JP2005165100A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 移動する被写体を、画面の広い領域で追尾しながら焦点を合わせることが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】 光軸を中心とする2つの所定領域を通過する光束に基づく第1画像データと第2画像データを生成する撮像手段と、第1画像データに基づいて被写体像を追尾する追尾手段と、第1画像データの中の被写体像に対応する第1の追尾画像データと第2画像データの中の被写体像に対応する第2の追尾画像データとの相対的なズレ量に基づいて被写体像の焦点状態を検出する焦点検出手段と、第1画像データを表示する表示手段と、を備えた撮像装置である。
【選択図】 図8
【解決手段】 光軸を中心とする2つの所定領域を通過する光束に基づく第1画像データと第2画像データを生成する撮像手段と、第1画像データに基づいて被写体像を追尾する追尾手段と、第1画像データの中の被写体像に対応する第1の追尾画像データと第2画像データの中の被写体像に対応する第2の追尾画像データとの相対的なズレ量に基づいて被写体像の焦点状態を検出する焦点検出手段と、第1画像データを表示する表示手段と、を備えた撮像装置である。
【選択図】 図8
Description
本発明は、画面の所定位置で捕らえた被写体を、画面の広い領域で追尾しながらピントを合わせることが可能な撮像装置に関する。
撮影しようとする被写体に重ねて追尾視野を設定してその追尾被写体を自動的に追尾しながら、その追尾被写体に焦点を合わせることが可能な自動追尾装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、いわゆる位相差方式によりピントのずれ量を検出することにより被写体の光軸方向の移動を追尾する自動焦点検出装置に関する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭60−250317号公報
特開平5−2127号公報
しかし、特許文献1記載の技術は、自動追尾と同時に山登り方式により追尾被写体にピントを合わせる方式であり、被写体追尾と焦点調節動作という高度で複雑な演算を同時に行うため、大規模で高速の処理回路が必要であった。更に、特許文献1記載の技術は、焦点調節を山登り方式で行うため、映像信号のピーク位置を検出するために撮影レンズを一旦、高周波成分のピーク位置を過ぎた位置まで駆動する必要があった。従って、撮影レンズをスムーズに駆動することができなかったり、合焦までに時間がかかるという問題があった。
特許文献2記載の技術では、被写体の光軸方向の移動を追尾することができる。しかし、被写体が任意の3次元方向に移動している場合には、光軸方向のみの追尾では不十分である。即ち、上述のように被写体追尾と焦点調節動作という高度で複雑な演算を、大規模で高速の処理装置を要することなく実現する点についての記載は無く、また何らの示唆もされていない。従って、仮に、特許文献1の焦点調節方式に単に特許文献2の焦点検出装置を適用したとしても、この問題は解決されない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、移動する被写体を、画面の広い領域で追尾しながら焦点を合わせることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
本発明に係る請求項1に記載の撮像装置は、撮影レンズの光軸方向に移動する被写体に対する焦点調整と、撮影レンズの光軸に垂直な平面内での被写体像の追尾とを繰り返し行うことが可能な撮像装置であって、光軸を中心とする2つの所定領域を通過する光束に基づく第1画像データと第2画像データを生成する撮像手段と、上記第1画像データに基づいて上記被写体像を追尾する追尾手段と、上記第1画像データの中の上記被写体像に対応する第1の追尾画像データと上記第2画像データの中の上記被写体像に対応する第2の追尾画像データとの相対的なズレ量に基づいて上記被写体像の焦点状態を検出する焦点検出手段と、上記第1画像データを表示する表示手段と、を備えた。
また本発明に係る請求項2に記載の撮像装置は、上記記載の発明である撮像装置において、上記撮像手段は、撮影レンズの射出瞳の光軸を中心とする所定範囲の第1の領域を通過した光束に基づく第1画像データと、上記撮影レンズの上記第1の領域とは異なる射出瞳の第2の領域を通過した光束に基づく第2画像データを生成する。
また本発明に係る請求項3に記載の撮像装置は、上記記載の発明である撮像装置において、上記表示手段は、追尾領域を上記被写体像に重ねて表示する。
本発明の撮像装置によれば、移動する被写体を、画面の広い領域で追尾しながら焦点を合わせることができる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る撮像装置の構成を示す図である。
