JP2005166650A - 電池パック - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂モールドケースに収納することを不要とし、体積効率を高めることができる。
【解決手段】 ラミネート材1Aには、絞り加工で凹部が形成され、凹部内に電池素子が収納され、開口を覆うようにラミネート材1A、1Bが電池素子を包み込むように折り込まれ、熱溶着等で折り込まれた状態が固定される。ラミネート材1Aは、ポリプロピレン層、軟質アルミニウム層、ナイロン層またはPET層の3層構成である。ラミネート材1Bも同様の3層構造を有するが、硬質アルミニウム層を有する。したがって、モードルドケースにセルを収納しないでも、ラミネート材1Bの強度によって、変形を防止できる。
【選択図】 図2


Description

この発明は、例えばリチウムイオンポリマー二次電池に適用される電池パックに関する。
近年、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯型電子機器が普及し、電源として高電圧、高エネルギー密度、軽量といった利点を有するリチウムイオン電池が広く使用されている。
さらに、液系電解液を用いた場合に問題となる液漏れの対策として、例えば電解質として、ポリマーに非水電解液を含浸させてなるゲル状高分子膜を用いたもの、或いは全固体状の電解質を用いた、リチウムイオンポリマー二次電池が実用化されている。
ポリマーリチウムイオン電池は、正極、負極、ポリマー電解質を有し、正極および負極からそれぞれリードが導出された電池素子が外装材例えばアルミラミネートで被覆されたセルの構成とされている。さらに、セルは回路部がマウントされた配線基板と共に、上下のケースからなる箱型のプラスチックモールドケース内に収納される構成とされていた。下記特許文献1には、かかる構成のリチウムイオンポリマー二次電池の一例が記載されている。
特開2002−8606号公報
なお、本明細書では、帯状の正極、帯状の負極とがポリマー電解質および/またはセパレータを介して積層され、長手方向に巻回されると共に、正極および負極からそれぞれリード端子が導出されているもの電池素子と称する。そして、電池素子を外装フィルムで被覆したものをセルと称する。さらに、セルに保護回路等の必要な回路を付加したものを電池パックと称する。
モールドケース内に電池素子を収納する従来の構成では、モールドケースの肉厚が0.3−0.4mm程度となり、固定のための両面テープや公差を考慮すると、セルの厚みに対して、0.8−1mm程度、厚みが増加していた。また、外周方向でも上下のモールドケースを超音波溶着するための形状が必要となり、そのために、0.7mm程度の肉厚が求められる。結果として、セルの容積に対して電池パックが1.3−1.4倍の容積の増加が余儀なくされた。
また、パックの外装部にデザインが要求された場合、印刷されたラベルを貼る必要がある。体積エネルギー密度の低下をできるだけ防止するために、薄い接着剤付きラベルを貼る必要がある。貼着するラベルが薄くなるにつれて、ラベルと電池との間に空気が入り込んだり、ラベルの巻きずれ等の工程不良が発生するおそれが高くなる。
さらに、電池パックは、高価なものであり、模造されやすく、その対策にパックの基板にマイコンを乗せて、本体と通信を行ったり、ID用抵抗をマウントして対応していたが、コスト高となる弊害があった。
さらに、電池パックの構造を簡略化していくほど模倣対策が困難になる傾向があった。
従って、この発明の目的は、機械的強度、および安全性を低下させることなく、電池パックを構成した場合の容積の増加を極力抑えることができる電池パックを提供することにある。
また、この発明の他の目的は、低コストかつ、模倣されにくい電池パックを提供することにある。
上述した課題を達成するために、この発明の第1の態様は、ポリマー電池の電池素子を有する電池パックにおいて、開いた状態の硬質外装材に電池素子を載置して硬質外装材を閉じ、硬質外装材の両端が接合されることによって電池素子が包まれ、両側面が外側に向かって膨らむ楕円状に成形された電池パックである。
この発明の第2の態様は、ポリマー電池の電池素子を有する電池パックにおいて、外装材が略同一のサイズの第1および第2のラミネート材からなり、第1のラミネート材に形成された凹部に電池素子が収納され、凹部の開口を第2のラミネート材が覆うように、第1および第2のラミネート材が重ねられ、開口の周囲がシールされ、第1のラミネート材の凹部の底面の外側において、第1および第2のラミネート材のそれぞれの両端部が接合され、両側面が外側に向かって膨らむ楕円状に成形された電池パックである。
