JP2005170396A - 包装袋、その製造方法及び部材の溶着方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フィルム2,3同士を溶着することにより得られる溶着部を備える包装袋であって、溶着されるフィルムのうち少なくとも表面に位置する一のフィルム2が片面にシーラント層を有し、該フィルム2には前記溶着部となる箇所に穴または切欠5が形成されており、該穴または切欠5を通して残余のフィルム3のシーラント層が露出されている。穴または切欠5を通して露出された残余のフィルム3のシーラント層には、少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる補強部材6を接合することができる。
【選択図】 図4
Description
この種の包装袋は、内容物が充填されていて且つ未開封であるときには自立性に優れている。しかし、袋を開封して内容物を一部取り出し、残量が少なくなると自立性が悪くなり、袋の中間で折れ曲がって袋の口が下を向き、内容物が漏れたりこぼれたりするおそれがある。特に袋の上部にプラスチック等からなる注出口を設けた場合等では、重心の位置がより上になって更に安定性が悪くなり、袋が倒れてしまうことがある。また、内容物が袋を傾けて内容物を注ぎ出すときに袋が折れ曲がると、所望の位置に内容物を注ぐことができず、こぼしてしまうおそれがある。
また、特許文献3には、袋の両側縁部および上縁部を熱可塑性樹脂を射出成形により接合し、強度の高い接合部を形成することによって袋の自立性の向上を図ったものが記載されている。
また、(ロ)に記載の方法では、芯材が袋から脱落するおそれがある。つまり、フィルムの溶着によって形成される包装袋においては、フィルムを重ね合わせたときに袋の内面となる側に溶着可能なシーラント層が設けられ、袋の外面となる側は溶着性の乏しい材料とすることで、製袋時の溶着部におけるフィルムの伸びや袋の外面とシール金型の付着を防ぎ、自立袋の製袋を容易にしているので、袋の外面となる側には芯材をフィルムに溶着することが難しいのである。
また、(ハ)〜(ト)に記載の方法では、プラスチックフィルムを横方向に切断して個々の袋本体を形成した後に補強手段を設ける必要があり、補強手段の形成の自動化が難しく、煩雑な作業が必要になる。
また、特許文献3に記載の方法では、射出成形のため、長尺のプラスチックフィルムから連続的に自立袋を製造することができず、量産性に劣る。
この包装袋の前記穴または切欠を通して露出された残余のフィルムのシーラント層には、少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる補強部材を接合することができる。
上記包装袋においては、前記包装袋の上部に、熱可塑性樹脂からなる注出口を溶着により取り付けることができる。
この包装袋の製造方法においては、さらに、前記穴または切欠を通して露出された前記残余のフィルムのシーラント層に少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる補強部材を溶着により接合する工程を付加することができる。
また、本発明は、フィルム同士を溶着することにより得られる溶着部に少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる部材をさらに溶着する部材の溶着方法であって、前記溶着部を構成するフィルムのうち少なくとも表面に位置する一のフィルムとして片面にシーラント層を有すると共に、前記溶着部となる箇所に穴または切欠を有するフィルムを用い、該穴または切欠を通して残余のフィルムのシーラント層が露出されるようにこれらフィルムを重ね合わせて溶着し、前記穴または切欠を通して露出された前記残余のフィルムのシーラント層に熱可塑性樹脂からなる表面を介して前記部材を溶着することを特徴とする部材の溶着方法を提供する。
本発明の部材の溶着方法によれば、フィルムのシーラント層とは反対の側(外面)に少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる部材を溶着することが可能となる。部材の溶着時に溶着部におけるフィルムの伸びやフィルムの外面とシール金型の付着を防ぐことができ、部材の溶着を美麗かつ確実に行うことができる。
