例えば、オフィスの湿度調節に上記調湿装置を用いる場合、夜間は運転を停止して朝に起動する使い方が多い。ここで、調湿装置の運転を停止する夜間には、室内の環境が悪化する。具体的に、夏季であれば室内空気の温度及び湿度が上昇し、冬季であれば室内空気の温度及び湿度が低下する。このため、調湿装置を起動した直後は、室内を速やかに快適な状態にすることが望まれる。ところが、従来の調湿装置では、この点を考慮した運転制御が行われていなかった。このため、起動してから室内空気の相対湿度が目標値に達するまでに時間がかかり、起動してからしばらくの間は在室者に不快感を与えるおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気の湿度調節を行う調湿装置において、起動してから室内空気の相対湿度が目標値に達するまでの時間を短縮することにある。
第1の発明は、第1空気及び第2空気を流通させるためのファン(95,96)と、吸着剤を空気と接触させる吸着素子(81,82)と、該吸着素子(81,82)へ供給される第2空気を加熱する加熱手段(1)とを備え、上記吸着素子(81,82)に第1空気中の水分を吸着させる吸着動作と、上記加熱手段(102)で加熱された第2空気によって上記吸着素子(81,82)を再生する再生動作とを行い、上記吸着素子(81,82)を通過した第1空気及び第2空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出する調湿装置を対象としている。そして、起動してから所定の基準条件が成立するまでは、上記加熱手段(1)から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度を上記基準条件の成立後よりも高くするための起動時動作を行うものである。
第2の発明は、第1の発明において、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(100)を備える一方、上記冷媒回路(100)には、凝縮器となって加熱手段(1)を構成する再生熱交換器(102)と、吸着素子(81,82)を通過して室外へ向かう空気を冷媒と熱交換させる第1熱交換器(103)と、吸着素子(81,82)を通過して室内へ向かう空気を冷媒と熱交換させる第2熱交換器(104)とが設けられており、上記冷媒回路(100)において第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)の両方が蒸発器となる動作を起動時動作として行い、基準条件の成立によって該起動時動作を終了した後は、上記冷媒回路(100)において第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる通常動作を行うものである。
第3の発明は、第1の発明において、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(100)を備える一方、上記冷媒回路(100)には、凝縮器となって加熱手段(1)を構成する再生熱交換器(102)と、吸着素子(81,82)を通過して室外へ向かう空気を冷媒と熱交換させる第1熱交換器(103)と、吸着素子(81,82)を通過して室内へ向かう空気を冷媒と熱交換させる第2熱交換器(104)とが設けられており、上記冷媒回路(100)において第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第2空気が通過する方だけが蒸発器となる動作を起動時動作として行い、基準条件の成立によって該起動時動作を終了した後は、上記冷媒回路(100)において第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる通常動作を行うものである。
第4の発明は、第1の発明において、冷凍サイクルを行って凝縮器が加熱手段(1)を構成する冷媒回路(100)を備え、上記冷媒回路(100)に設けられた圧縮機(101)の容量を基準条件の成立後よりも大きい値に設定する動作を起動時動作として行うものである。
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、室内空気の湿度を検出する湿度検出手段(2)が設けられ、上記湿度検出手段(2)の検出値が所定の基準値に達することが基準条件となっているものである。
第6の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、室内空気の温度を検出する温度検出手段が設けられ、上記温度検出手段の検出値が所定の基準値に達することが基準条件となっているものである。
第7の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、起動時からの経過時間を計測するタイマーが設けられ、上記タイマーの計測値が所定の基準値に達することが基準条件となっているものである。
第8の発明は、第1空気及び第2空気を流通させるためのファン(95,96)と、吸着剤を空気と接触させる吸着素子(81,82)と、冷凍サイクルを行って凝縮器で吸着素子(81,82)へ供給される第2空気を加熱する冷媒回路(100)とを備え、上記吸着素子(81,82)に第1空気中の水分を吸着させる吸着動作と、上記冷媒回路(100)の凝縮器で加熱された第2空気によって上記吸着素子(81,82)を再生する再生動作とを行い、上記吸着素子(81,82)を通過した第1空気及び第2空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出する調湿装置を対象としている。そして、起動してから所定の基準条件が成立するまでは上記ファン(95,96)を停止したままで上記冷媒回路(100)の圧縮機(101)を運転する動作を行い、上記基準条件が成立した時点で上記ファン(95,96)の運転を開始するものである。
第9の発明は、第8の発明において、起動時からの経過時間を計測するタイマーが設けられ、上記タイマーの計測値が所定の基準値に達することが基準条件となっているものである。
−作用−
上記第1の発明では、調湿装置にファン(95,96)と吸着素子(81,82)と加熱手段(1)とが設けられる。ファン(95,96)を運転すると、第1空気と第2空気とが取り込まれる。このうち第1空気は、吸着素子(81,82)へ送られる。この吸着素子(81,82)に、第1空気中の水分が吸着される。つまり、調湿装置では吸着動作が行われる。一方、第2空気は、加熱手段(1)で加熱された後に吸着素子(81,82)へ送られる。吸着素子(81,82)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水分が脱離する。第2空気は、この脱離した水分を付与される。つまり、調湿装置では再生動作が行われる。そして、吸着素子(81,82)を通過後の第1空気及び第2空気の一方が室内へ供給され、他方が室外へ排出される。
この発明において、調湿装置では、起動してから所定の基準条件が成立するまで起動時動作が行われる。この起動時動作は、加熱手段(1)から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度を所定の基準条件の成立後よりも高くするために行われる。そして、所定の基準条件の成立後よりも加熱手段(1)から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度が高くなる起動時動作中には、所定の基準条件の成立後よりも吸着剤から脱離する水分が増加する。このため、起動時動作中には、再生動作の対象となっている吸着素子(81,82)における第2空気への加湿量が所定の基準条件の成立後よりも増加する。それに伴い、再生動作の終了時点で吸着素子(81,82)に残存する水分量も減少する。このため、起動時動作中には、吸着動作の対象となっている吸着素子(81,82)における第1空気からの除湿量も増加する。
上記第2及び第3の発明では、調湿装置に再生熱交換器(102)と第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)とを備える冷媒回路(100)が設けられる。第2空気は、再生熱交換器(102)で加熱された後に吸着素子(81,82)へ送られる。吸着素子(81,82)を通過後の第1空気及び第2空気は、室外へ向かう方が第1熱交換器(103)を通過し、室内へ向かう方が第2熱交換器(104)を通過する。
上記第2の発明において、起動時動作中の冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)の両方が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。そして、冷媒回路(100)を循環する冷媒は、第1熱交換器(103)で室外へ向かう空気から、第2熱交換器(104)で室内へ向かう空気からそれぞれ吸熱する一方、再生熱交換器(102)で第2空気へ放熱する。
一方、基準条件の成立後における通常動作中の冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。そして、冷媒回路(100)を循環する冷媒は、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方で第1空気から吸熱し、再生熱交換器(102)で第2空気へ放熱する。