この発明に依れば、パック内のセルの極大化を図ることができるので、高いパックエネルギー密度が得られる。セルを外装用モールドケースに入れると、ケースと内部のセルの間に隙間が生じ、電池パックの体積エネルギー密度が下がる従来の問題が解決できる。
この発明では、パックのサイド部にフレーム等が無くても、電池素子の外周面が硬質な金属製ラミネートフィルムで覆われるために、強度、耐傷性、画鋲等の刺しに対して十分な強度を保つことができる。
この発明では、配線基板を保持するためのフレームのみがあれば良く、外装用モールドケース等の部品点数を減少させ、大幅なコストの削減を図ることができる。
この発明によるセルは、従来のセルと異なり強度を向上することができる。
この発明では、セル部分の製造とパック部分の製造とを一連の工程で行うことが可能であり、製造時の所要時間を短縮化することができる。
この発明では、あらかじめ印刷した硬質アルミラミネートフィルムを用いるので、外装ラベルを巻く必要がなく、歩留まりの向上、コストを下げることができる。
この発明では、セルを製造する段階で印刷することによって、パックの模倣の防止に資する。
また、模倣されにくいパターンを印刷することによって、パックの模倣の防止に資する。
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明が適用されたリチウムイオンポリマー二次電池の電池パックの構成を示す。参照符号1Aおよび1Bは、それぞれ第1および第2のラミネート材を示し、電池素子がこれらのラミネート材1Aおよび1Bによって被覆されてセルが構成されている。電池素子は、リチウムイオンポリマー二次電池であり、一例として長辺が49mm、短辺が40mm、厚みが4.4mmの板状の形状とされている。
なお、ラミネート材1Aおよび1Bは、後述するように、金属層の両面に接着層および表面保護層が配された3層構造のフィルムである。セルの外側表面には、全体としてラミネート材1Bの表面保護層が現れる。図1Bでは、線Pに沿ってラミネート材1A、1Bを切断し除去して、電池素子14が表面に現れた状態を示している。
電池素子の正極および負極とそれぞれ接続されたリード端子2および3が導出される。リード端子2および3と保護回路とを抵抗溶接、超音波溶接等で接合する。図1Aに示すように、トップカバー4と基板ホルダー5の間に、電池素子と接合済みの保護回路がマウントされた回路基板6を挿入し、一つのブロックとする。回路基板6の保護回路は、PTC、サーミスタ等の高温になるとセルの電流通路を遮断する温度保護素子を有する。
次に、リード端子2および3が出ている端面側(以下、適宜トップ側と称する)に予め接着剤等を流し込んだ後に、このトップカバー4と基板ホルダー5と回路基板6の一体化されたブロックを挿入する。その後、セルのラミネート材1Bの接着層がむき出しになっている部分と樹脂製例えばポリプロピレン(PP)製のトップカバーを熱で溶着し、接着強度の向上を図る。
その後、セル部のリードが出ている端面の反対側(以下、ボトム側と称する)に予め接着剤を流し込んで、樹脂製のリアカバー7(図1C)を挿入する。また、リアカバー7の代わりにホットメルト材によって、リアカバーを成型してもよい。最後に、接着剤付きアルミ蒸着PETフィルムからなる外装ラベル8(図1D)を貼り付ける。
図2を参照してセル部の一実施形態を説明する。一実施形態では、2種類のラミネート材1Aおよび1Bを使用する。ラミネート材1Aは、電池素子を入れるために予め金型で所定の形状の絞り加工を行う。絞り加工で形成された凹部に電池素子が収納される。凹部の底面に相当する位置の外側表面に熱溶着シート12が配置される。
図3において、参照符号14は、電池素子を示す。電池素子14は、帯状の正極、帯状の負極とがポリマー電解質および/またはセパレータを介して積層され、長手方向に巻回されると共に、正極および負極からそれぞれリード端子2および3が導出されている。
正極は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成されてなり、さらに、正極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。また、負極は、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成されてなり、さらに、負極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。リード端子2および3は、それぞれ正極集電体および負極集電体に接合されている。正極活物質、負極活物質、ポリマー電解質としては、既に提案されている材料を使用することができる。
