である周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物を含む触媒の存在下、エーテル交換反応させることを特徴とする置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
【選択図】 なし
置換ビニルエーテル類の二重結合炭素原子に置換基として電子吸引性基を有し、該結合部分が電子不足の状態である置換ビニルエーテル類からエーテル交換法により置換ビニルエーテル誘導体を製造する方法を提供する。
【解決手段】
炭素−炭素2重結合を形成する炭素原子に少なくとも1個の電子吸引性基を置換基として有する置換ビニルエーテル類とアルコール類又はフェノール類とを、対アニオンを有し、且つ該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下である周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物を含む触媒の存在下、エーテル交換反応させることを特徴とする置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、置換ビニルエーテル類とアルコール類などとのエーテル交換反応により置換ビニルエーテル誘導体を製造する方法に関する。
置換ビニルエーテル誘導体は、種々の有機化合物合成上の重要な中間体として知られている。この置換ビニルエーテル誘導体の製造方法のひとつして、置換ビニルエーテル類のエーテル部分の置換基を交換する、いわゆるエーテル交換反応による製造方法が知られている。例えば、グリシドールとビニルエーテルをパラジウム錯体触媒の存在下反応させ、グリシジルビニルエーテルを製造する方法(特許文献1参照)、酢酸パラジウム−1,10−フェナントロリン触媒を用いてステロイドをビニルエーテル化する方法(非特許文献1参照)、酢酸パラジウムの2,2’−ビピリジル、又は1,10−フェナントロリン等の配位化合物を用い、単糖類をビニルエーテルによりビニル化する方法(非特許文献2参照)、更には、酢酸パラジウムの存在下、アリルアルコール類とビニルエーテルからテトラヒドロフラン誘導体を製造する方法(非特許文献3参照)、パラジウムトリフルオロアセテートの2,2’−ビピリジル配位化合物を用いてエーテル交換する方法(非特許文献4参照)などが挙げられる。
これらのエーテル交換反応においては、主に、パラジウムアセテート、パラジウムトリフルオロアセテート等の酢酸パラジウム類と 2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の窒素を含む2座配位子を触媒として用い、場合によっては塩基存在下反応が行われている。
また、このようなエーテル交換方法は、合成容易な置換ビニルエーテル類の原料から種々の置換基を持つ誘導体へ容易に変換できる点で有用である。しかしながら、本発明者らが置換ビニルエーテル類のオレフィン性二重結合部分の電子状態が電子不足のもの、即ち、オレフィン性二重結合部分の炭素原子に置換基として電子吸引性基を持つ置換ビニルエーテル類を反応原料として用いて同様に反応を行ったところ、ほとんど反応が進行せず、原料として適用する置換ビニルエーテル類には限界があることが判明した。
特開平1−272577号公報
J.Org.Chem.1997,62,1560
Org.Lett.2002,4,407
Bull.Chem.Soc.Jpn.1989,62,2050
J.Org.Chem.2003,68,5225
また、このようなエーテル交換方法は、合成容易な置換ビニルエーテル類の原料から種々の置換基を持つ誘導体へ容易に変換できる点で有用である。しかしながら、本発明者らが置換ビニルエーテル類のオレフィン性二重結合部分の電子状態が電子不足のもの、即ち、オレフィン性二重結合部分の炭素原子に置換基として電子吸引性基を持つ置換ビニルエーテル類を反応原料として用いて同様に反応を行ったところ、ほとんど反応が進行せず、原料として適用する置換ビニルエーテル類には限界があることが判明した。
本発明は、置換ビニルエーテル類のオレフィン性二重結合を形成する炭素原子に置換基として電子吸引性基を有し、該オレフィン性結合部分の電子状態が電子不足である置換ビニルエーテル類を原料として用い、エーテル交換法により効率良く置換ビニルエーテル誘導体を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、エーテル交換反応の触媒として、周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物であって、対アニオンとして該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下となるものを有する化合物を用いることにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、炭素−炭素2重結合を形成する炭素原子に少なくとも1個の電子吸引性基を置換基として有する置換ビニルエーテル類とアルコール類又はフェノール類とを、対アニオンを有し、且つ該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下である周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物を含む触媒の存在下、エーテル交換反応させることを特徴とする置換ビニルエーテル誘導体の製造方法に存する。