図1は、本発明に係る撮像装置の構成を示す図である。
本実施の形態の撮像装置1は、第1CPU113と第2CPU15とを備えている。ここで、第1CPU113は、主として位相差方式による焦点検出機構100を統括して制御する。
第2CPU15は、山登り方式による焦点検出動作を制御すると共に、第1CPU113とリンケージを取りながら、位相差方式による焦点検出結果を取得して合焦動作を制御する。更に、第2CPU15は、撮像装置1を統括して制御する。
続いて、撮像装置1のうち、第2CPU15が統括する各部の構成と動作について説明する。
撮像装置1には撮影光学系として、ズームレンズ2及びフォーカスレンズ3が備えられている。被写体からの光束は、これらのレンズと絞り4を介して固体撮像素子であるCCD5上に被写体像を結ぶ。
操作スイッチ24のレリーズスイッチを操作して記録操作を行うと、CCD5で光電変換された信号は撮像回路6に入力され、この撮像回路6により、映像信号が生成される。この映像信号はA/D変換器7によってデジタルの映像信号(画像データ)に変換され、メモリ8に一時格納される。メモリ8の画像データは圧縮/伸張回路11の圧縮回路で圧縮された後、記録用メモリ12に記憶される。
また、操作スイッチ24から再生操作が行われた場合には、記録用メモリ12に圧縮されて記憶された画像データは圧縮/伸張回路11の伸張回路で伸張されてメモリ8に一時記憶される。そして、その画像データはD/A変換器9でアナログの映像信号に変換された後、LCD表示素子(LCD)10で再生画像として表示される。
A/D変換器7によってA/D変換された画像データはオート露出処理回路(以下、「AE処理回路」という。)13とオートフォーカス処理回路(以下、「AF処理回路」という。)14に入力される。AE処理回路13では、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度値を算出する等して被写体の明るさに対応したAE評価値を算出し、第2CPU15に出力する。
第2CPU15はそれぞれ第1、第2、第3のモータドライブ回路18、19、20を制御することにより、第1、第2、第3のモータ21、22、23を介して絞り4、フォーカスレンズ3、ズームレンズ2の駆動を制御する。
第2CPU15はAE評価値を基に、オート露出制御を行う。即ち第2CPU15は、第1のモータドライブ回路18を制御して第1のモータ21を回転駆動して、絞り4の絞り量を適正な値に調整する。
また、AF処理回路14は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度成分から高周波成分をハイパスフィルタなどで抽出して、累積加算値を算出する。そして高域側の輪郭成分等に対応したAF評価値を算出し、第2CPU15に出力する。第2CPU15は、このAF評価値に基づいて合焦動作を行う。以下この原理に基づく焦点調節方式を「山登り方式」と呼ぶ。
第2CPU15にはタイミングジェネレータ(以下、「TG回路」という。)16から画面レートに同期した所定のタイミング信号が入力され、第2CPU15はこのタイミング信号に同期して、各種の制御動作を行う。
このTG回路16からのタイミング信号は撮像回路6にも入力され、撮像回路6はこの信号に同期して、色信号の分離等の処理を行う。また、TG回路16は所定のタイミングでCCD5を駆動するようにCCDドライバ17を制御する。
次に、第1CPU113が統括する位相差方式による焦点検出機構100の各部の構成と動作について説明する。
撮影光学系を通過した光束はコンデンサーレンズ101で集光される。コンデンサーレンズ101を通過した光束は、シャッタ102を介して、再結像レンズ103により固体撮像素子であるCCD104の撮像面に結像する。ここでシャッタ102は、光軸を挟んだ2つのシャッタを時分割的に開閉する、電子シャッタ又は機械的シャッタである。
CCD104で光電変換された信号は撮像回路105に入力され、撮像回路105により、映像信号が生成される。この映像信号はA/D変換器106によってデジタルの映像信号(画像データ)に変換され、メモリ107に一時格納される。
AF処理回路108は、メモリ107に格納された2つのシャッタ開口を通過した光束の所定領域(測距領域)の画像データを読み出す。そして、その画像データの相対的な間隔に基づいて、フォーカスレンズ3のピント位置からのずれ量であるデフォーカス量を演算する。以下この原理に基づく焦点調節方式を「位相差方式」と呼ぶ。
測距領域選択回路110は測距の対象となる被写体領域を選択する回路である。この被写体領域は、カメラの操作者により手動で選択するものであってもよいし、公知の視線検出装置により撮影者の視線により選択されたものでもよい。