また、上記第3の発明において、起動時動作中の冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第2空気が通過する方だけが蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。そして、冷媒回路(100)を循環する冷媒は、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第2空気が通過する方で第2空気から吸熱し、再生熱交換器(102)で第2空気へ放熱する。
一方、基準条件の成立後における通常動作中の冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。そして、冷媒回路(100)を循環する冷媒は、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方で第1空気から吸熱し、再生熱交換器(102)で第2空気へ放熱する。
上記第4の発明では、調湿装置に冷媒回路(100)が設けられる。起動時動作中には、冷媒回路(100)に設けられる圧縮機(101)の容量が基準条件の成立後よりも大きい値に設定される。圧縮機(101)の容量を大きい値に設定すると、冷媒回路(100)における冷媒循環量が増加し、凝縮器における冷媒から第2空気への放熱量が増加する。つまり、起動時動作中には、基準条件の成立後よりも凝縮器で冷媒から第2空気へ放熱される熱量が多くなる。そして、凝縮器を通過後の第2空気の温度、即ち吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度が高くなる。
上記第5の発明では、調湿装置に湿度検出手段(2)が設けられる。この発明における基準条件は、湿度検出手段(2)の検出値が所定の基準値に達することによって満たされる。調湿装置の運転中には、湿度検出手段(2)によって室内空気の相対湿度が検出される。そして、湿度検出手段(2)の検出値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。
上記第6の発明では、調湿装置に温度検出手段が設けられる。この発明における基準条件は、温度検出手段の検出値が所定の基準値に達することによって満たされる。調湿装置の運転中には、温度検出手段によって室内空気の温度が検出され、温度検出手段の検出値が所定の基準値に達すると起動時動作から通常動作に切り換わる。
ここで、例えば冬季において、室外空気の温度は変動してもその相対湿度は概ね一定となる。従って、室外空気の温度が低いとその絶対湿度も低く、室内へ供給される空気の絶対湿度が低くなる。そして、室外空気の温度が低いことから室内空気の温度は緩やかにしか上昇せず、室内へ供給される空気の絶対湿度が低いことから室内空気の相対湿度も緩やかにしか上昇してゆかない。一方、室外空気の温度が高いとその絶対湿度も高く、室内へ供給される空気の絶対湿度が高くなる。そして、室外空気の温度が高いことから室内空気の温度は速やかに上昇し、室内へ供給される空気の絶対湿度が高いことから室内空気の相対湿度も速やかに上昇してゆく。
このように、室内空気の温度の上昇速度が高ければその相対湿度の上昇速度も高くなり、逆に室内空気の温度の上昇速度が低ければその相対湿度の上昇速度も低くなる。つまり、室内空気の温度と相対湿度には相関関係があり、両者は連動して変化する。よって、温度検出手段の検出値から室内空気の相対湿度を推測できる。そこで、この発明では、温度検出手段の検出値が所定の基準値に達したところで室内空気の相対湿度が目標値に達したと判断し、起動時動作から通常動作への切り換えを行う。
上記第7の発明では、調湿装置にタイマーが設けられる。この発明における基準条件は、タイマーによって計測される起動時からの経過時間が所定の基準値に達することによって満たされる。調湿装置の運転中には、タイマーによって起動時からの経過時間が検出され、タイマーの計測値が所定の基準値に達すると起動時動作から通常動作に切り換わる。
ここで、予め様々な運転条件で試験を行って調湿装置の起動時から室内空気の相対湿度が目標値に達するまでの経過時間を計測しておけば、その試験で得られたデータに基づき、室内空気の相対湿度が目標値に達すると予想される起動時からの経過時間を基準値として設定できる。そこで、この発明では、タイマーの計測値が所定の基準値に達すると、室内空気の相対湿度が目標値に達したと判断し、起動時動作から通常動作への切り換えを行う。
上記第8の発明では、調湿装置にファン(95,96)と吸着素子(81,82)と冷媒回路(100)とが設けられる。ファン(95,96)を運転すると、第1空気と第2空気とが取り込まれる。このうち第1空気は、吸着素子(81,82)へ送られる。この吸着素子(81,82)に、第1空気中の水分が吸着される。つまり、調湿装置では吸着動作が行われる。一方、第2空気は、冷媒回路(100)の凝縮器で加熱された後に吸着素子(81,82)へ送られる。吸着素子(81,82)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水分が脱離する。第2空気は、この脱離した水分を付与される。つまり、調湿装置では再生動作が行われる。そして、吸着素子(81,82)を通過後の第1空気及び第2空気の一方が室内へ供給され、他方が室外へ排出される。
この発明において、調湿装置では、起動時にファン(95,96)を停止したままで冷媒回路(100)の圧縮機(101)を運転する動作が行われる。つまり、起動時には、第2空気が凝縮器を通過せず、凝縮器では冷媒から第2空気への放熱が行われない状態となる。このため、起動時には凝縮器の内圧と温度とが速やかに上昇してゆく。
一方、所定の基準条件が成立すると、それまで停止していたファン(95,96)の運転が開始される。つまり、所定の基準条件の成立後には、第2空気が凝縮器を通過する。ここで、所定の基準条件が成立した時点では、凝縮器の内圧が高くなっている。このため、所定の基準条件の成立後しばらくの間は、凝縮器における冷媒の凝縮温度が高くなり、凝縮器を通過後の第2空気、即ち吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度が高くなる。
上記第9の発明では、調湿装置にタイマーが設けられる。この発明における基準条件は、タイマーによって計測される起動時からの経過時間が所定の基準値に達することによって満たされる。調湿装置の運転中には、タイマーによって起動時からの経過時間が検出され、タイマーの計測値が所定の基準値に達すると、それまで停止していたファン(95,96)の運転が開始される。
上記第1の発明では、起動時してから所定の基準条件が成立するまで起動時動作が行われる。起動時動作中には、所定の基準条件の成立後よりも加熱手段(1)から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度が高くなり、吸着剤から脱離する水分量が増加する。そして、起動時動作中には、所定の基準条件の成立後よりも吸着動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第1空気からの除湿量や再生動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第2空気への加湿量が増加する。従って、この発明によれば、空気の湿度調節を行う調湿装置において、起動してから室内空気の相対湿度が目標値に達するまでの時間を短縮することができる。
上記第2の発明では、起動時動作中に第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)の両方が蒸発器となり、通常動作中に第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる。つまり、起動時動作中には、通常動作中よりも蒸発器となる熱交換器の表面積が拡大する。このため、起動時動作中には、冷媒が空気から吸熱する熱量を確保したままで冷媒の蒸発温度を通常動作中よりも高くできる。そして、冷凍サイクルの低圧が高くなるため、それに伴って冷凍サイクルの高圧も上昇し、凝縮器における冷媒の凝縮温度が高くなる。
従って、この発明によれば、起動時動作中には、通常動作中よりも再生熱交換器(102)から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度を高くすることができ、通常動作中よりも吸着動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第1空気からの除湿量や再生動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第2空気への加湿量を増加させることができる。
上記第3の発明では、起動時動作中に第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第2空気が通過する方だけが蒸発器となり、通常動作中に第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる。
