JP2005170801A - 被覆ステント - Google Patents

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Abstract

【課題】 留置部位で所定の期間にわたって局所的に血管再狭窄防止薬を放出させ、再狭窄率の低減化を図ることが可能な被覆ステントを提供する。
【解決手段】 シランカップリング剤及び/又はガスプラズマにより前処理されたステント基材の外周面及び/又は内周面が、血管再狭窄防止薬、特に、α2−マクログロブリンを不活性化する化合物を含むポリアミドエラストマーで被覆され、さらにトップコート層を有してなる被覆ステントおよびその製造方法。

Description

本発明は、血管等の生体内に生じた狭窄部の改善に使用されるステントに関し、具体的には、ステントの外周面及び/又は内周面が血管再狭窄防止薬、特に、α2−マクログロブリンを不活性化する化合物を含んだポリマーで被覆されて、血管等の再狭窄を有効に防止する被覆ステントおよびその製造方法に関する。
狭心症や心筋梗塞など冠動脈の狭窄が原因となって引き起こされる虚血性心疾患の治療方法として、侵襲度の高い冠動脈バイパス手術に代わり、冠動脈インターベンションが近年急速に普及している。
代表的な冠動脈インターベンションとして、先端に膨張可能なバルーンを設けたカテーテルを、冠動脈の狭窄部位で膨張させて血管内腔を拡張する、経皮経管的冠動脈形成術(PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)がある。しかし、PTCAによる治療のみでは、術後、約40%という高頻度で再狭窄が発生しており、再治療が必要なことから、患者に与える精神的及び肉体的苦痛が大きかった。
この問題を解決するため、近年、金属やプラスチック製の、コイル又は網からなるステントと呼ばれる略円筒状の支持体を、拡張した狭窄部位に留置する、いわゆるステント留置術が広く行われるようになり、その結果、血管再狭窄の発生率は半減した。しかし、ステント留置術では、弾性反跳(elastic recoil)や血管再構築(vascular remodeling)は防止できるものの、慢性期における血管再狭窄を完全に防ぐことは難しく、ステント内再狭窄(ISR:In-Stent Restenosis)が術後、約20%の確率で生じており、特に糖尿病患者においてISRの発生頻度が高いことが知られている。前記したISRは、ステント留置によって血管壁が炎症を起こし、その結果、平滑筋細胞が内膜側に遊走して内膜が過形成されることが原因で発生すると考えられている。
そこで、近年では、ステントに薬剤を担持させることによって、留置部位で所定の期間にわたって局所的に薬剤を放出させ、再狭窄率の低減化を図る試みが提案されている。トラニラスト、パクリタキセル、プロブコール、シロスタゾール、ラパマイシンなどの薬剤の有用性が示唆されており、それらをさまざまなポリマーとともにコーティングするステントも報告されているが、いまだ十分に満足されるものにまでは至っていない。
また、血管再狭窄防止薬として、α1−プロテアーゼインヒビターまたはα2−マクログロブリンを不活性化する化合物を使用するステントも提案されている(特許文献1および2)。しかしながら、このような薬剤においても、生体内へのステントの送達ならびに拡張等の運動においても薬剤を確実に保持し、生体内においてはステントの留置部にて薬剤を局所へ安定して放出できるステントについては、詳細なる検討が未だ行われていない。
WO03/043656 特開2003−221347号公報
本発明は上記事情に鑑み、再狭窄防止剤として、特にα2−マクログロブリンを不活性化する物質を使用するステントであって、留置部位で所定の期間にわたって局所的に薬剤を放出させ、再狭窄率の低減化を図ることが可能な被覆ステントを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々鋭意検討した結果、再狭窄防止剤、特にα2−マクログロブリンを不活性化する化合物を含んだポリアミドエラスマーで、前処理されたステント外周面及び/又は内周面を被覆することにより、所期の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は前処理されたステント基材の外周面及び/又は内周面が、血管再狭窄防止薬を含むポリアミドエラストマーで被覆され、さらにトップコート層を有してなる被覆ステントである。
また、本発明は、以下の工程を含む被覆ステントの製造方法である。
a)基材の外周面及び/又は内周面に、シランカップリング剤溶液の塗布及び/又はガスプラズマ照射による前処理を施す工程;
b)前処理された基材の外周面及び/又は内周面に、ポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を含む混合物溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程;および
c)前記ポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を被覆した基材の外周面及び/又は内周面に、トップコート層を形成する溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程。
さらに、以下の工程を含む被覆ステントの製造方法である。
a)基材の外周面及び/又は内周面に、シランカップリング剤溶液の塗布及び/又はガスプラズマ照射による前処理を施す工程;
b)前処理された基材の外周面及び/又は内周面に、血管再狭窄防止薬を含まないポリアミドエラストマー溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥し、さらにポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を含む混合物溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程;および