正極は、目的とする電池の種類に応じて金属酸化物、金属硫化物または特定の高分子を正極活物質として構成することができる。例えばリチウムイオン電池を構成する場合では、正極活物質として、LixMO2(式中、Mは、一種以上の遷移金属を表し、xは、電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。リチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co,Ni,Mn等が好ましい。
このようなリチウムイオン複合酸化物の具体例としては、LiCoO2,LiNiO2,LiNiyCo1-y2(式中、0<y<1である。)、LiMn24等を挙げることができる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。また、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2、V25等のリチウムを有しない金属硫化物または酸化物を使用しても良い。正極には、これらの正極活物質の複数種を併せて使用してもよい。また、以上のような正極活物質を使用して正極を形成するに際して、導電剤や結着剤等を添加しても良い。
負極材料としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することができる。例えば、難黒鉛化炭素系材料や黒鉛系材料の炭素材料を使用することができる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。さらに、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することができる。このような材料から負極を形成するに際して、結着剤等を添加しても良い。
ポリマー電解質は、高分子材料と電解液と電解質塩とを混合してゲル状化した電解質をポリマー中に取り込んだものとされている。高分子材料は、電解液に相溶する性質を有し、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、およびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等、若しくはフッ素系ポリマーとして、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−テトラフルオロプロピレン)、或いはポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン等の高分子材料、およびこれらの混合物が使用される。
電解液成分は、上述した高分子材料を分散可能とし、非プロトン性溶媒として例えばエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)或いはブチレンカーボネート(BC)等が用いられる。電解質塩には、溶剤に相溶するものが用いられ、カチオンとアニオンとが組み合わされてなる。カチオンには、アルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl-、Br-、I-、SCN-、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -等が用いられる。電解質塩には、具体的には六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが電解液に対して溶解可能な濃度で用いられる。
一実施形態においては、ラミネート材1Aおよび1Bが上述した電池素子の外装材としての機能を有する。従来のリチウムイオンポリマー二次電池では、一層のラミネート材のみが使用されていたのに対して、一実施形態では、2枚のラミネート材1Aおよび1Bを重ねた構成としている。
図5は、ラミネート材1Aの積層構造を示すものである。ラミネート材1Aは、絞り加工に適し、電池素子を挿入する凹部を形成するのに適したものが使用され、ラミネート材1Bに比して軟質のものである。内側(ラミネート材1Bと接する側)から順に、接着層としてのポリプロピレン(PP)層15A、金属層としての軟質アルミ金属層16Aおよび表面保護層としてのナイロン層またはPET(ポリエチレンテレフタレート)層17Aを有する。