測距領域選択回路110で選択された測距領域は、LCD109に表示される。LCD109は後述するように(図2参照)ピントグラス205とコンデンサーレンズ206の間に介設されており、測距領域はピントグラス205に結像した被写体像にスーパーインポーズされる。
なお、操作SW24により追尾モードに設定すると測距領域は画面中央に設定され、操作SW24により追尾開始を指示すると画面中央領域の測距領域内の被写体を追尾する。なお、追尾モードにおける測距領域を、以下、追尾領域と称する。
第1CPU113にはTG回路111から画面レートに同期した所定のタイミング信号が入力され、第1CPU113はこのタイミング信号に同期して、各種の制御動作を行う。
このTG回路111からのタイミング信号は撮像回路105にも入力される。また、このTG回路111は所定のタイミングでCCD104を駆動するようにCCDドライバ112を制御する。
なお、第2CPU15にはメモリとして例えば電気的に書換可能で、不揮発性の読み出し専用メモリとしてのEEPROM25が接続されている。このEEPROM25には第2CPU15を介して各種の制御等を行うプログラム、各種の動作を行うのに使用されるデータ、後述するCCD5と撮像素子104の結像位置の関係を知るための情報、CCD5と撮像素子104の撮像面の明るさを補正するための情報等が格納されている。そしてこれらの情報は、撮像装置1の電源がONされた場合などに読み出されて使用される。
また第2CPU15は、電池26の電圧が所定の電圧値以下になった事を検出した場合には、LCD10に対して電池26の残量が少ない旨の表示、電池の充電或いは交換などを促す表示を行う。
図2は、焦点検出装置の構成を示す図である。この焦点検出装置は、上述の焦点検出機構100内に設けられている。
撮影光学系200を通過した被写体光束はハーフミラー201を透過しミラー202で反射した後、コンデンサーレンズ101に導かれる。コンデンサーレンズ101を透過した光束は、カメラの底面と平行な光束になるようにミラー204で反射される。従って、撮影光学系200により結像した被写体光束は、ミラー204で反射しシャッタ102を透過した後、再結像レンズ103でCCD104の撮像面に再結像される。
一方ハーフミラー201で反射した光束はピントグラス205に像を結び、この被写体像はLCD109、コンデンサーレンズ206、ペンタプリズム207、及び接眼レンズ208を介して、撮影者により観察される。
なお、ハーフミラー201、及びミラー202は、レリーズスイッチの2ndレリーズ動作に同期してそれぞれ支点P1、P2を中心に水平位置に回転する。これにより、CCD5には被写体光束が導かれ撮影が可能となる。すなわち、2ndレリーズまではCCD5に入射する光束は、ハーフミラー201とミラー202により妨げられている。
図3は、シャッタ102の構成を示す図である。
シャッタ102は光軸を挟む左右対称な位置にLCDで構成されるシャッタ部A、Bを備えている。そして、シャッタ部A,BはLCDの働きにより交互に時分割的に光束の透過と遮光を行う。なおシャッタ102のシャッタ部A,Bは、図3の(a)に示すように、光軸を挟んで左右対称に配置されているが、必ずしもこのような構成である必要はなく、シャッタ部が開いたとき2つの光束が異なる開口を通過するようになっていればよい。例えば、図3の(b)に示すように、シャッタ部Aは再結像レンズの光軸を中心とする所定領域に設定し、シャッタ部Bは再結像レンズの光軸から離れた位置を中心とする所定領域に設定してもよい。
図4は、シャッタの他の構成を示す図である。
光を遮断する回転板400には、光軸を挟んで2つの絞り開口部401a、401bが設けられている。マスク板402は回転軸407を中心にして左右に回動し、絞り開口部401aと絞り開口部401bを遮光する位置に選択的に移動する。そして絞り開口部401aとマスク板402で図3のシャッタ部Aを構成し、絞り開口部401bとマスク板402で図3のシャッタ部Bを構成する。
マスク板402の、回転軸407を挟んで回転板の絞り開口部401a,401bを遮光する部分と反対側の端部には永久磁石405aと405bが取り付けられている。ここで405aはN極、405bはS極とする。一方、撮像装置本体側にはソレノイド403aと403bが固定されている。上記ソレノイド403aと403bはそれぞれ吸着面404aと404bを有し、鉄心406a、406bを介して撮像装置本体に固定されている。
つぎに上記シャッタ102の動作を説明する。ソレノイド403a、403bに通電し、吸着面404a、404bがいずれもS極になるように通電すると、ソレノイド403aとマスク板402は吸引し、ソレノイド403bとマスク板402は反発する。その結果、図4に示すようにマスク板402が左方向に回動することにより、撮影レンズを透過した光束は絞り開口部401aを通過して撮像素子104の撮像面に導かれる。