すなわち、本発明の要旨は、炭素−炭素2重結合を形成する炭素原子に少なくとも1個の電子吸引性基を置換基として有する置換ビニルエーテル類とアルコール類又はフェノール類とを、対アニオンを有し、且つ該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下である周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物を含む触媒の存在下、エーテル交換反応させることを特徴とする置換ビニルエーテル誘導体の製造方法に存する。
本発明の好適な態様として、該置換ビニルエーテル類が、2−及び/又は3−アルコキシ置換アクリル酸及び/又はそのエステルであること;周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物が、ハロゲンイオン、硝酸イオン及び硫酸イオンから選ばれるアニオン、好ましくはハロゲンイオンを含有するものであること;周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物を構成する金属原子がパラジウム及び/又はイリジウムであること、及びアルコール類が、炭素数1〜20の脂肪族アルコール類であることを挙げることが出来る。
本発明方法によれば、比較的容易に入手し得る二重結合部分に電子吸引性基を有する置換ビニルエーテル類から、エーテル交換反応により高選択率で所望の置換ビニルエーテル誘導体を製造することが出来る。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明する。
本発明におけるエーテル交換反応とは下記の一般式で示される反応で、原料である置換ビニルエーテル類のエーテル結合を構成する基(R4)を、アルコールを構成する基(R5)と交換させる反応である。
本発明におけるエーテル交換反応とは下記の一般式で示される反応で、原料である置換ビニルエーテル類のエーテル結合を構成する基(R4)を、アルコールを構成する基(R5)と交換させる反応である。
本発明の原料として使用する置換ビニルエーテル類としては、以下の一般式(I)で示すことが出来る。
一般式(1)中、置換基R1〜R3の中で少なくとも1つは電子吸引性基である。ここにいう電子吸引性基としては、例えば、「化学の領域増刊122 薬物の構造活性相関、96.103頁、南江堂刊」に記載されているようなものが挙げられるが、より具体的には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロアルキルスルホニル基、ハロアリールスルホニル基等が挙げられる。これらの中、シアノ基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、より好ましくはカルボキシル基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が挙げられ、特に好ましくはアルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
これらの電子吸引性基におけるアルキル基としては、メチル基;エチル基;n−、i−プロピル基;n−、i−、t−ブチル基;n−ペンチル基;n−ヘキシル基;n−ヘプチル基;シクロヘキシル基;ベンジル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、これらの中メチル基、エチル基、n−ヘプチル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、これらの中フェニル基が好ましい。
置換基R1〜R3の中、電子吸引性基以外の他の置換基としては、同じでも異なっていてもよく、具体的には、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、及び置換されていてもよいアリール基等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基;エチル基;n−、i−プロピル基;n−、i−、t−ブチル基;n−ペンチル基;n−ヘキシル基;n−ヘプチル基;シクロヘキシル基;ベンジル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基;ブテニル基;シクロヘキセニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられ、アルキニル基としては、プロパルギル基;ブテニル基等の炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
また、これらの基が更に有し得る置換基としては、エーテル交換反応に不活性な基であれば特に制限されないが、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数4〜12の複素環オキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜14のアリールチオ基、炭素数4〜12の複素環チオ基等の置換基が挙げられ、これらの置換基、例えばハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等を選択することにより上記置換基が電子吸引性置換基の範疇に入る場合もある。
これらの置換基におけるアルキル基及びアリール基としては、具体的には上記の電子吸引性基におけるアルキル基及びアリール基に例示した基と同種の基が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基及びアリール基としては、具体的には上記の電子吸引性基におけるアルキル基及びアリール基に例示した基と同種の基が挙げられる。