ここで、第1空気は吸着素子(81,82)で水分を吸着された後に蒸発器へ流入し、第2空気は再生熱交換器(102)で加熱された後に吸着素子(81,82)を再生してから蒸発器へ流入する。また、吸着素子(81,82)を再生するためには、再生熱交換器(102)で第2空気を比較的高い温度まで加熱する必要があり、吸着素子(81,82)を通過後の第2空気の温度も比較的高くなる。このため、蒸発器で第2空気が冷媒と熱交換する起動時動作中は、蒸発器で第1空気が冷媒と熱交換する通常動作中に比べて冷媒の蒸発温度が高くなる。そして、冷凍サイクルの低圧が高くなるため、それに伴って冷凍サイクルの高圧も上昇し、凝縮器における冷媒の凝縮温度が高くなる。
従って、この発明によれば、起動時動作中には、通常動作中よりも再生熱交換器(102)から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度を高くすることができ、通常動作中よりも吸着動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第1空気からの除湿量や再生動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第2空気への加湿量を増加させることができる。
上記第4の発明では、起動時動作中の方が基準条件の成立後よりも圧縮機(101)の容量が大きい値に設定される。このため、起動時動作中には、基準条件の成立後よりも冷媒回路(100)における冷媒循環量が増加し、再生熱交換器(102)における冷媒から第2空気への放熱量が増加する。従って、この発明によれば、起動時動作中には、基準条件の成立後よりも再生熱交換器(102)から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度を高くすることができ、基準条件の成立後よりも吸着動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第1空気からの除湿量や再生動作の対象となっている吸着素子(81,82)での第2空気への加湿量を増加させることができる。
上記第5の発明では、室内空気の湿度を検出する湿度検出手段(2)の検出値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。従って、この発明によれば、湿度検出手段(2)によって精度良く室内の湿度調節を行うことができ、室内の快適性を保持することができる。
上記第6の発明では、室内空気の温度を検出する温度検出手段の検出値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。上述のように、室内空気の温度と相対湿度には相関関係があるため、温度検出手段の検出値によって室内空気の相対湿度を推測することができる。従って、この発明によれば、温度検出手段を用いて起動時動作から通常動作への切り換えを適切なタイミングで行うことができる。
上記第7の発明では、起動時からの経過時間を計測するタイマーの計測値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。上述のように、予め試験を行って室内空気の相対湿度が目標値に達すると予想される起動時からの経過時間を基準値として設定すれば、タイマーの計測値によって室内空気の相対湿度を推測することができる。従って、この発明によれば、タイマーを用いて起動時動作から通常動作への切り換えを適切なタイミングで行うことができる。
上記第8の発明では、起動時にファン(95,96)を停止したままで冷媒回路(100)の圧縮機(101)を運転する動作を行っている。このため、起動直後からファン(95,96)を運転して凝縮器へ空気を送る場合に比べ、凝縮器の内圧と温度とが充分に上昇するまでの時間を大幅に短縮できる。このため、調湿装置の起動から凝縮器で加熱された第2空気の温度が充分に高まって吸着素子(81,82)の再生が充分に行われ始めるまでの時間を短縮でき、調湿装置を起動してから室内空気の相対湿度が目標値に達するまでの時間を短縮することができる。
また、この起動時の動作中には、凝縮器の内圧が通常の動作中よりも高くなる場合があり、その場合、ファン(95,96)の運転開始後しばらくの間は凝縮器における冷媒の凝縮温度が上がり、凝縮器から吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度が高くなる。従って、このことによっても調湿装置を起動してから室内空気の相対湿度が目標値に達するまでの時間を短縮することができる。
上記第9の発明では、起動時からの経過時間を計測するタイマーの計測値が所定の基準値に達すると、それまで停止していたファン(95,96)の運転が開始される。従って、この発明によれば、タイマーを用いてファン(95,96)の運転の開始を適切なタイミングで行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態に係る調湿装置は、減湿された空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿された空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行うように構成されている。また、この調湿装置は、冷媒回路(100)と2つの吸着素子(81,82)とを備え、いわゆるバッチ式の動作を行うように構成されている。ここでは、本実施形態に係る調湿装置の構成について、図1を参照しながら説明する。尚、本実施形態1の説明において、「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、図1に示す調湿装置を正面側から見た場合のものを意味している。
図1に示すように、上記調湿装置は、高さの低い扁平な直方体状のケーシング(10)を備えている。ケーシング(10)には、2つの吸着素子(81,82)と冷媒回路(100)とが収納されている。冷媒回路(100)には、圧縮機(101)、加熱手段(1)を構成する再生熱交換器(102)、第1熱交換器(103)、及び第2熱交換器(104)が設けられている。この冷媒回路(100)の詳細については、後述する。尚、図1において、(A)は左側面図、(B)は平面図、(C)は右側面図を示す。この点は、図2〜4においても同様である。
図5に示すように、上記吸着素子(81,82)は、平板状の平板部材(83)と波形状の波板部材(84)とを交互に積層して構成されている。波板部材(84)は、隣接する波板部材(84)の稜線方向が互いに90度ずれる姿勢で積層されている。そして、吸着素子(81,82)は、全体として直方体状ないし四角柱状に形成されている。
上記吸着素子(81,82)には、平板部材(83)及び波板部材(84)の積層方向において、調湿側通路(85)と冷却側通路(86)とが平板部材(83)を挟んで交互に区画形成されている。この吸着素子(81,82)において、平板部材(83)の長辺側の側面に調湿側通路(85)が開口し、平板部材(83)の短辺側の側面に冷却側通路(86)が開口している。
上記吸着素子(81,82)において、調湿側通路(85)に臨む平板部材(83)の表面や、調湿側通路(85)に設けられた波板部材(84)の表面には、水分を吸着するための吸着剤が塗布されている。この種の吸着剤としては、例えばシリカゲル、ゼオライト、イオン交換樹脂等が挙げられる。
図1に示すように、上記ケーシング(10)において、最も手前側には第1パネル(11)が設けられ、最も奥側には第2パネル(12)が設けられている。
上記第1パネル(11)には、その右寄りの中央部に排気口(14)が形成され、その左寄りの中央部に給気口(16)が形成されている。一方、上記第2パネル(12)には、その右端寄りの下部に室外側吸込口(13)が形成され、その左端寄りの下部に室内側吸込口(15)が形成されている。
ケーシング(10)の内部は、第1パネル(11)側に形成された下流側空間(91)と第2パネル(12)側に形成された上流側空間(92)とに区画されている。
下流側空間(91)は、左右に2つの空間に区画されている。右側の第1空間(41)は、排気口(14)を介して室外と連通しており、その内部に圧縮機(101)と排気ファン(95)と第1熱交換器(103)とが設置されている。左側の第2空間(42)は、給気口(16)を介して室外と連通しており、その内部に給気ファン(96)と第2熱交換器(104)とが設置されている。
上流側空間(92)は、右側仕切板(20)と左側仕切板(30)とによって、左右に3つの空間に区画されている。
右側仕切板(20)の右側の空間は、上側の右上部流路(65)と下側の右下部流路(66)とに仕切られている。右上部流路(65)は、第1空間(41)と連通する。右下部流路(66)は、室外側吸込口(13)と連通する一方、第1空間(41)から仕切られている。
左側仕切板(30)の左側の空間は、上側の左上部流路(67)と下側の左下部流路(68)とに仕切られている。左上部流路(67)は、第2空間(42)と連通する。左下部流路(68)は、室内側吸込口(15)と連通する一方、第2空間(42)から仕切られている。
右側仕切板(20)と左側仕切板(30)の間の空間には、2つの吸着素子(81,82)が設置されている。これら吸着素子(81,82)は、所定の間隔をおいて前後に並んだ状態で配置されている。具体的には、手前側の第1パネル(11)寄りに第1吸着素子(81)が設けられ、奥側の第2パネル(12)寄りに第2吸着素子(82)が設けられている。
右側仕切板(20)と左側仕切板(30)の間の空間は、第1流路(51)、第2流路(52)、第1上部流路(53)、第1下部流路(54)、第2上部流路(55)、第2下部流路(56)、及び中央流路(57)に区画されている。