ポリプロピレン層15Aは、ポリマー電解質の変質を防ぐ機能を有する。ポリプロピレン層15Aとして、無延伸ポリプロピレン(CPP)等が使用される。例えば30μm程度の厚みのポリプロピレン(PP)層15Aが形成される。
軟質アルミ金属層16Aは、内部への水分の侵入を防ぐ機能を有する。軟質アルミ金属層16Aとして、焼きなまし処理済のアルミニウム(3003−O JIS H 4160)または(3004−O JIS H 4160)等で、厚みが30μm〜130μm程度の範囲のものが使用される。ナイロン層またはPET層17Aは、表面保護の機能を有する。ナイロン層またはPET層17Aは、厚みが10μm〜30μm程度とされる。
他方のラミネート材1Bは、曲げた後の形状を維持し、外部からの変形に耐えることができる、硬質のラミネート材である。ラミネート材1Bは、接着層としてのポリプロピレン層、硬質アルミ金属層および表面保護層としてのナイロン層またはPET層を有する。
ラミネート材1Bのポリプロピレン層およびナイロン層またはPET層は、ラミネート材1Aと同様のものである。硬質アルミ金属層は、焼きなまし処理なしのアルミニウム(3003−O JIS H 4160)または(3004−O JIS H 4160)等を用いて厚みが30μm−130μm程度の範囲のものが使用される。なお、ラミネート材1Aおよび1Bの各層の厚みは、総厚を考慮して適切なものに選定される。
一実施形態におけるセル部の製造方法について説明する。ラミネート材1Aは、電池素子14を入れるために予め深絞りを行う。電池素子14をラミネート材1Aに形成された凹部内に収納する。図2Aでは、凹部の底面の外側が現れており、凹部の開口は、底面と反対面に位置する。
次に、凹部の開口面を覆うように、ラミネート材1Aに対して、互いのポリプロピレン層同士が対向するように、ラミネート材1Bを重ねて配する。この場合、図2Aに示すように、ラミネート材1Aおよび1Bの位置関係をずらしたものとする。ここで、ラミネート材1Aが互いに等しい長さのトップ側長辺21、ボトム側長辺22を有し、また、互いに等しい長さの左側短辺23および右側短辺24を有する。同様に、ラミネート材1Bが互いに等しい長さのトップ側長辺31、ボトム側長辺32を有し、また、互いに等しい長さの左側短辺33および右側短辺34を有する。なお、左右は、図面に向かって見た場合の位置関係を示している。
トップ側長辺21および31並びにボトム側長辺22および32は、互いにほぼ等しい長さとされる。この長辺の長さは、電池素子の収納部を包み込んだ状態で対向する短辺同士(短辺23および24、短辺33および34)が当接するか、短辺の端面同士が僅かな隙間を隔てて対向するものに選定されている。
ラミネート材1Bのトップ側長辺31の電池素子収納部の側壁の延長上に一対の切欠きが形成されている。また、ボトム側長辺22および32も、互いにほぼ等しい長さとされる。ラミネート材1Aの短辺23、24は、ラミネート材1Bの短辺33、34よりやや短いものとされている。したがって、ラミネート材1Aおよび1Bを積層した場合に、トップ側の長辺に沿ったエッジ付近では、ラミネート材1Bのみが存在することになる。上述したように、樹脂製のトップカバーを取り付ける場合では、トップカバーの周面がラミネート材1Bのポリプロピレン層に熱溶着される。なお、ボトム側端面近傍においても、ラミネート材1Bの接着層がむき出しになるようにしても良い。
図2Aに示すように、ラミネート材1Aの電池素子収納用凹部は、中心位置に対してやや右側にずれた位置に形成されている。ラミネート材1Bは、ラミネート材1Aに対してやや右側にずれた位置で積層される。したがってラミネート材1Aおよび1Bが積層された状態では、図2Aに示すように、ラミネート材1Aのみが位置する左側領域と、ラミネート材1Bのみが位置する右側領域とが生じる。このように位置をずらしているのは、ラミネート材1Aおよび1Bの継ぎ目の位置の近傍で、一方のラミネート材のポリプロピレン層がそれぞれ他方のラミネート材とある程度の幅でもって接着されるようにするためである。