更に、置換基R1〜R3の中、R1とR2,又はR2とR3がそれぞれ結合して環を形成していてもよく、このとき、R1とR2とで形成された環はシクロアルケン環骨格を有することとなり、R2とR3とで形成された環はシクロアルカン環骨格又はシクロアルケン環骨格を有することとなる。形成される環は、5〜12員環であり、より好ましくは5又は6員環である。上記シクロアルカン環骨格又はシクロアルケン環骨格を有する環としてはシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等の他、それらを構成する基が電子吸引性基を有する場合である、シクロペンタノン環、シクロヘキサノン環等のシクロアルカノン環;シクロペンテノン環、シクロヘキセノン環等のシクロアルケノン環;ブチロラクトン環等のラクトン環、カプロラクタム環等のラクタム環;無水マレイン酸等の環状酸無水物;マレイミド等の環状イミド等が例示できる。
置換基R4としては、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基;エチル基;n−、i−プロピル基;n−、i−、t−ブチル基;n−ペンチル基;n−ヘキシル基;n−ヘプチル基;シクロヘキシル基;ベンジル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基;ブテニル基;シクロヘキセニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられ、アルキニル基としては、プロパルギル基;ブテニル基等の炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
また、これらの基が更に有し得る置換基としては、エーテル交換反応に不活性な基であれば特に制限されないが、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数4〜12の複素環オキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜14のアリールチオ基、炭素数4〜12の複素環チオ基等の置換基が挙げられる。これらのうち、R4として好ましくは置換されていてもよいアルキル基であり、より好ましくは無置換のアルキル基であり、特に好ましくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基である。
原料の置換ビニルエーテル類の好ましい化合物としては、上記一般式(I)において、具体的には、3−メトキシアクリル酸、3−メトキシアクリル酸メチルエステル、3−エトキシアクリル酸エチルエステル、3−メトキシアクリルニトリル、3−エトキシ−2−メチルアクロレイン、3−メトキシ−2−メトキシメチル−アクリル酸メチルエステル、
4−メトキシ−3−ブテン−2−オン、3−エトキシ−2−シクロヘキセノン、3−メトキシ−2−シクロペンテノン等が挙げられる。これらの中でも3−アルコキシ置換アクリル酸及び/又はそのエステルが好ましく、特には3−メトキシアクリル酸メチルエステル又は3−エトキシアクリル酸エチルエステルが好ましい。
4−メトキシ−3−ブテン−2−オン、3−エトキシ−2−シクロヘキセノン、3−メトキシ−2−シクロペンテノン等が挙げられる。これらの中でも3−アルコキシ置換アクリル酸及び/又はそのエステルが好ましく、特には3−メトキシアクリル酸メチルエステル又は3−エトキシアクリル酸エチルエステルが好ましい。
本発明におけるエーテル交換反応に使用するフェノール類及びアルコール類としては、特に制限はない。アルコール類としては、通常、炭素数1以上、炭素数20以下のアルコールが使用され、このうち1価のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等の炭素数1〜20の飽和脂肪族アルコール類、アリルアルコール、クロチルアルコール等の炭素数3〜20の不飽和脂肪族アルコール類、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等の脂環族アルコール類、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シンナミルアルコール等の芳香族アルコール類などが例示される。これらの中、好ましくは芳香族アルコールである。
また、一方、アリルアルコール類を用いた場合には、アリルビニルエーテル類が合成できることとなり、これらはクライゼン転位反応によりアルデヒド又はケトン類へ誘導可能であるため、精密化学品の原料合成という点で特に有用である。
また、一方、アリルアルコール類を用いた場合には、アリルビニルエーテル類が合成できることとなり、これらはクライゼン転位反応によりアルデヒド又はケトン類へ誘導可能であるため、精密化学品の原料合成という点で特に有用である。
エーテル交換反応に使用するフェノール類としては、フェノール、メチルフェノール、エチルフェノール、p−t−ブチルフェノール等のフェノール及びアルキル置換フェノール類などが例示される。これらの中、フェノールが好ましい。
原料の置換ビニルエーテル類とアルコール類又はフェノール類との使用割合は特に制限されず、理論的には、通常、等モル量以上用いればよいが、本反応は平衡反応であるので、いずれかを他方より過剰に用いるのが好ましい。より好ましくは、いずれかを他方の2倍モル量以上、さらに好ましくは5倍モル量以上用いる。また、本反応原料はいずれも、通常、液体であるため、溶媒をかねて用いることもできることから、使用量比の上限としては、特に制限されないが、コスト及び反応効率の観点等から、通常、100モル倍以下、好ましくは75モル倍以下、さらに好ましくは50倍モル以下である。