図1は、本発明の包装袋の製造方法の第1形態例において、底部フィルムの両側に2枚の胴部フィルムを配置した状態の一例を示す斜視図である。図2は、底部フィルムのシーラント層と胴部フィルムのシーラント層を対向させ、重ね合わせて溶着することにより形成された包装袋前駆体を示す正面図である。図3は、包装袋前駆体から形成された袋本体を示す正面図である。図4は、袋本体に対して補強部材を配置した状態の一例を示す斜視図である。図5は、袋本体に補強部材を溶着する様子の一例を示す断面図である。図6は、袋本体に補強部材を溶着する様子の一例を示す断面図である。図7は、袋本体に補強部材を接合してなる包装袋を示す正面図である。図8(a)は、注出口付き包装袋を示す正面図である。図8(b)は、図8(a)のB−B線に沿う断面図である。図8(c)は、図8(a)のC−C線に沿う断面図である。図8(d)は、図8(a)のD−D線に沿う断面図である。
前記基材としては、共押出により多層のプラスチックを積層させた積層フィルム、アルミ箔などの金属箔や紙等のシート、金属箔や紙等をプラスチックとラミネートしたラミネートフィルムなどの積層体が例示される。
ラミネートされるプラスチックとしては、特に限定はないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの積層体は片面に溶着性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層が設けられ、シーラント層の反対側の面はシーラント層を溶着する条件では溶着性を示さないものが用いられる。
基材の厚さは、20〜900μmが好ましい。袋本体の保形性や自立性の点ではより厚い基材が適するが、廃棄性、柔軟性や軽量性の点では薄い基材が好ましい。特に本発明では補強部材6を設けることにより、薄い基材であっても保形性、自立性を確保することができる。成形性や取扱い性から特に望ましい厚みは、100〜200μmの範囲である。
補強部材6の成形は、部材の大部分が樹脂である場合は、射出成形や押出成形など種々の成形方法によって行うことができる。補強部材6が内部や表面の一部に金属など樹脂以外の基材を含む場合は、インモールド成型や押出ラミネートで成型してもよい。
なお、補強部材6の断面形状は、図8(c)に示す四角形状や中央に溝のあるメガネ形状など、種々の形状であってよい。補強部材6の厚さは特に限定されるものではないが、袋本体の保形性や自立性を向上させる点では、例えば0.1〜5.0mm程度とすることができる。
底部フィルム4には、その長手方向に沿って折込部4aが形成されている。折込部4aは、底部フィルム4の長手方向と直交する方向の中央部に沿って延びている。この底部フィルム4には、該底部フィルム4を前記一方の胴部フィルム2に重ね合わせたときに穴2cと一致する位置に穴4cが形成されている。底部フィルム4の穴4cは、折込部4aの両側の互いに重なり合う位置に配置されている。
穴2c,4cの形状、大きさ及び間隔は、特に限定されるものではないが、他方の胴部フィルム3のシーラント層を、補強部材6の溶着に十分な程度の面積(開口量)で露出できることが必要である。また、穴4cと穴2cの形状、位置や大きさも同じである必要はなく、異なっていてもよい。特に、穴4cは穴2cより大きいと底部フィルム4の存在する領域において胴部フィルム2,3のシーラント同士が直接溶着されるので、底部フィルム4を略円筒形に開拡させることができる自立袋としての形状が形成される。もちろん、穴4cに代えて、または、穴4c及び穴2cに加えて、別途、底部フィルム4にパンチ穴を設けてもよい。
次いで、図4〜図6に示すように、切欠5を通して露出された他方の胴部フィルム3のシーラント層に補強部材6を一方の胴部フィルム2の側から当接させ、溶着により袋本体1に接合する。これにより、図7に示すような補強部材付き包装袋8が得られる。
補強部材6の溶着は、他方の胴部フィルム3の側に配置された加熱部材31と、補強部材6の側に配置されたシール金型32との間に、袋本体1と補強部材6とを重ねて挟み込むことによって行われる。図6に示すように、溶着後、補強部材6の樹脂の一部は、溶融して袋本体1の切欠5内に進入し、補強部材6と袋本体1とが強固に接合される。また、図2における未シール部17は、補強部材6の溶着に伴い、溶着される。シール金型32への補強部材6の付着を抑制するため、シール金型32は冷却することが好ましい。
次いで、補強部材付き包装袋8の開口部14に注出口11を挟み込み、胴部フィルム2,3の上縁部2a,3aに注出口11を溶着して上部シール部13を形成し、袋本体1の開口部14を密閉する。これにより、図8に示すような包装袋10が製造される。
穴2c,4cが胴部フィルム2,3の長手方向と直交する方向に沿って両断され、両断によって生じたそれぞれの切欠5が補強部材6の接合に利用できるので、フィルム2,4に形成される穴2c,4cの個数が、袋本体1の両側縁部に設けられる切欠5の個数の半分になり、補強部材6を製袋機上でオンライン接合するに際し、フィルムの送り動作に悪影響を及ぼしにくく、生産性を向上することができる。