一方ソレノイド403a、403bに通電し、吸着面404a、404bがいずれもN極になるように通電すると、ソレノイド403aとマスク板402は反発し、ソレノイド403bとマスク板402は吸着する。その結果、図4とは逆に右方向にマスク板402が回動し、撮影レンズを透過した光束は絞り開口部401bを通過して撮像素子104の撮像面に導かれる。
図2に戻り、ハーフミラー201によって反射した被写体光束はピントグラス205に結像する。この結像した像はコンデンサーレンズ206によって集光されて、ペンタプリズム207、接眼レンズ208を介して撮影者の眼に導かれる。
ピントグラス205とコンデンサーレンズ206の間にはLCD109が介設されている。このLCD109には図5に示すように測距領域選択回路110により選択された測距領域409が表示され、上記測距領域409はピントグラス205に結像した被写体像にスーパーインポーズされる。
図6は、本発明の測距光学系の基本原理を説明する図である。図6の(a)において、撮影光学系200を通過した被写体光束は1次結像面O1に結像する。PはCCD5の撮像面等価位置である。したがって図6の(a)はいわゆる前ピンの状態を示す。Pの近傍にはコンデンサーレンズ101が配置されている。コンデンサーレンズ101を透過した光束は光軸を挟む2つの開口部を選択的に透過し、図面上側の開口部を透過した光束と下側を透過した光束は再結像レンズ103により2次結像面O2に結像する。この場合、上記O2は、再結像レンズ103により結像した像を受ける位置に配置されたCCD104の前面に位置するので、上記シャッタ102の2つの開口部を透過した被写体光束による2つの像は上下にずれた像となる。図中、その2像の間隔はzで表わされる。
図6の(b)はO1が撮像面等価位置Pに一致する場合を示したものである。つまり撮影光学系200による像のピントが合った状態である。このとき2次結像面O2はCCD104の撮像面に一致し、シャッタ102の2つの開口部を透過した被写体光束による2つの像も上下にずれることなく一致する。
図6の(c)は図6の(a)とは逆にいわゆる後ピンの状態を示す。このとき上記シャッタ102の2つの開口部を透過した被写体光束による2つの像はCCD104の撮像面上で、図6の(a)の場合とは逆方向にずれる。
以上のことから、シャッタ102の2つの開口部を透過した被写体光束による2つの像のずれ方向とずれ量を演算することにより、撮影光学系200のピントずれ(デフォーカス)量がわかる。
次に、本発明に係る撮像装置の、移動する被写体像を自動で追尾しつつ、かつ、その追尾被写体に自動で焦点を調節する動作について説明する。
なお、本撮像装置は、被写体の運動を、光軸方向の運動成分と、光軸方向に垂直な平面内での運動成分に分けて処理し、その処理結果に基づいて撮像を行う。即ち、本撮像装置は、光軸方向に垂直な平面内での運動をCCD104より得られる2次元の画像データを処理することによって把握し、光軸方向の運動を撮像装置と被写体との距離を測定することによって把握する。
図7は、本発明に係る撮像装置の撮像動作の全体の流れを示すフローチャートである。
ステップS600において、撮影者が操作スイッチ24から所定の操作をして追尾モードを選択すると、第2CPU15は、追尾モードであると判断し、ステップS601において追尾のサブルーチンを実行する。
図8はステップS601に示す追尾のサブルーチンの処理手順を示すフロー図である。本追尾のサブルーチンでは、焦点検出のための演算の負荷を最小限にするための論理を設けている。本論理は、以下の考え方に基づいている。
被写体の速度が同じであるとすると、一般に光軸方向に速いスピードで移動する被写体は光軸に垂直な平面内でのスピードは相対的に遅く、光軸方向に遅いスピードで移動する被写体は光軸に垂直な平面内でのスピードは相対的に速い。したがって、光軸方向に速いスピードで移動する被写体に対しては焦点状態そ検出する時間間隔を短くし、きめの細かい焦点調整を行い、光軸と垂直平面内での移動速度は上述したように一般に遅いので、相対的に長い時間間隔で追尾を行っても確実に追尾することが可能となる。逆に光軸方向に遅いスピードで移動する被写体に対しては焦点状態を検出する時間間隔を長くしても精度の高い焦点調整を行うことが可能となるとともに、光軸と垂直平面内での移動速度は上述したように一般に速いので、相対的に短い時間間隔で追尾を行いながら精度の高い追尾が可能となる。
ステップS700において、第1CPU113に内蔵されているタイマの設定時間Tに初期値T0を設定する。つぎに、ステップS701で追尾領域を初期位置である、図5に示す画面中央の領域aの位置に設定する。そしてステップS702において追尾開始操作入力を待つ。