c)前記ポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を被覆した基材の外周面及び/又は内周面に、トップコート層を形成する溶液を塗布した後、該
本発明の被覆ステントは、血管再狭窄防止薬、特にα2−マクログロブリンを不活性化する化合物を含むポリアミドエラストマーで、前処理したステント基材の外周面及び/又は内周面が被覆されたものであり、ステント留置後の再狭窄を有効に防止することができる。
本発明の被覆ステントは、管状基材と該基材に被覆される被覆層とからなる。ステントとは血管の狭窄部を拡張した後にその血管内径を保持するものであって、一般に円筒形で、スロット、卵形、円形または他の形状の通路が穿孔されている。また、ステントはらせん状に巻いた、または曲がりくねったワイヤから構成されていてもよい。さらに、ステントは平らで穿孔した構造体を巻いてチューブ状又は円筒状構造体を形成したものでもよく、これを織り、巻き、穴を開け、エッチング又は切って通路を形成したものでもよい。ステントには、拡張機構として自己拡張型あるいはバルーン拡張型などがあるが、本発明においては自己拡張型あるいはバルーン拡張型のいずれであってもよい。
本発明のステント基材は、ステンレス鋼、タンタル、チタン合金(ニチノールを含む)およびコバルト合金(コバルト−クロム−ニッケル合金を含む)などが挙げられる。プラスチック素材としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などが挙げられる。その大きさ、形状は特に制限されない。
本発明の被覆ステントは、基材の外周面および/または内周面が前処理されている。前処理としては、シランカップリング剤でステント表面を被覆するか、及び/又はガスプラズマによって前処理を実施する。
本発明に使用されるシランカップリング剤としては、ハロゲン基含有シラン、アミノ基含有シラン、エポキシ基含有シラン、メルカプト基含有シラン、イソシアネート基含有シラン、アミド基含有シラン、ポリスルフィド基含有シラン、アルケニル基含有シランおよびアルコキシ基含有シランからなる群から選ばれた1種または2種以上の化合物あるいはその反応生成物が挙げられる。シランカップリング剤としては、異なる反応性基を有する2種以上のシランを反応させた混合物を使用してもよい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学社製)とγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402、信越化学社製)の反応物が挙げられる。シランカップリング剤は通常、溶媒に溶解して常套手段によって塗布する。溶媒としては、例えば、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−141b)、クロロホルムなどが挙げられる。シランカップリング剤濃度は、通常、0.1〜5重量%、好ましくは1〜2重量%であり、塗布量は、通常、0.1〜2g/m、好ましくは0.3〜1g/mである。溶媒への浸漬時間は、通常、1〜10秒、好ましくは3〜5秒であり、浸漬後、室温で約1〜30分間放置し、溶媒を揮発させる。
本発明に使用されるプラズマ処理のガス種としては、水素ガス、酸素ガス、アルゴンガスおよび四弗化炭素ガスからなる群から選ばれた1種または2種以上のガスが挙げられる。基材と被覆層との密着性向上には四弗化炭素ガスを用いたプラズマ処理が好ましい。プラズマ処理時間は、通常、1〜6分間、好ましくは1.5〜3分間である。四弗化炭素ガスを用いたプラズマ処理では、例えばガス流量100ml/分、処理圧力20Pa、高周波パワー250W、処理時間1.5分)である高周波プラズマ処理装置を使用する。
前処理された外周面および/または内周面へのポリアミドエラストマー溶液の被覆方法は、血管再狭窄防止薬、特にα2−マクログロブリンを不活性化する化合物とポリアミドエラストマーとを溶媒で溶解して混合し、スプレーによる被覆やディッピングによる被覆が可能である。スプレー、ディッピングの回数は1回でも良いが、ポリマーの濃度等により被覆層の厚さを調整するため複数回に分けて行う方法が通常用いられる。
具体的には、ポリアミドエラストマー溶液中にステント基材を約1〜10秒、好ましくは3〜5秒浸漬させた後、取り出して、温度50〜100℃、好ましくは70〜80℃で、約5〜60分間、好ましくは10〜30分間加熱し、溶媒を揮発させる。浸漬と乾燥の操作は約1〜10回、好ましくは3〜5回繰り返すことが好ましい。
本発明に使用されるポリアミドエラストマーとは、ポリアミドセグメントと他のポリマーセグメントが結合されたエラストマーである。ポリアミドセグメントとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド、ダイマー酸などの長鎖ジカルボン酸を含むポリアミドが含まれ、他のポリマーセグメントとして、ポリエーテルおよび/またはポリエステルを含有する。具体的にはポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドなどが含まれる。さらに、弾性ポリエーテルブロックまたはセグメントによって分離されたポリアミドブロックを含むポリアミドブロックコポリマーも含まれる。これらのタイプの好適なポリエーテルアミドブロックコポリマーとしては、Atochem, Inc.から販売されているPEBAX.RTM7033(ショアD69)、6333(ショアD63)、アトフィナ社から販売されるペバックス2533(ショアD25)などが挙げられる。または、有用なポリアミドブロックコポリマーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリシロキサンなどの他の弾性的ブロックまたはセグメントによって分離されたポリアミドブロックを含むものであってもよい。