第1流路(51)は、第1吸着素子(81)の手前側に形成され、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)に連通している。第2流路(52)は、第2吸着素子(82)の奥側に形成され、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)に連通している。
第1上部流路(53)は、第1吸着素子(81)の上側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第1下部流路(54)は、第1吸着素子(81)の下側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第2上部流路(55)は、第2吸着素子(82)の上側に形成され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)に連通している。第2下部流路(56)は、第2吸着素子(82)の下側に形成され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)に連通している。
中央流路(57)は、第1吸着素子(81)と第2吸着素子(82)の間に形成され、両吸着素子(81,82)の冷却側通路(86)に連通している。この中央流路(57)には、再生熱交換器(102)がほぼ垂直に立った状態で設置されている。この再生熱交換器(102)は、中央流路(57)を流れる空気を冷媒回路(100)の冷媒と熱交換させる。そして、再生熱交換器(102)は、凝縮器として機能し、空気を加熱するための加熱器を構成している。
中央流路(57)と第1下部流路(54)の間の仕切りには、第1シャッタ(61)が設けられている。一方、中央流路(57)と第2下部流路(56)の間の仕切りには、第2シャッタ(62)が設けられている。第1シャッタ(61)と第2シャッタ(62)とは、何れもが開閉自在に構成されている。
右側仕切板(20)には、第1右側開口(21)、第2右側開口(22)、第1右上開口(23)、第1右下開口(24)、第2右上開口(25)、及び第2右下開口(26)が形成されている。これらの開口(21,22,…)は、それぞれが開閉シャッタを備えている。
第1右側開口(21)は、右側仕切板(20)における手前側の下部に設けられ、第1流路(51)と右下部流路(66)を連通させる。第2右側開口(22)は、右側仕切板(20)における奥側の下部に設けられ、第2流路(52)と右下部流路(66)を連通させる。
第1右上開口(23)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられ、第1上部流路(53)と右上部流路(65)を連通させる。第1右下開口(24)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられ、第1下部流路(54)と右下部流路(66)を連通させる。
第2右上開口(25)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられ、第2上部流路(55)と右上部流路(65)を連通させる。第2右下開口(26)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられ、第2下部流路(56)と右下部流路(66)を連通させる。
左側仕切板(30)には、第1左側開口(31)、第2左側開口(32)、第1左上開口(33)、第1左下開口(34)、第2左上開口(35)、及び第2左下開口(36)が形成されている。これらの開口(31,32,…)は、それぞれが開閉シャッタを備えている。
第1左側開口(31)は、左側仕切板(30)における手前側の下部に設けられ、第1流路(51)と左下部流路(68)を連通させる。第2左側開口(32)は、左側仕切板(30)における奥側の下部に設けられ、第2流路(52)と左下部流路(68)を連通させる。
第1左上開口(33)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられ、第1上部流路(53)と左上部流路(67)を連通させる。第1左下開口(34)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられ、第1下部流路(54)と左下部流路(68)を連通させる。
第2左上開口(35)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられ、第2上部流路(55)と左上部流路(67)を連通さする。第2左下開口(36)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられ、第2下部流路(56)と左下部流路(68)を連通させる。
図6に示すように、本実施形態の冷媒回路(100)は、冷媒の充填された閉回路である。この冷媒回路(100)には、図1に示される圧縮機(101)、再生熱交換器(102)、第1熱交換器(103)、及び第2熱交換器(104)以外にも、第1電動膨張弁(111)と第2電動膨張弁(112)とが設けられている。
冷媒回路(100)において、圧縮機(101)の吐出側は、再生熱交換器(102)の一端に接続されている。再生熱交換器(102)の他端は、第1電動膨張弁(111)の一端と第2電動膨張弁(112)の一端とに接続されている。第1電動膨張弁(111)の他端は、第1熱交換器(103)の一端に接続されている。第2電動膨張弁(112)の他端は、第2熱交換器(104)の一端に接続されている。第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)の他端とは、それぞれが圧縮機(101)の吸入側に接続されている。尚、上記冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり、第1熱交換器(103)及び第2熱交換器(104)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
本実施形態の調湿装置には、湿度検出手段としての湿度センサ(2)が設けられている。この湿度センサ(2)は、室内空気(RA)の相対湿度を検出するためのものであって、ケーシング(10)における室内側吸込口(15)の近傍に設けられている。
調湿装置は、起動時に起動時動作を行うように構成されている。加湿運転時における起動時動作では、図7に示すように、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第2熱交換器(104)が蒸発器となる。つまり、冷媒回路(100)では、圧縮機(101)と再生熱交換器(102)と第2熱交換器(104)とをこの順に冷媒が流通する。除湿運転時における起動時動作では、図9に示すように、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1熱交換器(103)が蒸発器となる。つまり、冷媒回路(100)では、圧縮機(101)と再生熱交換器(102)と第1熱交換器(103)とをこの順に冷媒が流通する。
一方、調湿装置は、起動時動作中に所定の基準条件が成立すると、起動時動作から通常動作に切り換わるように構成されている。具体的に、調湿装置は、起動時動作中に湿度センサ(2)の検出値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わるように構成されている。
加湿運転時における通常動作では、図8に示すように、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1熱交換器(103)が蒸発器となる。つまり、冷媒回路(100)では、圧縮機(101)と再生熱交換器(102)と第1熱交換器(103)とをこの順に冷媒が流通する。除湿運転時における通常動作では、図10に示すように、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第2熱交換器(104)が蒸発器となる。つまり、冷媒回路(100)では、圧縮機(101)と再生熱交換器(102)と第2熱交換器(104)とをこの順に冷媒が流通する。
−運転動作−
上記調湿装置の運転動作について説明する。この調湿装置は、室内へ供給される空気を加湿する加湿運転と室内へ供給される空気を除湿する除湿運転とを切り換えて行う。また、この調湿装置は、第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって加湿運転や除湿運転を行う。
〈加湿運転〉
図1,図2に示すように、排気ファン(95)を駆動すると、室外空気(OA)が室外側吸込口(13)を通じてケーシング(10)内の右下部流路(66)へ第1空気として取り込まれる。一方、給気ファン(96)を駆動すると、室内空気(RA)が室内側吸込口(15)を通じてケーシング(10)内の左下部流路(68)へ第2空気として取り込まれる。
図7に示すように、起動時動作において、冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり第2熱交換器(104)が蒸発器となる一方、第1熱交換器(103)が休止している。この状態では、第2熱交換器(104)を通過する第2空気が冷却され、第1熱交換器(103)を通過する第1空気は加熱も冷却もされない。