撮影者が操作SW24の所定のスイッチを操作して追尾開始を指示すると、ステップS703で被写体の追尾を行うための追尾演算を実行する。この追尾演算は、例えば本件出願人が特開平5−292377号公報で詳述しているような公知の動きベクトルを検出する方法により実現できる。
つぎにステップS704において、追尾演算結果より追尾可能かどうかを判断する。もし追尾不能なときはステップS705において、LCD10に追尾不可能を示す表示を行った後、この追尾のサブルーチンからリターンする。ステップS704において追尾可能と判断したときは、ステップS706において、追尾被写体の移動位置(図5の領域b)に追尾領域の表示を移動する。
つぎにステップS707において、タイマのダウンカウントが終了して、設定した時間T0が経過したかどうかを判断する。もしタイマが終了していれば、焦点検出の周期が経過しているためステップS708において追尾被写体に対する焦点検出を行い、後述する図10のサブルーチンによりデフォーカス量D1を演算する。ステップS709においてD1が所定の値αより小さいときは、追尾被写体は焦点位置から大きく外れていない。そこでステップS710において、焦点検出のタイミングを調整するために第1CPU113に内蔵されているタイマーに、上記タイマーの設定時間値TにT1を加算した値を設定する。
すなわち、この場合は、焦点検出の時間間隔を長くすることにより、追尾演算を実行する頻度を増加することができる。即ち、追尾演算の時間間隔を短くできるのでよりきめの細かい精度の高い追尾が可能となる。また、焦点検出用のCCD104の出力をスルー画の画像信号として併用する場合、焦点検出のために基線長の異なる瞳を通過した2つの画像を切り換えるタイミングを長くできるので、スルー画の画面の乱れを少なくすることができる。
ステップS709において、デフォーカス量D1が所定値α以上のときは、つぎにステップS711においてD1が所定の値β(β>α)より大きいかどうかを判断し、もしD1がβよりも大きいときは、デフォーカス検出の時間間隔を短くするために、ステップS712において、上記タイマの設定時間値Tから所定の値T2を減算した値を新たにタイマーに設定する。すなわち、所定時間内のデフォーカス量の変化が所定以上のときはデフォーカス量の検出の時間間隔を短くすることによりよりきめ細かいデフォーカス量の検出が可能となる。
ステップS711においてD1がβ以下のときは、デフォーカス量の検出の時間間隔は適当と判断してタイマーの設定時間は変更しない。
ステップS713において、デフォーカス量D1を第2CPU15に転送し、第2CPU15に対してフォーカスレンズ3を駆動するように指示(割り込み)を行う。この指示を受けた第2CPU15はデフォーカス量D1に基づいてフォーカスレンズ3を駆動する。
ステップS714において、追尾が終了したかどうかを判断し、追尾が完了していなければJ701に分岐してステップS703から上述の処理を繰り返す。追尾が完了したと判断したときはサブルーチンからリターンする。なお、追尾が完了したかどうかは撮影者が所定の操作SW24の追尾終了SWを操作することにより行う。
上述したように、所定時間内のデフォーカス量の変化が所定以下のときはデフォーカス量の検出時間間隔を長くし、デフォーカス量の変化が所定以上のときはデフォーカス量の検出時間間隔を短くするので、必要最小限の時間間隔で、追尾被写体に対する焦点調整をすることができる。そして、それに伴って光軸と垂直平面内の追尾被写体の移動を精度よく追尾することが可能となる。
図7のステップS602に戻り、撮影者が操作スイッチ24から所定の操作をしてスルー画表示を選択すると、第2CPU15はステップS603においてスルー画表示のサブルーチンを実行する。
図9は、図7のステップS603に示すスルー画表示のサブルーチンの処理手順を示すフロー図である。
ステップS801において、図3に示すシャッタ102の一方の開口部(シャッタA)を開く。つぎにステップS802においてCCD104で撮像した画像データをメモリ107に取り込む。つぎにステップS803において、この画像データをD/A変換器9でアナログデータに変換したのち、撮像装置の背面に設けられたLCD10に表示する。
つぎにステップS804において、撮影者が操作SW24を操作して強制的にスルー画をオフにするモードを選択すると、ステップS806においてスルー画をオフしてサブルーチンからリターンする。
ステップS804でスルー画が強制オフでないときは、つぎにステップS805においてスルー画の表示を開始してから所定時間が経過しているかどうかを判断し、もし所定時間が経過していなければJ801に分岐する。ステップS805で所定時間が経過していれば、サブルーチンからリターンする。
この処理手順によれば、焦点検出用のCCD104の出力をスルー画の画像信号として用いることができる。