本発明における触媒としては、周期表第9族及び第10族金属から選ばれる金属の化合物であって、所定の対アニオンを有する化合物を含有する触媒を用いることが必要である。金属としては、第9族及び第10族金属の中でもパラジウム又はイリジウムが好ましく、特にパラジウムが好ましい。パラジウム化合物としては、パラジウムの価数が2価のものが空気中で安定であり取扱い易い。
上記金属を含む化合物は、対アニオンとして該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下となるものを有する化合物である。対アニオンとして、具体的には、硫酸イオン(SO4 −)、硝酸イオン(NO3 −)、ハロゲンイオン(Cl−、Br−など)等が挙げられ、中でもハロゲンイオンが好適である。
上記金属を含む化合物は、対アニオンとして該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下となるものを有する化合物である。対アニオンとして、具体的には、硫酸イオン(SO4 −)、硝酸イオン(NO3 −)、ハロゲンイオン(Cl−、Br−など)等が挙げられ、中でもハロゲンイオンが好適である。
金属化合物、特にパラジウム化合物として、具体的には、Na2PdCl4、Li2PdCl4等のパラジウム塩、PdCl2(CH3CN)2、PdCl2(PhCN)2等のパラジウム錯体が挙げられる。
対アニオンとしてハロゲンを含有する金属化合物を触媒として用いると、酢酸イオン(pKa=4.76)やトリフルオロ酢酸イオン(pKa=0.2)を含む金属化合物を触媒とする従来法では加熱を必要としたのに比べ、室温などの温和な条件で反応が進行するので好ましい。
対アニオンとしてハロゲンを含有する金属化合物を触媒として用いると、酢酸イオン(pKa=4.76)やトリフルオロ酢酸イオン(pKa=0.2)を含む金属化合物を触媒とする従来法では加熱を必要としたのに比べ、室温などの温和な条件で反応が進行するので好ましい。
触媒の濃度は、金属化合物の種類によっても異なるが、パラジウム化合物を使用する場合、全反応液重量に対して、[Pd]として通常0.001wt%以上、好ましくは0.01wt%以上、また通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下の範囲から選ぶことができる。
また、この反応系では、従来必要と考えられていた2座配位子を存在させても良いが、なくても反応はスムーズに進行するため、2座配位子はない方が好ましい。
また、この反応系では、従来必要と考えられていた2座配位子を存在させても良いが、なくても反応はスムーズに進行するため、2座配位子はない方が好ましい。
反応温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、通常、250℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以下である。反応温度がこれより低すぎると反応が十分進行せず、高すぎると原料置換ビニルエーテル類の重合などの副反応を生ずるおそれがあり好ましくない。
反応圧力は特に制限されず、常圧でも反応は十分に進行する。反応原料を含め溶媒の沸点以上の反応で行う時は、加圧が必要で、溶媒の自圧でもいいし、不活性ガスで加圧してもよい。
反応時間は、原料及び触媒能によっても異なるが、通常数分〜数十時間である。本反応では原料が溶媒を兼ねることができるので、他の有機溶媒を必要としないが、場合により不活性溶媒を使用してもよく、その場合反応後の生成物との分離等の操作が煩雑になる。溶媒としては、ヘキサン、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類等が使用出来る。
反応圧力は特に制限されず、常圧でも反応は十分に進行する。反応原料を含め溶媒の沸点以上の反応で行う時は、加圧が必要で、溶媒の自圧でもいいし、不活性ガスで加圧してもよい。
反応時間は、原料及び触媒能によっても異なるが、通常数分〜数十時間である。本反応では原料が溶媒を兼ねることができるので、他の有機溶媒を必要としないが、場合により不活性溶媒を使用してもよく、その場合反応後の生成物との分離等の操作が煩雑になる。溶媒としては、ヘキサン、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類等が使用出来る。
反応後の反応液から目的生成物の分離は、一般の操作方法、例えば、蒸留分離、抽出分離、晶析分離、沈降分離、濾別分離などを適宜組み合わせて用いることができる。反応後の反応液が加圧状態にある場合には、圧力をある程度解放し、低圧化させてもよい。
また、反応液に懸濁した触媒成分は、分離・回収して再賦活して使用することが出来るが、場合により目的生成物を分離した後の触媒成分を含有する反応液をそのまま再使用することも出来る。
また、反応液に懸濁した触媒成分は、分離・回収して再賦活して使用することが出来るが、場合により目的生成物を分離した後の触媒成分を含有する反応液をそのまま再使用することも出来る。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
3−メトキシメチルアクリレート(20mmol)のベンジルアルコール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウム[PdCl2(CH3CN)2]を加え、室温で攪拌した。180分後、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3−メトキシメチルアクリレートの転化率は89%、3−ベンジルオキシメチルアクリレートの選択率98%であった。