一方、図8に示すように、通常動作において、冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり第1熱交換器(103)が蒸発器となる一方、第2熱交換器(104)が休止している。この状態では、第1熱交換器(103)を通過する第1空気が冷却され、第2熱交換器(104)を通過する第2空気は加熱も冷却もされない。
(第1動作)
加湿運転の第1動作について、図1,図7及び図8を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。
図1に示すように、右側仕切板(20)では、第1右上開口(23)と第1右下開口(24)とが連通状態となり、残りの開口(21,22,25,26)が遮断状態となっている。左側仕切板(30)では、第1左側開口(31)と第2左上開口(35)とが連通状態となり、残りの開口(32,33,34,36)が遮断状態となっている。第1シャッタ(61)は閉鎖状態となり、第2シャッタ(62)は開口状態となっている。
第1空気は、右下部流路(66)から第1右下開口(24)を通って第1下部流路(54)へ流入する。一方、第2空気は、左下部流路(68)から第1左側開口(31)を通って第1流路(51)へ流入する。
図7,図8にも示すように、第1下部流路(54)の第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入し、それに含まれる水分が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で水分を奪われた第1空気は、第1上部流路(53)へ流入し、第1右上開口(23)から右上部流路(65)を通って第1空間(41)へ流入する。第1空間(41)へ流入した第1空気は、第1熱交換器(103)を通過し、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
一方、第1流路(51)の第2空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入し、調湿側通路(85)で水分が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。第1吸着素子(81)で加熱された第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する間に加熱されてから第2下部流路(56)へ流入する。続いて、第2空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入し、加熱された吸着剤から脱離した水分を付与される。第2吸着素子(82)で加湿された第2空気は、第2上部流路(55)へ流入し、第2左上開口(35)から左上部流路(67)を通って第2空間(42)へ流入する。第2空間(42)へ流入した第2空気は、第2熱交換器(104)を通過し、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
(第2動作)
加湿運転の第2動作について、図2を参照しながら説明する。この第2動作では、第1動作時とは逆に、第2吸着素子(82)についての吸着動作と、第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。
図2に示すように、右側仕切板(20)では、第2右上開口(25)と第2右下開口(26)とが連通状態となり、残りの開口(21,22,23,24)が遮断状態となっている。左側仕切板(30)では、第2左側開口(32)と第1左上開口(33)とが連通状態となり、残りの開口(31,34,35,36)が遮断状態となっている。第1シャッタ(61)は開口状態となり、第2シャッタ(62)は閉鎖状態となっている。
第1空気は、右下部流路(66)から第2右下開口(26)を通って第2下部流路(56)へ流入する。一方、第2空気は、左下部流路(68)から第2左側開口(32)を通って第2流路(52)へ流入する。
第2下部流路(56)の第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入し、それに含まれる水分が吸着剤に吸着される。第2吸着素子(82)で水分を奪われた第1空気は、第2上部流路(55)へ流入し、第2右上開口(25)から右上部流路(65)を通って第1空間(41)へ流入する。第1空間(41)へ流入した第1空気は、第1熱交換器(103)を通過し、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
一方、第2流路(52)の第2空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入し、調湿側通路(85)で水分が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。第2吸着素子(82)で加熱された第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する間に加熱されてから第1下部流路(54)へ流入する。続いて、第2空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入し、加熱された吸着剤から脱離した水分を付与される。第1吸着素子(81)で加湿された第2空気は、第1上部流路(53)へ流入し、第1左上開口(33)から左上部流路(67)を通って第2空間(42)へ流入する。第2空間(42)へ流入した第2空気は、第2熱交換器(104)を通過し、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
〈除湿運転〉
図3,図4に示すように、排気ファン(95)を駆動すると、室外空気(OA)が室外側吸込口(13)を通じてケーシング(10)内の右下部流路(66)へ第2空気として取り込まれる。一方、給気ファン(96)を駆動すると、室内空気(RA)が室内側吸込口(15)を通じてケーシング(10)内の左下部流路(68)へ第1空気として取り込まれる。
また、図9に示すように、起動時動作において、冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり第1熱交換器(103)が蒸発器となる一方、第2熱交換器(104)が休止している。この状態では、第1熱交換器(103)を通過する第2空気が冷却され、第2熱交換器(104)を通過する第1空気は加熱も冷却もされない。
一方、図10に示すように、通常動作において、冷媒回路(100)では、再生熱交換器(102)が凝縮器となり第2熱交換器(104)が蒸発器となる一方、第1熱交換器(103)が休止している。この状態では、第2熱交換器(104)を通過する第1空気が冷却され、第1熱交換器(103)を通過する第2空気は加熱も冷却もされない。
(第1動作)
除湿運転の第1動作について、図3,図9及び図10を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。
図3に示すように、右側仕切板(20)では、第1右側開口(21)と第2右上開口(25)とが連通状態となり、残りの開口(22,23,24,26)が遮断状態となっている。左側仕切板(30)では、第1左上開口(33)と第1左下開口(34)とが連通状態となり、残りの開口(31,32,35,36)が遮断状態となっている。第1シャッタ(61)は閉鎖状態となり、第2シャッタ(62)は開口状態となっている。
第1空気は、左下部流路(68)から第1左下開口(34)を通って第1下部流路(54)へ流入する。一方、第2空気は、右下部流路(66)から第1右側開口(21)を通って第1流路(51)へ流入する。
図9,図10にも示すように、第1下部流路(54)の第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入し、それに含まれる水分が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で減湿された第1空気は、第1上部流路(53)へ流入し、第1左上開口(33)から左上部流路(67)を通って第2空間(42)へ流入する。第2空間(42)へ流入した第1空気は、第2熱交換器(104)を通過し、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、第1流路(51)の第2空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入し、調湿側通路(85)で水分が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。第1吸着素子(81)で加熱された第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する間に加熱されてから第2下部流路(56)へ流入する。続いて、第2空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入し、加熱された吸着剤から脱離した水分を付与される。第2吸着素子(82)の再生に利用された第2空気は、第2上部流路(55)へ流入し、第2右上開口(25)から右上部流路(65)を通って第1空間(41)へ流入する。第1空間(41)へ流入した第2空気は、第1熱交換器(103)を通過し、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