図9は、前面フィルムと後面フィルムとの間に一対の側部フィルムを配置した状態の一例を示す斜視図である。図10は、前面フィルムと後面フィルムと側部フィルムとを重ね合わせて溶着することにより形成された包装袋前駆体を示す正面図である。図11は、図10の包装袋前駆体から形成された袋本体を示す正面図である。図12は、図11の袋本体に対して補強部材を溶着する様子の一例を示す断面図である。図13は、図11の袋本体に補強部材を接合してなる包装袋を示す正面図である。図14は、図13の包装袋に注出口を取り付けた状態を示す斜視図である。
袋本体101を構成するフィルムは、第1形態例の包装袋10の胴部フィルム2,3および底部フィルム4として用いられる基材と同様のものを用いることができる。注出口111および補強部材106についても第1形態例と同様のものを用いることができる。
前面フィルム102と後面フィルム103は、互いに幅が等しいフィルムであり、それぞれ両側の側縁部102a,103aに多数の穴102c,103cが該フィルム102,103の長手方向(図9の上下方向)に並んで形成されたフィルムが用いられる。この穴102c,103cは製袋機上でオンライン穿孔することが好ましい。第1形態例の自立袋の場合と異なり、穴102c,103cはフィルムの流れ方向に並んでいるので、簡易な装置で穿孔できる。穴102c,103cの形状、大きさ及び間隔は、特に限定されるものではないが、側部フィルム104のシーラント層を、補強部材106の溶着に十分な程度の面積(開口量)で露出できることが必要である。
さらに、フィルム102,103の幅方向に底部シール部115を形成し、また、底部シール部115と側縁部シール部116との間の隅部119に斜めに隅部シール部118を形成する。これにより、図10に示すようなシート状の包装袋前駆体120が得られる。
次いで、図12に示すように、補強部材106を前面フィルム102および後面フィルム103の側から当接させ、穴102c,103cを通して露出された側部フィルム104のシーラント層に該補強部材106を溶着して接合することにより、図13に示すような補強部材付き包装袋108が得られる。
次いで、袋本体101の隅部119を断裁して除去し、さらに補強部材付き包装袋108の開口部114に注出口111を挟み込んで、前面フィルム102と後面フィルム103の間に注出口111を溶着して上部シール部113を形成し、袋本体101の開口部114を密閉する。これにより、図14に示すような注出口付き包装袋110が製造される。
図15は、前面フィルムと後面フィルムとの間に一対の側部フィルムを配置した状態の一例を示す斜視図である。図16は、底部フィルムを示す正面図である。図17は、袋本体の筒状部に図16に示す底部フィルムを差し込む様子を示す図である。図18は、袋本体の一例を示す正面図である。図19は、図18に示す袋本体に補強部材を接合してなる包装袋を示す斜視図である。
袋本体201を構成する底部フィルム230、前面フィルム202、後面フィルム203、側部フィルム204は、第1形態例の包装袋10の胴部フィルム2,3および底部フィルム4として用いられる基材と同様のものを用いることができる。補強部材206についても第1形態例と同様のものを用いることができる。
前面フィルム202と後面フィルム203は、互いに幅が等しいフィルムであり、それぞれ両側の側縁部202a,203aに多数の穴202c,203cが該フィルム202,203の長手方向(図15の上下方向)に並んで形成されたフィルムが用いられる。穴202c,203cの形状、大きさ及び間隔は、特に限定されるものではないが、側部フィルム204のシーラント層を、補強部材206の溶着に十分な程度の面積(開口量)で露出できることが必要である。
つまり、まず、底部フィルム230の長辺231の方向に沿う中心線で折り返して底部折線233を形成し、底部フィルム230の両短辺232側において、前記底部折線233をもとの折り方向とは逆に折り返して略直角方向に方向転換することで、底部フィルム230を舟形形状に折り畳み、該底部フィルム230の両方の短辺232側に舟形折込部234を形成する。
次いで、図18に示すように、補強部材206を前面フィルム202および後面フィルム203の側から当接させ、穴202c,203cを通して露出された側部フィルム204のシーラント層に該補強部材206を溶着して接合することにより、図19に示すような補強部材206付きの包装袋210が得られる。