3−メトキシメチルアクリレート(20mmol)のベンジルアルコール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウム[PdCl2(CH3CN)2]を加え、室温で攪拌した。180分後、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3−メトキシメチルアクリレートの転化率は89%、3−ベンジルオキシメチルアクリレートの選択率98%であった。
実施例2〜4
ベンジルアルコールの代わりに表1に記載の他のアルコールを用い、反応時間を変更した以外は、実施例1に記載の方法と同様にして反応を行った。その結果を表1に示す。
ベンジルアルコールの代わりに表1に記載の他のアルコールを用い、反応時間を変更した以外は、実施例1に記載の方法と同様にして反応を行った。その結果を表1に示す。
比較例1
3−メトキシメチルアクリレート(20mmol)の1−ブタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのトリフルオロ酢酸パラジウム、1.10−フェナントロリン(0.1mmol)、及びトリエチルアミンを加え、室温で攪拌した。2時間後反応生成物は確認されなかった。
3−メトキシメチルアクリレート(20mmol)の1−ブタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのトリフルオロ酢酸パラジウム、1.10−フェナントロリン(0.1mmol)、及びトリエチルアミンを加え、室温で攪拌した。2時間後反応生成物は確認されなかった。
実施例5
ビスアセトニトリルジクロロパラジウムの代わりに、塩化イリジウム(III)3水和物を使用した他は実施例3記載の方法と同様にして反応を行った。24時間後、3−メトキシメチルアクリレートの転化率2%で、選択性95%であった。蒸留は行わなかった。
ビスアセトニトリルジクロロパラジウムの代わりに、塩化イリジウム(III)3水和物を使用した他は実施例3記載の方法と同様にして反応を行った。24時間後、3−メトキシメチルアクリレートの転化率2%で、選択性95%であった。蒸留は行わなかった。
実施例6〜8及び比較例2,3
ビスアセトニトリルジクロロパラジウムの代わりに、表2に記載の種々のパラジウム化合物を使用した以外は、実施例2記載の方法と同様にして反応を行った。その結果を表2に示す。
ビスアセトニトリルジクロロパラジウムの代わりに、表2に記載の種々のパラジウム化合物を使用した以外は、実施例2記載の方法と同様にして反応を行った。その結果を表2に示す。
実施例9
1−ブタノールを2mmol用いた他は、実施例2に記載の方法で反応を行った。反応時間5分で転化率90%(1−ブタノールを基準)、選択率96%であった。
1−ブタノールを2mmol用いた他は、実施例2に記載の方法で反応を行った。反応時間5分で転化率90%(1−ブタノールを基準)、選択率96%であった。
実施例10
3−エトキシエチルアクリレート(20mmol:トランス/シス=2.7)のメタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、室温で攪拌した。表3に記載の所定時間経過後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果を表3に示す。シス体の方が反応が早いことがわかる。180分後、活性炭1gを添加して1分攪拌した後、濾別して濾液を蒸留し、3−メトキシエチルアクリレートを単離し、収率86%で得た。この時、得られた3−メトキシエチルアクリレートはすべてトランス体であった。
3−エトキシエチルアクリレート(20mmol:トランス/シス=2.7)のメタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、室温で攪拌した。表3に記載の所定時間経過後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果を表3に示す。シス体の方が反応が早いことがわかる。180分後、活性炭1gを添加して1分攪拌した後、濾別して濾液を蒸留し、3−メトキシエチルアクリレートを単離し、収率86%で得た。この時、得られた3−メトキシエチルアクリレートはすべてトランス体であった。
実施例11
3−メトキシアクリロニトリル(50mmol:トランス/シス=1.7)のエタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、室温で攪拌した。表4に記載の所定時間経過後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果を表4に示す。トランス体よりシス体の反応が早いことがわかる。36時間後、活性炭1gを添加して1分攪拌した後、濾別して濾液を蒸留し、3−エトキシアクリロニトリルを単離し、収率93%で得た。
この時、得られた3−エトキシアクリロニトリルは、トランス/シス=1.7の混合物で原料の立体構造を維持していた。
3−メトキシアクリロニトリル(50mmol:トランス/シス=1.7)のエタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、室温で攪拌した。表4に記載の所定時間経過後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果を表4に示す。トランス体よりシス体の反応が早いことがわかる。36時間後、活性炭1gを添加して1分攪拌した後、濾別して濾液を蒸留し、3−エトキシアクリロニトリルを単離し、収率93%で得た。
この時、得られた3−エトキシアクリロニトリルは、トランス/シス=1.7の混合物で原料の立体構造を維持していた。