(第2動作)
除湿運転の第2動作について、図4を参照しながら説明する。この第2動作では、第1動作時とは逆に、第2吸着素子(82)についての吸着動作と、第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。
図4に示すように、右側仕切板(20)では、第2右側開口(22)と第1右上開口(23)とが連通状態となり、残りの開口(21,24,25,26)が遮断状態となっている。左側仕切板(30)では、第2左上開口(35)と第2左下開口(36)とが連通状態となり、残りの開口(31,32,33,34)が遮断状態となっている。第1シャッタ(61)は開口状態となり、第2シャッタ(62)は閉鎖状態となっている。
第1空気は、左下部流路(68)から第2左下開口(36)を通って第2下部流路(56)へ流入する。一方、第2空気は、右下部流路(66)から第2右側開口(22)を通って第2流路(52)へ流入する。
第2下部流路(56)の第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入し、それに含まれる水分が吸着剤に吸着される。第2吸着素子(82)で減湿された第1空気は、第2上部流路(55)へ流入し、第2左上開口(35)から左上部流路(67)を通って第2空間(42)へ流入する。第2空間(42)へ流入した第1空気は、第2熱交換器(104)を通過し、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、第2流路(52)の第2空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入し、調湿側通路(85)で水分が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。第2吸着素子(82)で加熱された第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する間に加熱されてから第1下部流路(54)へ流入する。続いて、第2空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入し、加熱された吸着剤から脱離した水分を付与される。第1吸着素子(81)の再生に利用された第2空気は、第1上部流路(53)へ流入し、第1右上開口(23)から右上部流路(65)を通って第1空間(41)へ流入する。第1空間(41)へ流入した第2空気は、第1熱交換器(103)を通過し、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
−起動時の運転制御−
上記調湿装置における起動時の運転制御について説明する。
〈加湿運転〉
加湿運転を開始する場合、上記調湿装置は起動直後に起動時動作を行い、その後に起動時動作から通常動作への切り換えを行う。
起動時動作において、冷媒回路(100)では、第1電動膨張弁(111)が閉状態とされ、第2電動膨張弁(112)の開度が運転条件に応じて適宜調節される。
図6,図7に示すように、圧縮機(101)から吐出された冷媒は、再生熱交換器(102)で第2空気と熱交換し、第2空気に放熱して凝縮する。再生熱交換器(102)で凝縮した冷媒は、第2電動膨張弁(112)を通過後に第2熱交換器(104)へ流入する。第2熱交換器(104)では、冷媒が第2空気と熱交換し、第2空気から吸熱して蒸発する。第2熱交換器(104)で蒸発した冷媒は、圧縮機(101)へ吸入されて圧縮される。
一方、調湿装置の起動時動作中に湿度センサ(2)の検出値が所定の基準値(ここでは、相対湿度40%)に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。通常動作において、冷媒回路(100)では、第2電動膨張弁(112)が閉状態とされ、第1電動膨張弁(111)の開度が運転条件に応じて適宜調節される。
図6,図8に示すように、圧縮機(101)から吐出された冷媒は、再生熱交換器(102)で第2空気と熱交換し、第2空気に放熱して凝縮する。再生熱交換器(102)で凝縮した冷媒は、第1電動膨張弁(111)を通過後に第1熱交換器(103)へ流入する。第1熱交換器(103)では、冷媒が第1空気と熱交換し、第1空気から吸熱して蒸発する。第1熱交換器(103)で蒸発した冷媒は、圧縮機(101)へ吸入されて圧縮される。
ここで、冬季において、調湿装置を起動する際の室外空気(OA)の温度を0℃程度とし、室内空気(RA)の温度を10〜15℃程度とした場合を例に説明する。この状態では、ケーシング(10)内に取り込まれる第1空気の温度が0℃程度となり、ケーシング(10)内に取り込まれる第2空気の温度が10〜15℃程度となる。
図7,図8に示すように、第1空気は、第1吸着素子(81)で水分を吸着された後に第1熱交換器(103)へ流入する。第2空気は、再生熱交換器(102)で加熱され、第2吸着素子(82)を再生した後に第2熱交換器(104)へ流入する。また、第2吸着素子(82)を再生するためには、再生熱交換器(102)で第2空気を比較的高い温度まで加熱する必要があり、第2吸着素子(82)を通過後の第2空気の温度も比較的高くなる。そして、第1熱交換器(103)へ流入する第1空気の温度が10℃程度となり、第2熱交換器(104)へ流入する第2空気の温度が35℃程度となる。
また、起動時動作中には第2熱交換器(104)を通過する第2空気と冷媒との間で熱交換が行われ、通常動作中には第1熱交換器(103)を通過する第1空気と冷媒との間で熱交換が行われる。上述のように、第2熱交換器(104)へ流入する第2空気の温度は、第1熱交換器(103)へ流入する第1空気の温度よりも高い。このため、第2熱交換器(104)で第2空気が冷媒と熱交換する起動時動作中は、第1熱交換器(103)で第1空気が冷媒と熱交換する通常動作中に比べて、冷媒の蒸発温度が高くなる。そして、冷凍サイクルの低圧が高くなるため、それに伴って冷凍サイクルの高圧も上昇し、再生熱交換器(102)における冷媒の凝縮温度が高くなる。
よって、起動時動作中には、通常動作中よりも再生熱交換器(102)で冷媒と熱交換した後の第2空気の温度が高くなり、再生熱交換器(102)から第2吸着素子(82)へ送られる第2空気の温度が高くなる。また、第2吸着素子(82)へ送られる第2空気の温度が高くなると、第2吸着素子(82)の吸着剤から脱離する水分が増加する。このため、起動時動作中には、通常動作中よりも第2吸着素子(82)における第2空気への加湿量が増加する。
〈除湿運転〉
除湿運転を開始する場合、上記調湿装置は、起動直後に起動時動作を行い、その後に起動時動作から通常動作への切り換えを行う。
起動時動作において、冷媒回路(100)では、第2電動膨張弁(112)が閉状態とされ、第1電動膨張弁(111)の開度が運転条件に応じて適宜調節される。
図6,図9に示すように、圧縮機(101)から吐出された冷媒は、再生熱交換器(102)で第2空気と熱交換し、第2空気に放熱して凝縮する。再生熱交換器(102)で凝縮した冷媒は、第1電動膨張弁(111)を通過後に第1熱交換器(103)へ流入する。第1熱交換器(103)では、冷媒が第2空気と熱交換し、第2空気から吸熱して蒸発する。第1熱交換器(103)で蒸発した冷媒は、圧縮機(101)へ吸入されて圧縮される。
一方、調湿装置の起動時動作中に湿度センサ(2)の検出値が所定の基準値(ここでは、相対湿度47%)に達すると、起動時動作から通常時動作に切り換わる。通常動作において、冷媒回路(100)では、第1電動膨張弁(111)が閉状態とされ、第2電動膨張弁(112)の開度が運転条件に応じて適宜調節される。
図6,図10に示すように、圧縮機(101)から吐出された冷媒は、再生熱交換器(102)で第2空気と熱交換し、第2空気に放熱して凝縮する。再生熱交換器(102)で凝縮した冷媒は、第2電動膨張弁(112)を通過後に第2熱交換器(104)へ流入する。第2熱交換器(104)では、冷媒が第1空気と熱交換し、第1空気から吸熱して蒸発する。第2熱交換器(104)で蒸発した冷媒は、圧縮機(101)へ吸入されて圧縮される。
図9,図10に示すように、第1空気は、第1吸着素子(81)で水分を吸着された後に第2熱交換器(104)へ流入する。第2空気は、再生熱交換器(102)で加熱され、第2吸着素子(82)を再生した後に第1熱交換器(103)へ流入する。また、第2吸着素子(82)を再生するために、第2空気が比較的高い温度まで再生熱交換器(102)で加熱され、これに伴って第2吸着素子(82)を通過後の第2空気の温度も比較的高くなる。そして、第1熱交換器(103)へ流入する第2空気の温度は、第2熱交換器(104)へ流入する第1空気の温度よりも高くなる。
また、起動時動作中には第1熱交換器(103)を通過する第2空気と冷媒との間で熱交換が行われ、通常動作中には第2熱交換器(104)を通過する第1空気と冷媒との間で熱交換が行われる。上述のように、第1熱交換器(103)へ流入する第2空気の温度は、第2熱交換器(104)へ流入する第1空気の温度よりも高い。このため、第1熱交換器(103)で第2空気が冷媒と熱交換する起動時動作中は、第2熱交換器(104)で第1空気が冷媒と熱交換する通常動作中と比べて、冷媒の蒸発温度が高くなる。そして、冷凍サイクルの低圧が高くなるため、それに伴って冷凍サイクルの高圧も上昇し、再生熱交換器(102)における冷媒の凝縮温度が高くなる。