そして、図2Aに示すような配置関係の状態で、電極素子を挿入し、凹部の開口の周辺の4辺を減圧しながらシールする。この場合、ポリプロピレン層同士が重なっている部分全体を熱溶着するようにしても良い。その後金型にシール済の電池素子を入れ、図4および図6Bに示すように、両サイドの端面11Aおよび11Bが外側に膨らむような楕円状となるように、電池素子を金型で成型する。図6Aは、図1Bと同様に、線Pに沿ってラミネート材1A、1Bを切断し除去して、電池素子14が表面に現れた状態を示している。
次に、図2Aに示すように、凹部の底面の外側に、所定の形状とした熱溶着シート12を挿入する。熱溶着シート12は、ラミネート材1Aのナイロン層またはPET層17A同士、すなわち、ナイロン同士またはPET同士を高温をかけることで接着させるための補助的部材である。好ましくは、厚みは、総厚の関係から10〜60μm程度で、100°C前後の融点のものを用いられる。熱溶着シート12の融点は、電池素子に対して熱の影響を与えない程度のものが好ましい。
そして、ラミネート材1Aおよび1Bを図2Aに示す開いた状態から、電池素子が収納された凹部を包み込むように、それぞれの短辺23、24および33、34を内側に折り込み、外側から熱溶着を行い、閉じた状態を固定する。図4および図6は、このようにラミネート材を閉じてシールした状態を表している。
これらの図4および図6に示されるように、外側には、ラミネート材1Bの短辺33および34同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向してなる継ぎ目L1が生じ、また、ラミネート材1Bの内側には、ラミネート材1Aの短辺23および24同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向してなる継ぎ目L2が生じる。
図6Cは、継ぎ目L1およびL2の部分の断面を示す。熱溶着シート12の下側には、図示を省略しているが、ラミネート材1Aのナイロン層またはPET層17Aが位置している。ラミネート材1Aおよび1Bを内側に折り曲げて閉じると、熱溶着シート12の上側では、両者の上下関係が逆となり、下側にラミネート材1Aが位置し、上側にラミネート材1Bが位置する。なお、図6Cにおいて、参照符号15Bは、ラミネート材1Bのポリプロピレン層を示し、参照符号16Bは、硬質アルミ金属層を示し、参照符号17Bは、ナイロン層またはPET層を示す。
図6Cに示すように、熱溶着シート12の上側に接して、ラミネート材1Aのナイロン層またはPET層17Aが位置する。したがって、ナイロン層またはPET層17Aが熱溶着シート12を挟んだ構造となり、外側から熱を加えることで、ナイロン同士またはPET同士を接着することができる。また、ラミネート材1Aおよび1Bの互いのポリプロピレン層16Aおよび16Bが対向接触するので、外側から熱を加えることで、これらのポリプロピレン層16Aおよび16Bを接着することができる。
以上のようにして、樹脂製の箱型のケースを使用することなく、また、両サイドに樹脂製のフレームを配することなく、硬質のラミネート材1Bが外装材を兼ねる電池パックを製造することができる。
また、上述した実施形態において、外装ラベル8を貼り付けないように構成された電池パックを製造することもできる。この場合は、上述した製造工程において、第2のラミネート材1Bの代わりに、あらかじめパターンまたは文字が印刷されたラミネート材1Cを使用する。
図7は、ラミネート材1Cの断面拡大図である。図7に示すように、ラミネート材1Cは、接着層としてのポリプロピレン層41、硬質アルミ金属層42、表面保護層43としてのナイロン層、PET(ポリエチレンテレフタレート)層またはPEN(ポリエチレンナフタレート)層を有する。表面保護層43の内側の面44および/または外側の面45に文字等またはパターンが印刷される。
図8は、ラミネート材1Cの一例を示した模式図である。図8に示すように、ラミネート材1Cの表面上には、一例としての模倣されにくい模様のパターンが印刷されている。また、このパターン以外に、パック名、バーコード、2次元コード等を印刷しても良い。さらに、パターンは、模倣されにくいものが好適であり、例えば、すかしやホログラムを印刷しても良い。具体的には、内側の面44にパターンを印刷し、外側の面45にテキスト、2次元コード等を印刷しても良い。
文字またはパターンが印刷されたラミネート材1Cは、図8に示すように、ラミネート基材101から、1セル分ずつ切断されて作製される。このように、あらかじめパターンまたは文字が印刷されているラミネート材1Cを使用することにより、外装ラベル8を貼り付ける必要がなくなるので、体積エネルギー密度を向上することができる。また、パターンまたは文字は、セルを製造する段階で印刷されるので、模倣の防止に資する。