図7のステップS604に戻り、AE処理を実行する。即ちAE処理回路13は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度値を算出する等して被写体の明るさに対応したAE評価値を算出し、AE評価値を第2CPU15に出力する。ステップS605でレリーズスイッチの初段の第1のレリーズ(1stレリーズ)が行われたかどうかを判断し、それが行われるのを待つ待機状態となる。ステップS605で1stレリーズが行われていれば、ステップS606において、測距領域選択回路110により選択された測距領域の位置を読み込む。なお、追尾モードの際に1stレリーズが行われたときは、上記測距領域は追尾領域に等しい。
つぎにステップS607において、撮影者が操作SW24を操作して動体予測モードを選択しているかどうかを判断する。動体予測モードが選択されていないと判断したときは、ステップS608で位相差方式に基づきデフォーカス量を演算する。そしてステップS610で、デフォーカス量が零になる位置にフォーカスレンズ3を駆動する。
図10は、図7のステップS608に示すデフォーカス量演算の手順を示すフロー図である。
ステップS901において第1CPU113はLCDで構成されるシャッタ102を駆動し、図3に示すシャッタ部Aを透過状態、シャッタ部Bを遮蔽の状態にする。つぎに、ステップS902においてシャッタ部Aを透過した被写体光束による第1画像をCCD104で受光し、それによって生成された第1画像データをメモリ107の第1領域に記憶する。
つぎに、ステップS903において第1CPU113は上記シャッタ102を駆動し、図3に示すシャッタ部Bを透過状態、シャッタ部Aを遮蔽の状態にする。つぎに、ステップS904においてシャッタ部Bを透過した被写体光束による第2画像をCCD104で受光し、それによって生成された第2画像データをメモリ107の第2領域に記憶する。
つぎに、ステップS905において、第1画像と第2画像の明るさ分布を補正するために第1画像データと第2画像データとを予めEEPROM25に記憶されている補正データによって補正する。具体的には画素データをEEPROM25に記憶された補正データである正規化データで除算して第1画像データと第2画像データを補正する。
つぎに、ステップS906においてデフォーカス量を求める。このデフォーカス量の演算について詳細に説明する。
まず、上記デフォーカス量を求めるための相関演算の原理について説明する。
図11に示すように、第1の画像データ中の所定範囲の画像データ(以下、「基準像データ」と言う。)について、基線長方向にx番目の画素の出力をS(x)、第2の画像データ中の所定範囲の画像データ(以下、「参照像データ」と言う。)について、基線長方向にy番目の画像データの値をC(y)とする。そして対応する画素データの値の差の絶対値の和をとり、これをAとし、相関量とする。すなわちAは式(1)で表わされる。
A(m)= Σ|S(i+k)−C(j+k+m)| …… 式(1)
式(1)の変量はkであり、A(m)はkが0〜nの値をとるときの総和である。
式(1)の変量はkであり、A(m)はkが0〜nの値をとるときの総和である。
ここでiは基準像データの最初の画素の番号であり、jは参照像データの画素の最初の番号である。またkは基準像データ、参照像データの最初の画素から数えてk番目の画素データを意味する。参照像データはj+nに、さらに左右に±m程度の余裕を見込む。
ここで、参照像データについているmは第1CPU113の内部で、基準像データ番号は固定し、参照像データの番号を1個ずつ送っていく操作のためにつけられている。そしてmを順次1からpまで変えながら上記相関量Aを求め、相関量Aが最小値をとるとき基準像データと参照像データの像が一致するものとして、基準像データと参照像データの像の相対的な距離を求めることができる。
上記相関量A(m)は最小1画素ごとの値であるため基準像データと参照像データに関する像の相対的な距離の精度も1画素が限界となる。そこで、図12に示すように相関量Aが最小値をとる前後の相関量の幾何学的な関係から補間により1画素ピッチ以下の高い精度の相対的な距離を求める。この補間によると経験的に1/10画素以下の高い精度で基準部と参照部の像の相対的な距離を求めることが可能である。なお、上記補間演算は公知である。
次にデフォーカス量の算出方法について説明する。
1次結像面(撮像面)の許容錯乱円をδ、再結像レンズ103の倍率をβとすると、再結像レンズ103の後方に配置された位相差検出用の撮像素子104により許容錯乱円に相当する像を検出するに必要な画素のピッチPは、P=β・δで表わされる。上述の補間演算により上記ピッチPをさらにN分割できるとすると、P=N・β・δで表わされる。仮にβ=0.5、δ=20μm、N=20とするとP=200μmとなる。撮像素子104として汎用のエリアCCDを用いたとすると画素サイズは10μm角程度であるので、撮像素子104の画素ピッチをそのまま用いて、上記相関演算を行うと過剰な精度になるとともに、演算量も多くなる。