よって、起動時動作中には、通常動作中よりも再生熱交換器(102)で冷媒と熱交換した後の第2空気の温度が高くなり、第2吸着素子(82)へ流入する第2空気の温度が高くなってこの吸着素子(82)の吸着剤から脱離する水分が増加する。つまり、起動時動作中には、第2吸着素子(82)で第2空気へ付与される水分量が通常動作中よりも増加する。また、起動時動作中に第2吸着素子(82)から脱離する水分量が増すため、再生動作の終了時点で第2吸着素子(82)に残存する水分量も減少する。従って、起動時動作中には、第2吸着素子(82)における第1空気からの除湿量も増加する。
−実施形態1の効果−
本実施形態では、起動時してから湿度センサ(2)の検出値が所定の基準値に達するまで起動時動作が行われる。起動時動作中には第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第2空気が通過する方だけが蒸発器となり、通常動作中には第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる。
ここで、第1空気は吸着側の吸着素子(81,82)で水分を吸着された後に蒸発器へ流入し、第2空気は再生熱交換器(102)で加熱された後に再生側の吸着素子(81,82)を再生してから蒸発器へ流入する。また、再生側の吸着素子(81,82)を再生するためには、再生熱交換器(102)で第2空気を比較的高い温度まで加熱する必要があり、この吸着素子(81,82)を通過後の第2空気の温度も比較的高くなる。このため、蒸発器で第2空気が冷媒と熱交換する起動時動作中は、蒸発器で第1空気が冷媒と熱交換する通常動作中に比べて冷媒の蒸発温度が高くなる。そして、冷凍サイクルの低圧が高くなるため、それに伴って冷凍サイクルの高圧も上昇し、凝縮器における冷媒の凝縮温度が高くなる。
よって、起動時動作中には、通常動作中よりも再生熱交換器(102)から再生側の吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度を高くすることができ、この吸着素子(81,82)における第2空気への加湿量を増加させることができる。それに伴い、再生動作の終了時点で再生側の吸着素子(81,82)に残存する水分量も減少する。このため、起動時動作中には、吸着側の吸着素子(81,82)における第1空気からの除湿量も増加させることができる。従って、本実施形態によれば、空気の湿度調節を行う調湿装置において、起動してから室内空気(RA)の相対湿度が目標値に達するまでの時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、室内空気(RA)の湿度を検出する湿度センサ(2)の検出値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。従って、本実施形態によれば、湿度センサ(2)によって精度良く室内空気(RA)の湿度調節を行うことができ、室内の快適性を保持することができる。
−実施形態1の変形例−
上記実施形態1の調湿装置の構成を変更してもよい。ここでは、本変形例について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
本変形例の調湿装置には、室内空気(RA)の相対湿度を検出するための湿度センサ(2)に代えて、温度検出手段としての温度センサ(図示せず)が設けられている。この温度センサは、室内空気(RA)の温度を検出するためのものであって、ケーシング(10)における室内側吸込口(15)の近傍に設けられている。
調湿装置では、ケーシング(10)内に取り込まれる室内空気(RA)の温度が温度センサにより検出される。また、調湿装置では、起動時に起動時動作が行われる一方、起動時動作中に温度センサの検出値が所定の基準値に達すると、通常動作に切り換わる。
ここで、例えば冬季において、室外空気(OA)の温度は変動してもその相対湿度は概ね80%程度となる。また、調湿装置の加湿運転時において、室内へ供給される空気(SA)への加湿量及び加熱量は一定である。従って、ケーシング(10)内に取り込まれる室外空気(OA)の温度が低いとその絶対湿度も低く、吸着側の吸着素子(81,82)に吸着される室外空気(OA)中の水分量が少なくなってこの吸着素子(81,82)の温度があまり上昇しない。このため、吸着側の吸着素子(81,82)では室内へ供給される空気(SA)に対する加熱量が少なくなり、それに伴って再生側の吸着素子(81,82)では室内へ供給される空気(SA)に対する加湿量が少なくなる。そして、室外空気(OA)の温度が低いことから室内空気(RA)の温度は緩やかにしか上昇せず、室内へ供給される空気(SA)の絶対湿度が低いことから室内空気(RA)の相対湿度も緩やかにしか上昇してゆかない。
一方、ケーシング(10)内に取り込まれる室外空気(OA)の温度が高いとその絶対湿度も高く、室内へ供給される空気(SA)の絶対湿度が高くなる。そして、室外空気(OA)の温度が高いことから室内空気(RA)の温度は速やかに上昇し、室内へ供給される空気(SA)の絶対湿度が高いことから室内空気(RA)の相対湿度も速やかに上昇してゆく。
このように、室内空気(RA)の温度の上昇速度が高ければその相対湿度の上昇速度も高くなり、逆に室内空気(RA)の温度の上昇速度が低ければその相対湿度の上昇速度も低くなる。つまり、室内空気(RA)の温度と相対湿度には相関関係があり、両者は連動して変化する。よって、温度センサの検出値から室内空気(RA)の相対湿度を推測することができる。そこで、所定の基準値を室内空気(RA)の相対湿度が目標値(加湿動作時には40%、除湿動作時には47%)となる値に設定することにより、室内空気(RA)の相対湿度が目標値に達したところで起動時動作から通常動作に切り換えることができる。
また、調湿装置にデータベースを設け、このデータベースで基準値を変更してもよい。上述のように、室外空気(OA)の温度が低いと室内へ供給される空気(SA)の温度が低く、室内空気(RA)の温度の上昇速度が低い。また、室外空気(OA)の温度が高いと室内へ供給される空気(SA)の温度が高く、室内空気(RA)の温度の上昇速度が高い。このため、室外空気(OA)、室内へ供給される空気(SA)、及び室内空気(RA)の温度データに基づいて基準値を設定するデータベースを調湿装置に設けておき、室外空気(OA)、室内へ供給される空気(SA)、及び室内空気(RA)の温度を温度センサで計測して基準値を設定することで、室内空気(RA)の相対湿度の推測値についてその精度を向上させることができる。
本変形例では、室内空気(RA)の温度を検出する温度センサの検出値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。上述のように、室内空気(RA)の温度と相対湿度には相関関係があるため、温度センサの検出値によって室内空気(RA)の相対湿度を推測することができる。従って、本変形例によれば、温度センサを用いて起動時動作から通常動作への切り換えを適切なタイミングで行うことができる。
−実施形態1の変形例2−
上記実施形態1の調湿装置において、調湿装置の構成を変更してもよい。ここでは、本変形例について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
本変形例の調湿装置では、室内空気(RA)の相対湿度を検出するための湿度センサ(2)に代えて、タイマー(図示せず)が設けられる。このタイマーは、調湿装置の起動時からの経過時間を計測するためのものである。
上記調湿装置では、加湿運転及び除湿運転のそれぞれの運転において、起動時に起動時動作が行われる一方、起動時動作中にタイマーの計測値が所定の基準値に達すると、通常動作に切り換わる。
ここで、予め様々な運転条件で試験を行い、調湿装置の起動時から室内空気(RA)の相対湿度が目標値(加湿運転時には40%、除湿運転時には47%)に達するまでの経過時間を計測しておけば、その試験で得られたデータに基づき、室内空気(RA)の相対湿度が目標値に達すると予想される起動時からの経過時間を基準値として設定できる。
本変形例では、起動時からの経過時間を計測するタイマーの計測値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。上述のように、予め試験を行って室内空気(RA)の相対湿度が目標値に達すると予想される起動時からの経過時間を基準値として設定すれば、タイマーの計測値によって室内空気(RA)の相対湿度を推測することができる。従って、本変形例によれば、タイマーを用いて起動時動作から通常動作への切り換えを適切なタイミングで行うことができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、上記実施形態1の調湿装置において、起動時動作を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
本実施形態の調湿装置では、加湿運転時及び除湿運転時の起動時動作において、第1電動膨張弁(111)及び第2電動膨張弁(112)の開度が運転条件に応じて適宜調節される。この状態では、冷媒回路(100)を循環する冷媒が再生熱交換器(102)を通過した後に分流され、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のそれぞれに流入する。そして、図11,図12に示すように、再生熱交換器(102)が凝縮器となり、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)の両方が蒸発器となる。つまり、本実施形態の起動時動作では、上記実施形態1と異なり、第1熱交換器(103)及び第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方も蒸発器となる。