本形態例の包装袋の製造方法によれば、前面フィルム202と後面フィルム203とに設けられた穴202c,203cを通して側部フィルム204のシーラント層が露出され、該シーラント層に補強部材206を接合することができる。これにより、補強部材206の接合を確実に行うことができ、また、既存の製袋機を利用して、フィルムの重ね合わせ作業を行うことが可能であり、量産性に優れる。
例えば、袋本体の形状や構造は特に制限されるものではなく、縁部が溶着される包装袋であれば、平袋でもよいが、自立性のあるスタンディングパウチ(第1形態例の包装袋など)、ガゼット袋(第2形態例の包装袋など)や角底袋(第3形態例の包装袋など)が好ましい。
また、縁部の両側に補強部材が接合されてもよい。この場合、溶着部の両外面は片面にシーラント層を有するフィルムで構成され、それら両方のフィルムに穴または切欠が互いに重ならないよう交互に設けられることが好ましい。さらに、溶着部を構成するフィルムも一枚である必要はなく、例えば、バッグインボックスの内袋などの大型袋は袋本体が二重、三重にフィルムが接着することなく重ねられて構成されるが、全てのフィルムが溶着部で一枚に溶着される限り本発明の適用が可能である。この場合、二重目、三重目のフィルムは単層フィルムまたは両面が溶着性を有するフィルムが使用されるが、本発明における穴または切欠から露出するシーラント層はいずれのフィルムのシーラント層であってもよいものである。この場合、表面に位置しないフィルムにも穴または切欠が設けられてもよい。
そして、本発明の部材の溶着方法についても上述した補強部材の接合のみに制限されるものではなく、例えば、別々に充填包装した異なる包装体を一つの包装体に結合する場合(具体的には、シャンプーのボトルや詰替用袋にリンスのサンプル袋を貼付するようなケース)や、取扱説明書や保証書を封入した包装体を機械本体に貼付する場合などにも応用が可能なものである。
本発明の部材の溶着方法は、包装袋の縁部に補強部材を接合する場合に限定されず、別々に充填包装した異なる包装体を一つの包装体に結合する場合(具体的には、シャンプーのボトルや詰替用袋にリンスのサンプル袋を貼付するようなケース)や、取扱説明書や保証書を封入した包装体を機械本体に貼付する場合などにも応用が可能なものである。
Claims (6)
- フィルム同士を溶着することにより得られる溶着部を備える包装袋であって、
溶着されるフィルムのうち少なくとも表面に位置する一のフィルムが片面にシーラント層を有し、該フィルムには前記溶着部となる箇所に穴または切欠が形成されており、該穴または切欠を通して残余のフィルムのシーラント層が露出されていることを特徴とする包装袋。 - 前記穴または切欠を通して露出された残余のフィルムのシーラント層には、少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる補強部材が接合されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
- 前記包装袋の上部に、熱可塑性樹脂からなる注出口が溶着により取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の包装袋。
- フィルム同士を溶着することにより得られる溶着部を備える包装袋の製造方法であって、
溶着されるフィルムのうち少なくとも表面に位置する一のフィルムとして片面にシーラント層を有するフィルムを用いて、該フィルムの前記溶着部となる箇所に穴または切欠を設ける工程と、該穴または切欠を通して残余のフィルムのシーラント層が露出されるようにこれらフィルムを重ね合わせて溶着する工程と、をこの順序で有することを特徴とする包装袋の製造方法。 - さらに、前記穴または切欠を通して露出された前記残余のフィルムのシーラント層に少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる補強部材を接合する工程を有することを特徴とする請求項4に記載の包装袋の製造方法。
- フィルム同士を溶着することにより得られる溶着部に少なくとも表面の一部が熱可塑性樹脂からなる部材をさらに溶着する部材の溶着方法であって、
前記溶着部を構成するフィルムのうち少なくとも表面に位置する一のフィルムとして片面にシーラント層を有すると共に、前記溶着部となる箇所に穴または切欠を有するフィルムを用い、該穴または切欠を通して残余のフィルムのシーラント層が露出されるようにこれらフィルムを重ね合わせて溶着し、前記穴または切欠を通して露出された前記残余のフィルムのシーラント層に熱可塑性樹脂からなる表面を介して前記部材を溶着することを特徴とする部材の溶着方法。
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