ポリアミドエラストマーとしては、さらに、アミン末端ソフトセグメントとダイマー酸とカプロラクタムを反応させたポリエーテルアミドがある。アミン末端ソフトセグメントとしては、ビス(3−アミノプロピル)−ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられる。このようなポリエーテルポリアミドとしては、EMS-Chemie AG or Emser Industriesから販売されているGrilamid.RTM. ELY 60、Grilon.RTM. ELX 23 NZなどが挙げられる。本発明では、これらのポリマーを単独であるいは2種以上の混合物として用いる。
ポリアミドエラストマーの溶媒としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)、o―クレゾール、m―クレゾール、p―クレゾールなどが挙げられる。
α2−マクログロブリンを不活性化する化合物は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、それらの塩、尿素、トブラマイシン、ポリリジン、及び塩化リゾチームからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であり、好ましくは、トブラマイシンである。
本発明におけるα2−マクログロブリンを不活性化する化合物と前記ポリマーの混合割合は、ポリマー10重量部に対して、α2−マクログロブリンを不活性化する化合物1〜10重量部であることが好ましい。α2−マクログロブリンを不活性化する化合物が1重量部より小さいと、再狭窄を防止するのに必要な量の該化合物を固定することができない。α2−マクログロブリンを不活性化する化合物が10重量部より大きいと、血管内への長期留置において基材と被覆層との密着性が悪化する。
本発明に使用されるトップコートを形成するポリマーとしては、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらのコポリマーもしくはこれらのポリマーの2種以上の混合物等が挙げられるが、生体適合性に優れ、かつ下層のα2−マクログロブリンを不活性化する化合物を含むポリアミドエラストマー層との良好な密着性が得られるポリマーであることが好ましく、より好ましくは熱可塑性ポリウレタンである。
熱可塑性ポリウレタンは典型的には、ポリオール、好ましくは少なくとも 500の高い分子量を有するジオールを有機ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートと、通常、低分子量の二官能価の連鎖延長剤の存在下に反応させることにより製造される。用いられるジオールは、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールまたはその組み合せであってもよい。このような熱可塑性ポリウレタンとしては、例えば、ダウケミカル社製ペレセン2363 80AE、サーメディクス社製テコフレックス80A、サーメディクス社製テコフレックス93Aなどが挙げられる。
これらのポリマーの溶剤としては、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールなどが挙げられる。また、その濃度は、通常、0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%である。
本発明では熱可塑性ポリウレタン溶液を調製し、該溶液に前記ステント基材を約1〜10秒、好ましくは3〜5秒浸漬させた後、取り出して、温度50〜100℃、好ましくは約70〜80℃で約5〜60分間、好ましくは約10〜30分間加熱し、溶媒を揮発させる。浸漬、乾燥の操作は1〜10回、好ましくは1〜5回繰り返す。
前記前処理を施したステント基材の外周面及び/又は内周面と血管再狭窄防止薬、特にα2−マクログロブリンを不活性化する化合物を含むポリアミドエラストマー層との間に、さらに密着性向上のためにポリアミドエラストマー層を含んでいてもよい。このようなポリアミドエラストマーとしては、上記化合物を含むポリアミドエラストマーと同一または異なっていてもよい。前記前処理したステント基材には、上記したエラストマー溶液の塗布と同じ工程を実施すればよい。
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学社製)とγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402、信越化学社製)の反応物1.0重量%のジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−141b)溶液を調製した。該溶液にSUS316製のステント基材を3秒浸漬させた後、取り出して室温で1分間放置し、溶媒を揮発させた。次にポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%とトブラマイシン(CALBIOCHEM社製)2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返した。次に熱可塑性ポリウレタン(ダウケミカル社製ペレセン2363 80AE)2.0重量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を1〜4回繰り返し、トップコート層の膜厚の異なる4種類の被覆ステントを作製した。