一方、起動時動作中に湿度センサ(2)の検出値が所定の基準値に達すると、起動時動作から通常動作に切り換わる。加湿運転時及び除湿運転時の通常動作では、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)のうち第1空気が通過する方だけが蒸発器となる。尚、加湿運転時及び除湿運転時の通常動作は、上記実施形態1と同じである。
このように、起動時動作中には、通常動作中よりも蒸発器となる熱交換器の表面積が拡大する。このため、起動時動作中には、冷媒が第1空気及び第2空気から吸熱する熱量を確保したままで、冷媒の蒸発温度を通常動作中よりも高くすることができる。そして、冷凍サイクルの低圧が高くなるため、それに伴って冷凍サイクルの高圧も上昇し、再生熱交換器(102)における冷媒の凝縮温度が高くなる。
よって、起動時動作中には、通常動作中よりも再生熱交換器(102)から再生側の吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度を高くできる。このため、再生側の吸着素子(81,82)の吸着剤から脱離する水分が増加し、この吸着素子(81,82)における第2空気への加湿量が増加する。それに伴い、再生動作の終了時点で再生側の吸着素子(81,82)に残存する水分量も減少する。このため、起動時動作中には、吸着側の吸着素子(81,82)における第1空気からの除湿量も増加する。
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2の調湿装置において、調湿装置の構成を変更してもよい。ここでは、本変形例について、上記実施形態2と異なる点を説明する。
本変形例の調湿装置では、起動時動作において、冷媒回路(100)に設けられる第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)とが冷媒の循環方向において直列となっている。
具体的に、図13に示すように、加湿運転時の起動時動作において、圧縮機(101)から吐出された冷媒は、再生熱交換器(102)を通過後に第1熱交換器(103)へ流入する。第1熱交換器(103)で第1空気から吸熱した冷媒は、第2熱交換器(104)へ流入して第2空気から吸熱する。第2熱交換器(104)を通過後の冷媒は、圧縮機(101)へ戻される。
一方、図14に示すように、除湿運転時の起動時動作において、圧縮機(101)から吐出された冷媒は、再生熱交換器(102)を通過後に第2熱交換器(104)へ流入する。第2熱交換器(104)で第1空気から吸熱した冷媒は、第1熱交換器(103)へ流入して第2空気から吸熱する。第1熱交換器(103)を通過後の冷媒は、圧縮機(101)へ戻される。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3は、上記実施形態1において、起動時動作を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
ここで、圧縮機(101)の容量が大きくなるに従って、圧縮機(101)からの冷媒吐出量が増加し、冷媒回路(100)における冷媒循環量が増加する。このため、再生熱交換器(102)における冷媒から第2空気への放熱量が増加し、再生熱交換器(102)を通過後の第2空気の温度が高くなる。
本実施形態の調湿装置は、圧縮機(101)の容量を通常動作中に比べて大きい値に設定する動作を起動時動作として行う。この起動時動作中には、通常動作中よりも再生熱交換器(102)における冷媒から第2空気への放熱量が増加し、再生熱交換器(102)から再生側の吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度が通常動作中に比べて高くなる。このため、再生側の吸着素子(81,82)から脱離する水分が増加し、この吸着素子(81,82)における第2空気への加湿量が増加する。それに伴い、再生動作の終了時点で再生側の吸着素子(81,82)に残存する水分量も減少する。このため、起動時動作中には、吸着側の吸着素子(81,82)における第1空気からの除湿量も増加する。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4は、上記実施形態1〜3と調湿装置の運転動作が異なるものである。上記実施形態1〜3では、起動時に起動時動作が行われ、該起動時動作中に湿度センサ(2)の検出値が所定の基準値に達すると通常動作に切り換わる。一方、本実施形態では、起動時に予備動作が行われ、該予備動作中にタイマーの計測値が所定の基準値に達すると通常動作に切り換わる。
具体的に、予備動作では、冷媒回路(100)の圧縮機(101)が運転される一方、第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転が停止される。つまり、ケーシング(10)内には、第1空気及び第2空気が取り込まれない。また、冷媒回路(100)の膨張弁が閉状態とされる。
予備動作中には、冷媒回路(100)における膨張弁よりも下流側の冷媒が圧縮機(101)へ吸入されて圧縮される。圧縮機(101)から吐出された冷媒は、圧縮機(101)と膨張弁との間の冷媒配管内に溜まってゆき、圧縮機(101)と膨張弁との間の冷媒配管内の圧力及び温度が速やかに上昇してゆく。つまり、圧縮機(101)と膨張弁との間に設けられる再生熱交換器(102)は、その内圧及び温度が速やかに上昇してゆく。
一方、予備動作中に所定の基準条件が成立すると、予備動作から通常動作に切り換わる。具体的に、起動時からの経過時間がタイマーによって計測され、タイマーの計測値が所定の基準値に達すると、予備動作から通常動作に切り換わる。通常動作に切り換わると、それまで停止していた第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転が開始され、ケーシング(10)内に第1空気及び第2空気が取り込まれる。また、冷媒回路(100)の膨張弁が適宜調節される。再生熱交換器(102)では、冷媒と第2空気との間で熱交換が行われる。
ここで、調湿装置の起動時に冷媒回路(100)の圧縮機(101)の運転を開始し、第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転を開始する場合には、起動直後から再生熱交換器(102)で冷媒が第2空気と熱交換して凝縮する。つまり、圧縮機(101)で圧縮された冷媒の有する熱量が、第2空気を加熱するために使われる。このため、再生熱交換器(102)の内圧と温度とが充分に上昇するまでに、ある程度の時間を要する。
一方、本実施形態では、予備動作中に第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転が停止されており、圧縮機(101)から吐出された冷媒の有する熱量が、再生熱交換器(102)に貯められてゆく。そして、再生熱交換器(102)の内圧及び温度が急速に上昇してゆく。このため、調湿装置の起動から再生熱交換器(102)で加熱された第2空気の温度が充分に高まるまでの時間が短縮され、第2空気によって再生側の吸着素子(81,82)の再生が充分に行われ始めるまでの時間が短縮される。
また、予備動作中には、再生熱交換器(102)の内圧が通常動作中よりも高くなる場合がある。この場合、通常動作への切り換え後しばらくの間は再生熱交換器(102)における冷媒の凝縮温度が上がり、再生熱交換器(102)から再生側の吸着素子(81,82)へ送られる第2空気の温度が高くなる。
本実施形態では、予備動作中に第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転が停止されるものの、所定の基準条件の成立後には、起動直後から第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転を行う場合と比べて吸着素子(81,82)における第1空気からの除湿量及び第2空気への加湿量が増加する。従って、本実施形態によれば、起動直後から第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転を行う場合と比べ、調湿装置を起動してから室内空気(RA)の湿度が目標値に達するまでの時間を短縮できる。
−実施形態4の変形例−
上記実施形態4の調湿装置について、起動時に予備動作を行い、その後に予備動作から起動時動作へと切り換えるようにしてもよい。本変形例の調湿装置では、起動時に予備動作が行われる。この予備動作中には、第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転が停止される。一方、予備動作中にタイマーの計測値が所定の基準値に達すると、予備動作から起動時動作に切り換わり、それまで停止していた第1ファン(95)及び第2ファン(96)の運転が開始される。本変形例によれば、調湿装置を起動してから室内空気(RA)の相対湿度が目標値に達するまでの時間を一層短縮できる。