そこで、第1画像データの中から、図7のステップS606で読み込んだ測距領域の所定範囲の画像データ(基準像データ)を読み出して、画素データを水平方向及び垂直方向に複数合成して仮想的に求めたもの(以下「仮想画素」という。)を、基準像データを構成する1つの画素とする。図13は、仮想画素の構成を示す図である。そして、仮想画素を基線長方向に複数配列してラインセンサーを構成する。このラインセンサーの所定範囲の画像データが上述の基準像データに相当する。
つぎに同様にして第2画像データの中から、上記基準像データと同じ画像データの存在する可能性のある所定範囲の画像データの中から、基線長方向に上記基準像と同じ幅の画像データ(参照像データ)を読み出す。図14の(a)には測距領域と基準像データを、図14の(b)には参照像データを示す。
そして、このようにして求めた参照像データを基線長方向にシフトしながら上述の相関演算を行うことにより、基準像データと一致する参照像データの位置を求める。これにより基準像データと参照像データに関する像の相対的な距離、すなわち2像のずれ量が求まる。図6で説明したように、このずれ量は撮像面とフォーカシングレンズのピント位置との差であるデフォーカス量に相応した値となるので、上記ずれ量からデフォーカス量を求めることができる。
なお、上記ずれ量とデフォーカス量の関係は予めEEPROM25にテーブル表として記憶しておき、このテーブル表を参照することによりずれ量からデフォーカス量を求めてもよい。
以上の説明においては、CCD104のすべての画像データを読み出してメモリ107に記憶した後に、上記メモリ107の中から基準像データ、又は参照像データを読み出したが、撮像素子として特定の画素データにアクセスして、画素単位で画像データを読み出し可能なMOS型の撮像素子を用いて、撮像素子から直接基準像データ、又は参照像データを読み出すようにしてもよい。
図7に戻り、ステップS607において動体予測モードが選択されているときは、ステップS609において動体予測を実行する。ここで、動体予測とは、実際にCCD5に電荷を蓄積するタイミングでの追尾被写体(動体)のデフォーカス量を予測して求めることをいう。そして、ステップS610で上記デフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ3を駆動する。
図15は動体予測のサブルーチンの処理手順を示すフロー図である。
ステップS1001で、図10に示すサブルーチンを実行しデフォーカス量D1を演算する。つぎにデフォーカス量演算の時間間隔を設定するためのタイマに所定の値Δtを設定し所定時間Δtが経過したら、ステップS1003でデフォーカス量D2を演算する。
つぎにステップS1004において、デフォーカス量の時間変化(D2−D1)/Δtを演算する。そして、ステップS1005で、上記D2を演算するための画像を取り込んでからCCD5で実際に露光を開始までの時間t1を予測する。つぎに、ステップS1006でCCD5で実際に露光を開始する時点でのデフォーカス量の予測値D2+t1・(D2−D1)/Δtを演算してリターンする。
図7に戻り、ステップS611で1stレリーズが解除されたかどうかを判断し、1stレリーズが解除されていればはじめに戻り以上の動作を繰り返す。ステップS611で1stレリーズ解除されていなければ、つぎにステップS612で、2ndレリーズが行われたかどうかを判断し、2ndレリーズが行われていなければJ601に分岐し、2ndレリーズ操作を待つ待機状態に移行する。ステップS612で2ndレリーズが行われていれば、つぎにステップS613で、第2CPU15はAE評価値を基にオート露出制御を行い一連の撮影動作を終了する。
なお、ステップS608において、被写体の焦点状態を検出する手段として位相差方式を採用し、デフォーカス量を被写体の焦点状態を表わすものとしたが、公知の三角測距に基づき被写体距離を直接求めてもよい。
〔効果〕
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置では撮影レンズにより結像した像を再結像し、この像に基づいて焦点状態を検出するので、撮影レンズの特性に依存しないで焦点状態を検出することが可能となる。
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置では撮影レンズにより結像した像を再結像し、この像に基づいて焦点状態を検出するので、撮影レンズの特性に依存しないで焦点状態を検出することが可能となる。
また、本実施の形態の撮像装置は、再結像レンズの少なくとも2つの同一でない領域を通過する光束を選択的に通過させるシャッタ102を設け、更にシャッタ102を透過した時分割された光束を一つの撮像素子104上に結像させるようにしている。