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学社製)とγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402、信越化学社製)の反応物1.0重量%のジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−141b)溶液を調製した。該溶液にSUS316製のステント基材を3秒浸漬させた後、取り出して室温で1分間放置し、溶媒を揮発させた。次にポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%とトブラマイシン(CALBIOCHEM社製)2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返した。次に熱可塑性ポリウレタン(サーメディクス社製テコフレックス 80A)2.0重量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を4〜6回繰り返し、トップコート層の膜厚の異なる4種類の被覆ステントを作製した。
比較例1
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学社製)とγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402、信越化学社製)の反応物1.0重量%のジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−141b)溶液を調製した。該溶液にSUS316製のステント基材を3秒浸漬させた後、取り出して室温で1分間放置し、溶媒を揮発させた。次にポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%とトブラマイシン(CALBIOCHEM社製)2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返した。この被覆ステントにはトップコートは形成しなかった。
実施例1、実施例2及び比較例1で作製した8種類の被覆ステントを37℃、pH7.4のリン酸緩衝液中に浸漬し、攪拌しながら溶出トブラマイシン量の経時変化を高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果をそれぞれ、表1、表2及び表3に示した。比較例1ではトブラマイシンが浸漬4時間後には全て溶出してしまったのに対して、実施例1及び実施例2では28日後までトブラマイシンの溶出が持続し、熱可塑性ポリウレタン/テトラヒドロフラン溶液への浸漬回数が増えるにつれて、トブラマイシンの初期溶出速度が抑えられる傾向が見られた。被覆層の種類、膜厚によって薬剤の徐放性の調整が可能であることが示された。
Figure 2005170801
Figure 2005170801
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γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学社製)とγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402、信越化学社製)の反応物1.0重量%のジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−141b)溶液を調製した。該溶液にSUS316製のステント基材を3秒浸漬させた後、取り出して室温で1分間放置し、溶媒を揮発させた。次にポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%とトブラマイシン(CALBIOCHEM社製)2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返した。次に熱可塑性ポリウレタン(ダウケミカル社製ペレセン2363 80AE)2.0重量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返してトップコート層を形成した。
SUS316製のステント基材の内周面及び外周面に、四弗化炭素ガスを用いたプラズマ処理(ガス流量100ml/分、処理圧力20Pa、高周波パワー250W、処理時間1.5分)を行った。次にポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%とトブラマイシン(CALBIOCHEM社製)2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返した。次に熱可塑性ポリウレタン(ダウケミカル社製ペレセン2363 80AE)2.0重量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返してトップコート層を形成した。
SUS316製のステント基材の内周面及び外周面に、四弗化炭素ガスを用いたプラズマ処理(ガス流量100ml/分、処理圧力20Pa、高周波パワー250W、処理時間1.5分)を行った。次にポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。次にポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%とトブラマイシン(CALBIOCHEM社製)2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返した。次に熱可塑性ポリウレタン(ダウケミカル社製ペレセン2363 80AE)2.0重量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返してトップコート層を形成した。
比較例2
ポリエーテルブロックポリアミド(アトフィナ社製ペバックス2533) 2.0重量%とトブラマイシン(CALBIOCHEM社製)2.0重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(京都和光純薬社製)溶液を調製した。該溶液中にSUS316製のステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返した。次に熱可塑性ポリウレタン(ダウケミカル社製ペレセン2363 80AE)2.0重量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液に前記ステント基材を5秒浸漬させた後、取り出して75℃で15分間加熱し、溶媒を揮発させた。浸漬、乾燥の操作を3回繰り返してトップコート層を形成した。