この発明は、上述したこの発明の一実施形態等に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば内側のラミネート材1Aは、表面には現れないので、表面保護層を省略し、軟質アルミ金属層16A(図5参照)の両面に対して第1および第2の接着層としてのポリプロピレン(PP)層を配置する積層構成としても良い。この場合には、ラミネート材1Aの接着層同士が対向するので、熱溶着シート12を省略することができる。また、熱溶着以外に接着材を使用しても良い。
また、この発明では、ラミネート材1Aおよび1Bを内側に曲げてトップ部およびボトム部に開口を形成し、この開口から導出されたリード端子に対して回路基板を溶接し、その後、回路基板を別工程で作成された回路基板ホルダーで支持し、さらに、リード端子を折り曲げながら回路基板ホルダーを開口内に挿入する構成としても良い。
この発明が適用された電池パックの一実施形態を説明するための略線図である。 この発明の一実施形態のセルの製造途中の状態を示す略線図である。 この発明の一実施形態の電池素子の斜視図である。 この発明の一実施形態のセルの斜視図である。 この発明の一実施形態におけるラミネート材の積層構造を示す略線図である。 この発明の一実施形態のセルの略線図である。 図7は、ラミネート材の他の例の断面拡大図である。 図8は、ラミネート材の斜視図である。
符号の説明
1A,1B,1C・・・ラミネート材
2・・・リード端子
6・・・回路基板
15A,15B・・・接着層
16A,16B・・・金属層
17A,17B・・・表面保護層

Claims (9)

  1. ポリマー電池の電池素子を有する電池パックにおいて、
    開いた状態の硬質の外装材に電池素子を載置して上記硬質外装材を閉じ、上記硬質外装材の両端が接合されることによって上記電池素子が包まれ、
    両側面が外側に向かって膨らむ楕円状に成形された電池パック。
  2. ポリマー電池の電池素子を有する電池パックにおいて、
    外装材が略同一のサイズの第1および第2のラミネート材からなり、
    上記第1のラミネート材に形成された凹部に電池素子が収納され、
    上記凹部の開口を上記第2のラミネート材が覆うように、上記第1および第2のラミネート材が重ねられ、上記開口の周囲がシールされ、
    上記第1のラミネート材の上記凹部の底面の外側において、上記第1および第2のラミネート材のそれぞれの両端部が接合され、
    両側面が外側に向かって膨らむ楕円状に成形された電池パック。
  3. 請求項2において、
    上記第1のラミネート材の接合位置と、上記第2のラミネート材の接合位置がずらされた電池パック。
  4. 請求項2において、
    上記第1および第2のラミネート材のそれぞれは、接着層、金属層および表面保護層が順次積層されてなり、
    上記第1および第2のラミネート材の互いの上記接着層が対向して重ねられた電池パック。
  5. 請求項4において、
    上記接着層が熱溶着接着層とされ、上記凹部の底面の外側において上記第1のラミネート材の上記表面保護層同士が熱溶着シートを介して溶着された電池パック。
  6. 請求項2において、
    上記第1のラミネート材は、第1の接着層、金属層および第2の接着層が順次積層されたものとされ、
    上記第2のラミネート材は、接着層、金属層および表面保護層が順次積層されたものとされ、
    上記第1および第2のラミネート材の互いの上記接着層が対向して重ねられた電池パック。
  7. 請求項2において、
    上記第1および第2のラミネート材がそれぞれ金属層を有し、
    上記第1のラミネート材の金属層が上記凹部を絞り加工で形成することが可能な程度に軟質とされ、
    上記第2のラミネート材の金属層が形状を保持し、外部からの変形に耐えることが可能なように、硬質とされた電池パック。
  8. 請求項7において、
    上記第1のラミネート材の金属層が焼きなまし処理済のアルミニウムであり、
    上記第2のラミネート材の金属層が焼きなまし処理なしのアルミニウムである電池パック。
  9. 請求項2において、
    上記第2のラミネート材の表面保護層の外側および/または内側に文字またはパターンが印刷されている電池パック。
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