このため、本撮像装置は従来の撮像装置と異なり、偏芯光学系を用いることがなく、像の歪を少なくすることができる。従って、被写体の広い領域において焦点検出精度を向上させることができる。また、この効果として、CCD104の撮像をそのまま表示することも可能であり、またその撮像を動体追尾等に使用することもできる。
また、本実施の形態では撮像素子上に時分割的に結像するため、2つの光の相互の競合、干渉が生じることがなく、各々の光束を広く取ることができるため、被写体の広い領域において焦点検出が可能となる。
このように本撮像装置では、測距光学系より得られる高精度な画像データを利用して、動体追尾、焦点検出を実施する。
そして本発明の第1の局面に対応する撮像装置では、画像データを追尾と焦点検出に兼用することができるのみならず、画像として表示することもできる。
また本発明の第2の局面に対応する撮像装置では、撮影レンズの光束を分割して第1画像と第2画像を得るのでパララックスが生じず、かつ撮影対象となる画像と同じ被写体像を用いて追尾と焦点検出を行うので理想的である。また第1画像データは、光軸を中心とする所定範囲の領域を通過する光束に基づくので収差が少なく、収差が光軸に対してほぼ対象となるので表示に適した画像データとなる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1…撮像装置、3…フォーカスレンズ、4…絞り、5…CCD、14…AF処理回路、15…第2CPU、25…EEPROM、101…コンデンサレンズ、102…シャッタ、103…再結像レンズ、104…撮像素子、108…AF処理回路、109…LCD、110…測距領域選択回路、113…第1CPU、200…撮影光学系、409…測距領域。
Claims (3)
- 撮影レンズの光軸方向に移動する被写体に対する焦点調整と、撮影レンズの光軸に垂直な平面内での被写体像の追尾とを繰り返し行うことが可能な撮像装置であって、
光軸を中心とする2つの所定領域を通過する光束に基づく第1画像データと第2画像データを生成する撮像手段と、
上記第1画像データに基づいて上記被写体像を追尾する追尾手段と、
上記第1画像データの中の上記被写体像に対応する第1の追尾画像データと上記第2画像データの中の上記被写体像に対応する第2の追尾画像データとの相対的なズレ量に基づいて上記被写体像の焦点状態を検出する焦点検出手段と、
上記第1画像データを表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。 - 上記撮像手段は、撮影レンズの射出瞳の光軸を中心とする所定範囲の第1の領域を通過した光束に基づく第1画像データと、上記撮影レンズの上記第1の領域とは異なる射出瞳の第2の領域を通過した光束に基づく第2画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記表示手段は、追尾領域を上記被写体像に重ねて表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003405791A JP2005165100A (ja) | 2003-12-04 | 2003-12-04 | 撮像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005165100A true JP2005165100A (ja) | 2005-06-23 |
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ID=34728358
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JP2003405791A Withdrawn JP2005165100A (ja) | 2003-12-04 | 2003-12-04 | 撮像装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007025595A (ja) * | 2005-07-21 | 2007-02-01 | Fujinon Corp | オートフォーカス装置 |
JP2009063689A (ja) * | 2007-09-05 | 2009-03-26 | Nikon Corp | 焦点検出装置および撮像装置 |
JP2011099942A (ja) * | 2009-11-05 | 2011-05-19 | Canon Inc | 撮像装置 |
-
2003
- 2003-12-04 JP JP2003405791A patent/JP2005165100A/ja not_active Withdrawn
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