実施例3、実施例4、実施例5及び比較例2で作製した4種類の被覆ステントを37℃、pH7.4のリン酸緩衝液中に1ヶ月間浸漬した。取り出した後の被覆ステント表面を観察したところ、比較例2の被覆ステントはポリマー被覆がほぼ全体にわたって剥がれていた。一方、実施例3及び実施例4の被覆ステントのポリマー被覆は一部にステント基材からの剥がれによる浮きが確認されたが、良好な密着性を維持していた。実施例5の被覆ステントのポリマー被覆はステント基材と強固に密着しており、剥がれは全く認められなかった。シランカップリング剤あるいはプラズマ処理による表面処理及びそれに続くポリマーのみの層の形成によって、ステント基材と薬剤を含むポリマー層との密着性の向上が可能であることが示された。

Claims (11)

  1. 前処理されたステント基材の外周面及び/又は内周面が、血管再狭窄防止薬を含むポリアミドエラストマーで被覆され、さらにトップコート層を有してなる被覆ステント。
  2. 前記基材の外周面及び/又は内周面は、シランカップリング剤及び/又はガスプラズマによる前処理が施されている、請求項1に記載の被覆ステント。
  3. 前記前処理を施したステント基材の外周面及び/又は内周面と血管再狭窄防止薬を含むポリアミドエラストマー層との間に、さらに該薬剤を含まないポリアミドエラストマー層を含む、請求項1に記載の被覆ステント。
  4. 前記トップコート層を形成するポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらのポリマーの2種以上の混合物である、請求項1に記載の被覆ステント。
  5. 前記血管再狭窄防止薬が、α2−マクログロブリンを不活性化する化合物またはα1−プロテアーゼインヒビターを不活性化する化合物である、請求項1記載の被覆ステント。
  6. 前記α2−マクログロブリンを不活性化する化合物は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、これらのアミンの塩、尿素、トブラマイシン、ポリリジン及び塩化リゾチームからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載の被覆ステント。
  7. 前記α2−マクログロブリンを不活性化する化合物と前記ポリアミドエラストマーの混合割合は、前記ポリアミドエラストマー10重量部に対して、前記α2−マクログロブリンを不活性化する化合物1〜10重量部である、請求項5に記載の被覆ステント。
  8. 以下の工程を含む被覆ステントの製造方法。
    a)基材の外周面及び/又は内周面に、シランカップリング剤溶液の塗布及び/又はガスプラズマ照射による前処理を施す工程;
    b)前処理された基材の外周面及び/又は内周面に、ポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を含む混合物溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程;および
    c)前記ポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を被覆した基材の外周面及び/又は内周面に、トップコート層を形成する溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程。
  9. 以下の工程を含む被覆ステントの製造方法。
    a)基材の外周面及び/又は内周面に、シランカップリング剤溶液の塗布及び/又はガスプラズマ照射による前処理を施す工程;
    b)前処理された基材の外周面及び/又は内周面に、血管再狭窄防止薬を含まないポリアミドエラストマー溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥し、さらにポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を含む混合物溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程;および
    c)前記ポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を被覆した基材の外周面及び/又は内周面に、トップコート層を形成する溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程。
  10. 以下の工程を含む被覆ステントの製造方法。
    a)基材の外周面及び/又は内周面に、シランカップリング剤溶液の塗布及び/又はガスプラズマ照射による前処理を施す工程;
    b)前処理された基材の外周面及び/又は内周面に、ポリアミドエラストマー溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥し、さらにポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を含む混合物溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程;および
    c)前記ポリアミドエラストマーおよび血管再狭窄防止薬を被覆した基材の外周面及び/又は内周面に、ポリウレタン溶液を塗布した後、該塗布された溶液を乾燥する工程。
  11. 血管再狭窄防止薬がα2−マクログロブリンを不活性化する化合物またはα1−プロテアーゼインヒビターを不活性化する化合物である、請求項8、9または10に記載の被覆ステントの製造方法。
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