実施例12
3−エトキシ−2−シクロヘキセン−1−オン(20mmol)のn−ブタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、15mmHgの減圧下、室温で攪拌した。6時間後、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3−エトキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの転化率は99%、3−n−ブトキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの選択率89%であった。
3−エトキシ−2−シクロヘキセン−1−オン(20mmol)のn−ブタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、15mmHgの減圧下、室温で攪拌した。6時間後、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3−エトキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの転化率は99%、3−n−ブトキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの選択率89%であった。
実施例13
4−メトキシ−3−ブテン−2−オン(20mmol)のn−ブタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、15mmHgの減圧下、室温で攪拌した。3時間後、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、4−メトキシ−3−ブテン−2−オンの転化率は98%、4−n−ブトキシ−3−ブテン−2−オンの選択率83%であった。
4−メトキシ−3−ブテン−2−オン(20mmol)のn−ブタノール(500mmol)溶液に、0.1mmolのビスアセトニトリルジクロロパラジウムを加え、15mmHgの減圧下、室温で攪拌した。3時間後、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、4−メトキシ−3−ブテン−2−オンの転化率は98%、4−n−ブトキシ−3−ブテン−2−オンの選択率83%であった。
Claims (6)
- 炭素−炭素2重結合を形成する炭素原子に少なくとも1個の電子吸引性基を置換基として有する置換ビニルエーテル類とアルコール類又はフェノール類とを、対アニオンを有し、且つ該対アニオンがプロトン化された場合のプロトンの電離定数(pKa)が0以下である周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物を含む触媒の存在下、エーテル交換反応させることを特徴とする置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
- 該置換ビニルエーテル類が、2−及び/又は3−アルコキシ置換アクリル酸及び/又はそのエステルであることを特徴とする請求項1に記載の置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
- 周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物が、ハロゲンイオン、硝酸イオン及び硫酸イオンから選ばれるアニオンを含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
- 周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物が、ハロゲンイオンを含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
- 周期表第9族及び/又は第10族金属の化合物を構成する金属原子がパラジウム及び/又はイリジウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
- アルコール類が、炭素数1〜20のアルコール類であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の置換ビニルエーテル誘導体の製造方法。
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EP2339684A2 (en) | 2005-06-10 | 2011-06-29 | Mitsubishi Chemical Corporation | Nonaqueous electrolytic solution, nonaqueous electrolyte secondary cell, and carbonate compounds |
-
2003
- 2003-12-15 JP JP2003417122A patent/JP2005170912A/ja active Pending
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EP2485314A1 (en) | 2005-06-10 | 2012-08-08 | Mitsubishi Chemical Corporation | Nonaqueous electrolytic solution and nonaqueous electrolyte secondary cell |
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